JP4950721B2 - 固体酸化物形燃料電池用燃料極材料 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用燃料極材料 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料に関するものである。また、本発明は、当該燃料極材料により形成された固体酸化物形燃料電池用燃料極、および当該燃料極を有する固体酸化物形燃料電池セルに関する。
固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」という場合がある)用セルにおいては、空気極で酸素分子が電子を得て酸素イオンとなり、この酸素イオンが固体電解質を経由して燃料極へ移動し、水素と反応して電子を放出する。この電子は外部回路を経由して燃料極から空気極に流れるが、この過程で物理的な仕事が行われる。かかるSOFC用セルの動作の原動力となるのは、空気極と燃料極における酸素濃度の差である。この酸素濃度差と温度により、SOFC用セルの起電力は一義的に決まるものであるが、電解質、燃料極および空気極のそれぞれで生じる内部抵抗により、セルの性能が異なる。よって、セルの内部抵抗を低減するための技術開発が進められている。
固体酸化物形燃料電池の燃料極材料としては、酸化ニッケルとジルコニアの粉末を混合してなるニッケル−ジルコニアサーメットが、高い電極触媒活性と高い導電率を有することから古くより用いられてきた。当該サーメットにおいて、酸化ニッケルとジルコニアの比率は、導電性、熱膨張率、電極反応活性などを考慮した上で最適化される。即ち、ニッケルは電極活性と電子導電性を有する物質であるが、その量が多過ぎるとイオン導電性が乏しくなり、熱膨張率が高くなる。一方、ジルコニアはイオン導電性を有し、ニッケル粉末を固定することにより反応場を維持するが、その量が多過ぎると電子導電率が不足し、緻密化し易くなる。よって、酸化ニッケルとジルコニアの混合比を工夫すれば、燃料電池セルの内部抵抗を減らし、その性能を高めることが可能になる。
しかしながら、酸化ニッケルとジルコニアの混合比を最適化するのみでは十分な発電性能は得られず、長期間にわたる発電中にサーメットの体積収縮とニッケルの凝集によって、発電性能の低下が起こることが知られている。この問題に対し、最近では、特許文献1に記載の技術のように、酸化ニッケルとジルコニアの微粒子に、さらにジルコニアの粗粒子を加える、或いはジルコニアの代わりにセリアを用いるなど、高い発電性能を長時間にわたり維持するための技術が開発されている。
特開平8−306361号公報
上述した様に、従来、固体酸化物形燃料電池の発電性能を長期間維持するための燃料極が開発されている。しかし、固体酸化物形燃料電池の実用化のためには、より一層の発電性能の向上が求められている。
そこで、本発明が解決すべき課題は、より一層高い発電性能を発揮することができる固体酸化物形燃料電池用の燃料極の材料を提供することにある。また、本発明は、高性能を有する固体酸化物形燃料電池用燃料極と固体酸化物形燃料電池セルを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、ニッケル化合物粉末とジルコニア粉末を混合して仮焼した後、適切な粒径となるよう粉砕し、さらに適切な粒径のジルコニア粉末を混合すれば、良好な発電性能を示す燃料極材料が得られることを見出して、本発明を完成した。
本発明の固体酸化物形燃料電池用燃料極材料は、ニッケル化合物粉末と第一ジルコニア粉末の混合物を1100〜1300℃で仮焼後に粉砕して得られる、平均粒子径が2〜10μmのニッケル化合物−ジルコニア混合粉末;および、平均粒子径が0.1〜1μmの第二ジルコニア粉末;からなることを特徴とする。
上記ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末としては、ニッケル化合物粉末の割合が40〜70質量%、第一ジルコニア粉末の割合が30〜60質量%であり、原料であるニッケル化合物粉末の平均粒子径が0.3〜5μm、第一ジルコニア粉末の平均粒子径が0.1〜1μmであるものが好ましい。
また、上記燃料極材料としては、ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末の割合が70〜95質量%、第二ジルコニア粉末の割合が5〜30質量%であるものが好適である。
上記第一および第二ジルコニア粉末としては、3〜10モル%イットリア安定化ジルコニア、4〜12モル%スカンジア安定化ジルコニア、および3〜15モル%イッテルビア安定化ジルコニアからなる群より選択される少なくとも1種の粉末が好適である。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池用燃料極は、固体酸化物形燃料電池における固体電解質の片面側に形成された燃料極であって、当該燃料極が上記燃料極材料で形成されたものであり、本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、固体電解質の片面側に上記燃料極が形成され、他方面側に空気極が形成されているものである。
