JP2014067565A - 固体酸化物形燃料電池、その製造方法及び発電方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池、その製造方法及び発電方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明はアンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池として好適なスカンジア安定化ジルコニア固体電解質を有する固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、固体電解質の一方側に燃料極を、他方側に空気極を、備え、該燃料極にアンモニアを供給し、該空気極に酸化性ガスを供給し、発電する固体酸化物形燃料電池において、該固体電解質がスカンジア安定化ジルコニアであり、かつ、残留ポアの面積率が0.4%以下であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池、その製造方法及び発電方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池に関するものである。詳しくは、スカンジア安定化ジルコニアを固体電解質に用いたアンモニア(NHと記載することもある)を燃料とする固体酸化物形燃料電池である。
従来、固体酸化物形燃料電池の固体電解質として、酸素イオン導電体であるイットリア安定化型ジルコニアが広く検討されている。しかし、イットリア安定化ジルコニアは、高い酸素イオン導電性を得るには高温に保持することが必要となり、よって作動温度を高めなければならないという問題があった。そこで、比較的低い温度でも優れたイオン導電性を示す固体電解質材料として、酸化スカンジウム(スカンジア)で安定化したジルコニアも検討されている。
しかし、スカンジア安定化ジルコニアは、機械的強度がイットリア安定化ジルコニアよりも若干劣るため、十分な強度を確保するためには厚みを厚くしなければならないという問題がある。そのため、このような問題を解決する方法として、例えば、固体成分の平均粒子径が0.15〜0.5μm、90体積%径が0.6〜1.5μmであるスラリーを使用し、一定の成形をしてから焼結することにより、グレインサイズの平均値が0.1〜0.6μm、その変動係数が50%以下である緻密質のスカンジア安定化ジルコニア固体電解質を得る方法(特許文献1)が提案されている。また原料となるジルコニア粉体の粒子径を変えて強度を持たす技術も提案されている(特許文献2)。
特開2003−20272号 特開2011−204398号
上記のようにスカンジア安定化ジルコニア固体電解質の機械的強度を向上させるには、緻密性を向上させることが有効である。緻密性を向上させる手段としてスラリー中のジルコニア粉末の粗粒子の含有量をより低減させる技術がある。粗粒子を減らすためにはスラリー中のジルコニア粉末を充分に粉砕する必要があり、粉砕時間を長くすると微粒子含有量が増加し得られる固体電解質は強度を向上させることはできるが、得られる固体電解質に残留ポアが増加する傾向がある。特に、スカンジア安定化ジルコニア粉末は、従来、多用されているイットリア安定化ジルコニア粉末よりも反応性が高く、微粉末の活性がより高いため、残留ポアの増加がより顕著である。
燃料電池の燃料としてアンモニアを用いる場合、これらの残留ポア(細孔)があると、燃料であるアンモニアが固体電解質を抜け反対側にある空気極に到達し、空気極の材料が変質する、燃焼してNOxが発生するなど、通常の水素を燃料とする燃料電池では問題とならない現象等を生じ、結果的に電池の効率や耐久性を低下させることになり好ましくない。すなわち、燃料であるアンモニアの特殊性を考慮し固体電解質を独自に設計することが望まれる。
本発明は、アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池に用いる固体電解質の緻密性を向上させ、更に強度も向上させる技術を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池においてスカンジア安定化ジルコニア固体電解質を用いる場合、該電解質の残存ボアを一定量未満にすることにより良好な性能となることを見出し発明を完成するに至ったものである。
第一発明は、固体電解質の一方側に燃料極を、他方側に空気極を備え、該燃料極にアンモニアを供給し、該空気極に酸化性ガスを供給し、発電する固体酸化物形燃料電池において、該固体電解質がスカンジア安定化ジルコニアであり、かつ、残留ポアの面積率が0.4%以下であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池である。
ここで、前記の残存ポアの面積率とは、該固体電解質を研磨した表面を走査型電子顕微鏡で観察して画像処理により、視野内の気孔の面積率を求めたものである。
第二発明は、該固体酸化物形燃料電池の製造方法である。
前記固体電解質の製造方法が、スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒およびバインダーを含む原料を混合してスラリーを調整する工程;
得られたスラリーを成形し、乾燥する工程;
乾燥後、焼成する工程;
