JP2018073653A - 電気化学セル、電気化学スタック、および、電気化学セルの製造方法 - Google Patents

電気化学セル、電気化学スタック、および、電気化学セルの製造方法 Download PDF

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Keisuke Yamada
啓介 山田
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Tomoaki Matsuo
知明 松尾
佳宏 舟橋
Yoshihiro Funahashi
佳宏 舟橋
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Abstract

【課題】空気極の剥離の発生を抑制しつつ電気化学セルの性能を向上させる。
【解決手段】電気化学セルは、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層の一方側に配置され、空気極材料を含む空気極と、電解質層の他方側に配置された燃料極とを備える。電気化学セルは、さらに、電解質層と空気極との間に配置され、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料と、空気極材料とを含む中間層を備える。空気極材料の熱膨張係数と固体電解質材料の熱膨張係数との差は、室温から1000℃において、5×10−6(1/K)以上である。
【選択図】図4

Description

本明細書によって開示される技術は、電気化学セルに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFC用の構成単位であるセルは、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層の一方側に配置された空気極と、電解質層の他方側に配置された燃料極とを備える。
電解質層を構成する固体酸化物としては、例えば、ランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物(例えば、一般式La1−xSrGa1−yMg3−δ(ただし、0.05≦x≦0.3、0≦y≦0.3)で表される酸化物(以下、「LSGM」という))や、安定化ジルコニア(例えば、イットリア安定化ジルコニア(以下、「YSZ」という))等が用いられる(例えば、特許文献1,2参照)。また、電解質層を構成する固体酸化物としてZr(ジルコニウム)を含む材料(例えばYSZ)が用いられる場合に、電解質層と空気極との間に高抵抗物質(例えば、SrZrO(以下、「SZO」という))が層状に生成されてセルの性能が低下することを抑制するために、電解質層と空気極との間にセリウム系酸化物(例えば、ガドリニウムドープセリア(以下、「GDC」という))を含む反応防止層が設けられることがある。
特開2012−156007号公報 特開2011−150959号公報
セルの発電性能を向上させるために、空気極を構成する空気極材料として、酸化物イオン伝導性の高い材料を採用することが求められる。しかしながら、酸化物イオン伝導性の高い材料は、熱膨張係数の高いものが多い。そのため、このような材料を用いて空気極を構成すると、空気極の熱膨張係数とセルを構成する他の層(電解質層や反応防止層)の熱膨張係数との差が大きくなり、空気極の剥離が発生するおそれがある。このように、SOFC用のセルにおいて、空気極の剥離の発生を抑制しつつ、セルの発電性能を向上させるための改善が求められている。
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解(以下、「SOEC」という)用のセルにも共通の課題である。なお、本明細書では、SOFC用のセルとSOEC用のセルとをまとめて、電気化学セルという。また、複数のSOFC用のセルを備えるSOFCスタックと、複数のSOEC用のセルを備えるSOECスタックとをまとめて、電気化学スタックという。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される電気化学セルは、固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層の一方側に配置され、空気極材料を含む空気極と、前記電解質層の他方側に配置された燃料極と、を備える電気化学セルにおいて、さらに、前記電解質層と前記空気極との間に配置され、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料と、前記空気極材料と、を含む中間層を備え、前記空気極材料の熱膨張係数と前記固体電解質材料の熱膨張係数との差は、室温から1000℃において、5×10−6(1/K)以上である。空気極材料の熱膨張係数と固体電解質材料の熱膨張係数との差が5×10−6(1/K)以上である空気極材料は、熱膨張係数が比較的高い材料であり、酸化物イオン伝導性が高い高性能な空気極材料である。そのため、本電気化学セルによれば、そのような高性能な空気極材料を用いて空気極を構成することにより、電気化学セルの性能を向上させることができる。また、本電気化学セルによれば、電解質層と空気極との間に、固体電解質材料と空気極材料とを含む中間層が配置されているため、そのような熱膨張係数の高い空気極材料を用いて空気極を構成しても、空気極の剥離の発生を抑制することができる。
(2)上記電気化学セルにおいて、前記固体電解質材料は、セリウム系酸化物を含む構成としてもよい。本電気化学セルによれば、固体電解質材料が、高い酸化物イオン伝導性を有することとなるため、電気化学セルの性能をさらに向上させることができる。
(3)上記電気化学セルにおいて、前記固体電解質材料は、ランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物を含む構成としてもよい。本電気化学セルによれば、固体電解質材料が、高い酸化物イオン伝導性を有することとなるため、電気化学セルの性能をさらに向上させることができる。
(4)上記電気化学セルにおいて、前記空気極材料は、Coを含有する構成としてもよい。本電気化学セルによれば、空気極材料の電極触媒活性を向上させることによって電気化学セルの性能を向上させることができる。
(5)上記電気化学セルにおいて、前記空気極材料は、Baを含有する構成としてもよい。本電気化学セルによれば、空気極材料の電極触媒活性を向上させることによって電気化学セルの性能を向上させることができる。
(6)上記電気化学セルにおいて、前記空気極材料は、Ba1−xLaCo1−yFe3−δ(ただし、0.3≦x≦0.7、0≦y≦1)を含有する構成としてもよい。本電気化学セルによれば、空気極材料の電極触媒活性を効果的に向上させることによって電気化学セルの性能を効果的に向上させることができる。
(7)上記電気化学セルにおいて、前記中間層の断面において、前記固体電解質材料が形成する開気孔部に前記空気極材料が存在する構成としてもよい。本電気化学セルによれば、アンカー効果により空気極と中間層とが強固に接合され、空気極の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
(8)上記電気化学セルにおいて、前記電解質層の少なくとも一部と、前記中間層に含まれる前記固体電解質材料とは、一体形成品である構成としてもよい。本電気化学セルによれば、電解質層と中間層との間の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
(9)上記電気化学セルにおいて、前記中間層の厚さは、5μm以上、30μm以下である構成としてもよい。本電気化学セルによれば、中間層の厚さを5μm以上とすることにより、中間層内において固体電解質材料と空気極材料との立体的な絡み合いを十分に確保することができ、空気極の剥離を効果的に抑制することができる。また、中間層の厚さを30μm以下とすることにより、中間層の抵抗を抑制して電気化学セルの性能の低下を抑制することができる。
(10)上記電気化学セルにおいて、前記中間層における前記空気極材料の占める割合は、10vol%以上、60vol%以下である構成としてもよい。本電気化学セルによれば、中間層における空気極材料の占める割合を10vol%以上とすることにより、中間層内において固体電解質材料と空気極材料との立体的な絡み合いを十分に確保することができ、空気極の剥離を効果的に抑制することができる。また、中間層における空気極材料の占める割合を60vol%以下とすることにより、中間層に含まれる固体電解質材料の量をある程度以上確保することができ、中間層に含まれる固体電解質材料の量が過少となって中間層内における固体電解質材料のネットワークが希薄となる結果、空気極を支えるだけの強度が得られずに空気極が剥離する、という事態の発生を抑制することができる。
(11)上記電気化学セルにおいて、前記中間層において、前記空気極材料を除いた体積に対する気孔率は、15vol%以上、70vol%以下である構成としてもよい。本電気化学セルによれば、中間層における空気極材料を除いた体積に対する気孔率を15vol%以上とすることにより、中間層内に入り込む空気極材料の量を一定以上確保することができ、空気極の剥離の発生を抑制することができる。また、中間層における空気極材料を除いた体積に対する気孔率を70vol%以下とすることにより、中間層に含まれる固体電解質材料の量をある程度以上確保することができ、中間層に含まれる固体電解質材料の量が過少となって中間層内における固体電解質材料のネットワークが希薄となる結果、空気極を支えるだけの強度が得られずに空気極が剥離する、という事態の発生を抑制することができる。
(12)上記電気化学セルにおいて、前記空気極材料の平均粒子径は、前記中間層の平均気孔径の10%以上、60%以下である構成としてもよい。本電気化学セルによれば、空気極材料の平均粒子径を中間層の平均気孔径の10%以上とすることにより、空気極材料の焼結を抑制することができ、空気極の組織が焼結凝集して空気極の表面積が低下し、電気化学セルの性能が低下する、という事態の発生を抑制することができる。また、空気極材料の平均粒子径を中間層の平均気孔径の60%以下とすることにより、空気極材料を中間層の気孔内に効果的に入り込ませることができ、中間層内において固体電解質材料と空気極材料との立体的な絡み合いを十分に確保して空気極の剥離を効果的に抑制することができる。
(13)上記電気化学セルにおいて、前記空気極材料の熱膨張係数と前記固体電解質材料の熱膨張係数との差は、室温から1000℃において、20×10−6(1/K)以下である構成としてもよい。本電気化学セルによれば、空気極材料の熱膨張係数と固体電解質材料の熱膨張係数との差が過大となることを防止することができ、空気極の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
