JP4143938B2 - 固体酸化物形燃料電池用セル及び固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用セル及び固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池のセルは、電解質を燃料極及び空気極で挟み込むようにして構成され、該電解質、該燃料極及び該空気極ともに金属酸化物又は金属で構成されており、全て固体である。
該固体酸化物形燃料電池において、電池反応は、ガス、イオン、電子のいずれもが反応可能な三相界面で起こる。そのため、電池性能を向上させるためには、該三相界面を増加させることが必要である。
そこで、従来より、電解質物質を電極物質に混合させ、更に電極を多孔質構造にすることにより、該三相界面を、電解質と電極の接触面だけでなく、電極内部にも形成させ、該三相界面を増加させることが行われてきた。具体的には、母粒子に子粒子が固定されており、該母粒子又は該子粒子のいずれか一方を電解質物質とし、他方を燃料極物質又は空気極物質とする粉末状の複合粒子を、電極に成形することにより、電極材料に電解質材料が混合されており、且つ多孔質構造の電極が製造されてきた。なお、本発明において、燃料極物質とは、燃料の水素及び酸化物イオンから水及び電子を生成させ且つ電子を導電する性質を持つ物質を指し、空気極物質とは、酸素及び電子から酸化物イオンを生成させ且つ電子を導電する性質を持つ物質を指し、電解質物質とは、空気極で生成する酸化物イオンを燃料極に導電させる性質を持つ物質を指す。
該複合粒子及び該複合粒子により形成される電極としては、例えば、特許文献1の特開平10−144337号公報には、酸素イオン導電性を有する酸化物(例えば、イットリア安定化ジルコニア)の表面に、電極活性を有する金属(例えば、酸化ニッケル)が担持されている複合粒子、及び該複合粒子からなる固体電解質形燃料電池用の燃料電極が開示されている。
しかし、該母粒子及び該子粒子の粒径を小さくする等の方法で、電極中に形成される三相界面の量を多くするには、自ずと限界がある。
そこで、電解質層を多孔質にし、孔部に電極物質を充填することにより、電解質層にも三相界面を形成させ、三相界面を増加させることが行われてきた。例えば、特開平3−147264号公報には、燃料極と酸化剤極との間に介在する固体電解質板の燃料極と接する界面に、予めジルコニアからなる多孔質層を被着し、前記多孔質層とその孔部に充填されたニッケルもしくはニッケル−ジルコニア混合物とにより前記燃料極を構成している固体電解質燃料電池が開示されている。
特開平10−144337号公報(実施例1) 特開平3−147264号公報(特許請求の範囲、実施例)
特開平3−147264号公報の場合、エタノール等の溶媒及び該溶媒に溶解しているポリビニルブチラール等のバインダー成分を含む液体分に、電解質物質粉末が分散されているスラリーを、電解質板の表面に塗布し、更に焼成することにより、該スラリー中の液体分が焼失し、細孔が形成される。ところが、該液体分は、該スラリー中で、球状の電解質物質の隙間を埋めるような状態で存在し、液体であるため、該スラリー中の該液体分の形状、すなわち、焼成後の細孔の形状を制御することが困難であった。そのため、多孔質の電解質層に形成される細孔には、ニッケル等の電極物質が充填されるために十分な大きさの径(直径)を有しない細孔も存在した。従って、特開平3−147264号公報の場合、ニッケル等の電極物質が充填されるために十分な大きさの径を有する細孔を、多く形成させるためには、該スラリー中の、該電解質物質粉末に対する該液体分の割合を多くして、電極物質が充填されるために十分な大きさの径を有する細孔が形成される可能性を、増やさなければならなかった。ところが、該スラリー中に該液体分の割合が多いと、電解質層の細孔の容積が多くなり過ぎ、電解質層中の電解質物質粉末の量が少なくなるため、電子が移動するため経路が少なくなる。そのため、電解質層の導電率が低くなる。そして、導電率が低くなれば、燃料電池の出力が低くなる。すなわち、特開平3−147264号公報の場合、導電率を低下させることなく、三相界面の量を多くすることは困難であるという問題があった。
従って、本発明の課題は、多孔質電解質層の三相界面を多くすることができ且つ電解質層の導電率の低下が小さい固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)多孔質電解質層を形成させるためのスラリーに、固体の造孔剤を含有させることにより、該多孔質電解質層の細孔の形状を制御することができること、具体的には、該造孔剤が、該スラリー中で電解質物粉末の隙間に入り込んで存在しており、該隙間の大きさは、該造孔剤の径より小さくなることはないので、、電解質物質粉末の隙間の大きさ、すなわち、焼成後の細孔の径を、該造孔剤の径以上にすることができる。そのため、電極物質が充填されるために必要な大きさの径を有する細孔を、確実に形成させることができるので、従来法に比べ、多孔質電解質層の導電率の低下が少なく且つ三相界面の量を多くできること、更には、(2)該造孔剤の平均径に対し、該電解質物質粉末の平均粒径を小さくすることより、該電解質物質粉末同士の接点を多くでき且つ該電解質物質粉末同士が焼結し易くなるので、多孔質電解質層の導電率を高くすることができること等を見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、電解質基板の表面に、電解質物質粉末及び造孔剤を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板を焼成し、多孔質電解質層が形成されている電解質基板を得る多孔質電解質層形成工程、及び該多孔質電解質層が形成されている電解質基板の多孔質電解質層の表面に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板を焼成し、電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成されている電解質基板を得る電極層形成工程を有する固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、電解質物質で形成されており、気孔率が30〜70%である多孔質電解質層の細孔に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を充填して得られる電極物質充填多孔質電解質層を有する固体酸化物形燃料電池用セルを提供するものである。
また、本発明(3)は、電解質物質で形成されており、電極物質充填多孔質電解質層の見かけ体積に対する多孔質電解質層の細孔の体積比率が30〜70%である多孔質電解質層、及び該多孔質電解質層の細孔に充填されている電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末からなる電極物質充填多孔質電解質層を有する固体酸化物形燃料電池用セルを提供するものである。
本発明によれば、電解質層の三相界面を多くすることができ且つ電解質層の導電率の低下が小さい固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供することができる。
第1図は、本発明の製造方法に係る多孔質電解質層形成工程を示す模式図であり、第2図は、本発明の製造方法に係る電極層形成工程を示す模式図であり、第3図は、本発明に係る複合粒子粉末及び電極物質と電解質物質の凝集体粉末を示す模式図であり、第4図は、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電極物質充填多孔質電解質層の端面の模式的な拡大図であり、第5図は、第4図中の該電極物質充填多孔質電解質層42を構成する該多孔質電解質層46に形成されている細孔を、斜線で示した図であり、第6図は、第4図に示す該電極物質充填多孔質電解質層42中の該空隙47を、斜線で示した図であり、第7図は、多孔質電解質層56を示す模式図であり、第8図は、第7図に示す該多孔質電解質層56中の該細孔57を、斜線で示した図であり、第9図は、定常分極測定試料の側面図であり、第10図は、固体酸化物形燃料電池用セルの発電特性を測定した結果を示すグラフであり、第11図は、従来の多孔質電解質層を有する固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法に係る多孔質電解質層形成工程を示す模式図であり、第12図は、従来の製造方法で形成される電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成されている電解質基板を示す模式図である。
符号の説明
9 電解質層形成用スラリー
10 電解質層形成用スラリー層が塗布されている電解質基板
11、41、60、71 電解質基板
12、44、58、72 電解質物質粉末
13 造孔剤
14 電解質層形成用スラリー層
20、55、75 多孔質電解質層が形成されている電解質基板
21、57、76 細孔
22、46、56、77 多孔質電解質層
24、33、59 多孔質電解質層の表面
25 電極層形成用スラリー層が塗布され、多孔質電解質層が形成されている電解質基板
26、73 液体分
27 電極層形成用スラリーが充填されている多孔質電解質層
28、45、81 電極物質粉末
29 電極層形成用スラリー層
30、80 電極物質粉末が充填されている電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成されている電解質基板
31、42、82 電極物質充填多孔質電解質層
32、43、83 電極層
34 電極層形成用スラリー
35 複合粒子
36 母粒子
37 子粒子
381 電極物質
382 電解質物質
39 電極物質と電解質物質の凝集体
40 固体酸化物形燃料電池用セル
51、53、61 枠囲み部分
52、62 細孔の断面
54 空隙47の断面
63 電解質ペレット
64 空気極物質充填多孔質電解質層
65 空気極層
66 白金参照電極
67 白金対極
68 定常分極測定試料
70 スラリーが塗布されている電解質基板
74 電解質物質粉末を含有するスラリー層
78 電極物質粉末の粒径より小さい部分
79 電解質物質粉末を含有するスラリー
