明細書
電気化学セル用基板および電気化学セル 本発明は、 固体電解質型燃料電池 (S O F C) や固体電解質水蒸 気電解セル (S OE) 等の電気化学セルに関するものである。
背景技術
固体電解質型燃料電池は、 いわゆる平板型と円筒型とに大別され る。 平板型の固体電解質型燃料電池においては、 いわゆるセパレ一夕と 発電層とを交互に積層することにより、 発電用のス夕ックを構成する。 即ち、 固体電解質膜に燃料極と空気極とをそれぞれ形成して発電層を作 成し、 またインターコネクタ一を作成し、 この発電層とインターコネク 夕一との間に、 セラミックス粉末と有機バインダ一とを含有する薄膜を 挟み、 これを熱処理することにより、 発電層とインターコネクターとを 接合する。
このような電気化学セルを製造する方法として、 WO 03Z02
704 1 A 1記載の方法では、 燃料極の成形体上に固体電解質膜の成 形体を積層し、 コールドアイソス夕ティックプレス法によって一体成形 する方法を開示した。 この成形体を一体で焼結する。
また、 燃料極と固体電解質膜との界面に沿って、 燃料極材料から なる活性層を設けることは、 以下の文献に記載されている。
US 6 , 2 2 8 , 5 2 1 B 1
特開平 9 - 2 5 9 8 9 5号公報
特開平 1 0— 2 1 9 3 0号公報
特開 2 00 2— 2 6 0 6 7 7号公報
特開 2 00 2— 2 8 9 248号公報
発明の開示
しかし、 特許文献 1記載の方法において、 燃料極の気孔率を上昇 させて通気性を上げるために、 造孔材を添加する必要がある。 しかし、 これによつて固体電解質のグリーンシ一トと燃料極のグリーン成形体と の接合強度が低下し、 共焼結後の固体電解質膜に、 燃料極からの剥離や クラックが見られることがあった。 また、 単電池の定格出力に限界があ つた。
本発明の課題は、 電気化学セルの燃料極と固体電解質膜との密着 性を向上させて固体電解質膜の剥離やクラックを抑制するのと共に、 電 気化学セルにおける電気化学的反応効率を向上させることである。
本発明に係る電気化学セル用基板は、 燃料極本体、 固体電解質膜、 および本体と固体電解質膜との間に設けられており、 金属粒子と固体電 解質粒子とのサ一メットからなる活性層を備えており、 活性層の厚さが 以上、 1 5 m以下であり、 活性層を構成する金属粒子の平均粒 径 dmおよび固体電解質粒子の平均粒径 d sが 0. 5〃m以上、 1. 0 m以下であり、 ((1111/013) が0. 8〜: L . 2であることを特徴とす る o
また、 本発明は、 前記電気化学セル用基板、 および固体電解質膜 上に形成されている空気極を備えていることを特徴とする、 電気化学セ ルに係るものである。
本発明者は、金属粒子と固体電解質粒子とのサ一メットからなる 活性層を基板本体と固体電解質膜との界面に沿って設けるのと共に、 活 性層の厚さを 5〃m以上、 1 5〃m以下とし、 活性層を構成する金属粒 子の平均粒径 dmおよび固体電解質粒子の平均粒径 d sを 0. 5 zm以 上、 1. 0 m以下とし、 dmの d sに対する比率 ( dm/d s ) を 0. 8〜 1. 2に調整することを想到した。 この結果、 電気 ¾学セルの燃料
極と固体電解質膜との密着性を向上させて固体電解質膜の剥離やクラッ クを抑制するのと共に、 電気化学セルの効率を向上させることに成功し 7 o
