JP2009231052A - 固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒径が大きい電極物質粉末を用いることができ、且つ、三相界面が多く、電解質層の導電率が高い固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】電解質基板11又は電極基板の表面に、電解質物質粉末を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、塗布された該電解質層形成用スラリーの上に、固体の造孔剤を含有する造孔剤スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板又は該電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層22が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電解質層形成工程を行う固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池のセルは、電解質を燃料極及び空気極で挟み込むようにして構成され、該電解質、該燃料極及び該空気極ともに金属酸化物又は金属で構成されており、全て固体である。
該固体酸化物形燃料電池において、電池反応は、ガス、イオン、電子のいずれもが反応可能な三相界面で起こる。そのため、電池性能を向上させるためには、該三相界面を増加させることが必要である。
そこで、従来より、電解質物質を電極物質に混合させ、更に電極を多孔質構造にすることにより、該三相界面を、電解質と電極の接触面だけでなく、電極内部にも形成させ、該三相界面を増加させることが行われてきた。具体的には、母粒子に子粒子が固定されており、該母粒子又は該子粒子のいずれか一方を電解質物質とし、他方を燃料極物質又は空気極物質とする粉末状の複合粒子を、電極に成形することにより、電極材料に電解質材料が混合されており、且つ多孔質構造の電極が製造されてきた。なお、本発明において、燃料極物質とは、燃料の水素及び酸化物イオンから水及び電子を生成させ且つ電子を導電する性質を持つ物質を指し、空気極物質とは、酸素及び電子から酸化物イオンを生成させ且つ電子を導電する性質を持つ物質を指し、電解質物質とは、空気極で生成する酸化物イオンを燃料極に導電させる性質を持つ物質を指す。
該複合粒子及び該複合粒子により形成される電極としては、例えば、特許文献1の特開平10−144337号公報には、酸素イオン導電性を有する酸化物(例えば、イットリア安定化ジルコニア)の表面に、電極活性を有する金属(例えば、酸化ニッケル)が担持されている複合粒子、及び該複合粒子からなる固体電解質形燃料電池用の燃料電極が開示されている。
しかし、該母粒子及び該子粒子の粒径を小さくする等の方法で、電極中に形成される三相界面の量を多くするには、自ずと限界がある。
そのため、電解質層を多孔質にし、孔部に電極物質を充填することにより、電解質層にも三相界面を形成させ、三相界面を増加させることが行われてきた。例えば、特開平3−147264号公報には、燃料極と酸化剤極との間に介在する固体電解質板の燃料極と接する界面に、予めジルコニアからなる多孔質層を被着し、前記多孔質層とその孔部に充填されたニッケルもしくはニッケル−ジルコニア混合物とにより前記燃料極を構成している固体電解質燃料電池が開示されている。
特開平3−147264号公報の場合、エタノール等の溶媒及び該溶媒に溶解しているポリビニルブチラール等のバインダー成分を含む液体分に、電解質物質粉末が分散されているスラリーを、電解質板の表面に塗布し、更に焼成することにより、該スラリー中の液体分が焼失し、細孔が形成される。ところが、該液体分は、該スラリー中で、球状の電解質物質の隙間を埋めるような状態で存在し、液体であるため、該スラリー中の該液体分の形状、すなわち、焼成後の細孔の形状を制御することが困難であった。そのため、多孔質の電解質層に形成される細孔には、ニッケル等の電極物質が充填されるために十分な大きさの径(直径)を有しない細孔も存在した。従って、特開平3−147264号公報の場合、ニッケル等の電極物質が充填されるために十分な大きさの径を有する細孔を、多く形成させるためには、該スラリー中の、該電解質物質粉末に対する該液体分の割合を多くして、電極物質が充填されるために十分な大きさの径を有する細孔が形成される可能性を、増やさなければならなかった。ところが、該スラリー中に該液体分の割合が多いと、電解質層の細孔の容積が多くなり過ぎ、電解質層中の電解質物質粉末の量が少なくなるため、電子が移動するため経路が少なくなる。そのため、電解質層の導電率が低くなる。そして、導電率が低くなれば、燃料電池の出力が低くなる。すなわち、特開平3−147264号公報の場合、導電率を低下させることなく、三相界面の量を多くすることは困難であった。
これらのことから、細孔の形状を制御することにより、多孔質電解質層の導電率の低下が少なく且つ三相界面の量を多くできることが試みられている。例えば、国際公開第2006/092912号パンフレットには、電解質基板の表面に、電解質物質粉末及び造孔剤を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板を焼成し、多孔質電解質層が形成されている電解質基板を得る多孔質電解質層形成工程、及び該多孔質電解質層が形成されている電解質基板の多孔質電解質層の表面に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板を焼成し、電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成されている電解質基板を得る電極層形成工程を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法が開示されている。この方法では、多孔質電解質層を形成させるためのスラリーに、固体の造孔剤を含有させることにより、該多孔質電解質層の細孔の形状を制御することができること、具体的には、該造孔剤が、該スラリー中で電解質物粉末の隙間に入り込んで存在しており、該隙間の大きさは、該造孔剤の径より小さくなることはないので、電解質物質粉末の隙間の大きさ、すなわち、焼成後の細孔の径を、該造孔剤の径以上にすることができる。そのため、電極物質が充填されるために必要な大きさの径を有する細孔を、確実に形成させることができるので、多孔質電解質層の導電率の低下が少なく且つ三相界面の量を多くできる。
特開平10−144337号公報(実施例1) 特開平3−147264号公報(特許請求の範囲、実施例) 国際公開第2006/092912号パンフレット(請求項1)
特許文献2及び3のいずれも、多孔質電解質層には細孔が形成されている。しかし、多孔質電解質層に形成されている細孔の幅が狭いため、特許文献2及び3の方法には、電極物質粉末としては、粒径が小さいものしか用いることができないという問題があった。また、電極物質粉末を含有する電極層形成用スラリーを含浸させるのに、時間がかかるという問題もあった。また、電極物質粉末の粒径が小さいため、工業上ハンドリングが困難であるという問題もあった。
従って、本発明の課題は、粒径が大きい電極物質粉末を用いることができ、且つ、三相界面が多く、電解質層の導電率が高い固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、基板の表面に、電解質層形成用スラリー塗布し、更に、その上に、固体の造孔剤を含有する造孔剤スラリーを塗布し、焼成することにより、表面にクレーター状の窪みを有する電解質層が得られ、次いで、得られた電解質層の表面に、電極物質粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、焼成するという方法を行えば、(1)該電解質層に、クレーター状の窪みが形成されているので、窪みのない電解質層に比べ、三相界面の量を多くすることができること、(2)該電解質層に形成されているのが、クレーター状の窪みなので、電極物質粉末の粒径が大きくても、電極物質粉末を含有するスラリーが、該窪みに充填され易いこと、(3)細孔が形成されている電解質層に比べ、電解質層が密なので、電解質層の導電率の低下が少ないこと等を見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、電解質基板又は電極基板の表面に、電解質物質粉末を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、塗布された該電解質層形成用スラリーの上に、固体の造孔剤を含有する造孔剤スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板又は該電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電解質層形成工程と、
