JP5748593B2 - 電気化学セル - Google Patents

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Description

本発明は、インターコネクタに関し、特に2層構造からなるインターコネクタに関する。
電気化学セルの一種である固体酸化物燃料電池において、アノード材料には酸化ニッケル等の遷移金属酸化物が好適に用いられ、各セルを電気的に接続するため形成されるインターコネクタにはランタンクロマイトなどが多用されている(例えば特開2000−185973)。しかし、ランタンクロマイトは緻密化に必要な焼成温度が高く、基材、その他電解質などとの一体焼成が困難である。また、酸化還元両雰囲気に曝される環境下で、還元膨張でクラックが入るなどの問題がある。更に、焼成中に六価クロムの生成が懸念され、クロムフリーなインターコネクタ材料が望まれている。
上記のランタンクロマイトは緻密焼成が困難である問題を解決する一つの手段として、基材側にニオブドープチタニアとチタン酸カルシウムからなる緻密層を、その上部に多孔質なランタンクロマイト層という構成が提案されている(特許第4196223)。しかしながら、我々の検討によれば、遷移金属を含む基材例えば酸化ニッケルとニオブドープチタニアを含む層を一体焼成した場合、基材の酸化ニッケルとチタニアが反応して絶縁性の化合物を生成し、多くはチタニアとして残存しない問題を見出した。
更に、別のインターコネクタ材料として有望なチタン酸ストロンチウム(例えば特許第3453283号)は、1500℃以下で緻密化が可能な電子が導電キャリアとなるn型導電体であり、その導電率は使用温度の上昇に伴い向上する傾向にある。しかし、NiOなどの遷移金属酸化物を含む基材と一体焼成した場合、基材に含まれる遷移金属成分(4価よりも低価数元素)が拡散することで、電荷補償によって導電キャリアが減少し、その導電率が大幅に低下する。特に、現在主流となりつつある中温領域(600〜900℃)での運転時においてはその傾向が顕著であり、設計自由度が大幅に制限されることが判明した。
特開2000−185973号公報 特許第4196223号公報 特許第3453283号公報
したがって、本発明の課題は、(1)六価クロムの生成が懸念されるクロマイトを実質的に含有しない、クロムフリーなインターコネクタであって、(2)インターコネクタがNi,Fe,Co及びCuのうち少なくとも1種の遷移金属を含有していても、焼成時に遷移金属が他の材料と反応して絶縁性の化合物が生成することが抑えられ、(3)遷移金属の固溶による電荷補償によって導電キャリアが減少することによる導電率の低下、特に、中温領域(600〜900℃)での運転時における導電率の低下が抑制されたインターコネクタ及びそれを含む電気化学セルを提供することにある。
本発明の第1観点にかかるインターコネクタは、下記一般式(1):
SrLnTiO3−δ (1)
(式(1)中、LnはY及びランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種類の元素であり、0.05≦y≦0.40、0.8≦x+y≦1である。δは組成、酸素分圧により変わる値である。)で表される酸化物と、Ni,Fe,Co及びCuのうち少なくとも1種の遷移金属とを含有し、Crレスであり、少なくとも2層構造を有することを特徴とする。
2層構造は、相対密度が95%未満である第1層と、相対密度が95%以上である第2層とからなることが好ましい。
また、上記第1層はランタンドープチタン酸ストロンチウムから構成され、上記第2層はニオブドープチタニアとランタンドープチタン酸ストロンチウムとの複合材料から構成されることがさらに好ましい。
また、上記第1層の厚さは30〜200μmであることが好ましい。
また好ましくは、上記第2層は、さらにTaを含有していてもよい。
TaがTaとして添加され、Ta添加量は、第2層に対して外配で3〜10mol%とすることができる。