本発明の燃料極材料を用いれば、発電性能に優れた固体酸化物形燃料電池の燃料極を製造することができる。よって、本発明の燃料極材料は、固体酸化物形燃料電池を一層実用化に近づけるものとして、産業上極めて有用である。
本発明の固体酸化物形燃料電池用燃料極材料は、ニッケル化合物粉末と第一ジルコニア粉末の混合物を1100〜1300℃で仮焼後、粉砕して得られる、平均粒子径が2〜10μmのニッケル化合物−ジルコニア混合粉末;および、平均粒子径が0.1〜1μmの第二ジルコニア粉末;からなることを特徴とする。
本発明のニッケル化合物−ジルコニア混合粉末の原料となるニッケル化合物としては、主には酸化ニッケルが用いられるが、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケルなどのニッケル塩を用いることもできる。
原料としてのニッケル化合物粉末の平均粒子径は、特に制限されないが、0.3〜5μmが好ましい。5μm以下であれば、ジルコニア粉末と速やかに混合できる。また、原料のニッケル化合物粉末の比表面積は、1.0〜10m2/g程度が好ましい。
本発明における粉末の平均粒子径(50体積%径)は、例えば堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置「LA−920」を用い、蒸留水中に分散剤として0.2質量%のメタリン酸ナトリウムを添加した水溶液を分散媒とし、該分散媒の約100cm3中に各粒子を0.01〜0.5質量%添加し、3分間超音波処理して分散させた後の測定値である。なお、50体積%径とは、粒度分布の測定結果において、累積グラフにおける50体積%での粒径をいう。
本発明のニッケル化合物−ジルコニア混合粉末は、上記ニッケル化合物粉末とジルコニア粉末の混合物を1100〜1300℃で仮焼した後、平均粒子径が2〜10μmとなるように粉砕して得られるものである。なお、本発明では、便宜上、当該混合粉末中のジルコニア粉末を第一ジルコニア粉末、当該混合粉末と混合するジルコニア粉末を第二ジルコニア粉末ということにより、2つのジルコニア粉末を区別する。
第一ジルコニア粉末としては、3〜10モル%イットリア安定化ジルコニア、4〜12モル%スカンジア安定化ジルコニア、および3〜15モル%イッテルビア安定化ジルコニアからなる群より選択される少なくとも1種の粉末が好適である。これらジルコニアは、イオン導電性に優れることによる。
第一ジルコニア粉末の粒径は、特に制限されないが、0.1〜1μmが好ましい。1μm以下であれば、ニッケル化合物粉末と速やかに混合できる。また、第一ジルコニア粉末の比表面積は、3.0〜30m2/g程度が好ましい。
ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末を調製するには、先ず、上記ニッケル化合物粉末と第一ジルコニア粉末とを混合する。両者の混合割合は適宜調整すればよいが、例えば、合計100質量%で、ニッケル化合物粉末の割合を40〜70質量%、第一ジルコニア粉末の割合を30〜60質量%とすることが好ましい。
ニッケル化合物粉末と第一ジルコニア粉末を混合する手段としては、湿式ボールミルが均一な混合物を得るのに優れている。他には、らいかい機などを用いた機械的粉砕法でもよく、或いは水などの溶媒中で単に分散混合するだけでもよい。
得られた混合物は、1100〜1300℃で仮焼する。1100℃以上で仮焼すれば十分に焼結が進み、仮焼物の強度を高めることができることから、ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末と第二ジルコニア粉末を混合する際における粉砕の進行を抑制することができる。一方、仮焼温度を1300℃以下とすることにより、過度の焼結を抑制し、電極反応に必要な活性点を十分に維持することができ、また、電解質との接着性も保持できる。
次いで、得られた仮焼物を粉砕し、平均粒子径が2〜10μmの酸化ニッケル−ジルコニア混合粉末を得る。単に仮焼するのみでは、粒子径が数μmから数百μmのものまで存在するので、粉砕を行って平均粒子径を調整する。粉砕手段に特に限定はなく、常法を用いればよいが、好適には遊星ボールミルを用いる。
上記混合物は、通常、1μm付近と数十μm付近に粒度ピークを有し、粉砕が進行するにつれて2つの粒度ピークの比率は変化し、平均粒子径(50体積%径)は小さくなっていく。よって、粉砕時には、適宜サンプルを採取して平均粒子径を測定し、所望の平均粒子径となったところで粉砕操作を中止すればよい。