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法(以下、単に本発明の製造方法とも記載する。)は、多孔質電解質層形成工程及び電極層形成工程を有する。本発明の製造方法について、第1図及び第2図を参照に説明する。第1図は、本発明の製造方法に係る多孔質電解質層形成工程を示す模式図であり、電解質基板の平面方向に対して垂直な面で切った時の端面図である。また、第2図は、本発明の製造方法に係る電極層形成工程を示す模式図であり、電解質基板の平面方向に対して垂直な面で切った時の端面図である。
電解質基板11の一方の面に、電解質物質粉末(a)12及び造孔剤13(固体分)が、液体分に分散されているスラリー(電解質層形成用スラリー9)を塗布することにより、電解質層形成用スラリー層14が塗布されている電解質基板10が得られる(第1図中(I))。なお、該電解質層形成用スラリー層14の液体分は、主に、溶媒及び該溶媒に溶解しているバインダー成分であり、第1図中(I)では、該電解質物質粉末(a)12及び該造孔剤13の隙間を埋めるようにして存在している。なお、本発明において、該電解質層形成用スラリーに含有されている電解質物質粉末と、後述する電極層形成用スラリーに含有されている電解質物質粉末を区別するために、該電解質層形成用スラリーに含有されている電解質物質粉末を、電解質物質粉末(a)と記載し、該電極層形成用スラリーに含有されている電解質物質粉末を、電解質物質粉末(b)と記載する。
そして、電解質層形成用スラリー層14が塗布されている電解質基板10を、焼成することにより、多孔質電解質層22が形成されている電解質基板20が得られる。このとき、該電解質層形成用スラリー層14中の、該造孔剤13及び該液体分が焼失することにより、焼失した跡が細孔21となる(第1図中(II))と共に、該電解質物質粉末(a)12同士が、互いに接触している部分で焼結する。
次いで、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板20の、多孔質電解質層の表面24(電解質基板11と接している面とは反対側の多孔質電解質層の面)に、電極物質粉末28(固体分)が液体分26に分散されているスラリー(電極層形成用スラリー34)を塗布する。このことにより、該電極層形成用スラリー34が、該多孔質電解質層22の細孔21に含浸し、電極層形成用スラリー34が充填されている多孔質電解質層27が得られる。それと同時に、該多孔質電解質層27の、電解質基板11と反対側の多孔質電解質層の表面33に、電極層形成用スラリー層29が形成される(第2図中(III))。このようにして、該電極層形成用スラリー層29が塗布され、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板25が得られる。なお、該電極物質粉末28は、該多孔質電解質層22の表面に形成させる電極層が、燃料極層の場合は、燃料極物質粉末であり、空気極層の場合は、空気極物質粉末である。
そして、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板25を、焼成することにより、該電極物質粉末28が充填されている電極物質充填多孔質電解質層31及び電極層32が形成されている電解質基板30が得られる(第2図中(IV))。このとき、該電極層形成用スラリー34中の液体分26が焼失すると共に、該電極物質粉末28同士、及び該電極物質粉末28と該電解質物質粉末(a)12が、互いに接触している部分で焼結する。
このように、該多孔質電解質層形成工程及び該電極層形成下程を行うことにより、電解質基板の一方の面に、電極物質粉末が充填されている電極物質充填多孔質電解質層及び電極層(燃料極層又は空気極層のいずれか一方)を形成させる。次いで、該電解質基板の他方の面に、該多孔質電解質層形成工程及び該電極層形成工程を行い、又は他の公知の方法を用いて、電極層(燃料極層又は空気極層の他方)を形成させ、固体酸化物形燃料電池用セルを製造することができる。また、先に、電解質基板の一方の面に、公知の方法を用いて電極層(燃料極層又は空気極層のいずれか一方)を形成させ、次いで、該電解質基板の他方の面に、該多孔質電解質層形成工程及び該電極層形成工程を行うことにより、電極物質粉末が充填されている電極物質充填多孔質電解質層及び電極層(燃料極層又は空気極層の他方)を形成させ、固体酸化物形燃料電池用セルを製造することもできる。また、公知の方法を用いて、先ず、電極層(燃料極層又は空気極層のいずれか一方)を形成し、次いで、該電極層の表面に、公知の方法を用いて、緻密な電解質層を形成させ、次いで、該緻密な電解質層の表面に、該多孔質電解質層形成工程及び該電極層形成工程を行うことにより、電極物質粉末が充填されている電極物質充填多孔質電解質層及び電極層(燃料極層又は空気極層の他方)を形成させ、固体酸化物形燃料電池用セルを製造することもできる。
すなわち、本発明の製造方法は、電解質基板の表面に、電解質物質粉末及び造孔剤を含有する電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板を焼成し、多孔質電解質層が形成されている電解質基板を得る多孔質電解質層形成工程、及び該多孔質電解質層が形成されている電解質基板の多孔質電解質層の表面に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板を焼成し、電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成されている電解質基板を得る電極層形成工程を有する。
本発明の製造方法において、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質としては、通常、固体酸化物形燃料電池用セルの電解質層の製造に用いられる電解質物質であれば、特に制限されず、例えば、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、スカンジウム(Sc)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ランタン(La)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ケイ素(Si)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、イッテルビウム(Yb)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物が挙げられる。該電解質物質を構成する金属酸化物のうち、金属種が2種以上である金属酸化物としては、例えば、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ;Sc−ZrO)、スカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ;(10Sc・CeO)−ZrO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ;Y−ZrO)、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート(LSGM;La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2)等のランタンガレート、ガドリニア安定化ジルコニア(Gd−ZrO)、サマリアドープセリア(Sm−CeO)、ガドリニアドープセリア(Gd−CeO)、酸化イットリウム固溶酸化ビスマス(Y−Bi)等が挙げられ、これらの金属酸化物のうち、酸素イオン導電性が良好であり、また、動作温度においても熱的に安定な点で、スカンジア安定化ジルコニア、スカンジアセリア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート等のランタンガレートが好ましい。なお、サマリアドープセリア、ガドリニアドープセリアは、イオン導電性及び電子導電性の両方を有しているので、電解質物質の金属酸化物として用いることも、酸化ニッケルと混合物して、後述する燃料極物質の金属酸化物として用いることもできる。
該電解質物質粉末(a)の平均粒径は、好ましくは0.01〜3μm、特に好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは0.1〜0.7μmである。該電解質物質粉末(a)の平均粒径が、小さい程、該電解質物質粉末(a)同士の接点が多くなり且つ該電解質物質粉末(a)同士が焼結し易くなるので、該多孔質電解質層の導電率が高くなる。ただし、該電解質物質粉末(a)の平均粒径が、0.01μm未満になると、焼成時の電解質層の収縮が大きくなるので、多孔質電解質層が破損し易くなる。また、該電解質物質粉末(a)の平均粒径が、3μmを超えると、該多孔質電解質層の導電率が低くなり易い。
該造孔剤は、該電解質層形成用スラリーの溶媒に溶解せず、該電解質層形成用スラリー中で固体として存在し且つ該焼成により焼失するものであれば、特に制限されない。該造孔剤としては、例えば、炭素粉末、熱可塑性樹脂粉末、熱可塑性樹脂繊維、熱硬化性樹脂粉末、熱硬化性樹脂繊維、天然繊維、天然繊維の誘導体等が挙げられる。該炭素粉末としては、例えば、カーボンブラック、活性炭、グラファイト(黒鉛)、無定形炭素等が挙げられる。該炭素粉末中の金属成分の含有量は、好ましくは100mg/kg以下、特に好ましくは金属成分を含有しないことである。また、該熱可塑性樹脂粉末、該熱可塑性樹脂繊維、該熱硬化性樹脂粉末又は該熱硬化性樹脂繊維としては、例えば、ポリスチレン等の炭化水素化合物であってもよいし、ポリメタクリル酸メチル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の含酸素有機化合物;ポリアミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン等の含窒素化合物;ポリスルホン等の含硫黄化合物のような、炭素原子及び水素原子以外の原子を含む化合物であってもよい。これらのうち、燃焼時に炭酸ガス以外のガスが発生しない点で、炭化水素化合物及び含酸素有機化合物が好ましい。該天然繊維としては、例えば、セルロース繊維、タンパク繊維等が挙げられ、該セルロース繊維には、半人造のアセテートやレーヨンも含まれる。また、該天然繊維の誘導体としては、エチルセルロース等の天然繊維のエチルエステル等が挙げられる。