(14)本明細書に開示される電気化学セルの製造方法は、固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層の一方側に配置された空気極と、前記電解質層の他方側に配置された燃料極と、前記電解質層と前記空気極との間に配置された中間層と、を備える電気化学セルの製造方法において、燃料極成形体の一方側の面に、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料を含む電解質層用スラリーをディップコートにより成膜し、さらにその上に、前記固体電解質材料と造孔材とを含む中間層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極成形体の焼成体である前記燃料極と、前記電解質層用スラリーの焼成体である前記電解質層と、前記中間層用スラリーの焼成体である中間層前駆体と、を備える積層体を形成する工程と、前記積層体における前記中間層前駆体側の表面に、空気極材料を含む空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極と、前記電解質層と、前記中間層前駆体から形成され、前記固体電解質材料と前記空気極材料とを含む前記中間層と、前記空気極用スラリーの焼成体である前記空気極と、を備える前記電気化学セルを形成する工程と、を備える。本電気化学セルの製造方法によれば、電解質層用スラリーと中間層用スラリーとを同時に焼成することより、電解質層に含まれる固体電解質材料と中間層に含まれる固体電解質材料とを強固に接続することができ、両者の剥離の発生を抑制することができる。また、本電気化学セルの製造方法によれば、中間層用スラリーに造孔材を含ませることにより、中間層前駆体を多孔質とすることができ、その中間層前駆体の表面側に空気極用スラリーをディップコートすることにより、中間層前駆体の気孔に空気極材料を入り込ませることができるため、その後に焼成を行うことにより空気極と中間層とを強固に接合することができ、空気極の剥離の発生を抑制することができる。
(15)本明細書に開示される電気化学セルの製造方法は、固体酸化物を含み、第1の電解質構成層と第2の電解質構成層とを含む電解質層と、前記電解質層の一方側に配置された空気極と、前記電解質層の他方側に配置された燃料極と、前記電解質層と前記空気極との間に配置された中間層と、を備える電気化学セルの製造方法において、燃料極成形体の一方側の面に、酸化物イオン伝導性を有する第1の固体電解質材料を含む第1の電解質構成層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極成形体の焼成体である前記燃料極と、前記第1の電解質構成層用スラリーの焼成体である前記第1の電解質構成層と、を備える第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体における前記第1の電解質構成層側の表面に、セリウム系酸化物を含有する第2の固体電解質材料を含む第2の電解質構成層用スラリーをディップコートにより成膜し、さらにその上に、前記第2の固体電解質材料と造孔材とを含む中間層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極と、前記第1の電解質構成層と、前記第2の電解質構成層用スラリーの焼成体である前記第2の電解質構成層と、前記中間層用スラリーの焼成体である中間層前駆体と、を備える第2の積層体を形成する工程と、前記第2の積層体における前記中間層前駆体側の表面に、空気極材料を含む空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極と、前記第1の電解質構成層と、前記第2の電解質構成層と、前記中間層前駆体から形成され、前記第2の固体電解質材料と前記空気極材料とを含む前記中間層と、前記空気極用スラリーの焼成体である前記空気極と、を備える前記電気化学セルを形成する工程と、を備える。本電気化学セルの製造方法によれば、第2の電解質構成層となる第2の電解質構成層用スラリーと中間層となる中間層用スラリーとを同時に焼成することより、第2の電解質構成層に含まれる第2の固体電解質材料と中間層に含まれる第2の固体電解質材料とを強固に接続することができ、両者の剥離の発生を抑制することができる。また、本電気化学セルの製造方法によれば、中間層となる中間層用スラリーに造孔材を含ませることにより、中間層前駆体を多孔質とすることができ、その中間層前駆体の表面側に空気極材料を含む空気極用スラリーをディップコートすることにより、中間層前駆体の気孔に空気極材料を入り込ませることができるため、その後に焼成を行うことにより空気極と中間層とを強固に接合することができ、空気極の剥離の発生を抑制することができる。
(16)上記電気化学セルの製造方法において、前記第1の固体電解質材料は、Zrを含有し、前記空気極材料は、Srを含有することを特徴とする構成としてもよい。本電気化学セルの製造方法によれば、セリウム系酸化物を含有する第2の固体電解質材料を含む中間層の存在により、空気極に含まれるSrが拡散することを抑制することができ、その結果、SrとZrとが反応して空気極と電解質層との間に高抵抗物質(例えば、SZO)が層状に生成されて電気化学セルの性能が低下することを抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学セル、複数の電気化学セルを備える電気化学スタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、燃料電池スタックを備える発電モジュール、発電モジュールを備える燃料電池システム、電解セルスタックを備える水素生成モジュール、水素生成モジュールを備える水素生成システム、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
第1実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 第1実施形態におけるセル110の詳細構成を示す説明図である。 第1実施形態におけるセル110の製造方法の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるセル110の詳細構成を示す説明図である。 第2実施形態におけるセル110の製造方法の一例を示すフローチャートである。 性能評価結果を示す説明図である。 取得画像Ixにおける中間層180の特定方法を示す説明図である。 発電試験の方法を示す説明図である。
A.第1実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、第1実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成(一部省略)を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成(一部省略)を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向といい、Z軸に直交する方向を水平方向というが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
図1から図3に示すように、燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では24個の)セル110と、複数の(本実施形態では8個の)集電部材104と、絶縁多孔体106と、一対のガスシール部材108とを備える。
(セル110の構成)
各セル110は、筒状(チューブ状)の部材である。燃料電池スタック100に含まれる24個のセル110は、各セル110の軸方向が略平行になるように、互いに間隔を空けて配置されている。具体的には、24個のセル110は、水平方向(X軸方向)に3個ずつ並べて配置され、鉛直方向(Z軸方向)に8個ずつ並べて配置されている。
各セル110は、電解質層112と、電解質層112の一方側に配置された空気極(カソード)114と、電解質層112の一方側に配置された燃料極(アノード)116とを備える。なお、後述するように、本実施形態では、各セル110は、さらに電解質層112と空気極114との間に配置された中間層180を備える(図4参照)。本実施形態のセル110は、燃料極116によってセル110を構成する他の層(電解質層112および空気極114等)を支持する燃料極支持形のセルである。
燃料極116は、略円筒状の多孔質部材であり、例えば、Ni(ニッケル)とセラミックス粒子(例えば、YSZの粒子)とのサーメットにより構成されている。Niは、触媒として機能するとともに、燃料極116における電子伝導性を向上させる機能を有する。燃料極116には、セル110の軸方向(Y軸方向)に延びる貫通孔である燃料ガス導通孔117が形成されている。燃料ガス導通孔117には、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入される。
電解質層112は、燃料極116の外周面側に配置された略円筒状の緻密質部材であり、固体酸化物を含むように構成されている。すなわち、本実施形態のセル110は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。電解質層112に含まれる固体酸化物は、例えば、ランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物(例えば、一般式La1−xSrGa1−yMg3−δ(ただし、0.05≦x≦0.3、0≦y≦0.3)で表される酸化物(以下、「LSGM」という))である。
空気極114は、電解質層112の外周面側に配置された略円筒状の多孔質部材であり、空気極材料を含むように構成されている。空気極114に含まれる空気極材料は、例えば、一般式Ba1−xLaCo1−yFe3−δ(ただし、0.3≦x≦0.7、0≦y≦1)で表される酸化物(以下、「BLCF」(ただしy=0のときは「BLC」)という)や、一般式La1−xSrCo1−yFe3−δ(ただし、0.3≦x≦0.7、0≦y≦1)で表される酸化物(以下、「LSCF」(ただしy=0のときは「LSC」)という)である。なお、図2に示すように、空気極114は、セル110の軸方向における両端部には設けられておらず、両端部を除く部分にのみ設けられている。すなわち、セル110の両端部では、電解質層112が、空気極114に覆われずに露出している。
図2に示すように、各セル110の一方の端部(電解質層112が空気極114に覆われずに露出している部分)には、燃料極116が電解質層112に覆われず、代わりに金属シール部材109により覆われている部分が存在する。金属シール部材109は、緻密な金属層であり、ガスシールとして機能すると共に、燃料極116の集電端子として機能する。なお、上下方向に隣り合う2つのセル110の内、一方のセル110において金属シール部材109が設置される端部は、他方のセル110において金属シール部材109が設置される端部とは反対側の端部となっている。
(他の部材の構成)
各集電部材104は、ガス透過性を有する導電性材料により形成されている。図2および図3に示すように、各集電部材104は、各セル110を囲むように形成された3つの円筒部分142と、円筒部分142同士を連結する連結部分144とを含む。水平方向に並ぶ3つのセル110が各集電部材104の3つの円筒部分142内に配置されることにより、それらのセル110が互いに電気的に接続される。また、8つの集電部材104は、絶縁多孔体106を間に挟みつつ、上下方向に並べて配置されている。
