JP6694249B2 - 固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルの製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解質層に貫通孔を有さない固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルを効率的に製造するための方法に関するものである。
近年、燃料電池はクリーンなエネルギー源として注目されており、家庭用発電から業務用発電、さらには自動車用発電などのため、急速に改良研究や実用化研究が進められている。かかる燃料電池の中でも固体酸化物形燃料電池は、発電効率が良好で長期安定性にも優れるものとして家庭用や業務用の電力源として期待されている。
固体酸化物形燃料電池としては、厚さ数百μm程度の固体電解質支持基板上に各電極を形成した固体電解質支持型固体酸化物形燃料電池が主流ではある。しかし、固体酸化物形燃料電池は、カソードで発生した酸素イオンが固体電解質を透過してアノードに至り、水素などと反応して水などと電子が生じることにより発電するので、固体電解質の厚さが薄いセルほど発電能力が高いといえる。そこで、電極の一方を比較的厚くして支持基板とし、その上に数十μm以下の薄い固体電解質層を形成する電極支持型固体酸化物形燃料電池が開発されている。
電極支持型固体酸化物形燃料電池の発電効率は、上記のとおり固体電解質層が薄いことから比較的高いといえる。しかし、固体酸化物形燃料電池の電極は、その反応にガスを要することから気孔を有する多孔質なものであるので、その上に薄い固体電解質層を形成しようとすると、固体電解質層に貫通孔が発生するという問題がある。固体酸化物層に貫通孔があると、ガス同士が直接反応して発電能力が極端に低下することにもなりかねない。そこで、電極支持型固体酸化物形燃料電池の固体電解質層の貫通孔を抑制する技術が開発されている。
例えば特許文献1と特許文献2には、電極支持型固体酸化物形燃料電池の固体電解質層の貫通孔を低減するために、アノード機能層上に固体電解質層を形成するのに用いられるペースト中に含まれる凝集物の最大粒子径を10μm以下になるまで解砕する方法が開示されている。
特開2011−171124号公報 特開2012−59476号公報
上述したように、電極支持型固体酸化物形燃料電池の固体電解質層の貫通孔を抑制する技術は既に開発されている。
しかし、近年、燃料電池がいよいよ実用化されるにつれて燃料電池単セルの需要が高まっており、電極支持型固体酸化物形燃料電池のハーフセルや単セル(フルセル)でも、その製造効率をより一層改善することが求められている。
そこで本発明は、固体電解質層が薄く発電性能の高い固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルと固体酸化物形燃料電池用電極支持型単セルを、固体電解質層における貫通孔の発生を抑制しつつ高歩留りで効率的に製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、固体電解質層における貫通孔の有無と固体電解質層グリーン層の表面光沢度には密接な関係があり、高い光沢度が得られる条件を選択することにより、また、固体電解質層における貫通孔の有無を逐一検査せずともそのグリーン層の光沢度を測定するのみで貫通孔を低減できるので、固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルおよび固体酸化物形燃料電池用電極支持型単セルの全体の製造効率を高められることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルを製造するための方法であって、
電極支持基板上または電極支持基板グリーンシート上に電極機能層グリーン層を形成する工程、
上記電極機能層グリーン層上に固体電解質層グリーン層を形成する工程、
上記固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%以上である場合に、少なくとも、上記電極支持基板または電極支持基板グリーンシート、上記電極機能層グリーン層および上記固体電解質層グリーン層を有するグリーン積層体を焼成する工程を含むことを特徴とする方法。
[2] 上記電極機能層グリーン層の60°における光沢度が10%以上である場合に、上記電極機能層グリーン層上に固体電解質層グリーン層を形成する工程を含む上記[1]に記載の製造方法。
[3] 上記固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%以上である場合に、上記電極機能層グリーン層上にバリア層グリーン層を形成する工程を含む上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 固体酸化物形燃料電池用アノード支持型ハーフセルを製造するための方法であり、アノード支持基板上またはアノード支持基板グリーンシート上に固体電解質層グリーン層を形成する上記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 上記[1]または[2]に記載の方法により固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルを製造する工程、および、
上記固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルの固体電解質層の上に、他方の電極層を形成する工程を含むことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電極支持型単セルの製造方法。
[6] 上記[3]に記載の方法により固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルを製造する工程、および、
上記固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルのバリア層の上に、他方の電極層を形成する工程を含むことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電極支持型単セルの製造方法。
