JP5453149B2 - 固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法に関するものである。
従来、固体酸化物形燃料電池の固体電解質膜として、酸素イオン導電体であるイットリア安定化型ジルコニアが広く検討されている。しかし、イットリア安定化ジルコニアは、高い酸素イオン導電性を得るには高温に保持することが必要となり、よって作動温度を高めなければならないという問題があった。そこで、比較的低い温度でも優れたイオン導電性を示す固体電解質材料として、酸化スカンジウム(スカンジア)で安定化したジルコニアも検討されている。
しかし、スカンジア安定化ジルコニアは、機械的強度がイットリア安定化ジルコニアよりも若干劣るため、十分な強度を確保するためには膜厚を厚くしなければならないという問題がある。そのため、このような問題を解決する方法として、例えば、固体成分の平均粒子径が0.15〜0.5μm、90体積%径が0.6〜1.5μmであるグリーンシート製造用スラリーを使用し、これをシート状に成形してから焼結することにより、グレインサイズの平均値が0.1〜0.6μm、その変動係数が50%以下である緻密質のスカンジア安定化ジルコニアシートを得る方法(特許文献1(請求項1)参照)が提案されている。
特開2003−20272号公報
上記のようにスカンジア安定化ジルコニアシートの機械的強度を向上させるには、シートの緻密性を向上させることが有効である。そして、シートの緻密性を向上させるためにはスラリー中のジルコニア粉末中の粗粒子(粒子径1.0μm以上の粒子)の含有量をより低減させることが好ましい。しかしながら、粗粒子を減らすためにはスラリー中のジルコニア粉末を充分に粉砕する必要があるが、粉砕時間を長くすると微粒子含有量が増加し(例えば、特許文献1(実施例6)参照)、得られるシートに残留ポアが増加する傾向がある。特に、スカンジア安定化ジルコニア粉末は、従来、多用されているイットリア安定化ジルコニア粉末よりも反応性が高く、微粉末の活性がより高いため、残留ポアの増加がより顕著である。このようにシート中の残留ポアが増加すると、却ってシートの機械的強度が低下するという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シート中の残留ポアをより低減することができる固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法について、原料として用いる粉末と、得られるシート中の残留ポアとの関係についてさらに研究を進めた。その結果、原料粉末として90体積%径が1.0μmを超えるような粉末、すなわち粗粒子を多く含むような粉末を用いた場合、ジルコニアシートの緻密性を向上させるためにスラリー調整時に原料粉末を粗粒子がなくなるまで長時間粉砕することが必要となる。そのため、調整後のスラリー中には微粒子(約0.3μm以下の粒子)が多く存在することとなる。このような微粒子を多く含有するスラリーから形成されたグリーンシートでは、焼結初期の段階で、活性の高い微粒子が粒子間を不均一に結合して、空隙を形成してしまう。このように形成された空隙は、その後の焼結過程において消失し難く、焼成後のジルコニアシート中には残留ポアが多くなることがわかった。そこで、スラリー中の微粒子量について検討した結果、原料粉末として粗粒子が少なく、かつ、微粒子が少ない粉末を使用することにより、得られるジルコニアシートの残留ポアを低減できることを見出して本発明を完成した。
上記課題を解決することができた本発明の固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法は、スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒およびバインダーを含むスラリー原料を混合してスラリーを調整する工程;得られたスラリーを用いてテープキャスティング法によりシート状に塗工し、乾燥してグリーンシートとする工程;グリーンシートを焼成する工程;を含み、前記スカンジア安定化ジルコニア粉末として、90体積%径(D90)が0.3μm以上1.0μm以下、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるスカンジア安定化ジルコニア粉末を用いることを特徴とする。
原料粉末として、上記スカンジア安定化ジルコニア粉末を用いることにより、原料の段階で粗粒子(約1.0μm以上の粒子)の含有量が少ないため、スラリー調整時の粉砕時間を短縮することができる。また、原料の段階で微粒子の含有量が少なく、かつ、上記のように粉砕時間を短縮できるため、さらなる微粒子の増加も抑制することができる。よって、調整後のスラリー中の微粒子含有量を低減できるため、得られるシート中の残留ポアを低減することができる。