図2に示すように、各集電部材104は、Y軸方向に沿って、第1の集電部材104Aと第2の集電部材104Bとに分割されている。第1の集電部材104Aと第2の集電部材104Bとは、両者の間に配置された絶縁部材105によって互いに電気的に絶縁されている。第1の集電部材104Aは、セル110における金属シール部材109が配置された部分の外周面側に配置されており、第2の集電部材104Bは、セル110における空気極114が配置された部分の外周面側に配置されている。
絶縁多孔体106は、多孔質の絶縁性材料(例えば、多孔質の絶縁性セラミックス)により形成されている。図2に示すように、絶縁多孔体106における所定の位置には、上下方向に延びる貫通孔が形成されており、該貫通孔に導電性部材が充填されて導電接続部107が構成されている。この導電接続部107により、上下方向に隣り合う2つのセル110の内、一方のセル110の周囲に配置された第2の集電部材104Bと、他方のセル110の周囲に配置された第1の集電部材104Aとが、電気的に接続されている。そのため、図2において破線の矢印で示すように、あるセル110の燃料極116から空気極114を経て、該セル110の周囲に配置された第2の集電部材104Bと導電接続部107とを通り、該セル110の1つ上側または1つ下側に位置するセル110の周囲に配置された第1の集電部材104Aおよび金属シール部材109を通って燃料極116に至る導電パスEPが形成される。
一対のガスシール部材108は、絶縁性の板状部材であり、例えばガラスにより形成されている。ガスシール部材108には、複数の貫通孔108Aが形成されている。一方のガスシール部材108は、各セル110の軸方向(Y軸方向)の一端付近に配置されており、該ガスシール部材108の各貫通孔108Aに各セル110の一方の端部が挿入されている。また、他方のガスシール部材108は、各セル110の軸方向の他端付近に配置されており、該ガスシール部材108の各貫通孔108Aに各セル110の他方の端部が挿入されている。一対のガスシール部材108によって、燃料電池スタック100内を流通するガスの漏洩が防止される。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図1および図2に示すように、燃料電池スタック100に水素を含む燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、各セル110の燃料極116に形成された燃料ガス導通孔117内に進入する。また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100に酸素を含む酸化剤ガスOG(例えば空気)が供給されると、酸化剤ガスOGは、絶縁多孔体106および集電部材104を透過して、各セル110の空気極114に至る。各セル110の燃料極116に燃料ガスFGが供給され、空気極114に酸化剤ガスOGが供給されると、各セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。各セル110は、集電部材104および上述した導電パスEPにより互いに電気的に接続されており、また、燃料電池スタック100の上側および下側には、図示しない端子部材が設けられている。各セル110における発電により生じた電力は、負極側および正極側の端子部材に接続された導線等を通して外部に取り出される。なお、複数の燃料電池スタック100を所定方向に配列して燃料電池モジュールを構成してもよい。
A−3.セル110の詳細構成:
図4は、第1実施形態におけるセル110の詳細構成を示す説明図である。図4には、図3のX1部におけるセル110のXZ断面構成が拡大して示されていると共に、空気極114と中間層180との境界付近の詳細構成が模式的に示されている。
上述したように、セル110は、電解質層112と空気極114との間に配置された中間層180を備える。中間層180は、多孔質層であり、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料Meと、空気極114の構成材料である空気極材料Mcとを含んでいる。空気極材料Mcは、例えばBLCF、BLC、LSCF、LSCである。また、本実施形態では、中間層180に含まれる固体電解質材料Meは、電解質層112の構成材料と同じであり、例えばLSGMである。また、後述するように、中間層180に含まれる固体電解質材料Meと電解質層112とは、同時焼成により形成された一体形成品である。セル110の形成に使用される空気極材料Mcと固体電解質材料Meとは、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccと固体電解質材料Meの熱膨張係数Ceとの差ΔC(=Cc−Ce)が、室温から1000℃において、5×10−6(1/K)以上となるように選択される。また、セル110の形成に使用される空気極材料Mcと固体電解質材料Meとは、差ΔCが、室温から1000℃において、20×10−6(1/K)以下となるように選択されることが好ましい。
なお、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccは、17×10−6(1/K)以上であることが好ましく、21×10−6(1/K)以上であることがさらに好ましく、23×10−6(1/K)以上であることがより一層好ましい。また、空気極材料Mcは、一般式ABOで表されたときのAサイトにおけるBaの占有率が20%以上のものであることが好ましく、該占有率が50%以上のものであることがさらに好ましく、該占有率が80%以上のものであることがより一層好ましく、該占有率が95%以上のものであることが最も好ましい。また、空気極材料Mcは、一般式ABOで表されたときのBサイトにおけるCoの占有率が20%より高いものであることが好ましく、該占有率が50%以上のものであることがさらに好ましく、該占有率が80%以上のものであることがより一層好ましく、該占有率が95%以上のものであることが最も好ましい。
また、図4に示すように、中間層180の断面において、固体電解質材料Meが形成する開気孔部PO内に、空気極材料Mcが存在している。すなわち、固体電解質材料Meが形成する開気孔部PO内に、空気極114の構成材料と同一の空気極材料Mcが入り込んでいる。なお、中間層180における開気孔部POは、空気極114側に開口している孔である。開気孔部POは、中間層180の特定の断面において空気極114側に開口している必要ななく、中間層180の任意の断面において空気極114側に開口していればよい。また、中間層180における空気極材料Mcの占める割合は、例えば、10vol%以上、60vol%以下であることが好ましい。また、中間層180において、空気極材料Mcを除いた体積に対する気孔率は、例えば、15vol%以上、70vol%以下であることが好ましい。また、中間層180における空気極材料Mcの平均粒子径は、中間層180の平均気孔径の例えば10%以上、60%以下であることが好ましい。また、中間層180の厚さは、例えば、5μm以上、30μm以下であることが好ましい。
なお、中間層180において固体電解質材料Meにより形成される気孔の径は、1μm以上、5μm以下であることが好ましい。また、中間層180において固体電解質材料Meにより形成される気孔の径は、中間層180の厚さの1/10以上、1/2以下であることが好ましい。
A−4.セル110の製造方法:
次に、上述した構成のセル110の製造方法について説明する。図5は、第1実施形態におけるセル110の製造方法の一例を示すフローチャートである。
はじめに、燃料極成形体を作製する(S110)。具体的には、NiO(酸化ニッケル)とセラミックス(例えばYSZ)との混合粉末に、バインダーおよび造孔材を加えて十分に混合し、水を添加することにより、粘土状の混合物を得る。この粘土状の混合物を押出成形機に投入して略円筒状に形成することにより、燃料極成形体を得る。
次に、燃料極成形体の外周側の表面に、電解質層用スラリーと中間層用スラリーとを、順にディップコートによって成膜する(S120)。具体的には、固体電解質材料Me(例えば、LSGM等のランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物)の粉末に、ポリビニルブチラール等に代表されるバインダー、分散剤、可塑剤および溶媒を混合し、電解質層用スラリーを得る。また、電解質層用スラリーと同様のスラリーに造孔材を混合することによって、中間層用スラリーを得る。すなわち、中間層用スラリーも固体電解質材料Meを含んでいる。そして、燃料極成形体の表面を必要に応じてマスキングした後、燃料極成形体を電解質層用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、燃料極成形体の外周側の表面に電解質層用スラリーを成膜する。さらに、電解質層用スラリーが成膜された燃料極成形体を中間層用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、電解質層用スラリーの上に中間層用スラリーを成膜する。
次に、電解質層用スラリーおよび中間層用スラリーが成膜された燃料極成形体の焼成を行う(S130)。具体的には、該燃料極成形体を、例えば1300℃〜1400℃で焼成する。この焼成工程により、燃料極成形体が燃料極116となり、電解質層用スラリーが電解質層112となり、中間層用スラリーが中間層180の前駆体(以下、「中間層前駆体」という)となり、その結果、燃料極116と電解質層112と中間層前駆体とを備える積層体(以下、「積層体L」という)が得られる。上述したように、中間層用スラリーは固体電解質材料Meと造孔材とを含んでいるため、中間層用スラリーにより形成される中間層前駆体は、固体電解質材料Meを含む多孔質体となる。また、電解質層112と中間層前駆体に含まれる固体電解質材料Meとは、同時焼成により形成される一体形成品となる。
次に、積層体Lの中間層前駆体側の表面に、空気極用スラリーをディップコートによって成膜する(S140)。具体的には、空気極材料Mc(例えば、BLCF、BLC、LSCF、LSC)に必要に応じてAg等の他の粉末を混合し、さらにバインダー、分散剤、可塑剤および溶媒を混合して、空気極用スラリーを得る。そして、積層体Lの表面を必要に応じてマスキングした後、積層体Lを空気極用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、積層体Lの中間層前駆体側の表面に空気極用スラリーを成膜する。このとき、多孔質体である中間層前駆体の内部の気孔に、空気極材料Mcを含む空気極用スラリーが入り込む。