ここで、 活性層の厚さを 3〃m以上、 1 5〃m以下とすること、 活性層を構成する金属粒子の平均粒径 dmおよび固体電解質粒子の平均 粒径 d sを 0. 5〃m以上、 1. 0〃m以下とすること、 dm/d sを 0. 8 1. 2にすることは、 いずれも、 固体電解質膜の燃料極からの 剥離やクラックを抑制し、 電気化学反応効率を向上させる上で有効であ つた。
この観点からは、 活性層の厚さを 6 m以上とすること、 あるい は、 1 0 m以下とすることが更に好ましい。 また、 dm d sは、 そ れそれ、 0. 8〃m以下とすることが更に好ましく、 0. 7 m以下と することが最も好ましい。 また、 (1111/€13を 0. 9以上とすること、 あるいは、 1. 1以下とすることが更に好ましい。 図面の簡単な説明
図 1 (a)、 図 1 (b)、 図 1 (c) は、 本発明の一実施形態に係る電 気化学セル用基板 7の製造プロセスを示す模式図である。
図 2 (a)、 図 2 (b) は、 電気化学セル用基板 7の製造プロセスを示 す模式図である。
図 3 (a)、 図 3 (b) は、 他の実施形態に係る製造プロセスを示す模 式図であり、 一層の燃料極本体用グリーン成形体 5の両主面上に固体電 解質膜用成形体 3 A 3 Bを設け、 コールドアイソスタティ ックプレス することによって、 加圧成形体 6 Aを得ている。
図 4 (a) は、 電気化学セル用基板 7上に他方の電極用のグリーン成 形体 1 0を形成した状態を示しており、 図 4 (b) は、 電気化学セル用
基板 7上に他方の電極 1 1を形成した状態を示している。 発明を実施するための最良の形態
以下、 適宜図面を参照しつつ、 本発明を更に詳細に説明する。 以 下は、 好適な製造プロセスに沿って説明する。
図 1〜図 3は、 本発明の電気化学セル用基板を製造するのに適し た製造プロセスの各工程を示す。 図 4 ( b ) は、 本発明の一実施形態に 係る電気化学セル 1 2およびセル用基板 7を示す図である。
図 1 ( a ) に示すように、 燃料極の本体のグリーン成形体 5の主 面 5 a上に、 活性層用の塗布層 1 5を形成する。 次いで、 図 1 ( b ) に 示すように、 塗布層 1 5上に、 固体電解質膜のグリーン成形体 3を積層 し、 この上に樹脂シート 4を積層する。 5 bはグリーン成形体 5の主面 であり、 5 cは側面である。 グリーン成形体 5、 3、 樹脂シート 4の積 層体 2の全体を被膜 1によって被覆し、 コールドアイソスタティックプ レスに供する。 これによつて、 積層体 2の全表面にわたって均一な圧力 が加わる。 あるいは、 図 1 ( c ) に示すように、 固体電解質膜のグリ一 ン成形体 3上に活性層の塗布層 1 5を成膜し、 次いで成形体 3および塗 布層 1 5を燃料極本体のグリーン成形体 5に対して積層することができ る。
次いで、 得られた加圧成形体から被膜 1を剥離し、 図 2 ( a ) に 示す積層体 6を得る。 次いで、 加圧成形体 6から樹脂シート 4を剥離さ せ、 加圧成形体 6を焼結させ、 図 2 ( b ) に示す電気化学セル用基板 7 を得る。 基板 7は、 燃料極本体 8と、 固体電解質膜 9と、 本体 8と固体 電解質膜 9との界面に沿って形成されている活性層 1 6とからなる。 ' また、 一層の燃料極本体のグリーン成形体 5に対して複数層の固 体電解質膜のグリーン成形体 3 A、 3 Bを積層し、 コールドアイソス夕