また、前記スラリー原料として、スカンジア安定化ジルコニア粒子を含有する回収グリーンシートを使用することも好ましい態様である。この場合、前記回収グリーンシートの使用量は、該回収グリーンシートに含まれるスカンジア安定化ジルコニア粒子の質量に換算し、前記スラリー中に含まれる全スカンジア安定化ジルコニア粒子の質量中1質量%以上60質量部%以下とすることが好ましい。
前記スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)と90体積%径(D90)の比(D90/DSA)は3以上12以下であることが好ましい。前記比(D90/DSA)が上記範囲内であれば、脱脂時の有機物分解ガスの抜け道が確保され、焼成後のシート中の残留ポアがより低減される。また、前記スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積は8m2/g以上13m2/g以下であることが好ましい。前記BET比表面積が上記範囲内であれば、スラリーの成形性が良好となる。
本発明によれば、残留ポアが低減された固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートが得られる。
スカンジア安定化ジルコニア粉末の粒度分布を示す図である。 調整後のスラリー中の原料粉末の粒度分布を示す図である。
本発明の固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法は、スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒およびバインダーを含むスラリー原料を混合してスラリーを調整する工程;得られたスラリーを用いてテープキャスティング法によりシート状に塗工し、乾燥してグリーンシートとする工程;グリーンシートを焼成する工程;を含む。以下、これらの各工程について詳細に説明する。
1.スラリーの調整
まず、スラリーを調整する工程について説明する。本工程では、スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒、バインダー等を混合してスラリーを調整する。
前記スカンジア安定化ジルコニア粉末としては、90体積%径(D90)が0.3μm以上1.0μm以下、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるスカンジア安定化ジルコニア粉末(以下、「ScZr粉末」と称することがある。)を用いる。
スカンジア安定化ジルコニアとは、安定化剤としてSc23を含むジルコニアをいい、3モル%以上、15モル%以下、好適には6モル%以上、12モル%以下、さらに好適には7モル%以上、11モル%以下のSc23で安定化されたジルコニアを用いる。本発明で用いるスカンジア安定化ジルコニアは、Sc23を含むものであれば、その他の安定化剤を含むものであってもよい。Sc23以外の安定化剤としては、MgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物;La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Yb23、Y23等の希土類金属酸化物;SiO2、TiO2、Al23、Bi23、In23等その他の金属酸化物を挙げることができる。特に、Sc23と共に、0.01質量%以上、5質量%以下程度のCeO2、Al23、Gd23、TiO2、Bi23を含むスカンジア安定化ジルコニアが好適である。
スカンジア安定化ジルコニアとしては、その結晶形が立方晶系および/または菱面体晶系のものを用いることが好ましく、立方晶系がより好ましい。一般に、ジルコニアの結晶形としては、単斜晶、正方晶、立方晶、菱面体晶がある。ジルコニアの結晶形は温度に応じて変化するが、上記安定化剤の添加量によっても変化する。例えば、安定化剤がスカンジアの場合、3モル%以上、7モル%以下程度添加されたジルコニアは正方晶を主体とする部分安定化ジルコニアであり、7モル%以上、15モル%以下程度添加されたジルコニアは立方晶または菱面体晶を主体とする完全安定化ジルコニアとなる。さらに、立方晶を安定させるために、CeO2、Al23等の第3成分を添加してもよい。なお、完全安定化ジルコニアを、単に安定化ジルコニアということもある。
前記ScZr粉末の90体積%径(D90)は、0.3μm以上、1.0μm以下である。D90が1.0μmを超えると、ScZr粉末の凝集体が大きくなってしまい、得られるジルコニアシートを緻密化し難くなる。一方、D90が0.3μm未満では、相対的に微粒子の含有量が多くなるため、ジルコニアシートの残留ポアが増加する。前記D90は、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.6μm以上であり、より好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下である。
