JP4111325B2 - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸化物形燃料電池に関し、更に詳しくは、都市における分散形電源、コジェネレーションシステム等に好適に用いられる固体酸化物形燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」という。)は、電解質として酸素イオン導電性を有する固体電解質を用いた燃料電池である。このSOFCの基本構造は、通常、空気極/固体電解質/燃料極の3層を積層して接合した単セルより構成される。
【0003】
この単セルの燃料極に燃料ガス(水素、一酸化炭素、メタン等)、空気極に酸化剤ガス(空気、酸素等)が供給されると、空気極側の酸素分圧と燃料極側の酸素分圧との間に差が生じることから、酸素は、空気極においてイオンとなり、固体電解質内を通って燃料極側に移動し、燃料極に達した酸素イオンは、燃料ガスと反応して電子を放出する。そのため、燃料極及び空気極に負荷を接続すれば、電池反応の自由エネルギーの変化を、直接、電気エネルギーとして取り出して発電することができる。
【0004】
このような単セルの構造を幾何学的な形状により分類すると、管状型と平面型とに分類することができる。この内、管状単セルには、管の内側から外側に向かって空気極/固体電解質/燃料極が接合され、内側に酸化剤ガスを外側に燃料ガスを流す形式と、管の内側から外側に向かって燃料極/固体電解質/空気極が接合され、内側に燃料ガスを外側に酸化剤ガスを流す形式とが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
図13は、(内側)空気極/固体電解質/燃料極(外側)形式の従来の管状単セル構造とその断面を示した図である。図13に示すように、管状単セル100は、(La,Sr)MnO3等の材料から管状に形成された多孔質空気極管101(空気極が電極と支持の2つの機能を有する)の外側面にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の材料からなる固体電解質層102が接合され、さらにこの固体電解質層102の外側面にNi−YSZサーメット等からなる燃料極層103が接合されて構成されている。また、空気極の電流端子を管の外側に取り出すため、LaCrO3等の材料からなるインターコネクタ104が管の全長にわたって設けられている。
【0006】
そして図14に示すように、上記構成を有する管状単セル100が複数本直列、並列に束ねられて集積体とされることにより、高い電圧と大電流を取り出すことが可能となる。すなわち、上側の管状単セル100の燃料極層103と下側の管状単セル100のインターコネクタ104とは、ニッケルフェルト105を介して直列に接続され、左右の管状単セル100の燃料極層103同士は、ニッケルフェルト105を介して並列に接続される。
【0007】
さらに、上側の管状単セル100のインターコネクタ104と上側集電板106、下側の管状単セル100の燃料極層103と下側集電板107とは、それぞれニッケルフェルト105を介して電気的に接続される。このように接続されることにより、上側集電板106にはセル全体のプラス出力電圧が、下側集電板107にはセル全体のマイナス出力電圧が出力される(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
これに対して、図15は、(内側)燃料極/固体電解質/空気極(外側)形式の従来の管状単セル構造とその断面を示した図である。図15に示すように、管状単セル110は、Ni−YSZサーメット等の材料から管状に形成された多孔質燃料極管111(燃料極が電極と支持の2つの機能を有する)の外側面にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の材料からなる固体電解質層112が接合され、さらにこの固体電解質層112の外側面に(La,Sr)MnO3等からなる空気極層113が接合されて構成されている。
【0009】
そして図16に示すように、外側の空気極層113の表面には、集電用の銀ワイヤー114が螺旋状に巻回されるとともに、内側の多孔質燃料極管111の表面には、集電用のNiワイヤー115が螺旋状に巻回されている。これにより、銀ワイヤー114にはセル全体のプラス出力電圧が、Niワイヤー115にはセル全体のマイナス出力電圧が出力される。そして、管状単セル110の銀ワイヤー114と隣り合う管状単セル110のNiワイヤー115とを逐次結線116すれば、各管状単セル110が直列に接続された集積体を得ることができる(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
さらには、図17に示すように、自立した管状の固体電解質117を支持管とし、その内側に燃料極層118、外側に空気極層119が接合されるとともに、外側の空気極層119の表面、内側の燃料極層118の表面に集電用のワイヤー120が螺旋状に巻回された管状単セル121も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
【非特許文献1】