ティヅクプレス法によって加圧成形することができる。例えば、図 3 (a)、 (b) に示すように、 燃料極本体のグリーン成形体 5の両主面 5 a、 5 b上に、 それそれ、 活性層の塗布層 1 5を形成し、 その上に、 それぞれ 固体電解質膜のグリーン成形体 3 A、 3 Bを、 それぞれ樹脂シート 4A、 4 Bが積層した状態で積層する。 そして、 樹脂シート 4 A、 4 Bの外表 面およびグリーン成形体 5の側面 5 cの全面を被膜 1によって被覆し、 コールドアイソスタティックプレスに供する。 得られた加圧成形体から 各樹脂シート 4 A、 4 Bを剥離させ、 図 3 (b) に示す加圧成形体 6 A を得る。
この加圧成形体 6 Aを得た後、 多孔体のグリーン成形体 5を、 主 面 5 a、 5 bと略平行に 1 7のように切断し、 2体の加圧成形体 6を得 る (図 2 (a) 参照)。 この加圧成形体 6を焼結させることによって、 図
2 (b) に示す積層焼結体 7を得る。
あるいは、 加圧成形体 6 Aを焼結させることによって、 一層の燃 料極 8と二層の固体電解質膜 9とを備える電気化学セル用基板を得る。 この後、 積層焼結体を切断し、 図 2 (b) に示す電気化学セル用基板 7 を 2体得ることができる。
電気化学セルを製造する際には、 例えば図 4 (a) に示すように、 電気化学セル用基板 Ίの固体電解質層 9の表面に, 他方の電極用の成形 体 1 0を設ける。 そして、 この成形体 1 0を焼結させることによって、 図 4 (b) に示すように、 他方の電極 1 1を形成し、 電気化学セル 1 2 を得る。
本発明の電気化学セルは、 固体電解質型燃料電池、 酸素ポンプ、 高温水蒸気電解セルとして使用できる。 高温水蒸気電解セルは、 水素の 製造装置に使用でき、 また水蒸気の除去装置に使用できる。 この場合に は、 各電極で次の反応を生じさせる。
陰極 : H20 + 2 e-→ 2 + 02- 陽極 : 02— -»2 Θ~+ 1 /202
また、 電気化学セルを、 NOx、 S 0 Xの分解セルとして使用で きる。 この分解セルは、 自動車、 発電装置からの排ガスの浄化装置とし て使用できる。 また、 好適な実施形態では、 電気化学セルが、 固体電解 質型燃料電池である。
固体電解質として使用することのできる材料は、 イオン導電性を 有するものであれば特に限定されるものではないが、以下を例示できる。 酸化ネオジム (N d2〇3)、 酸化サマリゥム (31112〇 3)、 ィ ヅ ト リァ (Y 203 )、 酸化ガドリニウム (G d 2〇3) などを固溶した安定化ジル コニァおよび部分安定化安定化ジルコニァ。
酸化ネオジム (N d 203 )、 酸化サマリウム (Sm2〇3)ヽ イ ッ ト リア (Y 203 )、 酸化ガドリニウム (Gd 203 ) などを固溶したセリア (C e 02)ヽ
Sr、 Mgなどを固溶したランタンガレ一ト(L a Ga 03)。
燃料極、 および活性層の各材質は、 金属粒子と固体電解質粒子と の混合粉末の焼結体である。 ここで、 燃料極と活性層との間で、 金属粒 子が同一または異なっていて良く、 固体電解質粒子が同一または異なつ ていて良い。
この金属粒子としては、 ニッケル、 パラジウム、 白金、 ルテニゥ ム、 およびこれらの合金からなる粒子が特に好ましい。 また、 固体電解 質粒子としては、 ジルコニァ、 セリアを例示できる。 特に好ましくは金 属粒子がニッケルからなり、 固体電解質粒子が安定化または部分安定化 ジルコニァからなる。
活性層における金属粒子と固体電解質粒子との比率は限定され ないが、 容量%単位で 2 5 : 7 5〜 6 5 : 3 5が好ましく、 4 5 : 5 5
〜 5 5 : 4 5が特に好ましい。