上記遷移金属元素はNiであることが好ましい。
さらに好ましくは、上記第2層に含まれるTaとNiとの含有比は、Ta/NiOモル比で1〜3.3であってもよい。
また、本発明の第2観点にかかる電気化学セルは、上記インターコネクタと、インターコネクタが積層された遷移金属を含む基材とを備えている。
上記第1層が遷移金属を含む基材上に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、(1)六価クロムの生成が懸念されるクロマイトを実質的に含有しない、クロムフリーなインターコネクタであって、(2)インターコネクタがNi,Fe,Co及びCuのうち少なくとも1種の遷移金属を含有していても、焼成時に遷移金属が他の材料と反応して絶縁性の化合物が生成することが抑えられ、(3)遷移金属の固溶による電荷補償によって導電キャリアが減少することによる導電率の低下、特に、中温領域(600〜900℃)での運転時における導電率の低下が抑制されたインターコネクタ及びそれを有する電気化学セルを提供できる。
[インターコネクタ]
本発明のインターコネクタは、下記一般式(1):
SrLnTiO3-δ (1)
(式(1)中、LnはY及びランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種類の元素であり、0.05≦y≦0.40、0.8≦x+y≦1である。δは組成、酸素分圧により変わる値である。)
で表される酸化物と、Ni,Fe,Co及びCuのうち少なくとも1種の遷移金属とを含有し、Crレスであり、少なくとも2層構造を有している。
<Crレス>
本発明のインターコネクタはCrレスである。ここでCrレスとは、Crを実質的に含有しないことを意味する。本明細書において、“含有しない”とは、特定の成分を積極的に添加しないことであり、不可避の不純物として含有することは許容することができる。Crレスとすることにより、従来例のランタンクロマイト製のインターコネクタにおける緻密化に必要な焼成温度が高く、基材、その他電解質などとの一体焼成が困難であるという問題や、酸化還元両雰囲気に曝される環境下で、還元膨張でクラックが入るなどの問題、更に、焼成中に六価クロムの生成が懸念されるという問題が回避できる。
<酸化物>
本発明のインターコネクタは、上記一般式(1)で表される酸化物を含有し、好ましくは主成分として含有する。
なお、本明細書において、「主成分として含有する」とは、その成分を50重量%以上含有することであってもよく、60重量%以上、80重量%以上、又は90重量%以上含有することであってもよい。また、「主成分として含有する」とは、その成分のみからなる場合も包含する。
上記一般式(1)で表される酸化物としては、具体的には、例えば、ランタンドープチタン酸ストロンチウム、イットリアドープチタン酸ストロンチウム、サマリウムドープチタン酸ストロンチウム等が挙げられる。中でも、ランタンドープチタン酸ストロンチウムが好ましい。
<2層構造>
本発明のインターコネクタは、2層構造を有する。上記2層構造は、相対密度が95%未満である第1層と、相対密度が95%以上である第2層とからなることが好ましい。さらに、第1層の相対密度は90%以下であってもよく、第2層の相対密度は97%以上であってもよい。
第1層は多孔質であり、気孔率は、構造材料としての強度を確保でき、ガスが十分に拡散できる程度の気孔率であればよく、例えば5〜50%、好ましくは10〜50%であり、さらに好ましくは20〜50%とすることができる。第1層は、多孔質であり、好ましくは相対密度が95%未満であるため、基材とともに還元性ガスに曝された場合に容易に還元され、高い導電率を得ることができる。気孔率は、材料粉体の粒径、バインダー量、造孔材の粒径、添加量を選択することにより、適時変更できる。気孔率が小さいと還元に時間がかかるが、上記範囲であれば特性に大きな差異は無い。
