JP2017162607A - 固体酸化物形燃料電池用電解質 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用電解質 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、発電性能を損なう不純物の混入量が少なく、発電性能に優れた固体酸化物形燃料電池を構成することができる電解質と、当該電解質を有する固体酸化物形燃料電池単セルを提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る電解質は、固体酸化物形燃料電池用の電解質であって、少なくとも一方のエッチングしない表面においてのみ、または、少なくとも一方の表面からSiO2基準で0nm超、10nm以下の深さまでエッチングした表面においてのみ、X線光電子分光法によりSi2pピークが検出されることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、発電性能を損なう不純物の混入量が少なく、発電性能に優れた固体酸化物形燃料電池を構成することができる電解質と、当該電解質を有する固体酸化物形燃料電池単セルに関するものである。
燃料電池はクリーンなエネルギー源として注目されており、その用途は家庭用発電から業務用発電、さらには自動車用発電などを主体にして、改良研究や実用化研究が急速に進められている。かかる燃料電池の中でも固体酸化物形燃料電池は、発電効率が高く長期安定性にも優れることから、家庭用や業務用の電力源として期待されている。
固体酸化物形燃料電池の空気極では、酸素分子(O2)と電子(e-)から酸化物イオン(O2-)が生成し、この酸化物イオンが電解質層を通過して燃料極に達し、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)などの燃料と反応して、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)に加えて電子が生成する。よって、酸化物イオンを空気極から燃料極へ効率的に運搬して発電性能を高めるべく、電解質層の厚さを薄くすることが求められている。
しかし、厚さが薄くなるほど電解質は破損し易くなる。特に、固体酸化物形燃料電池用の平板型単セルは電圧の確保のため直列に積層されるので、電解質には多大な荷重が付加されるし、発電時と非発電における燃料極の体積変化による応力も電解質に付加される。よって、電解質に反りやウネリが存在すると、上記の荷重や応力が反り部分やウネリ部分に集中し、そこが起点となって電解質膜が破損して電池寿命が短くなるという問題がある。また、反りやウネリを有する電解質シートには、電極を正確にスクリーン印刷することが難しく、また、そのような電解質シート上に形成された電極と集電体との接触面積が低減されるという問題もある。
固体酸化物形燃料電池用の電解質シートに反りやウネリが発生する原因の一つとしては、焼成時に有機成分などの除去が不均一になることが挙げられる。そこで、電解質グリーンシートの焼成時において、アルミナを含む多孔質シートなどと交互に積層し、有機成分などの除去を均一化する技術が開発されている(特許文献1など)。
特開2007−302515号公報
上述したように、固体酸化物形燃料電池用の電解質シートを効率的に製造するために、アルミナを含む多孔質シートと電解質グリーンシートとを交互に積層して焼成することがある。また、電極支持型固体酸化物燃料電池を製造する際にも、電極支持体またはそのグリーンシートの上に電解質グリーン層を形成し、さらにその上にアルミナを含む多孔質シートを積層して焼成することもある。
しかし本発明者らは、電解質におけるウネリや反りを抑制しても、電解質に特定の不純物が混入して発電性能が貶められる場合があることを見出した。
そこで本発明は、発電性能を損なう不純物の混入量が少なく、発電性能に優れた固体酸化物形燃料電池を構成することができる電解質と、当該電解質を有する固体酸化物形燃料電池単セルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、アルミナを含む多孔質シートを用いて電解質シートを製造すると、電解質シート表面に白いすじ状の模様が生じていることを見付けた。このすじ模様を分析したところ、多孔質シートとの接触を原因とするキズではなく、SiO2を主成分とするものであり、むしろ凸状であることが分かった。この原因は、このSiO2が多孔質シートの原料であるアルミナ粉末に含まれる不純物に由来し、焼成中に多孔質アルミナシートに含まれるSiO2が電解質に移動し、電解質の酸化物イオン導電性を低下させてセルの発電性能を貶めているものと推察し、電解質シートに含まれるSiO2を低減することにより、発電性能に優れた固体酸化物形燃料電池単セルが得られることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 固体酸化物形燃料電池用の電解質であって、少なくとも一方のエッチングしない表面においてのみ、または、少なくとも一方の表面からSiO2基準で0nm超、10nm以下の深さまでエッチングした表面においてのみ、X線光電子分光法によりSi2pピークが検出されることを特徴とする電解質。