燃料極本体、 活性層を構成するグリーン成形体は、 燃料極本体、 活性層の主原料に、 有機バインダ一と造孔材と水とを混合した混合物を 成形した成形体が好ましい。 この有機バインダーとしては、 ポリメチル ァクリレート、 ニトロセルロース、 ポリビニルアルコール、 ポリビニー ルブチラ一ル、 メチルセルロース、 ェチルセルロース、 スターチ、 ヮヅ クス、 アクリル酸ポリマ一、 メタクリル酸ポリマ一等を例示することが できる。 主原料の重量を 1 0 0重量部としたとき、 有機バインダ一の添 加量は 0 . 5〜5重量部とすることが好ましい。
燃料極本体のグリーン成形体の成形方法は限定されず、 ドク夕一 ブレード法、 ディ ップ法、 押出法、 金型プレス成形法など、 通常のセラ ミック成型技術であってよい。 固体電解質膜のグリーン成形体の成形方 法は限定されず、 ドクターブレード法、 ディ ップ法、 押出法など、 通常 のセラミック成形技術であってよい。 ただし、 グリーン成形体の厚さを 均一化することが重要であることから、 厚さを均一化しやすい点で、 ド クタ一ブレード法、 押出法が好ましい。 ドク夕一ブレード法で成形した の場合は上記バインダ一の他可塑剤としてポリエチレングリコール、 ポ リアルキレングリコール、 ジブチルフ夕レート等、 解膠剤としてグリセ リン、 ォレイン酸、 ソルビタントリオール等、 溶媒としてトルエン、 ェ 夕ノール、 ブ夕ノール等を用いると好ましい。
' 固体電解質膜のグリーン成形体は、 固体電解質膜の主原料に、 有 機バインダーと水 (溶媒) とを混合した混合物を成形した成形体が好ま しい。 この有機バインダーとしては、 前述のものを使用できる。 この主 原料の重量を 1 0 0重量部としたとき、 有機バインダ一の添加量は 0 . 5〜 2 0重量部とすることが好ましい。
活性層の塗布方法は限定されず, スクリーン印刷法、 ディ ップコ
—ト、 キャスティングなど公知の膜形成方法が好ましい。
空気極の材質は、 ランタンを含有するぺロブスカイ ト型複合酸化 物であることが好ましく、 ランタンマンガナィ ト又はランタンコバル夕 ィ 卜であることが更に好ましく、ランタンマンガナィ トがー層好ましレ、。 ランタンマンガナイ トは、 ストロンチウム、 カルシウム、 クロム、 コバ ルト、 鉄、 ニッケル、 アルミニウム等をドープしたものであってよい。 また、 パラジウム、 白金、 ルテニウム、 白金ージルコニァサーメッ ト、 パラジウム一ジルコ二アサ一メヅ ト、 ルテニウム一ジルコ二アサーメッ ト、 白金一酸化セリウムサーメッ ト、 パラジウム一酸化セリウムサーメ ヅ ト、 ルテニウム一酸化セリウムサーメッ トであってもよい。
積層体をコールドアイソス夕ティ ヅクプレスする際の圧力は、 積 層体の各グリーン成形体の密着性を高めるという観点から、 5 0 0 k g f/cm2以上、 更には l O O O k gf/cm2以上とすることが好まし く、 加圧力の上限は、 実用的には 1 0 t f /cm2以下とすることがで きる。 焼成温度は、 通常は 1 2 00°C〜 1 7 0 0°Cとする。 実施例
以下、 更に具体的な実験結果について述べる。
図 1〜図 4を参照しつつ説明した前記方法に従って、 図 4 (b) に示す固体電解質型燃料電池用単電池 1 2を作製した。
(工程 1 :活性層用塗布層付の固体電解質膜用成形体 3の製造)
N i Oと 8mo lィ ヅ トリァ安定化ジルコ二ァとを所定の割合で混合 し、 ジルコニァ玉石および水を加え、 ポッ ト中で 3時間または 1 0 0時 間混合した。 混合後のスラリーを 60°Cで乾燥し、 整粒した。 得られた 調合粉に対して、 バインダーと溶剤とを加え、 ト リロールミルを用いて 混練を行うことにより、 活性層形成用ペース トを得た。 一方、 3 mo l
