JP6154207B2 - 固体酸化物形燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池及びその製造方法に関する。
従来、固体酸化物形燃料電池(以下、適宜、単に燃料電池という)としては、例えば、燃料極と、その燃料極の一部に設けられた固体電解質体と、その固体電解質体上に設けられた空気極とを備えたものがある。このような燃料電池において、燃料極には、その燃料極の集電用端子であり、かつ、燃料極側ガス(燃料ガス)と空気極側ガス(空気)とを隔てる役割を有するインターコネクタが設けられている。
例えば、特許文献1には、インターコネクタ(導電性シール材料)としてAg-Pd系材料を用いた燃料電池が開示されている。ところが、金属材料からなるインターコネクタは、高温での発電環境下において、金属の耐熱性の観点から、長期間、ガスシールする部材として適しているとはいえない。
したがって、長期耐久性の観点では、インターコネクタにセラミックス材料を用いることが良い。例えば、特許文献2には、インターコネクタ(セパレータ)としてLaCrO3系材料を用いた燃料電池が開示されている。ところが、LaCrO3系材料の焼成温度が1700℃以上と非常に高く、例えば燃料極と同時焼成する技術に適用の場合には、燃料極の表面積が焼結によって小さくなり、反応場の減少による性能低下を招いてしまう。
一方、特許文献3には、燃料極側から順に、SrLaTiO3系材料からなるn型半導体とLaSrMnO3系材料からなるp型半導体との2層構造を有するインターコネクタを備えた燃料電池が開示されている。これによれば、前述のLaCrO3系材料を用いた場合に比べてインターコネクタの焼結をより低温で行うことができ、またpn接合によってインターコネクタの導電性も良好なものとなる。
特開2009−135048号公報 特許第3077054号公報 特開2012−9426号公報
しかしながら、前記特許文献3の燃料電池において、燃料極とインターコネクタとを同時焼成する場合には、p型半導体を構成するLaSrMnO3系材料は、燃料極側のn型導電体を構成するSrLaTiO3系材料に比べて、燃料極の主成分として用いられるZrO2と反応しやすい。そのため、インターコネクタの製造過程(具体的には焼成時)において、p型半導体の元素拡散により、インターコネクタと燃料極との界面にLa2Zr27やSrZrO3の反応物が生成する。これらの反応生成物は、電気抵抗が高いため、性能低下の原因となる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、性能を十分に確保しながら、耐久性を向上させることができる固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、一つの態様として、燃料極と、該燃料極の一部に設けられた固体電解質体と、該固体電解質体上に設けられた空気極と、前記燃料極の他の一部に設けられたインターコネクタとを備え、該インターコネクタは、前記燃料極上に設けられたn型導電性のn型導電部と、該n型導電部上に設けられたp型導電性のp型導電部とを有し、前記n型導電部は、一般式(1):(A1−x−y)TiO3−σ(但し、0.3≦x≦0.4、0.25x≦y≦0.5x)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、前記p型導電部は、一般式(2):(B1−z)MnO3+σ(但し、0.2≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、前記一般式(1)、(2)における前記A元素は、Ca、Sr、Baから選択される1種以上の元素であり、前記B元素は、Y、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ybから選択される1種以上の元素であることを特徴とする。
前記固体酸化物形燃料電池において、インターコネクタは、n型導電部とp型導電部とを有する。そのため、インターコネクタは、n型導電部とp型導電部とのpn接合によって良好な導電性を有する。これにより、燃料極からインターコネクタを介して十分かつ確実に電気を取り出すことができる。
また、インターコネクタのn型導電部及びp型導電部は、いずれもペロブスカイト型酸化物からなるセラミックス材料により構成されている。そのため、インターコネクタは、高温での発電環境下においても、耐熱性を十分に有する。これにより、燃料電池の耐久性の向上を図ることができる。
また、n型導電部は、一般式(1):(A1−x−y)TiO3−σで表されるペロブスカイト型酸化物からなる。そして、一般式(1)において、0.3≦x≦0.4とすることにより、n型導電部の導電性を十分に確保すると共に、n型導電部のA元素の欠損量(一般式(1)におけるyに相当する欠損)を増やすことができる。そのため、n型導電部は、インターコネクタの焼成時において、燃料極に向けて拡散するp型導電部のA元素の緩衝層としての機能を果たす。
また、一般式(1)において、0.25x≦y≦0.5xとすることにより、n型導電部のA元素の欠損量を増やすことができることに加えて、n型導電部は、安定した結晶構造を有すると共に、燃料極に向けて拡散するp型導電部のA元素の緩衝層としての機能を十分に果たすことができる。そのため、n型導電部は、インターコネクタの焼成時において、p型導電部から燃料極への元素(特にp型導電部のA元素)の拡散を十分に抑制することができる。
また、p型導電部は、一般式(2):(B1−z)MnO3+σで表されるペロブスカイト型酸化物からなる。そして、一般式(2)において、0.2≦z≦0.5とすることにより、p型導電部の導電性を十分に確保することができる。また、インターコネクタの焼成時において、p型導電部から燃料極への元素の拡散量を抑制しやすくなる。