本発明の燃料極材料は、上記ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末と、第二ジルコニア粉末からなる。当該第二ジルコニア粉末としては、上記第一ジルコニア粉末と同様のものが好適である。例えば、3〜10モル%イットリア安定化ジルコニア、4〜12モル%スカンジア安定化ジルコニア、および3〜15モル%イッテルビア安定化ジルコニアからなる群より選択される少なくとも1種の粉末であり、粒径が0.1〜1μm、比表面積が3.0〜30m2/g程度のものを好適に用いる。
ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末と第二ジルコニア粉末の混合割合は、70〜95:30〜5、即ち、ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末の割合を70〜95質量%、第二ジルコニア粉末の割合を5〜30質量%(合計で100質量%)とすることが好ましい。ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末が少な過ぎると十分な発電性能が得られず、電子導電性にも乏しくなり得る。一方、第二ジルコニア粉末が少な過ぎると、電解質との接着力が弱く、剥離が生じるおそれがある。
ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末と第二ジルコニア粉末との混合は、常法を用いればよく、例えば、ニッケル化合物と第一ジルコニア粉末との混合手段と同様の手段を用いればよい。
本発明の燃料極材料は、ニッケル化合物粉末と第一ジルコニア粉末の混合物を1100〜1300℃で仮焼する工程;得られた仮焼物を粉砕して、平均粒子径が2〜10μmのニッケル化合物−ジルコニア混合粉末を得る工程;および、当該ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末と、平均粒子径が0.1〜1μmの第二ジルコニア粉末とを混合する工程;を含む方法により、製造することができる。当該方法の細かな条件は、上記の説明を参照して適宜設定すればよい。
本発明の燃料極材料は、固体酸化物形燃料電池の燃料極を形成するために、燃料極ペーストとする。具体的には、本発明の燃料極材料を、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルブチラール樹脂などのバインダー;エタノール、トルエン、α−テルピネオール、カルビトールなどの溶剤;グリセリン、グリコール、フタル酸ジブチルなどの可塑剤、更には必要に応じて配合される分散剤、消泡剤、界面活性剤などと共に、例えば3本ロールミルや遊星ミルなどを用いて適度な粘度のペーストとする。
燃料極ペーストは、公知の方法で前記酸化物粒子に溶媒とバインダーをボールミル等で混練することによって調製されるが、この時、必要に応じて接合補助剤や消泡剤、レベリング性向上剤、レオロジー調整剤などを加えてもよい。
そして、前述した酸化物粒子にバインダーや溶剤を加え、らいかい機、ボールミル、3本ロールミルなどにより混練して均一に混合してペーストを得る。コーティングやディッピングによって燃料極を形成する場合は、B型粘度計で1〜50mPa・s、より好ましくは2〜20mPa・sの範囲に調整するのがよい。スクリーン印刷により燃料極を形成する場合の好ましいスラリー粘度は、ブルックフィールズ粘度計で50,000〜2,000,000mPa・s、より好ましくは80,000〜1,000,000mPa・s、更に好ましくは100,000〜500,000mPa・sの範囲である。
上記燃料極ペーストは、例えばバーコーター、スピンコーター、ディッピング装置などにより固体電解質上にコーティングし、或いはスクリーン印刷法などで薄膜状に製膜した後、40〜150℃の温度、例えば50℃、80℃、120℃の様な一定の温度、或いは順次連続的に昇温して加熱乾燥する。次いで、好適には1200〜1450℃で焼成し、燃料極を形成する。この際、1200℃以上であれば焼結が十分に進み、十分な導電率が得られる。一方、焼結温度を1450℃以下にすることにより、過度の焼結による電極反応活性の低下を十分に抑制することができる。
燃料極層の厚みは、電解質自立膜型セルの場合は10〜300μm程度が適当であり、好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmの範囲である。燃料極支持膜型セルの場合には0.3〜3mmが好適であり、さらに好ましくは0.5〜2.5mm、特に好ましくは1〜2mmの範囲である。
固体電解質は、公知のものを用いればよい。例えば、本発明に係る固体酸化物形燃料電池を使用する条件下において、酸素イオン導電率が高い種々の安定化ジルコニアからなるものを用いることができる。より具体的には、3〜15モル%のイットリア、スカンジア、セリア、或いはこれらの2種以上を添加することにより安定化したジルコニアを用いる。中でも、イオン導電率が高く、機械的特性に優れることから、4モル%以上のスカンジアを含有する安定化ジルコニアからなるものが望ましい。
