JP3121982B2 - 導電性セラミックス - Google Patents
導電性セラミックスInfo
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Description
ける分解の他に、燃料電池セルなどの電気化学的装置、
あるいはヒータ、酸素センサ等の電極材料として好適な
新規導電性セラミックスに関するものである。
性からあらゆる用途に用いられているが、その1つとし
て電気伝導性のセラミックスは、良伝導材料である金属
材料に代わるものとして、金属単体では使用できない分
野において使用されている。
電解質型燃料電池セルにおける空気極材料としての用途
である。燃料電池においては、使用環境が800℃以上
と過酷な条件であるためLaMnO3 およびLaCoO
3 系の導電性セラミックスが使用されている。このLa
MnO3 系材料としては、Laの一部を2価のCa、S
r、Ba等により置換することにより1000℃付近に
おける電気伝導度を高める工夫がされている。このよう
にLaの一部を2価のCaなどにより置換するとホール
が生成され、導電率が高くなる。
のLaMnO3 材料においては、LaをCa、Srで置
換すると確かに電気伝導度は大きくなるが、1000
℃、大気中における導電率は150Ω-1・cm-1程度で
あった。2価の金属元素によるLaの置換量を多くする
ことによりホールの生成量も多くなることが期待できる
が、Laのおよそ30%以上を置換するとペロブスカイ
ト型とは異なる結晶相が生成し、導電率は向上しない。
るセラミックスとしてのLaCoO3 は電気伝導度は優
れるものの、電解質との反応性が大きいため、セルの作
動温度が900℃以下に制限されている。このため、電
解質の抵抗が大きくセルの性能低下の原因となってい
る。また、LaCoO3 は還元雰囲気に弱く、低酸素分
圧下で容易に分解するため、材料使用条件あるいはセル
作製条件がかなり制限されるという問題がある。
く、電極としての性能の安定した新規導電性セラミック
スを提供することを目的とするものである。
題に対して検討を重ねた結果、一般式が、下記化1
元素の群から選ばれた少なくとも1種の元素、BはC
a、BaおよびSrのアルカリ土類元素の群から選ばれ
た少なくとも1種の元素、CはNi、Co、Fe、C
r、CeおよびZrの群から選ばれた少なくとも1種の
元素を含み、一般式中のm、nおよびzが、0.10≦
m≦0.90、0≦n≦0.50、0.80≦z≦1.
10を満足するとともに、不純物としてのAl及びSi
の含有量の総和が金属換算で1000ppm以下である
ことを特徴とする。
に限定した理由は、YおよびYb、Sc、Er、Nd、
Gd、Dy、Sm、Pr、Ceの希土類元素に対するア
ルカリ土類元素であるCa、Sr、Baの置換比率mが
0.10より小さいと電気伝導度が小さく電極材料とし
ての機能を成さない。また、mが0.90より大きいと
焼結が促進され、1000℃での長時間発電において電
極が緻密化し電極性能が低下する。また、本発明の導電
性セラミックスは、前記化1で示されるようにABO3
型ペロブスカイト型結晶構造を呈するもので、この結晶
のAサイトとBサイトの原子比率zが0.80までの不
定比系においても同様な結果が得られるが、これはその
格子欠陥構造が定比系に類似しているためである。しか
し、このzが0.8より小さくなるとMn2 O3 等の第
2成分の析出が起こり焼結が促進され、電極性能が低下
する。また、Mnに対するNi、Co、Fe、Cr、C
e、Zrの置換比率nが0.50を越えると焼結性が悪
くなり、1650℃以上の温度でないと焼結が困難なた
め、不経済である。
好ましい範囲は、0.40≦ m≦0.60、0≦ n
≦0.20、0.95≦ z ≦1.00である。
ば、セラミックス中の金属不純物としてのAlおよびS
iの含有量の総和が1000ppm以下であることが望
ましい。これは、AlとSiの量が1000ppmを越
えると、電気伝導度が低下するためである。望ましくは
600ppm以下である。
で表される金属成分の酸化物、炭酸化物、水酸化物等を
出発原料とし、これをボールミル、振動ミル等の周知の
方法により混合粉砕し、大気中またはAr中等の不活性
雰囲気中で1200〜1500℃で1〜5時間仮焼して
