JP2020187897A - セラミック原料粉末、全固体電池の製造方法、および全固体電池 - Google Patents

セラミック原料粉末、全固体電池の製造方法、および全固体電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 電池容量の確保およびイオン伝導性の両立を可能とする、セラミック原料粉末、全固体電池の製造方法、および全固体電池を提供する。【解決手段】 セラミック原料粉末は、酸化物系の固体電解質粉末を備え、前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有し、3m2/g以上20m2/g以下のBET値を有していることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、セラミック原料粉末、全固体電池の製造方法、および全固体電池に関する。
酸化物系固体電解質を用いた全固体電池は、有機系電解質、硫化物系固体電解質等で懸念される発火、有毒ガス発生等が起こらない安全な二次電池を提供可能な技術として期待されている。電池容量を確保するためには、固体電解質層を薄くすることが望まれる。そのためには、厚みの小さいグリーンシートを焼成することが望まれる。グリーンシートを平滑化および薄層化するためには、粉末の粒子径を小さくすることが望まれる。そこで、小さい粒子径の固体電解質を用いて焼結を行うことで固体電解質層を薄層化することが考えられる(例えば、特許文献1〜3参照)。
国際公開第2012/063874号 国際公開第2016/063607号 特開2018−101467号公報
しかしながら、粉末の粒子径が小さすぎると、焼成後の固体電解質層における結晶粒界の比率が高くなる。この場合、イオン伝導性が低下する傾向にある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電池容量の確保およびイオン伝導性の両立を可能とする、セラミック原料粉末、全固体電池の製造方法、および全固体電池を提供することを目的とする。
本発明に係るセラミック原料粉末は、酸化物系の固体電解質粉末を備え、前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有し、3m/g以上20m/g以下のBET値を有していることを特徴とする。
上記セラミック原料粉末において、前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下の平均粒子径を有していてもよい。
上記セラミック原料粉末において、前記固体電解質粉末は、結晶子径が100Å以上であってもよい。
上記セラミック原料粉末において、前記固体電解質粉末は、リン酸塩系の固体電解質粉末であってもよい。
上記セラミック原料粉末において、前記リン酸塩系の固体電解質粉末は、NASICON構造を有していてもよい。
本発明に係る全固体電池の製造方法は、酸化物系の固体電解質粉末を含むグリーンシートと、前記クリーンシートの第1主面上に形成された第1電極層用ペースト塗布物と、前記グリーンシートの第2主面上に形成された第2電極層用ペースト塗布物と、を有する積層体を用意する工程と、前記積層体を焼成する工程と、を含み、前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有し、3m/g以上20m/g以下のBET値を有していることを特徴とする。
上記全固体電池の製造方法において、前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下の平均粒子径を有していてもよい。
上記全固体電池の製造方法において、前記固体電解質粉末は、結晶子径が100Å以上であってもよい。
上記全固体電池の製造方法において、前記固体電解質粉末は、リン酸塩系の固体電解質粉末であってもよい。
上記全固体電池の製造方法において、前記リン酸塩系の固体電解質粉末は、NASICON構造を有していてもよい。
本発明に係る全固体電池は、酸化物系の固体電解質層と、前記固体電解質層の第1主面上に形成された第1電極と、前記固体電解質層の第2主面上に形成された第2電極とを有し、前記固体電解質層は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有し、3m/g以上20m/g以下のBET値を有している固体電解質粉末の焼結体であることを特徴とする。
上記全固体電池において、前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下の平均粒子径を有していてもよい。
