JP2008071668A - 複合粒子粉末及びその製造方法、固体酸化物形燃料電池の電極及びその製造方法、並びに固体酸化物形燃料電池用セル - Google Patents

複合粒子粉末及びその製造方法、固体酸化物形燃料電池の電極及びその製造方法、並びに固体酸化物形燃料電池用セル Download PDF

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孝一 瀧澤
Akifusa Hagiwara
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Abstract

【課題】三相界面の量が多い固体酸化物形燃料電池の電極、更には、耐久性が高い固体酸化物形燃料電池用セルを提供する。
【解決手段】2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液、又は平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程を行い得られることを特徴とする複合粒子粉末。該複合粒子粉末を成形し、次いで、焼成して得られることを特徴とする固体酸化物形燃料電池の電極。
【選択図】図4

Description

本発明は、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体、又は金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末と、その製造方法に関する。また、本発明は、該複合粒子粉末を用いて得られる固体酸化物形燃料電池の電極と、その製造方法に関する。また、本発明は、該固体酸化物形燃料電池の電極を有する固体酸化物形燃料電池用セルに関する。
固体酸化物形燃料電池のセルは、電解質を燃料極及び空気極で挟み込むようにして構成され、該電解質、該燃料極及び該空気極ともに金属酸化物又は金属で構成されており、全て固体である。
該固体酸化物形燃料電池において、電池反応は、ガス、イオン、電子のいずれもが反応可能な三相界面で起こる。そのため、電池性能を向上させるためには、該三相界面を増加させることが必要である。
そこで、従来より、電解質物質を電極物質に混合させて、電極を製造することにより、該三相界面を、電解質と電極の接触面だけでなく、電極内部にも形成させ、該三相界面を増加させることが行われてきた。図6に、従来の電極の模式的な断面図を示す。図6中、燃料極32aは、電解質31の表面に形成されており、電解質物質粒子33及び燃料極物質粒子34からなる。該燃料極32a中では、該電解質物質粒子33同士が連結して、電解質物質のネットワークを形成し、また、該燃料極物質粒子34同士が連結して、燃料極物質のネットワークを形成している。そして、該電解質物質粒子33のネットワークと該燃料極物質粒子34のネットワークとの接触面に、三相界面が形成されている。
該燃料極32aは、例えば、該電解質物質粒子33及び該燃料極物質粒子34を、溶媒に分散させて、燃料極形成用スラリーを調製し、得られた燃料極形成用スラリーを、該電解質31の表面に塗布し、スラリー層を形成させ、次いで、焼成することにより製造される。また、該燃料極32aは、他には、該電解質物質粒子33及び該燃料極物質粒子34の粒子混合物を、プレス成形機等で成形し、次いで、焼成することにより製造される。
なお、本発明において、燃料極物質とは、燃料の水素及び酸化物イオンから水及び電子を生成させ且つ電子を導電する性質を持つ物質を指し、空気極物質とは、酸素及び電子から酸化物イオンを生成させ且つ電子を導電する性質を持つ物質を指し、電解質物質とは、空気極で生成する酸化物イオンを燃料極に伝導させる性質を持つ物質を指す。
燃料電池の出力を向上させるためには、三相界面を増やす必要がある。そして、燃料極に、三相界面を増やす方法としては、該燃料極の製造に用いる電解質物質粒子及び燃料極物質粒子の粒径を小さくすることにより、該燃料極中に、該電解質物質粒子及び該燃料極物質粒子を細かく分散させて、微細なネットワークを多く形成させる方法が考えられる。また、空気極についても同様である。
例えば、特開平6−111829号公報(特許文献1)には、主として酸化物固溶体と立方晶及び/又は正方晶酸化ジルコニウムとからなる混合体であって、前記酸化物固溶体は酸化マグネシウム及び酸化ニッケルより主としてなり、それらの総モル量に対して酸化マグネシウムは5モル以上25モル%以下であり、残部が酸化ニッケルである一方、前記立方晶及び/又は正方晶酸化ジルコニウムはその混合量が前記混合体の総モル量に対して35モル%以下であることを特徴とする固体電解質型燃料電池用電極材料に適した混合体が開示されている。
特開平6−111829号公報(請求項1)
ところが、電解質物質粒子及び燃料極物質粒子は、粒径が小さくなると、該電解質物質粒子同士又は該燃料極物質粒子同士が、凝集し易くなるので、電解質物質粒子及び燃料極物質粒子を含有する電極形成用スラリーを用いて層状に成形して電極を製造する場合、スラリー成形体の乾燥中に、複数の該電解質物質粒子同士及び複数の該燃料極物質粒子同士が凝集するため、該電解質物質粒子の凝集物と該燃料極物質粒子の凝集物とが分散した成形体しか得られない。また、電解質物質粒子及び燃料極物質粒子の粒子混合物をプレス成形して電極を製造する場合、電解質物質粒子と燃料極物質粒子とを混合する際に、複数の該電解質物質粒子同士及び複数の該燃料極物質粒子同士が凝集するため、該電解質物質粒子の凝集物と該燃料極物質粒子の凝集物とが分散した成形体しか得られない。該電極形成用スラリーを調製する場合は、該電極形成用スラリーに界面活性剤を添加して、粒子の分散性を高める方法もあるが、それには限界がある。なお、空気極を製造するために、空気極物質粒子の粒径を小さくする場合も同様である。
そのため、従来の電極では、電解質物質粒子及び燃料極物質粒子又は空気極物質粒子の粒径を小さくすることにより、三相界面の量を多くすることは困難であるという問題があった。
また、従来の電極、例えば、図6中の該燃料極32aの場合、燃料電池を作動させると、時間の経過と共に、該電解質物質粒子33同士及び該燃料極物質粒子34同士が焼結し、図7に示すように、電解質物質及び燃料極物質が、偏在するようになるため、燃料極32b中の三相界面の量は、製造直後の該燃料極32a中の三相界面の量に比べ少なくなってしまう。そのため、従来の電極を有する固体酸化物形燃料電池用セルは、出力が時間の経過と共に低くなる、すなわち、耐久性が低いという問題があった。なお、図7は、図6中の従来の電極を有する燃料電池を長時間作動させた後の電極の断面図である。
従って、本発明の課題は、三相界面の量が多い固体酸化物形燃料電池の電極を提供することにある。また、更に、本発明の課題は、耐久性が高い固体酸化物形燃料電池用セルを提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液、又は平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧することにより、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体からなる複合粒子粉末、又は該金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体からなる複合粒子粉末が得られること、(2)該複合粒子粉末を用いることにより、微細なネットワークが形成されている固体酸化物形燃料電池の電極が得られること、(3)このようにして得られた固体酸化物形燃料電池の電極を有する燃料電池は、耐久性が高いこと等を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程、
を行い得られることを特徴とする複合粒子粉末を提供するものである。
また、本発明(2)は、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体であることを特徴とする複合粒子粉末を提供するものである。
また、本発明(3)は、平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、該金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程、
を行い得られることを特徴とする複合粒子粉末を提供するものである。
また、本発明(4)は、平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体であることを特徴とする複合粒子粉末を提供するものである。
また、本発明(5)は、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程、
を有することを特徴とする複合粒子粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明(6)は、平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、該金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程、
を有することを特徴とする複合粒子粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明(7)は、前記本発明(1)〜(4)いずれか記載の複合粒子粉末を成形して、複合粒子成形体を得る成形工程と、
該複合粒子成形体を焼成して、固体酸化物形燃料電池の電極を得る焼成工程と、
を行ない得られることを特徴とする固体酸化物形燃料電池の電極を提供するものである。
また、本発明(8)は、前記本発明(1)〜(4)いずれか記載の複合粒子粉末を成形して、複合粒子成形体を得る成形工程と、
該複合粒子成形体を焼成して、固体酸化物形燃料電池の電極を得る焼成工程と、
を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の電極の製造方法を提供するものである。
