JP6519001B2 - 固体酸化物型燃料電池の空気極、固体酸化物型燃料電池、及び固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法 - Google Patents

固体酸化物型燃料電池の空気極、固体酸化物型燃料電池、及び固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池の空気極、固体酸化物型燃料電池、及び固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法に関する。
近年では、クリーンで再生可能なエネルギーについての要求が大きくなるにつれ、固体酸化物燃料電池(SOFC)は、その高いエネルギー効率、環境への配慮及び優れた燃料の柔軟性により大きな注目を受けてきた。SOFCは、主要な構成要素として空気極電極、電解質、及び燃料極電極から構成される。その動作については、先ず空気極において、表面で空気中の酸素が、空気極材料から電子を受け取って酸化物イオンとなる。この酸化物イオンが空気極材料の中に取り込まれ、結晶格子中を拡散して電解質界面に到達する。酸化物イオンは、更に電解質中に移り拡散し、電解質の反対側表面に設置された燃料極に至り、更に燃料極材料内を拡散して燃料極表面に到達する。酸化物イオンは、燃料極表面にて燃料の水素と反応して水を生成しつつ燃料極に電子を渡す。このように、多段の反応が起きる。電子は燃料極から空気極へと外部回路を流れ、電池として動作する。
SOFCでは、その製造コストが大きな課題の1つとなっており、これに対する方法として、構造材料やシール材料、電気的接続材料において、より安価な材料が使用可能となるように、動作温度の低温化が求められてきている。当該動作温度は従来、1000℃程度であったところ、これを600℃〜750℃の中間運転温度、さらにはより低温(<600℃)まで低温化できることが望ましい。しかしながら、当該中低温域でSOFCを使用する場合には、従来のSOFCの構成材料では特性が低下するという問題が生じる。
燃料電池の主要な構成部分である空気極、電解質、燃料極の何れについても低温動作化は大きな課題である。電解質においては、電解質の厚みを薄くすることに加え、より高いイオン伝導性を有する材料が求められる。このような材料の例としては、サマリウム(Sm)で置換したセリア(SDC)、ガドリニウム(Gd)で置換したセリア(GDC)、ランタンガレート(LaGaO3)の一部をストロンチウム(Sr)やマグネシウム(Mg)で置換した材料(LSGM)が挙げられる。燃料極においては、ニッケル(Ni)又はYSZを含むサーメット等が検討されている。
中低温運転において、電池の全抵抗性の大部分を占めて性能低下の主要な原因となっているのは、空気極であると考えられており、空気極の性能向上が中低温のSOFCの実用化に向けた最も大きい課題になっている。即ち、空気極表面での空気中の酸素分子がイオン化する反応と、イオン化した酸化物イオンが空気極の材料格子中を拡散する速度が遅く、これらのより速度の速い高性能の空気極が求められている。
SOFCの空気極の1つとして、ペロブスカイト型酸化物を含有させたものがある。初期のSOFC用の空気極としては、例えばLa1-xSrxMnO3-δ 、La1-xSrxCrO3-δ 等のMnやCrをペロブスカイトのBサイト(酸素八面体の中心位置)に含有する材料が用いられてきた、これらは、YSZ等のジルコニア電解質のSOFCで用いられる空気極であるが、700℃を超える高温度で運転されるのが通常である。一方、中低温域で用いるSOFCの空気極としては、非特許文献1,2等に記載されているように、Ln1-xSrxCoO3-δ 、La1-xSrxCo1-yFey3-δ 、及びBa0.5Sr0.5Co0.8Fe0.23-δ 等が、セリア系電解質との組み合わせで良い特性を示すことが報告されてきている。これら空気極材料が中低温域で好ましい特性を発揮するには、ペロブスカイト型構造のBサイトにコバルト(Co)や鉄(Fe)を含有していることが鍵であると考えられている。
非特許文献3に記載されているように、Co,Fe系のペロブスカイト型酸化物は、高い酸化物イオン導電性と、高い電子(またはホール)導電性を併せ持つ特長に着目され、SOFCへの適用が考えられるよりも以前から、空気中から酸素を分離するための酸素分離膜材料として検討されてきた。
酸素分離膜においては、高酸素分圧側の膜表面で空気中の酸素が、膜材料から電子を受け取って酸化物イオンとなり、酸化物イオンが分離膜の材料格子中を拡散して膜の反対側表面(低酸素分圧側表面)に到達する。当該表面にて2つの酸化物イオンが反応し、電子を膜材料に残し、再び酸素分子となって脱離する。このように、酸素分離膜において起きている反応は、SOFCの空気極と類似している。両者の間の違いは、電子(又はホール)が、SOFCの場合は外部接続を介して燃料極から空気極に向けて流れるのに対し、酸素分離膜の場合には、分離膜の中を低酸素分圧側(酸素透過側)表面から高酸素分圧側(酸素入側)表面に向けて流れている点である。空気極として重要な、電極表面での酸素の解離反応速度、電極材料中の酸化物イオン伝導度、電子(又はホール)伝導度は、何れも酸素分離膜においても分離特性を決める重要な因子である。故に、高性能な空気極材料の候補として、酸素分離膜材料が検討されてきたのは必然である。
酸素分離材料の中でも特に高酸化物イオン伝導度のものは、CoやFeをBサイトに含有しており、特にCoの含有率が高い。鉄をBサイトに含有する場合も良好な酸化物イオン伝導度が得られるものの、Coと比較すると酸化物イオン伝導特性が劣る。一方、Co含有率の高いペロブスカイト型酸化物には、材料が不安定であるという問題がある。当該不安定性には2種類あり、一つはペロブスカイト型構造を有する酸化物の結晶中の酸素空孔が、相互作用によって規則配列してしまい、いわゆるブラウンミラライト型に代表される構造に変化する変態である。もう一つは、ペロブスカイト型構造とは大きく異なる、六方晶への変態である。いずれの構造変態も、それが生じると酸化物イオン伝導度は大きく損なわれてしまうという問題が生じる。これらの材料不安定性問題を解決するために、多くの酸素分離膜材料が開発されてきた。
これらの酸素分離膜材料の中でも、特許文献1及び非特許文献4で開示されている材料は、材料の安定性が高く、なお且つ酸素透過速度が高い、即ち酸化物イオン伝導性が高いペロブスカイト型混合伝導体として知られている。この材料は、BサイトにCoやFeに加え、ニオブ(Nb)及び/又はタンタル(Ta)を含有することが特徴である。またこれらの材料は、SOFCの空気極に用いる検討が最近行われるようになっており、非特許文献5〜7で報告されている。
また、特許文献2で開示されている材料は、Aサイトにバリウムを含むと共に、BサイトにCoやFeに加え、Sn等を含有することが特徴である。当該材料は、材料としての安定性が高く、なおかつ酸素透過速度が高い、即ち酸化物イオン伝導性が高いペロブスカイト型混合伝導体である。