上記全固体電池において、前記固体電解質粉末は、結晶子径が100Å以上であってもよい。
上記全固体電池において、前記固体電解質粉末は、リン酸塩系の固体電解質粉末であってもよい。
上記全固体電池において、前記リン酸塩系の固体電解質粉末は、NASICON構造を有していてもよい。
本発明によれば、電池容量の確保およびイオン伝導性の両立を可能とする、セラミック原料粉末、全固体電池の製造方法、および全固体電池を提供することができる。
全固体電池の基本構造を示す模式的断面図である。 実施形態に係る全固体電池の模式的断面図である。 全固体電池の製造方法のフローを例示する図である。 積層工程を例示する図である。 実施例1〜3および比較例1,2の結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(実施形態)
図1は、全固体電池100の基本構造を示す模式的断面図である。図1で例示するように、全固体電池100は、第1電極10と第2電極20とによって、酸化物系の固体電解質層30が挟持された構造を有する。第1電極10は、固体電解質層30の第1主面上に形成されており、第1電極層11および第1集電体層12が積層された構造を有し、固体電解質層30側に第1電極層11を備える。第2電極20は、固体電解質層30の第2主面上に形成されており、第2電極層21および第2集電体層22が積層された構造を有し、固体電解質層30側に第2電極層21を備える。
全固体電池100を二次電池として用いる場合には、第1電極10および第2電極20の一方を正極として用い、他方を負極として用いる。本実施形態においては、一例として、第1電極10を正極として用い、第2電極20を負極として用いるものとする。
固体電解質層30は、酸化物系固体電解質であれば特に限定されるものではないが、例えば、NASICON構造を有するリン酸塩系固体電解質を用いることができる。NASICON構造を有するリン酸塩系固体電解質は、高い導電率を有するとともに、大気中で安定しているという性質を有している。リン酸塩系固体電解質は、例えば、リチウムを含んだリン酸塩である。当該リン酸塩は、特に限定されるものではないが、例えば、Tiとの複合リン酸リチウム塩(例えば、LiTi(PO)などが挙げられる。または、TiをGe,Sn,Hf,Zrなどといった4価の遷移金属に一部あるいは全部置換することもできる。また、Li含有量を増加させるために、Al,Ga,In,Y,Laなどの3価の遷移金属に一部置換してもよい。より具体的には、例えば、Li1+xAlGe2−x(POや、Li1+xAlZr2−x(PO、Li1+xAlTi2−x(POなどが挙げられる。例えば、第1電極層11および第2電極層21に含有されるオリビン型結晶構造をもつリン酸塩が含む遷移金属と同じ遷移金属を予め添加させたLi−Al−Ge−PO系材料が好ましい。例えば、第1電極層11および第2電極層21にCoおよびLiを含むリン酸塩が含有される場合には、Coを予め添加したLi−Al−Ge−PO系材料が固体電解質層30に含まれることが好ましい。この場合、電極活物質が含む遷移金属の電解質への溶出を抑制する効果が得られる。第1電極層11および第2電極層21にCo以外の遷移元素およびLiを含むリン酸塩が含有される場合には、当該遷移金属を予め添加したLi−Al−Ge−PO系材料が固体電解質層30に含まれることが好ましい。
第1電極層11および第2電極層21のうち、少なくとも、正極として用いられる第1電極層11は、オリビン型結晶構造をもつ物質を電極活物質として含有する。第2電極層21も、当該電極活物質を含有していることが好ましい。このような電極活物質として、遷移金属とリチウムとを含むリン酸塩が挙げられる。オリビン型結晶構造は、天然のカンラン石(olivine)が有する結晶であり、X線回折において判別することができる。
オリビン型結晶構造をもつ電極活物質の典型例として、Coを含むLiCoPOなどを用いることができる。この化学式において遷移金属のCoが置き換わったリン酸塩などを用いることもできる。ここで、価数に応じてLiやPOの比率は変動し得る。なお、遷移金属として、Co,Mn,Fe,Niなどを用いることが好ましい。
オリビン型結晶構造をもつ電極活物質は、正極として作用する第1電極層11においては、正極活物質として作用する。例えば、第1電極層11にのみオリビン型結晶構造をもつ電極活物質が含まれる場合には、当該電極活物質が正極活物質として作用する。第2電極層21にもオリビン型結晶構造をもつ電極活物質が含まれる場合に、負極として作用する第2電極層21においては、その作用メカニズムは完全には判明してはいないものの、負極活物質との部分的な固溶状態の形成に基づくと推察される、放電容量の増大、ならびに、放電に伴う動作電位の上昇という効果が発揮される。