を含む製造方法であって、かつ、該スカンジア安定化ジルコニア粉末として、90体積%径(D90)が0.3μm以上1.0μm以下、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるものを用いることを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法である。又は、前記固体電解質の製造方法が、スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒およびバインダーを含む原料を混合してスラリーを調整する工程;
得られたスラリーをテープキャスティング法によりシート状に塗工し、乾燥してグリーンシートとする工程;
グリーンシートを焼成する工程;
を含む製造方法であって、かつ、該スカンジア安定化ジルコニア粉末として、90体積%径(D90)が0.3μm以上1.0μm以下、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるものを用いることを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法である。
さらに、該固体酸化物形燃料電池の製造方法の好ましい形態としては、該スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積が8m/g以上13m/g以下であること、また、該スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)と90体積%径(D90)との比(D90/DSA)が3以上12以下であることである。
原料粉末として、上記スカンジア安定化ジルコニア粉末を用いることにより、原料の段階で粗粒子(約1.0μm以上の粒子)の含有量が少ないため、スラリー調整時の粉砕時間を短縮することができる。また、原料の段階で微粒子の含有量が少なく、かつ、上記のように粉砕時間を短縮できるため、さらなる微粒子の増加も抑制することができる。よって、調整後のスラリー中の微粒子含有量を低減できるため、得られる固体電解質中の残留ポアを低減することができる。
該スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)と90体積%径(D90)の比(D90/DSA)は3以上12以下であることが好ましい。前記比(D90/DSA)が上記範囲内であれば、脱脂時の有機物分解ガスの抜け道が確保され、焼成後の電解質中の残留ポアがより低減される。また、前記スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積は8m/g以上13m/g以下であることが好ましい。前記BET比表面積が上記範囲内であれば、スラリーの成形性が良好となる。
第三発明は、該固体酸化物形燃料電池の燃料極にアンモニアを導入しかつ空気極に空気を導入することを特徴とする発電方法である。
本発明によれば、アンモニアを燃料とするのに好適な残留ポアが低減されたスカンジア安定化ジルコニアを固体電解質に用いた固体酸化物形燃料電池を得ることができる。
図1は、本発明に用いるスカンジア安定化ジルコニア粉末の粒度分布と、従来品であるスカンジア安定化ジルコニア粉末の粒度分布を、示すものである。
第一発明は、固体電解質の一方側に燃料極を、他方側に空気極を備え、該燃料極にアンモニアを供給し、該空気極に酸化性ガスを供給し、発電する固体酸化物形燃料電池である。
基本骨格は、燃料極、固体電解質、空気極によって構成される燃料電池である。他に燃料導入部分、空気導入部分、集電部分などにより構成される。
(固体電解質)
本発明に用いる固体電解質について説明する。該固体電解質は、スカンジア安定化ジルコニアであり、かつ、残留ポアの面積率が0.4%以下である。好ましくは残留ポアの面積率が0.01〜0.35%の範囲内であり、0.1〜0.25%の範囲内が更に好ましい。0.4容量%を超えると範囲内であるときは、該固体電解質を使用した燃料電池で燃料としてアンモニアを使用した場合にアンモニアが固体電解質を抜け反対側にある空気極に到達し、燃料電池の性能低下につながるため好ましくはからである。
(スカンジア安定化ジルコニア)
本発明の固体電解質であるスカンジア安定化ジルコニアとは、安定化剤としてScを含むジルコニアをいい、3モル%以上、15モル%以下、好適には6モル%以上、12モル%以下、さらに好適には7モル%以上、11モル%以下のScで安定化されたジルコニアを用いる。本発明のスカンジア安定化ジルコニアは、Scを含むものであれば、その他の安定化剤を含むものであってもよい。Sc以外の安定化剤としては、MgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物;La、CeO、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Y等の希土類金属酸化物;SiO、TiO、Al、Bi、In等その他の金属酸化物を挙げることができる。特に、Scと共に、0.01質量%以上、5質量%以下程度のCeO、Al、Gd、TiO、Biを含むスカンジア安定化ジルコニアが好適である。
スカンジア安定化ジルコニアとしては、その結晶形が立方晶系および/または菱面体晶系のものを用いることが好ましく、立方晶系がより好ましい。一般に、ジルコニアの結晶形としては、単斜晶、正方晶、立方晶、菱面体晶がある。ジルコニアの結晶形は温度に応じて変化するが、上記安定化剤の添加量によっても変化する。例えば、安定化剤がスカンジアの場合、3モル%以上、7モル%以下程度添加されたジルコニアは正方晶を主体とする部分安定化ジルコニアであり、7モル%以上、15モル%以下程度添加されたジルコニアは立方晶または菱面体晶を主体とする完全安定化ジルコニアとなる。さらに、立方晶を安定させるために、CeO、Al等の第3成分を添加してもよい。なお、完全安定化ジルコニアを、単に安定化ジルコニアということもある。