上記の特許文献2で開示されている材料と類似して見える組成の酸化物混合伝導体、或いはSOFCの空気極の技術としては、例えば特許文献3においては、SOFC空気極材料が開示されている。当該空気極材料は、BサイトにMnに加え、任意の元素としてCoの他、Al,Sn,Nb等を含有し得ることが示されている。しかしながら、この空気極材料は、Mnをベースとするペロブスカイト型酸化物であり、AlやSnは勿論、Coでさえ選択元素の一つでしかなく、Co系のペロブスカイト型酸化物の結晶構造の安定性についての効果を開示するものではない。
また、特許文献4においては、SOFC空気極材料が開示されており、ペロブスカイト粒子と、Ag等の金属コア粒子の表面がセラミックスコーティングされたセラミックスコーティング粒子を含む複合材料であり、当該ペロブスカイト粒子にはCo又はMnを含むと共に、任意の元素としてやAlやSnを含有し得ることが開示されている。当該任意の元素は、その効果として高い酸化物イオン伝導性が得られると開示されている。しかしながら、特許文献4は、AlやSnをBサイトに任意に含有しても良いが、これら元素によるCo系のペロブスカイト型酸化物の結晶構造の安定性に関する効果を開示するものではない。
また、特許文献5においては、SOFC空気極材料であって、ペロブスカイト型酸化物とセリウム酸化物のコンポジット状態の材料が開示されている。当該ペロブスカイト型酸化物はセリウム(Ce)を含む他に、高い酸化物イオン伝導性が得られることを目的としてCo,Al,Sn等を含み得るとされている。しかしながら、特許文献5では、AlやSnは必須ではない任意の選択元素の一つでしかない。また、これらの元素がBサイトに含まれていることによる、Co系のペロブスカイト型酸化物の結晶構造の安定性についての効果を開示するものではない。
特許第4340269号公報 特許第4074452号公報 特表2011−510892号公報 特開2012−230795号公報 特開2013−143242号公報
Shao, Z. P.; Haile, S. M. Nature 2004,431, 170 Xia, C. R.ら. Solid State Ionics 2002, 149, 1 Teraokaら、Chemistry Letters 1985, 1743 T. NagaiらSolid State Ionics 2007, 177, 3433 Fang Wangら、Journal of Power Sources 2010, 195, 2772 Cheng Juangら、Journal of Power Sources 2010, 195, 5176 Leilei Zhangら、International Journal of Hydrogen 2013, 38, 7947
SOFCの中低温域における動作可能化に向けて、高温では十分な特性が得られる空気極材料のマンガン(Mn)やクロム(Cr)を含有するペロブスカイト型酸化物が、中低温域では性能が低下するという課題の解決が不可欠である。この解決方法として有力と考えられているのが、空気極材料をMnやCrよりも酸化物イオンの拡散に優れて高特性な、Co含有ペロブスカイト型酸化物に変更することである。但し、Co含有ペロブスカイト型酸化物を空気極に用いる検討はまだ緒に就いたばかりであり、主には製造された直後の初期特性が主に議論されている段階である。
本発明者らは、Co含有のペロブスカイト型酸化物に関する過去の開発経験から、本材料が有する材料の不安定性に由来して、中低温域でのSOFCの使用においては、特に長期使用後のペロブスカイト相の変態と、これに伴う特性の低下、耐久性の問題を生じることに気付いた。このような変態は低温においては長期的にゆっくりと進行するため、いくら初期性能が高くても、電極の劣化に伴う燃料電池の耐久性の低下、長期的信頼性の欠如といった形で、装置性能に影響を与える。
Co含有のペロブスカイト型酸化物が有力な材料として既に検討が進められてきている別の応用分野、即ち酸素分離膜の分野においては、この酸化物の結晶構造を安定化させるための工夫が凝らされてきた。しかしながら、従来の酸素分離材料の開発では、主に800℃〜900℃での使用を前提としており、これに合わせて耐久性が検討されてきていたが、中低温用のSOFCの動作温度は750℃以下であり、酸素分離よりも低温域での使用となる。このように使用温度がより低い中低温域動作SOFCへの応用では、Coを含有するペロブスカイト型混合伝導体の結晶構造の不安定性が、酸素分離への応用より大きくなる。従って、SOFCの空気極としてのCo含有のペロブスカイト型酸化物の開発では、単に従来の酸素分離材料を転用することは困難であり、SOFCの空気極に特化した材料の開発が求められる。
酸素分離材料として開発された、BサイトにCoやFeと共にNb及び/又はTaを含有するペロブスカイト型混合伝導体は、Ba1-xSrxCo1-yNby3-δ 等に代表され、優れた酸化物イオン伝導性を示す混合伝導体である。しかしながら、その開発前提は他の酸素分離材料と同じく、SOFCの動作温度が800℃〜900℃であるものであった。中低温動作のSOFC用途に特有の材料不安定性を考慮した、長期的信頼性の観点からの材料開発は、Nb及び/又はTa含有のCo系ペロブスカイト型混合伝導体においてこれまでなされていない。前述の酸素分離材料のSOFCの空気極への適用を検討した学術論文においても、長期的安定性には何等考慮が払われず、特性の検討もなされていなかった。
また、同じく酸素分離材料として開発された、AサイトにBaを含むと共に、BサイトにCoやFeに加え、Sn等を含有するペロブスカイト型混合伝導体は、Ba1-xSrxCo1-ySny3-δ 等に代表される。これらは、優れた酸化物イオン伝導性を示す混合伝導体であるが、その開発前提は他の酸素分離材料と同じく、800℃〜900℃で使用される材料であった。中低温動作のSOFC用途に特有の材料不安定性を考慮した、長期的信頼性の観点からの材料開発は、Sn含有Co系ペロブスカイト型混合伝導体において、従来なされてきていなかった。
本発明者らの検討の結果では、当該酸素分離材料を、中低温動作のSOFCの空気極に適用しようとしても、懸念されたように耐久性及び高特性の両立が困難であることが判明した。とは言うものの、この酸素分離材料の酸化物イオン伝導体としての高い性能は依然魅力的であり、中低温域で動作するSOFCの課題解決に向けて、この酸素分離材料を改良することが有力な解決方法の候補であると期待された。即ち、中低温域における長期間の使用を目指すSOFC用の空気極の材料として、特許文献1に開示されているNb及び/又はTa含有のCo系ペロブスカイト型混合伝導体、或いは特許文献2で開示されているSn含有のCo系ペロブスカイト型混合伝導体材料をベースとしつつ、当該空気極に特化した、より優れた材料の開発が求められていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、固体酸化物型燃料電池の中低温域の使用環境下で優れた特性を発揮し、中低温域の使用あっても高い燃料電池特性(例えば最高出力密度)を得ることができ、当該使用環境下であってもペロブスカイト型結晶構造として高い安定性を示し、長期間安定して特性を発揮することを可能とする、固体酸化物型燃料電池の空気極、固体酸化物型燃料電池、及び固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の固体酸化物型燃料電池の空気極は、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、組成が、