第1電極層11および第2電極層21の両方ともオリビン型結晶構造をもつ電極活物質を含有する場合に、それぞれの電極活物質には、好ましくは、互いに同一であっても異なっていてもよい遷移金属が含まれる。「互いに同一であっても異なっていてもよい」ということは、第1電極層11および第2電極層21が含有する電極活物質が同種の遷移金属を含んでいてもよいし、互いに異なる種類の遷移金属が含まれていてもよい、ということである。第1電極層11および第2電極層21には一種だけの遷移金属が含まれていてもよいし、二種以上の遷移金属が含まれていてもよい。好ましくは、第1電極層11および第2電極層21には同種の遷移金属が含まれる。より好ましくは、両電極層が含有する電極活物質は化学組成が同一である。第1電極層11および第2電極層21に同種の遷移金属が含まれていたり、同組成の電極活物質が含まれていたりすることにより、両電極層の組成の類似性が高まるので、全固体電池100の端子の取り付けを正負逆にしてしまった場合であっても、用途によっては誤作動せずに実使用に耐えられるという効果を有する。
第1電極層11および第2電極層21のうち第2電極層21に、負極活物質として公知である物質をさらに含有させてもよい。一方の電解層だけに負極活物質を含有させることによって、当該一方の電極層は負極として作用し、他方の電極層が正極として作用することが明確になる。一方の電極層だけに負極活物質を含有させる場合には、当該一方の電極層は第2電極層21であることが好ましい。なお、両方の電極層に負極活物質として公知である物質を含有させてもよい。電極の負極活物質については、二次電池における従来技術を適宜参照することができ、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン複合酸化物、リチウムチタン複合リン酸塩、カーボン、リン酸バナジウムリチウムなどの化合物が挙げられる。
第1電極層11および第2電極層21の作製においては、これら活物質に加えて、酸化物系固体電解質材料や、カーボンや金属といった導電性材料(導電助剤)などをさらに添加してもよい。これらの部材については、バインダと可塑剤を水あるいは有機溶剤に均一分散させることで電極層用ペーストを得ることができる。導電助剤の金属としては、Pd、Ni、Cu、Fe、これらを含む合金などが挙げられる。
第1集電体層12および第2集電体層22は、導電性材料からなる。
図2は、複数の電池単位が積層された全固体電池100aの模式的断面図である。全固体電池100aは、略直方体形状を有する積層チップ60と、積層チップ60の第1端面に設けられた第1外部電極40aと、当該第1端面と対向する第2端面に設けられた第2外部電極40bとを備える。
積層チップ60の当該2端面以外の4面のうち、積層方向の上面および下面以外の2面を側面と称する。第1外部電極40aおよび第2外部電極40bは、積層チップ60の積層方向の上面、下面および2側面に延在している。ただし、第1外部電極40aと第2外部電極40bとは、互いに離間している。
以下の説明において、全固体電池100と同一の組成範囲、同一の厚み範囲、および同一の粒度分布範囲を有するものについては、同一符号を付すことで詳細な説明を省略する。
全固体電池100aにおいては、複数の第1集電体層12と複数の第2集電体層22とが、交互に積層されている。複数の第1集電体層12の端縁は、積層チップ60の第1端面に露出し、第2端面には露出していない。複数の第2集電体層22の端縁は、積層チップ60の第2端面に露出し、第1端面には露出していない。それにより、第1集電体層12および第2集電体層22は、第1外部電極40aと第2外部電極40bとに、交互に導通している。
第1集電体層12上には、第1電極層11が積層されている。第1電極層11上には、固体電解質層30が積層されている。固体電解質層30は、第1外部電極40aから第2外部電極40bにかけて延在している。固体電解質層30上には、第2電極層21が積層されている。第2電極層21上には、第2集電体層22が積層されている。第2集電体層22上には、別の第2電極層21が積層されている。当該第2電極層21上には、別の固体電解質層30が積層されている。当該固体電解質層30は、第1外部電極40aから第2外部電極40bにかけて延在している。当該固体電解質層30上には、第1電極層11が積層されている。全固体電池100aにおいては、これらの積層単位が繰り返されている。それにより、全固体電池100aは、複数の電池単位が積層された構造を有している。