安定化ジルコニァからなる固体電解質膜用の成形体 3を準備した。 図 1 ( c) に示すように、 成形体 3の表面に活性層用ペーストをスクリーン 印刷し、 8 0°Cで乾燥し、 活性層用塗布層 1 5付の成形体 3を得た。
(工程 2 :電気化学セル用基板 7の製造)
出発原料には、 NiOと 8 mo 1安定化ジルコニァを使用し、 造孔 材としてセルロースを添加した。 NiO と 8 mo 1安定化ジルコニァ及び 造孔材を所定の割合で調合し、 ジルコニァ玉石及び水を加えて 3時間混 合を行った。 混合後のスラリーを 6 0°Cで乾燥させ、 整粒した。 得られ た調合粉末は面圧 2 0 0 k g/c m2で円板状(直径 030顏)にプレス成 形した。 その後、 図 3 (a) に示すように、 成形体 5の両主面 5 a、 5 bに、 それぞれ、 塗布層 1 5付のグリーン成形体 3 A、 3 Bを'セヅ トし、 2 t o nZc m2の圧力でコールドアイソス夕ティ ヅクプレス処理する ことにより、 図 3 (b) に示す接合体 6 Aを得た。 この接合体 6 Aを、 大気中、 1 3 2 0〜 1 3 7 0 °Cで 2時間共焼結し、直径 012顯、厚さ 1龍 に加工し、 電気化学セル用基板 7とした (図 4 (a))。
(工程 3 :空気極用ペーストの製造)
出発原料としては、 1 3 5 0 °Cで 5時間熱処理することで合成し た LaQ.8Ca。.2Mn03_ 以下、 LCM)粉末を使用した。 LCM粉末は、 平均粒径 1 となるよう粉砕を行った。 粉砕は LCM粉末とジルコニァ玉石、 水を 加えて 8 0時間行った。 その後、 乾燥 ·整粒を行い、 LCM粉砕粉を得た。 得られた LCM粉砕粉に対し、 バインダーと溶剤を加え、 トリ口一ルミル を用いて混練することにより、 LCMペーストを作製した。
(工程 4 :単セル 1 2の製造)
先述した燃料極基板と LCMペース トから単セルを作製した。空気極は、 燃料極基板 (工程 2 ) に LCMペースト (工程 3 ) をスクリーン印刷する ことにより形成した。 電極面積は 0. 2 8cm2(06mm)とした。 印刷後の
膜は、 8 0 °Cで乾燥後、 大気中、 1 2 0 0 °Cで 1時間焼付を行った。 焼 付後、 セルの空気極 '燃料極それぞれに対し、 Ptペーストをスクリーン 印刷 ·乾燥して集電層を形成、 単セルとした。
(発電性能の評価)
発電性能の評価方法は、 次の様に行った。 750°Cまで昇温した後に、 ガ ス流量を燃料極側 H2: 2 0 0 cc/min、 空気極側 Air: 2 0 0 cc/minとし、 燃料極の還元(NiOを Niへと還元)を 4時間実施した。 引続き、 燃料極側 ガスを 10°C加湿 ¾( 1.2%¾0-¾)に切替え、通電処理としてポテンシヨス 夕ヅ トを用いてセル電位を 0 . 3 Vに固定し、 3時間通電を行った( 0 - 3 V定電位通電)。以上の前処理終了後に、 6 5 0 °Cにおける発電性能を 評価した。 評価として電流遮断法による I- V測定を実施した。 電流遮断 測定には、カレントパルスジェネレータ一とオシロスコープを使用した。
表 1
空気極: LCM [La0.8Ca0.2Mn03-J
固体電解質膜: 3 mo 1ィ ヅ トリア安定化ジルコニァ
燃料極 :
(活性層) 50vol% Ni/YSZ [調合時の NiO:YSZ重量比 =65:35]