また、本発明(9)は、前記本発明(7)記載の固体酸化物形燃料電池の電極を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルを提供するものである。
本発明によれば、電極中に微細なネットワークが形成されており、三相界面の量が多い固体酸化物形燃料電池の電極を提供することができる。また、更に、本発明によれば、耐久性が高い固体酸化物形燃料電池用セルを提供することができる。
本発明の第一の形態の複合粒子粉末(以下、複合粒子粉末(1)とも記載する。)は、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液(1)を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程(1)、
を行い得られる複合粒子粉末である。
なお、本発明において、アモルファス金属酸化物前駆体とは、特定の結晶構造を有さない物質、すなわち、アモルファスであり、且つ焼成されることにより、特定の結晶構造を有する金属酸化物に変化する物質、すなわち、金属酸化物の前駆体である物質を指す。
該複合粒子粉末(1)について、図1〜4を参照して説明する。図1は、該複合粒子粉末(1)の形態例の模式的な断面図であり、該複合粒子粉末(1)の1粒子を示す。図1中、噴霧液の液滴1は、硝酸ランタン、硝酸ストロンチウム、硝酸マンガン、硝酸イットリウム及び硝酸ジルコニウムの水溶液であり、ノズル等から噴霧された直後の噴霧液の液滴一つ分を示す(1−1)。該噴霧液の液滴1は、300〜900℃の加熱炉で加熱されると、該噴霧液の液滴1中の水分が蒸発すると共に、該噴霧液の液滴1中の硝酸イットリウム及び硝酸ジルコニウムが、アモルファスであり且つイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の前駆体であるアモルファスYSZ前駆体2に変化し、また、硝酸ランタン、硝酸ストロンチウム及び硝酸マンガンが、アモルファスであり且つランタンストロンチウムマンガネート(LSM)の前駆体であるアモルファスLSM前駆体3に変化する。このことにより、該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3の凝集体である複合粒子4が得られる(1−2)。なお、該複合粒子4を構成する個々の該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3の実際の粒径は、数nm程度であるが、図1では、説明及び作図の都合上、図1に示す大きさとした。
ここで、該アモルファスYSZ前駆体2とは、アモルファスであり、且つ焼成されることにより、特定の結晶構造を有するイットリア安定化ジルコニアになる物質である。また、該アモルファスLSM前駆体3とは、アモルファスであり、且つ焼成されることにより、特定の結晶構造を有するランタンストロンチウムマンガネートになる物質である。
このようにして得られる該複合粒子4は、該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3の両者より構成される粒子であり、一次粒子としての該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3が凝集した二次粒子である。そして、該複合粒子4(二次粒子)の集合体が、該複合粒子粉末(1)である。
該複合粒子4は、固体酸化物形燃料電池の電極の製造に用いられる。該複合粒子4を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、電解質の表面に形成されている複合粒子成形体を示す模式的な断面図であり、図3は、図2中の該複合粒子成形体の焼成途中の様子を示す模式的な断面図であり、図4は、空気極を示す模式的な断面図である。なお、該複合粒子4を構成する個々の該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3の実際の粒径は、数nm程度であるが、図2では、説明及び作図の都合上、図2に示す大きさとした。
先ず、図2に示すように、電解質5の表面に、該複合粒子4を含有するスラリーを塗布し、スラリー層を形成させ、更に、乾燥させることにより、該複合粒子4の成形体である複合粒子成形体6を得る。
次いで、該複合粒子成形体6を焼成するが、アモルファス状体の金属酸化物前駆体の粒子は、他の粒子と焼結し易い性質を有するので、図3に示すように、該焼成の途中で、該アモルファスYSZ前駆体2が、該複合粒子4内で、近傍に存在する1又は2以上の該アモルファスYSZ前駆体2と焼結し、複数の該アモルファスYSZ前駆体2が焼結した焼結物7になり、また、同様に、該焼成の途中で、該アモルファスLSM前駆体3が、該複合粒子4内で、近傍に存在する1又は2以上の該アモルファスLSM前駆体3と焼結し、複数の該アモルファスLSM前駆体3が焼結した焼結物8になる。
なお、該焼成の際には、該複合粒子4内のアモルファス金属酸化物前駆体は、同種のアモルファス金属酸化物前駆体及び異なる種類のアモルファス金属酸化物前駆体のいずれとも焼結するが、異なる種類のアモルファス金属酸化物前駆体との焼結に比べ、同種のアモルファス金属酸化物前駆体同士の方が、焼結し易い。つまり、該焼成の際には、該複合粒子4では、該アモルファスYSZ前駆体2同士及び該アモルファスLSM前駆体3同士が焼結し易い。
そのため、焼成過程では、先ず、該複合粒子4内で、該アモルファスYSZ前駆体2同士が多数連結するように焼結する。すなわち、該アモルファスYSZ前駆体2は、該複合粒子4内で、ネットワークを形成するように焼結する。また、同様に、先ず、該複合粒子4内で、該アモルファスLSM前駆体3同士が多数連結するように焼結し、すなわち、ネットワークを形成するように焼結する。更に、焼結が進むと、1つの複合粒子4内に形成されたネットワークが、他の複合粒子4内に形成された同種のネットワークと連結し、該複合粒子成形体6全体に亘ってネットワークが形成される。そして、次いで、該アモルファスYSZ前駆体2のネットワークと、該アモルファスLSM前駆体3のネットワークとが、焼結する。
また、該焼成により、上述したような該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3の焼結が起こると共に、該アモルファスYSZ前駆体2が、特定の結晶構造を有する金属酸化物であるイットリア安定化ジルコニアに変化し、該アモルファスLSM前駆体3が、特定の結晶構造を有する金属酸化物であるランタンストロンチウムマンガネートに変化する。
このようにして、図4に示すように、該複合粒子成形体6の焼成により、イットリア安定化ジルコニアのネットワーク9及びランタンストロンチウムマンガネートのネットワーク10が形成されている空気極11が得られる。
なお、図4中には、該焼成前の該複合粒子4の輪郭を、点線で示すが、該アモルファスYSZ前駆体2同士及び該アモルファスLSM前駆体3同士が焼結する過程で、該アモルファスYSZ前駆体2同士及び該アモルファスLSM前駆体3同士が引き合うため、該焼成の際に、該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3は、該複合粒子成形体6中で移動する。そのため、該空気極11中に、該焼成前の該複合粒子4の輪郭はなくなる。
図2において、該複合粒子成形体6を、一次粒子という観点から見ると、該複合粒子成形体6の形成に用いられる該複合粒子4(二次粒子)中で、一次粒子の該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3は、分散された状態で存在しているので、該複合粒子成形体6の作製の際に、該複合粒子4同士が凝集しても、一次粒子の該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3の分散状態は変わらない。そして、該複合粒子4中の該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3は、粒径が数nmであり且つ均一に分散されているので、該複合粒子成形体6中で、該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3は、微細且つ高度に分散されていると言える。該複合粒子4は、固体酸化物形燃料電池の空気極を製造するために用いられる粒子であるので、該複合粒子4の粒径は、従来の電極では、例えば、図6に示す空気極32aでは、該空気極32aの製造に用いられる粒子である該電解質物質粒子33a及び該空気極物質粒子34aの粒径に相当する。そうすると、従来の空気極に比べ、該複合粒子成形体6中の電解質物質となる物質、すなわち、該アモルファスYSZ前駆体2、及び空気極物質となる物質、すなわち、該アモルファスLSM前駆体3は、極めて粒径が小さく、且つ該複合粒子成形体6中に、該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3が、極めて高度に分散されていると言える。つまり、従来の電極に比べ、該複合粒子成形体6では、該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3が、微細且つ高度に分散されている。
そして、微細且つ高度に分散されている該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3から、該イットリア安定化ジルコニアのネットワーク9及び該ランタンストロンチウムマンガネートのネットワーク10が形成されるので、該空気極11中に形成されている該イットリア安定化ジルコニアのネットワーク9及び該ランタンストロンチウムマンガネートのネットワーク10は、微細であり且つ多数ある。よって、従来の空気極に比べ、該空気極11中の三相界面の量は、極めて多い。