[2] スカンジウム、イットリウム、セリウムおよびイッテルビウムからなる群より選択される1種または2種以上の希土類元素の酸化物で安定化されたジルコニアからなり、エッチングしない表面においてX線光電子分光法により測定されるZrに対するSiの原子濃度比が0.05以上、0.4以下である上記[1]に記載の電解質。
[3] エッチングしない表面においてX線光電子分光法により測定されるZrに対するSiの原子濃度比に対する、表面からSiO2基準で5nmの深さまでエッチングした表面においてX線光電子分光法により測定されるZrに対するSiの原子濃度比の比が、0以上、0.3以下である上記[1]または[2]に記載の電解質。
[4] SiO2を0.0001質量%以上、0.04質量%以下含む上記[1]〜[3]のいずれかに記載の電解質。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の電解質を含むことを特徴とする固体酸化物燃料電池用単セル。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池用電解質においては、焼成時に使用されるアルミナを含む多孔質シート(以下、「アルミナ含有多孔質シート」と略記する)から表面付近に不可避的に混入するSiO2が低減されている。その結果、おそらくはSiO2を原因とする酸化物イオン伝導性の低下が抑制され、当該電解質から構成される固体酸化物形燃料電池用単セルの発電性能が改善される。よって本発明は、固体酸化物形燃料電池の性能をより一層高めるものとして、産業上極めて有用である。
図1は、後記の実施例におけるセル発電性能試験で用いた単セルスタック発電試験装置の模式図である。
本発明に係る電解質の材質は、固体酸化物形燃料電池用の電解質の材料として一般的に用いられているものであれば特に制限されないが、例えば、安定化ジルコニア、ドープトセリア、ランタンガレートなどの酸素イオン伝導性材料やプロトン伝導性材料を挙げることができる。以下、固体酸化物形燃料電池を「SOFC」と略記する場合がある。
ジルコニアを安定化するための金属化合物としては、例えば、MgO,CaO,SrO,BaOなどのアルカリ土類金属の酸化物;Y23,La23,CeO2,Pr23,Nd23,Sm23,Eu23,Gd23,Tb23,Dy23,Ho23,Er23,Yb23などの希土類元素の酸化物;Sc23,Bi23,In23などから選ばれる1種もしくは2種以上の酸化物を挙げることができる。さらに、分散強化剤として、Al23,TiO2,Ta25,Nb25などが添加されたものであってもよい。より高度の熱的、機械的、化学的特性を有する電解質を得るには、スカンジウム、イットリウム、セリウム、イッテルビウムからなる群から選ばれる1種または2種以上の希土類元素の酸化物で安定化されたジルコニアが好ましく、3〜12モル%のスカンジア、2〜10モル%のイットリアまたは3〜15モル%のイッテルビアで安定化されたジルコニアがより好ましい。安定化ジルコニアの結晶形としては、正方晶および/または立方晶が好ましい。
ドープトセリアとしては、例えば、CaO,SrO,BaO,Ti23,Y23,La23,Pr23,Nd23,Sm23,Eu23,Gd23,Tb23,Dy23,Er23,Tm23,Yb23,PbO,WO3,MoO3,V25,Ta25,Nb25からなる群より選択される1種もしくは2種以上の酸化物をドープしたセリアが例示される。
ランタンガレートは、ペロブスカイト型結晶構造を有する複合酸化物で、LaやGaの一部がそれぞれの原子よりも低原子価であるSr,Y,Mgなどによって置換固溶された化合物であり、例えば、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23など、La1-xSrxGa1-yMgy3,La1-xSrxGa1-yMgyCoz3,La1-xSrxGa1-yFey3,La1-xSrxGa1-yNiy3などが例示される。
本発明に係る電解質の材質としては、上記酸化物を単独で使用してもよいし、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明に係る電解質は、SOFC用のものであり、且つ、アルミナ含有多孔質シートをスペーサーとして用いた焼成により製造されるものであるので、単独で存在し得るシート状であるか、或いは電極支持体などの上に形成された膜状であることが好ましい。なお、本発明では、便宜上、電解質支持型セル(ESC)のための電解質を「電解質シート」といい、電極支持型セル(ASCおよびCSC)並びに金属支持型セル(MSC)のための電解質を「電解質膜」といい、セル中における電解質を「電解質層」という。