本発明の固体電解質に用いるスカンジア安定化ジルコニア粉末の90体積%径(D90)は、0.3μm以上、1.0μm以下であることが好ましい。D90が1.0μmを超えると、スカンジア安定化ジルコニア粉末の凝集体が大きくなってしまい、得られる固体電解質を緻密化し難くなる。一方、D90が0.3μm未満では、相対的に微粒子の含有量が多くなるため、固体電解質の残留ポアが増加する。該D90は、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.6μm以上であり、より好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下である。
前記スカンジア安定化ジルコニア粉末の50体積%径(D50)は、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.3μm以上であり、0.7μm以下が好ましく、より好ましくは0.6μm以下である。該D50が上記範囲内であれば、スカンジア安定化ジルコニア粉末の焼結性がより良好となる。
前記スカンジア安定化ジルコニア粉末の10体積%径(D10)は、0.09μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上であり、0.6μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.4μm以下である。該D10が上記範囲内であれば、スカンジア安定化ジルコニア粉末中の微粒子が少ないため、焼結時の初期段階で活性の高い微粒子によって不均一に局所的な焼結が生じることが低減でき、得られる固体電解質の残留ポアをより低減できる。
前記スカンジア安定化ジルコニア粉末の90体積%径と50体積%径との比(D90/D50)は、1.2以上、2.1以下である。該比(D90/D50)が上記範囲内であれば、グリーンシート内のスカンジア安定化ジルコニア粉末が、粒子間に適度な空隙を持ちながらほぼ均一に整列するようになるため、グリーンシートを脱脂する際に、有機物の分解ガスを良好に抜け去らせることができ、また、焼結性がより良好となる。該比(D90/D50)は、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.9以下である。前記スカンジア安定化ジルコニア粉末の90体積%径と10体積%径との比(D90/D10)は、2.2以上が好ましく、より好ましくは2.4以上であり、3.4以下が好ましく、より好ましくは3.2以下、さらに好ましくは3.0以下である。
本発明において、50体積%径とは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−920」)により測定し、各々粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積に対して50体積%となる粒子径の値である。また、同様に90体積%径および10体積%径は、それぞれ粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積に対して90体積%または10体積%となる粒子径の値である。
前記スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積は、8m/g以上が好ましく、より好ましくは9m/g以上であり、13m/g以下が好ましく、より好ましくは12m/g以下である、BET比表面積が上記範囲内であれば、スラリー粘度が高くなって成形性がより向上する。
前記スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)は、0.08μm以上が好ましく、より好ましくは0.09μm以上であり、0.13μm以下が好ましく、より好ましくは0.12μm以下である。前記DSAが上記範囲内であれば、スカンジア安定化ジルコニア粉末の活性が高くなるため、比較的低い温度で焼成しても高い緻密性を達成できる。ここで、BET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)とは、スカンジア安定化ジルコニア粉末の一次粒子の平均粒子径に相当するものであり、スカンジア安定化ジルコニア粉末の比表面積(SA)と密度(ρ)を用いて下記式により算出される値である。
Figure 2014067565
また、該スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)と90体積%径(D90)の比(D90/DSA)は3以上が好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上であり、12以下が好ましく、より好ましくは11以下である。前記比(D90/DSA)が上記範囲内であれば、グリーン体中のスカンジア安定化ジルコニア粉末は、粒子間の相互作用によってほぼ均一な大きさで、凝集力の弱い凝集体を形成する。このような凝集体を形成することで、粒子間に適度な空隙が形成され、グリーン体を脱脂する際に、有機物の分解ガスを良好に抜け去らせることができるため、得られる個体電解質の残留ポアをより低減できる。
