JP6100050B2 - 燃料電池用空気極 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池等の燃料電池に用いられる空気極に関する。
固体酸化物型燃料電池(以下、SOFCともいう)が次世代の高効率燃料電池として注目されている。SOFCは、現在広く使用されている固体高分子型燃料電池(以下、PEFCという)と比べて、システムコストを低く抑えながら、PEFCと同等以上の発電効率が得られるとの利点がある。特に、SOFCの低温動作、高効率化及び低コスト化を実現する上で、空気極の性能を向上させることが求められている。
SOFCにおいて、カソード材料にはランタンストロンチウムコバルタイト系酸化物(LSC、LSCF等)材料が多く用いられている。しかし、これらの材料は他の電池構成部材に比べて熱膨張率が高い傾向にあり、運転時のヒートサイクルによるクラック等の不具合が生じるとの懸念がある。
上記材料よりも熱膨張率の低い材料として、LaNiO等のKNiF型酸化物材料があり(例えば非特許文献1(Solid State Ionics 167, 3-4, (2004) 341-347)を参照)、ABOなる一般式に従い214系材料とも一般的に称されている。214系材料は高酸素透過能を有しており、カソード材料として有望視されている。実際、特許文献1(特開2011−96645号)には、214系材料である[Ma1−xMa’[Mb1−yMb’]Oを含有する空気極(式中、MaおよびMa’はランタノイド及びアクチノイドの族から選択され、Mb及びMb’は遷移金属から選択され、x及びyは0〜1である)が開示されており、LaNiO等及びPrNiOを含む空気極が好ましいこと、さらにはかかる空気極中にGd0.1Ce0.9なる組成のガドリニウムドープセリア(GDC)粉末等のイオン伝導性の高い材料を添加して低抵抗化を試みた態様も開示されている。
特許文献1において最も高い出力密度が実現されている214系材料はPrNiOのようにAサイトがPrのものである。しかしながら、この酸化物は、SOFC運転温度付近で熱処理すると酸化プラセオジムとPrNi10に分解することが知られている。例えば、PrNiOの熱安定性についての文献である非特許文献2(Journal of the European Ceramic Society 27 (2007) 4269-4272)には、大気中800℃での熱処理でPrNiOが酸化プラセオジムとPrNi10に分解することが記載されている。また、LnNiO(Ln:La,Nd,Pr)の熱安定性に関する非特許文献3(International Journal of HYDROGEN ENERGY 36 (2011) 15704-15714)には、大気中700℃と900℃で72時間熱処理した結果、PrNiOは分解する一方、LaNiO及びNdNiOは分解しなかったことが開示されている。SOFCの作動温度は一般的に700〜1000℃であるため、このような900℃以下で分解する材料をSOFC用空気極として用いるのは現実的ではない。
特開2011−96645号公報
J.M.Bassat et al., "Anisotropic ionic transport properties in La2NiO4+δ single crystals", Solid State Ionics 167, 3-4, (2004) 341-347 A.V.Kovalevsky et al., "Stability and oxygen transport properties of Pr2NiO4+δ ceramics", Journal of the European Ceramic society 27 (2007)4269-4272 AlejandraMontenegro-Hernandez et al., "Thermal stability of Ln2NiO4+δ (Ln: La, Pr, Nd) and their chemical compatibility with YSZ and CGOsolid electrolytes", International Journal of HYDROGEN ENERGY 36 (2011)15704-15714
本発明者らは、今般、比較的低い熱膨張係数を有しながらも、高い熱安定性と低い反応抵抗を実現可能な空気極組成を知見した。