電解質支持型セル(ESC)の場合、電解質シートの厚さは特に制限されないが、例えば、50μm以上、300μm以下とすることができる。当該厚さが薄い程、SOFCの発電性能は高くなり、300μm以下であれば十分に高い発電特性が得られるといえる。一方、薄過ぎると強度に問題が生じるおそれがあり得るので、当該厚さとしては50μm以上が好ましい。当該厚さとしては、60μm以上がより好ましく、80μm以上がさらに好ましく、また、200μm以下がより好ましく、180μm以下がさらに好ましく、160μm以下が特に好ましい。
燃料極支持型セル(ASC)、空気極支持型セル(CSC)および金属支持型セル(MSC)の場合、発電性能の観点から電解質膜の厚さはより薄くすることが好ましく、例えば、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、また、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
本発明に係る電解質の形状は特に制限されず、例えば、円形、楕円形、R(アール)を持った角形など何れでもよく、これらのシート内に円形、楕円形、Rを持った角形などの穴を有するものであってもよい。例えば、一辺が25mm以上、250mm以下の角形や、直径が25mm以上、250mm以下の円形とすることができる。当該一辺長さまたは直径としては、40mm以上が好ましく、50mm以上がより好ましく、また、220mm以下が好ましく、200mm以下がより好ましい。本発明に係る電解質の平面面積(片面の面積)も特に制限されないが、実用可能な発電性能を確保するには、面積で1cm2以上、900cm2以下が好ましく、100cm2以上、500cm2以下がより好ましい。なお、上記平面面積とは、シート内に穴がある場合は、該穴の面積を含んだ外周縁で囲まれる全平面面積を意味する。
本発明に係る電解質は、少なくとも一方のエッチングしない表面においてのみ、または、少なくとも一方の表面からSiO2基準で0nm超、10nm以下の深さまでエッチングした表面においてのみ、X線光電子分光法によりSi2pピークが検出されることを特徴とする。
X線光電子分光法とは、超高真空下で試料表面にX線を照射し、光電効果により表面から真空中に放出される光電子の運動エネルギーを観測することにより、その表面の元素組成や化学状態に関する情報を得る分析方法をいう。
より具体的には、式Eb=hν−Ekin−φsp[式中、Ebは束縛電子の結合エネルギー、hνは軟X線のエネルギー、Ekinは光電子の運動エネルギー、φは分光器の仕事関数を示す]において、Ebは元素固有のものとなるので、光電子のエネルギースペクトルを解析すれば、物質表面に存在する元素の同定が可能となる。さらにピーク面積比を用いることにより各元素を定量することができる。また化学状態の違いによって各元素のピーク位置はわずかにシフトするので、そのシフト(化学シフト)から価数や結合状態の情報を得ることができる。
本発明に係る電解質は、そのグリーン体をアルミナ含有多孔質シートと接触させながら焼成することにより製造されるので、その表面および表面周辺にはSiO2が不可避的に混入するものと推察される。実際、本発明に係る電解質の表面をX線光電子分光法により分析すれば、SiO2によるSi2pピークが検出される。
但し、本発明に係る電解質は、SiO2の混入量が低減されている。具体的には、X線光電子分光法により、少なくとも一方のエッチングしない表面においてのみ、または、SiO2基準で0nm超、10nm以下の深さまでエッチングした表面においてのみ、Si2pピークが検出され、SiO2基準で10nmを超えるエッチング深さの領域からではSi2pピークは検出されない。ここで、表面からSiO2基準でエッチング深さ10nmまでの領域には、エッチングしない表面およびエッチング深さ10nmの部分も含まれるものとする。なお、本発明電解質において、SiO2はアルミナ含有多孔質シートから移行すると推察されることから、ある深さでSi2pピークが検出されなければ、反対側の表面付近に到達しない限り、それ以上の深さではSi2pピークは検出されないと判断してよい。
但し、上述したようにX線光電子分光法により物質表面に存在する元素の同定が可能になるが、実際にはX線が物質表面から数nmの領域まで侵入し得るため、10nmのエッチング深さでX線光電子分光分析を行う場合でも、深さ10nm+数nmまでの情報が得られている可能性がある。しかし照射X線が侵入する表面からの距離は、試料などにより異なり、特定することは困難であるので、本発明では、特定の深さを超える領域でSiO2が実際に存在するか否かではなく、エッチングしない表面からSiO2基準でエッチング深さ10nmまでの領域でSi2pピークがX線光電子分光法により検出されるか否かを基準としている。