全固体電池100aの電池容量を確保する観点から、固体電解質層30は薄いほど好ましい。例えば、固体電解質層30の平均厚さは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。この場合、厚みの小さいグリーンシートを焼成することが望まれる。平滑化されたグリーンシートを薄層化するためには、粉末の粒子径を小さくすることが望まれる。しかしながら、固体電解質粉末の粒子径が小さすぎると、焼成後の固体電解質層30における結晶粒界の比率が高くなる。この場合、イオン伝導性が低下する傾向にある。
そこで、本実施形態においては、電池容量の確保およびイオン伝導性の両立を可能とする、セラミック原料粉末、および全固体電池の製造方法について説明する。図3は、全固体電池100aの製造方法のフローを例示する図である。
(セラミック原料粉末作製工程)
まず、リン酸塩系の固体電解質粉末を備えるセラミック原料粉末を作製する。例えば、原料、添加物などを混合し、固相合成法などを用いることで、リン酸塩系の固体電解質粉末を作製することができる。得られた固体電解質粉末を乾式粉砕することで、所望の粒子径に調整することができる。それにより、固体電解質粉末を備えるセラミック原料粉末を作製することができる。セラミック原料粉末は、固体電解質粉末以外にも必要な添加物などを含んでいてもよい。
本実施形態に係るセラミック原料粉末において、固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有している。また、BET値は、3m/g以上20m/g以下である。BET値は、例えば、マックソーブ HM model-1200シリーズ を用い、窒素ガス、窒素−ヘリウム(30mol%)混合ガスを用いて、BET 1点法にて計測することができる。実測定値が1〜50mとなるようにサンプル量を計量し、ガラスセルに入れ、前処理として窒素ガスを試料に流通しながら200℃で15分加熱し吸着水を除去したものをBET計測に用いることができる。D10%粒子径、D50%粒子径およびD90%粒子径は、レーザ粒度分布計を用いて測定することができる。
(グリーンシート作製工程)
次に、得られたセラミック原料粉末を、結着材、分散剤、可塑剤などとともに、水性溶媒あるいは有機溶媒に均一に分散させて、湿式粉砕を行うことで、所望の粒子径を有するスラリを得る。このとき、ビーズミル、湿式ジェットミル、各種混錬機、高圧ホモジナイザーなどを用いることができ、粒度分布の調整と分散とを同時に行うことができる観点からビーズミルを用いることが好ましい。得られたスラリにバインダを添加して固体電解質ペーストを得る。得られた固体電解質ペーストを塗工することで、グリーンシートを作製することができる。塗工方法は、特に限定されるものではなく、スロットダイ方式、リバースコート方式、グラビアコート方式、バーコート方式、ドクターブレード方式などを用いることができる。湿式粉砕後の粒度分布は、例えば、レーザ回折散乱法を用いたレーザ回折測定装置を用いて測定することができる。なお、ここでの湿式粉砕では、過度なエネルギーでの粉砕はしないでおく。それにより、固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有し、3m/g以上20m/g以下のBET値を有している。
(電極層用ペースト作製工程)
次に、上述の第1電極層11および第2電極層21の作製用の電極層用ペーストを作製する。例えば、導電助剤、活物質、固体電解質材料、バインダ、可塑剤などを水あるいは有機溶剤に均一分散させることで電極層用ペーストを得ることができる。固体電解質材料として、上述した固体電解質ペーストを用いてもよい。導電助剤として、Pd、Ni、Cu、Fe、これらを含む合金や各種カーボン材料などをさらに用いてもよい。第1電極層11と第2電極層21とで組成が異なる場合には、それぞれの電極層用ペーストを個別に作製すればよい。
(集電体用ペースト作製工程)
次に、上述の第1集電体層12および第2集電体層22の作製用の集電体用ペーストを作製する。例えば、Pdの粉末、カーボンブラック、板状グラファイトカーボン、バインダ、分散剤、可塑剤などを水あるいは有機溶剤に均一分散させることで、集電体用ペーストを得ることができる。
(積層工程)
図4で例示するように、グリーンシート51の一面に、電極層用ペースト52を印刷し、さらに集電体用ペースト53を印刷し、さらに電極層用ペースト52を印刷する。グリーンシート51上で電極層用ペースト52および集電体用ペースト53が印刷されていない領域には、逆パターン54を印刷する。逆パターン54として、グリーンシート51と同様のものを用いることができる。印刷後の複数のグリーンシート51を、交互にずらして積層し、積層体を得る。この場合、当該積層体において、2端面に交互に、電極層用ペースト52および集電体用ペースト53のペアが露出するように、積層体を得る。