該造孔剤の形状は、粒状、繊維状又はフレーク状であり、粒状には、断面が円形のものだけでなく、断面がだ円形、多角形、不定形のものも含まれ、繊維状には、針状のもの、円筒状のものも含まれる。なお、本発明においては、縦方向、横方向及び奥行き方向の径が、同程度のものを粒状と、縦方向及び奥行き方向の径に比べ、横方向の長さが極めて大きいものを繊維状と、横方向及び奥行き方向の径に比べ、縦方向の厚さが極めて小さいものをフレーク状と記載し説明するが、それらは、必ずしも、厳格に区別されるものではなく、境界が厳格に定まるものではない。
該造孔剤が粒状の場合、該造孔剤の平均粒径(平均径)は、好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは0.5〜10μm、更に好ましくは1〜5μmである。該造孔剤の平均粒径が、0.1μm未満だと、該多孔質電解質層の細孔の細孔径が小さくなり過ぎるので、該電極層形成用スラリーが含浸し難くなり易く、また、20μmを超えると、該多孔質電解質層の細孔の細孔容積が大きくなり過ぎるので、該多孔質電解質層の導電率が低くなり易い。なお、粒状の場合、個々の粒子の縦方向、横方向及び奥行き方向の径のうち、最も大きい長さを平均した値が、該粒状の造孔剤の平均粒径である。
また、該造孔剤が繊維状の場合、該造孔剤の平均繊維長は、好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.1〜1μmである。該造孔剤の平均繊維長が、0.01μm未満だと、該多孔質電解質層の細孔の細孔径が小さくなり過ぎるので、該電極層形成用スラリーが含浸し難くなり易く、また、10μmを超えると、該多孔質電解質層の細孔の細孔容積が大きくなり過ぎるので、該多孔質電解質層の導電率が低くなり易い。また、該造孔剤の平均繊維径は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜1μm、特に好ましくは0.005〜0.5μmである。なお、繊維状の場合、個々の繊維の横方向の長さを、平均した値が、平均繊維長であり、個々の繊維の縦方向及び奥行き方向の径のうち、大きい方の長さを平均した値が、平均繊維径である。
また、該造孔剤がフレーク状の場合、該造孔剤の平均径は、好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは0.5〜10μm、更に好ましくは1〜5μmである。該造孔剤の平均径が、0.1μm未満だと、該多孔質電解質層の細孔の細孔径が小さくなり過ぎるので、該電極層形成用スラリーが含浸し難くなり易く、また、20μmを超えると、該多孔質電解質層の細孔の細孔容積が大きくなり過ぎるので、該多孔質電解質層の導電率が低くなり易い。なお、フレーク状の場合、個々のフレーク状物の横方向及び奥行き方向の径のうち、大きい方の長さを平均した値が、平均径である。
該電解質物質粉末(a)の平均粒径に対する該造孔剤の平均径の比(造孔剤の平均径/電解質物質粉末(a)の平均粒径)は、好ましくは2〜1000、特に好ましくは4〜100、更に好ましくは5〜20である。該電解質物質粉末(a)の平均粒径に対する該造孔剤の平均径の比が、上記範囲にあることにより、該多孔質電解質層の導電率が高くなる。なお、該造孔剤が繊維状の場合は、その平均繊維長を、上記造孔剤の平均径として、比を求める。
該電解質層形成用スラリーは、該電解質物質粉末(a)及び該造孔剤を含有しており、該スラリーの液体分に、該電解質物質粉末(a)及び該造孔剤を分散させることにより、調製される。また、該スラリーの液体分は、有機溶媒及び該有機溶媒に溶解しているバインダー成分等により構成されている。
該電解質層形成用スラリー中、該造孔剤の体積割合に対する該電解質物質粉末(a)の体積割合の比(電解質物質粉末(a)/造孔剤)は、好ましくは0.1〜10、特に好ましくは0.3〜3、更に好ましくは0.66〜1.5である。該造孔剤の体積割合に対する該電解質物質粉末(a)の体積割合の比が、0.1未満だと、該多孔質電解質層の導電率が低くなり易く、また、10を超えると、該電極物質粉末が充填される細孔の容積が少なくなるので、三相界面の量を多くし難くなる。
該電解質層形成用スラリーは、溶媒に溶解することにより、バインダーとして機能するポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース等のバインダー成分、可塑剤として機能するフタル酸ジ−n−ブチル等の可塑剤成分、ノニオン系分散剤等の分散剤成分、オクチルフェニルエーテル等の消泡剤成分を含有することができる。該バインダー成分、可塑剤成分、分散剤成分又は消泡剤成分は、該電解質層形成用スラリーの液体分に溶解して存在している。
該電解質層形成用スラリーの粘度は、好ましくは1000〜50000mPa・s、特に好ましくは3000〜20000mPa・s、更に好ましくは6000〜12000mPa・sである。該電解質層形成用スラリーの粘度は、エバポレーター等を用いて、該電解質層形成用スラリー中の溶媒を蒸発除去することにより、調整される。
該電解質基板は、電解質物質を用いて、ガスが透過しないような、緻密な構造に成形されているものであれば、特に制限されない。該電解質基板は、スクリーン印刷法等の公知の電解質層の製造方法により得られる。なお、該電解質基板に係る電解質物質の種類は、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質の種類と同様である。また、該電解質基板は、電極物質充填多孔質電解質層及び電極層(燃料極層又は空気極層のいずれか一方)が形成される面とは反対の面に、電極層(燃料極層又は空気極層の他方)が形成されているものであってもよい。
該電解質層形成用スラリーを、該電解質基板に塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、スクリーン印刷法、ドクタープレート法等が挙げられる。また、該電解質層形成用スラリーの塗布後、必要に応じ、電解質基板を乾燥することができる。
該電解質基板に塗布される該電解質層形成用スラリー層の厚み(第1図中、電解質層形成用スラリー層14の厚み)は、好ましくは1〜100μm、特に好ましくは5〜30μm、更に好ましくは10〜20μmである。該電解質層形成用スラリー層の厚みが、1μm未満だと、該多孔質電解質層に形成される三相界面の量が少なくなり易く、また、100μmを超えると、該多孔質電解質層の導電率が低くなり易い。なお、該電解質層形成用スラリー層の厚みにより、該電極物質充填多孔質電解質層の厚み(第2図中、電極物質充填多孔質電解質層31の厚み)が定まる。
該電解質層形成工程に係る焼成の際の焼成温度は、通常1200〜1550℃、好ましくは1300〜1450℃、特に好ましくは1350〜1450℃である。また、焼成時間は、通常1〜20時間、好ましくは3〜10時間、特に好ましくは4〜8時間である。該焼成を行うことにより、該造孔剤及び該液体分が焼失すると共に、該電解質物質粉末(a)同士が焼結し、該多孔質電解質層が形成される。
該電極物質粉末は、該多孔質電解質層の表面に形成させる該電極層が、燃料極層の場合と空気極層の場合で異なり、燃料極層を形成させる場合は、燃料極物質粉末であり、空気極層を形成させる場合は、空気極物質粉末である。
本発明の製造方法において、該燃料極物質粉末に係る燃料極物質としては、通常、固体酸化物形燃料電池用セルの燃料極層の製造に用いられる燃料極物質であれば、特に制限されず、例えば、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル及びカルシウム(Ca)から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物である。該燃料極物質を構成する金属酸化物のうち、金属種が2種以上である金属酸化物としては、例えば、酸化ニッケル(NiO)とサマリアドープセリア(Sm−CeO)の混合物の凝集体、酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物(NiO−YSZ)の凝集体、酸化ニッケルとスカンジア安定化ジルコニアの混合物(NiO−ScSZ)の凝集体、酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとサマリアドープセリアの混合物の凝集体、酸化ニッケルとスカンジア安定化ジルコニアとサマリアドープセリアの混合物の凝集体、酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアと酸化セリア(CeO)の混合物の凝集体、酸化ニッケルとスカンジア安定化ジルコニアと酸化セリアの混合物の凝集体、酸化コバルト(Co)とイットリア安定化ジルコニアの混合物の凝集体、酸化コバルトとスカンジア安定化ジルコニアの混合物の凝集体、酸化ルテニウム(RuO)とイットリア安定化ジルコニアの混合物の凝集体、酸化ルテニウムとスカンジア安定化ジルコニアの混合物の凝集体、酸化ニッケルとガドリニアドープセリア(Gd−CeO)の混合物の凝集体等が挙げられる。これらのうち、酸化ニッケルとサマリアドープセリアの混合物の凝集体、酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物の凝集体及び酸化ニッケルとスカンジア安定化ジルコニアの混合物の凝集体が、電解質物質と反応せず、また、電解質物質と熱膨張率が近いので接合が良好である点で好ましい。
本発明の製造方法において、該空気極物質粉末に係る空気極物質としては、通常、固体酸化物形燃料電池用セルの空気極層の製造に用いられる空気極物質であれば、特に制限されず、例えば、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル、カルシウム及びマンガン(Mn)から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物である。該空気極物質を構成する金属酸化物のうち、金属種が2種以上である金属酸化物としては、例えば、ランタンストロンチウムマンガネート(La0.8Sr0.2MnO)、ランタンカルシウムコバルテート(La0.9Ca0.1CoO)、ランタンストロンチウムコバルテート(La0.9Sr0.1CoO)、ランタンコバルテート(LaCoO)、ランタンカルシウムマンガネート(La0.9Ca0.1MnO)等が挙げられ、これらの金属酸化物のうち、ランタンストロンチウムマンガネートが、電解質物質と反応せず、また、電解質物質と熱膨張率が近いので接合が良好である点で好ましい。