本発明者が見出した知見によれば、固体電解質層における貫通孔の有無と固体電解質層グリーン層の表面の光沢度には密接な関係がある。よって、光沢度の高い固体電解質層グリーン層が得られる条件を設定すれば、固体電解質における貫通孔の発生を抑制できることとなり、結果として固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルと固体酸化物形燃料電池用電極支持型単セルの製造効率を高めることができる。また、一般的に、固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルなどの電極機能層上に形成された固体電解質層の貫通孔の有無を確認するための試験には極めて手間がかかり、逐一試験をしていると全体の製造効率が低下してしまうし、固体電解質層に貫通孔があるハーフセルは廃棄せざるを得ない。しかし本発明では、固体電解質層を形成する前における簡便な光沢度測定により固体電解質層の貫通孔を抑制できる。よって、本発明方法によれば固体電解質層が薄く発電性能の高い電極支持型固体酸化物形燃料電池のハーフセルと単セルを高歩留りで効率的に製造することができるので、本発明は、固体酸化物形燃料電池の実用化をより一層促進できるものとして、産業上非常に有用である。
図1は、本発明に係るSOFC用電極支持型単セルの発電性能試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明方法を工程毎に説明する。なお、以下では固体酸化物形燃料電池用アノード支持型単セルの製造条件を代表的に説明するが、当業者であれば、原料を適宜選択するなどして、以下を参考に固体酸化物形燃料電池用カソード支持型単セルを製造することは容易である。以下、固体酸化物形燃料電池を「SOFC」と略記する。
1. アノード支持基板グリーンシートの作製工程
アノード支持基板グリーンシートは、一般的に、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末を含むスラリーを基材上に塗工した後に乾燥することにより作製する。当該スラリーは、少なくとも、安定化ジルコニア粉末、導電性成分粉末、溶媒およびバインダーを含み、その他に、例えば可塑剤、分散剤、空孔形成材、消泡剤などを添加してもよい。
アノード支持基板グリーンシートを構成する安定化ジルコニアは、イットリア、スカンジア、イッテルビアなどが固溶することにより結晶構造が安定化しているジルコニアである。当該安定化ジルコニアにおけるイットリア、スカンジアおよび/またはイッテルビアの割合、即ち固溶量としては2モル%以上15モル%以下が好ましい。当該割合が2モル%以上であれば、結晶相の安定化効果などの効果がより確実に得られる。一方、イットリア、スカンジア、イッテルビアの固溶量が過剰になると強度が低下するおそれがあり得るので、当該割合としては15モル%以下が好ましい。当該割合としては、3モル%以上12モル%以下がより好ましい。
安定化ジルコニアは、イットリア、スカンジア、イッテルビアに加えてさらに他の金属酸化物を含んでいてもよい。さらなる金属酸化物の添加により、ジルコニアシートの酸素イオン伝導性、強度、耐久性などの特性がより一層向上する可能性がある。かかる金属酸化物としては、例えば、MgO、CaO、SrO、BaOなどのアルカリ土類金属酸化物;Ce23、La23、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23などの希土類元素酸化物;Al23、In2O3などの第13族元素酸化物;SiO2、GeO2、Ge23、SnO2などの第14族元素酸化物;Bi23、Sb23などの第15族元素酸化物;TiO2などの第4族元素酸化物;Nb25、Ta25などの第5族元素酸化物などを挙げることができる。これらの中でも、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、アルミニウム(Al)およびチタン(Ti)からなる群より選択される1種以上の金属の酸化物が特に好ましい。これらその他の金属酸化物は、いずれか1種のみであってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよく、また、そのジルコニア全体に対する割合としては、0.5モル%以上2.5モル%以下が好ましい。
アノード支持基板は、アノード機能層へ水素などの燃料ガスを不均一にならないよう供給し、反応により生じる電子をインターコネクタへ受け渡し、電解質層やカソード層を支持する役割を有する。よって、アノード支持基板およびアノード支持基板グリーンシートの原料としては、安定化ジルコニア粉末に加え、発電時の還元的条件下で還元されて導電性を示す導電性成分粉末を用いる。かかる導電性成分としては、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化銅などを用いることができ、酸化ニッケルが最も一般的である。
アノード支持基板グリーンシートにおける安定化ジルコニアと導電性成分の割合は適宜調整すればよいが、例えば、安定化ジルコニアと導電性成分の合計に対する導電性成分の質量割合で40質量%以上80質量%以下程度とすることができる。
スラリー調製に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、α−テルピネオールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類などを例示することができ、これらから適宜選択して使用する。これらの溶媒は単独で使用し得る他、2種以上を混合して使用することができる。
溶媒の使用量は、グリーンシート成形時におけるスラリーの粘度を加味して調節するのがよく、好ましくはスラリー粘度が1Pa・s以上80Pa・s以下、より好ましくは1Pa・s以上50Pa・s以下の範囲となるように調整するのがよい。
スラリーを製造する際に用いられるバインダーの種類は、焼成により分解したり燃焼することで除去されるものであれば格別の制限はなく、従来から知られた有機質のバインダーを適宜選択して使用することができる。有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重合体、スチレン系共重合体、(メタ)アクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロースなどのセルロース類などが例示される。