前記ScZr粉末の50体積%径(D50)は、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.3μm以上であり、0.7μm以下が好ましく、より好ましくは0.6μm以下である。前記D50が上記範囲内であれば、ScZr粉末の焼結性がより良好となる。
前記ScZr粉末の10体積%径(D10)は、0.09μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上であり、0.6μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.4μm以下である。前記D10が上記範囲内であれば、ScZr粉末中の微粒子が少ないため、焼結時の初期段階で活性の高い微粒子によって不均一に局所的な焼結が生じることが低減でき、得られるジルコニアシートの残留ポアをより低減できる。
前記ScZr粉末の90体積%径と50体積%径との比(D90/D50)は、1.2以上、2.1以下である。前記比(D90/D50)が上記範囲内であれば、グリーンシート内のScZr粉末が、粒子間に適度な空隙を持ちながらほぼ均一に整列するようになるため、グリーンシートを脱脂する際に、有機物の分解ガスを良好に抜け去らせることができ、また、焼結性がより良好となる。前記比(D90/D50)は、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.9以下である。前記ScZr粒子の90体積%径と10体積%径との比(D90/D10)は、2.2以上が好ましく、より好ましくは2.4以上、さらに好ましくは2.5以上であり、3.4以下が好ましく、より好ましくは3.2以下、さらに好ましくは3.0以下である。
本発明において、50体積%径とは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−920」)により測定し、各々粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積に対して50体積%となる粒子径の値である。また、同様に90体積%径および10体積%径は、それぞれ粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積に対して90体積%または10体積%となる粒子径の値である。
前記ScZr粉末のBET比表面積は、8m2/g以上が好ましく、より好ましくは9m2/g以上であり、13m2/g以下が好ましく、より好ましくは12m2/g以下である、BET比表面積が上記範囲内であれば、スラリー粘度が高くなって成形性がより向上する。
前記ScZr粉末のBET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)は、0.08μm以上が好ましく、より好ましくは0.09μm以上であり、0.13μm以下が好ましく、より好ましくは0.12μm以下である。前記DSAが上記範囲内であれば、ScZr粉末の活性が高くなるため、比較的低い温度で焼成しても高い緻密性を達成できる。ここで、BET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)とは、ScZr粉末の一次粒子の平均粒子径に相当するものであり、ScZr粉末の比表面積(SA)と密度(ρ)を用いて下記式により算出される値である。
また、前記ScZr粉末のBET比表面積から算出される平均粒子径(DSA)と90体積%径(D90)の比(D90/DSA)は3以上が好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上であり、12以下が好ましく、より好ましくは11以下、さらに好ましくは10以下である。前記比(D90/DSA)が上記範囲内であれば、グリーンシート中のScZr粒子は、粒子間の相互作用によってほぼ均一な大きさで、凝集力の弱い凝集体を形成する。このような凝集体を形成することで、粒子間に適度な空隙が形成され、グリーンシートを脱脂する際に、有機物の分解ガスを良好に抜け去らせることができるため、得られるジルコニア系シートの残留ポアをより低減できる。
なお、ScZr粉末の粒度分布は、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジェットミル等を用いた粉砕;サイクロン型分級機等を用いた分級;等を組合せて調整できる。また、所望とする粒度分布を有するScZr粉末市販品を用いてもよい。
スラリー原料粉末には、本発明の効果を損なわない程度に、アルミナ、チタニア、シリカ、酸化ニオブ、酸化タリウム、酸化イッテルビウム、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化ビスマス等からなるセラミックス粉末を用いてもよい。かかるセラミックス粉末の使用量は、原料粉末の総和に対して0.01質量%以上、5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上、3質量%以下がより好ましい。