第2層は緻密な層であり、気孔率は、例えば5%未満、好ましくは0〜4%である。第2層は、緻密であり、好ましくは相対密度が95%以上であるため、インターコネクタに要求されるガスシール性を有する。
本発明の2層構造を有するインターコネクタを後述の基材上に設ける場合、第1層側が基材に直接、接していることが好ましい。
本発明のインターコネクタとしては、上記第1層はランタンドープチタン酸ストロンチウムから構成され、上記第2層がニオブドープチタニアとランタンドープチタン酸ストロンチウムとの複合材料から構成されることが好ましい。ここで、「〜から構成される」とは、「〜を主成分として含有」することを含む意味とする。
ニオブドープチタニアとしては、下記一般式(3):
Ti1−zNb2-δ (3)
(式(3)中、0.01≦z≦0.07である。またδは組成、酸素分圧により変わる値である。)
で表される酸化物が挙げられる。ニオブのドープ量は、上記範囲で、得たい導電率に応じて適宜設定できる。
ランタンドープチタン酸ストロンチウム、ニオブドープチタニアなどの酸化物原料粉末の製造方法は特に問わず、固相法でも液相法でも良い。使用する粉末の粒径についても焼結性、気孔率の制御に伴って、適時変更できる。
第1層の厚さは30〜200μmであることが好ましい。このような厚さとすることにより、本発明のインターコネクタが遷移金属を含有する基材に第1層を接して直接積層された場合に、基材からの第2層へのNiなどの遷移金属の拡散が第1層により抑制され、インターコネクタの第2層における遷移金属の含有量を後述の適切な範囲に制御しやすくなる。
第2層の厚さはガスシール性があればよく、2〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜20μmである。
<遷移金属>
本発明のインターコネクタは、Ni,Fe,Co及びCuのうち少なくとも1種の遷移金属を含有する。これらの遷移金属は、インターコネクタ製造時に添加されてもよく、遷移金属を含む層から例えば共焼成時などに拡散・移動して含まれても良い。遷移金属を含むことにより、インターコネクタの焼結性が向上し、粒成長が促進される。
本発明のインターコネクタにおける遷移金属の含有量は、インターコネクタを構成する材料100mol%に対し、例えば1mol%以上(例えば、1〜10mol%、好ましくは1〜5mol%)とすることができる。
本発明のインターコネクタの第2層における上記遷移金属の含有量は、インターコネクタ第2層を構成する材料100mol%に対し、例えば0.1mol%以上(例えば、0.1〜10mol%、好ましくは0.1〜5mol%、さらに好ましくは1〜3mol%)とすることができる。例えば、1400℃で焼成した場合、第2層の相対密度は、遷移金属の含有量が0.1〜1mol%では95%以上、2〜5mol%では97%以上とすることができる。
特に第2層においては、遷移金属が含まれることにより、恐らく、Niなどの遷移金属が酸化物中に固溶することで第2層を構成する材料に格子欠陥が生成し、元素拡散が起こりやすくなって焼結性の向上と粒成長が促進するものと推測できる。具体的には、第2層の平均粒径は、遷移金属の含有量が0.1〜1mol%では1〜2μm、2〜5mol%では5〜10μmとなりやすい。同時に、Niが固溶した場合、チタン酸ストロンチウムやニオブドープチタニアなどに存在する導電キャリアと電荷補償を生ずるため、導電率の低下が生じやすい。更に、遷移金属の含有量が10mol%を超える場合には、特に相自体の高抵抗化に加えて、絶縁相の生成が問題になりやすい傾向がある。絶縁相としては、例えば遷移金属がNiの場合には、NiTiOなどが生成しやすい。
本発明のインターコネクタの好ましい例としては、2層構造からなり、例えば、チタン酸ストロンチウムを主成分とするインターコネクタであってもよく、2つの手段で遷移金属拡散による導電率低下を抑制する。基材直上の多孔質な第1層は、例えば、ランタンをドープしたチタン酸ストロンチウムからなる。そして、共焼成時に拡散してくる遷移金属はこの第1層中に拡散する。電気化学セルとして運転時には、基材とともに多孔質な第1層は還元性ガスに曝されるため、n型半導体である第1層は、酸化雰囲気で焼成したものであっても、多孔質であるため容易に還元され、高い導電率が得られやすい。