これにより、インターコネクタの製造過程(具体的には焼成時)において、p型導電部から燃料極への元素(p型導電部のA元素、B元素)の拡散を抑制することができる。その結果、インターコネクタと燃料極との界面に、電気抵抗の高い反応物(以下、適宜、高抵抗層という)が生成することを抑制し、燃料電池としての性能を十分に確保することができる。
このように、本発明によれば、性能を十分に確保しながら、耐久性を向上させることができる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
なお、前記固体酸化物形燃料電池において、前述のとおり、インターコネクタは、燃料極の他の一部に設けられている。ここで、他の一部とは、燃料極において、固体電解質体が設けられた部分以外の部分の一部をいう。
また、前記一般式(1)、(2)における「O3-σ」は、酸素が欠乏している状態を示しており、「O3+σ」は、酸素が過剰である状態を示している。後述の一般式(3)、(4)も同様である。
また、前記一般式(1)、(2)における前記A元素は、アルカリ土類金属であるCa、Sr、Baから選択される1種以上の元素である。また、前記B元素は、同じイオン価数(+3)の希土類であるY、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ybから選択される1種以上の元素である。
また、前述のとおり、一般式(1):(A1−x−y)TiO3−σにおいて、0.3≦x≦0.4である。なお、x<0.3の場合には、n型導電部のA元素の欠損量が少なくなるため、n型導電部は、燃料極に向けて拡散するp型導電部のA元素の緩衝層としての機能を十分に果たすことができないおそれがある。一方、x>0.4の場合には、n型導電部の導電性が低下するおそれがある。
また、前述のとおり、一般式(1):(A1-x-yx)TiO3-σにおいて、0.25x≦y≦0.5xである。y<0.25xの場合には、n型導電部のA元素の欠損量が少ないため、n型導電部は、燃料極に向けて拡散するp型導電部のA元素の緩衝層としての機能を十分に果たすことができないおそれがある。一方、y>0.5xの場合には、n型導電部の結晶構造が不安定となり、化合物として安定的に存在することができないおそれがある。
また、前述のとおり、一般式(2):(B1−z)MnO3+σにおいて、0.2≦z≦0.5である。なお、z<0.2の場合には、p型導電部の導電性が低下するおそれがある。また、p型導電部のB元素の原子量が多い(濃度が高い)ため、そのB元素が燃料極に拡散し、燃料極との界面に高抵抗層が生成しやすくなるおそれがある。一方、z>0.5の場合には、p型導電部のA元素の原子量が多い(濃度が高い)ため、そのA元素の拡散を緩衝層であるn型導電部によって十分に抑制することができないおそれがある。
また、前記n型導電部は、一般式(3):(Sr1−x−yLa)TiO3−σ(但し、0.25≦x≦0.45、0.25x≦y≦0.5x)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、前記p型導電部は、一般式(4):(La1−zSr)MnO3+σ(但し、0.15≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなることが好ましい。
なお、一般式(3)のxの範囲としては、0.3≦x≦0.4を採用でき、一般式(4)のzの範囲としては、0.2≦z≦0.5を採用できる。
この場合には、前記一般式(1)、(2)のA元素を「Sr」、B元素を「La」という組み合わせとすることにより、インターコネクタの導電性がより良好なものとなる。また、n型導電部を構成するSrLaTiO3-σ(SLT)は、p型導電部を構成するLaSrMnO3+σ(LSM)に比べて、燃料極の主成分として用いられるZrO2との反応性の程度が小さく、性能低下の大きな原因とはならない。したがって、一般式(3)、(4)中のx、y、zの値が前記の関係を満たすようにし、SLTとLSMとの組成を最適化することにより、性能低下の大きな原因となるp型導電部の元素拡散をより効果的に抑制することができる。
また、前記n型導電部は、気孔率が10%以下であることが好ましい。すなわち、n型導電部に隣接するp型導電部は、低酸素分圧下(還元雰囲気下)において導電性が低下する。よって、n型導電部の気孔率を低くして緻密とすることにより、燃料極側ガス(燃料ガス)のp型導電部への流入をn型導電部によって十分に抑制することができる。そして、p型導電部の導電性を十分に確保することができる。
n型導電部の気孔率が10%を超える場合には、燃料極側ガス(燃料ガス)のp型導電部への流入をn型導電部によって十分に抑制することができず、低酸素分圧の影響によってp型導電部の電気抵抗が高くなり、導電性が低下するおそれがある。
また、前記p型導電部は、気孔率が10%以下であることが好ましい。すなわち、p型導電部に隣接するn型導電部は、高酸素分圧下(酸化雰囲気下)において導電性が低下する。よって、p型導電部の気孔率を低くして緻密とすることにより、空気極側ガス(空気)中の酸素のn型導電部への流入をp型導電部によって十分に抑制することができる。そして、n型導電部の導電性を十分に確保することができる。
p型導電部の気孔率が10%を超える場合には、空気極側ガス(空気)中の酸素のn型導電部への流入をp型導電部によって十分に抑制することができず、高酸素分圧の影響によってn型導電部の電気抵抗が高くなり、導電性が低下するおそれがある。
また、前記n型導電部の厚みが前記p型導電部の厚みよりも大きいことが好ましい。この場合には、p型導電部から燃料極への元素の拡散をn型導電部によって抑制するという効果をより一層高めることができる。
また、前記n型導電部は、厚みが6〜30μm(例えば10〜30μm)であることが好ましい。この場合には、p型導電部から燃料極への元素の拡散をn型導電部によって抑制する効果を十分に得ることができる。また、燃料極側ガス(燃料ガス)のp型導電部への流入をn型導電部によって十分に抑制することができる。