これらの中でも特に好ましいのは、数平均分子量が5,000以上200,000以下、より好ましくは10,000以上100,000以下の(メタ)アクリレート系共重合体である。これらの有機質バインダーは、単独で使用し得る他、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。特に好ましいのは、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレートを60質量%以上含むモノマーの重合体である。
バインダーの使用量は適宜調整すればよいが、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末の合計100質量部に対して10質量部以上50質量部以下程度が好ましい。
本発明で用いる可塑剤は、グリーンシートに柔軟性を付与するために添加する。可塑剤としては、例えば、低分子可塑剤、コオリゴマー可塑剤および高分子可塑剤がある。低分子可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチルやフタル酸ジオクチルなどフタル酸エステル類を挙げることができる。コオリゴマー可塑剤および高分子可塑剤としては、ポリエステル類が挙げられる。
可塑剤の配合量は、使用するバインダーのガラス転移温度にもよるが、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末の合計100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下程度とすることが好ましい。
スラリーの調製に当たっては、固体電解質材料の解膠や分散を促進し、スラリーの流動性を増加せしめ、スラリー中での固体電解質材料の沈降を抑制するため、分散剤を添加してもよい。分散剤の配合量は、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末の合計100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下程度とすることが好ましい。
空孔形成材は、電極における気孔の形成を促進するために添加されるものであり、焼成により分解したり燃焼することで除去されるものであれば特に制限はない。従来から知られた空孔形成材としては、例えばカーボンブラックなどの炭素材料を挙げることができる。空孔形成材の配合量は、安定化ジルコニア粉末と導電性成分粉末の合計100質量部に対して5質量部以上20質量部以下程度とすることが好ましい。
上記各成分は、常法により混合すればよい。例えば、ディスパーなどを用いて混合したり、或いはボールミルなどを用いて原料粉末の凝集粒子を解砕しつつ混合してもよい。
基材上へのスラリーの塗工方法は特に制限されず、ドクターブレード法、カレンダーロール法、印刷法などの常法を用いることができる。具体的には、例えば、スラリーを塗工ダムへ輸送し、ドクターブレードやスクリーン印刷機などにより均一な厚さとなるようPETフィルムなどの基材上にキャスティングし、乾燥することにより、アノード支持基板グリーンシートとする。
塗工厚さは、目的とするアノード支持基板の厚さに応じて適宜調整すればよい。例えば、乾燥後におけるグリーンシートの厚さが70μm以上500μm以下程度になるように基材上に塗工すればよい。
使用する機器などにより所望の厚さのグリーンシートが得られない場合には、例えば、所望する厚さの1/2厚のグリーンシートを2枚作製して貼り合わせることにより所望の厚さとしてもよいし、比較的薄いグリーンシート上にスラリーを塗工することにより所望の厚さのグリーンシートを作製してもよい。
グリーンシートの乾燥条件は、使用した溶媒の種類などに応じて適宜調整すればよいが、通常は40℃以上150℃以下程度とする。乾燥は一定温度で行ってもよいし、50℃、80℃、120℃の様に順次連続的に昇温して加熱乾燥してもよい。
アノード支持基板グリーンシートは、所望の形状に切断してもよい。アノード支持基板グリーンシートの形状は特に制限されず、例えば、目的のハーフセルまたは単セルの形状に合わせればよい。例えば、円形、楕円形、R(アール)を持った角形などとすることができ、また、これらのシート内に円形、楕円形、Rを持った角形などの穴を有するものであってもよい。
アノード支持基板グリーンシートの大きさも、目的物に合わせればよいが、例えば、一辺が40mm以上400mm以下の角形や、直径が40mm以上400mm以下の円形とすることができる。当該長さまたは直径としては、70mm以上が好ましく、80mm以上がより好ましく、また、300mm以下が好ましく、250mm以下がより好ましい。
2. 焼成工程
上記アノード支持基板グリーンシートは、焼成することにより単独のアノード支持基板としてもよい。但し本発明では、この段階でアノード支持基板グリーンシートを焼成せず、その上にアノード機能層グリーン層などを形成するなどし、所望の形状に切断した上でまとめて共焼成してもよい。また、以降の工程の説明において、グリーン層の上に別のグリーン層を形成することのみが記載されていても、グリーン層を適宜焼成した上で別のグリーン層を形成してもよいものとする。以降の焼成条件は、いずれの層の焼成や共焼成にも適用することができる。
焼成条件は適宜調整すればよいが、例えば、十分量の酸素の存在下、1200℃以上1500℃以下程度で焼成する。1200℃以上で焼結すれば十分な焼成効果が得られ、十分な強度が得られる。一方、焼成温度が高過ぎると各層の結晶粒径が過大となって靭性がかえって低下するおそれがあるため、上限を1500℃とする。より好ましくは1250℃以上1450℃以下である。
焼成温度に至るまでの加熱速度は適宜調整すればよいが、通常、0.05℃/分以上4℃/分以下程度とすることができる。
本発明に係るアノード支持基板の形状や大きさは適宜決定すればよいが、例えばその厚さとしては、50μm以上300μm以下程度とすることができる。また、その形状は、正方形や長方形などの角形や、円形など、特に制限されない。角形の一辺の長さや円形の直径としては、例えば、30mm以上300mm以下程度とすることができる。当該長さおよび直径としては、50mm以上がより好ましく、70mm以上がさらに好ましく、また、200mm以下がより好ましく、150mm以下がさらに好ましい。