該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板の該電解質層の表面に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層及び電極層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電極層形成工程と、
を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、クレーター状の窪みを有する電解質層と、
該窪みが形成されている側の該電解質層の表面に形成されている電極層と、
を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルを提供するものである。
また、本発明(3)は、電解質基板又は電極基板の表面に、電解質物質粉末を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、塗布された該電解質層形成用スラリーの上に、固体の造孔剤を含有する造孔剤スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板又は該電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電解質層形成工程と、
該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板の該電解質層の表面に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層及び電極層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電極層形成工程と、
を行い得られることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、粒径が大きい電極物質粉末を用いることができ、且つ、三相界面が多く、電解質層の導電率が高い固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法を提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法(以下、本発明の製造方法とも記載する。)は、多数の窪みを有する電解質層を得る電解質層形成工程及び該電解質層の表面に電極層を形成させる電極層形成工程を有する。本発明の製造方法について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、該電解質層形成工程を示す模式図であり、また、図2は、該多数の窪みを有する電解質層が形成された電解質基板を示す模式図であり、また、図3は、該電極層形成工程を示す模式図であり、また、図4は、該多数の窪みを有する電解質層及び電極層が形成された電解質基板を示す模式図である。なお、図1〜図4は、いずれも、電解質基板の平面方向に対して垂直な面で切った時の端面図である。また、図5は、該電解質層形成工程により得られた電解質層の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。なお、図2、図3及び図4では、説明の都合上、窪みを有する電解質層の輪郭のみを記載し、電解質物質粉末の記載を省略した。
先ず、電解質基板11の一方の面に、電解質物質粉末(a)12が、液体分に分散されているスラリー(電解質層形成用スラリー13)を塗布することにより、電解質層形成用スラリー層14が塗布されている電解質基板15が得られる(図1中(1−1))。なお、該電解質層形成用スラリー層14の液体分は、主に、溶媒及び該溶媒に溶解しているバインダー成分であり、図1中(1−1)では、該電解質物質粉末(a)12の隙間を埋めるようにして存在している。なお、本発明において、該電解質層形成用スラリーに含有されている電解質物質粉末と、後述する電極層形成用スラリーに含有されている電解質物質粉末を区別するために、該電解質層形成用スラリーに含有されている電解質物質粉末を、電解質物質粉末(a)と記載し、該電極層形成用スラリーに含有されている電解質物質粉末を、電解質物質粉末(b)と記載する。
次いで、該電解質形成用スラリー層14の表面に、固体の造孔剤16が、液体分に分散されているスラリー(造孔剤スラリー17)を塗布することにより、該電解質層形成用スラリー層14の上に、造孔剤スラリー層18が形成される(図1中(1−2))。このとき、該造孔剤スラリー17が塗布される該電解質形成用スラリー層14は、焼成されていないので、上から固体を押し付けると、その部分がへこむ程度の柔らかさと流動性を有している。そして、該造孔剤スラリー17には、固体の該造孔剤16が含まれているので、該造孔剤スラリー17を該電解質形成用スラリー層14の表面に塗布することにより、固体の該造孔剤16で、該電解質形成用スラリー層14の表面を押し付けることになる。そのため、該造孔剤スラリー17が塗布された後の該造孔剤スラリー層18の下部に存在する該造孔剤16は、該電解質層形成用スラリー層14に一部めり込んで存在する(図1中(1−2))。
次いで、該電解質層形成用スラリー層14及び該造孔剤スラリー層18が形成されている電解質基板19を焼成し、多数の窪みを有する電解質層22が形成されている電解質基板24が得られる(図2)。このとき、該焼成によって、該造孔剤16は焼失し、焼失した跡が窪み23となると共に、該電解質物質粉末(a)12は互いに接触している部分で焼結し、該電解質層22が形成される。
該電解質層22の表面をSEMで観察すると、表面に、クレーター状の窪みが多数形成されていることがわかる(図5)。
次いで、該多数の窪みを有する電解質層22が形成されている電解質基板24の、該電解質層22の表面(該電解質基板11と接している面とは反対側の電解質層の面)に、電極物質粉末31が液体分32に分散されているスラリー(電極層形成用スラリー33)を塗布する。このことにより、該電極層形成用スラリー33が、該電解質層22の該窪み23を埋め、更に、その上に、電極層形成用スラリー層34が形成される(図3)。このようにして、該電極層形成用スラリー層34が塗布された、該多数の窪みを有する電解質層22が形成されている電解質基板35が得られる。なお、該電極物質粉末31は、該多数の窪みを有する電解質層22の表面に形成させる電極層が、燃料極層の場合は、燃料極物質粉末であり、空気極層の場合は、空気極物質粉末である。
そして、該電解質基板35を、焼成することにより、該多数の窪みを有する電解質層22及び電極層36が形成されている電解質基板37が得られる(図4)。このとき、該焼成によって、該電極層形成用スラリー33中の液体分32が焼失すると共に、該電極物質粉末31同士、及び該電極物質粉末32と該電解質物質粉末(a)12が、互いに接触している部分で焼結する。
このように、該電解質層形成工程及び該電極層形成工程を行うことにより、電解質基板の一方の面に、電解質層及び電極層(燃料極層又は空気極層のいずれか一方)を形成させる。次いで、該電解質基板の他方の面に、該電解質層形成工程及び該電極層形成工程を行い、又は他の公知の方法を用いて、電極層(燃料極層又は空気極層の他方)を形成させ、固体酸化物形燃料電池用セルを製造することができる。