(焼成工程)
次に、得られた積層体を焼成する。焼成の条件は酸化性雰囲気下あるいは非酸化性雰囲気下で、最高温度を好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは500℃〜900℃などとすることが特に限定なく挙げられる。最高温度に達するまでにバインダを十分に除去するために酸化性雰囲気において最高温度より低い温度で保持する工程を設けてもよい。プロセスコストを低減するためにはできるだけ低温で焼成することが望ましい。焼成後に、再酸化処理を施してもよい。以上の工程により、積層チップ60が生成される。
(外部電極形成工程)
その後、積層チップ60の2端面に金属ペーストを塗布し、焼き付ける。それにより、第1外部電極40aおよび第2外部電極40bを形成することができる。あるいは、積層チップ60を、2端面に接する上面、下面、2側面で、第1外部電極40aと第2外部電極40bとが離間して露出できるような専用の冶具にセットし、スパッタにより電極を形成してもよい。形成した電極にめっき処理を施すことで、第1外部電極40aおよび第2外部電極40bを形成してもよい。
本実施形態に係る製造方法によれば、セラミック原料粉末が備える固体電解質粉末が3m/g以上20m/g以下のBET値を有している。この場合、固体電解質粉末の粒子径が小さくなる。また、固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有している。この場合、大きすぎる粉末の混入を抑制することができる。以上のことから、グリーンシートを平滑化および薄層化することができ、焼成後の固体電解質層30を薄くすることができる。それにより、全固体電池100における固体電解質層30の多層化が可能となり、電池容量が向上する。また、固体電解質粉末の粒子径が小さすぎることが抑制される。この場合、焼成後の固体電解質層30における結晶粒界の比率を抑制することができ、イオン伝導性の低下を抑制することができる。また、小さすぎる粉末の混入を抑制することができると、グリーンシートのハンドリング性(剥離性、強度など)への影響を抑制することができる。グリーンシートが平滑化されれば、ショートなどを抑制することができる。
固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下の平均粒子径を有していることが好ましい。固体電解質粉末の粒子径を小さくすることができ、電池容量が向上するからである。また、固体電解質粉末の粒子径が小さすぎることが抑制されるため、イオン伝導性の低下を抑制することができる。なお、平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)にて1つの画像に80〜150結晶粒程度になるように倍率を調整し、合計で400結晶粒以上となるように複数枚の写真を得て、写真上の結晶粒全数についてFeret径を計測することで測定することができる。
固体電解質粉末は、一般的には多結晶体である。したがって、結晶子径が大きな値ほど、単結晶に近く、イオン伝導の面で有利である。そこで、固体電解質粉末において、結晶子径は、100Å以上であることが好ましく、300Å以上600Å以下とすることがより好ましい。
以下、実施形態に従って全固体電池を作製し、特性について調べた。
(実施例1)
LiCO、Al、GeO、およびMAP(リン酸二水素アンモニウム:NHPO)を所定量、乾式ビーズミルにより混合し、400℃で1h熱処理した。その後、エタノールを分散媒としてビーズミルにより、レーザ回折にて、D50%粒子径=1μmまで粉砕処理を行った。その後、700℃にて仮焼し、LAGP粉末(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)を得た。
BET値(比表面積)は3m/gであり、SEM平均粒子径は0.6μmであった。SEM平均粒子径は、走査型電子顕微鏡にて1つの画像に80〜150結晶粒程度になるように倍率を調整し、合計で400結晶粒以上となるように複数枚の写真を得て、写真上の結晶粒全数についてFeret径を計測することで測定した。