3. アノード機能層グリーン層の形成工程
本工程では、アノード支持基板またはアノード支持基板グリーンシートの上に、アノード機能層グリーン層を形成する。
アノード機能層グリーン層の形成方法としては、例えば、アノード機能層用ペーストを上記アノード支持基板またはアノード支持基板グリーンシートの上にスクリーン印刷などにより塗工した後に、乾燥すればよい。具体的な条件は、上記工程1と同様のものとすればよい。また、アノード機能層の組成は、アノード支持基板と同一のものとしてもよいし、異なったものとしてもよい。例えば、安定化ジルコニアのイットリア、スカンジア、イッテルビアの割合のみを違えてもよい。
本発明方法では、次工程でアノード機能層グリーン層の光沢度を測定し、測定値が所定値以上であるグリーン積層体(アノード支持基板またはアノード支持基板グリーンシートとアノード機能層グリーン層との積層体)を用い、光沢度の高いアノード機能層グリーン層の上に固体電解質層を形成することが好ましい。それにより、固体電解質層における貫通孔の発生をより一層低減することができる。よって、光沢度が高くなるようにアノード機能層グリーン層を形成することが好ましい。
例えば、光沢度は表面の凹凸が小さいほど高いと考えられるため、アノード機能層グリーン層の原料粉末を、スラリー化する前または他の成分と共にスラリー化する際に、できるだけ均一で且つ微細になるようにボールミルなどにより粉砕、解砕、混合することが好ましい。より具体的には、微細な粒子は、通常、表面積が大きいことからファンデルワールス力により凝集して二次粒子や三次粒子を形成している。かかる高次粒子を一次粒子まで解砕し、安定化ジルコニア粒子と酸化ニッケル粒子を十分に混合する。
ボールミルには大別すると乾式と湿式があるが、それぞれに利点があるため、適宜選択したり組合せたりすればよい。例えば乾式粉砕には、ボールの衝撃を粉体へ溶媒を介することなく直接伝えることができるため、粗大な粒子が含まれている粉体の解砕や、ボール等の摩耗による不純物の混入を避けたい場合、粒子を複合化させる場合に適する。一方、湿式粉砕には、粉塵の問題がなく、また、乾式粉砕よりも粉砕速度が速く微粉砕に向いているという利点がある。本発明においては、粒子の分散性と解砕した粒子が再凝集しにくく処理時間が短くて済むという点から湿式粉砕が好ましいが、乾式粉砕でも条件の工夫や時間をかけて処理することで同様のものが得られるので、湿式粉砕に限定されるものではない。
本発明においては、上記の予備粉砕の他、一次粒子に近い状態で分散している微粒子同士をよく混合して用いてもよいし、篩などにより凝集粒子を予め除去した微粒子同士をよく混合して用いてもよいが、ボールミルなどによる予備的な粉砕が最も効率的であると考えられる。
安定化ジルコニアと導電性成分の原料粒子の粉砕条件などは、ペーストに含まれる粒子に含まれる凝集粒子の有無を測定しつつ決定すればよい。例えば、ペーストに含まれる粒子の粒度分布を粒度分布計で測定し、粒度分布から把握できる平均粒子径や最大粒子径などから決定することができる。また、ペースト中に含まれる凝集粒子の最大粒子径は、グラインドメータにより測定することができる。その他、ペーストをSEMなどにより拡大観察して凝集粒子の大きさや構成などを測定することも可能であるが、粒度分布測定やグラインドメータによる測定がより効率的である。
ペースト中の凝集粒子の解砕は、上記のとおり粉砕条件を調整することの他、ペーストに配合する溶剤や分散剤の種類や量を最適化することによっても可能である。
粉砕の程度は適宜調整すればよいが、例えば、ペースト中における原料粉末の平均二次粒子径が0.1μm以上5.0μm以下程度になるようにすればよい。また、ペースト中に含まれる凝集粒子の最大粒子径は、10μm以下にすることが好ましい。
但し、原料粉末の粒度やペースト中に含まれる凝集粒子の最大粒子径を調整しても薄膜の固体電解質膜に貫通孔が生じることがあり、また、原料粉末の粒度調整には手間がかかる場合がある。それに対して本発明では、アノード機能層グリーン層の表面の光沢度を測定し、所定値以上の光沢度を示すアノード機能層グリーン層を有する積層体を選択するのみで、焼成後の固体電解質膜での貫通孔を容易に抑制することができる。また、当該光沢度の低い積層体は、焼成前であればその再利用は比較的容易である。或いは、光沢度が所定値未満のアノード機能層グリーン層を含むグリーン積層体は、焼成後の固体電解質層に貫通孔が発生する割合が比較的高くなるので、その時点で不合格品とし、以降の工程の対象から除外することで、全体の製造効率を大幅に高めることも可能である。
アノード機能層の厚さは適宜選択すればよいが、例えば、3μm以上30μm以下程度とすることができ、それに応じて、アノード機能層グリーン層の厚さは5μm以上50μm以下程度とすることができる。
4. 固体電解質層グリーン層の形成工程
本工程では、アノード機能層グリーン層上に固体電解質層グリーン層を形成する。
固体電解質層グリーン層の形成方法としては、例えば、固体電解質層用ペーストをアノード機能層グリーン層の上にスクリーン印刷などにより塗工した後に、乾燥すればよい。具体的な条件は、導電性成分と空孔形成材を用いないこと以外、上記工程1と同様のものとすればよい。また、固体電解質層の原料粉末としては、上記工程1の説明で例示した安定化ジルコニアの粉末を用いればよい。固体電解質層を構成する安定化ジルコニアは、アノード支持基板やアノード機能層を構成する安定化ジルコニアと同一のものとしてもよいし、異なったものとしてもよい。
固体電解質層の厚さは適宜選択すればよいが、例えば、1μm以上30μm以下程度とすることができ、それに応じて、固体電解質層グリーン層の厚さは1.5μm以上50μm以下程度とすることができる。
本工程においては、アノード機能層グリーン層の60°における光沢度が10%以上である場合に、当該アノード機能層グリーン層上に固体電解質層グリーン層を形成することが好ましい。その結果、当該固体電解質層グリーン層の焼成により得られる固体電解質層の貫通孔をより一層抑制することができる。