固溶体粉末を得る。その後、この固溶体粉末を所望によ
り粉砕した後、適当な成形手段、例えば、金型プレス,
冷間静水圧プレス,押出成形、スラリー塗布乾燥、ドク
ターブレード法等により任意のバルク体あるいはシート
状に成形後、1300〜1600℃の大気などの酸化雰
囲気またはAr、N2 等の不活性雰囲気にて焼成するこ
とにより得ることができる。得られる焼結体は、その開
気孔率が40%より小さいことが良好な導電性を得るた
めは必要である。
としてAlおよびSi量が少ない原料を選択する他、A
lおよびSiの混入が極力少なくなるようにミル混合、
粉砕の際のメディアについてはジルコニアやマグネシア
製の容器やボールを用いることが望ましい。
的には、ABO3 型ペロブスカイト型結晶を主体とする
ものであるが、仮焼条件によりYおよび希土類元素を含
む酸化物、例えばY2 O3 、Yb2 O3 などの酸化物あ
るいはYMnO3 、YbMnO3 等の複合酸化物が析出
する場合がある。しかしながら、この析出粒子は粒径が
小さくその量も少ないため、ペロブスカイト型主結晶相
が上記の組成を満足する限りは、特に電気伝導度に影響
はない。
素としては、Yb、Sc、Er、Nd、Gd、Dy、S
m、PrおよびCeなどが挙げられる。
質型燃料電池セルの空気極として特に有用である。円筒
型燃料電池セルでは、空気極の性能を有する支持管とし
ても利用できる。また、平板型燃料電池セルでは、電極
の他にガスディフューザとしても利用できる。このよう
な空気極として使用する場合、導電性セラミックスの開
気孔率は20〜45%となるように制御される。また、
平均細孔径は1〜5μmが望ましい。
水蒸気分解による水素、酸素の生成のための電極あるい
は酸素センサの空気側の電極として使用することができ
る。
t−Pd等の金属電極と混合して用いると効果的であ
る。また、LaCrO3 等を用いた500℃以上の温度
で作動させるセラミックヒータの電極としても用いるこ
とができる。
換したLaMnO3 の格子欠陥構造に着目して研究を進
めた結果、Caの置換量が20原子%付近より小さい組
成系においては、大気中、高温において電気的中性を保
持するためホールが生成されることがわかった。
ト型複合酸化物における格子欠陥構造と電気伝導度との
関係を詳細に検討した結果、Ca、Sr、Ba等を固溶
したYMnO3 、YbMnO3 、GdMnO3 等がLa
MnO3 より大きな電気伝導度を有することを見いだし
た。
とって説明すると、この材料は、大気中、高温におい
て、主として下記化2で示される格子欠陥が生成する。
aはYと置換固溶し、系の電気的中性を保持するためホ
−ルが生成し、生成したホ−ルは電気伝導に寄与する。
LaMnO3 系においては、LaをCaにより25〜3
0原子%置換すると格子欠陥構造が変化するのに対し
て、本発明の材料は、Caを広い置換範囲で化2で示さ
れるような単一の格子欠陥構造を有する。このことが、
本発明品が従来のLaMnO3 系材料よりも大きな電気
伝導度を有する理由である。
O3 、(Y、Sr)MnO3 および(Y、Ba)MnO
3 の他、Yb、Sc、Er、Nd、Gd、Dy、Smの
希土類元素とCa、Sr、Baのアルカリ土類元素およ
びMnからなる複合ペロブスカイト酸化物、例えば(Y
b、Ca)MnO3 、(Gd、Sr)MnO3 等も上記
と同様な格子欠陥構造を有し大きな電気伝導度を示す。
また、本発明品に関してペロブスカイト型結晶構造中の
Aサイトの原子が不足した不定比系においても、その格
子欠陥構造が定比系に類似しているため定比系と同様な
効果が得られる。また、Mnの一部をCo、Ni、F
e、Cr、Ce、Zrで置換した材料も同様な格子欠陥
を有しており同様の特性を有するものである。
の不純物について検討した結果、セラミックス中にAl
やSiが存在する場合、これらの元素は結晶内に固溶す
るが、その量が増加するとガラス相あるいは第2成分と
して結晶粒界を覆うように析出する。このような析出物
はホールの移動を阻害し電気伝導度の低下を招くことと
なるため、AlおよびSi量の上限を設定したものであ
る。
CaCO3 、SrCO3 、MnO粉末を表1の組成にな
るように秤量混合し、ジルコニアボールで15時間混合
粉砕した。これをマグネシアルツボを用いて1400℃