なお、スカンジア安定化ジルコニア粉末の粒度分布は、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジェットミル等を用いた粉砕;サイクロン型分級機等を用いた分級;等を組合せて調整できる。また、所望とする粒度分布を有するスカンジア安定化ジルコニア粉末市販品を用いてもよい。
スラリーの原料粉末には、本発明の効果を損なわない程度に、アルミナ、チタニア、シリカ、酸化ニオブ、酸化タリウム、酸化イッテルビウム、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化ビスマス等からなるその他のセラミックス粉末を用いてもよい。その他のセラミックス粉末の使用量は、原料粉末の総和に対して0.01質量%以上、5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上、3質量%以下がより好ましい。
(固体電解質の製造方法)
本発明の固体電解質製造方法は、スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒およびバインダーを含むスラリー原料を混合してスラリーを調整する工程;得られたスラリーを用いて成形体を形成し、乾燥してグリーン体とする工程;グリーン体を焼成する工程;を含む。以下、これらの各工程について詳細に説明する。なお、燃料電池に用いる固体電解質の形体に応じて、適宜、シート状、一方を塞いだ円筒状などに成形することができる。
特にシート状の場合には、該スラリーを調整した後、得られたスラリーをテープキャスティング法によりシート状に塗工し、乾燥しグリーンシートとする工程を経て、該グリーンシートを焼成する工程、により固体電解質を得ることかできる。
(スラリーの調整)
まず、スラリーを調整する工程について説明する。該工程では、スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒、バインダー等を混合してスラリーを調整する。
該スカンジア安定化ジルコニア粉末としては、90体積%径(D90)が0.3μm以上1.0μm以下、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるスカンジア安定化ジルコニア粉末を用いる。
スラリーに用いられるバインダーの種類は特に制限されず、従来公知の有機質バインダーを適宜選択して使用することができる。有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重合体、スチレン系共重合体、(メタ)アクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロース等のセルロース類等が例示される。これらの中でも、グリーン体の成形性や打抜き加工性、強度、焼成時の収縮率バラツキを抑制する観点から、熱可塑性で且つ数平均分子量が20000〜250000、より好ましくは50000〜200000の(メタ)アクリレート系共重合体が好ましいものとして推奨される。
バインダーの使用量は、原料および/またはスラリー中のスカンジア安定化ジルコニア粉末の粒子径によって異なるが、原料粉末100質量部に対して5質量部以上が好ましく、より好ましくは10〜30質量部の範囲内であり、さらに好ましくは10〜20質量部の範囲内である。バインダーの使用量が不足すると、グリーン体の成形性が低下し、また、強度や柔軟性が不十分となり得る。逆に多過ぎる場合は、スラリーの粘度調節が困難になるばかりでなく、脱脂・焼結時のバインダー成分の分解放出が多く且つ激しくなって収縮率のバラツキも大きくなり、寸法安定性が低くなるおそれがある。また、バインダーの熱分解が不十分となり、バインダー成分の一部が残留カーボンとして残存し易くなる。
スラリー用の溶媒としては、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール類;アセトンや2−ブタノン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類等が挙げられ、これらから適宜選択して使用する。これら溶媒は単独で使用し得る他、2種以上を適宜混合して使用することができる。これら溶媒の使用量は、グリーン体成形時におけるスラリーの粘度を加味して調節するのがよい。好適なスラリー粘度は0.5〜50Pa・sの範囲内であり、より好ましくは1〜20Pa・sの範囲内である。
スラリーの調製に当たっては、原料粉末の分散を促進するため、分散剤を用いることが好ましい。分散剤としては、ポリアクリル酸やポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質;α−オレフィン・無水マレイン酸共重合物の部分エステル;クエン酸や酒石酸等の有機酸;イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩あるいはアミン塩;ブタジエンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩等を挙げることができる。
また、スラリーの成形性を高めるために、可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤としては、フタル酸ジブチルやフタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類;プロピレングリコール等のグリコール類やグリコールエーテル類;フタル酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル等のポリエステル類を挙げることができる。さらに、界面活性剤や消泡剤等を必要に応じて添加することができる。