[Ln1-aa][BxB'yAlz]O(3-δ)・・・(1)
の一般式で表される磁器組成物を含有する。
前記(1)式において、
Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれた1種又は2種以上の元素の組み合わせであり、
Aは、Ba,Sr,Caのうちから選ばれた1種又は2種以上の元素の組み合わせであり、
Bは、Coであるか、又はCo及びFeの組み合わせであり、且つCoのモル数がBの全元素のモル数に対して50%以上であり、
B'は、Nb,Ta,Snのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせであり、
0.8≦a≦1
0<x
0<y≦0.2
0<z≦0.2
0.98≦x+y+z≦1.02であり、
δは、電荷中性条件を満たすように規定される値である。
本発明の固体酸化物型燃料電池は、上記の空気極を備えている。
本発明の固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法は、前記(1)式におけるLn,A,B,B',Alを含有する炭酸塩又は酸化物の粉末を原料とし、前記粉末を混合して酸化性雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で焼成を行ってペロブスカイト型構造の単一相からなる原料粉を生成し、前記原料粉を粉砕し、粉砕された前記原料粉を空気極形状に焼成するに際して、焼結熱履歴として経験する熱処理の最高温度が1200℃以上1250℃以下の温度である。
本発明によれば、固体酸化物型燃料電池の中低温域の使用環境下で優れた特性を発揮し、中低温域の使用あっても高い燃料電池特性(例えば最高出力密度)を得ることができ、当該使用環境下であってもペロブスカイト型結晶構造として高い安定性を示し、長期間安定して特性を発揮することを可能とする、信頼性の高い固体酸化物型燃料電池の空気極が実現する。
各試料を実施例1〜21及び比較例1〜9として、その組成等を記載した表を示す図である。 各試料を実施例1〜21及び比較例1〜9として、耐久性の加速試験の評価結果等を記載した表を示す図である。 各試料を実施例1〜21及び比較例1〜9として、空気極性能試験の評価結果等を記載した表を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
〔SOFC用空気極の具体的な材料構成〕
本実施形態によるSOFC用空気極は、特に中低温域において優れたSOFC特性を実現するためのものである。ここで、「中低温域」とは、600℃〜750℃の範囲内の中間温度域と、500℃〜600℃の範囲内の低温度域とを合わせた領域とする。
本実施形態による空気極の材料は、特許文献1で開示されたCoに加え、Nb及び/又はTaを含有するペロブスカイト型混合伝導体、及び特許文献2で開示されているSn含有のCo系ペロブスカイト型混合伝導体材料の検討を元に開発されたものである。当該検討の過程において、特許文献1で開示されたペロブスカイト型混合伝導体は、SOFCの空気極材料として、使用開始初期においては優れた特性を発揮し得ることが判った。一方、当該材料は中低温域、特に600℃〜500℃における長期の使用により特性の劣化が生じ易く、その大きな原因として、中低温域での使用中において空気極が不安定化すること、及び低特性相へ相転移することである旨が明らかとなった。当該相転移に起因する特性劣化を防止するためには、空気極材料の含有するNb,Ta,Snの含有量を増加させることが考えられる。ところがこの場合、空気極材料の酸化物イオン導電性、及び電子(又はホール)導電率が低下することに起因して、空気極としての特性が劣化し、SOFCの最高出力密度が低下する等の問題が生じる。
本実施形態では、Coに加え、Nb,Ta,Snのうちから選ばれた1種又は2種以上の元素を含有するペロブスカイト型混合伝導体の本来持つ高特性を維持しつつ、中低温域における長期の使用においてもペロブスカイト型結晶構造を安定して保持することが可能であり、結果として特性の劣化が少ない空気極の探索を進めた。その結果、本実施形態で開示する材料、即ち、Co及び/又はFeと、Nb,Ta,Snのうちから選ばれた1種又は2種以上の元素とに加え、アルミニウム(Al)をBサイトに含有させることにより、空気極としての特性向上に極めて有効であることが見出された。
従来のCoを主成分として含むペロブスカイト型混合伝導体は、酸素分離の用途として800℃〜900℃のより高温域における使用を前提としている。そのため、特性向上或いは結晶構造安定化を志向して、当該ペロブスカイト型混合伝導体にAlを含有させることは考えられていなかった。
これに対して本実施形態では、Coを主成分として含むペロブスカイト型混合伝導体において、Nb,Ta,Snのうちから選ばれた1種又は2種以上の元素を含有させることを前提としたうえで、追加的にAlを含有させる。これにより、Nb,Ta,Snの含有量を増加させることなく、また空気極としての特性を劣化させることなく、中低温域におけるペロブスカイト型結晶構造の安定性を向上させ、長期の使用においても特性の劣化を抑制できることを見出した。この知見に基づいて、中低温域で動作するSOFC用空気極として、Alの添加によって、特に優れた効果が得られる材料組成等の範囲を特定した。
このAl添加による好ましい効果が得られるメカニズムは、未だ明確ではない。このAl添加によって得られるペロブスカイト型結晶構造の安定化効果は、NbやTa,Snによる安定化効果ほど強力ではなく、単独の添加ではさほど目立った機能を生じない。そのため従来では、Alはコバルトを主成分とするペロブスカイト型混合伝導体の結晶構造安定化のための添加元素として着目されなかったものと考えられる。
一方、NbやTa,Snの存在により、ある程度の安定化が得られている条件下では、既にNbやTa,Snによって得られている効果に追加するように、一層の安定性の向上がAlの添加によって得られている。そのため、この追加的な安定性の向上が中低温域での長期間使用における信頼性向上に寄与していると推測される。
また、Alを添加することにより、結晶構造の安定性が向上することに対して、NbやTa,Snを増量した場合のような特性の低下が生じることはない。その理由としては、Alはペロブスカイト型酸化物の中で3価のイオンとして存在するため、5価のイオンとして存在するNbやTa、或いは4価のイオンとして存在するSnのように、酸化物イオン伝導性をもたらしている結晶中の酸素空孔の数を減少させ難いことが関係していると考えている。
但し、Coを主成分とするペロブスカイト型混合伝導体で優れた空気極特性が得られるのは、この材料が高い酸化物イオン伝導性を有しているからである。Coイオンが高い柔軟性を有していて、結晶内の酸素(または酸素空孔)の移動を助けているためと考えられる。このことを反映して、高い空気極特性を実現するためには、BサイトにおけるCoの含有量が所定のレベル以上であることが必要である。材料中のCo量が少なくなり過ぎると、Coを置き換えているのが酸素空孔を減少させるNb,Ta,Snの場合は勿論、酸素空孔数の減少の問題を生じ難いAlで置換している場合であったとしても、酸化物イオンの拡散に律速となる領域が生じる。これにより、電極特性が低下して、電池の出力密度の低下等の問題を惹起する。