田川博章 著,「固体酸化物形燃料電池と地球環境」,第1版,株式会社アグネ承風社,1998年6月20日,p.247−248
【特許文献1】
特開2002−260706号公報
【特許文献2】
国際公開第01/91218号パンフレット
【特許文献3】
特表平8−507896号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料極が外側にある従来の管状単セルを複数本束ねて集積体とするには、複数本の管状単セルにおけるインターコネクタ−燃料極間、燃料極−燃料極間等にニッケルフェルトを介在させた状態で焼き付ける必要があるため、発電装置の製造工程が複雑となり、しかも製造に時間がかかるという問題があった。また、手作業によって束ねざるを得ないため、生産性が悪い上、コストもかかり、工業的量産には不向きであった。
【0013】
また、近年広く使用されている上記管状単セルは、管径22mm、長さ150mm程度の管状体であり、しかも、管の長手方向にわたってインターコネクタが突出している。そのため、これを複数本束ねた集積体としての発電装置は非常に大型なものとなり、単位体積当たりの出力密度が小さいという問題があった。また、発電装置の熱容量が大きいため、急速に昇温できないという問題があった。また、図14に示すような構成のまま小型化しようとしても、小さくなればなるほど集積作業が困難となり、上記集積構造では、小型化するにも限界があった。
【0014】
また、各セル間の電気的接続に用いられるニッケルフェルトは、電池作動時の高温下においてニッケル繊維同士が焼結することにより、その弾性が次第に失われ、変形を生じたり、ズレたりする場合がある。そのため、集積体における各部の電気的接続が悪くなって発電装置の発電性能が低下したり、場合によっては、同一セルにおけるインターコネクタと燃料極とが、劣化したニッケルフェルトによってショートしたりするおそれがあり、信頼性に欠けるという問題があった。
【0015】
一方、空気極が外側にある従来の管状単セルは、複数本の管状単セルを束ねて発電装置とするには、酸化雰囲気下でセル間接続を行わなければならない。すなわち、還元雰囲気下でのセル間接続であれば、上述したように、接続体として安価なニッケルフェルトを使用することができるのであるが、酸化雰囲気下では、ニッケルが酸化ニッケルに酸化されることによって脆くなり、その形状を保てなくなるばかりか、導電性も示さなくなるため、接続体として使用できない。したがって、空気極が外側にある従来の管状単セルでは、酸化を防ぐため、銀、金、白金等の極めて高価な貴金属製のワイヤーを大量に使用して空気極の集電を行わなければならず、とてもコスト的に見合わないといった問題があった。
【0016】
また、その集積方法も、独立した管状単セルより延出されたワイヤーを一本一本手作業により接続していく必要があることから、集積化するのに非常に時間がかかり、工業的量産には不向きであるといった問題もあった。
【0017】
そこで本発明が解決しようとする課題は、容易に集積可能であり、また、小型化可能な固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
【0018】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、酸化雰囲気下であっても、簡単に管の間を電気的に接続可能な固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、管状に形成された多孔質燃料極管または多孔質空気極管の外側面に固体電解質層が接合されてなる複数本の電解質電極接合管と、複数本の電解質電極接合管が離間されて平行に配列され、隣り合う各電解質電極接合管の固体電解質層表面間に形成された隙間を埋めるようにして、各電解質電極接合管同士を空気極材料または燃料極材料により一体的に接合する管接続部とを有し、電解質電極接合管内には燃料ガスまたは酸化剤ガスが導入され、管接続部の外表面から酸化剤ガスまたは燃料ガスが導入されることを要旨とする。
【0020】
従来、燃料極が外側にある管状単セルを集積する場合、セル間にニッケルフェルトを挟み込んで焼き付ける等して電気的な接続を行っていたが、上記固体酸化物形燃料電池の構成によれば、隣り合う電解質電極接合管同士が、空気極材料または燃料極材料により電気的に接続されるため、容易に集積することができる。また、その集積構造も従来の集積構造に比較して単純化できるので、電池製造工程が簡略化でき、それにより低コスト化を図ることができる。
【0021】
さらに、従来のように管状単セルの集積方法を特に考慮することなく容易に集積できることから、多孔質燃料極管または多孔質空気極管の管径さえ小さくすれば、電池の小型化が可能となる。また、管状単セルにインターコネクタを必要としないことによっても、その分小型化できる。
【0022】
また、上記固体酸化物形燃料電池において、多孔質燃料極管の外側面に固体電解質層が接合された電解質電極接合管同士が空気極材料により一体的に接合されている場合には、管の外側が酸化雰囲気下であっても、高価な貴金属製ワイヤー等を使用することなく簡単に管の間を電気的に接続することができる。
【0023】