スラリーは、上記成分を適量混合することにより調製する。その際、原料粉末の微細化や粒子径を均一化するために、ボールミル等により粉砕しつつ混合してもよい。 なお、スラリー調整時にボールミル等により粉砕を行いつつ混合する場合には、原料粉末を粉砕しすぎないようにする必要がある。原料粉末を粉砕しすぎると微粒子が増加してしまい、得られる固体電解質の残留ポアが増加するおそれがある。そのため、調整後のスラリー中の原料粉末の50体積%径(D50)は、0.2μm以上が好ましく、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.4μm以上であり、0.7μm以下が好ましく、より好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。前記D50が上記範囲内であれば、スカンジア安定化ジルコニア粉末の焼結性がより良好となる。
スラリー中の原料粉末の10体積%径(D10)は、0.2μm以上が好ましく、より好ましくは0.22μm以上、さらに好ましくは0.25μm以上であり、0.4μm以下が好ましく、より好ましくは0.35μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。該D10が上記範囲内であれば、スカンジア安定化ジルコニア粉末中の微粒子が少ないため、焼結時の初期段階で活性の高い微粒子によって不均一に局所的な焼結が生じることが低減でき、得られる固体電解質の残留ポアをより低減できる。
スラリー中の原料粉末の90体積%径と50体積%径との比(D90/D50)は、1.4以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.55以上であり、2.2以下が好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.9以下である。スラリー中の原料粉末の90体積%径と10体積%径との比(D90/D50)は、2.15以上が好ましく、より好ましくは2.25以上、さらに好ましくは2.35以上であり、3.4以下が好ましく、より好ましくは3.2以下、さらに好ましくは3.1以下である。
(グリーン体の成形)
前記工程により得られたスラリーを所望の形状に成型し乾燥する工程について説明する。具体的に手順を示すためにシート状に成形する例を用いてグリーン体の成形方法を示す。
シート状のグリーン体、すなわち、グリーンシートを成形する場合、得られたスラリーを用いてテープキャスティング法によりシート状に塗工し、乾燥してグリーンシートとすることが好ましい。
ここで、テープキャスティング法とは、原料粉末を含んだスラリーをシート状に塗工する方法であり、例えば、ドクターブレード法が挙げられる。塗工されたスラリーを乾燥することにより、グリーンシートとする。乾燥条件は特に制限されず、例えば室温〜150℃の一定温度で乾燥してもよいし、50℃、80℃、120℃の様に順次連続的に昇温して加熱乾燥してもよい。
ここで、本発明の製造方法では、グリーンシートを加工する工程を含んでもよい。グリーンシートの加工方法としては、打抜き若しくは切断加工が挙げられる。加工後のグリーンシートの形状としては、円形、楕円形、角形、R(アール)を持った角形等何れでもよく、これらのシート内に同様の円形、楕円形、角形、Rを持った角形等の穴を1つもしくは2つ以上有するものであってもよい。グリーンシートの厚みも特に制限されるものではないが、例えば35μm以上、1000μm以下程度とすることができる。また、平面面積も特に制限されるものではなく、例えば、1.5cm以上、2000cm以下程度にすることができる。
グリーンシートの表面粗さは、使用する原料粉末やスラリーの粒度分布等にも依存するが、必要に応じて表面粗さを調整することができる。その方法としては、例えば、粗化したPETフィルム上にキャスティングしたり、キャスティング後に表面を粗くした粗化用シートあるいは金型をグリーンシートに押圧すればよい。なお、グリーンシートの表面粗さとしては、一般的には、Raで0.01μm以上、6μm以下の範囲が好適である。
(グリーン体の焼成)
グリーン体を焼成する工程では、上記のようにして成形されたグリーン体を焼成し、固体電解質とする。
焼成の条件は特に制限されず、常法によればよい。例えば、グリーン体からバインダーや可塑剤等の有機成分を除去するために100℃〜400℃、好ましくは150℃〜300℃で2時間〜50時間程度処理する。次いで、1300℃〜1600℃、好ましくは1350℃〜1500℃で2時間〜10時間保持焼成することによりグリーン体を焼結することができる。
なお、グリーン体を焼結すると体積が収縮するので、目的物の形状よりも10〜30%程度大きなグリーン体を製造することが必要である。 また、本発明方法により製造される固体電解質は、非常に緻密質のものである。具体的には、相対密度(アルキメデス法で測定した密度/理論密度)が、99%以上である。本発明の固体酸化物形燃料電池の製造方法としては、常法を用いることができる。即ち、固体電解質の一方の面に燃料極、他方の面に空気極を形成し、また、必要に応じて、電解質材料と燃料極材料または空気極材料との反応を防止するために、電解質の一方の面または両方の面に中間層を形成する。また、電解質と燃料極、空気極または中間層との接合力を高め電解質からの剥離を防止するために、電解質の表面にアンカー効果を付与する表面粗さをもたせることが好ましい。