(基板) 55vol%Ni/YSZ [調合時の NiO:YSZ:セルロース重量比 =70:30:10] また、 表 1において、 1 ) Ni,YSZ各粒子の粒径は、 それそれ、 活 性層の断面の微構造写真から計測した。 即ち、 活性層を含むようにセル を切断'し、 研磨し、 5 0 0 0〜 1 00 00倍の走査型電子顕微鏡写真を 撮影する。 この写真について、 視野 1 0 X 5〃m の範囲で、 各粒子の粒 径を約 5 0個計測し、 その平均値を求める。
また、 活性層内の粒径が揃っていることから、 Niの粒径と YSZの粒径 とは同程度であった。
また、 各セルについて定格出力密度を測定した。 しかし、 2 ) につい ては、 共焼結時に固体電解質にクラックが入ったため、 性能を評価でき なかった。
実施例 1、 2、 比較例 1、 2では、 活性層用調合粉の混合時間及 び共焼結温度を変更することで粒径の異なる活性層を形成した。
即ち、 比較例 1 では、 (工程 1 ) における活性層形成用の調合粉 の混合時間を 3時間に短縮した。 実施例 1、 2、 3、 4、 5、 比較例 2、 4では、 その混合時間を 1 0 0時間とした。
実施例 2では、 工程 2における共焼結温度を 1 3 4 5 °Cとした。 比較例 2では、 工程 2における共焼結温度を 1 3 2 0 °Cとした。 実施例 1、 3、 4、 5、 比較例 1、 3では、 工程 2における共焼 結温度を 1 3 7 0 °Cとした。
工程 1において、 固体電解質膜用成形体 3'に活性層用ペーストを スクリーン印刷する際に、使用するスクリーンマスクの総厚みを変更し、 及び多層印刷することにより、活性層の厚さを変更した。比較例 3では、 活性層用ペーストの溶剤量を変更することにより、 活性層の厚さを変更 した。 即ち、 実施例 1、 2、 比較例 1、 2では、 総厚 9 0〃in のスクリ —ンマスクを使用し、 印刷した。 実施例 3では、 総厚 3 0 / m のスクリ —ンマスクを使用し、 印刷した。 実施例 4では、 総厚 3 0〃m のスクリ —ンマスクでの印刷 '乾燥後、 再度総厚 3 0 m のスクリーンマスクで 印刷した(重ね塗り)。 実施例 5では、 総厚 3 0 μ- のスクリーンマスク での印刷 ·乾燥後、 総厚 9 0 mのスクリーンマスクで印刷した(重ね塗 り)。 比較例 4では、 総厚 2 0 0 mのスクリーンマスクを使用し、 印刷 した。 比較例 3では、 活性層用ペース トの溶剤量を増量し、 総厚 3 0
mのスクリーンマスクを使用し、 印刷した。
この結果、 活性層を構成するニッケル粉末、 イツ ト リァ安定化ジ ルコニァ粉末の粒径を 0. 5 m以上、 1. 以下とし、 活性層の 厚さを 3〜 15 mとすることによって、高い定格出力密度が得られた。 比較例 1では、 活性層を構成するニッケル粉末、 ジルコニァ粉末の粒径 が 1. 2〃 m以上、 粒径比 ( d m/d s ) が 1. 2以上であるが、 定格 出力密度が 0. 27W/cm2である。 比較例 2では、 活性層を構成す るニッケル粉末、 ジルコニァ粉末の粒径が 0. 4 mであるが、 固体電 解質膜にクラヅクが生じた。 比較例 3では、 活性層の厚さが 2〃mであ るが、 定格出力密度が 0. 28W/cm2である。 比較例 4では、 活性 層の厚さが 30〃.mであるが、 固体電解質膜にクラックが生じた。
以上述べたように、 電気化学セルの燃料極と固体電解質膜との密 着性を向上させて固体電解質膜の剥離やクラックを抑制するのと共に、 電気化学セルにおける電気化学的反応効率を向上させることができる。