で5時間仮焼した。この後、さらにジルコニアボールを
用いて10時間粉砕を行い、平均粒径が3〜5μmの固
溶体粉末を作製した。これを角柱状に成形し、1100
〜1400℃で3〜10時間焼成して大きさ3×3×2
0mmの試料を作製した。この試料を用いて電圧端子間
距離を10mmとして直流4端子法により大気中100
0℃における電気伝導度を測定した。この際、比較のた
め、La0.85Sr0.15MnO3 についても同様に電気伝
導度を測定し、その結果を表1に示した。また、得られ
たセラミックス中のAl、Si量についてICP発光分
光分析により測定したところ、その総和はいずれの試料
も300ppm以下であった。
酸化物粉末を用いて表2および表3の組成になるように
秤量混合する以外は実施例1と同様な方法により成形体
を作製し、これを1100〜1600℃で2〜5時間焼
成して大きさ3×3×20mmの試料を作製した。この
試料を用いて実施例1と同様に電気伝導度と、ICP分
析によりAlおよびSi量を測定した。その結果、A
l、Si量の総和はいずれの試料も350ppm以下で
あった。なお、電気伝導度の測定結果は表2および表3
に示した。
Srの置換量mが0.10より小さい試料No.1,1
4,23,36では電気伝導度が小さいものであった。
また、不定比率zが0.80より小さい試料No.13、
22ではMn2 O3 の析出が認められ、電気伝導度が低
下した。また、mが0.9を越えるNo.8,18,53
はいずれも1100℃で容易に焼結されたため高温で安
定性に欠けることから本発明から除外した。また、表3
の結果からNi、Cr等の置換比率nが0.5より大き
い試料No.59,66では電気伝導度が小さくなった。
これらの比較例に対して、本発明品ではいずれも190
s/cm以上の高い電気伝導度を有するものであった。
00℃において雰囲気の酸素分圧を変化させて電気伝導
度を測定した。比較のため、La0.85Sr0.15MnO3
およびLaCoO3 についても同様に測定した。その結
果は図1に示した。図1から明らかなように、LaCo
O3 は大きな電気伝導度を示すが、酸素分圧が10
-8(atm)より小さくなると分解しLa2 CoO4 と
CoOが生成した。それに対して本発明品およびLa
0.85Sr0.15MnO3 はいずれも10-1 1 (atm)ま
で安定であったが、本発明品は従来品のLa0.85Sr
0.15MnO3 よりも大きな電気伝導度を示した。
粉末にAl2 O3 およびSiO2 粉末を添加し、ジルコ
ニアボールで15時間混合した後、1400〜1600
℃で2〜5時間焼成して大きさ3×3×20mmの試料
を作製した。この試料を用いて実施例1と同様に電気伝
導度とAlおよびSi量をICP分析により測定した。
結果は表4に示した。
000ppmを越えると電気伝導度が低下することがわ
かり、含有量が低いほど電気伝導度が高くなることがわ
かった。
明の導電性セラミックスは、高い電気伝導度を有すると
ともに、還元雰囲気中でも安定であり、固体電解質燃料
電池の空気極やガスディフューザとして用いる場合、電
気的ロスがなく、高出力が期待できる。また、水蒸気の
電気分解あるいは酸素センサの電極としても優れた性能
が期待できる。
導度と酸素分圧との関係を示した図である。
Claims (1)
- 【請求項1】一般式が、(A1-mBm)z(Mn1-nCn)
O3±δで表され、一般式中のAはYおよび希土類元素
の群から選ばれた少なくとも1種の元素、BはCa、B
aおよびSrのアルカリ土類元素の群から選ばれた少な
くとも1種の元素、CはNi、Co、Fe、Cr、Ce
およびZrの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含
み、一般式中のm、nおよびzが、0.10≦m≦0.
90、0≦n≦0.50、0.80≦z≦1.10を満
足するとともに、不純物としてのAl及びSiの含有量
の総和が金属換算で1000ppm以下であることを特
徴とする導電性セラミックス。
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---|---|---|---|
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