次に、空気極用スラリーが成膜された積層体Lの焼成を行う(S150)。具体的には、該積層体Lを、例えば1000℃〜1150℃で焼成する。この焼成工程により、中間層前駆体が中間層180となり、空気極用スラリーが空気極114となり、その結果、燃料極116と電解質層112と中間層180と空気極114とを備える積層体、すなわち、セル110が得られる。上述したように、中間層前駆体は固体電解質材料Meを含む多孔質体であり、中間層前駆体の内部の気孔には、空気極材料Mcを含む空気極用スラリーが入り込んでいる。そのため、中間層前駆体が焼成されて形成される中間層180は、固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含むこととなり、かつ、中間層180の断面において、固体電解質材料Meが形成する開気孔部PO内に空気極材料Mcが存在することとなる。
A−5.第1実施形態の効果:
以上説明したように、第1実施形態のセル110は、固体酸化物を含む電解質層112と、電解質層112の一方側に配置され、空気極材料Mcを含む空気極114と、電解質層112の他方側に配置された燃料極116と、電解質層112と空気極114との間に配置され、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料Meと上記空気極材料Mcとを含む中間層180を備える。また、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccと固体電解質材料Meの熱膨張係数Ceとの差ΔC(=Cc−Ce)は、室温から1000℃において、5×10−6(1/K)以上である。ここで、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccと固体電解質材料Meの熱膨張係数Ceとの差ΔCが5×10−6(1/K)以上である空気極材料Mcは、熱膨張係数Ccが比較的高い材料であり、酸化物イオン伝導性が高い高性能な空気極材料であると言える。従って、本実施形態のセル110では、そのような高性能な空気極材料Mcを用いて空気極114を構成することにより、セル110の発電性能を向上させることができる。また、本実施形態のセル110では、電解質層112と空気極114との間に、固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含む中間層180が配置されているため、そのような熱膨張係数Ccの高い空気極材料Mcを用いて空気極114を構成しても、空気極114の剥離の発生を抑制することができる。
また、本実施形態のセル110では、中間層180の断面において、固体電解質材料Meが形成する開気孔部POに空気極材料Mcが存在するため、アンカー効果により空気極114と中間層180とが強固に接合され、空気極114の剥離の発生を効果的に抑制することができる。また、本実施形態のセル110では、電解質層112と中間層180に含まれる固体電解質材料Meとが一体形成品であるため、電解質層112と中間層180との間の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態のセル110において、中間層180に含まれる固体電解質材料Meは、ランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。このような構成を採用すれば、固体電解質材料Meが、高い酸化物イオン伝導性を有することとなるため、セル110の発電性能をさらに向上させることができる。
また、本実施形態のセル110において、Co(コバルト)を含有する空気極材料Mc(例えば、BLCF、BLC、LSCF、LSC)を採用すると、空気極材料Mcの電極触媒活性を向上させることによってセル110の発電性能を向上させることができるため、好ましい。また、本実施形態のセル110において、Ba(バリウム)を含有する空気極材料Mc(例えば、BLCF、BLC)を採用すると、空気極材料Mcの電極触媒活性を向上させることによってセル110の発電性能を向上させることができるため、好ましい。特に、本実施形態のセル110において、空気極材料Mcとして、一般式Ba1−xLaCo1−yFe3−δ(ただし、0.3≦x≦0.7、0≦y≦1)で表されるBLCFを採用すると、空気極材料Mcの電極触媒活性をより一層向上させることによってセル110の発電性能をより一層向上させることができるため、より一層好ましい。
また、本実施形態のセル110において、中間層180の厚さは5μm以上、30μm以下であることが好ましい。中間層180の厚さを5μm以上とすることにより、中間層180内において固体電解質材料Meと空気極材料Mcとの立体的な絡み合いを十分に確保することができ、空気極114の剥離を効果的に抑制することができる。また、中間層180の厚さを30μm以下とすることにより、中間層180の抵抗を抑制して発電性能の低下を抑制することができる。
また、本実施形態のセル110において、中間層180における空気極材料Mcの占める割合は10vol%以上、60vol%以下であることが好ましい。中間層180における空気極材料Mcの占める割合を10vol%以上とすることにより、中間層180内において固体電解質材料Meと空気極材料Mcとの立体的な絡み合いを十分に確保することができ、空気極114の剥離を効果的に抑制することができる。また、中間層180における空気極材料Mcの占める割合を60vol%以下とすることにより、中間層180に含まれる固体電解質材料Meの量をある程度以上確保することができる。これにより、中間層180に含まれる固体電解質材料Meの量が過少となって中間層180内における固体電解質材料Meのネットワークが希薄となり、その結果、空気極114を支えるだけの強度が得られずに空気極114が剥離する、という事態の発生を抑制することができる。
また、本実施形態のセル110において、中間層における空気極材料Mcを除いた体積に対する気孔率は15vol%以上、70vol%以下であることが好ましい。中間層180における空気極材料Mcを除いた体積に対する気孔率を15vol%以上とすることにより、中間層180内に入り込む空気極材料Mcの量を一定以上確保することができ、空気極114の剥離の発生を抑制することができる。また、中間層180における空気極材料Mcを除いた体積に対する気孔率を70vol%以下とすることにより、中間層180に含まれる固体電解質材料Meの量をある程度以上確保することができる。これにより、中間層180に含まれる固体電解質材料Meの量が過少となって中間層180内における固体電解質材料Meのネットワークが希薄となり、その結果、空気極114を支えるだけの強度が得られずに空気極114が剥離する、という事態の発生を抑制することができる。
また、本実施形態のセル110において、空気極材料Mcの平均粒子径は中間層180の平均気孔径の10%以上、60%以下であることが好ましい。空気極材料Mcの平均粒子径を中間層180の平均気孔径の10%以上とすることにより、空気極材料Mcの焼結を抑制することができる。これにより、空気極114の組織が焼結凝集して空気極114の表面積が低下し、セル110の発電性能が低下する、という事態の発生を抑制することができる。また、空気極材料Mcの平均粒子径を中間層180の平均気孔径の60%以下とすることにより、空気極材料Mcを中間層180の気孔内に効果的に入り込ませることができ、中間層180内において固体電解質材料Meと空気極材料Mcとの立体的な絡み合いを十分に確保して空気極114の剥離を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のセル110において、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccと固体電解質材料Meの熱膨張係数Ceとの差ΔC(=Cc−Ce)は、室温から1000℃において、20×10−6(1/K)以下であることが好ましい。このようにすれば、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccと固体電解質材料Meの熱膨張係数Ceとの差ΔCが過大となることを防止することができ、空気極114の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のセル110の製造方法は、燃料極成形体の一方側の面に、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料Meを含む電解質層用スラリーをディップコートにより成膜し、さらにその上に、固体電解質材料Meと造孔材とを含む中間層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、燃料極成形体の焼成体である燃料極116と、電解質層用スラリーの焼成体である電解質層112と、中間層用スラリーの焼成体である中間層前駆体と、を備える積層体Lを形成する工程(S120,S130)と、積層体Lにおける中間層前駆体側の表面に、空気極材料Mcを含む空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、燃料極116と、電解質層112と、中間層前駆体から形成され、固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含む中間層180と、空気極用スラリーの焼成体である空気極114と、を備えるセル110を形成する工程(S140,S150)とを備える。本実施形態のセル110の製造方法によれば、電解質層用スラリーと中間層用スラリーとを同時に焼成することより、電解質層112に含まれる固体電解質材料Meと中間層180に含まれる固体電解質材料Meとを強固に接続することができ、両者の剥離の発生を抑制することができる。また、本実施形態のセル110の製造方法によれば、中間層用スラリーに造孔材を含ませることにより、中間層前駆体を多孔質とすることができ、その中間層前駆体の表面側に空気極用スラリーをディップコートすることにより、中間層前駆体の気孔に空気極材料Mcを入り込ませることができるため、その後に焼成を行うことにより空気極114と中間層180とを強固に接合することができ、空気極114の剥離の発生を抑制することができる。
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態におけるセル110の詳細構成を示す説明図である。第2実施形態のセル110は、電解質層112の構成が、図4に示す第1実施形態のセル110と異なっている。
すなわち、第2実施形態のセル110では、電解質層112が、第1の電解質構成層191と第2の電解質構成層192との二層構成となっている。第1の電解質構成層191は、燃料極116の外周面側に配置された略円筒状の緻密質部材である。第1の電解質構成層191を構成する固体酸化物は、例えば、YSZ等の安定化ジルコニアである。また、第2の電解質構成層192は、第1の電解質構成層191の外周面側に配置された略円筒状の緻密質部材である。第2の電解質構成層192を構成する固体酸化物は、例えば、ガドリニウムドープセリア(以下、「GDC」という)やサマリウムドープセリア(以下、「SDC」という)等のセリウム系酸化物である。このように、第2実施形態のセル110では、電解質層112が、互いに異なる固体酸化物から構成された複数の電解質構成層(第1の電解質構成層191および第2の電解質構成層192)を含んでいる。