本発明の製造方法において、該混合粉末は、該電極物質粉末と該電解質物質粉末(b)との混合粉末である。該混合粉末は、該多孔質電解質層の表面に形成させる該電極層が、燃料極層の場合と空気極層の場合で異なり、燃料極層を形成させる場合は、燃料極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末であり、空気極層を形成させる場合は、空気極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末である。そして、該電極層形成用スラリーが、該混合粉末を含有する電極層形成用スラリーであることが、燃料電池の出力が高くなる点で好ましい。また、該電極層形成用スラリーが、該電極物質粉末と該電解質物質粉末(b)との混合粉末を含有する電極層形成用スラリーである場合、該混合粉末中の該電極物質粉末の体積割合に対する該電解質物質粉末(b)の体積割合の比(電解質物質粉末(b)/電極物質粉末)は、0.1〜2、好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.6〜1.0である。該体積割合が上記範囲にあることにより、燃料電池の出力が高くなる。なお、該電解質物質粉末(b)に係る電解質物質は、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質と同様である。
該電極物質と電解質物質との複合体粉末は、電極物質と電解質物質の両方で構成されている粒子の集合物である。すなわち、該電極物質と電解質物質との複合体粉末の個々の粒子は、電極物質と電解質物質の両方によって1粒子を構成している。該電極物質と電解質物質との複合体粉末としては、例えば、母粒子に子粒子が固定されている複合粒子粉末や、電極物質と電解質物質の凝集体粉末等が挙げられる。該複合粒子粉末及び該電極物質と電解質物質の凝集体粉末について、第3図を用いて説明する。第3図は、本発明に係る複合粒子粉末及び電極物質と電解質物質の凝集体粉末を示す模式図である。第3図中、複合粒子35は、母粒子36の表面に、1以上の子粒子37が固定されている(第3図中(A))。該複合粒子35に係る母粒子36及び子粒子37は、該多孔質電解質層の表面に形成させる電極層が、燃料極層の場合は、該母粒子36が電解質物質であり、該子粒子37が燃料極物質であるか、又は該母粒子36が燃料極物質であり、該子粒子37が電解質物質である。また、該複合粒子35に係る母粒子36及び子粒子37は、該多孔質電解質層の表面に形成させる電極層が、空気極層の場合は、該母粒子36が電解質物質であり、該子粒子37が空気極物質であるか、又は該母粒子36が空気極物質であり、該子粒子37が電解質物質である。また、該複合粒子粉末に係る電解質物質は、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質と、該複合粒子粉末に係る燃料極物質は、該燃料極物質粉末に係る燃料極物質と、該複合粒子粉末に係る空気極物質は、該空気極物質粉末に係る空気極物質と同様である。なお、該複合粒子粉末は、通常、固体酸化物形燃料電池用の電極の製造に用いられる複合粒子粉末であれば、特に制限されない。
また、第3図中、電極物質と電解質物質の凝集体39は、一次粒子である電極物質381と電解質物質382が凝集した凝集体(二次粒子)である(第3図中(B))。該電極物質と電解質物質の凝集体39に係る電極物質381は、該多孔質電解質層の表面に形成させる電極層が、燃料極層の場合は燃料極物質であり、空気極層の場合は空気極物質である。また、該電極物質と電解質物質の凝集体粉末に係る電解質物質は、該電解質物質粉末(a)に係る電解質物質と、該電極物質と電解質物質の凝集体粉末に係る燃料極物質は、該燃料極物質粉末に係る燃料極物質と、該電極物質と電解質物質の凝集体粉末に係る空気極物質は、該空気極物質粉末に係る空気極物質と同様である。
該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の平均粒径は、好ましくは0.001〜10μm、特に好ましくは0.005〜1μm、更に好ましくは0.01〜0.5μmである。該平均粒径が、小さい程、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末が、該多孔質電解質層中の細孔に充填され易くなるので、三相界面を多くすることができ、且つ粉末同士が焼結し易くなるので、該電極層の導電率が高くなる。ただし、該平均粒径が、0.001μm未満になると、粉末同士の焼結が起こり過ぎるため、電極層の表面積が小さくなり易い。また、該平均粒径が、10μmを超えると、該多孔質電解質層中の細孔への、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の充填量が少なくなり易い。なお、該電極物質と電解質物質との複合体粉末が、該複合粒子粉末の場合は、該母粒子の平均粒径を、該電極物質と電解質物質との複合体粉末の平均粒径とする。
なお、該電極物質と電解質物質との複合体粉末が、該複合粒子の場合は、該母粒子の平均粒径に対する該子粒子の平均粒径の比(子粒子/母粒子)は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜1.0、特に好ましくは0.01〜0.1である。
該造孔剤の平均径に対する該電極層形成用スラリーに含有されている該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の平均粒径の比(該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の平均粒径/造孔剤の平均径)は、好ましくは0.001〜1、特に好ましくは0.001〜0.1、更に好ましくは0.001〜0.01である。該平均粒径の比が、上記範囲にあることにより、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末が該多孔質電解質層中の細孔に充填され易くなるので、三相界面を多くすることができる。
なお、該複合粒子粉末は、電解質物質の母粒子粉末及び燃料極物質の子粒子粉末、燃料極物質の母粒子粉末及び電解質物質の子粒子粉末、電解質物質の母粒子粉末及び空気極物質の子粒子粉末、又は空気極物質の母粒子粉末及び電解質物質の子粒子粉末を用いて、公知の方法により製造される。また、該電極物質と電解質物質の凝集体粉末は、例えば、金属イオンを含有する水溶液の液滴を、加熱炉に噴霧して、金属酸化物の凝集体粉末を得る、一般に噴霧熱分解法と呼ばれる方法を用い、噴霧する水溶液として、酸化反応により電極物質となる金属種の金属イオン及び酸化反応により電解質物質となる金属種の金属イオンの両方を含有する水溶液を用いることにより製造される。
該電極層形成用スラリーは、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末を含有しており、該スラリーの液体分に、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末を分散させることにより、調製される。また、該スラリーの液体分は、有機溶媒及び該有機溶媒に溶解しているバインダー成分等により構成されている。
該電極層形成用スラリーは、バインダー成分、可塑剤成分、分散剤成分又は消泡剤成分を含有することができる。該電極層形成用スラリーに係るバインダー成分、可塑剤成分、分散剤成分又は消泡剤成分は、該電解質層形成用スラリーと同様である。
該電極層形成用スラリーの粘度は、好ましくは1000〜50000mPa・s、特に好ましくは3000〜20000mPa・s、更に好ましくは3000〜12000mPa・sである。該電極層形成用スラリーの粘度は、エバポレーター等を用いて、該電極層形成用スラリー中の該溶媒を蒸発除去することにより、調整される。該電極層形成用スラリーの粘度が小さい程、該電極層形成用スラリーが、該多孔質電解質層中の細孔に含浸され易くなる。該電極層形成用スラリーの粘度が、1000mPa・s未満だと、該電極層形成用スラリー層29が、塗布後に形状を保ち難くなり易く、また、50000mPa・sを超えると、該電極層形成用スラリーが、該多孔質電解質層中の細孔に含浸し難くなり易い。
該電極層形成用スラリーを、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板の多孔質電解質層の表面(電解質基板と接している面とは反対側の面)に、塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、スクリーン印刷法、ドクタープレート法等が挙げられる。また、該電極層形成用スラリーの塗布後、必要に応じ、多孔質電解質層が形成されている電解質基板を乾燥することができる。
該電極層形成用スラリー層29の厚さは、形成後の電極層が支持体となる場合、好ましくは5〜2000μm、特に好ましくは10〜500μm、更に好ましくは10〜100μmであり、形成後の電極層が支持体とならない場合、好ましくは3〜2000μm、特に好ましくは10〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。
該電極層形成工程に係る焼成の際の焼成温度は、通常1100〜1600℃、好ましくは1100〜1500℃、特に好ましくは1100〜1400℃である。また、焼成時間は、通常1〜20時間、好ましくは3〜10時間、特に好ましくは3〜8時間である。該焼成を行うことにより、該電極層形成用スラリー中の液体分が焼失すると共に、該電極物質粉末、電解質物質粉末(b)又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末が焼結し、該電極物質粉末、該電極物質粉末と該電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末が充填されている電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成される。