また、先に、電解質基板の一方の面に、公知の方法を用いて電極層(燃料極層又は空気極層のいずれか一方)を形成させ、次いで、該電解質基板の他方の面に、該電解質層形成工程及び該電極層形成工程を行うことにより、電解質層及び電極層(燃料極層又は空気極層の他方)を形成させ、固体酸化物形燃料電池用セルを製造することもできる。
また、公知の方法を用いて、先ず、電極層(燃料極層又は空気極層のいずれか一方)を形成し、次いで、該電極層の表面に、公知の方法を用いて、電解質基板を形成させ、次いで、該電解質基板の表面に、該電解質層形成工程及び該電極層形成工程を行うことにより、電解質層及び電極層(燃料極層又は空気極層の他方)を形成させ、固体酸化物形燃料電池用セルを製造することもできる。
また、該電解質基板11の代わりに、公知の方法を用いて形成した電極基板(燃料極又は空気極の一方)を用い、その表面に、該電解質層形成工程及び該電極層形成工程を行い、電解質層及び電極層(燃料極又は空気極の他方)を形成させ、固体酸化物形燃料電池用セルを製造することもできる。
すなわち、本発明の製造方法は、電解質基板又は電極基板の表面に、電解質物質粉末を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、塗布された該電解質層形成用スラリーの上に、固体の造孔剤を含有する造孔剤スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板又は該電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電解質層形成工程と、
該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板の該電解質層の表面に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層及び電極層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電極層形成工程と、
を有する固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法である。
本発明の製造方法に係る該電解質層形成工程では、先ず、該電解質基板又は該電極基板の表面に、該電解質物質粉末(a)を含有する該電解質層形成用スラリーを塗布する。
本発明の製造方法において、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質としては、通常、固体酸化物形燃料電池用セルの電解質層の製造に用いられる電解質物質であれば、特に制限されず、例えば、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、スカンジウム(Sc)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ランタン(La)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ケイ素(Si)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、イッテルビウム(Yb)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物が挙げられる。該電解質物質を構成する金属酸化物のうち、金属種が2種以上である金属酸化物としては、例えば、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ;Sc−ZrO)、スカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ;(10Sc・CeO)−ZrO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ;Y−ZrO)、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート(LSGM;La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2)等のランタンガレート、ガドリニア安定化ジルコニア(Gd−ZrO)、サマリアドープセリア(Sm−CeO)、ガドリニアドープセリア(Gd−CeO)、酸化イットリウム固溶酸化ビスマス(Y−Bi)等が挙げられ、これらの金属酸化物のうち、酸素イオン導電性が良好であり、また、動作温度においても熱的に安定な点で、スカンジア安定化ジルコニア、スカンジアセリア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート等のランタンガレートが好ましい。なお、サマリアドープセリア、ガドリニアドープセリアは、イオン導電性及び電子導電性の両方を有しているので、電解質物質の金属酸化物として用いることも、酸化ニッケルと混合物して、後述する燃料極物質の金属酸化物として用いることもできる。
該電解質物質粉末(a)の平均粒径D50は、好ましくは0.01〜3.0μm、特に好ましくは0.05〜2.0μm、更に好ましくは0.1〜1.0μmである。該電解質物質粉末(a)の平均粒径D50が、小さい程、該電解質物質粉末(a)同士の接点が多くなり且つ該電解質物質粉末(a)同士が焼結し易くなるので、該電解質層の導電率が高くなる。ただし、該電解質物質粉末(a)の平均粒径D50が、上記範囲未満だと、焼成時の電解質層の収縮が大きくなり易く、電解質層が破損し易くなる。また、該電解質物質粉末(a)の平均粒径D50が、上記範囲を超えると、該電解質層の導電率が低くなり易い。本発明において、該電解質物質粉末(a)の平均粒径D50は、粒度分布測定器を用いて測定される体積基準メディアン径である。
該電解質層形成用スラリーは、溶媒に該電解質物質粉末(a)が分散されたものであるが、その他に、溶媒に溶解することにより、バインダーとして機能するポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース等のバインダー成分、可塑剤として機能するフタル酸ジ−n−ブチル等の可塑剤成分、ノニオン系分散剤等の分散剤成分、オクチルフェニルエーテル等の消泡剤成分を含有することができる。該バインダー成分、可塑剤成分、分散剤成分又は消泡剤成分は、該電解質層形成用スラリーの液体分に溶解して存在している。
該電解質層形成用スラリーに係る該溶媒としては、α−テレピネオール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等が挙げられ、このうち、α−テレピネオールが好ましい。該電解質層形成用スラリーに係る該溶媒は、揮発性が高すぎると、該造孔剤スラリーを塗布したときに、該造孔剤がめり込むことができる程度の柔らかさを有する電解質層形成用スラリー層を得ることが困難となり易いので、揮発性は高過ぎないことが好ましい。ただし、該溶媒の揮発量は、該電解質層形成用スラリーの塗布方法や、その後の該造孔剤スラリーを塗布するまでの時間等により異なるので、条件により該溶媒を適宜選択できる。
該電解質層形成用スラリーに係る該溶媒の粘度は、好ましくは4000〜20000mPa・s、特に好ましくは4500〜15000mPa・s、更に好ましくは5000〜10000mPa・sである。該電解質層形成用スラリーに係る該溶媒の粘度が上記範囲内にあることにより、該造孔剤スラリーを塗布したときに、該造孔剤がめり込むことができる程度の柔らかさを有する該電解質層形成用スラリー層を得易くなる。
該電解質層形成用スラリーの粘度は、好ましくは6000〜25000mPa・s、特に好ましくは7000〜20000mPa・s、更に好ましくは8000〜12000mPa・sである。該電解質層形成用スラリーの粘度が上記範囲内にあることにより、該造孔剤スラリーを塗布したときに、該造孔剤がめり込むことができる程度の柔らかさを有する電解質層形成用スラリー層を得易くなる。なお、該電解質層形成用スラリーの粘度は、該溶媒の種類を選択すること、該電解質層形成用スラリー中の固形分含有量を選択すること、該溶媒に該バインダー成分を溶解させること等により、調整される。なお、本発明で、該溶媒、該電解質層形成用スラリー、該造孔剤スラリー、該電極層形成用スラリーの粘度は、27℃の粘度である。また、該粘度は、測定器VISCOMETER(TOKIMEC社製)を用いて測定した。