したがって、本発明の目的は、比較的低い熱膨張係数を有しながらも、高い熱安定性と低い反応抵抗を実現可能な燃料電池用空気極を提供することである。
本発明の一態様によれば、燃料電池に用いられる空気極であって、一般式:
(Nd2−x−yLa)(Ni1−zCu)O4±δ
(式中、MはSr及びPrから選択される少なくとも一種であり、0≦x≦1.50、0≦y<0.10及び0.10<z<0.40であり、δは酸素過剰量又は酸素欠損量を示すが0でありうる)で表される複合酸化物を含んでなる、空気極が提供される。
例2で作製したSOFCセルの基本構成を示す模式図である。 例2においてAサイトの元素が異なる試料12、14及び16について測定された、異相ピーク面積比と850℃での熱処理時間との関係を示す図である。試料12、14及び16の組成はそれぞれLaNiO、PrNiO及びNdNiOであり、これらの組成式が図中に表示される。 例2において、BサイトにおけるCuモル比率が異なる試料1、2、16及び17について測定された、異相ピーク面積比と850℃での熱処理時間との関係を示す図である。試料16、17、1及び2はそれぞれNdNiO、NdNi0.9Cu0.1、NdNi0.8Cu0.2及びNdNi0.7Cu0.3であり、それらのBサイト中のCuモル比率が図中に表示される。
空気極
本発明の空気極は、燃料電池に用いられるものであり、一般式:
(Nd2−x−yLa)(Ni1−zCu)O4±δ
(式中、MはSr及びPrから選択される少なくとも一種であり、0≦x≦1.50、0≦y<0.10及び0.10<z<0.40であり、δは酸素過剰量又は酸素欠損量を示すが0でありうる)で表される複合酸化物を含んでなる。この一般式の複合酸化物は、現行の空気極材料であるLSCF(113系ペロブスカイト材料)よりも熱膨張係数が比較的低い214系層状ペロブスカイト酸化物であり、SOFCセル共焼成時にクラックが発生しにくいとの利点を有する。そして、本発明における特定の組成によれば、この種の214系層状ペロブスカイト酸化物では従来実現が困難とされていた高い熱安定性と低い反応抵抗との両立を実現することができる。すなわち、ABOなる214系組成式において、Aサイトは、反応抵抗が比較的低く且つ熱安定性も良いNdが主要構成元素をなし、その一部が反応抵抗や熱安定性を損なわない程度のモル比でLa、Sr及び/又はPrによって置換されてもよい構成となっている。これは、Ndは、Prよりも熱安定性が良く、かつ、Laより反応抵抗が低いため、Aサイトの主要構成元素とすることで高い熱安定性と低い反応抵抗とが両立しやすくなるためである。その上、BサイトはNiをベースとしその一部を所定モル比のCuで置換することで、反応抵抗の更なる低減及び熱安定性の更なる向上を実現とする構成となっている。
上記一般式のAサイトに関して、xは0〜1.50であり、好ましくは0〜1.00であり、より好ましくは0〜0.50である。xはLaのモル比率であることから、これらの数値範囲は比較的多めのLaでNdを置換してもよいことを意味している。もっとも、反応抵抗を低くするという観点からはLaは少ない方が好ましく、全く含まなくてもよい。yは0〜0.06であり、好ましくは0〜0.03である。yはM、すなわちSr+Prの合計モル比率であることから、これらの数値範囲は比較的少なめのSr及び/又はPrでNdを置換してもよいことを意味している。特に、PrはLaやNdよりも反応抵抗を低くすることができるが、熱安定性の点で劣ることから、その含有比率は少ない方が好ましく、全く含まなくてもよい。一方、Srは熱膨張係数を低くすることができるが、反応抵抗の点で劣るため、その含有比率は少ない方が好ましく、全く含まなくてもよい。なお、MはSrであるのが熱安定性の観点から好ましい。
上記一般式のBサイトに関して、zは0.15〜0.35であり、好ましくは0.20〜0.35であり、より好ましくは0.20〜0.30である。zはCuのモル比率であることから、これらの数値範囲はNiの一部をCuで置換すべきことを意味しており、それにより反応抵抗の更なる低減及び熱安定性の更なる向上を実現できる。
上記一般式のOサイトに関して、δは酸素過剰量又は酸素欠損量を示すが0でありうる。上記一般式で表される基本組成は化学量論組成及び非化学量論組成のいずれも包含するものであるが、慣習上(Nd2−x−yLa)(Ni1−zCu)Oと略記されてもよいものである。いずれにせよ0≦δ<0.4であれば問題無いものと考えられる。