固体電解質の厚さは、要求される導電率や強度に合わせて適宜調整すればよい。例えば、4〜6モル%のスカンジアを含む安定化ジルコニアからなる支持基板は100μm以下とすることが好ましく、10モル%以上のスカンジアを含む安定化ジルコニアでは500μm以下が好ましく、さらに好ましくは300μm以下とする。
空気極としては、電子導電性とイオン導電性の両方を有し、酸化雰囲気下でも安定なペロブスカイト形酸化物からなるものが一般的に用いられる。具体的には、La0.8Sr0.2MnO3、La0.6Sr0.4Co0.2FeO3、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83等、ランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンマンガナイトや、ランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンフェライトやランタンコバルタイト等が、空気極材料として好ましい。また、空気極の酸素イオン導電性を高めるために、希土類などをドープしたセリアを適宜混合することもできる。
上記空気極材料は、上述した燃料極材料と同様に、空気極ペーストとした上で、固体電解質上へ空気極を形成するために使用することができる。この際、電解質と空気極との間に絶縁物質が生成するのを防ぐために、反応防止層を設けてもよい。かかる反応防止層は、一般的に、希土類ドープセリアにより形成する。反応防止層と空気極は、個別に焼成を行ってもよいし、或いは燃料極と同時に焼成してもよい。
本発明のニッケル化合物−ジルコニア混合粉末は、燃料極中で、電極反応の反応場を形成する。当該混合粉末は、仮焼により熱的に安定となっており、燃料極に耐久性能を付与する。また、当該混合粉末は比較的高密度であるため、高い導電性を示す上に、粒子間には空隙も存在するため、ガスの拡散性にも優れる。
第二ジルコニア粉末は、上記ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末同士、および固体電解質と燃料極との接着性を高め、また、高いイオン導電率を燃料極に付与する。加えて、ニッケルの凝集を抑制し、混合粉末との間の三相界面を維持する。
よって、本発明の燃料極では、従来のものよりも電極反応場が大きく、また、酸化ニッケル粉末同士の凝集や気孔率の変化が抑制されている。その結果、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、初期発電性能が高い上に、長時間発電しても燃料極の劣化が起こり難いという優れた特性を有する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下では「安定化ジルコニア」を単に「SZ」と表す。
実施例1
(1) ニッケル−ジルコニア混合粒子
NiO粒子(ナカライテスク製、EPグレード、平均粒子径:1.3μm)120gと、10Sc1CeSZ粒子(第一稀元素製、平均粒子径:0.63μm)70gを1L容磁製ポットに入れ、5mmφジルコニアボール400gと10mmφジルコニアボール100gをメディアとし、50%エタノール水溶液を溶媒として、60回転/分で24時間湿式混合した。得られた混合粒子を乾燥し、1200℃で仮焼した。次いで、仮焼した混合粒子100gを250mL容アルミナ製ポットに入れ、20mmφジルコニアボール6個(計134g)をメディアとして、240回転/分で10分間、遊星ミルにより乾式粉砕した。
得られたニッケル−ジルコニア混合粒子の粒度分布と平均粒子径を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、製品名:LA−920)で測定した。分散媒としては0.2質量%メタリン酸ナトリウム水溶液を用い、測定前には3分間超音波照射を行った。その結果、平均粒子径は8.9μmであった。
(2) 燃料極ペースト
上記ニッケル−ジルコニア混合粒子と10Sc1CeSZ(第一稀元素製、平均粒子径:0.6μm)を、質量比90:10で混合し、5mmφジルコニアボール400gと10mmφジルコニアボール100gをメディアとし、50%エタノール水溶液を溶媒として、60回転/分で24時間湿式混合した。これを乾燥した後、当該混合物100質量部に対して、バインダーとしてエチルセルロースを3質量部、溶媒としてα−テルピネオールを40質量部加え、ロールミルを用いて混練し、燃料極ペーストとした。
(3) 空気極ペースト
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83(セイミケミカル製、平均粒子径:0.5μm)に、バインダーとしてエチルセルロースを3質量%、溶媒としてα−テルピネオールを30質量%の割合で加え、十分に混合することにより燃料極ペーストとした。
(4)反応防止層ペースト