該電解質層形成工程に係る該電解質基板は、電解質物質を用いて成形されているものであれば、特に制限されない。該電解質基板は、スクリーン印刷法等の公知の電解質の製造方法により得られる。なお、該電解質基板に係る電解質物質の種類は、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質の種類と同様である。また、該電解質基板は、該多数の窪みを有する電解質層及び電極層(燃料極層又は空気極層のいずれか一方)が形成される面とは反対の面に、電極層(燃料極層又は空気極層の他方)が形成されているものであってもよい。
また、該電解質層形成工程に係る該電極基板は、電極物質を用いて成形されているものであれば、特に制限されない。該電解質基板は、スクリーン印刷法等の公知の電解質層の製造方法により得られる。なお、該電極基板に係る電極物質の種類は、後述する該電極物質粉末に係る電極物質の種類と同様である。
該電解質層形成用スラリーを、該電解質基板又は該電極基板に塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、スクリーン印刷法、ドクタープレート法等が挙げられる。また、該電解質層形成用スラリーの塗布後、必要に応じ、スラリーが塗布された該電解質基板又は該電極基板を乾燥して、該電解質層形成用スラリー層に、該造孔剤がめり込むことができる程度の柔らかさを持たせることができる。
そして、該電解質層形成用スラリーを、該電解質基板又は該電極基板に塗布することにより、該電解質層形成用スラリー層が形成された電解質基板又は電極基板が得られる。
本発明の製造方法に係る該電解質層形成工程では、次いで、該電解質層形成用スラリー層が形成された電解質基板又は電極基板の、該電解質層形成用スラリー層の表面に、つまり、該電解質層形成用スラリーの上に、該造孔剤を含有する該造孔剤スラリーを塗布する。
該電解質層形成工程に係る該造孔剤は、該造孔剤スラリーの溶媒に溶解せず、該造孔剤スラリー中で固体として存在し且つ該焼成により焼失するものであれば、特に制限されない。該造孔剤の材質としては、例えば、カーボン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が挙げられる。
該造孔剤の形状が、該多数の窪みを有する電解質層に形成されている窪みの形状を決定するので、該窪みの形状を、クレーター状、つまり、略球面の形状にするためには、該造孔剤の形状は、略球状であり、真球に近い形状である程好ましい。
該造孔剤の平均粒径D50は、10〜35μm、好ましくは10〜25μm、特に好ましくは15〜23μm、更に好ましくは18〜22μmである。また、該造孔剤の粒度分布曲線における最大頻度(ピークトップ)の半値全幅が、最大頻度(ピークトップ)の粒径の±30%であり、好ましくは±20%であり、特に好ましくは±10%である。例えば、該最大頻度(ピークトップ)が20μmのとき、該最大頻度(ピークトップ)の半値全幅は14〜26μm(ピークトップ±30%)、好ましくは16〜24μm(ピークトップ±20%)、特に好ましくは18〜22μm(ピークトップ±10%)である。該造孔剤の平均粒径D50及び最大頻度(ピークトップ)の半値全幅が上記範囲内にあることにより、電極と電解質との間の界面抵抗が低くなり、また、セルの発電性能が高くなる。
なお、本発明において、平均粒径D50及び最大頻度(ピークトップ)の半値全幅は、粒度分布測定器によって、分析される値であり、平均粒径D50は体積基準のメディアン径であり、また、最大頻度(ピークトップ)の半値全幅は体積基準の粒度分布曲線における最大頻度(ピークトップ)の半値になる2つの粒径の幅である。
該電解質物質粉末(a)の平均粒径D50に対する該造孔剤の平均粒径D50の比(造孔剤/電解質物質粉末(a))は、好ましくは7〜2000、特に好ましくは10〜400、更に好ましくは20〜200である。該電解質物質粉末(a)の平均粒径D50に対する該造孔剤の平均粒径D50の比が上記範囲内にあることにより、造孔剤を電解質層形成用スラリー層にめり込ませ易くなり、且つ、電解質層の導電率を高く維持し易くなる。
該造孔剤スラリーは、該造孔剤が該溶媒に分散されたものであるが、その他に、溶媒に溶解することにより、バインダーとして機能するポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース等のバインダー成分、可塑剤として機能するフタル酸ジ−n−ブチル等の可塑剤成分、ノニオン系分散剤等の分散剤成分、オクチルフェニルエーテル等の消泡剤成分を含有することができる。該バインダー成分、可塑剤成分、分散剤成分又は消泡剤成分は、該造孔剤スラリーの液体分に溶解して存在している。
該造孔剤スラリーに係る該溶媒としては、α−テレピネオール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等が挙げられ、このうち、α−テレピネオールが好ましい。
該造孔剤スラリーの粘度は、好ましくは6000〜25000mPa・s、特に好ましくは7000〜20000mPa・s、更に好ましくは8000〜12000mPa・sである。なお、該造孔剤スラリーの粘度は、該溶媒の種類を選択すること、該造孔剤スラリー中の固形分含有量を選択すること、該溶媒に該バインダー成分を溶解させること等により、調整される。
該造孔剤スラリーを、該電解質層形成用スラリー層の表面に塗布する方法としては、スクリーン印刷法等が挙げられる。例えば、該スクリーン印刷法の場合、スクリーンメッシュにスラリーを載せた後、スキージを走査することにより、スラリーを塗布するが、その際に、スキージにて押し付け力及び圧力が発生するので、該造孔剤スラリー中の該造孔剤が、該電解質層形成用スラリー層にめり込む。また、該造孔剤スラリーの塗布後、必要に応じ、スラリーが塗布された該電解質基板又は該電極基板を乾燥することができる。
そして、該造孔剤スラリーを、該電解質層形成用スラリー層の表面に塗布することにより、該電解質層形成用スラリー層及び該造孔剤スラリー層が形成された電解質基板又は電極基板が得られる。
本発明の製造方法に係る該電解質層形成工程では、次いで、該電解質層形成用スラリー層及び該造孔剤スラリー層が形成された電解質基板又は電極基板を、焼成する。
該電解質層形成工程に係る焼成の際の焼成温度は、通常1200〜1550℃、好ましくは1300〜1450℃、特に好ましくは1320〜1420℃である。また、焼成時間は、通常1〜10時間、好ましくは2〜6時間、特に好ましくは3〜5時間である。該焼成を行うことにより、該造孔剤及び該液体分が焼失すると共に、該電解質物質粉末(a)同士が焼結し、該多数の窪みを有する電解質層が形成される。
このようにして、該電解質層形成工程を行うことにより、該多数の窪みを有する電解質層が形成された電解質基板又は電極基板が得られる。
該多数の窪みを有する電解質層は、図5に示すように、表面に多数の窪みを有する。該窪みの形状は、球状物を一部めり込ませてできる形状である。言い方を換えると、該窪みの形状は、クレーター状である。つまり、該窪みの形状は、略球面状である。
該多数の窪みを有する電解質層では、該多数の窪みを有する電解質層を、該電解質基板又は該電極基板に対して垂直な面で切ったときの端面図における、該窪みが形成されている側の該電解質層の表面長さ(A)が、直線距離(B)の1.2〜3.0倍であることが好ましく、1.5〜2.5倍であることが特に好ましく、1.6〜2.0倍であることが更に好ましい。該窪みが形成されている側の該電解質層の表面長さ(A)が、上記範囲内にあることにより、該電極層形成用スラリーが、該電解質層の窪みに充填され易くなる。