本発明において最も望ましい組成の典型例は、x及びyが0であり、かつ、zが0.20であるNdNi0.8Cu0.2である。この組成であると、熱膨張係数及び反応抵抗が特に低い上、熱安定性にも特に優れる。
本発明の空気極は、所望の特性が得られるかぎり他の元素ないし不純物を含んでいてもよい。例えば、空気極は、空気極の合計重量に対して、Siを0.1重量%以下、Mnを0.05重量%以下及び/又はZrを0.05重量%以下含有することが好ましく、より好ましくはSiを0.05重量%以下、Mnを0.03重量%以下及び/又はZrを0.03重量%以下含有する。これによって空気極の熱安定性をより向上させることができる。
本発明の空気極は、燃料電池に用いられるものである。この点、本発明の空気極は、高効率燃料電池を実現する上で望まれる低い反応抵抗をもたらす点で非常に有利である。特に、本発明の空気極は固体酸化物型燃料電池(SOFC)に用いられるのが好ましい。これは、他の種類の燃料電池(例えばPEFC)と比べてSOFCの作動温度が高いところ、本発明の空気極はこのように高温域でも高い熱安定性を有し、なおかつ、低い熱膨張係数に起因して運転時のヒートサイクルによるクラック等の不具合が生じにくくなるためである。なお、空気極という用途に用いられる以上、本発明の空気極は、空気(特に酸素)が効率良く供給可能となるように開気孔性構造を有することが好ましい。また、空気極の形状及び大きさは適用される燃料電池の設計に応じて適宜決定すればよいが、典型的なSOFCに適用される場合には、厚さ5〜100μmの層状又は板状に形成されるのが好ましい。
空気極は、その一面側に反応防止層をさらに備えた複合構造体として製造されることができる。反応防止層は、燃料電池セルとして構成された場合に、空気極と固体電解質(例えばYSZ(イットリア安定化ジルコニア))との間に介在して、空気極と固体電解質との間で界面反応により高抵抗な層が形成されるのを防止するための層であり、セルの内部抵抗を低減して電池特性を向上することができる。もっとも、空気極と固体電解質との間で界面反応により高抵抗な層が形成されない場合には反応防止層を設けなくてもよい。好ましい反応防止層はセリウムを含む材料からなり、より好ましくはセリア及びセリアに固溶した希土類金属酸化物を含むセリア系材料が挙げられる。セリア系材料における希土類金属の濃度は、好ましくは5〜20mol%である。そのようなセリア系材料の例としては、GDC((Ce,Gd)O:ガドリニウムドープセリア)、SDC((Ce,Sm)O:サマリウムドープセリア)等が挙げられる。特に好ましくは、反応防止層はガドリニウムドープセリア(GDC)で構成されるものであり、その組成をGdαCe1−αと表した場合、Gdの好ましいドープ量αは0.05〜0.20であり、より好ましくは0.10〜0.20である。反応防止層は、セリア系材料の他に添加剤を含んでいてもよい。反応防止層の形状及び大きさは適用される燃料電池の設計に応じて適宜決定すればよいが、典型的なSOFCに適用される場合には、厚さ30μm以下の層状又は板状に形成されるのが好ましい。
空気極は、ガドリニウムドープセリア(GDC)で構成されるGDC粒子を更に含んでいてもよい。このように上記一般式の複合酸化物とGDCとを複合化させることで更なる低抵抗化が期待される。GDCの組成をGdαCe1−αと表した場合、Gdの好ましいドープ量αは0.05〜0.20であり、より好ましくは0.10〜0.20である。空気極は、GDC粒子を、複合酸化物及びGDC粒子の合計量に対して、10〜40質量%の量で含むのが好ましく、より好ましくは15〜35質量%である。また、GDC粒子は、0.3〜0.5μmの体積基準平均粒径D50を有するのが好ましく、より好ましくは0.4〜0.5μmである。特に、前述のように反応防止層がGDCを含んで構成される場合には、空気極もGDCを含んで構成されることで、空気極と反応防止層の両方に同種の材料が含まれることになり両者間の熱膨張係数の差が小さくなり高温特性により一層優れたものとなる。
製造方法
本発明の空気極はいかなる方法によって製造されたものであってもよく、その製造方法は、適用しようとする燃料電池の構成や製造プロセスに応じて適宜決定すればよい。好ましい製造方法の一態様においては、燃料極、電解質層及び所望により反応防止層の積層体を予め作製及び焼成しておき、その焼成積層体の反応防止層(又はそれが無い場合には電解質層)上に、圧粉形成や印刷法等の任意の手法によって空気極材料を含む層を形成し、その後焼成して空気極を形成させる。以下、上記態様に好適に使用可能な空気極材料とそれを用いた空気極の製造方法について説明する。