n型導電部の厚みが6μm未満の場合には、p型導電部から燃料極への元素の拡散をn型導電部によって十分に抑制することができないおそれがある。また、燃料極側ガス(燃料ガス)のp型導電部への流入をn型導電部によって十分に抑制することができず、低酸素分圧の影響によってp型導電部の電気抵抗が高くなり、導電性が低下するおそれがある。一方、30μmを超える場合には、n型導電部自体の電気抵抗が高くなり、インターコネクタの導電性低下、さらには燃料電池としての性能低下を招くおそれがある。
また、前記p型導電部は、厚みが2〜15μmであることが好ましい。この場合には、p型導電部から燃料極への元素の拡散量を抑制するという効果を十分に得ることができる。また、空気極側ガス(空気)中の酸素のn型導電部への流入をp型導電部によって抑制するという効果を十分に得ることができる。
p型導電部の厚みが2μm未満の場合には、空気極側ガス(空気)中の酸素のn型導電部への流入をp型導電部によって十分に抑制することができず、高酸素分圧の影響によってn型導電部の電気抵抗が高くなり、導電性が低下するおそれがある。一方、15μmを超える場合には、インターコネクタにおけるp型導電部の体積比率が高くなるため、p型導電部から燃料極への元素の拡散量が多くなり、燃料極との界面における高抵抗層の生成量が多くなるおそれがある。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池は、他の態様として、燃料極と、該燃料極の一部に設けられた固体電解質体と、該固体電解質体上に設けられた空気極と、前記燃料極の他の一部に設けられたインターコネクタとを備え、該インターコネクタは、前記燃料極上に設けられたn型導電性のn型導電部と、該n型導電部上に設けられたp型導電性のp型導電部とを有し、前記n型導電部は、一般式(5):(Sr 1−x−y La )TiO 3−σ (但し、0.3≦x≦0.4、0.1≦y≦0.2)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、前記p型導電部は、一般式(6):(La 1−z Sr )MnO 3+σ (但し、0.2≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、前記n型導電部は、厚みが10〜30μmであり、前記p型導電部は、厚みが2〜15μmであることを特徴とする。
また、前記固体酸化物形燃料電池の製造方法は、前記燃料極、前記固体電解質体及び前記インターコネクタを一体的かつ同時に焼成して形成することを特徴とする。この場合には、インターコネクタ(n型導電部、p型導電部)の焼成収縮を促進させ、緻密化を図ることができる。これにより、インターコネクタは、気孔率が低く、導電性に優れたものとなる。すなわち、インターコネクタは、燃料極側のガスと空気極側のガスとを隔てる機能と燃料極から電気を取り出す機能とを十分に有するものとなる。
また、前記固体酸化物形燃料電池の製造方法において、前記燃料極、前記固体電解質体及び前記インターコネクタを1400℃以下の温度で焼成して形成することが好ましい。この場合には、インターコネクタ(n型導電部、p型導電部)の緻密化を十分に図りながら、燃料極の電極表面積を確保し、高性能を得ることができる。
焼成温度が1400℃を超える場合には、インターコネクタの緻密化を図ることができるものの、燃料極の表面積が小さくなりやすく、電極性能の低下を招くおそれがある。
実施形態1における、(a)燃料電池を示す斜視図、(b)燃料電池の軸方向に平行な断面図である。 実施形態1における、燃料電池スタックを示す斜視図である。 実施形態1における、(a)多孔体を示す斜視図、(b)多孔体の側面図である。 実施形態1における、図2のA−A線矢視断面図である。 実施形態1における、燃料電池スタックの断面図である。 実験例における、発電出力の評価方法を示す説明図である。
(実施形態1)
以下、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、固体酸化物形燃料電池1(以下、単に燃料電池1という)は、燃料極21と、燃料極21の一部に設けられた固体電解質体22と、固体電解質体22上に設けられた空気極23と、燃料極21の他の一部に設けられたインターコネクタ3とを備えている。インターコネクタ3は、燃料極21上に設けられたn型導電性のn型導電部31と、n型導電部31上に設けられたp型導電性のp型導電部32とを有する。
同図に示すように、n型導電部31は、一般式(1):(A1-x-yx)TiO3-σ(但し、0.25≦x≦0.45、0.25x≦y≦0.5x)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる。p型導電部32は、一般式(2):(B1-zz)MnO3+σ(但し、0.15≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる。一般式(1)、(2)におけるA元素は、Srであり、B元素は、Laである。以下、これを詳説する。
図1(a)、(b)に示すように、燃料電池1は、例えば、後述する図2に示す燃料電池スタック10に用いられるものである。
同図に示すように、燃料電池1は、支持体となる筒状の燃料極21を備えている。燃料極21の内側には、燃料ガスを流通させる燃料ガス通路20が設けられている。燃料極21は、ニッケル及びイットリウム安定化型ジルコニア(Ni−YSZ)からなる。
燃料極21の外周面上には、固体電解質体22が設けられている。固体電解質体22は、燃料極21の外周面の一部(後述する非被覆部211)を除いて設けられている。固体電解質体22は、イットリウム安定化型ジルコニア(YSZ)からなる。