図6及び図7を参照して、該窪みが形成されている側の該電解質層の表面長さ(A)、及び直線距離(B)について説明する。図6は、電解質基板41と多数の窪みを有する電解質層42からなる多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板46を、該電解質基板41に対して垂直な面で切ったときの端面図であり、また、図7は、図6中のX部分を切り取った図である。図7中、符号43は、一端44から他端45までで切り取られた該電解質層42の表面を示し、その長さを、該窪みが形成されている側の該電解質層の表面長さ(A)とし、そして、該一端44から該他端45までの直線距離47を、直線距離(B)とする。なお、該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板46を、3以上の任意の場所で切断し、その断面のSEM写真を測定し、それぞれについて、該(A)及び(B)を求め、その平均値を用いて計算する。なお、図6では、説明の都合上、窪みを有する電解質層の輪郭のみを記載し、電解質物質粉末の記載を省略した。
該多数の窪みを有する電解質層では、該窪みの平均直径D50は、好ましくは8〜25μm、特に好ましくは10〜20μm、更に好ましくは12〜19μm、より好ましくは15〜18μmである。該窪みの平均直径D50が、上記範囲内にあることにより、該電極層形成用スラリーの塗布及び該電解質層の窪みへの充填が容易になる。
図8を参照して、該窪みの平均直径D50を説明する。図8は、該多数の窪みを有する電解質層の表面観察を行ったときのSEM写真の模式図である。図8中、SEM写真で観察される窪み51を、斜線で示している。そして、該窪みの平均直径D50であるが、SEM写真を画像処理し、該SEM写真中の全ての窪みについて、各窪みの円相当面積を求め、それらから円面積基準のメディアン径を、該窪みの平均直径D50として求める。
本発明の製造方法では、次いで、該電極層形成工程を行う。
該電極層形成工程では、先ず、該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板の表面に、該電極層形成用スラリーを塗布する。
該電極層形成用スラリーは、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する。
該電極層形成工程に係る該電極物質粉末は、該多数の窪みを有する電解質層の表面に形成させる該電極層が、燃料極層の場合と空気極層の場合で異なり、燃料極層を形成させる場合は、燃料極物質粉末であり、空気極層を形成させる場合は、空気極物質粉末である。
該電極層形成工程において、該燃料極物質粉末に係る燃料極物質としては、通常、固体酸化物形燃料電池用セルの燃料極層の製造に用いられる燃料極物質であれば、特に制限されず、例えば、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル及びカルシウム(Ca)から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物である。該燃料極物質を構成する金属酸化物のうち、金属種が2種以上である金属酸化物としては、例えば、酸化ニッケル(NiO)とサマリアドープセリア(Sm−CeO)の混合物の凝集体、酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物(NiO−YSZ)の凝集体、酸化ニッケルとスカンジア安定化ジルコニアの混合物(NiO−ScSZ)の凝集体、酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとサマリアドープセリアの混合物の凝集体、酸化ニッケルとスカンジア安定化ジルコニアとサマリアドープセリアの混合物の凝集体、酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアと酸化セリア(CeO)の混合物の凝集体、酸化ニッケルとスカンジア安定化ジルコニアと酸化セリアの混合物の凝集体、酸化コバルト(Co)とイットリア安定化ジルコニアの混合物の凝集体、酸化コバルトとスカンジア安定化ジルコニアの混合物の凝集体、酸化ルテニウム(RuO)とイットリア安定化ジルコニアの混合物の凝集体、酸化ルテニウムとスカンジア安定化ジルコニアの混合物の凝集体、酸化ニッケルとガドリニアドープセリア(Gd−CeO)の混合物の凝集体等が挙げられる。これらのうち、酸化ニッケルとサマリアドープセリアの混合物の凝集体、酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物の凝集体及び酸化ニッケルとスカンジア安定化ジルコニアの混合物の凝集体が、電解質物質と反応せず、また、電解質物質と熱膨張率が近いので接合が良好である点で好ましい。
該電極層形成工程において、該空気極物質粉末に係る空気極物質としては、通常、固体酸化物形燃料電池用セルの空気極層の製造に用いられる空気極物質であれば、特に制限されず、例えば、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル、カルシウム及びマンガン(Mn)から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物である。該空気極物質を構成する金属酸化物のうち、金属種が2種以上である金属酸化物としては、例えば、ランタンストロンチウムマンガネート(La0.8Sr0.2MnO)、ランタンカルシウムコバルテート(La0.9Ca0.1CoO)、ランタンストロンチウムコバルテート(La0.9Sr0.1CoO)、ランタンコバルテート(LaCoO)、ランタンカルシウムマンガネート(La0.9Ca0.1MnO)等が挙げられ、これらの金属酸化物のうち、ランタンストロンチウムマンガネートが、電解質物質と反応せず、また、電解質物質と熱膨張率が近いので接合が良好である点で好ましい。
該電極層形成工程において、該混合粉末は、該電極物質粉末と該電解質物質粉末(b)との混合粉末である。該混合粉末は、該多数の窪みを有する電解質層の表面に形成させる該電極層が、燃料極層の場合と空気極層の場合で異なり、燃料極層を形成させる場合は、燃料極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末であり、空気極層を形成させる場合は、空気極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末である。そして、該電極層形成用スラリーが、該混合粉末を含有する電極層形成用スラリーであることが、セルの出力が高くなる点で好ましい。また、該電極層形成用スラリーが、該電極物質粉末と該電解質物質粉末(b)との混合粉末を含有する電極層形成用スラリーである場合、該混合粉末中の該電極物質粉末の体積割合に対する該電解質物質粉末(b)の体積割合の比(電解質物質粉末(b)/電極物質粉末)は、0.25〜4、好ましくは0.5〜2、特に好ましくは1.0〜1.5である。該体積割合が上記範囲にあることにより、セルの出力が高くなる。なお、該電解質物質粉末(b)に係る電解質物質は、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質と同様である。
該電極層形成工程において、該電極物質と電解質物質との複合体粉末は、電極物質と電解質物質の両方で構成されている粒子の集合物である。すなわち、該電極物質と電解質物質との複合体粉末の個々の粒子は、電極物質と電解質物質の両方によって1粒子を構成している。該電極物質と電解質物質との複合体粉末としては、例えば、母粒子に子粒子が固定されている複合粒子粉末や、電極物質と電解質物質の凝集体粉末等が挙げられる。該複合粒子粉末及び該電極物質と電解質物質の凝集体粉末について、図9を用いて説明する。図9は、本発明に係る複合粒子粉末及び電極物質と電解質物質の凝集体粉末を示す模式図である。図9中、複合粒子55は、母粒子56の表面に、1以上の子粒子57が固定されている(図9中(A))。該複合粒子55に係る母粒子56及び子粒子57は、該多数の窪みを有する電解質層の表面に形成させる電極層が、燃料極層の場合は、該母粒子56が電解質物質であり、該子粒子57が燃料極物質であるか、又は該母粒子56が燃料極物質であり、該子粒子57が電解質物質である。また、該複合粒子55に係る母粒子56及び子粒子57は、該多数の窪みを有する電解質層の表面に形成させる電極層が、空気極層の場合は、該母粒子56が電解質物質であり、該子粒子57が空気極物質であるか、又は該母粒子56が空気極物質であり、該子粒子57が電解質物質である。また、該複合粒子粉末に係る電解質物質は、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質と、該複合粒子粉末に係る燃料極物質は、該燃料極物質粉末に係る燃料極物質と、該複合粒子粉末に係る空気極物質は、該空気極物質粉末に係る空気極物質と同様である。なお、該複合粒子粉末は、通常、固体酸化物形燃料電池用の電極の製造に用いられる複合粒子粉末であれば、特に制限されない。