空気極材料は、本発明の空気極の組成を有する材料であればよく、粉末形態であるのが好ましい。粉末形態を有することで、ペースト化してセル上に塗布して、空気極材料を含む層を簡便に形成することができる。空気極材料粉末の製造は以下のようにして行われるのが好ましい。まず、空気極の各構成元素の化合物(好ましくは酸化物や炭酸塩)を用意する。このような化合物の例としては、Nd、La、Pr11、SrCO、NiO、CuO等が挙げられる。各構成元素の化合物を所定のモル比になるよう秤量し、有機溶媒中で湿式混合し、乾燥して混合原料粉末を得る。有機溶媒としては、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)、エタノール等の一般的な有機溶媒を使用すればよい。そして、この混合原料粉末を焼成して固相反応を起こさせ、それにより目的とする組成の空気極材料粉末を得る。この固相反応のための好ましい焼成温度は1200〜1300℃であり、この温度で10〜30時間焼成を行うのが好ましい。また、焼成雰囲気は大気雰囲気等の酸素含有雰囲気下であるのが好ましい。得られた空気極材料粉末を、有機溶媒中で湿式粉砕した後、乾燥させ、粒径の調整された空気極材料粉末とするのが好ましい。こうして最終的に得られる空気極材料粉末の体積基準平均粒径D50は0.7〜1.5μmであるのが好ましい。
空気極材料にガドリニウムドープセリア(GDC)を加える場合には、GDC粉末を別途作製してもよいし、市販のGDC粉末を用いてもよい。GDCの作製は原料粉末としてGd及びCeOを用いること以外は基本的に上記空気極材料と同様の方法により作製することができるが、この固相反応のための好ましい焼成温度は1500〜1600℃であり、この温度で2〜10時間焼成を行うのが好ましい。また、焼成雰囲気は大気雰囲気等の酸素含有雰囲気下であるのが好ましい。こうして最終的に得られるGDC粉末の体積基準平均粒径D50は0.3〜0.5μmであるのが好ましい。こうして得られたGDC粉末と別途作製した空気極材料粉末とを所定の割合になるよう秤量し、湿式混合後、乾燥させて、目的とする組成のGDC含有空気極材料粉末を得る。
空気極材料粉末を用いた空気極の作製は以下のとおり行うことができる。まず、空気極合成粉末に対してバインダー樹脂及び有機溶媒を適宜加えてペーストを作製する。バインダー樹脂及び有機溶媒は公知のものを使用すればよく特に限定されない。バインダー樹脂の好ましい例としては、ビニルアルコール系樹脂、セルロース類、ビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。有機溶媒の好ましい例としては、テルピネオールなどのアルコール、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶媒が挙げられる。次いで、空気極材料ペーストを、燃料電池セル用焼成積層体の反応防止層(又はそれが無い場合には電解質層)上に印刷して空気極ペースト層を形成する。この印刷は公知の各種印刷法により行うことができるが、スクリーン印刷法により行うのが好ましい。そして、空気極ペースト層が形成されたセルを加熱して焼付けを行うことで空気極を得る。この焼付けは1000〜1200℃で1〜5時間行われるのが好ましい。こうして得られる空気極の膜厚はセルの構造等に応じて適宜決定すればよく特に限定されないが、例えば20〜50μmである。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1:空気極材料粉末の合成及び評価
(1)空気極材料粉末の合成
(試料1〜9及び12〜20)
原料粉末として、Nd、La、Pr11、SrCO、NiO及びCuOの各粉末を用意した。Laは秤量前に900℃で5時間熱処理した。これらの原料粉末を表1に示される組成比となるように秤量した。なお、表1はABOなる一般式のAサイト及びBサイトにおける構成元素及びそのモル比を示しており、右端の欄には全体の組成式が示される。秤量した各組成の原料粉末をイソプロピルアルコール(2−プロパノール)溶媒中で湿式混合した後、乾燥して、混合粉末を得た。この混合粉末をアルミナ坩堝に入れ、1300℃で20時間大気焼成することにより固相反応させ、目的とする組成の粉末を得た。X線回折装置(D8−Advance、BURUKER AXS社製)を用いて2θで10〜70°の範囲を測定して結晶相を確認した。さらに、粉末をイソプロピルアルコール溶媒中で湿式粉砕し、乾燥させて目的組成の粉砕粉末を得た。得られた粉砕粉末を粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX II、NIKKISO製)を用いて体積基準平均粒径D50を測定したところ、1μm程度であった。