光沢度は、一般的な光沢計を用いて簡単に測定することが可能である。なお、光沢度の測定角度としては20°、45°、60°、75°、85°がJIS規格で定められており、測定角度によって光沢度は異なる。本発明では、測定範囲が広く、光沢度の測定角度として最も一般的な60°で光沢度を測定する。但し、光沢度は測定角度の大きさに比例し、ある測定角度における光沢度は他の測定角度における光沢度に換算することができる。よって本発明には、固体電解質膜での貫通孔を抑制するという目的で、60°以外の角度で光沢度を測定する態様も含まれるものとする。
上記光沢度の基準値は、60°で測定した光沢度の基準値であるが、上述したように光沢度は測定角度の大きさに比例し、ある測定角度における光沢度は他の測定角度における光沢度に換算することができるため、例えば、20°で測定した光沢度が3.5%以上である場合や、85°で測定した光沢度が15%以上である場合に固体電解質層グリーン層を形成する場合なども、60°で測定した光沢度が10%以上である場合と等価なものとして、本発明範囲に含まれるものとする。
上記光沢度が高いほど、固体電解質層における貫通孔を有効に抑制することができる。よって、上記の光沢度の基準値としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましく、30%以上がよりさらに好ましい。一方、当該光沢度の基準値の上限は特に制限されず、高いほど好ましいといえるが、安定化ジルコニアからなる固体電解質グリーン層の60°における光沢度としては80%程度が上限であると考えられる。
一方、上記光沢度が10%未満である場合には、アノード機能層グリーン層上に固体電解質層グリーン層を形成しても、焼結後の固体電解質層で貫通孔が発生する割合が高くなり、セルの製造効率が低下してしまうおそれがあり得る。よってこの場合には、アノード機能層グリーン層上に固体電解質層グリーン層を形成することなく積層体を廃棄することが好ましい。但し、少なくとも焼成前のグリーン層であれば、再利用できる可能性がある。
なお、本工程において、すべてのアノード機能層グリーン層の表面光沢度を測定する必要は必ずしもない。即ち、あるアノード機能層グリーン層の60°における光沢度が10%以上であり、そのアノード機能層グリーン層の形成条件と同条件で形成されたアノード機能層グリーン層の60°における光沢度が10%以上であると推定できる場合には、光沢度測定を行わなくてもよい場合がある。
5. バリア層グリーン層の形成工程
本工程では、固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%以上である場合に、上記固体電解質層グリーン層上にバリア層グリーン層を形成する。本工程の実施は任意であり、アノード支持基板またはアノード支持基板グリーンシート、アノード機能層グリーン層および固体電解質層グリーン層からなるグリーン積層体や、アノード支持基板、アノード機能層および固体電解質層からなるSOFC用アノード支持型ハーフセルをそのまま製品としてもよいし、これらの固体電解質層グリーン層または固体電解質層の上に、カソード層を直接形成してもよい。特に、LaSrMnOx系のカソード層を用いる場合
には、カソード層と固体電解質層との間で絶縁物が生成し難いため、バリア層を形成しない場合がある。
上記光沢度の測定値が50%以上とすることができる製造条件を設定すれば、固体電解質グリーン層の焼成により得られる固体電解質層における貫通孔の発生を顕著に抑制でき、全体の製造効率を高めることが可能になる。また、上記光沢度の測定値が50%以上であるグリーン積層体につき以降の工程を進め、50%未満のグリーン積層体は廃棄するか或いは再利用することにより、焼成後の固体電解質層における貫通孔の発生を顕著に抑制でき、全体の製造効率が高められる。さらに、当該光沢度の測定値が50%であるグリーン積層体、または当該積層体を焼成したSOFC用アノード支持型ハーフセルは、固体電解質層における貫通孔の発生が抑制されている点で、製品として価値が高い。
本工程では、上記工程4で形成された固体電解質層グリーン層の60°における光沢度を測定する。かかる測定は、上記工程4と同様に行うことができる。また、アノード機能層グリーン層と同様に、すべての固体電解質層グリーン層の表面光沢度を測定する必要は必ずしもなく、ある固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%以上であり、その固体電解質層グリーン層の形成条件と同条件で形成された固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%以上であると推定できる場合には、光沢度測定を行わなくてもよい場合がある。
また、例えば、20°で測定した固体電解質層グリーン層の光沢度が17%以上である場合や、85°で測定した同光沢度が65%以上である場合にバリア層グリーン層を形成する場合も、60°で測定した光沢度が50%以上である場合と等価なものとして、本発明範囲に含まれるものとする。
バリア層グリーン層の形成は、上記工程1と同様の条件で実施できるが、バリア層は、固体電解質とカソード層との反応を抑制するとの効果を発揮するための成分で構成する必要がある。バリア層の成分としては、例えば、Y、Sm、Gd、Nd、Pr、Sc、Gaからなる群より選択される1種または2種以上の金属にドープされたセリア、より具体的にはCe1-zz2-w(式中、MはY、Sm、Gd、Nd、Pr、Sc、Gaからなる群
より選択される1種または2種以上の金属を示し;0.05≦z≦0.4であり;0≦w<0.5である)で表される化学式で示されるものを挙げることができる。
バリア層の厚さは適宜選択すればよいが、例えば、500nm以上20μm以下程度とすることができ、それに応じて、バリア層グリーン層の厚さは700nm以上30μm以下程度とすることができる。
6. カソード層グリーン層の形成工程
本工程では、本発明方法で製造したSOFC用アノード支持型ハーフセルの固体電解質、バリア層またはそれらのグリーン層の上に、カソード層グリーン層を形成する。
本工程は、上記工程1と同様に行うことができる。但し、カソード層の材料としては、電子導電性に優れ、酸化雰囲気下でも安定なペロブスカイト型酸化物からなるものが一般的に用いられる。ペロブスカイト型酸化物は、一般的にABO3の式で表される。ペロブスカイト型酸化物のAサイトはランタノイドから選択でき、中でもLa、Pr、Sm、GdおよびNdが好ましい。また、Aサイトの一部をSr、CaまたはBaで置換したものが好ましい。ペロブスカイト型酸化物のBサイトとしてはCoが好ましいが、その一部をFeまたはMnで置換してもよい。