本発明の製造方法によれば、多孔質電解質層に形成される細孔の細孔径を制御できるので、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末を充填するために必要な径を有する細孔を、確実に形成させることができる。そのため、従来のような、造孔剤を用いずに製造される固体酸化物形燃料電池用セルの多孔質電解質層に比べ、本発明の製造方法により得られる固体酸化物形燃料電池用セルの多孔質電解質層には、多くの電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末(b)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末が充填されている。
上記本発明の製造方法の効果について、第1図、第2図、第11図及び第12図を参照に、従来の製造方法との差異を示し説明する。第11図は、従来の多孔質電解質層を有する固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法(以下、単に従来の製造方法とも記載する。)、例えば、特開平3−147264号公報に記載されている製造方法に係る多孔質電解質層形成工程を示す模式図であり、電解質基板の平面方向に対して垂直な面で切った時の端面図である。また、第12図は、従来の製造方法で形成される電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成されている電解質基板を示す模式図であり、電解質基板の平面方向に対して垂直な面で切った時の端面図である。該従来の製造方法では、先ず、電解質基板71に、電解質物質粉末72を含有するスラリー79を塗布することにより、該電解質物質粉末を含有するスラリー層74が塗布されている電解質基板70が得られる(第11図中(V))。該スラリー層74は、該電解質物質粉末72のような固体分と液体分73により構成され、該液体分73には、例えば、ポリビニルブチラール等のバインダー成分が溶解されている。次いで、該電解質基板70を焼成することにより、該液体分73が焼失し、多孔質電解質層77が形成されている電解質基板75が得られる(第11図中(VI))。次いで、電極物質粉末81を含有するスラリーを、該多孔質電解質層の表面に塗布することにより、該多孔質電解質層77の細孔内部に、該電極物質粉末81を含有するスラリーを含浸させると同時に、該多孔質電解質層77に表面にスラリー層を形成させる。そして、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板75を焼成することにより、該電極物質粉末81が充填されている電極物質充填多孔質電解質層82及び電極層83が形成されている電解質基板80が得られる(第12図)。
該従来の製造方法では、多孔質電解質層77中の細孔の量を多くするためには、該電解質物質粉末72の量に対する該液体分73(具体的には、バインダー成分及び溶媒)の量の割合を多くしなければならない。そして、第11図中(V)に示すように、該液体分73は、該スラリー層74中では、該電解質物質粉末72の隙間を埋めるようにして存在しているが、液体であるため、その形状は一定せず、また、形状を制御することも困難である。そして、該液体分73が、焼成後に、該多孔質電解質層77の細孔76となるため、該従来の製造方法では、細孔の形状、具体的には、細孔の径を制御することはできず、第11図中(VI)のように、細孔の径が極めて小さい部分(例えば、78a及び78b)が生じる。そして、該電極物質粉末81を含有するスラリーが、該多孔質電解質層77に塗布された時に、細孔76a及び76bのように、全範囲に亘って、細孔径が該電極物質粉末81の粒径より大きければ、該細孔76a及び76bの内部全体に、該電極物質粉末を含有するスラリーが含浸される。ところが、細孔76c又は76dのように、細孔径が該電極物質粉末81の粒径より小さい部分(78a及び78b)があると、該スラリーが、該細孔76c及び76dの内部にまで含浸されない。このため、該電極物質粉末81が充填されている電極物質充填多孔質電解質層82には、三相界面の増加に全く関与できない細孔(76c及び76d)が存在していた。従って、従来の製造方法では、細孔の量を増やして、三相界面の増加させることによる好影響より、該多孔質電解質層に細孔が増えることによる悪影響、すなわち、該多孔質電解質層の導電率の低下による悪影響の方が大きかった。
一方、本発明の製造方法では、該電解質層形成用スラリー9に、固体の造孔剤13を含有させることにより、該多孔質電解質層22の細孔の形状を制御することができる。具体的には、該造孔剤13が、該電解質層形成用スラリー9中で該電解質物質粉末(a)12の間に入り込んで存在しており、該造孔剤13は、固体なので、該造孔剤13が存在している部分の該電解質物質粉末(a)12の間隔は、該造孔剤13の径より小さくなることはない。そのため、電解質物質粉末(a)12の間隔、すなわち、焼成後の細孔の大きさを、該造孔剤13の径以上にすることができるので、該電極物質粉末28が充填されるために必要な大きさの径を有する細孔を、確実に形成させることができる。このことにより、該電極層形成用スラリー34が、該多孔質電解質層22中の細孔21の全体に亘って含浸されるので、多孔質電解質層中の細孔の内部の全体に亘って、該電極物質粉末28が充填されている電極物質充填多孔質電解質層31が得られる。すなわち、本発明の製造方法は、多孔質電解質層の細孔の大部分が三相界面の形成に関与できるので、従来の製造方法に比べ、三相界面の量を多くすることができる。従って、本発明の製造方法は、細孔の量が増えて該多孔質電解質層の導電率が低下することによる悪影響より、三相界面が増加することによる好影響の方が大きい。
また、本発明の製造方法では、該造孔剤13の平均径より小さい平均粒径を有する、該電解質物質粉末(a)12を用いることにより、該多孔質電解質層22の細孔の径に比べ、小さい粒径の電解質物質粉末(a)12で、該多孔質電解質層22を形成させることができる。そのため、該多孔質電解質層22の単位体積(細孔も含むみかけ上の体積)当りに存在する、該電解質物質粉末(a)12同士の接触点の数を多することができ且つ該電解質物質粉末(a)12同士が焼結し易くなる。従って、該多孔質電解質層の導電率を高くすることができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、電解質物質で形成されており、電極物質充填多孔質電解質層の見かけ体積に対する多孔質電解質層の細孔の体積比率が30〜70%である多孔質電解質層、及び該多孔質電解質層の細孔に充填されている電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末からなる電極物質充填多孔質電解質層を有する固体酸化物形燃料電池用セルである。なお、本発明において、該多孔質電解質層を形成している電解質物質粉末と該多孔質電解質層の細孔に充填されている電解質物質粉末を区別するために、該多孔質電解質層を形成している電解質物質粉末を、電解質物質粉末(c)と記載し、該多孔質電解質層の細孔に充填されている電解質物質粉末を、電解質物質粉末(d)と記載する。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルについて、第4図を参照して説明する。第4図は、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電極物質充填多孔質電解質層の端面の模式的な拡大図である。第4図に示すように、固体酸化物形燃料電池用セル40は、多孔質電解質層46及び該多孔質電解質層46の細孔に充填されている電極物質粉末45からなる電極物質充填多孔質電解質層42を有する。該電極物質充填多孔質電解質層42は、電解質基板41の表面に形成されており、また、該電解質基板41と接している面とは反対側の電極物質充填多孔質電解質層42の面に、電極層43が形成されている。
該電極物質充填多孔質電解質層42を構成する該多孔質電解質層46は、電解質物質粉末(c)44で形成されている。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルにおいて、該電解質物質粉末(c)44に係る電解質物質は、前記本発明の製造方法に係る電解質物質(a)と同様である。
該電解質物質粉末(c)44の平均粒径は、好ましくは0.01〜3μm、特に好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは0.1〜0.7μmである。該電解質物質粉末(c)の平均粒径が、小さい程、該電解質物質粉末(c)同士の接点が多くなり且つ該電解質物質粉末(c)同士が焼結し易くなるので、該電極物質充填多孔質電解質層の導電率が高くなる。ただし、該電解質物質粉末(c)の平均粒径が、0.01μm未満になると、焼結時に多孔質電解質層の収縮が大きくなり、多孔質電解質層の作製が困難になるか又は破損し易くなる。また、該電解質物質粉末(c)の平均粒径が、3μmを超えると、該電極物質充填多孔質電解質層の導電率が低くなり易い。
該多孔質電解質層46は、多孔質であり、細孔を有している。そして、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ体積に対する該多孔質電解質層46の細孔の体積比率は、30〜70%、好ましくは35〜60%、特に好ましくは40〜50%である。該多孔質電解質層46の細孔の体積比率が、30%未満だと、燃料電池の出力が低くなり、また、70%を超えると、燃料電池の出力が低くなるか又は電極物質充填多孔質電解質層の機械的強度が低くなる。なお、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ上の体積とは、該電極物質充填多孔質電解質層42中の空隙47(第4図)、すなわち、該多孔質電解質層46の細孔中の該電極物質粉末45が充填されていない部分の体積も含めた該電極物質充填多孔質電解質層42の体積のことである。また、該多孔質電解質層46の細孔の体積とは、該多孔質電解質層46に形成されている細孔の体積のことであり、該細孔に充填されている該電極物質粉45の体積及び該空隙47の体積の合計と同じである。