(試料10及び11)
また、GDC用原料粉末として、Gd及びCeOの各粉末をGd0.1Ce0.9の組成比となるように秤量した。秤量した各組成の原料粉末をイソプロピルアルコール(2−プロパノール)溶媒中で湿式混合した後、乾燥して、混合粉末を得た。この混合粉末をアルミナ坩堝に入れ、1600℃で2時間大気焼成することにより固相反応させ、目的とする組成のGDC粉末を得た。X線回折装置(D8−Advance、BURUKER AXS社製)を用いて2θで10〜70°の範囲を測定して結晶相を確認した。さらに、粉末をイソプロピルアルコール溶媒中で湿式粉砕し、乾燥させてGd0.1Ce0.9なる組成のGDC粉砕粉末を得た。得られたGDC粉砕粉末を粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX II、NIKKISO製)を用いて体積基準平均粒径D50を測定したところ、0.4μm程度であった。一方、試料1〜9及び12〜20と同様にして、表1に示される組成比のGDC以外の空気極材料粉末を作製した。GDC粉末とGDC以外の214系空気極材料粉末とを表1に示される割合になるよう秤量した。秤量した粉末混合物を湿式混合した後、乾燥させて試料10及び11の粉末を得た。
(2)熱膨張率測定
試料1〜20の粉末を用いて焼結体の作製及びその熱膨張率の測定を以下のとおり行った。試料1〜20の各粉砕粉末を、100kg/cmの圧力で一軸プレスした後、冷間静水圧プレス(CIP)を3tの静水圧で行い成形体を得た。得られた成形体を蓋つきのアルミナ鞘に入れて大気中で焼結させた。この焼結は、試料1、2及び5〜18については1300℃で10時間行う一方、Sr置換組成の試料3、4、19及び20については1200℃で10時間行った。こうして得られた焼結体から3mm×4mm×20mmの試料片を切り出し、熱膨張率測定用の試料とした。試験片に対して、示差熱天秤(Thermo plus EVO、Rigaku社製)で40〜1000℃の熱膨張量を測定して、各試料の熱膨張係数を算出した。結果は表1に示されるとおりであった。
例2:SOFCセルの作製及び評価
例1で得られた試料1〜20の各粉砕粉末を空気極に用いて、図1に模式的に示されるような固体酸化物型燃料電池(SOFC)セルの作製し、その評価を行った。図1に示されるSOFCセル10は、燃料極集電層12a、燃料極活性層12b、固体電解質14、反応防止層16及び空気極18がこの順に形成されたものである。具体的な作製及び評価手順は以下のとおりである。
(1)SOFCセルの作製
(1a)燃料極の形成
NiO(酸化ニッケル)、8YSZ(8モル%イットリア安定化ジルコニア)及び造孔材(セルロース粉末)の混合粉末を一軸プレスして、1mm厚の燃料極集電層の成形体を得た。この成形体の上にNiO−8YSZのペーストをスクリーン印刷法により膜厚10μmに塗布して燃料極活性層を形成させて、燃料極を得た。
(1b)電解質及び反応防止層の形成
電解質材料として8YSZ(8モル%イットリア安定化ジルコニア)を厚さ3μmのシート状に形成した。また、反応防止層材料としてGDC(ガドリニウムドープセリア:Gd0.1Ce0.9)を厚さ5μmのシート状に形成した。上記燃料極上に電解質材料のシート及び反応防止層材料のシートを、冷間静水圧プレス(CIP)で形成させた。こうして、燃料極に電解質と反応防止層が圧着された積層体を得た。
(1c)焼成
上記得られた積層体を、燃料極に電解質と反応防止層が圧着された状態で共焼成を行った。この共焼成は大気中1400℃で2時間行った。
(1d)空気極の形成
例1で得られた試料1〜20の各粉砕粉末(空気極材料)にPVA樹脂と有機溶媒を適宜加えてペーストを作製した。このペーストをスクリーン印刷法により反応防止層上に形成した。こうして空気極が形成されたセルを1000℃で1時間加熱して焼付けを行った。得られた空気極の膜厚は30μmであった。こうして、図1に模式的に示されるSOFCセル10を得た。