このように、該複合粒子粉末(1)は、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液(1)を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程(1)、
を行い得られる。
該複合粒子粉末(1)に係る該原料金属塩とは、該複合粒子粉末(1)の個々の粒子(二次粒子)を構成するアモルファス金属酸化物前駆体の原料である金属塩を指し、該加熱炉で加熱されることにより、アモルファス金属酸化物前駆体となる物質を指す。例えば、図1では、該複合粒子4を構成するアモルファス金属酸化物前駆体は、該アモルファスYSZ前駆体2及び該アモルファスLSM前駆体3であるので、該アモルファスYSZ前駆体2の原料である金属塩、すなわち、硝酸イットリウム及び硝酸ジルコニウムと、該アモルファスLSM前駆体3の原料である金属塩、すなわち、硝酸ランタン、硝酸ストロンチウム及び硝酸マンガンとが、該原料金属塩である。また、該原料金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩、炭酸塩等であり、陰イオンの種類は、特に制限されない。
該複合粒子粉末(1)において、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体とは、アモルファス金属酸化物前駆体が2種以上であることを指す。従って、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩からは、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体が生成する。例えば、図1では、原料金属塩から、アモルファスYSZ前駆体及びアモルファスLSM前駆体という2種のアモルファス金属酸化物前駆体が生成している。
該複合粒子粉末(1)において、該アモルファス金属酸化物前駆体は、酸化ニッケル、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルトのような1種の金属により構成される金属酸化物の前駆体であってもよいし、あるいは、イットリア安定化ジルコニア、ランタンストロンチウムマンガネート、ランタンストロンチウムフェライト、ランタンストロンチウムコバルタイト、サマリアドープセリアのような2種以上の金属により構成される金属酸化物の前駆体であってもよい。
該複合粒子粉末(1)に係る該原料金属塩は、該複合粒子粉末(1)を用いて、どのような金属酸化物により構成される材料を製造するかにより、適宜選択される。例えば、該複合粒子粉末(1)を用いて、固体酸化物形燃料電池の空気極を製造する場合、先ず、製造する固体酸化物形燃料電池の空気極を構成する金属酸化物の組み合わせを選択する。例えば、空気極を構成する金属酸化物の組み合わせを、イットリア安定化ジルコニア及びランタンストロンチウムマンガネートとのように選択する。次いで、イットリア安定化ジルコニアの構成金属であるイットリウム及びジルコニウムの塩、例えば、硝酸イットリウム及び硝酸ジルコニウムと、ランタンストロンチウムマンガネートの構成金属であるランタン、ストロンチウム及びマンガンの塩、例えば、硝酸ランタン、硝酸ストロンチウム及び硝酸マンガンとを、該複合粒子粉末(1)に係る該原料金属塩とする。
該複合粒子粉末(1)が、固体酸化物形燃料電池の燃料極の製造に用いられる場合、該複合粒子粉末(1)は、電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体、及び燃料極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体であるので、この場合、該複合粒子粉末(1)に係る原料金属塩は、電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩、及び燃料極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩である。また、該複合粒子粉末(1)が、固体酸化物形燃料電池の空気極の製造に用いられる場合、該複合粒子粉末(1)は、電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体、及び空気極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体であるので、この場合、該複合粒子粉末(1)に係る原料金属塩は、電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩、及び空気極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩である。
該電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩は、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、スカンジウム(Sc)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ランタン(La)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ケイ素(Si)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、イッテルビウム(Yb)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)から選ばれる金属の1種又は2種以上の金属塩である。
更に具体的には、該電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩としては、例えば、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ;Sc−ZrO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ;Y−ZrO)、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート(LSGM;La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2)等のランタンガレート、ガドリニア安定化ジルコニア(Gd−ZrO)、サマリアドープセリア(Sm−CeO)、ガドリニアドープセリア(Gd−CeO)、酸化イットリウム固溶酸化ビスマス(Y−Bi)等の金属酸化物を構成する金属の金属塩が挙げられる。
該燃料極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩は、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル及びカルシウム(Ca)から選ばれる金属の1種又は2種以上の金属塩である。
更に具体的には、該燃料極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩としては、例えば、酸化ニッケル(NiO)、酸化セリウム(CeO)、サマリアドープセリア、ガドリニアドープセリア等の金属酸化物を構成する金属の金属塩が挙げられる。
該空気極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩は、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル、カルシウム及びマンガン(Mn)から選ばれる金属の1種又は2種以上の金属塩である。
更に具体的には、該空気極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩としては、例えば、ランタンストロンチウムマンガネート(La0.8Sr0.2MnO)、ランタンカルシウムコバルテート(La0.9Ca0.1CoO)、ランタンストロンチウムコバルテート(La0.9Sr0.1CoO)、ランタンコバルテート(LaCoO)、ランタンカルシウムマンガネート(La0.9Ca0.1MnO)等の金属酸化物を構成する金属の金属塩が挙げられる。
該複合粒子粉末(1)に係る該噴霧液(1)は、該複合粒子粉末(1)に係る該原料金属塩を含有する。そして、該噴霧液(1)は、該原料金属塩を、水、アルコール等の溶媒に溶解させて得られる原料金属塩溶液である。
該噴霧液(1)中の全金属原子の合計含有量は、0.001〜100mol/L、好ましくは0.001〜10mol/L、特に好ましくは0.01〜10mol/Lである。また、該噴霧液(1)中の該全金属原子の合計含有量により、該複合粒子粉末(1)の粒径が変化するので、該噴霧液(1)中の該全金属原子の合計含有量を適宜選択することにより、該複合粒子粉末(1)の平均粒径を制御することができる。
該噴霧液(1)を加熱炉に噴霧する方法としては、特に制限されず、例えば、該噴霧液(1)をポンプで加圧し、ノズルの先から該噴霧液(1)の液滴を噴霧する方法、超音波噴霧素子による方法、回転可能な円盤上に該噴霧液(1)の液滴を置き、遠心力で該液滴を飛ばす方法が挙げられる。
該加熱炉の温度は、300〜900℃であり、好ましくは300〜800℃である。該加熱炉の温度が、上記範囲内にあることにより、該原料金属塩が該アモルファス金属酸化物前駆体になるので、該アモルファス金属酸化物前駆体の凝集体が得られる。一方、該加熱炉の温度が、300℃未満だと、該原料金属塩が該アモルファス金属酸化物前駆体にならず、また、900℃を超えると、該原料金属塩が、アモルファスではなく、特定の結晶構造を有する金属酸化物になる。
該加熱炉は、1段の加熱炉であっても、それぞれ設定温度が異なる複数の加熱炉を連結させた多段の加熱炉であってもよい。
そして、該加熱炉を通過した粒子はフィルター等を用いて捕集され該複合粒子粉末(1)が得られる。
このように、該噴霧熱分解工程(1)を行うことにより、該複合粒子粉末(1)が得られる。