なお、第2実施形態のセル110では、第1実施形態と同様に、中間層180は、多孔質層であり、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料Meと、空気極114の構成材料である空気極材料Mcとを含んでいる。中間層180に含まれる空気極材料Mcは、例えば、BLCF、BLC、LSCF、LSCである。中間層180に含まれる固体電解質材料Meは、第2の電解質構成層192の構成材料と同じであり、例えば、GDCやSDC等のセリウム系酸化物である。中間層180に含まれる固体電解質材料Meと第2の電解質構成層192とは、同時焼成により形成された一体形成品である。セル110の形成に使用される空気極材料Mcと固体電解質材料Meとは、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccと固体電解質材料Meの熱膨張係数Ceとの差ΔC(=Cc−Ce)が、室温から1000℃において、5×10−6(1/K)以上となるように選択される。また、セル110の形成に使用される空気極材料Mcと固体電解質材料Meとは、差ΔCが、室温から1000℃において、20×10−6(1/K)以下となるように選択されることが好ましい。
また、第1の電解質構成層191を構成する固体酸化物として、YSZ等のZr(ジルコニウム)を含む材料が用いられ、かつ、空気極114を構成する空気極材料Mcとして、LSCFやLSC等のSr(ストロンチウム)を含む材料が用いられた場合には、空気極114に含まれるSrが拡散して第1の電解質構成層191に含まれるZrと反応し、第1の電解質構成層191と空気極114との間に高抵抗物質(例えば、SZO)が層状に生成されてセル110の性能が低下するおそれがある。このような場合に、第2の電解質構成層192および中間層180を構成する固体電解質材料Meとして、GDCやSDC等のセリウム系酸化物を用いれば、Srの拡散を抑制することができ、その結果、セル110の性能が低下することを抑制することができる。
また、第2実施形態のセル110では、第1実施形態と同様に、中間層180の断面において、固体電解質材料Meが形成する開気孔部PO内に、空気極材料Mcが存在している。なお、中間層180における空気極材料Mcの占める割合は、例えば、10vol%以上、60vol%以下であることが好ましい。また、中間層180において、空気極材料Mcを除いた体積に対する気孔率は、例えば、15vol%以上、70vol%以下であることが好ましい。また、中間層180における空気極材料Mcの平均粒子径は、中間層180の平均気孔径の例えば10%以上、60%以下であることが好ましい。また、中間層180の厚さは、例えば、5μm以上、30μm以下であることが好ましい。
図7は、第2実施形態におけるセル110の製造方法の一例を示すフローチャートである。はじめに、上記第1実施形態と同様に、燃料極成形体を作製する(S110)。次に、燃料極成形体の外周側の表面に、第1の電解質構成層用スラリーをディップコートによって成膜する(S112)。具体的には、固体電解質材料Me(例えば、YSZ等の安定化ジルコニア)の粉末に、ポリビニルブチラール等に代表されるバインダーと、分散剤、可塑剤、溶媒とを混合し、第1の電解質構成層用スラリーを得る。そして、燃料極成形体の表面を必要に応じてマスキングした後、燃料極成形体を第1の電解質構成層用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、燃料極成形体の外周側の表面に第1の電解質構成層用スラリーを成膜する。
次に、第1の電解質構成層用スラリーが成膜された燃料極成形体の焼成を行う(S114)。具体的には、該燃料極成形体を、例えば1300℃〜1450℃で焼成する。この焼成工程により、燃料極成形体が燃料極116となり、第1の電解質構成層用スラリーが第1の電解質構成層191となり、その結果、燃料極116と第1の電解質構成層191との積層体(以下、「第1の積層体L1」という)が得られる。
次に、第1の積層体L1の第1の電解質構成層191側の表面に、第2の電解質構成層用スラリーと中間層用スラリーとを、順にディップコートによって成膜する(S122)。具体的には、固体電解質材料Me(例えば、GDCやSDC等のセリウム系酸化物)の粉末に、ポリビニルブチラール等に代表されるバインダーと、分散剤、可塑剤、溶媒とを混合し、第2の電解質構成層用スラリーを得る。また、第2の電解質構成層用スラリーと同様のスラリーに造孔材を混合することによって、中間層用スラリーを得る。すなわち、中間層用スラリーも、第2の電解質構成層用スラリーに含まれる固体電解質材料Meを含んでいる。そして、第1の積層体L1の表面を必要に応じてマスキングした後、第1の積層体L1を第2の電解質構成層用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、第1の積層体L1の第1の電解質構成層191側の表面に第2の電解質構成層用スラリーを成膜する。さらに、第2の電解質構成層用スラリーが成膜された第1の積層体L1を中間層用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、第2の電解質構成層用スラリーの上に中間層用スラリーを成膜する。
次に、第2の電解質構成層用スラリーおよび中間層用スラリーが成膜された第1の積層体L1の焼成を行う(S132)。具体的には、該第1の積層体L1を、例えば1200℃〜1250℃で焼成する。この焼成工程により、第2の電解質構成層用スラリーが第2の電解質構成層192となり、中間層用スラリーが中間層180の前駆体(中間層前駆体)となり、その結果、燃料極116と第1の電解質構成層191と第2の電解質構成層192と中間層前駆体とを備える積層体(以下、「第2の積層体L2」という)が得られる。上述したように、中間層用スラリーは、固体電解質材料Meと造孔材とを含んでいるため、中間層用スラリーにより形成される中間層前駆体は、固体電解質材料Meを含む多孔質体となる。また、第2の電解質構成層192と中間層前駆体に含まれる固体電解質材料Meとは、同時焼成により形成される一体形成品となる。
次に、第2の積層体L2の中間層前駆体側の表面に、空気極用スラリーをディップコートによって成膜する(S142)。具体的には、空気極材料Mc(例えば、BLCF、BLC、LSCF、LSC)に必要に応じてAg等の他の粉末を混合し、さらにバインダー、分散剤、可塑剤、溶媒を混合して、空気極用スラリーを得る。そして、第2の積層体L2の表面を必要に応じてマスキングした後、第2の積層体L2を空気極用スラリーに浸漬させ、ゆっくりと取り出すことにより、第2の積層体L2の中間層前駆体側の表面に空気極用スラリーを成膜する。このとき、多孔質体である中間層前駆体の内部の気孔に、空気極材料Mcを含む空気極用スラリーが入り込む。
次に、空気極用スラリーが成膜された第2の積層体L2の焼成を行う(S152)。具体的には、該第2の積層体L2を、例えば1000℃〜1150℃で焼成する。この焼成工程により、中間層前駆体が中間層180となり、空気極用スラリーが空気極114となり、その結果、燃料極116と第1の電解質構成層191と第2の電解質構成層192と中間層180と空気極114とを備える積層体、すなわち、セル110が得られる。上述したように、中間層前駆体は固体電解質材料Meを含む多孔質体であり、中間層前駆体の内部の気孔には、空気極材料Mcを含む空気極用スラリーが入り込んでいる。そのため、中間層前駆体が焼成されて形成される中間層180は、固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含むこととなり、中間層180の断面において、固体電解質材料Meが形成する開気孔部PO内に空気極材料Mcが存在することとなる。
以上説明したように、第2実施形態のセル110は、固体酸化物を含み、第1の電解質構成層191と第2の電解質構成層192とを含む電解質層112と、電解質層112の一方側に配置され、空気極材料Mcを含む空気極114と、電解質層112の他方側に配置された燃料極116と、電解質層112と空気極114との間に配置され、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料Meと上記空気極材料Mcとを含む中間層180を備える。また、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccと固体電解質材料Meの熱膨張係数Ceとの差ΔC(=Cc−Ce)は、室温から1000℃において、5×10−6(1/K)以上である。そのため、第2実施形態のセル110では、第1実施形態のセル110と同様に、熱膨張係数Ccが高く高性能な空気極材料Mcを用いて空気極114を構成することにより、セル110の発電性能を向上させることができると共に、そのような熱膨張係数Ccの高い空気極材料Mcを用いて空気極114を構成しても、空気極114の剥離の発生を抑制することができる。
また、第2実施形態のセル110では、第1実施形態のセル110と同様に、中間層180の断面において、固体電解質材料Meが形成する開気孔部POに空気極材料Mcが存在するため、アンカー効果により空気極114と中間層180とが強固に接合され、空気極114の剥離の発生を効果的に抑制することができる。また、第2実施形態のセル110では、第1実施形態のセル110と同様に、電解質層112を構成する第2の電解質構成層192と中間層180に含まれる固体電解質材料Meとが一体形成品であるため、第2の電解質構成層192と中間層180との間の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
なお、第2実施形態のセル110において、中間層180に含まれる固体電解質材料Meは、セリウム系酸化物を含むことが好ましい。このような構成を採用すれば、固体電解質材料Meが、高い酸化物イオン伝導性を有することとなるため、セル110の発電性能をさらに向上させることができる。
また、第2実施形態のセル110の製造方法は、燃料極成形体の一方側の面に、酸化物イオン伝導性を有する第1の固体電解質材料を含む第1の電解質構成層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、燃料極成形体の焼成体である燃料極116と、第1の電解質構成層用スラリーの焼成体である第1の電解質構成層191と、を備える第1の積層体L1を形成する工程(S112,S114)と、第1の積層体L1における第1の電解質構成層191側の表面に、セリウム系酸化物を含有する第2の固体電解質材料Meを含む第2の電解質構成層用スラリーをディップコートにより成膜し、さらにその上に、第2の固体電解質材料Meと造孔材とを含む中間層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、燃料極116と、第1の電解質構成層191と、第2の電解質構成層用スラリーの焼成体である第2の電解質構成層192と、中間層用スラリーの焼成体である中間層前駆体と、を備える第2の積層体L2を形成する工程(S122,S132)と、第2の積層体L2における中間層前駆体側の表面に、空気極材料Mcを含む空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、燃料極116と、第1の電解質構成層191と、第2の電解質構成層192と、中間層前駆体から形成され、第2の固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含む中間層180と、空気極用スラリーの焼成体である空気極114と、を備えるセル110を形成する工程(S152)とを備える。本実施形態のセル110の製造方法によれば、第2の電解質構成層192となる第2の電解質構成層用スラリーと中間層180となる中間層用スラリーとを同時に焼成することより、第2の電解質構成層192に含まれる第2の固体電解質材料Meと中間層180に含まれる第2の固体電解質材料Meとを強固に接続することができ、両者の剥離の発生を抑制することができる。また、本実施形態のセル110の製造方法によれば、中間層180となる中間層用スラリーに造孔材を含ませることにより、中間層前駆体を多孔質とすることができ、その中間層前駆体の表面側に空気極材料Mcを含む空気極用スラリーをディップコートすることにより、中間層前駆体の気孔に空気極材料Mcを入り込ませることができるため、その後に焼成を行うことにより空気極114と中間層180とを強固に接合することができ、空気極114の剥離の発生を抑制することができる。