更にその上に存在する緻密な第2層は、例えば、ランタンをドープしたチタン酸ストロンチウムとニオブをドープしたチタニアからなる複合材料からなってもよい。共焼成時に拡散する遷移金属のほとんどは第1層に吸収される。このため、緻密な第2層はガスシール性を有すると共に、ニオブドープチタニアにより高い導電性が付与され、高い導電率が得られやすくなる。
<第2層への他の酸化物の添加>
第2層は、さらに他の酸化物として、Ta、MgO及びPr11の少なくとも1種を含有していることが好ましい。これらの酸化物を添加することにより、インターコネクタの導電率をより高めることができる。これらの酸化物の添加量は、第2層に対して外配で3〜10mol%であることが好ましい。また、遷移金属に対し、モル比で1以上(例えば1〜3.3)が効果的である。
<Ta>
上記他の酸化物のなかでも、第2層はTa(Ta)を含有することが好ましい。Taを含有することにより、インターコネクタの導電率をより高めることができる。TaはTaとして添加され、Ta添加量は、第2層に対して外配で3〜10mol%であることが好ましい。このmol%の値は、第2層に含まれるTa以外の全ての酸化物を100molとした値である。Ta添加量が3mol%より少ないと添加効果が十分でない場合があり、また、10mol%を超えると熱膨張係数の小さいTaが残存しやすく、インターコネクタの熱膨張が小さくなって一体焼成時に割れるなどの問題を引き起こす場合がある。
インターコネクタに含まれる遷移金属としてはNiが好ましい。上記第2層に含まれるTaとNiとの含有比は、Ta/NiOモル比で1以上であることが好ましく、1〜3.3であることがさらに好ましい。なお、ニッケルは酸化物(NiO)であってもよいが、発電時には、NiOは水素ガスによってNiに還元されてもよい。
[電気化学セル]
本発明の電気化学セルは、本発明のインターコネクタと、インターコネクタが積層された遷移金属を含む基材とを備えている。インターコネクタの第1層が遷移金属を含む基材上に形成されていることが好ましく、インターコネクタの第1層が遷移金属を含む基材上に直接形成されていることがさらに好ましい。
インターコネクタは、例えば、電気化学セルの発電部間に設けられ、複数の発電部を電気的に接続する。発電部は、例えば、空気極、燃料極、及び空気極と燃料極との間に配置される電解質層を有している。
<遷移金属を含む基材>
本発明の電気化学セルに含まれる基材は遷移金属を含有している。遷移金属としては、例えば、Sc,Ti,V,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn等が挙げられる。中でも、Ni,Fe,Co及びCuのうち少なくとも1種の遷移金属を含有していることが好ましい。
基材としては、上記遷移金属を含有するものであれば特に限定されず、例えば、イットリア及び/又はセリアを含有してもよく、例えば、Ni−Y(ニッケル‐イットリア)又はNi−GDC(ガドリニアドープトセリア)を主成分としてもよい。具体的には、一軸プレス成形等公知な成形方法によって成形されたNiOとYSZ等を含む基材等が挙げられる。基材は燃料極、あるいは燃料極上に形成された中間層であってもよい。なお、ニッケルは酸化物(NiO)であってもよいが、発電時には、NiOは水素ガスによってNiに還元されてもよい。
<インターコネクタと基材との積層体>
2層構造のインターコネクタと基材との積層体は、例えば、上記基材上に、第1層をスクリーン印刷法によって所望の膜厚を印刷した後、第2層を印刷して製造できる。なお、成形方法は、乾式プレス、ドクターブレード法、押し出し、鋳込み、テープ成形法、ゲルキャスト成形法等、公知の方法を適用できる。また第1層、第2層の積層方法は、上記に限ったことではなく、テープ積層等公知の方法でも作製可能である。