(燃料極)
燃料極材料としては、一般的に、Ni、Co、Ru等と安定化ジルコニアおよびセリア酸化物のサーメットが好適に使用される。好ましくは、Niと9〜12モル%スカンジア安定化ジルコニアからなるサーメットである。これら燃料極材料を、エチルセルロース等のバインダー、α−テルピネオール等の溶剤とともに混練して燃料極ペーストとするか、或いはミリングして燃料極スラリーとし、これをスクリーン印刷法、コーティング法等で電解質に塗布・乾燥・焼成することで燃料極を形成することができる。
(空気極)
空気極材料としては、LaMnO、LaCoOやLaFeOを基本構造とするペロブスカイト型構造酸化物、さらには、これらペロブスカイト型構造酸化物に安定化ジルコニアおよび/またはセリア酸化物が添加された混合物を挙げることができる。好ましくは、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8またはLaNi0.6Fe0.4に9〜12モル%Sc安定化ジルコニアを加えた混合物が使用される。上記燃料極の場合と同様に、空気極ペーストあるいは空気極スラリーを調製し、電解質シートの燃料極と反対の面に、スクリーン印刷法、コーティング法等で被覆・乾燥・焼成することで空気極を形成することができる。
(固体酸化物形燃料電池用セル)
本発明にかかる固体酸化物形燃料電池用セルは、本発明にかかる固体電解質の片面に燃料極を形成し、該固体電解質の他面に空気極を形成することにより得られるものである。燃料極および空気極は上記の手順により固体電解質の両面に各々形成されることにより固体酸化物形燃料電池用セルとなる。
固体酸化物形燃料電池用セルにおいて、本発明の固体電解質では、従来のものよりも残存ポアが少ないことから、燃料であるアンモニアのクロスリークがほとんどなく、本発明に係る固体酸化物形燃料電池はアンモニアを燃料とした場合に、十分な初期発電性能を有する上に、長時間発電しても性能の低下が少ないという優れた特性を有する。
なお、本発明ではアノード中のニッケル成分はすべて酸化ニッケルと表示しているが、実際の燃料電池作動中のセルでは酸化ニッケルは還元されて金属ニッケルになっていることは言うまでも無い。
(発電方法)
本発明にかかる固体酸化物形燃料電池の燃料極にアンモニアを供給し、かつ、空気極に空気を供給することにより発電することができる。燃料極に導入する燃料はアンモニアであり、アンモニアの濃度は100容量%であっても良いが、燃料極の反応に不活性なガスあるいは、水素と混合して使用することもできる。混合できる不活性なガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムであり、その混合量は特に限定されないが、燃料極に導入するガスに対して1〜50容量%の範囲内が好ましい。また、水素を混合する場合のその混合量は特に限定されないが、燃料極に導入するガスに対して1〜90容量%の範囲内が好ましく、更に好ましくは5〜50容量%の範囲内である。
空気極に導入するガス、酸素を含むものであれば何れのものであっても良く、酸素、空気を用いることができるが、空気極の反応に不活性なガスであれば酸素等と混合し使用することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。説明の便宜上、固体電解質はシート状のものを用いて説明する。また、スカンジア安定化ジルコニア粉末はScZr粉末と略す。
(評価方法)
(1−1.原料粉末の粒度測定)
堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」を用い、蒸留水中に分散剤として0.2質量%のメタリン酸ナトリウムを添加した水溶液を分散媒とした。該分散媒の約100cm中に粉末を0.01〜0.5質量%添加し、3分間超音波処理して分散させた後に、体積基準の粒度分布を測定した。
(1−2.スラリー中の原料粉末の粒度測定)
調整後のスラリーを一部採取し、トルエンで希釈した後、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」を用いて、体積基準の粒度分布を測定した。
(1−3.比表面積の測定)
吸着分子として窒素を用い、BET法により粉末の比表面積を測定した。測定機器としては、マウンテック社製のマックソーブHM−1210型を用いた。測定は一試料につき3点行い、その平均値を比表面積とした。
(1−4.残留ポアの測定)
シート状の電解質を樹脂に埋め、埋没している電解質断面が表面に露出するまで研磨した。その後、徐々に微細な研磨剤に置き換えて研磨してゆき、最後は0.05μmのアルミナ研磨剤で仕上げた。表面を洗浄後、Pt蒸着して走査型電子顕微鏡で全視野が電解質の断面となるように、写真(5千〜2万倍)を20枚撮影した。各写真について、画像処理により、視野内の気孔の面積率を求めて残留ポア(%)とし、20枚の平均値を求めた。
(1−5.ガスリーク試験)
シート状の電解質の両面にシール材および金属セパレータを配置して、電気炉中に入れて950℃に加熱した。これにより、固体電解質の両面の周縁部領域と、金属セパレータとを接合して、評価用スタックを作製した。該シール材は、シリカ−アルミナ−酸化カリウム系ガラスのシート成形体を使用した。このシート成形体は、組成SiO(50質量%)−Al(18質量%)−KO(12質量%)−ZnO(12質量%)−NaO(8質量%)からなる平均粒径20μmのガラス粉体をPVA水溶液に混合して得たスラリーを用い、ドクターブレード法によりシート状に成形したものである。