また、図9中、電極物質と電解質物質の凝集体59は、一次粒子である電極物質58と電解質物質60が凝集した凝集体(二次粒子)である(図9中(B))。該電極物質と電解質物質の凝集体59に係る電極物質58は、該多数の窪みを有する電解質層の表面に形成させる電極層が、燃料極層の場合は燃料極物質であり、空気極層の場合は空気極物質である。また、該電極物質と電解質物質の凝集体粉末に係る電解質物質は、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質と、該電極物質と電解質物質の凝集体粉末に係る燃料極物質は、該燃料極物質粉末に係る燃料極物質と、該電極物質と電解質物質の凝集体粉末に係る空気極物質は、該空気極物質粉末に係る空気極物質と同様である。
該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の平均粒径D50は、好ましくは0.08〜3.0μm、特に好ましくは0.1〜2.0μm、更に好ましくは0.4〜1.5μmである。なお、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の平均粒径D50は、粒度分布測定器により測定され、体積基準のメディアン径である。
なお、該複合粒子粉末は、電解質物質の母粒子粉末及び燃料極物質の子粒子粉末、燃料極物質の母粒子粉末及び電解質物質の子粒子粉末、電解質物質の母粒子粉末及び空気極物質の子粒子粉末、又は空気極物質の母粒子粉末及び電解質物質の子粒子粉末を用いて、公知の方法により製造される。また、該電極物質と電解質物質の凝集体粉末は、例えば、金属イオンを含有する水溶液の液滴を、加熱炉に噴霧して、金属酸化物の凝集体粉末を得る、一般に噴霧熱分解法と呼ばれる方法を用い、噴霧する水溶液として、酸化反応により電極物質となる金属種の金属イオン及び酸化反応により電解質物質となる金属種の金属イオンの両方を含有する水溶液を用いることにより製造される。
該電極層形成用スラリーは、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有しており、該スラリーの液体分に、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末を分散させることにより、調製される。また、該スラリーの液体分は、有機溶媒及び該有機溶媒に溶解しているバインダー成分等により構成されている。
該電極層形成用スラリーは、バインダー成分、可塑剤成分、分散剤成分又は消泡剤成分を含有することができる。該電極層形成用スラリーに係るバインダー成分、可塑剤成分、分散剤成分又は消泡剤成分は、該電解質層形成用スラリーと同様である。
該電極層形成用スラリーの粘度は、好ましくは1000〜50000mPa・s、特に好ましくは3000〜20000mPa・s、更に好ましくは3000〜12000mPa・sである。該電極層形成用スラリーの粘度は、スラリー中に該溶媒を追加投入することや、エバポレーター等を用いて、該電極層形成用スラリー中の該溶媒を蒸発除去することにより、調整される。
該電極層形成用スラリーを、該多数の窪みを有する電解質層の表面(電解質基板と接している面とは反対側の面)に、塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、スクリーン印刷法、ドクタープレート法等が挙げられる。また、該電極層形成用スラリーの塗布後、必要に応じ、スラリーが塗布された該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板を乾燥することができる。
該電極層形成工程に係る焼成の際の焼成温度は、通常1100〜1600℃、好ましくは1100〜1500℃、特に好ましくは1100〜1400℃である。また、焼成時間は、通常1〜10時間、好ましくは2〜6時間、特に好ましくは3〜5時間である。該焼成を行うことにより、該電極層形成用スラリー中の液体分が焼失すると共に、該電極物質粉末、電解質物質粉末(b)又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末が焼結し、該電極層が形成される。
このように、該電極層形成工程を行うことにより、該多数の窪みを有する電解質層及び該電極層が形成されている電解質基板又は電極基板が得られる。
本発明の製造方法は、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの製造に好適に用いられる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、クレーター状の窪みを有する電解質層と、
該窪みが形成されている側の該電解質層の表面に形成されている電解質層と、
を有する固体酸化物形燃料電池用セルである。
そして、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルでは、該窪みが形成されている側の該電解質層の表面長さ(A)が、直線距離(B)の1.2〜3.0倍であることが好ましく、1.5〜2.5倍であることが特に好ましく、1.6〜2.0倍であることが更に好ましい。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルでは、該窪みの平均直径D50が8〜25mであることが好ましく、10〜20μmであることが特に好ましく、12〜19μmであることが更に好ましく、15〜18μmであることがより好ましい。
本発明では、該多数の窪みを有する電解質層に形成されているのは、クレーター状の窪みであるので、細孔の場合のように、粒径が小さい電極物質粉末を用いなくても、該窪み内には、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末が充填される。そして、該多数の窪みが形成されている電解質層は、窪みが多数形成されているので、表面の面積が大きくなるため、三相界面の量が多くなる。そのため、本発明のセルは出力が高い。また、電解質層の内部に細孔が形成されている多孔質電解質層と違い、該多数の窪みを有する電解質層内には、細孔は形成されていないので、該多数の窪みを有する電解質層は緻密である。そのため、該多数の窪みを有する電解質層は導電率が高い。また、本発明では、特定形状の固体の造孔剤を用いることにより、電極層と電解質層との界面抵抗を低くすることができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<電解質基板の製造>
(電解質基板のプレス成形及び仮焼成)
スカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)1.0gを、一軸プレス成形器にて0.3t/cmの圧力でプレスして、ペレットを得、次いで、1100℃で仮焼成することにより、厚さ1mmの電解質基板A(仮焼成物)を得た。
・スカンジアセリア安定化ジルコニア;ジルコニア中のスカンジアの含有量10mol%、セリアの含有量1mol%、平均粒径D50=0.61μm
<多数の窪みを有する電解質層の形成>
(電解質層形成用スラリーの調製)
電解質基板の調製に用いたスカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)10g、フタル酸ジ−n−ブチル0.5g、分散剤(ノニオンOP−83RAT、日本油脂社製)0.3g、エチルセルロース0.5g、α−テレピネオール3.7gをボールミルに加え、室温で5時間混合した。得られたスラリーに再度、α−テレピネオールを適量混合し、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、電解質層形成用スラリーBを得た。