本発明において、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ体積に対する該多孔質電解質層46の細孔の体積比率は、該電極物質充填多孔質電解質層42を、該電極物質充填多孔質電解質層42が形成されている該電解質基板41の表面に対して垂直な面で切った時の任意の断面における、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ上の断面積に対する該多孔質電解質層46の細孔の断面積の百分率を計算することによって得られる値である。具体的な該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ体積に対する該多孔質電解質層46の細孔の体積比率の測定方法について、第5図を参照して説明する。第5図は、第4図中の該電極物質充填多孔質電解質層42を構成する該多孔質電解質層46に形成されている細孔を、斜線で示した図である。先ず、該電極物質充填多孔質電解質層42を、該電極物質充填多孔質電解質層42が形成されている該電解質基板41の表面に対して垂直な任意の面で切り、その断面を、走査型電子顕微鏡で観察する。次いで、得られたSEM写真中の該電極物質充填多孔質電解質層42の断面を枠で囲み、この枠囲み部分51(第5図中、実線で囲まれている部分)の面積を求める。次いで、該枠囲み部分51内にある該多孔質電解質層46の細孔の断面52(第5図中、該枠囲み部分51内の斜線部分)の面積を求める。そして、下記式(1):
該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ体積に対する該多孔質電解質層46の細孔の体積比率(%)=(該細孔の断面52の面積/該枠囲み部分51の面積)×100 (1)
により、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ体積に対する該多孔質電解質層46の細孔の体積比率を計算する。
そして、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ体積に対する該多孔質電解質層46の細孔の体積比率の算出を、少なくとも3箇所の異なる任意の断面で行い、それらの平均値を、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電極物質充填多孔質電解質層の見かけ体積に対する多孔質電解質層の細孔の体積比率とする。
該電極物質充填多孔質電解質層42の気孔率は、20〜60%、好ましくは25〜50%、特に好ましくは30〜40%である。該電極物質充填多孔質電解質層の気孔率が、20%未満だと燃料電池の出力が低くなり易く、また、60%を超えると電極物質充填多孔質電解質層の機械的強度が低くなり易い。なお、該電極物質充填多孔質電解質層42の気孔率とは、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ体積に対する該空隙47の体積の体積比率を指す。
本発明において、該電極物質充填多孔質電解質層42の気孔率は、該電極物質充填多孔質電解質層42を、該電極物質充填多孔質電解質層42が形成されている該電解質基板41の表面に対して垂直な面で切った時の任意の断面における、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ上の断面積に対する該空隙47の断面積の百分率を計算することによって得られる値である。具体的な該電極物質充填多孔質電解質層42の気孔率の測定方法について、第6図を参照して説明する。第6図は、第4図に示す該電極物質充填多孔質電解質層42中の該空隙47を、斜線で示した図である。先ず、該電極物質充填多孔質電解質層42を、該電極物質充填多孔質電解質層42が形成されている該電解質基板41の表面に対して垂直な任意の面で切り、その断面を、走査型電子顕微鏡で観察する。次いで、得られたSEM写真中の該電極物質充填多孔質電解質層42の断面を枠で囲み、この枠囲み部分53(第6図中、実線で囲まれている部分)の面積を求める。次いで、該枠囲み部分53内にある該空隙47の断面54(第6図中、該枠囲み部分53内の斜線部分)の面積を求める。そして、下記式(2):
該電極物質充填多孔質電解質層42の気孔率(%)=(該空隙の断面54の面積/該枠囲み部分53の面積)×100 (2)
により、該電極物質充填多孔質電解質層42の気孔率を計算する。
そして、該電極物質充填多孔質電解質層42の気孔率の算出を、少なくとも3箇所の異なる任意の断面で行い、それらの平均値を、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電極物質充填多孔質電解質層の気孔率とする。
該多孔質電解質層46の細孔に充填されている物質は、第4図では、電極物質粉末45である。該電極物質粉末は、該電極物質充填多孔質電解質層42の表面に形成されている該電極層43が、燃料極層の場合と空気極層の場合で異なり、該電極層43が燃料極層の場合は、燃料極物質粉末であり、該電極層43が空気極層の場合は、空気極物質粉末である。本発明の固体酸化物形燃料電池用セルにおいて、該燃料極物質粉末に係る燃料極物質は、本発明の製造方法に係る燃料極物質と同様であり、また、該空気極物質粉末に係る空気極物質は、本発明の製造方法に係る空気極物質と同様である。
また、該多孔質電解質層46に充填される物質としては、電極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末が挙げられる。この場合、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、第4図中の該多孔質電解質層46の細孔に充填されている該電極物質粉末45の一部が、電解質物質粉末(d)と置き換えられた固体酸化物形燃料電池用セルである。すなわち、該多孔質電解質層46に充填される物質は、該電極層43が燃料極層の場合は、燃料極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末であり、該電極層43が空気極層の場合は、空気極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末である。本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電解質物質粉末(d)は、前記本発明の製造方法に係る電解質物質粉末(b)と同様である。
また、該多孔質電解質層46に充填される物質としては、電極物質と電解質物質との複合体粉末が挙げられる。この場合、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、第4図中の該多孔質電解質層46の細孔に充填されている該電極物質粉末45が、電極物質と電解質物質との複合体粉末に置き換えられた固体酸化物形燃料電池用セルである。本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る複合体粉末は、前記本発明の製造方法に係る複合体粉末と同様である。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電極物質粉末、混合粉末及び複合体粉末の平均粒径は、好ましくは0.001〜10μm、特に好ましくは0.005〜1μm、更に好ましくは0.01〜0.5μmである。該平均粒径が、小さい程、三相界面を多くすることができる。ただし、該平均粒径が、0.001μm未満になると、該電極物質粉末、該混合粉末又は該複合体粉末を含有するスラリーの調製が困難となるか、又は燃料電池の運転時に焼結が起こり易くなるので、燃料電池の性能が低下し易くなる。また、該平均粒径が、10μmを超えると、三相界面が少なくなり易い。なお、該電極物質と電解質物質の複合体粉末が、該複合粒子粉末の場合は、該母粒子の平均粒径を、該電極物質と電解質物質の複合体粉末の平均粒径とする。
そして、該多孔質電解質層46に充填されている物質が、該混合粉末であることが、燃料電池の出力が高くなる点で好ましい。
該多孔質電解質層46の細孔に充填されている該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の充填量は、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ上の体積に対して、体積割合で5〜50%、好ましくは5〜30%、特に好ましくは6〜20%である。該充填量が上記範囲にあることにより、燃料電池の出力が高くなる。なお、本発明において、該多孔質電解質層46の細孔に充填されている該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の充填量は、前記式(1)により得られる電極物質充填多孔質電解質層の見かけ体積に対する該多孔質電解質層の細孔の体積比率(%)と、前記式(2)により得られる電極物質充填多孔質電解質層の気孔率(%)との差(該電極物質充填多孔質電解質層の見かけ体積に対する該多孔質電解質層の細孔の体積比率(%)−該電極物質充填多孔質電解質層の気孔率(%))を計算することに求められる。
また、該多孔質電解質層46の細孔に充填されている物質が、該混合粉末の場合、該混合粉末中の該電極物質粉末の体積割合に対する該電解質物質粉末(d)の体積割合の比(電解質物質粉末(d)/電極物質粉末)は、0.1〜2、好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.6〜1.0である。該体積割合の比が上記範囲にあることにより、燃料電池の出力が高くなる。