スラリーに用いられるバインダーの種類は特に制限されず、従来公知の有機質バインダーを適宜選択して使用することができる。有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重合体、スチレン系共重合体、(メタ)アクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロース等のセルロース類等が例示される。これらの中でも、ジルコニアグリーンシートの成形性や打抜き加工性、強度、焼成時の収縮率バラツキを抑制する観点から、熱可塑性で且つ数平均分子量が20000〜250000、より好ましくは50000〜200000の(メタ)アクリレート系共重合体が好ましいものとして推奨される。
バインダーの使用量は、原料および/またはスラリー中のScZr粉末の粒子径によって異なるが、原料粉末100質量部に対して5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上であり、30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下である。バインダーの使用量が不足すると、ジルコニアグリーンシートの成形性が低下し、また、強度や柔軟性が不十分となり得る。逆に多過ぎる場合は、スラリーの粘度調節が困難になるばかりでなく、脱脂・焼結時のバインダー成分の分解放出が多く且つ激しくなって収縮率のバラツキも大きくなり、寸法安定性が低くなり得る。また、バインダーの熱分解が不十分となり、バインダー成分の一部が残留カーボンとして残留し易くなり得る。
スラリー用の溶媒としては、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール類;アセトンや2−ブタノン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類等が挙げられ、これらから適宜選択して使用する。これら溶媒は単独で使用し得る他、2種以上を適宜混合して使用することができる。これら溶媒の使用量は、ジルコニアグリーンシート成形時におけるスラリーの粘度を加味して調節するのがよい。好適なスラリー粘度は0.5Pa・s以上、50Pa・s以下であり、より好ましくは1Pa・s以上、20Pa・s以下である。
スラリーの調製に当たっては、ジルコニア原料粉末の分散を促進するため、分散剤を用いることが好ましい。分散剤としては、ポリアクリル酸やポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質;α−オレフィン・無水マレイン酸共重合物の部分エステル;クエン酸や酒石酸等の有機酸;イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩あるいはアミン塩;ブタジエンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩等を挙げることができる。
また、スラリーの成形性を高めるために、可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤としては、フタル酸ジブチルやフタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類;プロピレングリコール等のグリコール類やグリコールエーテル類;フタル酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル等のポリエステル類を挙げることができる。さらに、界面活性剤や消泡剤等を必要に応じて添加することができる。
また、本発明の製造方法においては、スラリー原料として、スカンジア安定化ジルコニア粒子を含有する回収グリーンシートを使用することも好ましい態様である。ScZr粉末は、イットリア安定化ジルコニア粉末等の安定化ジルコニアと比較して非常に高価なため、実際の製造工程では、原料のコスト低減のために回収グリーンシートを使用することは必須となっている。ところで、本願の製法によるグリーンシート中のScZr粉末は、従来の原料を用いた場合に比べてスラリー中の微粒子の含有量が少ないため、溶剤への再溶解性に優れている。すなわち、短時間でもとのスラリーの粒子径にまで溶解でき、凝集物が生じにくいものである。それゆえ、従来の原料を使用した回収グリーンシートを使用するのに比べて、微小な凝集の残留によるポアの発生を低減することができる。
ここで、スカンジア安定化ジルコニア粒子を含有する回収グリーンシートとは、上記原料粉末、バインダー、溶媒等を用いてスラリーを調製した後、該スラリーを用いてグリーンシートを作製する際の所定の塗工厚さになっていない塗工初めのグリーンシート先端部、塗工終了近くのグリーンシート後端部およびグリーンシートの左右端部;作製されたグリーンシートについて打抜き等の成形を行った場合における、焼成用セラミックグリーンシートとして使用しなかった切断屑;等を回収し、必要に応じて切断機やカッター等により細かく、好適には3cm角以下に破砕したものである。