固体電解質体22の外周面上には、固体電解質体22を構成する材料と後述する空気極23を構成する材料との反応を防止するための中間層24が設けられている。中間層24の外周面上には、空気極23が設けられている。
中間層24及び空気極23は、燃料電池の軸方向一端側に設けられている。中間層24は、ガドリニウム固溶型セリア(GDC)からなる。空気極は、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83-x(LSCF)及びガドリニウム固溶型セリア(GDC)からなる。
燃料極21の外周面は、固体電解質体22が設けられていない部分であって、燃料極21が露出している部分である非被覆部211を有している。非被覆部211は、燃料電池の軸方向他端側(空気極23とは反対側)に設けられている。非被覆部211上には、燃料極21の集電用端子となるインターコネクタ3が設けられている。
同図に示すように、インターコネクタ3は、燃料極21の非被覆部211及びその近傍の固体電解質体22を覆うように、全周に渡って帯状に設けられている。また、インターコネクタ3は、n型導電部31とp型導電部32との2層構造を有する。n型導電部31は、燃料極21の非被覆部211上に設けられている。p型導電部32は、n型導電部31上に設けられている。
n型導電部31は、SrLaTiO3-σ(SLT)からなる。具体的には、一般式(3):(Sr1-x-yLax)TiO3-σ(但し、0.25≦x≦0.45、0.25x≦y≦0.5x)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる。
一方、p型導電部32は、LaSrMnO3+σ(LSM)からなる。具体的には、一般式(4):(La1-zSrz)MnO3+σ(但し、0.15≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる。
n型導電部31及びp型導電部32は、気孔率が10%以下の緻密な層である。また、n型導電部31の厚みは、p型導電部32の厚みよりも大きい。また、n型導電部31は、厚みが6〜30μmであり、p型導電部32は、厚みが2〜15μmである。
次に、図1に示す燃料電池1の製造方法について説明する。
まず、酸化ニッケル及びイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)の混合粉末に、セルロース系バインダー及び造孔材としてのポリメタクリル酸メチル(PMMA)ビーズ粉末を加え、十分に混合した後、水を添加して粘土状になるまで混合した。得られた粘土を押出成形機に投入し、外径2.5mmの円筒状(チューブ状)の燃料極用成形体を作製した。燃料極用成形体は、所定の長さに切断した。また、YSZ粉末、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤及び可塑剤を、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、固体電解質体用スラリーを作製した。
次いで、燃料極用成形体を固体電解質体用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、燃料極用成形体の表面に固体電解質体用被膜を形成した。そして、固体電解質体用膜の一部(インターコネクタを設ける部分、幅5mm程度)を研削により除去し、燃料極用成形体を露出させた。
次いで、(Sr1-x-yLax)TiO3-σ(但し、0.25≦x≦0.45、0.25x≦y≦0.5x)粉末、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤及び可塑剤を、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、n型導電部用スラリーを作製した。そして、インターコネクタ3を形成しない位置にマスキングを行った後、燃料極用成形体をn型導電部用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、燃料極用成形体の表面にn型導電部用被膜を形成した。
次いで、(La1-zSrz)MnO3+σ(但し、0.15≦z≦0.5)粉末、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤及び可塑剤を、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、p型導電部用スラリーを作製した。そして、インターコネクタ3を形成しない位置にマスキングを行った後、燃料極用成形体をp型導電部用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、n型導電部用被膜の表面にp型導電部用被膜を形成した。
次いで、1400℃の温度条件において、燃料極用成形体、固体電解質体用被膜、n型導電部用被膜及びp型導電部用被膜を一体的かつ同時に焼成した。これにより、燃料極21、固体電解質体22及びインターコネクタ3(n型導電部31、p型導電部32)を有する中間焼成体を得た。
次いで、ガドリニウム固溶型セリア(GDC)粉末、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤及び可塑剤を、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、中間層用スラリーを作製した。そして、中間層24を形成しない位置にマスキングを行った後、中間焼成体を中間層用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、固体電解質体22の表面に中間層用被膜を形成した。その後、中間層用被膜を1200℃で熱処理することにより、中間層24を形成した。