電気炉中の前記評価用スタックの両側のガス導入管とガス排出管とをガス流通系に接続して、温度を200℃/hrの速度で上げた。所定の温度に達した時点から両方に空気を導入しながら1時間保持した後、200℃/hrの速度で降温し、200℃より低い温度へは12時間かけて炉冷した。この単位を1熱サイクルとし、繰返し実施した。導入空気流量はそれぞれ2NL/分であり、1熱サイクル後、10熱サイクル後、30熱サイクル後の両側のそれぞれの排出空気流量を測定し、ガスリーク率を算出した。
(1−6.セル発電性能試験)
燃料電池セルを単セルスタック発電試験装置を用いて800℃で連続発電試験を行い、I−Vカーブを測定した。なお、燃料ガスとしては2.7L/分の流量供給し、酸化性ガスとしては空気を4.0L/分の流量供給した。また、電流測定装置には、アドバンテスト社製の商品名「R8240」を用いた。電流電圧発生装置には、同じくアドバンテスト社製の商品名「R6240」を用いた。発電試験開始時と200時間後の最大出力密度(W/cm)を求めた。
(2.ScZr粉末の調製)
(調製例2−1.ScZr粉末A−1)
アスペックミル(コトブキ技研工業(株)製、「AMV−1型」)を用い、これに50体積%径が0.6μm、90体積%径が1.27μmであるScZr粉末4kgおよび溶媒としての純水6kgを投入した。ここに、ボールメディアとして、0.5mm径のジルコニアメディア(比重6g/cm)を、4kg仕込んだ。
ミルモーターの動力を調整し、攪拌羽根先端周速度(ω)7m/秒にて1時間30分粉砕した。この湿式粉砕により得られたスラリーを10リットルロータリーエバポレーターに入れ、さらに該スラリーと等量のオクタノールを入れて、加熱減圧しながら水を留出させてオクタノール置換スラリーを得た。このスラリーを更に加熱減圧してオクタノールを留出させ減圧乾燥してScZr粉末A−1を得た。粉体の粒度特性を表1に示した。また、ScZr粉末A−1の粒度分布曲線を図1に示した。
(調製例2−2.ScZr粉末A−2、A−3)
粉砕時間を1時間20分、1時間に変更したこと以外は上記調製例2−1と同様にして、ScZr粉末A−2、A−3を調製した。各粉体の粒度特性を表1に示した。
(3.固体電解質の製造)
(製造例3−1.固体電解質B−1)
原料粉末として上記で得たScZr粉末A−1を100質量部、溶媒としてトルエン60質量部、および分散剤としてソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤3質量部からなる混合物を、ボールミルにより粉砕しつつ混合した。当該混合物へ、バインダーとしてメタクリレート系共重合体溶液(数平均分子量:50000,ガラス転移温度:−8℃,固形分濃度:50質量%)を固形分換算で15質量部と、可塑剤としてジブチルフタレート2.5質量部を添加し、ボールミルにより20時間混合してスラリーとした。得られたスラリーを濃縮脱泡することにより、25℃での粘度を2Pa・sに調整し、塗工用スラリーとした。
上記塗工用スラリーを、ドクターブレード法によりPETフィルム上に塗工した。当該PETフィルムを、0.2m/分の速度で、50℃、80℃および110℃の3つの温度域を有する乾燥機中に通過させた後、スリッターで切断し、幅150mm、長さ20m、厚さ280μmのグリーンシートを得た。該グリーンシートを切断し、一辺67.5mmの方形グリーンシートを120枚得た。
一辺75mmの方形アルミナ多孔質シート(気孔率:45%,厚さ:0.2mm)を2枚重ね、その上に前期グリーンシートを1枚重ね、さらにその上にスペーサーとして多孔質シートを重ね、さらにグリーンシートと多孔質シートを交互に9枚ずつ重ねて積層体とした。この積層体を焼成用棚板(厚さ20mm,400mm×400mm)の上に4セット載置し、各積層体の最上部に、ムライト・アルミナ製の重し用治具(気孔率:60%,嵩比重:1.3)を載せた。同様に、前記グリーンシートを9枚含む積層体を合計12個作成し、大気雰囲気下、1400℃で3時間焼結することにより、一辺約50mm、厚さ250μmのシート状固体電解質を108枚製造した。得られたシート状固体電解質の中から任意の5枚について、各シート4箇所の断面を撮影し、得られた20枚の画像を用いて残留ポアを表1に示した。
(製造例3−2.固体電解質B−2)
原料粉末をScZr粉末A−2に変更したこと以外は、製造例3−1と同様にして、シート状固体電解質を製造した。得られた電解質の残留ポアを表1に示した。
(製造例3−3.固体電解質B−3)
原料粉末をScZr粉末A−3に変更したこと以外は、製造例3−1と同様にして、シート状固体電解質を製造した。得られた電解質の残留ポアを表1に示した。
(比較の製造例3−4.固体電解質b−4)
原料粉末を表1に示す粒度特性を有するScZr粉末に変更したこと以外は、3−1と同様に焼成して、シート状固体電解質を製造した。得られた電解質の残留ポアを表1に示した。
比較の製造例3−4の固体電解質b−1は、原料粉末として、粗粒子を多く含む従来のScZr粉末を用いたので、残留ポアは0.52%であった。そのため、ガスリーク試験でガスリークも発生した。これに対して、製造例3−1〜3−3の固体電解質B−1〜B−3は、原料粉末として、D90が0.3μm以上1.0μm以下、比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるスカンジア安定化ジルコニア粉末を用いたので、残留ポアは0.16%〜0.22%であった。そのため、ガスリーク試験でガスリークは確認されなかった。