また、第2実施形態において、第1の電解質構成層191の構成材料である第1の固体電解質材料はZrを含有し、空気極材料McはSrを含有するとしてもよい。このような構成では、セリウム系酸化物を含有する第2の固体電解質材料Meを含む中間層180の存在により、空気極114に含まれるSrが拡散することを抑制することができ、その結果、SrとZrとが反応して空気極114と電解質層112(第1の電解質構成層191)との間に高抵抗物質(例えば、SZO)が層状に生成されてセル110の性能が低下することを抑制することができる。
なお、第2実施形態のセル110は、その他、空気極114や中間層180等の構成に関し、上述した第1実施形態のセル110の構成と同様の構成を有すれば、上述した第1実施形態のセル110が奏する効果を同様に奏する。
C.セル110の性能評価:
上述した第1実施形態および第2実施形態のセル110のサンプルを複数作製し、作製された複数のセル110のサンプルを用いて各種性能評価を行った。図8は、性能評価結果を示す説明図である。
C−1.各サンプルについて:
図8に示すように、各サンプルでは、空気極114、電解質層112および中間層180の構成が互いに異なっている。具体的には、サンプル1,2,8では、上述した第2実施形態のように、電解質層112の構成が、第1の電解質構成層191と第2の電解質構成層192との二層構成となっている。これらのサンプルでは、第1の電解質構成層191がYSZにより構成され、第2の電解質構成層192がGDCにより構成されている。一方、サンプル3〜7,9〜18では、上述した第1実施形態のように、電解質層112が単層構成となっている。これらのサンプルでは、電解質層112がLSGMにより構成されている。なお、サンプル10では、空気極114と電解質層112との間に中間層180が設けられていない。
また、各サンプルでは、空気極114および中間層180に含まれる空気極材料Mcが、互いに異なっている。各サンプルにおける空気極材料Mcは、BLCF、BLC、LSCF、LSCのいずれかである。各サンプルでは、使用される空気極材料Mcが互いに異なっているため、空気極材料Mcの熱膨張係数Cc(1/K)と、固体電解質材料Me(電解質層112が二層構成のサンプルについては第2の電解質構成層192を構成する固体電解質材料Me)の熱膨張係数Ce(1/K)との差である熱膨張係数差ΔC(=Cc−Ce)が互いに異なっている。
さらに、各サンプルでは、中間層180に関する各種構成、具体的には、中間層180の厚さ(μm)、中間層180における空気極材料Mcの体積比率(vol%)、中間層180における空気極材料Mcを除いた体積に対する気孔率(vol%)、中間層180の平均気孔径に対する空気極材料Mcの平均粒子径の比率(%)が互いに異なっている。
(各サンプルの作製方法)
各サンプルのセル110を、上述した第1実施形態または第2実施形態において説明した製造方法に従って作製した。各サンプルのセル110の詳細な作製方法は、以下の通りである。
(燃料極成形体の作製)
はじめに、作製されたサンプルのセル110の燃料極116が還元された状態においてNi:YSZの体積比(vol%)が50:50となるように、NiOとY0.16Zr0.842−δ(以下、本項(「C.セル110の性能評価」)において「YSZ」という)とを秤量して混合することにより、NiOとYSZとの混合粉末を作製した。この混合粉末とセルロース系バインダーとを十分に混合した後、水を添加して粘土体を得た。この粘土体を押出成形機に投入して、外径2.5mmの円筒状の燃料極成形体を得た。
(サンプル3〜7,9〜18について)
固体電解質材料MeとしてのLa0.9Sr0.1Ga0.9Mg0.13−δ(以下、本項において「LSGM」という)の粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤と、溶媒としてのメチルエチルケトンおよびエタノールとを混合して作製した電解質層用スラリーと、この電解質層用スラリーにアクリル系造孔材を混合して作製した中間層用スラリーとを準備した。また、空気極材料Mcを含む空気極用スラリーを準備した。サンプル3,9,10では、空気極材料Mcとして、Ba0.6La0.4CoO3−δ(以下、本項において「BLC」という)が採用された。サンプル4〜6,11〜17では、空気極材料Mcとして、Ba0.6La0.4Co0.2Fe0.83−δ、Ba0.4La0.6Co0.2Fe0.83−δ、Ba0.6La0.4Co0.8Fe0.23−δのいずれか(以下、本項において「BLCF」という)が採用された。サンプル7では、空気極材料Mcとして、La0.6Sr0.4CoO3−δ(以下、本項において「LSC」という)が採用された。サンプル18では、空気極材料Mcとして、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−δ(以下、本項において「LSCF」という)が採用された。
電解質層用スラリーと中間層用スラリーとを、この順に燃料極成形体の一方の面にディップコートにより成膜し、同時焼成を行うことにより、燃料極116と電解質層112と中間層前駆体とから構成された積層体Lを得た。得られた積層体Lの中間層前駆体側の表面に、空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことにより、燃料極116と電解質層112と中間層180と空気極114とから構成されたセル110を得た。
(サンプル1,2,8について)
YSZの粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤と、溶媒としてのメチルエチルケトンおよびエタノールとを混合して作製した第1の電解質構成層用スラリーを準備した。また、固体電解質材料MeとしてのGd0.1Ce0.92−δ(以下、本項において「GDC」という)の粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤と、溶媒としてのメチルエチルケトンおよびエタノールとを混合して作製した第2の電解質構成層用スラリーと、この第2の電解質構成層用スラリーにアクリル系造孔材を混合して作製した中間層用スラリーとを準備した。また、空気極材料Mcを含む空気極用スラリーを準備した。空気極材料Mcとして、サンプル1ではBLCが採用され、サンプル2ではBLCFが採用され、サンプル8ではLSCが採用された。
第1の電解質構成層用スラリーを燃料極成形体の一方の面にディップコートにより成膜し、同時焼成を行うことにより、燃料極116と第1の電解質構成層191とから構成された第1の積層体L1を得た。得られた第1の積層体L1の第1の電解質構成層191側の表面に、第2の電解質構成層用スラリーと中間層用スラリーとを、この順にディップコートにより成膜し、同時焼成を行うことにより、燃料極116と第1の電解質構成層191と第2の電解質構成層192と中間層前駆体とから構成された第2の積層体L2を得た。得られた第2の積層体L2の中間層前駆体側の表面に空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことにより、燃料極116と第1の電解質構成層191と第2の電解質構成層192と中間層180と空気極114とから構成されたセル110を得た。
(サンプル19について)
固体電解質材料MeとしてのLSGMの粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤と、溶媒としてのメチルエチルケトンおよびエタノールとを混合して作製した電解質層用スラリーと、空気極材料McとしてのBLCFを含む空気極用スラリーとを準備した。電解質層用スラリーを燃料極成形体の一方の面にディップコートにより成膜し、同時焼成を行うことにより、燃料極116と電解質層112とから構成された積層体を得た。得られた積層体の電解質層側の表面に、空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことにより、燃料極116と電解質層112と空気極114とから構成されたセル110を得た。
(サンプルの分析方法)
作製された各サンプルのセル110を以下の方法に従い分析した。すなわち、各サンプルのセル110を所定の長さに切断し、エポキシ樹脂に埋め込んで固化した後、各層の積層方向に略平行な断面が観察できるように切断して、鏡面状に研磨した。その後、研磨面(観察面)にカーボン蒸着を行った後、電子線プローブマイクロアナリシス(以下、「EPMA」という)により、中間層180についての画像取得および元素マッピング分析を行った。取得された画像を二値化処理し、中間層180における空気極材料Mcの体積比率や、中間層180における気孔率を算出した。また、切断法(インターセプト法)を用いて、空気極材料Mcの平均粒子径や、中間層180の平均気孔径を算出した。インターセプト法による平均粒子径および平均気孔径の算出の際には、各粒子や各気孔が略球形状であると仮定し、取得画像における空気極114や中間層180上に引いた線が各粒子や各気孔を横切る長さの平均値を1.5倍することによって、平均粒子径および平均気孔径を算出した。
なお、取得画像における中間層180の特定は、以下の方法に従い行った。図9は、取得画像Ixにおける中間層180の特定方法を示す説明図である。はじめに、セル110のZ軸方向(上下方向)に平行な断面視において、50μm×50μm(すなわち、厚さ5〜30μmの中間層180の厚さ方向の全体が入る大きさ)の視野範囲で、空気極材料Mcと固体電解質材料Meとの境界付近を観察し、該視野範囲の取得画像Ixを固体電解質材料Meと固体電解質材料Me以外の部分とに二値化する。得られた二値化画像の空気極材料Mc側(上側)において、固体電解質材料Meの縁を表す曲線における複数の極大点(上側の頂点)の内、最も上側に位置する第1の極大点P1と、最も下側に位置する第2の極大点P2とを結んだ直線を、第1の境界線BL1とする。また、第1の境界線BL1の下側に、第1の境界線BL1に平行な直線SLを1μmピッチで複数設定し、各直線SLの全体長さに対する各直線SL上の固体電解質材料Me以外の材料が占める長さの割合を算出し、該割合が15%以上であり、かつ、最も第1の境界線BL1から離れた直線SLを、第2の境界線BL2とする。第1の境界線BL1と第2の境界線BL2との間の領域を中間層180と規定する。