該多孔質電解質層46の細孔に充填されている物質が、該電極物質粉末、又は該電極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末の場合、多孔質電解質層46の細孔に充填されている電極物質粉末の充填量は、該電極物質充填多孔質電解質層42の見かけ上の体積に対して、体積割合で5〜50%、好ましくは5〜30%、特に好ましくは6〜20%である。該充填量が上記範囲にあることにより、電極物質充填多孔質電解質層の導電率が高くなる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルにおいて、該電極物質充填多孔質電解質層は、該電解質基板の一方の面のみに形成されていてもよく、あるいは、該電解質基板の両方の面に形成されていてもよい。つまり、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、燃料極物質充填多孔質電解質層又は空気極物質充填多孔質層のいずれか一方を有するものであっても、燃料極物質充填多孔質電解質層及び空気極物質充填多孔質層の両方を有するものであってもよい。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電極物質充填多孔質電解質層は、第7図に示す多孔質電解質層56に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を充填することにより得られる。第4図中の該電極物質充填多孔質電解質層42を得る場合を例に説明すると、該多孔質電解質層56に、該電極物質粉末45を充填する方法としては、該電解質基板60に形成されている該多孔質電解質層56の表面に、該電極物質粉末45を含有する電極物質充填用スラリーを塗布し、次いで、該電極物質充填用スラリーが塗布された、該多孔質電解質層56が形成されている電解質基板60を焼成する方法が挙げられる。つまり、先ず、該多孔質電解質層56が形成されている電解質基板60の多孔質電解質層の表面59(電解質基板60と接している面とは反対側の多孔質電解質層の面)に、該電極物質粉末45(固体分)が液体分に分散されているスラリー(電極物質充填用スラリー)を塗布することにより、該電極物質充填用スラリーを、該多孔質電解質層56の細孔57に含浸させ、該電極物質充填用スラリーを該多孔質電解質層56に充填すると同時に、該多孔質電解質層56の、該電解質基板60と反対側の多孔質電解質層の表面59に、電極物質充填用スラリー層を形成させる。次いで、該電極物質充填用スラリーが塗布された、該多孔質電解質層56が形成されている該電解質基板55を焼成することにより、該電極物質充填用スラリー中の液体分を焼失させると共に、該電極物質粉末45同士、及び該電極物質粉末45と該電解質物質粉末(c)58が、互いに接触している部分で焼結する。このようにして、該電極物質充填多孔質電解質層42が得られる。
該多孔質電解質層56は、該電極物質充填多孔質電解質層42を構成する該多孔質電解質層46と同様である。すなわち、該多孔質電解質層56は、電解質物質で形成されており、多孔質であり、細孔を有している。そして、該多孔質電解質層56の気孔率は、30〜70%、好ましくは35〜60%、特に好ましくは40〜50%である。なお、該多孔質電解質層56の気孔率とは、該多孔質電解質層56の見かけ体積に対する該細孔57の体積の体積比率を指す。
なお、本発明において、該多孔質電解質層56の気孔率は、該多孔質電解質層56を、該多孔質電解質層56が形成されている該電解質基板60の表面に対して垂直な面で切った時の任意の断面における、該多孔質電解質層56の見かけ上の断面積に対する該細孔の断面積の百分率を計算することによって得られる値である。具体的な該多孔質電解質層56の気孔率の測定方法について、第8図を参照して説明する。第8図は、第7図に示す該多孔質電解質層56中の該細孔57を、斜線で示した図である。先ず、該多孔質電解質層56を、該多孔質電解質層56が形成されている該電解質基板60の表面に対して垂直な任意の面で切り、その断面を、走査型電子顕微鏡で観察する。次いで、得られたSEM写真中の該多孔質電解質層56の断面を枠で囲み、この枠囲み部分61(第8図中、実線で囲まれている部分)の面積を求める。次いで、該枠囲み部分61内にある該細孔57の断面62(第8図中、該枠囲み部分61内の斜線部分)の面積を求める。そして、下記式(3):
該多孔質電解質層56の気孔率(%)=(該細孔の断面62の面積/該枠囲み部分61の面積)×100 (3)
により、該多孔質電解質層56の気孔率を計算する。
そして、該多孔質電解質層56の気孔率の算出を、少なくとも3箇所の異なる任意の断面で行い、それらの平均値を、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る多孔質電解質層の気孔率とする。
該多孔質電解質層56の比表面積は、0.1〜10m/g、好ましくは0.2〜5m/g、特に好ましくは0.5〜3m/gである。該比表面積が上記範囲にあることにより、燃料電池の出力が高くなる。
該多孔質電解質層56の1000℃における導電率は、0.01〜0.2S/cm、好ましくは0.05〜0.2S/cm、特に好ましくは0.1〜0.2S/cmである。
該多孔質電解質層56中、細孔幅が1μm以下の細孔の存在率は、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。該細孔幅が1μm以下の細孔には、該電極物質充填用スラリーが含浸し難いため、該細孔幅が1μm以下の細孔の存在率が少ない程、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末(d)との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の充填量が多くなる。なお、本発明において該細孔幅が1μm以下の細孔の存在率とは、該多孔質電解質層56を、該多孔質電解質層56が形成されている該電解質基板60の表面に対して垂直な面で切った時の任意の断面における、該多孔質電解質層56の見かけ上の断面積に対する細孔幅が1μm以下の細孔の断面積の百分率を指す。そして、該存在率を、少なくとも3箇所の異なる任意の断面で求め、それらの平均値を、該細孔幅が1μm以下の細孔の存在率とする。
つまり、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、電解質物質で形成されており、気孔率が30〜70%である多孔質電解質層の細孔に、電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末を充填して得られる電極物質充填多孔質電解質層を有する固体酸化物形燃料電池用セルである。
なお、本発明では、MICROTRAC−S3000(日機装社製)を用いて、平均粒径及び平均径の測定を行った。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
[実施例1]
<燃料極層の製造>
(燃料極層形成用スラリーの調製)
酸化ニッケル(NiO)55g、スカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)を45g、フタル酸ジ−n−ブチル10ml、オクチルフェニルエーテル2ml、分散剤(ノニオンOP−83RAT、日本油脂社製)2ml、ポリビニルブチラール樹脂(和光純薬社製)10g、イソプロパノール80ml、アセトン80mlをボールミルに加え、室温で24時間混合した。得られたスラリーを、エバポレーターで減圧しながら溶媒を蒸発させ、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、燃料極層形成用スラリーAを得た。
・酸化ニッケル;平均粒径7μm
・スカンジアセリア安定化ジルコニア;ジルコニア中のスカンジアの含有量10mol%、セリアの含有量1mol%、平均粒径0.55μm
(燃料極層形成用スラリーの焼成)
次いで、該燃料極層形成用スラリーAを用い、スクリーン印刷法にて、膜厚が700μmの燃料極層形成用スラリー層を形成させ、乾燥後、1400℃、3時間焼成し、燃料極層Bを製造した。
<電解質基板の製造>
(電解質基板形成用スラリーの調製)
燃料極層形成用スラリーの調製に用いたスカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)を55.02g、フタル酸ジ−n−ブチル10ml、オクチルフェニルエーテル2ml、燃料極層形成用スラリーの調製に用いた分散剤2ml、燃料極層形成用スラリーの調製で用いたポリビニルブチラール樹脂5g、イソプロパノール80ml、アセトン80mlをボールミルに加え、室温で24時間混合した。得られたスラリーを、エバポレーターで減圧しながら溶媒を蒸発させ、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、電解質基板形成用スラリーCを得た。
(電解質基板形成用スラリーの塗布及び焼成)
該燃料極層Bの一方の表面に、該電解質基板形成用スラリーCを、スクリーン印刷法にて、膜厚が10μmとなるように塗布し、乾燥させた後1400℃で、5時間焼成し、燃料極層Bの表面に電解質物質の緻密層が形成されている電解質基板D(以下、単に電解質基板Dと記載する。)を得た。
<多孔質電解質層の形成>
(多孔質電解質層形成用スラリーの調製)
燃料極層形成用スラリーの調製に用いたスカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)を70.8g、炭素粉末29.2g、フタル酸ジ−n−ブチル10ml、オクチルフェニルエーテル2ml、燃料極層形成用スラリーの調製に用いた分散剤2ml、燃料極層形成用スラリーの調製で用いたポリビニルブチラール樹脂5g、イソプロパノール80ml、アセトン80mlをボールミルに加え、室温で24時間混合した。得られたスラリーを、エバポレーターで減圧しながら溶媒を蒸発させ、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、多孔質電解質層形成用スラリーEを得た。
・炭素粉末;高純度化学工業社製、平均粒径5μm
(多孔質電解質層形成用スラリーの塗布及び焼成)
該電解質基板Dの燃料極層が形成されている面とは反対の面に、該多孔質電解質層形成用スラリーEを、スクリーン印刷法にて、膜厚が10μmとなるように塗布し、乾燥させた。次いで、電解質層形成用スラリーEが塗布されている電解質基板Dを、1400℃で、3時間焼成し、多孔質電解質層が形成されている電解質基板F(以下、単に電解質基板Fと記載する。)を得た。
<多孔質電解質層の分析>
1.多孔質電解質層の気孔率の測定
該電解質基板Fを、電解質基板の表面に対して垂直な面で切断し、断面を、走査型電子顕微鏡で観察した。得られたSEM写真を用いて、前述した方法で、該電解質基板Fの多孔質電解質層の気孔率を求めた。そして、気孔率の測定を異なる3箇所の断面で行ったところ、気孔率の平均値は44%であった。
2.比表面積の測定
該電解質基板Fの多孔質電解質層の比表面積を、全自動ガス吸着量測定装置オートソーブ−1−C/VP/TCD/MSを用いるKrガス吸着法により測定した。その結果、比表面積は0.67m/gであった。
3.伝導率の測定