以上を踏まえて、本実施形態によるSOFC用空気極の構成1は、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、組成が、
[Ln1-aa][BxB'yAlz]O(3-δ) ・・・(1)
の一般式で表される磁器組成物を含有するものである。
ここで、(1)式において、Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれた1種又は2種以上の元素の組み合わせである。Aは、Ba,Sr,Caのうちから選ばれた1種又は2種以上の元素の組み合わせである。Bは、Coであるか、又はCo及びFeの組み合わせであり、且つCoのモル数がBの全元素のモル数に対して50%以上である。B'は、Nb,Ta,Snのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせである。
更に、0.8≦a≦1
0<x
0<y≦0.2
0<z≦0.2
0.98≦x+y+z≦1.02である。
δは、電荷中性条件を満たすように規定される値、即ち、陽イオン(Ln,A,B,B',Al)の価数の和が陰イオン(O)の価数と等しくなるように定まる値である。
上述したように、当該磁器組成物は、BとしてCoを主要に含有し、更にB'で表わされるNb,Ta,Snと、Alとを含有する。本実施形態によるSOFC用空気極は、Coのモル数が全B元素のモル数に対して50%以上とすることにより、特に特性が高く、またNb,Ta,SnとAlとが共存することによる結晶構造安定性の効果を享受することができる。Coのモル数が全B元素のモル数に対して50%よりも少なくなると、材料中の酸化物イオンの伝導度が低下し、電極の特性も低くなる。その結果、SOFCとした場合の出力密度が本実施形態のSOFCの半分以下に低下することになる。
B'としては、Nb,Ta,Snを単独で用いても良いし、これらのうちの2種又は3種の元素を混合して用いても良い。B'の含有量はyとして0.2以下の範囲である。この範囲を超えてB'を含有すると、空気極の酸化物イオン導電性及び電子(またはホール)導電性が低下し、結果として燃料電池の出力密度が本実施形態の半分以下程度に低下する等、特性の低下が生じる。また、B'の含有量はyとして0.03以上であることが望ましい。これより含有量が少ないと、NbやTa,Snの添加効果が得られ難く、ペロブスカイト型構造の安定性が不足する場合がある。
Alの含有量は、zとして0.2以下の範囲である。この範囲を超えてAlを含有すると、燃料電池の出力密度が本実施形態の半分以下程度に低下する等、特性の低下が生じる。また、Alの含有量は、zとして0.05以上であることが望ましい。これより含有量が少ないと、Alの添加効果が得られ難い場合がある。
Aは、Ba,Sr,Caの2価のアルカリ土類元素であり、LnはAを置換し得る3価のイオンであって、Yやランタノイド元素等である。本実施形態の空気極においては、高い特性を得るために、Aをaとして0.8以上含有する。この範囲よりもAの含有率が低くなると、空気極を構成する混合伝導体の酸化物イオン導電性が低下して、燃料電池の出力密度が本実施形態の半分以下程度に低下する。Yやランタノイド元素の添加により、ペロブスカイト型構造を安定化させる効果があるが、本実施形態においては当該安定性をNbやTa,Sn,更にAlの添加によって確保することが可能であるため、Yやランタノイド元素の含有は、必ずしも必須ではない。
本実施形態において、x+y+zは、Aサイトイオンの総和に対するBサイトイオンの総和の比率を表す。x+y+zは、0.98以上1.02以下の範囲とされる。0.98未満の領域では、Aサイトイオンの量が多くなり過ぎて、不純物相を含んでしまい、電極特性が低下するという問題が生じる。また1.02超の領域では、Bサイトイオンの量が多くなり過ぎて、空気電極を形成した時の気孔率を適正に維持することが難しくなる。
本実施形態では、SOFC用空気極におけるより好ましい構成2を開示する。この構成2では、上記の構成1において、LnはLa,Yのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせに限定し、Aは、Ba,Srのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせに限定する。これらの限定により、空気極を構成する混合伝導体の酸化物イオン導電性が向上し、燃料電池の出力密度が向上する。
本実施形態では、SOFC用空気極における更に好ましい構成3を開示する。この構成3では、上記の構成2について、AにおけるBaのモル数の割合を0%以上50%以下に限定し、BはCoに限定し、a=1に限定、即ちLnを含有しない範囲に限定する。Lnを含有しないこと、及びBをCoに限定することにより、空気極を構成する混合伝導体の酸化物イオン導電性が向上する。通常はこの構成の副作用として、ペロブスカイト型結晶構造の安定性が一層低下する問題を生じるところ、本実施形態においては、Alを含有していることに加え、AのBaのモル数の範囲を上記に限定することで、Alによるペロブスカイト安定化効果をより高くすることができる。中低温域でSOFCを稼働させる場合においても、高い電池出力特性と、長期の使用においても特性の劣化が生じない耐久性を両立させることが可能となる。
本実施形態では、SOFC用空気極における更に好ましい構成4を開示する。この構成4では、上記の構成3について、AにおけるBaのモル数の割合を10%以上30%以下に限定し、yで表すB'の含有量を0<y≦0.1の範囲に限定する。Baの含有量をこの範囲に限定することで、Alによるペロブスカイト安定化効果を更に高めることができる。このため、NbやTa,Snの含有量をyとして0.1以下、より望ましくは0.03≦y≦0.07の範囲にまで低減させて、電池出力をより向上させても、長期の特性劣化を生ぜしめることなく、SOFCの中低温域における好適な動作が可能となる。
本実施形態では、SOFC用空気極における上記の構成2〜構成4とは異なる、別の好ましい構成5を開示する。この構成5では、上記の構成1について、Aは、Sr,Caのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせであり、AにおけるCaのモル数の割合は10%以上30%以下であり、BはCo、a=1、0<y≦0.1の範囲に限定する。構成5の空気極では、構成2〜4の空気極よりも燃料電池の初期の出力密度は低くなる。その一方で、構成5では、Aサイトの元素をSrとCaの特定の比率に限定することにより、特に耐久性に優れ、長期間使用後の電池特性の劣化が特に小さく抑制される。Caの割合を10%以上に限定するのは、Caがこれより少量であると、Caを用いたことによる耐久性の向上が認められ難いためである。また、Caの含有量を30%以下に限定するのは、これを超えて多く含有させると、初期の出力密度の低下が目立つようになるためである。