前記回収グリーンシートの使用量は、該回収グリーンシートに含まれるスカンジア安定化ジルコニア粒子の質量に換算し、前記スラリー中に含まれる全スカンジア安定化ジルコニア粒子粉末中1質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、60質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
スラリーは、上記成分を適量混合することにより調製する。その際、各粒子の微細化や粒子径を均一化するために、ボールミル等により粉砕しつつ混合してもよい。また、各成分の添加の順番は特に制限されず、従来方法に従えばよい。
なお、スラリー調整時にボールミル等により粉砕を行いつつ混合する場合には、原料粉末を粉砕しすぎないようにする必要がある。原料粉末を粉砕しすぎると微粒子が増加してしまい、得られるスカンジア安定化ジルコニアシートの残留ポアが増加するおそれがある。
そのため、調整後のスラリー中の原料粉末の50体積%径(D50)は、0.2μm以上が好ましく、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.4μm以上であり、0.7μm以下が好ましく、より好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。前記D50が上記範囲内であれば、ScZr粉末の焼結性がより良好となる。
前記調整後のスラリー中の原料粉末の10体積%径(D10)は、0.2μm以上が好ましく、より好ましくは0.22μm以上、さらに好ましくは0.25μm以上であり、0.4μm以下が好ましく、より好ましくは0.35μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。前記D10が上記範囲内であれば、ScZr粉末中の微粒子が少ないため、焼結時の初期段階で活性の高い微粒子によって不均一に局所的な焼結が生じることが低減でき、得られるジルコニアシートの残留ポアをより低減できる。
前記調整後のスラリー中の原料粉末の90体積%径と50体積%径との比(D90/D50)は、1.4以上が好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.55以上であり、2.2以下が好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.9以下である。前記調整後のスラリー中の原料粉末の90体積%径と10体積%径との比(D90/D10)は、2.15以上が好ましく、より好ましくは2.25以上、さらに好ましくは2.35以上であり、3.4以下が好ましく、より好ましくは3.2以下、さらに好ましくは3.1以下である。
2.グリーンシートの製造
次に、上記で得たスラリーを用いてグリーンシートを製造する工程について説明する。本発明の製造方法においては、得られたスラリーを用いてテープキャスティング法によりシート状に塗工し、乾燥してグリーンシートとする。
ここで、テープキャスティング法とは、原料粉末を含んだスラリーをシート状に塗工する方法であり、例えば、ドクターブレード法が挙げられる。ドクターブレード法は、一般的にはスラリータンク中へと原料スラリーを供給して、ここへ圧力をかけ、配管を介してスラリーを塗工ダムへ輸送し、ドクターブレードによりスラリーの厚さが均一となるように、キャリアーフィルム上に塗工する。前記キャリアーフィルムの材料は特に制限されず、従来公知のプラスチックフィルムを使用することができる。キャリアーフィルムには、可撓性のみならず、グリーンシートの支持体として十分な剛性および強度も要求される。そのため、キャリアーフィルムの厚みは、50μm〜250μmとすることが好ましい。
その後、キャリアーフィルム上に塗工されたスラリーを乾燥することにより、シート状成形体、即ちグリーンシートとする。乾燥条件は特に制限されず、例えば室温〜150℃の一定温度で乾燥してもよいし、50℃、80℃、120℃の様に順次連続的に昇温して加熱乾燥してもよい。
ここで、本発明の製造方法では、グリーンシートを成形する工程を含んでもよい。グリーンシートの成形方法としては、所望とする大きさに成形できる方法であれば特に限定されず、打抜き若しくは切断加工が挙げられる。成形後のグリーンシートの形状としては、円形、楕円形、角形、R(アール)を持った角形等何れでもよく、これらのシート内に同様の円形、楕円形、角形、Rを持った角形等の穴を1つもしくは2つ以上有するものであってもよい。グリーンシート厚も特に制限されるものではないが、例えば35μm以上、1000μm以下程度とすることができる。また、平面面積も特に制限されるものではなく、例えば、1.5cm2以上、2000cm2以下程度にすることができる。