0.05gのサンプルをエタノール50mLに超音波浴にて3分間分散処理し、堀場製作所製LA950レーザ回折装置にて、測定用分散媒としてエタノールを用いて粒度分布測定を行ったところ、D10%粒子径=0.6μm、D50%粒子径=1.5μm、D90%粒子径=4μmであった。粉末XRD測定(リガク製Ultima IV、連続スキャン、X−Ray 40kV/40mA、発散スリット 1°、発散縦制限スリット 10mm、散乱スリット 開放、受光スリット 開放、モノクロ受光スリット なし、ステップ0.02°、スピード5°/secの条件)にて、プロファイルを測定し、WPPFフィッティングにより、結晶子径を求めたところ、600Åであった。
(実施例2)
400℃熱処理後のエタノール分散でD50%粒子径=0.06μmまで分散した以外は、実施例1と同様とした。BET値は、20m/gであった。SEM平均径は0.07μmであった。D10%粒子径は0.05μmであった。D50%粒子径は0.08μmであった。D90%粒子径は2μmであった。結晶子径は100Åであった。
(実施例3)
GeOの代わりにTiOを用いてLi1.3Al0.3Ti1.7(POの組成となるように配合し、400℃熱処理後のエタノール分散でD50%粒子径=0.08μmまで分散した以外は、実施例1と同様とした。BET値は、10m/gであった。SEM平均径は0.1μmであった。D10%粒子径は0.2μmであった。D50%粒子径は0.3μmであった。D90%粒子径は3μmであった。結晶子径は240Åであった。
(比較例1)
400℃熱処理後のエタノール分散でD50%粒子径=1.5μmまで分散した以外は、実施例1と同様とした。BET値は、2.8m/gであった。SEM平均径は0.62μmであった。D10%粒子径は0.65μmであった。D50%粒子径は1.6μmであった。D90%粒子径は4.5μmであった。結晶子径は630Åであった。
(比較例2)
400℃熱処理後のエタノール分散でD50%粒子径=0.04μmまで分散した以外は、実施例1と同様とした。BET値は、25m/gであった。SEM平均径は0.04μmであった。D10%粒子径は0.3μmであった。D50%粒子径は0.2μmであった。D90%粒子径は4μmであった。結晶子径は80Åであった。
(分析1)
実施例1〜3および比較例1,2のそれぞれにおいて、得られた固体電解質粉末を湿式粉砕(分散媒:エタノールとトルエンの混合溶媒)し、バインダを添加し、2μmのグリーンシートをPETフィルム上に作製した。グリーンシートの表面粗さ(Ra)を測定した。表面粗さRaが80nm以下の場合には合格「〇」と判定し、80nmを上回った場合には不合格「×」と判定した。グリーンシートを問題無く剥離できたか否かを確認した。問題無く剥離できた場合には合格「○」と判定し、剥離できなかった場合には不合格「×」と判定した。20層積層して、80℃加熱プレスして、φ=1.5cmの円板成形体を作製、700℃以上で加熱し、焼結体を作製した。両面を金スパッタ処理し、室温にてインピーダンス測定を行い、Liイオン伝導性を評価した。イオン伝導率が10−4S/cm以上の場合には合格「〇」と判定し、10−4S/cm未満の場合には不合格「×」と判定した。結果を図5に示す。
実施例1〜3のいずれにおいても、表面粗さRaは合格「〇」と判定され、シート剥離性も合格「〇」と判定され、イオン伝導性も合格「〇」と判定された。これは、固体電解質粉末のBET値を3m/g以上20m/g以下とし、D10%粒子径を0.05μm以上0.6μm以下とし、D50%粒子径を0.08μm以上1.5μm以下とし、D90%粒子径を4μm以下とすることで、良好なシート平滑性、剥離性、イオン伝導性が得られたからであると考えられる。
一方、比較例1では、表面粗さが80nmを上回って不合格「×」と判定された。これは、固体電解質粉末のBET値が3m/gを下回り、D10%粒子径が0.6μmを上回り、D50%粒子径が1.5μmを上回り、D90%粒子径が4μmを上回って、粒子径が大きすぎたからであると考えられる。比較例2では、シート剥離性が不合格「×」と判定された。これは、BET値が20m/gを上回って、粒子径が小さすぎたからであると考えられる。
(分析2)
次に、実施例1,2および比較例1,2のそれぞれにおいて、グリーンシートを用いて積層電池を製造した。まず、得られたグリーンシート上に、所定のパターンのスクリーンを用いて、電極層用ペーストを厚さ2μmで印刷し、さらに集電体層用ペーストとしてPdペーストを0.7μmで印刷し、さらに電極層用ペーストを2μmで印刷した。印刷後のグリーンシートを、左右に電極が引き出されるようにずらして11枚重ね、30μmの平均厚みになるようにグリーンシートを重ねたものをカバー層として上下に貼り付け、熱加圧プレスにより圧着し、ダイサーにて積層体を8mm角のサイズにカットした。カットしたチップ100個を300℃以上500℃以下で熱処理して脱脂し、900℃以下で熱処理して焼結させ焼結体を作製した。焼結体において電極層が露出する2端面に銀ペーストを塗布して1対の外部電極を形成した。100個中ショートしているチップの数からショート率を求めた。ショート率が10%以下となった場合には合格「○」と判定し、10%を上回った場合には不合格「×」と判定した。