該複合粒子粉末(1)では、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体が一次粒子として凝集して、二次粒子を形成している。すなわち、該複合粒子粉末(1)は、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である。つまり、該複合粒子粉末(1)の個々の粒子は、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体により構成されている。
なお、該複合粒子粉末(1)が、アモルファス状態の前駆体の凝集体であるか否かについては、X線回折分析により確認することができる。粒子粉末を構成する個々の粒子(二次粒子)が、特定の結晶構造を有する金属酸化物粒子の凝集体であった場合には、X線回折分析チャートには、結晶構造の存在を示すシャープなピークが見られる。一方、粒子粉末を構成する個々の粒子(二次粒子)が、アモルファス状態の前駆体の凝集体である場合には、X線回折分析チャートには、明確なピークが見られないか、又はブロードな幅の広いピークが見られる。
そして、該複合粒子粉末(1)は、1200℃程度の温度で焼成されると、特定の結晶構造を有する金属酸化物になるので、該複合粒子粉末(1)を焼成し、その焼成物のX線回折分析を行ない、得られるX線回折ピークパターンから、該複合粒子粉末(1)が、どのような金属酸化物の前駆体の凝集体であったかを判断することができる。
例えば、図1に示す該複合粒子4の場合、該複合粒子4のX線回折チャート中には、明確なピークが見られないか、又はブロードな幅の広いピークが見られる。そして、該複合粒子4を1200℃で焼成した焼成物のX線回折チャート中には、イットリア安定化ジルコニアのピークパターン及びランタンストロンチウムマンガネートのピークパターンの両方が見られる。
また、該複合粒子粉末(1)が、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体であること、言い換えると、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の粒子の単なる粒子混合物ではないことの確認については、透過型電子顕微鏡(TEM)による元素分析により行なうことができる。粒子粉末を、透過型電子顕微鏡(TEM)で分析すると、粒子粉末が、該複合粒子粉末(1)のように、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である場合、例えば、図1に示す該複合粒子4の集合体の場合、粒子粉末の個々のどの粒子(二次粒子)からも、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ストロンチウム及びマンガンの全元素が検出される。一方、粒子粉末が、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の粒子の単なる粒子混合物である場合、粒子粉末の個々の粒子(二次粒子)には、イットリウム及びジルコニウムが検出される粒子と、ランタン、ストロンチウム及びマンガンが検出される粒子がある。
該複合粒子粉末(1)の平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、特に好ましくは0.2〜2μmである。
また、本発明の第一の形態の複合粒子粉末の製造方法は、該複合粒子粉末(1)に係る該噴霧熱分解工程(1)、すなわち、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液(1)を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程(1)、
を有する複合粒子粉末の製造方法である。
本発明の第二の形態の複合粒子粉末(以下、複合粒子粉末(2)とも記載する。)は、平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液(2)を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、該金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程(2)、
を行い得られる複合粒子粉末である。
該複合粒子粉末(2)について、図2〜図5を参照して説明する。なお、該複合粒子粉末(2)は、該複合粒子粉末(1)と同様な点も多いので、図2〜4では、該複合粒子粉末(1)と同様な点については、該複合粒子粉末(1)の符号を用い、該複合粒子粉末(1)と異なる点については、カッコ書きの符号を付した。
図5は、該複合粒子粉末(2)の形態例の模式的な断面図であり、該複合粒子粉末(2)中の1粒子を示す。図5中、噴霧液の液滴21は、イットリア安定化ジルコニア微粒子22が、硝酸ランタン、硝酸ストロンチウム及び硝酸マンガンの金属塩溶液23に分散されている分散液であり、ノズル等から噴霧された直後の噴霧液の液滴1つ分を示す(5−1)。該噴霧液の液滴21は、300〜900℃の加熱炉で加熱されると、該噴霧液の液滴21中の水分が蒸発すると共に、該噴霧液の液滴21中の硝酸ランタン、硝酸ストロンチウム及び硝酸マンガンが、アモルファスであり且つランタンストロンチウムマンガネート(LSM)の前駆体であるアモルファスLSM前駆体3に変化する。このことにより、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3の凝集体である複合粒子24が得られる(5−2)。
ここで、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22とは、特定の結晶構造を有する金属酸化物であるイットリア安定化ジルコニアのことを指す。
このようにして得られる該複合粒子24は、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3の両者より構成される粒子であり、一次粒子としての該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3が凝集した二次粒子である。そして、該複合粒子24(二次粒子)の集合体が、該複合粒子粉末(2)である。
該複合粒子24は、固体酸化物形燃料電池の電極の製造に用いられる。複合粒子24を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極について、図2〜図4を参照して説明する。
先ず、図2に示すように、電解質5の表面に、該複合粒子24を含有するスラリーを塗布し、スラリー層を形成させ、更に、乾燥させることにより、該複合粒子24の成形体である複合粒子成形体26を得る。
次いで、該複合粒子成形体26を焼成するが、アモルファス状体の金属酸化物前駆体の粒子は、他の粒子と焼結し易い性質を有するので、図3に示すように、該焼成の途中で、該アモルファスLSM前駆体3が、該複合粒子24内で、近傍に存在する1又は2以上の該アモルファスLSM前駆体3と焼結し、複数の該アモルファスLSM前駆体3が焼結した焼結物8になる。また、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22は、該アモルファスLSM前駆体3に比べれれば、焼結性は低いものの、該焼成により焼結するので、該焼成の途中で、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22は、該複合粒子24内で、近傍に存在する1又は2以上の該イットリア安定化ジルコニア微粒子22と焼結し、複数の該イットリア安定化ジルコニア微粒子22が焼結した焼結物25になる。
なお、該焼成の際には、該複合粒子24内のアモルファス金属酸化物前駆体は、同種のアモルファス金属酸化物前駆体、異なる種類のアモルファス金属酸化物前駆体及び金属酸化物微粒子のいずれとも焼結するが、異なる種類のアモルファス金属酸化物前駆体や金属酸化物微粒子との焼結に比べ、同種のアモルファス金属酸化物前駆体同士の方が、焼結し易い。また、該複合粒子24内の金属酸化物微粒子は、同種の金属酸化物微粒子、異なる種類の金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体のいずれとも焼結するが、異なる種類の金属酸化物微粒子やアモルファス金属酸化物前駆体との焼結に比べ、同種の金属酸化物微粒子同士の方が、焼結し易い。つまり、該焼成の際には、該複合粒子24では、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22同士及び該アモルファスLSM前駆体3同士が焼結し易い。
そのため、焼成過程では、先ず、該複合粒子24内で、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22同士が多数連結するように焼結する。すなわち、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22は、該複合粒子24内で、ネットワークを形成するように焼結する。また、同様に、先ず、該複合粒子24内で、該アモルファスLSM前駆体3同士が多数連結するように焼結し、すなわち、ネットワークを形成するように焼結する。更に、焼結が進むと、1つの複合粒子24内に形成されたネットワークが、他の複合粒子24内に形成された同種のネットワークと連結し、該複合粒子成形体26全体に亘ってネットワークが形成される。そして、次いで、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22のネットワークと、該アモルファスLSM前駆体3のネットワークとが、焼結する。
また、該焼成により、上述したような該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3の焼結が起こると共に、該アモルファスLSM前駆体3が、特定の結晶構造を有する金属酸化物であるランタンストロンチウムマンガネートに変化する。