また、空気極材料Mcや固体電解質材料Meの熱膨張係数Cc,Ceの測定は、以下の方法に従い行った。すなわち、空気極材料Mcまたは固体電解質材料Meの粉末を、油圧で加圧可能な一軸式ハンドプレス機にて所望の四角柱状にプレス成型し、静水圧プレス機にて1500kg/cmの圧力を加えたのち、1100℃で1時間焼成した。その後、長さが20mmとなるように加工して、熱膨張率測定装置(株式会社リガク製 TMA−8310)を用いて、室温〜1000℃までの熱膨張係数Cc,Ceを測定した。
C−2.評価項目および評価方法:
本性能評価では、剥離試験および発電試験を行った。
(剥離試験)
作製した各サンプルのセル110における空気極114の表面に市販のセロハン粘着テープを貼り、セロハン粘着テープを剥がす際の空気極114の剥離の有無を確認した。
(発電試験)
図10に示すように、作製した各サンプルのセル110について、燃料極116が露出した部分に第1銀線201および第3銀線203を巻き付け、銀ペーストを塗布することにより、燃料極端子を形成した。また、セル110における空気極114が形成された部分を白金網205で覆い、白金網205上に第2銀線202および第4銀線204を接続し、白金網205上に集電用の導電性ペーストを塗布して電気炉210で焼き付けることにより、空気極端子を形成した。また、各セル110の両端における中間層180および電解質層112の露出部分を、ガラス材料206によりガスシール固定した。
その後、セル110を電気炉210内に設置し、第1銀線201および第2銀線202を介して、セル110に電圧計224を接続すると共に、第3銀線203および第4銀線204を介して、セル110にインピーダンス測定装置(solartron社製 Sl1287、1255B)222を接続した。また、セル110の温度を測定するため、空気極114の外表面から2mm離れた位置に熱電対208を設置した。
そして、燃料極116側に窒素ガス、空気極114側に空気(Air)を連続でフローし、電気炉210を700℃まで昇温した後、燃料極116側の窒素ガスを水素ガス(H)に切り替えて燃料極116の還元処理を行った。
還元処理後、電気炉210の温度を600℃まで降温し、600℃におけるセル110のIV曲線(電流電圧曲線)を測定した。測定により得られたIV曲線より、電流密度0.1A/cmにおける電圧値(V)を読み取り、下記式(1)によってセル110の発電出力(W/cm)を算出した。
セル110の発電出力(W/cm)=電流密度(=0.1A/cm)×電圧(V)・・・・(1)
C−3.評価結果:
図8に示すように、サンプル19では、剥離試験において空気極114の剥離が発生した。サンプル19では、空気極114と電解質層112との間に中間層180が存在しないため、空気極114と電解質層112との接合性が悪く、空気極114の剥離が発生したものと考えられる。サンプル19では、空気極114の剥離が発生したため、発電試験は実行できなかった。
一方、それ以外のサンプル(サンプル1〜18)では、空気極114の完全な剥離は見られなかった。サンプル1〜18では、電解質層112と空気極114との間に、固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含む中間層180を備えるため、空気極114の剥離を抑制できたものと考えられる。
また、サンプル3〜7,18では、電解質層112の構成が同一である一方、空気極114の構成(使用される空気極材料Mc)が互いに異なるため、空気極114の構成の違いによるセル110の性能への影響を検証することができる。空気極材料McとしてBLC、BLCF、LSCのいずれかが採用されたサンプル3〜7では、空気極材料McとしてLSCFが採用されたサンプル18と比較して発電出力が高く、空気極114の性能が比較的高いことが確認された。なお、サンプル3〜7の中でも、サンプル3において空気極114の性能が特に高かった。また、空気極材料McとしてBLCFが採用されたサンプル4〜6の中では、サンプル6において空気極114の性能が特に高かった。サンプル3〜7では、空気極材料Mcの組成においてBa(バリウム)やCo(コバルト)が多く含まれ、その中でも、サンプル3やサンプル6では、空気極材料Mcの組成におけるBaやCoの含有割合が高い。一般に、BaやCoを多く含有する空気極材料Mcは、触媒活性が高い。サンプル3〜7(特に、サンプル3,6)では、空気極114を構成する空気極材料Mcとして、BaやCoを多く含有する空気極材料Mcが採用されているため、空気極114の性能を向上させることができ、ひいてはセル110の発電性能を向上させることができたものと考えられる。
一方、BaやCoを多く含有する空気極材料Mcは、熱膨張係数が高い傾向にある。そのため、そのような空気極材料Mcにより空気極114を構成すると、空気極114の熱膨張係数と電解質層112の熱膨張係数との差が大きくなり、空気極114の剥離が発生するおそれがある。しかし、サンプル3〜7では、電解質層112と空気極114との間に、固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含む中間層180が設けられているため、熱膨張係数が高い空気極材料Mcにより空気極114を構成しても、空気極114の剥離を抑制することができたものと考えられる。
また、サンプル1,2,8では、上述した第2実施形態のように、電解質層112が、YSZにより構成された第1の電解質構成層191と、GDCにより構成された第2の電解質構成層192との二層構成となっている。このような形態のサンプルにおいても、セル110の高い発電性能を実現しつつ、空気極114の剥離は見られなかった。このような形態のサンプルにおいても、電解質層112の第1の電解質構成層191と空気極114との間に固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含む中間層180が設けられているため、空気極114の剥離を抑制できたものと考えられる。
また、サンプル9,10では、空気極114の剥離は見られなかったが、他のサンプルと比較して発電出力がやや低かった。サンプル9,10では、他のサンプルと比較して中間層180の厚さがやや厚いため、中間層180の抵抗が大きくなり、発電出力が低下したものと考えられる。特に、サンプル10では、発電出力が低かった。その結果から、中間層180の厚さは30μm以下であることが好ましく、28μm未満であることがさらに好ましいと言える。
また、サンプル11〜16では、空気極114の一部に剥離が見られた。また、サンプル11〜16では、電解質層112および空気極114の構成が同じであるサンプル4と比較して、発電出力が低かった。サンプル11〜16では、空気極114の一部に剥離が発生した結果、発電出力が低くなったものと考えられる。
なお、サンプル11〜16における空気極114の一部剥離の発生原因は、以下の通りであると考えられる。すなわち、サンプル11では、中間層180の膜厚が厚さ5μm未満と薄いため、中間層180内において固体電解質材料Meと空気極材料Mcとの立体的な絡み合いが十分ではなく、空気極114の一部剥離につながったものと考えられる。この結果から、中間層180の厚さは5μm以上であることが好ましいと言える。
また、サンプル12では、中間層180における空気極材料Mcの占める割合が10vol%未満と低いため、中間層180内において固体電解質材料Meに絡み合う空気極材料Mcの量が十分でなく、強固な空気極114の接合ができなくなって空気極114の一部剥離につながったものと考えられる。また、サンプル13では、中間層180における空気極材料Mcの占める割合が60vol%超と高く、中間層180に含まれる固体電解質材料Meの量が少ないため、中間層180内における固体電解質材料Meのネットワークが希薄となり、空気極114を支えるだけの強度を得ることができなかったため、空気極114の一部剥離につながったものと考えられる。この結果から、中間層180における空気極材料Mcの占める割合は、10vol%以上、60vol%以下であることが好ましいと言える。
また、サンプル14では、中間層180における空気極材料Mcを除いた気孔率が70vol%超と高く、中間層180に含まれる固体電解質材料Meの量が少ないため、中間層180内における固体電解質材料Meのネットワークが希薄となり、空気極114を支えるだけの強度を得ることができなかったため、空気極114の一部剥離につながったものと考えられる。また、サンプル15では、中間層180における空気極材料Mcを除いた気孔率が15vol%未満と低く、中間層180内において固体電解質材料Meにより形成される気孔に入り込む空気極材料Mcの量が十分ではないため、空気極114の一部剥離につながったものと考えられる。この結果から、中間層180における空気極材料Mcを除いた気孔率は、15vol%以上、70vol%以下であることが好ましいと言える。
また、サンプル16では、中間層180内に存在する空気極材料Mcの粒子径が、中間層180内の固体電解質材料Meにより形成された気孔の径に対し、60%超と大きいため、空気極材料Mcが中間層180内の気孔に効果的に入り込むことができず、固体電解質材料Meに絡み合う空気極材料Mcの量が十分ではなく、空気極114の一部剥離につながったものと考えられる。また、サンプル17では、空気極114の剥離は見られなかったものの、電解質層112および空気極114の構成が同じであるサンプル4と比較して、発電出力が低かった。サンプル17では、中間層180内に存在する空気極材料Mcの粒子径が、中間層180内の固体電解質材料Meにより形成された気孔の径に対し、10%未満と小さいため、空気極材料Mcが焼結してしまい、空気極114の組織が焼結凝集することで空気極114の表面積が低下し、発電性能が低下したものと考えられる。この結果、空気極材料Mcの平均粒子径は、中間層180の平均気孔径の10%以上、60%以下であることが好ましいと言える。
D.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における燃料電池スタック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれるセル110の個数は、あくまで一例であり、セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、燃料電池スタック100を構成する複数のセル110のすべてにおいて、上記実施形態において説明したセル110の構成が採用されている必要はなく、燃料電池スタック100を構成する複数のセル110の少なくとも1つにおいて、上記実施形態において説明したセル110の構成が採用されていれば、該セル110に関して上述した効果を得ることができる。また、上記実施形態では、燃料電池スタック100は複数の円筒型のセル110が並べて配置された構成であるが、本発明は、平板型のセルや、複数の平板型のセルが並べて配置された燃料電池スタックにも同様に適用可能である。