本発明のインターコネクタは、例えば、燃料極上に直接、積層されていてもよい。また、燃料極とインターコネクタとの間に中間層が配置される場合には、インターコネクタはこの中間層上に設けられていてもよい。インターコネクタは、第1層を介して第2層が基材に積層されていることが好ましい。
インターコネクタと遷移金属を含む基材とは共焼成されていることが好ましい。共焼成することにより、製造コストを下げることが可能である。
本発明の電気化学セルでは、基材直上に多孔質な第1層を備えているため、共焼成時に拡散してくる遷移金属はこの第1層中に拡散する。電気化学セルとして運転時に、基材とともに多孔質な第1層は還元性ガスに曝されるため、n型半導体である第1層は、酸化雰囲気で焼成したものであっても、多孔質であるため容易に還元され、高い導電率が得られる。更にその上に存在する緻密な第2層では、共焼成時に拡散する遷移金属のほとんどは第1層に吸収されるため、高い導電率が得られる。
以下において本発明の実施例について説明するが、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<試料作製方法>
製造例1 ランタンドープチタン酸ストロンチウム粉末の作製
市販の酸化ランタン(信越化学工業製、純度99.9%)、チタニア(石原産業製CR−EL、純度99.9%)、炭酸ストロンチウム(本荘ケミカル製、99.4%)の各粉末を秤量し、ジルコニア玉石とIPA(イソプロピルアルコール)と共に4時間湿式ボールミル混合してスラリーを作製し、窒素気流中で乾燥して調合粉末を得た。
得られた調合粉末をアルミナ製るつぼに入れ、1200〜1400℃で焼成し、ランタンドープチタン酸ストロンチウムを得た。得られたランタンドープチタン酸ストロンチウムはXRDにて単相であることを確認した。
得られたランタンドープチタン酸ストロンチウムを乳鉢にて粗粉砕した後、ジルコニア玉石とIPA(イソプロピルアルコール)と共に湿式ボールミルにて粉砕し、粒度を1μm程度へ粒度調整した。
製造例2 ニオブドープチタニア粉末の作製
チタニア(石原産業製 CR−EL、純度99.9%)、酸化ニオブ(関東化学製 純度99%)の各粉末を秤量し、ジルコニア玉石とIPA(イソプロピルアルコール)と共に4時間湿式ボールミル混合してスラリーを作製し、窒素気流中で乾燥して調合粉末を得た。
得られた調合粉末を直接アルミナ製るつぼに入れるか、乾式プレスにてペレット状に成形した後、1400〜1450℃で焼成して、ニオブドープチタニアを得た。得られたニオブドープチタニアはXRDにてNbが同定されず、Nb固溶によるピークシフトを確認した。
得られたニオブドープチタニアを乳鉢にて粗粉砕した後、ジルコニア玉石とIPA(イソプロピルアルコール)と共に湿式ボールミルにて粉砕し、粒度を1μm程度へ粒度調整した。
製造例3 ランタンドープチタン酸ストロンチウムとニオブドープチタニア混合粉末の作製
上記製造例1、2で得られた各粉末を所望の体積割合となるよう秤量し、ジルコニア玉石とIPA(イソプロピルアルコール)と共に湿式ボールミル混合してスラリーを作製し、窒素気流中で乾燥して混合粉末を得た。
製造例4 NiO含有基材用粉末の作製
市販の酸化ニッケル(関東化学製 純度97%)とYSZ(東ソー製)を所望の体積割合となるよう秤量した後、所望の気孔率となるよう造孔材としてPMMAを加えてジルコニア玉石とイオン交換水と共に湿式ボールミル混合してスラリーを作製し、大気中で乾燥して混合粉末を得た。
実施例A1〜A17、比較例1、2、参考例A1
表1に示す基材と、表1に示す組成の第1層及び第2層とからなる積層体を、以下のように作製した。
<積層体>
一軸プレス成形等公知な成形方法によって成形された表1に記載した基材上に、第1層をスクリーン印刷法によって所望の膜厚を印刷した後、第2層を印刷した。