実施例1,2および比較例2では、ショート率が合格「〇」と判定された。これは、グリーンシートの表面粗さ(Ra)が80nm以下であったからであると考えられる。一方、比較例2では、ショート率が不合格「×」と判定された。これは、グリーンシートの表面粗さ(Ra)が80nmを上回って凹凸が大きかったからであると考えられる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 第1電極
11 第1電極層
12 第1集電体層
20 第2電極
21 第2電極層
22 第2集電体層
30 固体電解質層
40a 第1外部電極
40b 第2外部電極
100 全固体電池

Claims (15)

  1. 酸化物系の固体電解質粉末を備え、
    前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有し、3m/g以上20m/g以下のBET値を有していることを特徴とするセラミック原料粉末。
  2. 前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下の平均粒子径を有することを特徴とする請求項1記載のセラミック原料粉末。
  3. 前記固体電解質粉末は、結晶子径が100Å以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック原料粉末。
  4. 前記固体電解質粉末は、リン酸塩系の固体電解質粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミック原料粉末。
  5. 前記リン酸塩系の固体電解質粉末は、NASICON構造を有することを特徴とする請求項4に記載のセラミック原料粉末。
  6. 酸化物系の固体電解質粉末を含むグリーンシートと、前記クリーンシートの第1主面上に形成された第1電極層用ペースト塗布物と、前記グリーンシートの第2主面上に形成された第2電極層用ペースト塗布物と、を有する積層体を用意する工程と、
    前記積層体を焼成する工程と、を含み、
    前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有し、3m/g以上20m/g以下のBET値を有していることを特徴とする全固体電池の製造方法。
  7. 前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下の平均粒子径を有することを特徴とする請求項6記載の全固体電池の製造方法。
  8. 前記固体電解質粉末は、結晶子径が100Å以上であることを特徴とする請求項6または7に記載の全固体電池の製造方法。
  9. 前記固体電解質粉末は、リン酸塩系の固体電解質粉末であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の全固体電池の製造方法。
  10. 前記リン酸塩系の固体電解質粉末は、NASICON構造を有することを特徴とする請求項9記載の全固体電池の製造方法。
  11. 酸化物系の固体電解質層と、
    前記固体電解質層の第1主面上に形成された第1電極と、
    前記固体電解質層の第2主面上に形成された第2電極とを有し、
    前記固体電解質層は、0.05μm以上0.6μm以下のD10%粒子径を有し、0.08μm以上1.5μm以下のD50%粒子径を有し、4μm以下のD90%粒子径を有し、3m/g以上20m/g以下のBET値を有している固体電解質粉末の焼結体であることを特徴とする全固体電池。
  12. 前記固体電解質粉末は、0.05μm以上0.6μm以下の平均粒子径を有することを特徴とする請求項11記載の全固体電池。
  13. 前記固体電解質粉末は、結晶子径が100Å以上であることを特徴とする請求項11または12に記載の全固体電池。
  14. 前記固体電解質粉末は、リン酸塩系の固体電解質粉末であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の全固体電池。
  15. 前記リン酸塩系の固体電解質粉末は、NASICON構造を有することを特徴とする請求項14に記載の全固体電池。
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