上記のとおり、SiO2はアルミナ含有多孔質シートから移行するものと推察されることから、アルミナ含有多孔質シートと接触していた表面およびその周辺からのみSi2pピークは検出される。即ち、アルミナ含有多孔質シートに挟まれた状態で焼成されることにより製造された電解質シートの場合、両面の表面およびその周辺でSi2pピークが検出されるはずであり、電極支持体またはそのグリーンシート上に電解質グリーン層を形成し、その上にアルミナ含有多孔質シートを載置して焼成することにより製造されたような電解質膜の場合、アルミナ含有多孔質シートに接触していた側の表面およびその周辺のみでSi2pピークが検出されるはずである。
本発明では、表面からのエッチング深さの基準としてSiO2基準を用いる。即ち、深さ方向におけるX線光電子分光法分析は、Ar+やC60 +などのイオンを併用して深さ方向にエッチングしつつ行う。しかしこの際、イオンエッチング速度は試料の材質などにより異なるため、正確な深さの特定が難しい場合がある。そこで本発明では、被検電解質のエッチング速度がSiO2標準物質のエッチング速度と同一であると仮定して、被検電解質の分析位置の表面からのエッチング深さを特定する。なお、SiO2標準物質としては、例えば、ULVAC−PHI社製のものを用いることができる。
本発明に係る電解質に混入するSiO2は、アルミナ含有多孔質シートから移行したと推察されるため、通常、アルミナ含有多孔質シートと接触していた側の表面に最も多く存在し、反対側表面に到達しない限りは深さ方向に向かってその濃度は低くなる。よって、本発明に係る電解質は、SiO2が意図的に添加された電解質であってSiO2の濃度が全体にわたってほぼ均一であるものとは異なる。
SiO2は酸化物イオン伝導性を有さないので、本発明に係る電解質では、不可避的に混入するものではあるが、極力低減されていることが好ましい。例えば、アルミナ含有多孔質シートと接触していた少なくとも一方の平面のエッチングしない表面において、Zr、Sc、Y、Ce、Ybなど、その主成分元素に対するSiの原子濃度比が0.05以上、0.4以下であることが好ましい。一方、アルミナ含有多孔質シートを使う場合にSiO2量を過剰に低減しようとすると全体的な製造効率が低下するおそれがあり得るため、当該比としては、0.08以上がより好ましく、0.1以上がよりさらに好ましく、また、0.35以下がより好ましく、0.3以下がよりさらに好ましい。なお、当該原子濃度比は、X線光電子分光法による分析結果での各元素のピーク面積の比として算出することができる。以下、電解質の表面からのSiO2基準エッチング深さcnmにおける元素aに対する元素bの原子濃度比、即ち、X線光電子分光法による電解質の表面からのSiO2基準エッチング深さcnmにおける元素aのピーク面積に対する元素bのピーク面積の比を、「b/a−c」と表記する場合がある。
本発明に係る電解質は、X線光電子分光により、アルミナ含有多孔質シートと接触していた少なくとも一方の平面の表面からSiO2基準でエッチング深さ10nmまでの領域でのみSi2pピークが検出され、反対側平面の同領域に達しない限り、エッチング深さ10nmを超える領域ではSi2pピークは検出されない。但し、SiO2の混入量が少ないほど酸化物イオン伝導性は高く、発電性能に優れた単セルが得られるといえるので、上記領域のエッチング深さの上限としては8nmが好ましく、5nmがより好ましい。即ち、エッチング深さ8nmを超える領域でSi2pピークは検出されないことが好ましく、エッチング深さ5nmを超える領域でSi2pピークは検出されないことがより好ましい。
発電性能をより効果的に発揮できるようにするためには、エッチングしない表面においてX線光電子分光法により測定されるZrに対するSiの原子濃度比に対する、表面からSiO2基準でエッチング深さ5nmでのZrに対するSiの原子濃度比の比が、0以上、0.3以下であることが好ましい。当該比としては、0.01以上がより好ましく、0.02以上がよりさらに好ましく、また、0.25以下がより好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい。なお、電解質の表面からのSiO2基準エッチング深さd nmにおける元素aに対する元素bの原子濃度比に対する、SiO2基準エッチング深さc nmにおける元素aに対する元素bの原子濃度比の比([b/a−c]/[b/a−d])を、「b/a−c/d」と表記する場合がある。
SiO2は酸化物イオン伝導性を有さないので、本発明に係る電解質では、不可避的に混入するものではあるが、極力低減されていることが好ましい。具体的には、電解質全体に対するSiO2の割合として、0.0001質量%以上、0.04質量%以下が好ましい。本発明においては、焼成時におけるアルミナ含有多孔質シートの使用によりSiO2は不可避的に混入せざるを得ないが、当該混入量を低減する工夫が為されているため、その上限を0.04質量%とすることができる。当該混入量としては、0.0002質量%以上、0.02質量%以下がより好ましい。