ジルコニアグリーンシートの表面粗さは、使用する原料ジルコニア粉末やスラリーの粒度分布等に依存するが、ドクターブレード法によるテープキャスティングの場合、必要に応じて比較的容易に調整することができる。例えば、粗化したPETフィルム上にキャスティングしたり、キャスティング後に表面を粗くした粗化用シートあるいは金型をグリーンシートに押圧すればよい。なお、セラミックグリーンシートの表面粗さとしては、一般的には、Raで0.01μm以上、6μm以下の範囲が好適である。
3.グリーンシートの焼成
グリーンシートを焼成する工程では、上記のようにして作製されたグリーンシートを焼成し、ジルコニアシートとする。
グリーンシートの焼成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、グリーンシートを1枚ずつ棚板に載置して焼成することも可能であるが、量産化のためにグリーンシートと多孔質スペーサーシートとを交互に積み重ねた積層体を棚板に載置して焼結することが好ましい。積層体の構成は、最下段にスペーサーシートを置き、その上にグリーンシートとスペーサーシートを交互に積み重ね、最上段にはスペーサーシートを載せたものからなる。最下段のスペーサーシートはグリーンシートと棚板との接合を防ぎまた、最上段のスペーサーシートは重しとなりシートの反りやうねりを低減する。
具体的な焼成の条件は特に制限されず、常法によればよい。例えば、グリーンシートからバインダーや可塑剤等の有機成分を除去するために100℃〜400℃、好ましくは150℃〜300℃で2時間〜50時間程度処理する。次いで、1300℃〜1600℃、好ましくは1350℃〜1500℃で2時間〜10時間保持焼成することにより成形体を焼結すればよい。
本発明の製造方法により作製されるスカンジア安定化ジルコニアシートの大きさは、適宜調整すればよい。例えば、厚さが0.03mm以上、0.6mm以下、より好ましくは0.1mm以上、0.3mm以下であり、また、平面面積が1cm2以上、1000cm2以下、より好ましくは50cm2以上、300cm2以下のジルコニアシートを製造することができる。
また、本発明方法により製造されるスカンジア安定化ジルコニアシートは、非常に緻密質のものである。具体的には、相対密度(アルキメデス法で測定した密度/理論密度)が、99%以上である。さらに、スカンジア安定化ジルコニアシートについて、研磨した断面を走査型電子顕微鏡で観察して見られる残留ポアの面積率は0.4%以下、好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
上述したように、本発明の製造方法により得られるスカンジア安定化ジルコニアシートは、残留ポアが少なく高強度である。よって、当該ジルコニアシートは薄い大判のものとすることができ、固体酸化物形燃料電池の電解質シートとして有用であり、当該固体酸化物形燃料電池は、効率的な発電が可能で且つ長寿命のものとなる。
本発明の製造方法により製造されたスカンジア安定化ジルコニアシートを電解質として用いた固体酸化物形燃料電池用単セルとするには、常法を用いることができる。即ち、スカンジア安定化ジルコニアシートの一方の面に燃料極、他方の面に空気極を形成し、また、必要に応じて、電解質材料と燃料極材料または空気極材料との反応を防止するために、電解質の一方の面または両方の面に中間層を形成する。よって、電解質シートと燃料極、空気極または中間層との接合力を高め電解質からの剥離を防止するために、電解質シートの表面にアンカー効果を付与する表面粗さをもたせることが好ましい。
燃料極材料としては、一般的に、Ni、Co、Ru等と安定化ジルコニアおよびセリア酸化物のサーメットが好適に使用される。特に好ましくは、Niと9〜12モル%スカンジア安定化ジルコニアからなるサーメットである。これら燃料極材料を、エチルセルロース等のバインダー、α−テルピネオール等の溶剤とともに混練して燃料極ペーストとするか、或いはミリングして燃料極スラリーとし、これをスクリーン印刷法、コーティング法等で被覆・乾燥・焼成することで燃料極を形成することができる。
空気極材料としては、LaMnO3、LaCoO3やLaFeO3を基本構造とするペロブスカイト型構造酸化物、さらには、これらペロブスカイト型構造酸化物に安定化ジルコニアおよび/またはセリア酸化物が添加された混合物を挙げることができる。特に好ましくは、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83またはLaNi0.6Fe0.4に9〜12モル%Sc23安定化ジルコニアを加えた混合物が好適に使用される。上記燃料極の場合と同様に、空気極ペーストあるいは空気極スラリーを調製し、電解質シートの燃料極と反対の面に、スクリーン印刷法、コーティング法等で被覆・乾燥・焼成することで空気極を形成することができる。