このようにして、図4に示すように、該複合粒子成形体26の焼成により、イットリア安定化ジルコニアのネットワーク9及びランタンストロンチウムマンガネートのネットワーク10が形成されている空気極11が得られる。
なお、図4中には、該焼成前の該複合粒子24の輪郭を、点線で示すが、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22同士及び該アモルファスLSM前駆体3同士が焼結する過程で、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22同士及び該アモルファスLSM前駆体3同士が引き合うため、該焼成の際に、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3は、該複合粒子成形体26中で移動する。そのため、該空気極11中に、該焼成前の該複合粒子24の輪郭はなくなる。
該複合粒子成形体26を、一次粒子という観点から見ると、該複合粒子成形体26の形成に用いられる該複合粒子24(二次粒子)中で、一次粒子の該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3は、分散された状態で存在しているので、該複合粒子成形体26の作製の際に、該複合粒子24同士が凝集しても、一次粒子の該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3の分散状態は変わらない。そして、該複合粒子24中の該イットリア安定化ジルコニア微粒子22は、粒径が10〜300nmであり、該アモルファスLSM前駆体3は、粒径が数nmであり且つそれらは、均一に分散されているので、該複合粒子成形体26中で、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3は、微細且つ高度に分散されていると言える。該複合粒子24は、固体酸化物形燃料電池の空気極を製造するために用いられる粒子であるので、該複合粒子24の粒径は、従来の電極では、例えば、図6に示す空気極32aでは、該空気極32aの製造に用いられる粒子である該電解質物質粒子33a及び空気極物質粒子34aの粒径に相当する。そうすると、従来の空気極に比べ、該複合粒子成形体26中の電解質物質となる物質、すなわち、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22、及び空気極物質となる物質、すなわち、該アモルファスLSM前駆体3は、極めて粒径が小さく、且つ該複合粒子成形体26中に、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3が、極めて高度に分散されていると言える。つまり、従来の電極に比べ、該複合粒子成形体26では、該イットリア安定化ジルコニア微粒子22及び該アモルファスLSM前駆体3が、微細且つ高度に分散されている。そして、該空気極11中に形成されている該イットリア安定化ジルコニアのネットワーク9及び該ランタンストロンチウムマンガネートのネットワーク10は、微細であり且つ多数ある。よって、従来の空気極に比べ、該空気極11中の三相界面の量は、極めて多い。
このように、該複合粒子粉末(2)は、平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、該金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程(2)、
を行い得られる。
該複合粒子粉末(2)の個々粒子は、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体の両者を含有しており、一次粒子としての該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体が、凝集することにより形成されている二次粒子である。つまり、該複合粒子粉末(2)の個々の粒子は、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体により構成されている。
該複合粒子粉末(2)に係る該金属酸化物微粒子の平均粒径は、0.01〜0.3μm、好ましくは0.05〜0.1μmである。該金属酸化物微粒子の平均粒径が上記範囲内にあることにより、該複合粒子粉末(2)の成形体の焼成により生成するネットワークが微細になり、該複合粒子粉末(2)を用いて固体酸化物形燃料電池の電極を製造する場合、燃料電池の出力が高くなる。
該複合粒子粉末(2)の平均粒径に対する該金属酸化物微粒子の平均粒径の比(該金属酸化物微粒子/該複合粒子粉末(2))は、好ましくは0.002〜0.3、特に好ましくは0.01〜0.1である。該複合粒子粉末(2)の平均粒径に対する該金属酸化物微粒子の平均粒径の比が上記範囲内にあることにより、該複合粒子粉末(2)の成形体の焼成により生成するネットワークが微細になり、該複合粒子粉末(2)を用いて固体酸化物形燃料電池の電極を製造する場合、燃料電池の出力が高くなる。
該複合粒子粉末(2)に係る該原料金属塩とは、該複合粒子粉末(2)の個々の粒子(二次粒子)を構成するアモルファス金属酸化物前駆体の原料である金属塩を指し、該加熱炉で加熱されることにより、アモルファス金属酸化物前駆体となる物質を指す。また、該原料金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩、炭酸塩等であり、陰イオンの種類は、特に制限されない。
該複合粒子粉末(2)において、該アモルファス金属酸化物前駆体は、酸化ニッケル、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルトのような1種の金属により構成される金属酸化物の前駆体であってもよいし、あるいは、イットリア安定化ジルコニア、ランタンストロンチウムマンガネート、ランタンストロンチウムフェライト、ランタンストロンチウムコバルタイト、サマリアドープセリアのような2種以上の金属により構成される金属酸化物の前駆体であってもよい。
該複合粒子粉末(2)において、該複合粒子粉末(2)に係る該金属酸化物微粒子は、少なくとも1種の金属酸化物微粒子であり、2種以上の金属酸化物微粒子であってもよく、また、該複合粒子粉末(2)に係る該原料金属塩は、少なくとも1種のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩であり、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩であってもよい。
該複合粒子粉末(2)において、該金属酸化物微粒子及び該原料金属塩は、該複合粒子粉末(2)を用いて、どのような金属酸化物により構成される材料を製造するかにより、適宜選択される。例えば、該複合粒子粉末(2)を用いて、固体酸化物形燃料電池の空気極を製造する場合、先ず、製造する固体酸化物形燃料電池の空気極を構成する金属酸化物の組み合わせを選択する。例えば、空気極を構成する金属酸化物の組み合わせを、イットリア安定化ジルコニア及びランタンストロンチウムマンガネートとのように選択する。次いで、該複合粒子粉末(2)に係る該金属酸化物微粒子を、イットリア安定化ジルコニアとランタンストロンチウムマンガネートのいずれか一方とし、他方の構成金属の塩を、該複合粒子粉末(2)に係る該原料金属塩とする。例えば、イットリア安定化ジルコニアを、該金属酸化物微粒子とし、ランタンストロンチウムマンガネートの構成金属であるランタン、ストロンチウム及びマンガンの塩、例えば、硝酸ランタン、硝酸ストロンチウム及び硝酸マンガンを、該原料金属塩とする。
該複合粒子粉末(2)が、固体酸化物形燃料電池の燃料極の製造に用いられる場合、該複合粒子粉末(2)は、電解質物質である金属酸化物微粒子又は電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体と、燃料極物質である金属酸化物微粒子又は燃料極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体との凝集体であるので、この場合、該複合粒子粉末(2)に係る該金属酸化物微粒子が、電解質物質である金属酸化物微粒子又は燃料極物質である金属酸化物微粒子であり、且つ該複合粒子粉末(2)に係る原料金属塩が、電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩又は燃料極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩である。
また、該複合粒子粉末(2)が、固体酸化物形燃料電池の空気極の製造に用いられる場合、該複合粒子粉末(2)は、電解質物質である金属酸化物微粒子又は電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体と、空気極物質である金属酸化物微粒子又は空気極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体との凝集体であるので、この場合、該複合粒子粉末(2)に係る該金属酸化物微粒子が、電解質物質である金属酸化物微粒子又は空気極物質である金属酸化物微粒子であり、且つ該複合粒子粉末(2)に係る原料金属塩が、電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩又は空気極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩である。
該電解質物質である金属酸化物微粒子は、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、ケイ素、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物であり、該電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩は、これらの金属の1種又は2種以上の金属塩である。