上記SiO2混入量は、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法で測定することができる。具体的には、例えば、電解質を硫酸などとともに加熱して溶解させ、超純水で希釈し、その希釈液をICP発光分析装置により分析し、外部検量線法によって定量すればよい。
本発明に係る電解質は、少なくとも、電解質粉末、溶媒およびバインダーを混合することにより電解質用スラリーを得る工程;上記電解質用スラリーを基材または支持体に塗工した後に乾燥することによりグリーン体を得る工程;および、上記グリーン体をアルミナ含有多孔質シートで挟んだ状態で焼成する工程を含む方法により製造することができる。以下、本発明に係る電解質の製造方法を工程毎に説明する。
(1) スラリー調製工程
本工程では、少なくとも、電解質粉末、溶媒およびバインダーを混合することにより、電解質用スラリーを調製する。当該スラリーには、その他に、例えば可塑剤、分散剤、消泡剤などを添加してもよい。
電解質粉末は、上記の電解質材料の粉末であればよい。原料粉末の大きさは特に制限されないが、例えば、その平均粒子径が0.2μm以上、1.0μm以下となるように粉砕すればよい。粉砕方法は特に制限はなく、ボールミルやビーズミルなどによる公知の方法で行える。また、溶媒などその他の成分との混合も、ボールミルやビーズミルなどを用いて行えばよい。
また、燃料極、空気極および反応防止層を形成するためのスラリーも、同様に調製することができる。
燃料極の材料としては、一般的なSOFCの燃料極の材料を特に制限せず用いることができる。詳しくは、固体電解質材料と、導電成分材料を用いる。
固体電解質材料としては、金属酸化物をドープしたジルコニアを挙げることができる。特に、スカンジアをドープさせたScSZ、スカンジアとセリアをドープさせたScCeSZ、イットリアをドープさせたYSZ、イッテルビアをドープさせたYbSZを挙げることができる。
導電成分としては、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄など、SOFC稼働時の還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物;或いは、ニッケルフェライトやコバルトフェライトなど、これら金属酸化物を2種以上含有する複合金属酸化物が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
空気極の材料としては、一般的なSOFCの空気極の材料を特に制限せず用いることができる。詳しくは、特に限定されないが、例えば、金属、金属の酸化物、金属の複合酸化物などを用いることができる。
空気極材料としては、特に、La1-xSrxCoO3系複合酸化物、La1-xSrxFeO3系複合酸化物、La1-xSrxCo1-yFey3系複合酸化物、La1-xSrxMnO3系複合酸化物、Pr1-xBaxCoO3系複合酸化物、Sm1-xSrxCoO3系複合酸化物などを挙げることができる。ここで、0<x<1、0<y<1である。これらの中でも、La1-xSrxMnO3系複合酸化物やLa1-xSrxCo1-yFey3系複合酸化物が望ましい。
電極形成用スラリーには、さらに、カーボンブラックなどの空孔形成材を配合してもよい。
反応防止層の材料としては、一般的なSOFCの反応防止層の材料を特に制限せず用いることができる。例えば、電解質材料である安定化ジルコニアの安定化剤として挙げた金属酸化物をドープしたセリアを挙げることができる。
(2) スラリー塗工工程
本工程では、上記電解質用スラリーを基材または支持体に塗工した後に乾燥することによりグリーン体を得る。
電解質支持型セル(ESC)のために電解質シートを製造する場合には、上記電解質用スラリーをPETフィルムなどの基材に塗工した後に乾燥し、切断することにより電解質グリーンシートを得る。基材上へのスラリーの塗工方法は特に制限されず、ドクターブレード法やカレンダーロール法などの常法を用いることができる。具体的には、スラリーを塗工ダムへ輸送し、ドクターブレードにより均一な厚さとなるように基材上にキャスティングし、乾燥する。
電極支持型セル(ASCおよびCSC)並びに金属支持型セル(MSC)のため電極またはそのグリーン体の上に電解質膜を製造する場合には、上記電解質用スラリーを支持体(電極またはそのグリーン体或いは反応防止層またはそのグリーン体)に塗工した後に乾燥することにより電解質グリーンシートを得る。支持体上へのスラリーの塗工方法は特に制限されず、例えば、スクリーン印刷法などの常法を用いることができる。なお、電極支持体は、電解質シートと同様に作製することができ、金属支持型セルの場合には、金属支持体上に電極やそのグリーン体を作製すればよい。