燃料極と空気極の形成の順序は特には限定されるものではない。また、固体電解質と空気極との間に、これらの固相反応防止のために、上記セリア酸化物からなる中間層を形成していてもよい。さらには、燃料極の上に燃料極コンタクト層や、空気極の上に空気極コンタクト層を形成してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.評価方法
1−1.原料粉末の粒度測定
堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」を用い、蒸留水中に分散剤として0.2質量%のメタリン酸ナトリウムを添加した水溶液を分散媒とした。当該分散媒の約100cm3中に粉末を0.01〜0.5質量%添加し、3分間超音波処理して分散させた後に、体積基準の粒度分布を測定した。
1−2.調整後のスラリー中の原料粉末の粒度測定
調整後のスラリーを一部採取し、トルエンで希釈した後、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」を用いて、体積基準の粒度分布を測定した。
1−3.比表面積の測定
吸着分子として窒素を用い、BET法により粉末の比表面積を測定した。測定機器としては、マウンテック社製のマックソーブHM−1210型を用いた。測定は一試料につき3点行い、その平均値を比表面積とした。
1−4.残留ポアの測定
試料を樹脂に埋め、埋没している試料断面が表面に露出するまで研磨した。その後、徐々に微細な研磨剤に置き換えて研磨してゆき、最後は0.05μmのアルミナ研磨剤で仕上げた。表面を洗浄後、Pt蒸着して走査型電子顕微鏡で全視野がジルコニアシートの断面となるように、写真(5千〜2万倍)を20枚撮影した。各写真について、画像処理により、視野内の気孔の面積率を求めて残留ポア(%)とし、20枚の平均値を求めた。
2.ScZr粉末の調製
調製例2−1.ScZr粉末A−1
アスペックミル(コトブキ技研工業(株)製、「AMV−1型」)を用い、これに原料粉体スラリーとして、50体積%径が0.6μm、90体積%径が1.27μmであるスカンジア安定化ジルコニア粉末4kgおよび溶媒としての純水6kgを投入した。ここに、ボールメディアとして、0.5mm径のジルコニアメディア(比重6g/cm3)を、4kg仕込んだ。
ミルモーターの動力を調整し、攪拌羽根先端周速度(ω)7m/秒にて1時間30分粉砕した。この湿式粉砕により得られたスラリーを10リットルロータリーエバポレーターに入れ、さらに該スラリーと等量のオクタノールを入れて、加熱減圧しながら水を留出させてオクタノール置換スラリーを得た。このスラリーを更に加熱減圧してオクタノールを留出させ減圧乾燥してScZr粉末A−1を得た。粉体の粒度特性を表1に示した。また、ScZr粉末A−1の粒度分布曲線を図1に示した。
調製例2−2.ScZr粉末A−2、A−3
粉砕時間を1時間20分、1時間に変更したこと以外は上記調製例2−1と同様にして、ScZr粉末A−2、A−3を調製した。各粉体の粒度特性を表1に示した。
3.スカンジア安定化ジルコニアシートの製造
3−1.製造例1−1
原料粉末として上記で得たScZr粉末A−1を100質量部、溶媒としてトルエン60質量部、および分散剤としてソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤3質量部からなる混合物を、ボールミルにより粉砕しつつ混合した。当該混合物へ、バインダーとしてメタクリレート系共重合体溶液(数平均分子量:50000,ガラス転移温度:−8℃,固形分濃度:50質量%)を固形分換算で15質量部と、可塑剤としてジブチルフタレート2.5質量部を添加し、ボールミルにより20時間混合してスラリーとした。得られたスラリーを濃縮脱泡することにより、25℃での粘度を2Pa・sに調整し、塗工用スラリーとした。
上記塗工用スラリーを、ドクターブレード法によりPETフィルム上に塗工した。当該PETフィルムを、0.2m/分の速度で、50℃、80℃および110℃の3つの温度域を有する乾燥機中に通過させた後、スリッターで切断し、幅150mm、長さ20m、厚さ280μmの長尺グリーンシートを得た。当該長尺グリーンシートを切断し、一辺135mmの方形グリーンシートを120枚得た。また、この際、切断屑等を回収し、回収グリーンシートa−1を得た。
一辺150mmの方形アルミナ多孔質シート(気孔率:45%,厚さ:0.2mm)を2枚重ね、その上に上記グリーンシートを1枚重ね、さらにその上にスペーサーとして多孔質シートを重ね、さらにグリーンシートと多孔質シートを交互に9枚ずつ重ねて積層体とした。この積層体を焼成用棚板(厚さ20mm,400mm×400mm)の上に4セット載置し、各積層体の最上部に、ムライト・アルミナ製の重し用治具(気孔率:60%,嵩比重:1.3)を載せた。同様に、上記グリーンシートを9枚含む積層体を合計12個作成し、大気雰囲気下、1400℃で3時間焼結することにより、一辺約100mm、厚さ250μmのスカンジア安定化ジルコニアシートを108枚製造した。得られたシートの中から任意の5枚について、各シート4箇所の試料断面を撮影し、得られた20枚の画像を用いて残留ポアを評価した。