更に具体的には、該電解質物質である金属酸化物微粒子としては、例えば、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ;Sc−ZrO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ;Y−ZrO)、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート(LSGM;La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2)等のランタンガレート、ガドリニア安定化ジルコニア(Gd−ZrO)、サマリアドープセリア(Sm−CeO)、ガドリニアドープセリア(Gd−CeO)、酸化イットリウム固溶酸化ビスマス(Y−Bi)等の金属酸化物が挙げられ、該電解質物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩としては、これらの金属酸化物を構成する金属の金属塩が挙げられる。
該燃料極物質である金属酸化物微粒子は、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物であり、該燃料極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩は、これらの金属の1種又は2種以上の金属塩である。
更に具体的には、該燃料極物質である金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化ニッケル、サマリアドープセリア、ガドリニアドープセリア等の金属酸化物が挙げられ、該燃料極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩としては、これらの金属酸化物を構成する金属の金属塩が挙げられる。
該空気極物質である金属酸化物微粒子は、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル、カルシウム及びマンガンから選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物であり、該空気極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩は、これらの金属の1種又は2種以上の金属塩である。
更に具体的には、該空気極物質である金属酸化物微粒子としては、例えば、ランタンストロンチウムマンガネート(La0.8Sr0.2MnO)、ランタンカルシウムコバルテート(La0.9Ca0.1CoO)、ランタンストロンチウムコバルテート(La0.9Sr0.1CoO)、ランタンコバルテート(LaCoO)、ランタンカルシウムマンガネート(La0.9Ca0.1MnO)等の金属酸化物が挙げられ、該空気極物質の前駆体であるアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩としては、これらの金属酸化物を構成する金属の金属塩が挙げられる。
該複合粒子粉末(2)に係る該噴霧液(2)は、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有している。そして、該噴霧液(2)は、該アモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を、水、アルコール等の溶媒に溶解させた原料金属塩溶液に、該複合粒子粉末(2)に係る該金属酸化物微粒子を分散させることにより得られる。また、該金属酸化物微粒子の分散性を高めるために、該噴霧液(2)は、種々の界面活性剤を含有することができる。
該噴霧液(2)中の全金属原子の合計含有量は、0.001〜100mol/L、好ましくは0.001〜10mol/L、特に好ましくは0.01〜10mol/Lである。また、該噴霧液(2)中の該全金属原子の合計含有量により、該複合粒子粉末(1)の粒径が変化するので、該噴霧液(2)中の該全金属原子の合計含有量を適宜選択することにより、該複合粒子粉末(2)の平均粒径を制御することができる。
該噴霧液(2)を加熱炉に噴霧する方法は、該噴霧液(1)を加熱炉に噴霧する方法と同様である。
該複合粒子粉末(2)において、該加熱炉の温度は、300〜900℃であり、好ましくは300〜800℃である。該加熱炉の温度が、上記範囲内にあることにより、該原料金属塩が該アモルファス金属酸化物前駆体になるので、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体の凝集体が得られる。一方、該加熱炉の温度が、300℃未満だと、該原料金属塩が該アモルファス金属酸化物前駆体にならず、また、900℃を超えると、該原料金属塩が、アモルファスではなく、特定の結晶構造を有する金属酸化物になるので、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体の凝集体が得られない。
該加熱炉は、1段の加熱炉であっても、それぞれ設定温度が異なる複数の加熱炉を連結させた多段の加熱炉であってもよい。
そして、該加熱炉を通過した粒子はフィルター等を用いて捕集され該複合粒子粉末(2)が得られる。
このように、該噴霧熱分解工程(2)を行うことにより、該複合粒子粉末(2)が得られる。そして、該複合粒子粉末(2)は、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である。
なお、該複合粒子粉末(2)が、特定の結晶構造を有する金属酸化物微粒子及びアモルファス状態の粒子の凝集体であるか否かについては、粒子粉末を焼成する前と1200℃程度の温度で焼成した後のX線回折分析チャートを比較することにより確認することができる。粒子粉末を構成する個々の粒子(二次粒子)が、特定の結晶構造を有する金属酸化物粒子のみの凝集体であった場合、粒子粉末の焼成前後のX線回折分析チャートのピークパターンに変化はない。一方、粒子粉末を構成する個々の粒子(二次粒子)が、特定の結晶構造を有する金属酸化物微粒子及びアモルファス状態の粒子の凝集体であった場合、焼成前のX線回折分析チャートには、結晶構造の存在を示すシャープなピークとしては、該噴霧液(2)に含有させた該金属酸化物微粒子に由来するピークのみが見られ、該金属酸化物微粒子に由来するピーク以外には、明確なピークが見られないか、又はブロードな幅の広いピークが見られ、焼成後のX線回折分析チャートには、該噴霧液(2)に含有させた該金属酸化物微粒子に由来するピーク以外に、結晶構造の存在を示すシャープなピークが現れる。
また、焼成後のX線回折分析チャートに現れたピークのピークパターンから、、焼成前の粒子粉末中の金属酸化物前駆体が、どのような金属酸化物の前駆体であったかを判断することができる。
例えば、図5に示す該複合粒子24の場合、該複合粒子24のX線回折チャート中には、イットリア安定化ジルコニアに由来するシャープなピークが見られ、それ以外には明確なピークが見られないか、又はブロードな幅の広いピークが見られる。そして、該複合粒子24を1200℃で焼成した焼成物のX線回折チャート中には、イットリア安定化ジルコニアのピークパターン及びランタンストロンチウムマンガネートのピークパターンの両方が見られる。
また、該複合粒子粉末(2)が、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体の凝集体であること、言い換えると、該金属酸化物微粒子と該アモルファス金属酸化物前駆体の粒子の単なる粒子混合物ではないことの確認については、透過型電子顕微鏡(TEM)による元素分析により行なうことができる。粒子粉末を、透過型電子顕微鏡(TEM)で分析すると、粒子粉末が、該複合粒子粉末(2)のように、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である場合、例えば、図5に示す該複合粒子24の集合体の場合、粒子粉末の個々のどの粒子(二次粒子)からも、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ストロンチウム及びマンガンの全元素が検出される。一方、粒子粉末が、該金属酸化物粒子と該アモルファス金属酸化物前駆体の粒子の単なる粒子混合物である場合、粒子粉末の個々の粒子(二次粒子)には、イットリウム及びジルコニウムが検出される粒子と、ランタン、ストロンチウム及びマンガンが検出される粒子がある。
該複合粒子粉末(2)の平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、特に好ましくは0.2〜2μmである。
また、本発明の第二の形態の複合粒子粉末の製造方法は、該複合粒子粉末(2)に係る該噴霧熱分解工程(2)、すなわち、金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、該金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程(2)、
を有する複合粒子粉末の製造方法である。
本発明の固体酸化物形燃料電池の電極は、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)を成形して、複合粒子成形体を得る成形工程と、
該複合粒子成形体を焼成して、固体酸化物形燃料電池の電極を得る焼成工程と、
を行ない得られる固体酸化物形燃料電池の電極である。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池の電極の製造方法は、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)を成形して、複合粒子成形体を得る成形工程と、
該複合粒子成形体を焼成して、固体酸化物形燃料電池の電極を得る焼成工程と、
を有する固体酸化物形燃料電池の電極の製造方法である。