(造孔剤スラリーの調製)
造孔剤として、D50が10μm、半値全幅9〜11μm(ピークトップの粒径=10μm)のポリメチルメタクリレート10g、フタル酸ジ−n−ブチル0.5g、分散剤(ノニオンOP−83RAT、日本油脂社製)0.3g、エチルセルロース0.5g、α−テレピネオール3.7gをボールミルに加え、室温で5時間混合した。得られたスラリーに再度、α−テレピネオールを適量混合し、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、造孔剤スラリーCを得た。
(電解質層形成用スラリー及び造孔剤スラリーの塗布並びに焼成)
該電解質基板Aの片面に、該電解質層形成用スラリーBを、スクリーン印刷法にて、膜厚が15μmとなるように塗布した。
次いで、その上に、該造孔剤スラリーCを、400メッシュを用いたスクリーン印刷法にて、5回繰り返し塗布を行った。
次いで、電解質層形成用スラリーB及び造孔剤スラリーCが塗布されている電解質基板Aを、1400℃で、3時間焼成し、多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板D(以下、単に電解質基板Dとも記載。)を得た。
<多数の窪みを有する電解質層の分析>
1.窪みが形成されている側の電解質層の表面長さ及び直線距離の測定
該電解質基板Dを、電解質基板の表面に対して垂直な面で切断し、断面を、走査型電子顕微鏡で観察した。得られたSEM写真を用いて、前述した方法で、該電解質基板Dの窪みが形成されている側の電解質層の表面長さ及び直線距離を求めた。そして、この測定を異なる3箇所の断面で行ったところ、窪みが形成されている側の電解質層の表面長さは、直線距離の1.7倍であった。
また、3Dレーザー顕微鏡VE−9700(キーエンス製)を用いて、窪みが形成されている側の電解質層の表面長さを測定したところ、直線距離の1.74倍であった。
2.窪みの平均直径D50の測定
該電解質基板Dの表面のSEM観察を行い、画像解析を行い、前述した方法で窪みの平均直径D50を求めた。その結果、窪みの平均直径D50は、16.2μmであった。
<空気極層の形成>
(空気極層形成用スラリーの調製)
ランタンストロンチウムマンガネート(La0.8Sr0.2Mn1.0)5g、電解質層形成用スラリーの調製で用いたスカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)5g、フタル酸ジ−n−ブチル0.5g、分散剤(ノニオンOP−83RAT、日本油脂社製)0.3g、エチルセルロース0.5g、α−テレピネオール3.7gをボールミルに加え、室温で5時間混合した。得られたスラリーに再度、α−テレピネオールを適量混合し、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、空気極層形成用スラリーEを得た。
・ランタンストロンチウムマンガネート;平均粒径D50=1.2μm
(空気極層形成用スラリーの塗布及び焼成)
多数の窪みを有する電解質層が形成されている側の該電解質基板Dの表面に、該空気極層形成用スラリーEを、スクリーン印刷法にて、塗布後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥した。次いで、空気極層形成用スラリーEが塗布された電解質基板Dを、1200℃で、3時間焼成し、一方の面に多数の窪みを有する電解質層及び空気極層が形成されている電解質基板F(以下、単に電解質基板Fとも記載する。)を得た。
<燃料極層の形成>
(燃料極層形成用スラリーの調製)
酸化ニッケル(NiO)6g、イットリア安定化ジルコニア(10YSZ)4g、フタル酸ジ−n−ブチル0.5g、分散剤(ノニオンOP−83RAT、日本油脂社製)0.3g、エチルセルロース0.5g、α−テレピネオール3.7gをボールミルに加え、室温で5時間混合した。得られたスラリーに再度、α−テレピネオールを適量混合し、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、燃料極層形成用スラリーGを得た。
・酸化ニッケル:平均粒径D50=1μm
・イットリア安定化ジルコニア:ジルコニア中のイットリアの含有量10mol%、平均粒径D50=0.1μm
(燃料極層形成用スラリーの塗布及び焼成)
多数の窪みを有する電解質層及び空気極層が形成されている側と反対側の該電解質基板Fの表面に、該燃料極層形成用スラリーGを、スクリーン印刷法にて、塗布後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥した。次いで、燃料極層形成用スラリーGが塗布された電解質基板Fを、1400℃で、3時間焼成し、固体酸化物形燃料電池用セルHを得た。
得られた固体酸化物形燃料電池用セルHの空気極層側の断面のSEM写真を図10に示す。
なお、平均粒径D50(体積基準メディアン径)及び粒度分布曲線における半値全幅の測定には、MICROTRAC3000(日機装社製)を用いた。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
造孔剤として、D50が10μm、半値全幅9〜11μm(ピークトップの粒径=10μm)のポリメチルメタクリレートを10gとする代わりに、造孔剤として、D50及び半値全幅が表1に示す値のポリメチルメタクリレートを10gとする以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示す。
(比較例5)
<電解質基板の製造>
実施例1と同様の方法で、電解質基板Aを得た。
<多孔質電解質層の形成>
(多孔質電解質層形成用スラリーの調製)
電解質基板の調製に用いたスカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)6.18g、造孔剤として炭素粉末を3.82g、フタル酸ジ−n−ブチル0.5g、分散剤(ノニオンOP−83RAT、日本油脂社製)0.3g、エチルセルロース0.5g、α−テレピネオール3.7gをボールミルに加え、室温で5時間混合した。得られたスラリーに再度、α−テレピネオールを適量混合し、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、多孔質電解質層形成用スラリーJを得た。
・炭素粉末:高純度化学工業社製、平均粒径5μm
(多孔質電解質層形成用スラリーの塗布並びに焼成)
該電解質基板Aの片面に、該多孔質電解質層形成用スラリーJを、スクリーン印刷法にて、膜厚が15μmとなるように塗布した。
次いで、多孔質電解質層形成用スラリーJが塗布されている電解質基板Aを、1400℃で、3時間焼成し、多孔質電解質層が形成されている電解質基板K(以下、単に電解質基板Kとも記載。)を得た。
<空気極層の形成>
(空気極層形成用スラリーの調製)
実施例1と同様の方法で、空気極層形成用スラリーEを得た。
(空気極層形成用スラリーの塗布及び焼成)
多孔質電解質層が形成されている側の該電解質基板Kの表面に、該空気極層形成用スラリーEを、スクリーン印刷法にて、塗布後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥した。次いで、空気極層形成用スラリーEが塗布された電解質基板Kを、1200℃で、3時間焼成し、一方の面に多孔質電解質層及び空気極層が形成されている電解質基板L(以下、単に電解質基板Lとも記載する。)を得た。
<燃料極層の形成>
(燃料極層形成用スラリーの調製)
実施例1と同様の方法で、燃料極層形成用スラリーGを得た。
(燃料極層形成用スラリーの塗布及び焼成)
多孔質電解質層及び空気極層が形成されている側と反対側の該電解質基板Lの表面に、該燃料極層形成用スラリーGを、スクリーン印刷法にて、塗布後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥した。次いで、燃料極層形成用スラリーGが塗布された電解質基板Lを、1400℃で、3時間焼成し、固体酸化物形燃料電池用セルMを得た。