また、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83-x(LSCF)粉末、GDC粉末、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤及び可塑剤を、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、空気極用スラリーを作製した。そして、空気極23を形成しない位置にマスキングを行った後、中間焼成体を空気極用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、中間層24の表面に空気極用被膜を形成した。その後、空気極用被膜を1000℃で焼き付け処理することにより、空気極23を形成した。以上により、図1、図2に示す燃料電池1を得た。
次に、図2に示すように、複数の燃料電池1(以下、この説明において燃料電池セル1という)を用いた燃料電池スタック10について説明する。
同図に示すように、燃料電池スタック10は、電気絶縁性を有する複数の多孔体4を積層して構成されている。多孔体4は、空気の流通が可能な板状の多孔質の部材である。隣接する多孔体4間に形成された空間には、複数の燃料電池セル1が配設されている。
図3(a)、(b)に示すように、多孔体4における積層方向一方側X1(図2)には、燃料電池セル1を収容するための複数の収容凹部41が設けられている。複数の収容凹部41は、互いに平行となるように並んで配置されている。収容凹部41の内壁面は、燃料電池セル1の外周形状に沿った形状を有している。また、収容凹部41の底部には、多孔体4を積層方向X(図2)に貫通してなる連通孔411が設けられている。なお、燃料電池スタック10において、積層方向Xの一端における多孔体4には、収容凹部41が設けられていない。
同図に示すように、多孔体4における積層方向他方側X2(図2)には、複数の突出部42が設けられている。複数の突出部42は、互いに平行となるように並んで配置されている。突出部42は、隣接する他の多孔体4の収容凹部41と積層方向Xにおいて対向するように配置されている。
また、突出部42には、燃料電池セル1を位置決めするための位置決め凹部421が設けられている。位置決め凹部421の内壁面は、燃料電池セル1の外周形状に沿った形状を有している。なお、燃料電池スタック10において、積層方向Xの他端における多孔体4には、突出部42(位置決め凹部421)が設けられていない。
図4、図5に示すように、燃料電池セル1は、隣接する一方の多孔体4の収容凹部41と他方の多孔体4の位置決め凹部421とによって形成された空間内に収容されている。また、隣接する多孔体4同士の間及び燃料電池セル1と多孔体4との間には、導電性材料からなる導電層51と絶縁性材料からなる絶縁層52が配設されている。
同図に示すように、隣接する多孔体4同士の間に配設された複数の燃料電池セル1は、導電層51を介して互いに電気的に接続されている。また、絶縁層52は、空気極23とインターコネクタ3との間に配設されており、両者の短絡を防止している。
図5に示すように、連通孔411内には、導電性材料を充填してなる電気接続パス53が配設されている。積層方向Xに隣接する燃料電池セル1同士は、この電気接続パス53を介して電気的に接続されている。
そして、図2に示すように、燃料電池スタック10は、所定の温度条件(例えば650℃)において、燃料ガスを燃料ガス通路20に流通させ、空気を多孔体4に所定の方向で流通させることにより、発電を行うことができる。
図5に示すように、燃料電池スタック10において発電が行われる際には、積層方向一方側X1から電気接続パス53、導電層51、インターコネクタ3、燃料極21、固体電解質体22、中間層24、空気極23、導電層51の順に電流が流れ、以下同様にして、積層方向他方側X2に流れる。
次に、燃料電池1の作用効果について説明する。
本実施形態の燃料電池1において、インターコネクタ3は、n型導電部31とp型導電部32とを有する。そのため、インターコネクタ3は、n型導電部31とp型導電部32とのpn接合によって良好な導電性を有する。これにより、燃料極21からインターコネクタ3を介して十分かつ確実に電気を取り出すことができる。
また、インターコネクタ3のn型導電部31及びp型導電部32は、いずれもペロブスカイト型酸化物からなるセラミックス材料により構成されている。そのため、インターコネクタ3は、高温での発電環境下においても、耐熱性を十分に有する。これにより、燃料電池1の耐久性の向上を図ることができる。
また、n型導電部31は、一般式(1):(A1-x-yBx)TiO3-σ(A元素:Sr、B元素:La)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる。そして、一般式(1)において、0.25≦x≦0.45とすることにより、n型導電部31の導電性を十分に確保すると共に、n型導電部31のA元素(Sr)の欠損量(一般式(1)におけるyに相当する欠損)を増やすことができる。そのため、n型導電部31は、インターコネクタ3の焼成時において、燃料極21に向けて拡散するp型導電部32のA元素(Sr)の緩衝層としての機能を果たす。
また、一般式(1)において、0.25x≦y≦0.5xとすることにより、n型導電部31のA元素の欠損量を増やすことができることに加えて、n型導電部31は、安定した結晶構造を有すると共に、燃料極21に向けて拡散するp型導電部32のA元素(Sr)の緩衝層としての機能を十分に果たすことができる。そのため、n型導電部31は、インターコネクタ3の焼成時において、p型導電部32から燃料極21への元素(特にp型導電部32のA元素(Sr))の拡散を十分に抑制することができる。