本実施形態では、SOFC用空気極における更に好ましい構成6を開示する。この構成6では、SOFCに組み込まれて使用される形態として、空気極の気孔率を15%以上40%以下に限定する。気孔率がこの範囲を外れると、空気との酸素の交換速度が低下して電池出力が低下したり、空気極の機械的強度が低下してSOFCとして使用する過程でクラックが発生し破壊する問題が生じる。当該気孔率は、後述する本実施形態による空気極の製造方法において、制御することができる。
空気極の気孔率は、空気極材料が単一のバルク状態である場合には、アルキメデス法等の密度測定法によって評価することが可能である。また、空気極が燃料電池スタックの一部として積層し一体形成される場合には、形成された燃料電池試料の組織を走査型電子顕微鏡等で組織写真を撮影し、断面組織写真を画像処理等によって電極部分と気孔部分とに分けて数値化することで、その比率から評価できる。
本実施形態では、上記の空気極の構成1〜6を適宜備えた構成7のSOFCを開示する。この構成7において、SOFCを構成するための電解質は、公知の構成及び形態のもので良く、特に制限されない。また、その構成材料についても公知の各種の固体電解質材料を好ましく用いることができる。電解質は、酸化(空気)雰囲気及び還元(燃料ガス)雰囲気の何れにおいても酸化物イオン伝導性が高く、電子やホール伝導性が低く、ガス透過性の無い緻密な層を形成できる材料から構成されることが好ましい。材料としては例えば、イットリアやスカンジアをジルコニアに分散固溶させたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、又はスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)が挙げられる。また、特に中低温での使用に関しては、前述の通り、Smで置換したセリア(SDC)、Gdで置換したセリア(GDC)、ランタンガレート(LaGaO3)の一部をストロンチウム(Sr)やマグネシウム(Mg)で置換した材料(LSGM)等のセラミック材料が好ましく挙げられる。
構成7のSOFCにおいて、本実施形態による空気極と組み合わせて用いる燃料極は、公知の構成及び形態のもので良く、特に制限されない。また、その構成材料についても公知の各種の燃料極材料を好ましく用いることができる。還元雰囲気でも高耐久性であり、ガスを効率よく透過可能な多孔質体から構成されることが好ましい。例えば、NiO−YSZ、NiO−ScSZ等の、酸化ニッケルと電解質層と同じ酸化物とのサーメット(金属・セラミックス複合材料)が挙げられる。NiとYSZのサーメット(NiOは、燃料電池作動時には金属ニッケルに変化する。)は、固体電解質燃料電池の燃料極材料として一般的に用いられているが、中低温用途ではNiとSDCのサーメットも好ましく用いられる。
本実施形態では、SOFCにおける更に好ましい構成8を開示する。この構成8のSOFCでは、上記の構成7について、中低温域である500℃以上750℃以下の温度で作動する。この中低温域において、長期の使用でも安定した優れたSOFC特性を発揮することができる。
なお、本発明を適用する燃料電池セルとしては、上記の構成に限られず一般的なSOFCに適用可能な公知の構成を特に制限なく適宜選択して用いることができる。また、SOFCに適用可能なこれら以外の他の構成、例えば、空気極と電解質との間に配置される空気極中間層や、燃料極と電解質との間に配置される燃料極中間層を備えていても良い。特に固体電解質層としてYSZを用いる場合には、空気極中間層としてSDC層やGDC層を1μm程度の厚みで形成しておくと、電解質と空気極との界面における好ましくない反応物の生成を抑制することができ、好適である。
〔SOFC用空気極の具体的な製造方法〕
本実施形態では、SOFC用空気極の製造方法として構成9を開示する。
構成9におけるSOFC空気極の原料粉は、例えば以下のようにして製造される。先ず、製造対象である空気極の含むペロブスカイト型混合伝導体酸化物の構成元素Ln,A,B,B',Alを含有する、化合物の粉末を用意する。各化合物粉末を所定の配合割合で混合する。この混合物を酸化性雰囲気(例えば大気中)又は不活性ガス雰囲気下で焼成することにより、所望の組成を有するペロブスカイト型酸化物の単一相から構成される原料粉を作製する。ここで、上記化合物粉末としては、かかるペロブスカイト型酸化物を構成する上記各金属原子を含む酸化物、或いは加熱により酸化物となり得る化合物(当該金属原子の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、オキシハロゲン化物等)を用いることができる。
特に本実施形態では、安価で取り扱いも容易であり、組成を正確に合成し易い原料として、Ln,B,B',AlについてはLn23,CoO,Co23,Co34,Fe23,F34,Nb25,Ta25,SnO2,Al23等の酸化物粉末、AについてはBaCO3,SrCO3,CaCO3等の炭酸塩粉末を、好ましい原料とする。上記の各化合物粉末の平均粒径は、例えば0.5μm〜3μm程度が好ましい。ここで平均粒径とは、原料粉末の粒度分布におけるD50(メジアン径)をいう。
上記の焼成は、1回で行うことも可能であるが、より好ましくは複数回に分けて行い、間に乳鉢、乾式ボールミル、湿式ボールミル、ジェットミルなどによる粉砕過程を挿入する。この粉砕過程を焼成過程の間に挿入することにより、均質で良好な特性の原料粉を得ることが可能となる。焼成を例えば仮焼成、本焼成の2回に分け、仮焼成は本焼成よりも100から300℃程度だけ低温で行うことが好ましい。
本実施形態では、空気極をSOFCの部材として形成するまでの過程において、焼結熱履歴として経験する熱処理の最高温度が1200℃以上1250℃以下の温度であることが好ましい。この1200℃よりも低温しか経験していないと、ペロブスカイト相の形成が不十分な場合が生じる。ペロブスカイト相の形成が不十分であると、燃料電池の使用過程における特性劣化の原因となる。1250℃を超えた温度で熱処理をすると、ペロブスカイトの成分の揮発や分相に伴う電極特性の劣化が生じ得る。
本実施形態では、SOFC用空気極の製造方法における好ましい構成10を開示する。この構成10では、上記の構成9について、当該原料粉を用いて空気極を形成する際の焼成温度が、上記の好ましい最高温度である1200℃以上1250℃以下の範囲よりも低温となる場合もある。このような場合には、原料粉の製造過程の本焼成を1200℃以上1250℃以下で行うことが好ましい。
本実施形態では、SOFC用空気極の製造方法における好ましい構成11を開示する。この構成11では、上記の構成9又は10について、ペロブスカイト単一相が得られた焼成粉を、セラミックスのボールを用いて粉砕を行い、D50(メジアン径)で記述される平均粒径が0.5μm以上3μm以下とした後、空気極の形成に供することが好ましい。これによって、十分な強度の空気極を得ること可能となる。粉砕に用いるセラミックスのボールは、粉砕に伴う不純物の混入を避けるため、ジルコニアのボールを用いることが好ましい。