第1層は、製造例1で作製したランタンドープチタン酸ストロンチウム粉末に対して、バインダー、溶媒、造孔材を添加し、トリロールにてペースト化したものをスクリーン印刷した。なお、ランタンドープチタン酸ストロンチウムの粒径、バインダー量、造孔材の粒径、添加量は、気孔率20〜50%になるように適時変更した。
具体的には、バインダーとしてエチルセルロース、溶媒にはテルピネオール、必要に応じて造孔材としてPMMA(平均粒径:5μm)を用いた。
第2層は、表1で示す体積割合になるように製造例3に従って作製した混合粉末に対し、バインダー、溶媒を加えてトリロールにてペースト化したものをスクリーン印刷した。具体的なバインダー等は第1層と同様であるが、緻密膜を得るため、ランタンドープチタン酸ストロンチウムとニオブドープチタニアの粒径は小さいほうが好ましく、本検討では1μm程度のものを使用した。
実施例A11〜A15、参考例A1については、製造例3で作製したランタンドープチタン酸ストロンチウムとニオブドープチタニアとの混合粉末に対し、さらに表1に示す他の酸化物(Ta、Pr11、ZrO)を外配で(ランタンドープチタン酸ストロンチウムとニオブドープチタニアの合計モル数を100として)、表1で示したモル数添加した。
得られた積層物を大気中で、1400℃にて一体焼成を実施し、積層体を得た。
<評価方法>
(断面観察)
得られた積層体を樹脂埋めした後に切断し、鏡面研磨した試料をSEM観察した。また、EDXやFE-EPMAにてNi化合物の生成の有無、拡散状況を観察した。さらにSEM観察から、膜厚(焼成後)を測定した。
(外観/断面)積層体の外観で割れやはがれがなく、積層体表面及び断面のSEMによる微構造観察やX線回折において、成膜した状態の構成相を維持するものを○とし、割れやはがれ、異相が生成したものを△とした。
(抵抗)
φ12mmに切断した積層体の基材側には4%の水蒸気で加湿した水素を、インターコネクタ側には合成空気をそれぞれ200ml/min流し、750℃にて単位面積当たりの抵抗(Ωcm)を測定した。
実施例A1の抵抗に対し、抵抗が同程度の場合を△、小さい場合を○、大きい場合を×とした。
(相対密度)
断面観察したSEM像を画像解析し、気孔率を算出し、下記式により、相対密度を算出した。
相対密度(%)= 100 − 気孔率(%)
(Ni拡散)
積層体断面をFE-EPMA(日本電子製JXA-8500F)によって解析した画像にて基材中のNiO粒子部のNi信号レベルを100としたとき、インターコネクタ第2層中のNi信号レベルが平均3以下を○、3より大きいものを△とした。
(異相生成)
積層体表面及び断面の微構造観察やX線回折において、拡散してきたNiが異相を生成していないものを「−」とした。なお、X線回折は理学製RINT TTR−IIIを使用し、測定条件はCuKα、50kV、300mA、2θ=10−70°とした。
評価結果を表1に示す。
Figure 0005748593
第1層の厚さが30μm以上では、第2層へのNi拡散がより効果的に抑制され、NiTiOの生成がなく、より高い導電率を維持した。NiTiOは第2層のニオブドープチタニアと拡散したNiが反応したものであり、第1層厚が薄いほどNiTiOが生成しやすく、導電率付与のためのニオブドープチタニアの体積割合が減少するので好ましくない傾向があった。
実施例B1〜B10、参考例1〜3
<インターコネクタ第2層相当焼結体の作製>
製造例3で作製したランタンドープチタン酸ストロンチウムとニオブドープチタニア混合粉末(50vol%Sr0.7La0.2TiO3-δ+50vol%Ti0.975Nb0.0252-δ)に対し、NiO、ならびにTa、MgO等の表2に示す酸化物を、表2に示すモル比になるように秤量して、エタノールを加えて乳鉢にて湿式混合した。表2に示すmol%は、ランタンドープチタン酸ストロンチウムとニオブドープチタニアとの合計モル数を100モルとしたときに、外配で添加した酸化物のモル数を示す。
乾燥後の粉末を一軸プレス成形にて、100〜200kg/cmの成形圧で成形体を作製し、必要に応じてCIP(冷間等方圧加圧)で2〜3ton/cmの成形圧で加圧したものを1400℃にて焼成することで、インターコネクタ第2層相当焼結体を得た。