(2)反応抵抗の測定
SOFCセル10の燃料極12側に不活性ガスを、空気極18側に空気を供給しながら750℃まで昇温した。750℃に達した時点で、燃料極12側に水素を供給しながら還元処理を2時間行った。その後、ポテンショ/ガルバノスタット(ソーラトロン社製、SI1287)とインピーダンスアナライザ(ソーラトロン社製、SI1260)を用いて、開回路電圧(OCV)を基準としたセル全体の電圧降下を測定した。得られた電圧降下の値からオーミック抵抗分を差し引き、残った電圧降下を電流密度で割ることにより、反応抵抗を算出した。こうして得られた反応抵抗の値を表1に示す。
(3)熱安定性評価と異相面積比の算出
熱安定性を評価するために、例1で得られた試料1〜20の各粉砕粉末を大気中850℃で400時間熱処理した。X線回折装置(D8−Advance、BURUKER AXS社製)で10〜70°の範囲を測定することにより、この熱処理後の粉末の結晶相を確認し、異相として生成しうるAサイト元素の酸化物(La、Pr11、PrO、Nd等)と主相である214系組成のそれぞれのメインピークの面積比を以下の式に基づき算出するとともに、熱安定性を以下の3段階で評価した。こうして得られた異相面積比を表1に示す。
(異相ピーク面積比)=(異相メインピーク面積)/(異相メインピーク面積+214組成メインピーク面積)×100 [%]
<評価基準>
A:異相が全く又は殆ど生成せず、高い熱安定性を示した。
B:少量の異相が生成し、やや劣る熱安定性を示した。
C:異相のみが生成し、熱安定性に極めて乏しかった。
また、Aサイト元素がLa、Pr及びNdとそれぞれ異なる試料12、14及び16(LaNiO、PrNiO及びNdNiO)について、850℃での熱処理時間を適宜変えて、異相ピーク面積比を測定した。その結果を図2に示す。図2に示される結果から、AサイトをLaやNdで構成する方が、Prで構成するよりも異相が生じにくい、すなわち熱安定性が高くなることが分かる。
さらに、BサイトにおけるCuのモル比zが0、0.1、0.2及び0.3と異なる試料16、17、1及び2(NdNiO、NdNi0.9Cu0.1、NdNi0.8Cu0.2及びNdNi0.7Cu0.3)について、850℃での熱処理時間を適宜変えて、異相ピーク面積比を測定した。その結果を図3に示す。図3に示される結果から、BサイトのNiの一部をCuで置換することで異相が生じにくい、すなわち熱安定性が高くなることが分かる。
Figure 0006100050

Claims (12)

  1. 燃料電池に用いられる空気極であって、一般式:
    (Nd2−x−yLa)(Ni1−zCu)O4±δ
    (式中、MはSrであり、0≦x≦1.50、0≦y<0.10及び0.10<z<0.40であり、δは酸素過剰量又は酸素欠損量を示すが0でありうる)で表される複合酸化物を含んでなる、空気極。
  2. 開気孔性構造を有する、請求項1に記載の空気極。
  3. 前記一般式において、0≦x≦1.00である、請求項1又は2に記載の空気極。
  4. 前記一般式において、0≦y≦0.06である、請求項1〜のいずれか一項に記載の空気極。
  5. 前記一般式において、0.15≦z≦0.35である、請求項1〜のいずれか一項に記載の空気極。
  6. 前記一般式において、x及びyが0であり、zが0.20である、請求項1〜のいずれか一項に記載の空気極。
  7. 前記空気極の一面側に反応防止層をさらに備えた、請求項1〜のいずれか一項に記載の空気極。
  8. 前記反応防止層がガドリニウムドープセリア(GDC)で構成される、請求項に記載の空気極。
  9. 前記空気極が、ガドリニウムドープセリア(GDC)で構成されるGDC粒子を更に含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の空気極。
  10. 前記GDC粒子を、前記複合酸化物及び前記GDC粒子の合計量に対して、10〜40質量%の量で含む、請求項に記載の空気極。
  11. 前記GDC粒子が、0.3〜0.5μmの体積基準平均粒径D50を有する、請求項又は10に記載の空気極。
  12. 固体酸化物型燃料電池に用いられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の空気極。
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