既述の通り、本実施形態による空気極については、好ましい気孔率の範囲がある。また一般に、燃料極も空気極と同様に適度な気孔率を有することが望ましい。気孔率は、例えば空気極を焼成するときの焼成温度や焼成時間で制御可能であるが、焼成時に空気極に気孔形成材を混合することでも制御することができる。気孔形成材は、空気極の形成時に揮発するものであれば良く、例えばグラファイト等の炭素材料の粉末や、ポリビニールアルコールなどの樹脂の粉末であっても良い。但し、当該気孔形成材を用いる場合には、空気極の形成過程において、気孔形成材が揮発するように、十分な熱処理時間を取る等の配慮が必要である。
燃料電池の構造(セルスタック構造)にはいくつかの種類がある。具体的には、セルスタックの強度を主にどの部位に持たせるかに注目した分類として、固体電解質自立膜方式、空気極支持方式、燃料極支持方式、支持体支持方式等がある。また、セルの積層構造の形状に注目した分類として、円筒型と平板型、更にはその中間の平板円筒型等がある。本実施形態による空気極は、これら何れのセルスタック積層構造においても、良好に用いることができる。
燃料電池の製造方法として、以下においては、NiO−SDCサーメットの燃料極支持方式を例に採って、セルスタックの製造方法を例示するが、本実施形態の空気極を用いた燃料電池の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。母材となる燃料極NiO−SDCサーメットは、例えば原料となる酸化ニッケル粉末とSDC粉末、更には必要に応じで気孔形成材を混合した混合材に、メチルセルロースやポリビニルアルコール等の成形剤を加えてプレス成形する。或いは、この混合材を粘土状にして、押し出し成形する。或いは、混合材をスラリーにし、ドクターブレード法などテープキャスト法によって平板状にシート成型する。そして、得られた成形材を1300℃〜1450℃程度で焼結して多孔質の燃料極を形成する。ここで、気孔形成材の有無や添加量、プレスや押し出しの圧力の強さ、ドクターブレードのシート成型条件、焼結温度と時間等の製造条件は、形成された多孔質燃料極が燃料ガスを容易に通過できる程度の気孔率を有するように設定する。通常、当該気孔率は15%〜40%に調整される。
続いて、得られた燃料極上に、燃料極中間層、固体電解質、空気極中間層、空気極等を順に成膜する。当該成膜には、スラリーコート法、塗布熱分解法、スラリー噴霧分解法、ゾルゲル法、ディッピング法(ディップコート法)、スピンコート法、テープキャスト法、スクリーンプリント法、化学気相蒸着法(CVD)、物理気相蒸着法(PVD)、電気泳動法(EPD)、電気化学蒸着法(EVD)、EVD−CVD法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、レーザーアブレーション法、プラズマ溶射法、大気プラズマ溶射法、減圧溶射法等、既知又は新規の成膜法を利用して良い。或いは、未焼成の燃料極にテープキャスト法で作製した未焼成膜を取り付けたり、燃料極のプレス成型時点で電解質層の原料を層状に充填して一体成型し、これらを同時に焼成する共焼結法等で成膜しても良い。
一例として、スラリーコート法により成膜する場合には、例えば先ず燃料極を作製し、燃料中間層の原料をスラリー化し、このスラリーを基板となる燃料極に塗布して焼成を行う。更に同様の方法で順次、固体電解質、空気極中間層、空気極をそれぞれ、原料のスラリー化、塗布、焼成を繰り返して重ねて成膜してゆく。スラリーコート法は、物理蒸着法、化学蒸着法、電気化学蒸着法、溶射法等と比較して、大掛かりな設備を必要とせず安価であり、しかもスラリーの濃度やスラリーの塗布及び焼成の回数を調整することで簡単に膜厚の制御を行うことができる利点がある。スラリーを得るための原料の粉末は、既述の空気極の原料粉と同様の方法で合成しても良いし、市販の粉末が入手できる場合にはこれを用いても良い。但し該粉末の粒径については注意が必要である。一般にスラリー化する粉末の粒径としては、例えば0.1μm〜5μm程度の範囲であることが好ましく、また緻密膜を得るために理論的には充填率が高いものが理想的であるから、ある程度小さな粒子と大きな粒子が混合しているものが好ましい。従って例えば、電解質層原料の粉体については、平均粒径0.4μm程度の粒子と平均粒径2μm程度の粒子とが体積比で9:1となるようにする。また、中間層原料の粉体については、平均粒径が0.7μm程度となるようにする。また、空気極の原料粉体については、平均粒径が0.9μm程度となるようにする。成膜用の原料粉をスラリー化するために用いる溶媒は、特に限定されるものではない。例えば、水又は有機溶媒(例えばトルエン、イソプロパノール等)の何れを選択して良い。特に有機溶媒の利用は、成膜後の溶媒除去が容易であるために好ましい。また、有機溶媒を用いる場合に、結合剤、消泡剤、分散剤等の添加剤を加えても良い。また、水を溶媒として用いる場合にも、結合剤、消泡剤、分散剤、増粘剤等の添加剤を加えても良い。
各層の焼成温度は、高温であるほど一般に緻密な膜が得られるが、過度の高温で処理すると燃料極をはじめとする構成層の気孔率等が変化したり、構成相が変化してしまって、燃料電池として機能が低下する場合があるので注意が必要である。固体電解質層は1300℃〜1400℃程度、中間層は1000℃〜1250℃程度、空気極は950℃〜1050℃程度で焼成することが好ましい。特に、本実施形態による空気極については、前述したように、空気極の気孔率が5%以上40%以下となるよう焼成条件と温度を選択することが重要である。また、空気極が経験する最高温度が、1200℃以上1250℃以下の範囲であるように、空気極焼成以降の熱処理に条件についても配慮が必要である。焼成時間は1時間〜10時間程度、好ましくは1時間〜3時間程度、昇温及び降温速度は100℃〜250℃/時間程度、好ましくは200℃/時間程度とする。
このようにして得られた燃料電池を動作させる場合、当該動作が良好であるか否かの定義は一般には一概には決められない。しかし本実施形態においては、単一セルを形成し、外部負荷を変化させて測定した電流―電圧特性から算出される最大出力密度を目安として、良好なる動作の範囲を規定する。即ち、空気極側に空気を、燃料極側に3%加湿水素を供給した条件で、中低温域として600℃においては1000W/cm2以上、500℃においては500W/cm2以上の出力密度が得られた場合に、燃料電池が特に優れた特性を示しており、当該出力密度の70%以上が達成されている場合を、良好な特性を示していると定義する。長期間使用後の耐久性として、本実施形態においては、一年以上の使用に対応する、一万時間の中低温経験後の特性の維持程度を目安とする。
以上説明したように、本実施形態によれば、SOFCの中低温域の使用環境下で優れた特性を発揮し、中低温域の使用あっても高い燃料電池特性(例えば最高出力密度)を得ることができ、当該使用環境下であってもペロブスカイト型結晶構造として高い安定性を示し、長期間安定して特性を発揮することを可能とする、信頼性の高いSOFC用空気極が実現する。
以下、好適な諸実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ペロブスカイト相の作製と耐久性の加速試験>