NiO添加量は、インターコネクタ第2層を構成する材料を100mol%としたときに、3.1mol%添加した。NiO添加量は、実施例A1の断面をFE-EPMAによって解析した画像からインターコネクタの第2層中のNiレベルの平均値を測定したものと同等の値に設定した。
<インターコネクタ第2層相当焼結体の導電率評価>
1〜2mm×3mm×25mm以上の棒状試料に白金線と白金ペーストで電極を形成し、大気中各温度(650℃、750℃、850℃)で直流4端子法を用いて導電率を測定した。
結果を表2に示す。表2において、他の酸化物を入れた焼結体の導電率は、NiOのみを添加した焼結体(実施例B1)の導電率で規格化して示した。
Figure 0005748593
Ta添加により導電率は飛躍的に向上し、その効果は特に低温で顕著であることが判明した。Niを含有しない参考例1においては、650℃での導電率は0.26S/cmであったが、Niが含まれていても0.17S/cmの高い導電率(650℃での値、実施例B5)が得られた。
Ta、MgO又はPr11を添加することにより(実施例B2〜B10)、より高い導電率が得られた。中でも、Taを添加することが特に効果的であった(実施例B2〜B7)。なお、参考例としてZrO、Alを添加した場合には、導電率は無添加のものより低くなった。
本結果は、NiO量が3mol%の場合における結果であるが、第2層のNiO含有量が異なる場合においても、Ta/NiOのモル比が1以上3.3以下となるようTa添加量を調整することで、導電率の制御が可能である。

Claims (8)

  1. 遷移金属を含む基材と、
    前記基材上に積層され、Crレスのインターコネクタと、
    を備え、
    前記インターコネクタは、
    下記一般式(1):
    SrLnTiO3-δ (1)
    (式(1)中、LnはY及びランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種類の元素であり、0.05≦y≦0.40、0.8≦x+y≦1である。)で表される酸化物と、Ni,Fe,Co,Cuのうち少なくとも1種の遷移金属とを含有し、前記基材上に配置される第1層と、
    下記一般式(2):
    Ti1−zNb2-δ (2)
    (式(2)中、0.01≦z≦0.07である。)で表される酸化物と、前記一般式(1)で表される酸化物とを含有し、前記第1層上に配置される第2層と、
    を有する、
    電気化学セル。
  2. 前記第1層の相対密度が95%未満であり、
    前記第2層の相対密度が95%以上である、
    請求項1記載の電気化学セル。
  3. 前記第1層がランタンドープチタン酸ストロンチウムから構成され、
    前記第2層がニオブドープチタニアとランタンドープチタン酸ストロンチウムとの複合材料から構成される、
    請求項1又は2記載の電気化学セル。
  4. 前記第1層の厚さが30〜200μmである、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の電気化学セル。
  5. 前記第2層が、さらにTaを含有する、
    請求項1〜4の何れか1項に記載の電気化学セル。
  6. TaがTaとして前記第2層に添加され、
    Taの添加量が、ニオブドープチタニアとランタンドープチタン酸ストロンチウムの合計モル数を100としたときに3〜10である、
    請求項に記載の電気化学セル。
  7. 前記遷移金属元素がNiである、
    請求項1〜6の何れか1項に記載の電気化学セル。
  8. 前記第2層に含まれるTaとNiとの含有比が、Ta/NiOモル比で1〜3.3である、
    請求項1〜7の何れか1項に記載の電気化学セル。
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