幅5mm×長さ30mm×高さ0.5mmのアルミナ角柱上に、該多孔質電解質層形成用スラリーEを塗布し、焼成して、幅5mm×長さ30mm×高さ0.05mmの該多孔質電解質層を形成させた。次いで、直流四端子法及び交流四端子法により、該電解質基板Fの多孔質電解質層の1000℃の伝導率を測定した。その結果、伝導率は0.07S/cmであった。
4.細孔幅が1μm以下の細孔の存在率
上記1.気孔率の測定で得られたSEM写真を用いて、前述した方法で、該電解質基板Fの多孔質電解質層中の細孔幅が1μm以下の細孔の存在率を求めた。そして、存在率の測定を異なる3箇所の断面で行ったところ、存在率の平均値は5%であった。
<空気極層の形成>
(空気極層形成用スラリーの調製)
ランタンストロンチウムマンガネート(Ln0.8Sr0.2Mn1.0)82g、燃料極層形成用スラリーの調製で用いたスカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)18g、フタル酸ジ−n−ブチル10ml、オクチルフェニルエーテル2ml、燃料極層形成用スラリーの調製に用いた分散剤2ml、燃料極層形成用スラリーの調製で用いたポリビニルブチラール樹脂10g、イソプロパノール80ml、アセトン80mlをボールミルに加え、室温で24時間混合した。得られたスラリーを、エバポレーターで減圧しながら溶媒を蒸発させ、該スラリーの粘度が、10000mPa秒になるように調製し、空気極層形成用スラリーGを得た。
・ランタンストロンチウムマンガネート;平均粒径0.49μm
(空気極層形成用スラリーの塗布及び焼成)
上記と同様の方法で電解質基板Fを得、該電解質基板Fの多孔質電解質層の表面に、該空気極層形成用スラリーGを、スクリーン印刷法にて、塗布後の膜厚が20μmとなるように塗布し、乾燥した。次いで、空気極形成用スラリーGが塗布された電解質基板Fを、1200℃で、3時間焼成し、固体酸化物形燃料電池用セルHを得た。
該固体酸化物燃料電池用セルHの空気極物質充填多孔質電解質層中、該空気極物質充填多孔質電解質層の見かけ体積に対するのスカンジアセリア安定化ジルコニアの体積割合は60.8%、ランタンストロンチウムマンガネートの体積割合は7.2%であった。
(性能評価)
電極物質充填多孔質電解質層の違いによる発電特性の違いを検出するために、定常分極測定を行った。第9図は、定常分極測定を行うための定常分極測定試料の側面図を示す。定常分極測定試料68は、直径15mm、厚さ2mmの円柱状の電解質ペレット63、該電解質ペレット63の一方の底面の中央に形成されている、平面視が同心円となる直径6mm、厚さ10μmの円柱状の空気極物質充填多孔質電解質層64、該空気極物質充填多孔質電解質層64の表面に形成されている、直径6mm、厚さ20μmの円柱状の空気極層65、該円柱状の電解質ペレット63の側面の全周に亘って、1.0mmの幅で形成されている白金参照電極66及び該電解質ペレット63の他方の底面の中央に形成されている、平面視が同心円となる直径6mmの白金対極67からなる。
該定常分極測定試料68の製造について述べると、先ず、該燃料極層形成用スラリーの調製に用いたスカンジアセリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)を、0.3183トン/cmの荷重を加えてプレス後、1400℃で3時間焼成して、直径15mm、厚み2mmの円柱状の電解質ペレット63を得た。
次いで、該電解質ペレット63の一方の底面の中央に、該多孔質電解質層形成用スラリーEを、スクリーン印刷法にて、直径が6mmの円形状、膜厚が10μmとなるように塗布し、乾燥させた。そして、電解質層形成用スラリーEが塗布された電解質ペレット63を、1400℃で、3時間焼成し、多孔質電解質層が形成された電解質ペレット63を得た。
次いで、該多孔質電解質層が形成された電解質ペレット63の多孔質電解質層の表面に、該空気極層形成用スラリーGを、スクリーン印刷法にて、塗布後の膜厚が20μmとなるように塗布し、乾燥した。そして、空気極形成用スラリーGが塗布された電解質ペレット63を、1200℃で、3時間焼成し、空気極物質充填多孔質電解質層64及び空気極層65が形成された電解質ペレット63を得た。
次いで、該空気極物質充填多孔質電解質層64及び空気極層65が形成された電解質ペレット63の側面及び他方の底面に、白金ペースト(TR−7905、田中貴金属社製)を塗布し、1000℃で焼成して、該定常分極測定試料68を得た。
該定常分極測定試料68を、インピーダンス測定装置(ソーラトロン社製)にて、空気雰囲気、1000℃の条件下で、W1−R間の電位(界面過電圧)を変化させた時のW2−C間の電流密度を測定した。その結果を、第1表及び第10図に示す。
[実施例2]
空気極層形成用スラリーの調製において、ランタンストロンチウムマンガネート82g及び燃料極層形成用スラリーの調製で用いたスカンジアセリア安定化ジルコニア18gに代えて、ランタンストロンチウムマンガネート100gとする以外は、実施例1と同様の方法で、燃料極層の製造、電解質基板の製造、多孔質電解質層の形成及び空気極層の形成を行い、固体酸化物形燃料電池用セルJを得た。該固体酸化物燃料電池用セルJの空気極物質充填多孔質電解質層中、該空気極物質充填多孔質電解質層の見かけ体積に対するのスカンジアセリア安定化ジルコニアの体積割合は56%、ランタンストロンチウムマンガネートの体積割合は12%であった。
(性能評価)
空気極層形成用スラリーGに代えて、実施例2で用いた空気極層形成用スラリーとする以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を、第1表及び第10図に示す。
(比較例1)
多孔質電解質層の形成を行わない以外は、実施例1と同様の方法で行った。すなわち、実施例1と同様の方法で、燃料極層の製造、電解質基板の製造及び空気極層の形成を行い、固体酸化物形燃料電池用セルKを得た。
(性能評価)
多孔質電解質層の形成を行わない以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を、第1表及び第10図に示す。つまり、比較例1で得た定常分極測定試料は、実施例1と同様の方法で、電解質ペレットの製造、空気極層の形成、第一参照電極の形成及び第二参照電極の形成を行い得られたものである。
Figure 0004143938
本発明の固体酸化物形燃料電池用セル又は本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を用いることにより、電池性能に優れる固体酸化物形燃料電池を製造することができる。

Claims (4)

  1. 電解質基板の表面に、電解質物質粉末、溶媒、及び該溶媒に溶解しない造孔剤を含有し、該溶媒に溶解しない造孔剤の体積割合に対する該電解質物質粉末の体積割合の比が、0.66〜1.5である電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板を焼成し、多孔質電解質層が形成されている電解質基板を得る多孔質電解質層形成工程、及び該多孔質電解質層が形成されている電解質基板の多孔質電解質層の表面に、該溶媒に溶解しない造孔剤の平均径に対する平均粒径の比が、0.001〜0.1である電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末であり且つ電極物質粉末の体積割合に対する電解質物質粉末の体積割合の比が0.1〜2である混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末であり且つ電極層形成用である複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板を焼成し、電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成されている電解質基板を得る電極層形成工程を有し、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の充填量が、該電極物質充填多孔質電解質層の見かけ上の体積に対して、体積割合で5〜50%であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  2. 該溶媒に溶解しない造孔剤が、炭素粉末、熱可塑性樹脂粉末、熱可塑性樹脂繊維、熱硬化性樹脂粉末、熱硬化性樹脂繊維、天然繊維、天然繊維の誘導体であることを特徴とする請求項1記載の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  3. 電解質基板の表面に、電解質物質粉末、溶媒、及び該溶媒に溶解しない造孔剤を含有し、該溶媒に溶解しない造孔剤の体積割合に対する該電解質物質粉末の体積割合の比が、0.66〜1.5である電解質層形成用スラリーを塗布し、次いで、該電解質基板を焼成し、多孔質電解質層が形成されている電解質基板を得る多孔質電解質層形成工程、及び該多孔質電解質層が形成されている電解質基板の多孔質電解質層の表面に、該溶媒に溶解しない造孔剤の平均径に対する平均粒径の比が、0.001〜0.1である電極物質粉末、電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末であり且つ電極物質粉末の体積割合に対する電解質物質粉末の体積割合の比が0.1〜2である混合粉末、又は電極物質と電解質物質との複合体粉末であり且つ電極層形成用である複合体粉末を含有する電極層形成用スラリーを塗布し、次いで、該多孔質電解質層が形成されている電解質基板を焼成し、電極物質充填多孔質電解質層及び電極層が形成されている電解質基板を得る電極層形成工程を行い得られ、該電極物質粉末、該電極物質粉末と電解質物質粉末との混合粉末、又は該電極物質と電解質物質との複合体粉末の充填量が、該電極物質充填多孔質電解質層の見かけ上の体積に対して、体積割合で5〜50%であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セル。
  4. 該溶媒に溶解しない造孔剤が、炭素粉末、熱可塑性樹脂粉末、熱可塑性樹脂繊維、熱硬化性樹脂粉末、熱硬化性樹脂繊維、天然繊維、天然繊維の誘導体であることを特徴とする請求項3記載の固体酸化物形燃料電池用セル。
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