3−2.製造例1−2
原料粉末として、前記製造例1−1で得た回収グリーンシートa−1を使用したこと以外は、製造例1−1と同様にしてスカンジア安定化ジルコニアシートを製造し、残留ポアを評価した。なお、回収グリーンシートの使用量は、該回収グリーンシートに含まれるScZr粒子の質量に換算して、原料粉末中の全ScZr粒子中30質量%となるように調整した。
3−3.製造例2
原料粉末をScZr粉末A−2に変更したこと以外は、製造例1−1と同様にして、グリーンシートを製造し、回収グリーンシートa−2を得た。
原料粉末として、前記回収グリーンシートa−2およびScZr粉末A−2を使用したこと以外は、製造例1−2と同様にしてスカンジア安定化ジルコニアシートを製造し、残留ポアを評価した。なお、回収グリーンシートの使用量は、該回収グリーンシートに含まれるScZr粒子の質量に換算して、原料粉末中の全ScZr粒子中30質量%となるように調整した。
3−4.製造例3
原料粉末をScZr粉末A−3に変更したこと以外は、製造例1−1と同様にして、グリーンシートを製造し、回収グリーンシートa−3を得た。
原料粉末として、前記回収グリーンシートa−3およびScZr粉末A−3を使用したこと以外は、製造例1−2と同様にしてスカンジア安定化ジルコニアシートを製造し、残留ポアを評価した。なお、回収グリーンシートの使用量は、該回収グリーンシートに含まれるScZr粒子の質量に換算して、原料粉末中の全ScZr粒子中30質量%となるように調整した。
3−5.製造例4−1
原料粉末を表1に示す粒度特性を有するScZr粉末に変更したこと以外は、製造例1−1と同様にしてグリーンシートを得た。また、この際、切断屑等を回収し、回収グリーンシートbを得た。
得られたグリーンシートを製造例1−1と同様に焼成して、スカンジア安定化ジルコニアシートを製造し、残留ポアを評価した。
3−6.製造例4−2
原料粉末として、前記製造例4−1で得た回収グリーンシートbを使用したこと以外は、製造例4−1と同様にしてスカンジア安定化ジルコニアシートを製造し、残留ポアを評価した。なお、回収グリーンシートの使用量は、該回収グリーンシートに含まれるScZr粒子の質量に換算して、原料粉末中の全ScZr粒子中30質量%となるように調整した。
製造例4は、原料粉末として、粗粒子を多く含む従来のScZr粉末を用いた場合であるが、残留ポア評価は0.42%、0.52%であった。これに対して、製造例1〜3は、原料粉末として、D90が0.3μm以上1.0μm以下、比(D90/D50)が1.2以上2.1以下であるScZr粉末を用いた場合であるが、得られたジルコニアシートの残留ポア評価は0.16%〜0.22%であり、残留ポアが非常に低減されている。
また、製造例1−1と製造例1−2との比較から、原料粉末として、回収グリーンシートを用いることにより、ジルコニアシートの残留ポアをより低減できることがわかる。

Claims (3)

  1. 固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートを製造するための方法であって、
    スカンジア安定化ジルコニア粉末、溶媒およびバインダーを含むスラリー原料を混合してスラリーを調整する工程;
    得られたスラリーを用いてテープキャスティング法によりシート状に塗工し、乾燥してグリーンシートとする工程;
    グリーンシートを焼成する工程;を含み、
    前記スカンジア安定化ジルコニア粉末として、90体積%径(D90)が0.3μm以上1.0μm以下、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.2以上2.1以下、BET比表面積から算出される平均粒子径(D SA )と90体積%径(D 90 )の比(D 90 /D SA )が3以上12以下であるスカンジア安定化ジルコニア粉末を用いることを特徴とする製造方法。
  2. 前記スラリー原料として、スカンジア安定化ジルコニア粒子を含有する回収グリーンシートを使用し、
    前記回収グリーンシートの使用量を、該回収グリーンシートに含まれるスカンジア安定化ジルコニア粒子の質量に換算し、前記スラリー中に含まれる全スカンジア安定化ジルコニア粒子の質量中1質量%以上60質量部%以下とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記スカンジア安定化ジルコニア粉末のBET比表面積が8m2/g以上13m2/g以下である請求項1または2に記載の製造方法。
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