また、p型導電部32は、一般式(2):(B1-zz)MnO3+σ(A元素:Sr、B元素:La)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる。そして、一般式(2)において、0.15≦z≦0.5とすることにより、p型導電部32の導電性を十分に確保することができる。また、インターコネクタ3の焼成時において、p型導電部32から燃料極21への元素の拡散量を抑制しやすくなる。
これにより、インターコネクタ3の焼成時において、p型導電部32から燃料極21への元素(p型導電部32のA元素(Sr)、B元素(La))の拡散を抑制することができる。その結果、インターコネクタ3と燃料極21との界面に電気抵抗の高い反応物(高抵抗層)が生成することを抑制し、燃料電池としての性能を十分に確保することができる。
また、本実施形態において、インターコネクタ3のn型導電部31は、一般式(3):(Sr1-x-yLax)TiO3-σ(但し、0.25≦x≦0.45、0.25x≦y≦0.5x)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、p型導電部32は、一般式(4):(La1-zSrz)MnO3+σ(但し、0.15≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる。
そのため、インターコネクタ3の導電性がより良好なものとなる。また、n型導電部31を構成するSrLaTiO3-σ(SLT)は、p型導電部32を構成するLaSrMnO3+σ(LSM)に比べて、燃料極21(Ni−YSZ)との反応性の程度が小さく、燃料極21中のNiがSLTの結晶格子中に固溶する元素拡散が中心である。また、この元素拡散によって生成する反応物は、p型導電部32を構成するLSMの元素拡散によって生成するLa2Zr27やSrZrO3に比べて高抵抗ではないため、性能低下の大きな原因とはならない。したがって、一般式(3)、(4)中のx、y、zの値が前記の関係を満たすようにし、SLTとLSMとの組成を最適化することにより、性能低下の大きな原因となるp型導電部32の元素拡散をより効果的に抑制することができる。
また、n型導電部31は、気孔率が10%以下である。そのため、燃料極側ガス(燃料ガス)のp型導電部32への流入をn型導電部31によって十分に抑制することができる。そして、p型導電部32の導電性を十分に確保することができる。
また、p型導電部32は、気孔率が10%以下である。そのため、空気極側ガス(空気)中の酸素のn型導電部31への流入をp型導電部32によって十分に抑制することができる。そして、n型導電部31の導電性を十分に確保することができる。
また、n型導電部31の厚みがp型導電部32の厚みよりも大きい。そのため、p型導電部32から燃料極21への元素の拡散をn型導電部31によって抑制するという効果をより一層高めることができる。
また、n型導電部31は、厚みが6〜30μmである。そのため、p型導電部32から燃料極21への元素の拡散をn型導電部31によって抑制する効果を十分に得ることができる。また、燃料極側ガス(燃料ガス)のp型導電部32への流入をn型導電部31によって十分に抑制することができる。
また、前記p型導電部32は、厚みが2〜15μmである。そのため、p型導電部32から燃料極21への元素の拡散量を抑制するという効果を十分に得ることができる。また、空気極側ガス(空気)中の酸素のn型導電部31への流入をp型導電部32によって抑制するという効果を十分に得ることができる。
また、燃料電池1の製造方法において、燃料極21、固体電解質体22及びインターコネクタ3を一体的かつ同時に焼成して形成する。そのため、インターコネクタ3(n型導電部31、p型導電部32)の焼成収縮を促進させ、緻密化を図ることができる。これにより、インターコネクタ3は、気孔率が低く、導電性に優れたものとなる。すなわち、インターコネクタ3は、燃料極側ガス(燃料ガス)と空気極側ガス(空気)とを隔てる機能と燃料極21から電気を取り出す機能との両方の機能を十分に有するものとなる。
また、燃料極21、固体電解質体22及びインターコネクタ3を1400℃以下の温度で焼成して形成する。そのため、インターコネクタ3(n型導電部31、p型導電部32)の緻密化を十分に図りながら、燃料極21の電極表面積を確保し、高性能を得ることができる。
このように、本実施形態によれば、性能を十分に確保しながら、耐久性を向上させることができる固体酸化物形燃料電池(燃料電池)1及びその製造方法を提供することができる。
(実験例)
本例は、固体酸化物形燃料電池(燃料電池)について、反応生成物及び発電出力の評価を行ったものである。
本例では、燃料電池におけるインターコネクタのn型導電部及びp型導電部の組成、厚みが異なる複数の試料(試料1〜試料21)を作製し、反応生成物及び発電出力の評価を行った。
反応生成物の評価では、燃料電池のインターコネクタについて、燃料極と同時に焼成した場合に、反応物が生成しているかどうかを確認した。具体的には、前述の実施形態1と同様の方法(但し、押出成形時の金型変更によって形状を2mm厚の平板状に変更)によって燃料極用成形体を作製し、2cm角となるように切断した。そして、燃料極用成形体の表面にn型導電部用被膜及びp型導電部用被膜を形成し、これを1400℃の温度条件において一体的かつ同時に焼成した。この焼成体について、X線回折装置を用いて結晶相(La2Zr27相、SrZrO3相)の確認を行った。
発電出力の評価では、図6に示すように、前述の実施形態1と同様の方法によって燃料電池81を作製した。そして、インターコネクタ83が形成された部分に銀線841を巻き、銀ペーストを塗布した。この銀線841を燃料極(図示略)から集電を行う集電端子とした。
また、同図に示すように、空気極823を形成した部分にPt網842を巻いた。そして、Pt網842を銀線843で巻き固定した後、LSCFからなるペーストを塗布した。この銀線843を空気極823から集電を行う集電端子とした。