Ln,Ba,Sr,Ca,Co,Fe,Nb,Ta,Sn,及びAlの原料として、各々、粉状のLn23,BaCO3,SrCO3,CaCO3,Co34,Fe23,Nb25,Ta25,SnO2,及びAl23を用いた。また、比較例で用いるMnの原料として、粉状のMnOを用いた。各元素が所定のモル比となるように、上記の原料を秤量して、エチルアルコール(分散媒)に加え、ボールミルにより粉砕しながら湿式混合することにより、スラリーを得た。このスラリーから、ロータリーエバポレータにて固形分を分離し、凡そ120℃で1時間乾燥した。
続いて、得られた乾固物を解砕後、MgOセラミック製の角さや容器に入れ、電気炉にて大気中900℃で5時間焼成し、多孔質塊状の焼成物を得た。焼成物を解砕後、自動乳鉢により乾式粉砕し、再びMgOセラミック製の角さや容器に入れ、電気炉にて大気中にて所定の温度で5時間焼成して、酸化物粉を得た。当該焼成温度が、本試験における最高熱処理温度となる。
続いて、得られた酸化物の粉を、ジルコニアボールを用い、エタノール溶媒中でボールミル粉砕した。粉砕粉の平均粒径D50を、レーザ散乱法による粒度分布径により測定した。得られた酸化物粉砕粉の構成相を、Cuを線源とするX線回折装置を用い、粉末X線回折法による定性解析を行った。この結果、ペロブスカイト相以外の相のピークが全く現れていないか、現れていたとしてもその最強ピークの積分強度が、ペロブスカイト相のメインピーク(110ピーク)の積分強度の1%以下である場合には、ペロブスカイト相の形成が良好、当該積分強度が1%を超える場合にはペロブスカイト相の形成が不良であると判断した。
得られた試料について、耐久性の加速試験を行った。得られた酸化物粉をアルミナ製のボートに入れ、雰囲気焼成が可能な電気炉にて600℃で100時間、2気圧に加圧した酸素雰囲気中で熱処理を行った。熱処理後の酸化物粉の構成相を、粉末X線回折法による定性解析により評価した。ペロブスカイト相のメインピーク(110ピーク)と、酸素雰囲気焼成によって現れた六方晶等の不純物相の回折ピークの中でペロブスカイト相の回折ピークと重ならない最強ピークの積分強度をそれぞれ求めた。当該不純物相の最強ピークは、回折角度2θで20°以上35°以下の範囲に存在した。当該不純物相の最強ピークのペロブスカイト相メインピークに対する相対強度が、1%未満である場合を◎、1%以上5%未満である場合を○、5%以上10%未満である場合を△、10%以上である場合を×として、耐久性を評価した。
この耐久性評価は、酸素分圧を通常大気の約10倍である2気圧に加圧することで、通常大気中熱処理に対する10倍の加速耐久試験になると期待される。即ち、使用温度である中温度の600℃で100時間、酸素雰囲気中におくことで、通常の気圧下で、600℃で1000時間の運転後に、ペロブスカイト相のメインピークがどの程度減少するかをシミュレートする。これにより、夫々の空気極の組成の耐久性を知ることができる。
<空気極性能試験−1>
空気極の性能試験は、燃料極/電解質/空気極の燃料極支持型三層セルを作製して行った。燃料極は、ニッケルとSDC(Ce0.8Sm0.21.9)の60:40重量%サーメットで、厚み0.7mm程度、気孔率40%程度、電解質は厚み20μm程度のSDCとした。空気極の厚みは20μm程度とした。当該燃料電池セルは、下記の方法で作製した。先ず、酸化ニッケル粉末、SDC粉末、ポリビニールアルコール粉末の54:36:10重量%混合粉を30mmφの成型用型に充填して一軸成型した。
更に、当該成型体上にSDC粉末を充填し、再度一軸成型した。当該成型体を1350℃で5時間焼成した。得られた焼成体の表面に、空気極を形成した。原料粉として、上述の「ペロブスカイト相の作製と耐久性の加速試験」で作製し、耐久性の加速試験を行う前の酸化物粉末を用いた。この空気極用酸化物粉末をボールミル粉砕によって平均粒径D50を調整し、イソプロパノールに分散させてスラリーコート用のスラリーを作製した。この酸化物粉末含有スラリーを、焼結体の表面にスラリーコートした。スラリーコートした空気極を空気中において、1050℃で2時間焼き付けた。得られた空気極の気孔率は、後述する燃料電池特性測定試験の後、試料を切断して走査型電子顕微鏡にて断面の組織写真を撮影して求めた。該断面組織写真における気孔部分の面積割合を算出し、当該面積割合の3/2乗の値を求めて気孔率とした。
得られたセルの燃料極側に水素を、空気極側に空気を供給し、600℃にて電流を変化させたときの電圧の変化を測定し、初期の最大出力密度を測定した。この発電試験の後、燃料電池セルを回収し、大気中において600℃で10000時間の熱処理を行った。この熱処理を行った後の燃料電池セルを、再び600℃にて同様の燃料電池性能評価を行い、熱処理を行った後の最大出力密度を測定した。最大出力密度が1000mW以上である場合を◎、700mW以上1000mW未満である場合を○、500mW以上700mW未満である場合を△、500mW未満である場合を×と評価した。
各試料を実施例1〜21及び比較例1〜9として、その組成等を図1の表に、耐久性の加速試験の評価結果等を図2の表に、空気極性能試験の評価結果等を図3の表にそれぞれ示す。
図1に示すように、実施例1〜4、16〜18は、本実施形態の構成1〜4で規定される組成範囲を満たしている。実施例5〜7、19は、本実施形態の構成1〜3で規定される組成範囲を満たしている。実施例8〜10、20は、本実施形態の構成1,2で規定される組成範囲を満たしている。実施例11,12は、本実施形態の構成1,5で規定される組成範囲を満たしている。実施例13〜15、21は本実施形態の構成1で規定される組成範囲を満たしている。
実施例1〜21では、ペロブスカイト相の形成が良好であると共に、耐久性も◎又は○であり、中低温域におけるペロブスカイト相の安定性に優れている。更に、実施例1〜21では、初期及び熱処理後の性能が共に◎又は○であって、良好な初期特性及び耐久性が両立されている。
これに対して、比較例1はa及び粉砕後粒径が、比較例2はBの元素の構成比率が、比較例3はBの元素の構成比率、y,z及び最高熱処理温度が、比較例4はz、最高熱処理温度及び粉砕後粒径が、比較例5はzが、比較例6はy及びx+y+zが、比較例9はBの元素の構成比率y及び最高熱処理温度が、それぞれ本実施形態の範囲から外れている。これら本実施形態の範囲から外れた試料は、ペロブスカイト相の形成が不良であったり、本実施形態の範囲に対して耐久性が低い、燃料電池初期特性や熱処理後特性が低い等の問題が生じる。
比較例7は、従来の高温で使用されるSOFCで用いられてきたMn系の空気極材料である。この空気極は、ペロブスカイト相の安定性は良いものの、600℃における出力特性は、初期特性から既に低く、中低温での使用に適していないことが判る。比較例8は、このMn系の改良を目指して検討されているCo系材料であって、本実施形態以外の材料の一例である。この材料はCo系であるため、初期の出力特性はMn系よりも大きく改善されているが、耐久性が不足しており、耐久性の判定及び熱処理後の特性の判定が共に悪い。
上記した全ての判定項目で良又は◎のみのものを優、1つでも○であるものを良、1つでも△であるものを可、1つでも不良又は×があるものを不可として、総合判定した結果を図2の表の末尾部分に示す。本実施形態の範囲では、全て優から可であり、本実施形態の範囲外では、従来材料を含めて不可と判定された。これらの結果より、本実施形態によるSOFC用空気極は、中低温域で優れた特性を発揮し、高い燃料電池特性、最高出力密度を得ることができると共に、高いペロブスカイト型の結晶構造の安定性を示すため、長期間安定して特性を発揮することが可能であり、燃料電池の耐久性向上に寄与できることが明らかとなった。