(比較例6)
<電解質基板の製造>
実施例1と同様の方法で、電解質基板Aを得た。
<空気極層の形成>
(空気極層形成用スラリーの調製)
実施例1と同様の方法で、空気極層形成用スラリーEを得た。
(空気極層形成用スラリーの塗布及び焼成)
該電解質基板Aの片面に、該空気極層形成用スラリーEを、スクリーン印刷法にて、塗布後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥した。次いで、空気極層形成用スラリーEが塗布された電解質基板Aを、1200℃で、3時間焼成し、一方の面に空気極層が形成されている電解質基板N(以下、単に電解質基板Nとも記載する。)を得た。
<燃料極層の形成>
(燃料極層形成用スラリーの調製)
実施例1と同様の方法で、燃料極層形成用スラリーGを得た。
(燃料極層形成用スラリーの塗布及び焼成)
空気極層が形成されている側と反対側の該電解質基板Nの表面に、該燃料極層形成用スラリーGを、スクリーン印刷法にて、塗布後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥した。次いで、燃料極層形成用スラリーGが塗布された電解質基板Nを、1400℃で、3時間焼成し、固体酸化物形燃料電池用セルOを得た。
<性能評価>
1.界面抵抗
得られた固体酸化物形燃料電池用セルについて、空気極と電解質との界面抵抗を、交流インピーダンス法により求めた。その結果を表1に示す。
2.電解質層のIR抵抗
得られた固体酸化物形燃料電池用セルについて、空気極と電解質基板の周囲に設けた白金参照極との間の抵抗を、交流インピーダンス法により求めた。
なお、表1には、各IR抵抗と比較例6のIR抵抗との差を記載した。そして、このIR抵抗の差の値は、空気極層と電解質基板との間に、多数の窪みを有する電解質層又は多孔質電解質層を形成させたことによる抵抗の増加分を示す。
Figure 2009231052
1)電解質層のIR抵抗は、比較例6を基準として、その抵抗値と比較した結果である。
該電解質層形成工程を示す模式図である。 該多数の窪みを有する電解質層が形成された電解質基板を示す模式図である。 該電極層形成工程を示す模式図である。 該多数の窪みを有する電解質層及び電極層が形成された電解質基板を示す模式図である。 該電解質層形成工程により得られた電解質層の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 該電解質基板46を、該電解質基板41に対して垂直な面で切ったときの端面図である。 図6中のX部分を切り取った図である。 該多数の窪みを有する電解質層の表面観察を行ったときのSEM写真の模式図である。 本発明に係る複合粒子粉末及び電極物質と電解質物質の凝集体粉末を示す模式図である。 該固体酸化物形燃料電池用セルHを、電解質基板の表面に対して垂直な面で切断し、空気極層側の断面を、走査型電子顕微鏡で観察したときのSEM写真である。
符号の説明
11、41 電解質基板
12 電解質物質粉末
13 電解質層形成用スラリー
14 電解質層形成用スラリー層
15 電解質層形成用スラリー層が形成されている電解質基板
16 造孔剤
17 造孔剤スラリー
18 造孔剤スラリー層
19 電解質層形成用スラリー層及び造孔剤スラリー層が形成されている電解質基板
22、42 多数の窪みを有する電解質層
23 窪み
24、46 多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板
31 電極物質粉末
32 液体分
33 電極層形成用スラリー
34 電極層形成用スラリー層
35 電極層形成用スラリー層が塗布された、多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板
36 電極層
37 多数の窪みを有する電解質層及び電極層が形成されている電解質基板
43 該電解質層42の表面
44 一端
45 他端
47 直線距離
55 複合粒子
56 母粒子
57 子粒子
58 電極物質
59 電極物質と電解質物質の凝集体
60 電解質物質

Claims (9)

  1. 電解質基板又は電極基板の表面に、電解質物質粉末を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、塗布された該電解質層形成用スラリーの上に、固体の造孔剤を含有する造孔剤スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板又は該電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電解質層形成工程と、
    該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板の該電解質層の表面に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層及び電極層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電極層形成工程と、
    を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  2. 前記造孔剤の平均粒径D50が10〜35μmであることを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  3. 前記造孔剤の最大頻度(ピークトップ)の半値全幅が、最大頻度(ピークトップ)の粒径の±30%であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  4. 前記電解質物質粉末の平均粒径D50が0.01〜3.0μmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  5. 前記電極物質粉末、前記電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は前記電極物質と電解質物質との複合体粉末の平均粒径D50が0.08〜3.0μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  6. クレーター状の窪みを有する電解質層と、
    該窪みが形成されている側の該電解質層の表面に形成されている電極層と、
    を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セル。
  7. 前記窪みが形成されている側の前記電解質層の表面長さが、直線距離の1.2〜3.0倍であることを特徴とする請求項6項記載の固体酸化物形燃料電池用セル。
  8. 前記窪みの平均直径D50が6〜25μmであることを特徴とする請求項6又は7いずれか1項記載の固体酸化物形燃料電池用セル。
  9. 電解質基板又は電極基板の表面に、電解質物質粉末を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、塗布された該電解質層形成用スラリーの上に、固体の造孔剤を含有する造孔剤スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板又は該電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電解質層形成工程と、
    該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板の該電解質層の表面に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多数の窪みを有する電解質層が形成されている電解質基板又は電極基板を焼成し、多数の窪みを有する電解質層及び電極層が形成されている電解質基板又は電極基板を得る電極層形成工程と、
    を行い得られることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セル。
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