本発明の固体酸化物形燃料電池の電極及び本発明の固体酸化物形燃料電池の電極の製造方法に係る該成形工程のおいて、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)を成形する方法としては、例えば、該複合粒子粉末(1)が分散されている電極形成用スラリー、又は該複合粒子粉末(2)が分散されている電極形成用スラリーを調製し、次いで、得られたスラリーを用いて、スクリーン印刷法、ドクタープレート法等により該スラリーの膜を形成させ、必要に応じて、乾燥することにより、成形する方法が挙げられる。この場合、該電極形成用スラリーは、他に、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース等のバインダー成分、フタル酸ジ−n−ブチル等の可塑剤成分、ノニオン系分散剤等の分散剤成分、オクチルフェニルエーテル等の消泡剤成分を含有することができる。そして、該電極形成用スラリーは、有機溶剤、アルコール、油等の溶媒に、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)を混合し、更に、必要に応じて、該バインダー成分、該可塑剤成分、該分散剤成分、該消泡剤成分等を混合し、撹拌等を行ない、これらの成分を該溶媒に分散又は溶解させることにより調製される。
該電極形成用スラリー中、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)の含有量は、好ましくは10〜80質量%、特に好ましくは40〜60質量%である。
また、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)を成形する方法としては、他には、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)をプレス成形して、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)を成形する方法が挙げられる。該プレス成形は、例えば、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)を、金型に入れ、10〜200MPa程度、好ましくは50〜100MPa程度の荷重を加えてプレスすることにより行なわれる。
次いで、該複合粒子成形体を焼成することにより、該複合粒子成形体中の同種の該アモルファス金属酸化物前駆体同士又は同種の該金属酸化物微粒子同士が焼結し、ネットワークを形成すると共に、該アモルファス金属酸化物前駆体が、特定の結晶構造を有する金属酸化物になり、固体酸化物形燃料電池の電極が得られる。
該複合粒子成形体を焼成する際の焼成温度は、該アモルファス金属酸化物前駆体が、特定の結晶構造を有する金属酸化物になる温度以上であり、好ましくは900〜1300℃、特に好ましくは1000〜1200℃である。
なお、該電極形成用スラリーを用いて、該複合粒子成形体を得る場合、該電極形成用スラリーを電解質の表面に塗布して、該電解質の表面に該複合粒子成形体を形成させてもよいし、該電極形成用スラリーのみを製膜して、単独の該複合粒子成形体を得てもよい。また、該焼成工程では、該複合粒子成形体を、電解質の表面に形成させた場合は、該電解質ごと、該複合粒子成形体を焼成することになる。また、該電極形成用スラリーのみを製膜して、単独の該複合粒子成形体を得た場合、あるいは、該複合粒子粉末(1)又は該複合粒子粉末(2)をプレス成形して、単独の該複合粒子成形体を得た場合は、該複合粒子成形体と電解質とを重ね合わせ、その状態で焼成することになる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、本発明の固体酸化物形燃料電池の電極を有する固体酸化物形燃料電池用セルである。
該噴霧液(1)では、該原料金属塩は、溶媒に溶解しているため、該原料金属塩の金属種は、該噴霧液(1)中に原子レベルで分散している。すなわち、該噴霧液(1)では、極めて微細に且つ極めて均一に分散された状態で、該金属種が存在する。そのため、該噴霧液(1)から生成する該複合粒子粉末(1)の個々の粒子においては、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体が、極めて微細に且つ極めて均一に分散されている。そして、そのような該複合粒子粉末(1)を、成形して得られる複合粒子成形体を、一次粒子のレベルで見ると、従来の固体酸化物形燃料電池の電極に比べ、該複合粒子成形体中の電解質物質となる物質及び燃料極物質となる物質又は空気極物質となる物質が、極めて微細であり、且つ該複合粒子成形体中に、これらの物質が、極めて高度に分散されている。そのため、該複合粒子粉末(1)を用いることにより、微細な電解質物質のネットワークと、微細な燃料極物質又は空気極物質のネットワークとを、多数形成させることができる。従って、該複合粒子粉末(1)を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極は、三相界面の量が、従来の電極に比べ多い。
従来の電極において、電極の製造に用いる粒子の大きさを、該複合粒子粉末(1)の一次粒子と同程度の大きさにして、均一に分散することができれば、該複合粒子粉末(1)を用いて得られる複合粒子成形体と同程度に、微細且つ均一に電解質物質粒子及び燃料極物質粒子又は空気極物質粒子が分散されている混合粒子の成形体が得られる。しかし、従来の電極では、電極の製造に用いる粒子の大きさが、該複合粒子粉末(1)の一次粒子と同程度の大きになると、成形体の調製の際に、粒子同士が非常に凝集し易くなり、得られる混合粒子の成形体は、同一の粒子がある程度凝集した凝集体が、分散した成形体となるので、実際には、該複合粒子粉末(1)を用いて得られる複合粒子成形体と同程度に、微細且つ均一に電解質物質粒子及び燃料極物質粒子又は空気極物質粒子が分散されている混合粒子の成形体を得ることは困難である。そのため、微細な電解質物質のネットワークと、微細な燃料極物質又は空気極物質のネットワークとを有する電極を得ることは困難であった。
また、該複合粒子粉末(1)を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極では、燃料電池の作動中に、電解質物質同士の焼結及び燃料極物質同士又は空気極物質同士の焼結が起こり難い。そのため、該複合粒子粉末(1)を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極では、従来の電極のような、燃料電池の作動の経時変化に伴う電解質物質の偏在及び燃料極物質の偏在又は空気極物質の偏在が起こり難いので、三相界面の量が減り難い。すなわち、該複合粒子粉末(1)を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極は、耐久性が高い。
また、該噴霧液(2)では、該原料金属塩は、溶媒に溶解しているため、該原料金属塩の金属種は、該噴霧液(2)中に原子レベルで分散しており、また、該金属酸化物微粒子は、該噴霧液(2)中で均一に分散している。すなわち、該噴霧液(2)では、極めて微細に且つ極めて均一に分散された状態で、該金属種が存在する。そのため、該噴霧液(2)から生成する該複合粒子粉末(2)の個々の粒子においては、該金属酸化物微粒子及び該アモルファス金属酸化物前駆体が、極めて微細に且つ極めて均一に分散されている。そして、そのような該複合粒子粉末(2)を、成形して得られる複合粒子成形体を、一次粒子のレベルで見ると、該複合粒子粉末(1)の場合と同様に、従来の固体酸化物形燃料電池の電極に比べ、該複合粒子成形体中の電解質物質となる物質及び燃料極物質となる物質又は空気極物質となる物質が、極めて微細であり、且つ該複合粒子成形体中に、これらの物質が、極めて高度に分散されている。そのため、該複合粒子粉末(2)を用いることにより、微細な電解質物質のネットワークと、微細な燃料極物質又は空気極物質のネットワークとを、多数形成させることができる。従って、該複合粒子粉末(2)を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極は、三相界面の量が、従来の電極に比べ多い。また、該複合粒子粉末(2)を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極では、従来の電極のような、燃料電池の作動の経時変化に伴う電解質物質の偏在及び燃料極物質の偏在又は空気極物質の偏在が起こり難いので、三相界面の量が減り難い。すなわち、該複合粒子粉末(2)を用いて製造される固体酸化物形燃料電池の電極は、耐久性が高い。
なお、本発明において、平均粒径は、レーザー回折散乱法による粒度分布測定により測定される値である。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
(噴霧液の調製)
硝酸ランタン六水和物を173.14g、硝酸ストロンチウムを21.18g及び硝酸マンガン六水和物を145.52g秤量し、純水500mLに入れ、50〜80℃に加温しながら、スターラーで撹拌して溶解させ、La0.8Sr0.2MnOの1mol/L溶液を調製した。次いで、該La0.8Sr0.2MnOの1mol/L溶液を、10倍に希釈し、La0.8Sr0.2MnOの0.1mol/L溶液を調製した。
また、硝酸イットリウムを5.68g及び硝酸ジルコニウム二水和物を22.57g秤量し、純水1000mLに入れ、50〜80℃に加温しながら、スターラーで撹拌して溶解させ、イットリア安定化ジルコア(イットリア8mol%、以下、8YSZとも記載する。)の0.1mol/L溶液を調製した。
次いで、該La0.8Sr0.2MnOの0.1mol/L溶液を150mlと、該8YSZの0.1mol/L溶液を10mlとを混合し、噴霧液Aを調製した。
(噴霧熱分解)