また、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、上記管接続部の外表面より、電解質電極接合管の両端が突出されていると良い。また、上記電解質電極接合管の一端には、上記固体電解質層が接合されることなく上記多孔質燃料極管または多孔質空気極管の一部が露出された露出部が形成されていると良い。また、当該露出部と当該露出部に隣接する上記固体電解質層の一部とは、上記管接続部の外表面よりも外側に突出されていると良い。
【0024】
上記構成によれば、多孔質燃料極管または多孔質空気極管は、燃料ガスまたは酸化剤ガスの供給管として機能するばかりでなく、突出された露出部は燃料極または空気極の外部引き出し電極としても機能する。また、この露出部に隣接する固体電解質層も部分的に外側に突出されている場合には、管の間に充填されている空気極材料または燃料極材料の部分と露出部とが電気的に接触してショートすることも確実に回避される。
【0025】
また、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、上記管接続部の外形が立方体形状または直方体形状に形成されていることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(以下単に「SOFC」という。)について詳細に説明する。
【0027】
初めに、本発明に係るSOFCの構成について説明する。図1は、本発明に係るSOFCの概略図である。図1に示すように、SOFC10は、複数本(図では12本)の電解質電極接合管11を備え、さらに、隣り合う各電解質電極接合管11同士は、多孔質の空気極材料12または多孔質の燃料極材料13により接合されて一体的に固定されている(以下、多孔質の空気極材料12または多孔質の燃料極材料13より形成された焼結体の部分を管接続部14という)。
【0028】
先ず、電解質電極接合管11について説明する。図2は、電解質電極接合管を拡大して示したものである。電解質電極接合管11は、両端が開口した多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16の外側面に固体電解質層17が接合された少なくとも2層構造を有する管状体である。
【0029】
上記電解質電極接合管11の一部を構成する多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16について説明する。多孔質燃料極管15の管内には、水素、一酸化炭素、メタン等の燃料ガスが供給され、また、多孔質空気極管16の管内には、空気、酸素等の酸化剤ガスが供給される。この多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16は、電極としての機能を有するとともに支持管としての機能も兼ね備えている。
【0030】
ここで、本発明に係るSOFC10では、多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16の管径、管長さ、管厚みは、特に限定されるものではなく、必要とされるSOFC10の全体の大きさを考慮しつつ、燃料極または空気極としての必要特性が得られるよう任意に定めることができる。また、管の多孔度についても、三相界面(反応場)が維持され、かつ、管強度が低下しないように、種々制御することができる。
【0031】
多孔質燃料極管15の材料としては、周期律表第8、9、10族の金属およびこれらの合金のうち少なくとも一種と、酸素イオン導電性を示す第1固体電解質とのサーメットを好適に用いることができる。ここで前者と後者の混合比率は、30:70重量%〜70:30重量%の範囲が好ましい。第1固体電解質中に分散された金属粒子同士の凝集(焼結)を防ぎ、多孔状態を維持し易いからである。より好ましくは、40:60重量%〜60:40重量%である。
【0032】
サーメットの一部を構成する周期律表第8、9、10族の金属は、触媒として機能するもので、具体的には、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)等が好適な一例として挙げられる。このうち、ニッケル(Ni)は、他の金属に比べて安価であり、かつ、水素等の燃料ガスとの反応性が十分に大きいことから、好適に用いることができる。
【0033】
また、サーメットの他の一部を構成する第1固体電解質としては、イットリア(Y2O3)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc2O3)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb2O3)、エルビア(Er2O3)等の安定化剤で安定化された安定化ジルコニアが好適な一例として挙げられる。なお、安定化ジルコニアは、1種または2種以上の安定化剤により安定化されていても良く、また、アルミナ(Al2O3)との複合体であっても良い。
【0034】
具体的には、安定化剤として8〜10mol%のイットリアを添加したイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、安定化剤として9〜12mol%のカルシア(CaO)を添加したカルシア安定化ジルコニア(CSZ)、安定化剤として8〜12mol%のスカンジア(Sc2O3)を添加したスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等が好適な一例として挙げられる。中でも、ScSZは、他の材料に比して高い酸素イオン導電率を有しているので、特に好適である。