また、同図に示すように、発電用治具85を用いて、燃料電池81の両端(固体電解質体822及び中間層824の露出部分)をガラスペースト86によってガスシール固定した。そして、燃料電池81が電気炉87の中央に位置するように、燃料電池81をセットした。燃料ガス通路(図示略)には、室温で加湿した水素を25cc/分の流量で供給した。空気極823側は、大気に開放した状態とした。
また、同図に示すように、燃料電池81の温度を測定するため、燃料電池81の空気極823の表面から2mm離れた位置に熱電対88をセットし、プログラム温調計を用いて燃料電池81が650℃となるように調整した。そして、燃料電池81の発電を行い、そのときの発電出力(0.6V時における発電出力)を測定した。
Figure 0006154207

表1に、インターコネクタのn型導電部及びp型導電部の組成が異なる各試料(試料1〜試料12)について、反応生成物及び発電出力の評価結果を示した。なお、n型導電部の組成は、(Sr1-x-yLax)TiO3-σであり、p型導電部の組成は、(La1-zSrz)MnO3+σである。また、各試料のx、y、zの値は、同表に示すとおりである。
同表に示すように、試料1、試料2、試料7、試料8は、yを0.5x、zを0.4に固定した状態で、xを0.2〜0.5の範囲で変化させた場合の評価結果である。
試料1(x=0.3)、試料2(x=0.4)においては、高抵抗層であるLa2Zr27相やSrZrO3相は確認されなかった。また、発電出力がそれぞれ0.63W/cm2、0.41W/cm2であり、比較的良好な発電性能が得られた。
一方、試料7(x=0.2)においては、n型導電部のSrの欠損量が十分ではなく、p型導電部のSrの拡散を抑制する緩衝層としての機能を十分に得られなかった。そのため、高抵抗層であるSrZrO3相が確認され、発電出力が0.26W/cm2と低い値となった。また、試料8(x=0.5)においては、結晶相が単相のn型導電性材料を得ることができなかった。
次に、試料1、試料3、試料9、試料10は、xを0.3、zを0.4に固定した状態で、yを0.05〜0.3の範囲で変化させた場合の結果である。
試料1(y=0.15)、試料3(y=0.1)においては、高抵抗層であるLa2Zr27相やSrZrO3相は確認されなかった。また、発電出力がそれぞれ0.63W/cm2、0.43W/cm2であり、比較的良好な発電性能が得られた。
一方、試料9(y=0.05)においては、0.25x≦y≦0.5xの条件を満たしていないため、n型導電部のSrの欠損量が十分ではなく、p型導電部のSrの拡散を抑制する緩衝層としての機能を十分に得られなかった。そのため、高抵抗層であるSrZrO3相が確認され、発電出力が0.17W/cm2と低い値となった。また、試料10(y=0.3)においては、0.25x≦y≦0.5xの条件を満たしておらず、結晶相が単相のn型導電性材料を得ることができなかった。
次に、試料1、試料4〜試料6、試料11、試料12は、xを0.3、yを0.15に固定した状態で、zを0.1〜0.6の範囲で変化させた場合の結果である。
試料1(z=0.4)、試料4(z=0.2)、試料5(z=0.3)、試料6(z=0.5)においては、高抵抗層であるLa2Zr27相やSrZrO3相は確認されなかった。また、発電出力がそれぞれ0.63W/cm2、0.51W/cm2、0.62W/cm2、0.45W/cm2であり、比較的良好な発電性能が得られた。
一方、試料11(z=0.1)においては、p型導電部のLa濃度が高く、Laの拡散量が多かったため、高抵抗層であるLa2Zr27相が確認され、発電出力が0.27W/cm2と低い値となった。
また、試料12(z=0.6)においては、p型導電部のSr濃度が高く、Srの拡散量が多かったため、高抵抗層であるSrZrO3相が確認され、発電出力が0.23W/cm2と低い値となった。
Figure 0006154207

表2に、インターコネクタのn型導電部及びp型導電部の厚みが異なる各試料(試料1、試料13〜試料21)について、反応生成物及び発電出力の評価結果を示した。なお、各試料のn型導電部及びp型導電部の組成はすべて同じであり、その組成は試料1(表1参照)と同様である。
同表に示すように、試料1、試料13〜試料16は、p型導電部の厚みを10μmに設定し、n型導電部の厚みを変化させた場合の結果である。
試料1、試料14、試料15(n型導電部の厚みが10〜30μm)においては、高抵抗層であるLa2Zr27相やSrZrO3相は確認されなかった。また、発電出力がそれぞれ0.63W/cm2、0.54W/cm2、0.45W/cm2であり、比較的良好な発電性能が得られた。
一方、試料13においては、n型導電部の厚みが5μmと薄いため、p型導電部からの元素の拡散を十分に抑制することができず、高抵抗層であるSrZrO3相が確認された。また、発電出力も0.30W/cm2と比較的低い値となった。また、試料16においては、n型導電部の厚みが40μmと厚いため、n型導電部の電気抵抗が高くなり、発電出力も0.37W/cm2と比較的低い結果となった。
次に、同表に示すように、試料1、試料17〜試料21は、n型導電部の厚みを10μmに設定し、p型導電部の厚みを変化させた場合の結果である。
試料1、試料18、試料19、試料20(p型導電部の厚みが2〜15μm)においては、高抵抗層であるLa2Zr27相やSrZrO3相は確認されなかった。また、発電出力がそれぞれ0.63W/cm2、0.51W/cm2、0.65W/cm2、0.43W/cm2であり、比較的良好な発電性能が得られた。
一方、試料17は、p型導電部の厚みが1μmと薄いため、n型導電部に空気極側の酸素分圧の影響が及んでn型導電部の電気抵抗が高くなり、発電出力も0.42W/cm2と比較的低い結果となった。
また、試料21は、p型導電部の厚みが20μmと厚いため、p型導電部から燃料極に拡散する元素の量が多くなり、n型導電部によってその元素拡散を十分に抑制することができず、高抵抗層であるSrZrO3相が確認された。また、発電出力も0.32W/cm2と比較的低い結果となった。