(4.固体酸化物形燃料電池の製造)
(製造例4−1.燃料電池セルC−1)
前記製造例3−1で得られたシート状固体電解質B−1の両面にそれぞれ燃料極と空気極を形成して、固体酸化物燃料電池用単セルを作製した。詳しくは、固体電解質片面の周縁部5mm幅の領域(周縁部領域)を除く約40mm□の領域に、塩基性炭酸ニッケルを熱分解して得た酸化ニッケル粉末(d50(メジアン径):0.9μm)70質量部、ジルコニア粉末(市販の8モル%酸化イットリウム安定化ジルコニア粉末)30質量部からなる燃料極ペーストを、スクリーン印刷により塗布した。電解質のその反対面も同様に、周縁部5mm幅の領域(周縁部領域)を除く約40mm□の領域に、20モル%サマリウムドープセリアからなる中間層ペーストを、スクリーン印刷により塗布した。これを1300℃で焼き付けて、電解質シートに燃料極と中間層とを形成した。次いで、中間層の上に、市販のストロンチウムドープドランタン鉄コバルテート(La0.6Sr0.4Fe0.8Co0.2)粉末80質量部と、市販の20モル%ガドリニウムドープセリア粉末20質量部とからなる空気極ペーストを、スクリーン印刷によって塗布した。これを950℃で焼き付けて、4層構造の燃料電池セルを製造した。セル発電性能試験を表1に示す。
(製造例4−2.燃料電池セルC−2)
固体電解質を製造例3−2で得られた電解質B−2に変更した以外は、製造例4−1同様にして燃料電池セルを製造した。セル発電性能試験を表1に示す。
(製造例4−3.燃料電池セルC−3)
固体電解質を製造例3−3で得られた電解質B−3に変更した以外は、製造例4−1同様にして燃料電池セルを製造した。セル発電性能試験を表1に示す。
(比較の製造例4−4.燃料電池セルc−4)
固体電解質を比較の製造例3−4で得られた電解質b−4に変更した以外は、製造例4−1同様にして燃料電池セルを製造した。セル発電性能試験を表1に示す。
以上の結果から、本発明にかかる製造例4−1〜4−3の燃料電池セルC−1〜C−3は高い発電特性を示し、200時間後も性能を維持していた。一方、比較の製造例4−4で得られた燃料電池セルc−4では、初期の発電特性も低く、200時間後の性能の低下も大きかった。
Figure 2014067565
本発明は、アンモニアを燃料として固体酸化物形燃料電池に用いることができ、更に本電池を用いて発電することができる。

Claims (6)

  1. 固体電解質の一方側に燃料極を、他方側に空気極を備え、該燃料極にアンモニアを供給し、該空気極に酸化性ガスを供給し、発電する固体酸化物形燃料電池において、
    該固体電解質がスカンジア安定化ジルコニアであり、かつ、残留ポアの面積率が0.4%以下であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記固体電解質の製造方法が、
    スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒およびバインダーを含む原料を混合してスラリーを調整する工程;
    得られたスラリーを成形し、乾燥する工程;
    乾燥後、焼成する工程;
    を含む製造方法であって、
    該スカンジア安定化ジルコニア粉末として、90体積%径(D90)が0.3μm以上1.0μm以下、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるものを用いることを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  3. 前記固体電解質の製造方法が、スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒およびバインダーを含む原料を混合してスラリーを調整する工程;
    得られたスラリーをテープキャスティング法によりシート状に塗工し、乾燥してグリーンシートとする工程;
    グリーンシートを焼成する工程;
    を含む製造方法であって、
    該スカンジア安定化ジルコニア粉末として、90体積%径(D90)が0.3μm以上1.0μm以下、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるものを用いることを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  4. 前記スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積が8m/g以上13m/g以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  5. 前記スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)と90体積%径(D90)との比(D90/DSA)が3以上12以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  6. 請求項1記載の固体酸化物形燃料電池の燃料極にアンモニアを導入し、かつ、空気極に空気を導入することを特徴とする発電方法。
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