20モル%ガドリアドープセリア(セイミケミカル製、平均粒子径:0.5μm)を、10%の水を含むグリセリンに加え、十分に混合することにより反応防止層ペーストとした。
(5)膜−電極接合体
6モル%のスカンジアで安定化されたジルコニアのシート(5cm×5cm×厚さ100μm)の片面に、スクリーン印刷により、上記燃料極ペーストを直径1cmの円の形状に塗布し、90℃で5時間乾燥した。次に、その反対側に、スクリーン印刷により、上記反応防止層ペーストを直径1cmの円の形状に塗布し、同様に乾燥した。これを1300℃で5時間焼結した。続いて、反応防止層の上に上記空気極ペーストを直径1cmの円の形状にスクリーン印刷し、90℃で5時間乾燥後、1000℃で3時間焼結することによって、膜−電極接合体を得た。燃料極、空気極、反応防止層の各膜厚は、それぞれ約40μm、30μm、10μmであった。
実施例2〜4
上記実施例1において、ニッケル−ジルコニア混合粒子中の酸化ニッケル粉末とジルコニア粉末、およびニッケル−ジルコニア混合粒子と共に燃料極ペーストとするジルコニア粉末などを表1の通り変更した以外は同様にして、実施例2〜4の膜−電極接合体を製造した。
比較例1〜3
燃料極材料を表2の組成とした以外は実施例1と同様にして、膜−電極接合体を製造した。なお、表2中、本発明の範囲外である要件には下線を付してある。
試験例1
上記実施例1および比較例1の膜−電極接合体について、小型単セル発電試験装置を用いて発電試験を行い、出力密度を測定した。燃料極側ガスとしては40mL/分の3%水蒸気加湿水素を、空気極側ガスとしては100mL/分の空気を使用し、試験温度は800℃とした。結果を図1に示す。
図1の通り、実施例1と比較例1の燃料極材料では、NiO粒子とジルコニア粒子の質量比が同一であるにも関わらず、本発明に係る実施例1の膜−電極接合体は、試験した電流密度のほぼ全域で、比較例1よりも発電性能に優れることが実証された。
また、実施例2〜4と比較例2および3の膜−電極接合体についても、同様に発電試験を行った。電流密度:0.3A/cm2におけるセル電圧を、表1と2に示す。
Figure 0004950721
Figure 0004950721
表1と2の通り、本発明に係る燃料極材料で形成した燃料極を有する膜−電極接合体は、従来の膜−電極接合体よりも、発電性能に優れることが実証された。
本発明に係る燃料極を有する膜−電極接合体と、従来の膜−電極接合体を用いた発電試験の結果を示す図である。実線は本発明に係る膜−電極接合体の結果を示し、点線は従来の膜−電極接合体の結果を示す。

Claims (6)

  1. 固体酸化物形燃料電池の燃料極を形成するための材料であって、
    ニッケル化合物粉末と第一ジルコニア粉末の混合物を1100〜1300℃で仮焼後に粉砕して得られる、平均粒子径が2〜10μmのニッケル化合物−ジルコニア混合粉末;および
    平均粒子径が0.1〜1μmの第二ジルコニア粉末からなり
    ニッケル化合物が、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケルまたは硝酸ニッケルであることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用燃料極材料。
  2. ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末において、ニッケル化合物粉末の割合が40〜70質量%、第一ジルコニア粉末の割合が30〜60質量%であり、原料であるニッケル化合物粉末の平均粒子径が0.3〜5μm、第一ジルコニア粉末の平均粒子径が0.1〜1μmである請求項1に記載の燃料極材料。
  3. ニッケル化合物−ジルコニア混合粉末の割合が70〜95質量%、第二ジルコニア粉末の割合が5〜30質量%である請求項1または2に記載の燃料極材料。
  4. 第一および第二ジルコニア粉末が、3〜10モル%イットリア安定化ジルコニア、4〜12モル%スカンジア安定化ジルコニア、および3〜15モル%イッテルビア安定化ジルコニアからなる群より選択される少なくとも1種の粉末である請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料極材料。
  5. 固体酸化物形燃料電池における固体電解質の片面側に形成された燃料極であって、当該燃料極が、請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料極材料で形成されたものであることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用燃料極。
  6. 固体電解質の片面側に請求項5に記載の燃料極が形成され、他方面側に空気極が形成されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
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