<空気極性能試験−2>
評価用の燃料極/電解質/空気極の燃料極支持型三層セルの製法を空気極性能試験−1と変化させ、空気極の性能試験を行った。この性能試験においては、当該燃料極支持型三層セルを、ドクターブレード法及びスクリーン印刷法により作製した。燃料極と電解質の構成は空気極性能試験−1と同じとした。即ち、ニッケルとSDC(Ce0.8Sm0.21.9)の60:40重量%のサーメットで、厚み0.7mm程度、気孔率40%程度、電解質は厚み20μm程度のSDCとした。それぞれの燃料極の原料粉は酸化ニッケル粉末、SDC粉末、ポリビニールアルコール粉末の54:36:10重量%の混合粉、電解質の原料粉はSDC粉末を用い、これらをそれぞれスラリー化して、ドクターブレード法でシート成型した。得られたシートを積層させて一軸加圧した後、CIP成形により圧着した。
この成型体を1350℃で5時間焼成した。得られた焼成体の表面に、空気極をスクリーン印刷により厚み20μm程度となるよう形成した。スクリーン印刷に用いるインクは、原料粉として、上記の「ペロブスカイト相の作製と耐久性の加速試験」で作製した実施例1と同一の(Ba0.3Sr0.7){Co0.9Nb0.07Al0.05}O(3-δ)粉末の、耐久性の加速試験を行う前の粉末を用いた。この酸化物粉末を、ボールミル粉砕によって平均粒径を0.9μm程度に調整し、イソプロパノールとトルエン1:1の混合溶媒に分散させてスクリーン印刷用のインクを作製した。この酸化物粉末含有インクを、焼結体の表面にスクリーン印刷により電極形成した。この空気極を空気中1000℃で2時間で焼き付けた。得られた空気極の気孔率は、後述する燃料電池特性の測定試験を行った後、空気極性能試験−1と同様に求めた結果、約30%であった。
得られた燃料極支持型セルの燃料極側に水素を、空気極側に空気を供給し、600℃程度で電流を変化させたときの電圧の変化を測定し、初期の最大出力密度を測定したところ、1200mWであった。この発電試験の後、燃料極支持型セルを回収し、大気中において600℃程度で10000時間の熱処理を行った。熱処理の後に、燃料極支持型セルを再び600℃程度で同様の燃料電池性能評価を行い、熱処理後の最大出力密度を測定したところ、1050mWであった。空気極性能試験−1と同様の評価基準により、初期と熱処理後の特性判定は共に◎であった。この結果より、本実施形態による空気極は製造方法を変化させたとしても、同様に優良な燃料電池特性が得られることが明らかとなった。

Claims (11)

  1. ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物イオン混合伝導体であって、組成が、
    [Ln1-aa][BxB'yAlz]O(3-δ)・・・(1)
    の一般式で表される磁器組成物を含有していることを特徴とする固体酸化物型燃料電池の空気極。
    前記(1)式において、
    Lnは、Y又はランタノイド元素から選ばれた1種又は2種以上の元素の組み合わせであり、
    Aは、Ba,Sr,Caのうちから選ばれた1種又は2種以上の元素の組み合わせであり、
    Bは、Coであるか、又はCo及びFeの組み合わせであり、且つCoのモル数がBの全元素のモル数に対して50%以上であり、
    B'は、Nb,Ta,Snのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせであり、
    0.8≦a≦1
    0<x
    0<y≦0.2
    0<z≦0.2
    0.98≦x+y+z≦1.02であり、
    δは、電荷中性条件を満たすように規定される値である。
  2. 前記(1)式において、
    Lnは、La,Yのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせであり、
    Aは、Ba,Srのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極。
  3. 前記(1)式において、
    AにおけるBaのモル数の割合は0%以上50%以下であり、
    BはCoであり、
    a=1であることを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極。
  4. 前記(1)式において、
    AにおけるBaのモル数の割合は10%以上30%以下であり、
    0<y≦0.1であることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極。
  5. 前記(1)式において、
    Aは、Sr,Caのうちから選ばれた1種又は2種の元素の組み合わせであり、
    AにおけるCaのモル数の割合は10%以上30%以下であり、
    BはCoであり、
    a=1であり、
    0<y≦0.1であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極。
  6. 気孔率は、15%以上40%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極を備えたことを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
  8. 500℃以上750℃以下の温度で作動することを特徴とする請求項7に記載の固体酸化物型燃料電池。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法であって、
    前記(1)式におけるLn,A,B,B',Alを含有する炭酸塩又は酸化物の粉末を原料とし、前記粉末を混合して酸化性雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で焼成を行ってペロブスカイト型構造の単一相からなる原料粉を生成し、前記原料粉を粉砕し、粉砕された前記原料粉を空気極形状に焼成するに際して、焼結熱履歴として経験する熱処理の最高温度が1200℃以上1250℃以下の温度であることを特徴とする固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法。
  10. 前記原料粉を空気極形状に焼成する工程は、仮焼成過程及び本焼成過程からなり、前記仮焼成過程の焼成温度が1200℃よりも低い場合には、前記本焼成過程の焼成温度を1200℃以上1250℃以下の温度とすることを特徴とする請求項9に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法。
  11. 前記原料粉を粉砕する工程は、前記原料粉の平均粒径を0.5μm以上3μm以下とすることを特徴とする請求項9又は10に記載の固体酸化物型燃料電池の空気極の製造方法。
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