また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。例えば、上記実施形態では、中間層180に含まれる固体電解質材料Meは電解質層112(または第2の電解質構成層192)に含まれる固体電解質材料Meと同一種類の固体酸化物であるとしているが、中間層180に含まれる固体電解質材料Meは電解質層112(または第2の電解質構成層192)に含まれる固体電解質材料Meとは異なる種類の固体酸化物であるとしてもよい。また、上記実施例において、固体電解質材料Meとして、LSGMCが用いられてもよいし、空気極材料Mcとして、BSCFが用いられてもよい。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(SOEC)や、複数の電解セルを備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号公報に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、セル110を電解セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加される。これにより、各電解セルにおいて水の電気分解反応が起こり、燃料極116で水素ガスが発生し、電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セルおよび電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様に、電解質層112と空気極114との間に、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料Meと空気極材料Mcとを含む中間層180を配置し、空気極材料Mcの熱膨張係数Ccと固体電解質材料Meの熱膨張係数Ceとの差を、室温から1000℃において、5×10−6(1/K)以上とすれば、中間層180の存在によって空気極114の剥離の発生を抑制しつつ、高性能な空気極材料Mcを用いて空気極114を構成することにより電解セルの性能を向上させることができる。
100:燃料電池スタック 104:集電部材 104A:第1の集電部材 104B:第2の集電部材 105:絶縁部材 106:絶縁多孔体 107:導電接続部 108:ガスシール部材 108A:貫通孔 109:金属シール部材 110:セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 117:燃料ガス導通孔 142:円筒部分 144:連結部分 180:中間層 191:第1の電解質構成層 192:第2の電解質構成層 201:第1銀線 202:第2銀線 203:第3銀線 204:第4銀線 205:白金網 206:ガラス材料 208:熱電対 210:電気炉 222:インピーダンス測定装置 224:電圧計

Claims (19)

  1. 固体酸化物を含む電解質層と、
    前記電解質層の一方側に配置され、空気極材料を含む空気極と、
    前記電解質層の他方側に配置された燃料極と、
    を備える電気化学セルにおいて、さらに、
    前記電解質層と前記空気極との間に配置され、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料と、前記空気極材料と、を含む中間層を備え、
    前記空気極材料の熱膨張係数と前記固体電解質材料の熱膨張係数との差は、室温から1000℃において、5×10−6(1/K)以上であることを特徴とする、電気化学セル。
  2. 請求項1に記載の電気化学セルにおいて、
    前記固体電解質材料は、セリウム系酸化物を含むことを特徴とする、電気化学セル。
  3. 請求項1に記載の電気化学セルにおいて、
    前記固体電解質材料は、ランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物を含むことを特徴とする、電気化学セル。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記空気極材料は、Coを含有することを特徴とする、電気化学セル。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記空気極材料は、Baを含有することを特徴とする、電気化学セル。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記空気極材料は、Ba1−xLaCo1−yFe3−δ(ただし、0.3≦x≦0.7、0≦y≦1)を含有することを特徴とする、電気化学セル。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記中間層の断面において、前記固体電解質材料が形成する開気孔部に前記空気極材料が存在することを特徴とする、電気化学セル。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記電解質層の少なくとも一部と、前記中間層に含まれる前記固体電解質材料とは、一体形成品であることを特徴とする、電気化学セル。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記中間層の厚さは、5μm以上、30μm以下であることを特徴とする、電気化学セル。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記中間層における前記空気極材料の占める割合は、10vol%以上、60vol%以下であることを特徴とする、電気化学セル。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記中間層において、前記空気極材料を除いた体積に対する気孔率は、15vol%以上、70vol%以下であることを特徴とする、電気化学セル。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記空気極材料の平均粒子径は、前記中間層の平均気孔径の10%以上、60%以下であることを特徴とする、電気化学セル。
  13. 請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記空気極材料の熱膨張係数と前記固体電解質材料の熱膨張係数との差は、室温から1000℃において、20×10−6(1/K)以下であることを特徴とする、電気化学セル。
  14. 請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の電気化学セルにおいて、
    前記電気化学セルは、固体酸化物形燃料電池用のセル、または、固体酸化物形電解セル用のセルであることを特徴とする、電気化学セル。
  15. 複数の電気化学セルを備える電気化学スタックにおいて、
    前記複数の電気化学セルの少なくとも1つは、請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の電気化学セルであることを特徴とする、電気化学スタック。
  16. 請求項15に記載の電気化学スタックにおいて、
    前記電気化学スタックは、固体酸化物形燃料電池用のスタック、または、固体酸化物形電解セル用のスタックであることを特徴とする、電気化学スタック。
  17. 固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層の一方側に配置された空気極と、前記電解質層の他方側に配置された燃料極と、前記電解質層と前記空気極との間に配置された中間層と、を備える電気化学セルの製造方法において、
    燃料極成形体の一方側の面に、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質材料を含む電解質層用スラリーをディップコートにより成膜し、さらにその上に、前記固体電解質材料と造孔材とを含む中間層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極成形体の焼成体である前記燃料極と、前記電解質層用スラリーの焼成体である前記電解質層と、前記中間層用スラリーの焼成体である中間層前駆体と、を備える積層体を形成する工程と、
    前記積層体における前記中間層前駆体側の表面に、空気極材料を含む空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極と、前記電解質層と、前記中間層前駆体から形成され、前記固体電解質材料と前記空気極材料とを含む前記中間層と、前記空気極用スラリーの焼成体である前記空気極と、を備える前記電気化学セルを形成する工程と、
    を備えることを特徴とする、電気化学セルの製造方法。
  18. 固体酸化物を含み、第1の電解質構成層と第2の電解質構成層とを含む電解質層と、前記電解質層の一方側に配置された空気極と、前記電解質層の他方側に配置された燃料極と、前記電解質層と前記空気極との間に配置された中間層と、を備える電気化学セルの製造方法において、
    燃料極成形体の一方側の面に、酸化物イオン伝導性を有する第1の固体電解質材料を含む第1の電解質構成層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極成形体の焼成体である前記燃料極と、前記第1の電解質構成層用スラリーの焼成体である前記第1の電解質構成層と、を備える第1の積層体を形成する工程と、
    前記第1の積層体における前記第1の電解質構成層側の表面に、セリウム系酸化物を含有する第2の固体電解質材料を含む第2の電解質構成層用スラリーをディップコートにより成膜し、さらにその上に、前記第2の固体電解質材料と造孔材とを含む中間層用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極と、前記第1の電解質構成層と、前記第2の電解質構成層用スラリーの焼成体である前記第2の電解質構成層と、前記中間層用スラリーの焼成体である中間層前駆体と、を備える第2の積層体を形成する工程と、
    前記第2の積層体における前記中間層前駆体側の表面に、空気極材料を含む空気極用スラリーをディップコートにより成膜し、焼成を行うことによって、前記燃料極と、前記第1の電解質構成層と、前記第2の電解質構成層と、前記中間層前駆体から形成され、前記第2の固体電解質材料と前記空気極材料とを含む前記中間層と、前記空気極用スラリーの焼成体である前記空気極と、を備える前記電気化学セルを形成する工程と、
    を備えることを特徴とする、電気化学セルの製造方法。
  19. 請求項18に記載の電気化学セルの製造方法において、
    前記第1の固体電解質材料は、Zrを含有し、
    前記空気極材料は、Srを含有することを特徴とする、電気化学セルの製造方法。
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