乾燥条件は、使用した溶媒の種類などに応じて適宜調整すればよいが、通常は40℃以上、より好ましくは80℃以上で、150℃以下程度とする。乾燥は一定温度で行ってもよいし、50℃、80℃、120℃の様に順次連続的に昇温して加熱乾燥してもよい。
塗工厚さは、目的とする各層の焼結後厚さに応じて適宜調整すればよい。
グリーン体の形状や大きさは、目的のSOFCの形状や大きさに合わせて決定すればよい。或いは、例えば長尺のグリーンシートを作製した後、所望の形状や大きさに切断してもよい。
好ましくは、長尺のグリーンシートを作製した後、所望の形状に切断する。電解質グリーンシートの形状は特に制限されず、目的のSOFCの形状に合わせればよい。
(3) 焼成工程
本工程では、上記で得られたグリーン体をスペーサーであるアルミナ含有多孔質シートで挟んだ状態で焼成する。なお、当該グリーン体は、電解質シートを作製する場合は電解質グリーンシートをいい、電極支持型セルおよび金属支持型セルを製造する場合は電極やそのグリーン体と電解質グリーン体との積層体をいう。
スペーサーとして用いるアルミナ含有多孔質シートは、アルミナ粉末を原料として用いる以外、電解質シートと同様の方法で作製することができる。アルミナ含有多孔質シートを構成するアルミナの量としては、50質量%以上または60質量%以上が好ましく、80質量%以上または90質量%以上がより好ましく、95質量%以上または98質量%以上がさらに好ましい。但し、本発明では電解質へのSiO2混入量を低減することを目的としている。本発明者らは、電解質へのSiO2混入量を低減することができる条件として、アルミナ含有多孔質シートの原料アルミナ粉末として、不純物であるSiO2の量が低減されているものを用いる他、原料アルミナ粉末の平均粒子径を小さくすることを見出した。
具体的には、例えば、アルミナ含有多孔質シートの原料アルミナ粉末へのSiO2混入量を、質量基準で200ppm以下とすることが好ましい。当該量としては、100ppm以下がより好ましく、50ppm以下とすることがより好ましく、20ppm以下とすることがよりさらに好ましく、10ppm以下とすることが特に好ましい。当該量の下限は特に制限されず、少なければ少ない程良いといえるが、SiO2はアルミナへ不可避的に混入するものであるため、1ppm以上が好ましく、2ppm以上がより好ましい。
アルミナ含有多孔質シートの原料アルミナ粉末の平均粒子径としては、0.1μm以上、20μm以下とすることが好ましい。当該平均粒子径としては、10μm以下がより好ましく、5μm以下がよりさらに好ましく、2μm以下が特に好ましく、1μm以下が最も好ましい。当該平均粒子径が小さい程、電解質へのSiO2の移行量を低減できるといえるが、当該平均粒子径を過剰に小さくすると全体的な製造効率が低下するおそれがあり得るため、当該平均粒子径としては0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。なお、本発明において、原料粉末の平均粒子径は、例えば、堀場製作所製のLA−920などのレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用い、0.2質量%メタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒として測定した粒度分布から求めることができる。また、市販のアルミナ粒子が粗大なものである場合は、平均粒子径が上記範囲内になるまで粉砕などすればよい。
グリーン体をアルミナ含有多孔質シートで挟む場合、グリーン体とアルミナ含有多孔質シートとを交互に積層するなど、グリーン体の上下を2枚のアルミナ含有多孔質シートで挟むことが好ましいが、例えば、電極支持体上に電解質膜グリーン体を形成した場合、最も下に位置する電極支持体−電解質膜グリーン体は、電極支持体側を下に置き、その下にはアルミナ含有多孔質シートではなく単なるセッターを敷いても良いものとする。
焼成条件は適宜調整すればよいが、例えば、1200℃以上、1500℃以下で焼成する。1200℃以上で焼成すれば十分な焼結効果が得られ、高靭性が得られる。一方、焼成温度が高過ぎるとシートの結晶粒径が過大となって靭性がかえって低下するおそれがあるため、上限を1500℃とする。
焼成温度に至るまでの加熱速度は適宜調整すればよいが、通常、0.05℃/分以上、4℃/分以下程度とすることができる。
以上で得られた本発明に係る電解質は、その理由は明らかではないが、上記アルミナ含有多孔質シートの作製に用いる原料アルミナ粉末に不純物として混入するSiO2の量を低減することに加えて、その平均粒子径を低減することにより、SiO2混入量が低減されている。よって、酸化物イオンの伝導性に優れており、本発明電解質から作製されたSOFC用単セルは、発電性能に優れたものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: 電解質シートの作製