なお、本発明は、前述の実施形態1に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
また、前述の実施形態1では、固体電解質体と空気極との間に中間層を設けたが、この中間層を設けない構成とすることもできる。
また、前述の実施形態1では、インターコネクタにおけるn型導電部は、前記一般式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、p型導電部は、前記一般式(2)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる。そして、前記一般式(1)、(2)におけるA元素は「Sr」、B元素は「La」であるが、例えば、A元素をSrと同様のアルカリ土類金属であるCa、Baとしてもよいし、B元素をLaと同じイオン価数(+3)の希土類であるY、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ybとしてもよい。この場合、前述の実施形態1と同様の作用効果を有する。また、前述の実験例と同様の実験結果が得られる。
1…燃料電池(固体酸化物形燃料電池)
21…燃料極
22…固体電解質体
23…空気極
3…インターコネクタ
31…n型導電部
32…p型導電部

Claims (10)

  1. 燃料極と、
    該燃料極の一部に設けられた固体電解質体と、
    該固体電解質体上に設けられた空気極と、
    前記燃料極の他の一部に設けられたインターコネクタとを備え、
    該インターコネクタは、前記燃料極上に設けられたn型導電性のn型導電部と、該n型導電部上に設けられたp型導電性のp型導電部とを有し、
    前記n型導電部は、一般式(1):(A1−x−y)TiO3−σ(但し、0.3≦x≦0.4、0.25x≦y≦0.5x)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、
    前記p型導電部は、一般式(2):(B1−z)MnO3+σ(但し、0.2≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、
    前記一般式(1)、(2)における前記A元素は、Ca、Sr、Baから選択される1種以上の元素であり、前記B元素は、Y、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ybから選択される1種以上の元素であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記n型導電部は、一般式(3):(Sr1−x−yLa)TiO3−σ(但し、0.3≦x≦0.4、0.25x≦y≦0.5x)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、前記p型導電部は、一般式(4):(La1−zSr)MnO3+σ(但し、0.2≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記n型導電部は、気孔率が10%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記p型導電部は、気孔率が10%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記n型導電部の厚みが上記p型導電部の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  6. 前記n型導電部は、厚みが10〜30μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  7. 前記p型導電部は、厚みが2〜15μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  8. 燃料極と、
    該燃料極の一部に設けられた固体電解質体と、
    該固体電解質体上に設けられた空気極と、
    前記燃料極の他の一部に設けられたインターコネクタとを備え、
    該インターコネクタは、前記燃料極上に設けられたn型導電性のn型導電部と、該n型導電部上に設けられたp型導電性のp型導電部とを有し、
    前記n型導電部は、一般式(5):(Sr 1−x−y La )TiO 3−σ (但し、0.3≦x≦0.4、0.1≦y≦0.2)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、
    前記p型導電部は、一般式(6):(La 1−z Sr )MnO 3+σ (但し、0.2≦z≦0.5)で表されるペロブスカイト型酸化物からなり、
    前記n型導電部は、厚みが10〜30μmであり、
    前記p型導電部は、厚みが2〜15μmであることを特徴とする固体酸化物形燃料電池
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法において、
    前記燃料極、前記固体電解質体及び前記インターコネクタを一体的かつ同時に焼成して形成することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  10. 請求項に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法において、
    前記燃料極、前記固体電解質体及び前記インターコネクタを1400℃以下の温度で焼成して形成することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。
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