次いで、該噴霧液Aを、電気炉の温度が、上流側からそれぞれ300℃、500℃、700℃、900℃にセットされた、4連式電気炉の超音波噴霧熱分解装置の電気炉中に、空気流量1L/分で噴霧し、最後段の電気炉を通過した粒子をテフロン(登録商標)製のメンブレンフィルターで捕集し、複合粒子B0を得た。該複合粒子B0を、レーザー回折散乱法による粒度分布測定装置にて測定したところ、粒径は0.2〜2.0μmであった。
(X線回折分析)
該複合粒子B0をX線回折分析したところ、ランタンストロンチウムマンガネート及びイットリア安定化ジルコニアの存在を示す回折ピークは観察されず、アモルファス構造に特有なブロードで弱い回折ピークが観察された。また、該複合粒子B0を電気炉中、空気雰囲気下、1000℃以上で2時間加熱した後、粒子をX線回折分析したところ、得られたチャート中には、シャープで強度の強い、ランタンストロンチウムマンガネート及びイットリア安定化ジルコニアの回折パターンが観察された。このことは、該複合粒子B0のアモルファスの金属酸化物前駆体が、空気雰囲気下で加熱されることにより、酸化されて、特定の結晶構造を有する金属酸化物に変化したことを示す。
(元素分析)
ICPにより、該複合粒子B0の元素分析を行なったところ、該複合粒子B0中のランタンストロンチウムマンガネート/イットリア安定化ジルコニアの体積比は、64/36であることがわかった。
(透過型電子顕微鏡による分析)
1.該複合粒子B0の分析
上記のようにして得た該複合粒子B0を、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した。その結果を、図8に示す。図8のTEM写真から、該複合粒子B0が真球状であることがわかった。また、該複合粒子B0の粒子全体に、La、Sr、Mn、Y及びZrが分散していることがわかった。また、該複合粒子B0中のLa、Sr、Mn、Y及びZrの分布が、数nm程度の微細な点として観察された。これらの結果は、該複合粒子B0中で、アモルファスLSM前駆体及びアモルファスYSZ前駆体が、数nm程度と微細であり且つ均一に分散された状態で存在していることを示す。なお、図8のTEM写真の中心にある該複合粒子B0の粒径は、約600nmであった。
2.該複合粒子B0を900℃加熱した後の粒子の分析
該複合粒子B0を900℃で2時間加熱して、複合粒子B900を得た。該複合粒子B900を、TEMにて観察した。その結果を、図9に示す。図8のTEM写真と図9のTEM写真とを比較すると、該複合粒子B0中のLa、Sr、Mn、Y及びZrの分布を示すドットに比べ、該複合粒子B900中のLa、Sr、Mn、Y及びZrの分布を示すドットが粗くなっていた。この結果は、900℃で焼成することにより、該複合粒子B0中の複数のアモルファスLSM前駆体同士及び複数のアモルファスYSZ前駆体同士が、集まって焼結し、該複合粒子B0中のアモルファスLSM前駆体及びアモルファスYSZ前駆体よりも大きな焼結体になったことを示す。
(実施例2)
(固体酸化物形燃料電池の電極の製造)
イソプロピルアルコール中に、実施例1で得た該複合粒子B0と、バインダーとしてのポリビニルブチラールとを混合して、電極形成用スラリーCを調製した。イットリア安定化ジルコニア(イットリア8mol%)で作製した、直径16mm、厚さ2mmの焼結体の一方の面に、スクリーン印刷で該電極形成用スラリーCを塗布し、直径6mm、厚み30μmに製膜した。次いで、イソプロピルアルコール中に、白金粒子と、バインダーとしてのポリビニルブチラールとを混合して、スラリーDを調製した。該イットリア安定化ジルコニアの焼結体の他方の面に、スクリーン印刷で該スラリーDを塗布し、直径6mm、厚み30μmに製膜した。次いで、スラリーが製膜された該イットリア安定化ジルコニア焼結体を、1200℃で3時間焼成し、空気極Eが形成されたイットリア安定化ジルコニア焼結体を得た。次いで、該空気極Eが形成されたイットリア安定化ジルコニア焼結体の両面に白金線をつけた白金網を押し付け、更に、該イットリア安定化ジルコニア焼結体の側面に、白金線を巻き付け参照電極とした。
(走査型電子顕微鏡による分析)
該空気極Eの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。その結果を図10に示す。図10のSEM写真から、真球状の該複合粒子B0の形状はなくなり、微細な空孔をもった多孔質構造が構築されていることがわかった。
(透過型電子顕微鏡による分析)
該空気極Eの断面をTEMにて観察した。その結果を図11に示す。図11のTEM写真から、ランタンストロンチウムマンガネート及びイットリア安定化ジルコニアが、非常に微細なネットワークを多数形成して、多孔質構造を構成していることがわかった。
(電極特性評価)
酸素中、1000℃で、交流インピーダンス法により、該空気極Eの酸素還元反応の反応抵抗を求めた。その結果、該空気極Eの酸素還元反応の反応抵抗は、0.08Ω・cmであった。
(比較例1)
(固体酸化物形燃料電池の電極の製造)
粒径0.2〜7.0μmの市販のLa0.8Sr0.2MnO粒子(セイミケミカル社製)と、粒径0.1〜5.0μmのイットリア安定化ジルコニア粒子(イットリア8mol%、東ソー社製)とを、体積割合で、La0.8Sr0.2MnO/イットリア安定化ジルコニア=70/30となるように、秤量し、乳鉢で混合し、粒子混合物Fを得た。なお、粒径は、レーザー回折散乱法による粒度分布測定装置にて測定した値である。
次いで、実施例1で得た該複合粒子B0に代えて、該粒子混合物Fとする以外は、実施例2と同様の方法で行い、空気極Gが形成されたイットリア安定化ジルコニア焼結体を得た。次いで、該空気極Gが形成されたイットリア安定化ジルコニア焼結体の両面に白金線をつけた白金網を押し付け、更に、該イットリア安定化ジルコニア焼結体の側面に、白金線を巻き付け参照電極とした。
(電極特性評価)
酸素中、1000℃で、交流インピーダンス法により、該空気極Gの酸素還元反応の反応抵抗を求めた。その結果、該空気極Eの酸素還元反応の反応抵抗は、0.15Ω・cmであった。
該複合粒子粉末(1)の形態例の模式的な断面図である。 電解質の表面に形成されている複合粒子成形体を示す模式的な断面図である。 図2中の該複合粒子成形体の焼成途中の様子を示す模式的な断面図である。 空気極を示す模式的な断面図である。 該複合粒子粉末(2)の形態例の模式的な断面図である。 従来の電極の模式的な断面図である。 図6中の従来の電極を有する燃料電池を長時間作動させた後の電極の断面図である。 該複合粒子B0のTEM写真である。 該複合粒子B900のTEM写真である。 該空気極Eの断面のSEM写真である。 該空気極Eの断面のTEM写真である。
符号の説明
1、21 噴霧液の液滴
2 アモルファスYSZ前駆体
3 アモルファスLSM前駆体
4、24 複合粒子
5、31 電解質
6、26 複合粒子成形体
7 複数の該アモルファスYSZ前駆体2の焼結物
8 複数の該アモルファスLSM前駆体3の焼結物
9 イットリア安定化ジルコニアのネットワーク
10 ランタンストロンチウムマンガネートのネットワーク
11、32a、32b 空気極
22 イットリア安定化ジルコニア微粒子
23 金属塩溶液
25 複数の該イットリア安定化ジルコニア微粒子22の焼結物
33 電解質物質粒子
34 空気極物質粒子

Claims (10)

  1. 2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程、
    を行い得られることを特徴とする複合粒子粉末。
  2. 2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体であることを特徴とする複合粒子粉末。
  3. 平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、該金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程、
    を行い得られることを特徴とする複合粒子粉末。
  4. 平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体であることを特徴とする複合粒子粉末。
  5. 前記複合粒子粉末の平均粒径に対する前記金属酸化物微粒子の平均粒径の比が、0.002〜0.3であることを特徴とする請求項4記載の複合粒子粉末。
  6. 2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、2種以上のアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程、
    を有することを特徴とする複合粒子粉末の製造方法。
  7. 平均粒径が0.01〜0.3μmの金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の原料金属塩を含有する噴霧液を、300〜900℃の加熱炉に噴霧し、該金属酸化物微粒子及びアモルファス金属酸化物前駆体の凝集体である複合粒子粉末を得る噴霧熱分解工程、
    を有することを特徴とする複合粒子粉末の製造方法。
  8. 請求項1〜5いずれか1項記載の複合粒子粉末を成形して、複合粒子成形体を得る成形工程と、
    該複合粒子成形体を焼成して、固体酸化物形燃料電池の電極を得る焼成工程と、
    を行ない得られることを特徴とする固体酸化物形燃料電池の電極。
  9. 請求項1〜5いずれか1項記載の複合粒子粉末を成形して、複合粒子成形体を得る成形工程と、
    該複合粒子成形体を焼成して、固体酸化物形燃料電池の電極を得る焼成工程と、
    を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の電極の製造方法。
  10. 前記請求項8記載の固体酸化物形燃料電池の電極を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セル。
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