8YSZ粉末(東ソー社製)100質量部、溶媒としてトルエン50質量部、および分散剤としてソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤2質量部からなる混合物を、ボールミルにより粉砕しつつ混合した。当該混合物へ、バインダーとしてメタクリレート系共重合体(数平均分子量:100000,ガラス転移温度:−8℃,固形分濃度:50%)を固形分換算で20質量部と、可塑剤としてジブチルフタレート3質量部を添加し、ボールミルによりさらに混合してスラリーとした。得られたスラリーを濃縮脱泡によって粘度調整し、塗工用スラリーとした。当該塗工用スラリーを、ドクターブレード法によりPETフィルム上に塗工し、ジルコニアグリーンシートとし、当該ジルコニアグリーンシートを切断することで、ジルコニアグリーンシートを得た。
平均粒径0.6μm、SiO2含有量8ppmの原料アルミナ粉末(住友化学社製「AKP−HP」)を用い、気孔率45%のアルミナ多孔質シートを作製した。
上記アルミナ多孔質シート6枚をスペーサーとして上記ジルコニアグリーンシート5枚と1枚ずつ交互に積層し、積層体とした。この積層体を40組作製し、500℃で脱脂後、大気雰囲気下、1450℃で3時間焼成することにより、直径120mm、厚さ130μmのSOFC用電解質シート200枚を作製した。
比較例1: 電解質シートの作製
実施例1と同様の方法でジルコニアグリーンシートを得た。別途、平均粒径55μm、SiO2含有量600ppmの原料アルミナ粉末(昭和電工社製「AL−15−2」)を用い、気孔率45%のアルミナ多孔質シートを作製した。上記アルミナ多孔質シート6枚をスペーサーとして上記ジルコニアグリーンシート5枚と1枚ずつ交互に積層し、積層体とした。この積層体を40組作製し、実施例1と同様の方法で脱脂および焼成することで、SOFC用電解質シート200枚を作製した。
試験例1: Si、Zr、Al成分の分析
高性能ESCA−XPS装置(「Quantera(登録商標) SXM」Ulvac−PHI社製)を用い、実施例1および比較例1の電解質シート表面におけるSi2pピーク、Zr3dピークおよびAl2pピークを測定した。また、SiO2基準で1nm、2nm、5nm、10nmおよび12nmの深さまで電解質シートをアルゴンイオンエッチングし、各々の深さで上記と同様にしてSi2pピーク、Zr3dピークおよびAl2pピークを測定した。測定は、それぞれ200枚ずつ作製したシートから任意に3枚を選択して行った。
測定結果から平均値を算出し、さらに、各々のエッチング深さにおいてケイ素ピーク(Si2pピーク)およびアルミニウムピーク(Al2pピーク)の面積をジルコニウムピーク(Zr3dピーク)の面積で除して、ジルコニウムに対するケイ素とアルミニウムの原子濃度比を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2017162607
表1に示す結果の通り、Si含有量が比較的多く且つ比較的大きな原料粒子から作製されたアルミナシートをスペーサーとして用いて作製された電解質シートでは、表面からSiO2基準で10nmを超えるエッチング深さでもSiが検出された。
一方、Si含有量が比較的少なく且つ比較的小さな原料粒子から作製されたアルミナシートをスペーサーとして用いて作製された電解質シートでは、表面からエッチング深さ5nmまでの領域にSiが検出されたが、5nmを超えるエッチング深さでは検出されなかった。Alについても同様の傾向が見られた。
試験例2: Si量の測定
実施例1および比較例1で作製した電解質シートを濃硫酸および硫酸アンモニウムと混合し、300℃以上で加熱することにより溶解させた。さらに、超純水を加えて当該溶液を希釈した。得られた希釈液を、ICP発光分析装置(「CAP6500Duo」サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて外部検量線法により分析し、電解質シート全体に対するSiの量を測定した。結果を表2に示す。
試験例3: すじ模様発生率
実施例1または比較例1で得られた電解質シートそれぞれ200枚ずつの表面における白いすじ模様の有無を目視で観察し、すじ模様を有する電解質シートの割合を算出した。結果を表2に示す。なお、本発明者らがX線光電子分光分析法によりこのすじ模様を分析したところ、Siを多く含むものであることが確認された。
実施例2: SOFC用単セルの作製
(1)燃料極ペーストの作製
所定量の酸化ニッケル粉末、セリア粉末、ジルコニア粉末とエタノールを、5mmφジルコニアボールが入ったボールミルに投入して60回転/分で10時間湿式混合した後、これを乾燥して燃料極材料を得た。当該燃料極材料粉体100質量部に対して、バインダーとしてエチルセルロースを2質量部、溶媒としてα−テルピネオールを40質量部加え、3本ロールミルを用いて混練し、燃料極ペーストとした。