ペロブスカイト型酸化物の中でも、材料の入手のし易さと導電性や触媒活性が高いことから、ランタンストロンチウムコバルタイト(LaSrCoOx)、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LaSrCoFeOx)およびサマリウムストロンチウムコバルタイト(SmSrCoOx)が好ましい。具体的には、La0.6Sr0.4CoO3、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23、Sm0.5Sr0.5CoO3など、LaCoOxのランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンストロンチウムコバルタイトや、さらにコバルトの一部を鉄で置換したランタンストロンチウムコバルトフェライト、また、SmCoOxのサマリウムの一部をストロンチウムで置換したサマリウムストロンチウムコバルタイトなどが、カソード層材料として好ましい。例えば、上記ランタンストロンチウムコバルタイトフェライトとしては、一般式LaxSr1-xCo1-yFey3-δ(式中、0<x<1、好ましくは0.2<x<0.8であり、0≦y≦0.5、好ましくはy≦0.3、より好ましくはy≦0.1、さらに好ましくはy=0)を好適なものとして挙げることができる。また、カソード層に酸素イオン伝導性を付与するために、希土類などをドープしたセリアを適宜混合することもできる。
カソード層の厚さは適宜選択すればよいが、例えば、5μm以上50μm以下程度とすることができ、それに応じて、カソード層グリーン層の厚さは7μm以上75μm以下程度とすることができる。
本工程においても、固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%である場合に、カソード層グリーン層を形成することが好ましい。これにより、全体の製造効率を向上させることができる。
なお、各工程において、グリーン層を上記焼成工程2の条件により適宜焼成してもよいことは、上述したとおりである。即ち、各工程の説明においてグリーン層の上に別のグリーン層を積層することのみが記載されていても、グリーン層を適宜焼成した上で別のグリーン層を積層してもよい。また、2以上の層をグリーン層で形成しておいて、まとめて共焼成してもよいことも上述したとおりである。すべての層がグリーン層で形成されている場合には、焼成前に所望の形状に切断してもよい。
但し、固体電解質層グリーン層を形成した以降においては、固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%以上である場合に焼成を行うことにより、焼成後の固体電解質層における貫通孔の発生を顕著に抑制できる。さらに、電極機能層グリーン層の光沢度が10%以上である場合にのみ焼成を行うことにより、焼成後の固体電解質層における貫通孔の発生をより一層抑制することが可能になる。
以上で説明した本発明方法により、発電性能の向上のために固体電解質層を薄くした電極支持型固体酸化物形燃料電池のハーフセルと単セルを、固体電解質における貫通孔の発生を抑制しつつ高歩留りで効率的に製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: 本発明に係るSOFC用電極支持型ハーフセルの作製
(1) アノード支持基板グリーンシートの作製
導電性成分として酸化ニッケル(日興リカ社製「高純度酸化ニッケルF」)60質量部、骨格成分として3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製「TZ3Y」)40質量部、空孔形成材としてカーボンブラック(SECカーボン社製「SGP−3」)10質量部、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(分子量:30,000;ガラス転移温度:−8℃,固形分濃度:50質量部)30質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部、および分散媒としてトルエン/イソプロピルアルコール=3/2(質量比)の混合溶剤80質量部を、ボールミルにより混合してスラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、70℃で5時間乾燥させて、厚さ300μmのアノード支持基板グリーンシートを作製した。
(2) アノード機能層用グリーン層の形成
ポリ容器に、導電性成分として酸化ニッケル(日興リカ社製「高純度酸化ニッケルF」)60質量部、イオン伝導成分として8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製「TZ8Y」)40質量部、さらに分散媒としてエタノールを加え、ボールミルで粉砕混合してから乾燥させて、ボールミル処理したNiO/8YSZ混合粉末を得た。
試料粉末の平均粒子径(D50)を以下の条件により測定した。ピロリン酸ナトリウム十水和物(和光純薬工業社製)を水に溶解してピロリン酸ナトリウムの0.2重量%の水溶液を得、これを分散媒とした。この分散媒に試料粉末を分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「型番LA−920」)を用いて、粉体の粒子径を測定した。上記のボールミル処理では、回転時間を調整することによって、平均粒子径が0.21μmの粉末を得た。
上記ボールミル処理NiO/8YSZ混合粉末60質量部、溶剤としてα−テルピネオール(和光純薬工業社製)36質量部、バインダーとしてエチルセルロース(和光純薬工業社製)4質量部、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業社製)6質量部、および分散剤としてソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤4質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製「型式M−80S」,ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、アノード機能層用ペーストを調製した。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度を調整することによって、グラインドメータで計測される粒の大きさが10μm以下になるまで解砕混練した。グラインドメータを使った粒子径の大きさは、凝集物の最大粒子径 JIS K5400(1900)4.7.2線条法に従って測定した。具体的には、グラインドメータ(BYK社製)の溝にペーストを垂らし、スクレーバーを用いてしごき溝の中に厚さが連続して変化したペースト層とした。この際、ペースト中の凝集物による線条が3本以上現れ始めた箇所の層の厚さを読み取り、凝集物の最大粒子径とした。測定は3回行い、3回の平均値を求めた。凝集物の最大粒子径は5.3μmであった。