(2)空気極ペーストの作製
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83(セイミケミカル社製)80質量部と10YSZ(東ソー社製)20質量部を混合し、さらにバインダーとしてエチルセルロースを2質量部、溶媒としてα−テルピネオールを30質量部加え、3本ロールミルを用いて混練し、空気極ペーストとした。
(3)反応防止層ペーストの作製
20モル%サマリウムドープセリア(セイミケミカル社製「Ce0.8Sm0.22」)に、ポリエチレングリコール(分子量300)を35質量部加え、3本ロールミルを用いて混練し、反応防止層ペーストとした。
(4)セルの作製
実施例1の電解質シート(8YSZ,120mmφ×厚さ130μm)の片面に、スクリーン印刷により、上記燃料極ペーストを約110mmφの領域(周縁部5mmを除く)に塗布し、90℃で5時間乾燥した。次に、その反対側に、スクリーン印刷により、上記反応防止層ペーストを約110mmφの領域(周縁部5mmを除く)に塗布し、同様に乾燥した。これを1300℃で5時間焼結した。続いて、この反応防止層の上に上記空気極ペーストを同じく110mmφの形状にスクリーン印刷し、90℃で5時間乾燥後、1000℃で3時間焼結することによって、SOFC用電解質支持型単セルを得た。
比較例2: SOFC用単セルの作製
比較例1の電解質シートを用いた以外は実施例2と同様にして、SOFC用電解質支持型単セルを得た。
試験例4: セル発電性能試験
実施例2および比較例2で作製した単セルをそれぞれ使用し、図1に示す単セルスタック発電試験装置を用いて連続発電試験を行い、I−Vカーブを測定した。評価温度は800℃とした。なお、燃料ガスとしては3%加湿水素、酸化剤としては空気を使用した。また、電流測定装置には、アドバンテスト社製の商品名「R8240」を用い、電流電圧発生装置には、同じくアドバンテスト社製の商品名「R6240」を用いた。発電試験開始の初期出力密度(W/cm2)を測定した。測定結果を、試験例1の測定結果から算出した、エッチングしない表面におけるSi/Zr比(Si/Zr−0)に対するエッチング深さ5nmおよび12nmにおけるSi/Zr比の比(それぞれ、Si/Zr−5/0とSi/Zr−12/0)、および試験例2,3の結果と共に、表2に示す。
Figure 2017162607
表2に示す結果の通り、Si含有量が比較的多く且つ比較的大きな原料粒子から作製されたアルミナシートをスペーサーとして用いて作製された電解質シートでは、表面からSiO2基準で10nmを超えるエッチング深さでもSiが検出されており、SiO2含有量も多くなっていた。また、Siを多く含むすじ模様の発生率も高くなっていた。
一方、Si含有量が比較的少なく且つ比較的小さな原料粒子から作製されたアルミナシートをスペーサーとして用いて作製された電解質シートでは、表面から5nmを超えるエッチング深さではSiは検出されず、SiO2含有量も低減されていた。また、Siを多く含むすじ模様の発生率も抑制された。さらに、おそらくはSiO2に起因する酸化物イオン伝導の阻害が抑制されたため、セルの初期出力密度も改善されていた。
1:電解質シート、 2:燃料極、 3:空気極、 4:単セル、 5:燃料ガスシール部、 6:燃料極側金属セパレータ、 7:燃料ガス導入管、 8:燃料ガス排出管、 9:空気シール部、 10:空気極側金属セパレータ、 11:空気導入管、 12:空気排出管

Claims (5)

  1. 固体酸化物形燃料電池用の電解質であって、少なくとも一方のエッチングしない表面においてのみ、または、少なくとも一方の表面からSiO2基準で0nm超、10nm以下の深さまでエッチングした表面においてのみ、X線光電子分光法によりSi2pピークが検出されることを特徴とする電解質。
  2. スカンジウム、イットリウム、セリウムおよびイッテルビウムからなる群より選択される1種または2種以上の希土類元素の酸化物で安定化されたジルコニアからなり、エッチングしない表面においてX線光電子分光法により測定されるZrに対するSiの原子濃度比が0.05以上、0.4以下である請求項1に記載の電解質。
  3. エッチングしない表面においてX線光電子分光法により測定されるZrに対するSiの原子濃度比に対する、表面からSiO2基準で5nmの深さまでエッチングした表面においてX線光電子分光法により測定されるZrに対するSiの原子濃度比の比が、0以上、0.3以下である請求項1または2に記載の電解質。
  4. SiO2を0.0001質量%以上、0.04質量%以下含む請求項1〜3のいずれかに記載の電解質。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電解質を含むことを特徴とする固体酸化物燃料電池用単セル。
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