また、得られたペーストをエタノールに分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「型番LA−920」)を用いて、ペーストに含まれる固形分の粒子径を測定したところ、平均粒子径は0.23μmであった。
上記アノード機能層用ペーストを、上記(1)で得たアノード支持基板グリーンシート上に、スクリーン印刷により焼成後の厚さが20μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、アノード機能層用グリーン層を形成した。
(3) アノード機能層用グリーン層表面の光沢度の測定
光沢計(日本電色工業社製「VG−7000」)を用い、60°における光沢度を測定した。測定はアノード機能層用グリーン層の中央部で3回行い、平均値を求めた。
(4) 固体電解質層用グリーン層の形成
ポリ容器に、8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製「TZ8Y」)100質量部と、分散媒としてエタノールを加え、ボールミルで粉砕混合してから乾燥することによりボールミル処理した8YSZ粉末を得た。なお、このボールミル処理では回転時間を調整することによって、平均粒子径(D50)が0.24μmの粉体を得た。
上記ボールミル処理した8YSZ粉末60質量部、バインダーとしてエチルセルロース(和光純薬工業社製)5質量部、溶剤としてα−テルピネオール(和光純薬工業社製)40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業社製)6質量部、および分散剤としてソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成工業社製「イオネットS−80」)5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製「M−80S」,ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、8YSZ電解質層用ペーストを作製した。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度を調整することによって、グラインドメータで計測される粒の大きさが10μm以下になるまで解砕混練した。グラインドメータを使って測定した凝集物の最大粒子径は3.2μmであった。
また、得られたペーストをエタノールに分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「型番LA−920」)を用いて、ペーストに含まれる固形分の粒子径を測定したところ、平均粒子径は0.23μmであった。
上記(2)で得たアノード機能層用グリーン層上に、上記8YSZ電解質層用ペーストを、スクリーン印刷により焼成後の厚さが5μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、固体電解質層用グリーン層を形成した。
形成された固体電解質層用グリーン層の光沢度を、上記(3)と同様の条件で測定した。
(5) バリア層用グリーン層の形成
セラミック質として10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉末(阿南化成社製)60質量部、バインダーとしてエチルセルロース(和光純薬工業社製)5質量部、溶剤としてα−テルピネオール(和光純薬工業社製)40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業社製)6質量部、および分散剤としてソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成工業社製「イオネットS−80」)5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製「型式M−80S」,ロール材質:アルミナ)を用いて解砕することにより、バリア層用ペーストを得た。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度を調整することによって、グラインドメータで計測される粒子径の大きさが10μm以下になるまで解砕混練した。
上記(4)で得た固体電解質層用グリーン層上に、上記バリア層用ペーストをスクリーン印刷により厚さ3μm以下となるように印刷した。これを100℃で30分間乾燥させ、バリア層用グリーン層を形成した。
(6) 焼成
上記(5)で得た、アノード機能層用グリーン層、電解質層用グリーン層およびバリア層用グリーン層が形成されたアノード支持基板グリーンシートを、焼成後の1辺が60mmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、1300℃で2時間焼成してバリア層を有するSOFC用アノード支持型ハーフセルを20枚得た。
比較例1: SOFC用電極支持型ハーフセルの作製
実施例1においてアノード層用粉末のボールミル処理を行わなかったこと、即ち、アノード層用ペーストの調製において、NiO/8YSZ混合粉末の代わりに、酸化ニッケル(日興リカ社製「高純度酸化ニッケルF」)36質量部と、イオン伝導成分として8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製「TZ8Y」)24質量部の混合物を用いたこと、また、固体電解質層用粉末のボールミル処理を行わなかったこと、即ち、固体電解質層用ペーストの調整において、ボールミル処理8YSZ粉末の代わりに8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製「TZ8Y」)60質量部を用いたこと以外は同様にして、比較例1のSOFC用アノード支持型ハーフセルを20枚作製した。
試験例1: 貫通孔検出試験
12%アンモニア水(和光純薬工業社製)50mLを、開口部が100mm×100mmの匣鉢に入れた。その匣鉢の開口部を塞ぐように、実施例1または比較例1で作製したアノード支持型固体酸化物形燃料電池ハーフセルをバリア層面が上になるように載せて、周囲をOリングでシールして固定した。続いて、1.0w/v%フェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業社製)をバリア層面上に滴下して全体に薄くのばした後、アスピレータを用いてバリア層面側を減圧状態にした。そして、匣鉢中のアンモニアが電解質層とバリア層を通過し、バリア層面上のフェノールフタレインが呈色反応を起こし赤色に変化した場合、固体電解質層およびバリア層に貫通孔が存在すると評価した。結果を表1に示す。表1中の「歩留り」は、作製した20枚のSOFC用アノード支持型ハーフセルのうち貫通孔が検出されなかったものの割合である。
Figure 0006694249
表1に示す結果のとおり、アノード機能層グリーン層と固体電解質層用グリーン層の表面光沢度を測定し、それぞれが所定値以上である場合に次工程に進んだ場合には、固体電解質層およびバリア層における貫通孔の発生を顕著に抑制でき、SOFC用アノード支持型ハーフセルを高歩留りで効率的に製造できることが明らかとなった。
実施例2: 本発明に係るSOFC用電極支持型単セルの作製
市販のLa0.6Sr0.4CoO3粉末100質量部に対して、バインダーとしてエチルセルロースを3質量部、溶剤としてα−テルピネオールを30質量部の割合となるように加え、乳鉢を用いて混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製「型式M−80S」,ロール材質:アルミナ)を用いて混練し、カソード層用スラリーを得た。
得られたカソード層用スラリーを、上記実施例1で得たアノード支持型ハーフセルのバリア層面に、スクリーン印刷により10mm×10mmに塗布し、90℃で1時間乾燥させ、カソード層用グリーン層を形成した。このカソード層用スラリーを塗布したアノード支持型ハーフセルを1050℃で2時間焼成し、SOFC用電極支持型単セルを得た。
試験例2: 発電性能試験
以下の評価条件で、上記実施例2で作製した単セルの発電試験を実施した。
先ず、以下のガスをアノードとカソードへ供給しつつ、100℃/時間の昇温速度で測定温度である750℃まで昇温した。
・アノードガス流量: N2 100mL/min
・カソードガス流量: Air 100mL/min
昇温後、アノードおよびカソードそれぞれにおける出口側ガスの流量を流量計で測定し、漏れが無いことを確認した。
次いで、以下のガスをアノードとカソードへ供給した。
・アノードガス流量: H2/N2=6/94 合計200mL/min
・カソードガス流量: Air 200mL/min
15分以上経過後に起電力が発生し、ガスの漏れが無いことを再度確認した後、測定条件と同一の以下のガスをアノードとカソードへ供給した。
・アノードガス流量: H2O/H2=5.5/94.5 合計200mL/min
・カソードガス流量: Air 200mL/min
起電力が安定してから15分以上経過後に電流密度を増加させて電圧の変化を測定した。結果を図1に示す。
図1に示す結果のとおり、本発明に係るSOFC用電極支持型単セルは、例えば電流密度1.0A/cm2の時に電圧が0.90Vと、優れた発電性能を示すことが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルの製造方法であって、
    電極支持基板上または電極支持基板グリーンシート上に電極機能層グリーン層を形成する工程、
    上記電極機能層グリーン層上に、事前に粉砕処理した安定化ジルコニア粉末を含む固体電解質層グリーン層を形成する工程、および、
    上記固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%以上である場合に、少なくとも、上記電極支持基板または電極支持基板グリーンシート、上記電極機能層グリーン層および上記固体電解質層グリーン層を有するグリーン積層体を焼成する工程を含む製造方法。
  2. 上記電極機能層グリーン層の60°における光沢度が10%以上である場合に、上記電極機能層グリーン層上に固体電解質層グリーン層を形成する工程をさらに含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記固体電解質層グリーン層の60°における光沢度が50%以上である場合に、上記固体電解質層グリーン層上にバリア層グリーン層を形成する工程をさらに含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 固体酸化物形燃料電池用アノード支持型ハーフセルを製造するための方法であり、アノード支持基板上またはアノード支持基板グリーンシート上に固体電解質層グリーン層を形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の方法により固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルを製造する工程、および、
    上記固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルの固体電解質層の上に、他方の電極層を形成する工程を含む固体酸化物形燃料電池用電極支持型単セルの製造方法。
  6. 請求項3に記載の方法により固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルを製造する工程、および、
    上記固体酸化物形燃料電池用電極支持型ハーフセルのバリア層の上に、他方の電極層を形成する工程を含む固体酸化物形燃料電池用電極支持型単セルの製造方法。
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