【0035】
より具体的には、例えば、ScSZの場合、スカンジア含有量が8mol%未満であると、燃料極の酸素イオン導電率が低下するので好ましくない。また、スカンジア含有量が12mol%を超えると、同様に燃料極の酸素イオン導電率が低下するので好ましくない。ScSZ中のスカンジア含有量は、さらに好ましくは、9〜11mol%である。
【0036】
また、ScSZ中に、イットリア(Y2O3)又はセリア(CeO2)がさらに微量添加されていても良い。ScSZに対してさらにイットリアを添加する場合、その含有量は、2mol%以下が好ましい。イットリア含有量が2mol%を超えると、燃料極の酸素イオン導電率が低下するので好ましくない。イットリア含有量は、さらに好ましくは、0.5〜1mol%である。また、ScSZに対してさらにセリアを添加する場合、その含有量は、2mol%以下が好ましい。セリア含有量が2mol%を超えると、燃料極の酸素イオン導電率が低下するので好ましくない。セリア含有量は、さらに好ましくは、0.5〜1mol%である。
【0037】
また、ScSZは、アルミナ(Al2O3)との複合体であっても良い。ScSZ中に複合化されたアルミナは、ScSZ中の粒界に粒子として分散された状態で存在するので、ベースとなるScSZの相転移が抑制され、結晶相が安定化されるとともに焼結体の強度も向上するからである。ScSZとアルミナとを複合化させる場合、アルミナ含有量は、ScSZに対して2wt%以下が好ましい。アルミナ含有量が2wt%を超えると、燃料極の酸素イオン導電率が低下するので好ましくない。アルミナ含有量は、さらに好ましくは、0.5〜1wt%である。
【0038】
さらに、ScSZは、イットリア又はセリアの一方を固溶しているものであっても良く、あるいは、双方を固溶しているものであっても良い。また、イットリアもしくはセリアの一方、又は、双方を固溶したScSZに対し、さらにアルミナが複合化されていても良い。
【0039】
一方、多孔質空気極管16の材料としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、遷移金属ペロブスカイト型酸化物と第2固体電解質との複合物を好適に用いることができる。複合物を用いた場合には、空気極に必要な特性である電子導電性および酸素イオン導電性のうち、酸素イオン導電性が向上するため、空気極で生じた酸素イオンが固体電解質層17へ移行し易くなり、空気極の電極活性が向上する利点がある。
【0040】
ここで遷移金属ペロブスカイト型酸化物と第2固体電解質との複合物を用いる場合、前者と後者の混合比率は、90:10重量%〜70:30重量%の範囲が好ましい。電極活性や熱膨張係数の整合性等のバランスに優れるからである。より好ましくは、90:10重量%〜80:20重量%である。
【0041】
遷移金属ペロブスカイト型酸化物としては、具体的には、LaSrMnO3、LaCaMnO3、LaMgMnO3、LaSrCoO3、LaCaCoO3、LaSrFeO3、LaSrCoFeO3、LaSrNiO3、SmSrCoO3等の複合酸化物が好適な一例として挙げられる。
【0042】
また、第2固体電解質としては、酸素イオン導電性を示すものであれば良く、特に限定されるものではない。具体的には、上述した第1固体電解質として説明したもの、すなわち、イットリア(Y2O3)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc2O3)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb2O3)、エルビア(Er2O3)等の安定化剤で安定化された安定化ジルコニアが好適な一例として挙げられる。なお、安定化ジルコニアは、1種または2種以上の安定化剤により安定化されていても良く、また、アルミナ(Al2O3)との複合体であっても良い。
【0043】
次に、上記電解質電極接合管11の他の一部を構成する固体電解質層17について説明する。固体電解質層17は、酸素イオン導電性を示す第3固体電解質からなる薄膜の層である。この固体電解質層17は、上述した多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16の外側表面を覆うように形成されている。
【0044】
ただし、図2に示すように、多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16の一端には、固体電解質層17が接合されることなく多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16の一部がむき出し状態とされることにより、露出部18が形成されている。この露出部18は、燃料極または空気極の外部引き出し電極として機能する。なお、この露出部18の露出量は、特に限定されるものではなく、ガスシール部材、電極の集電方法、ガス出口の流路等を考慮して適宜調節することができる。
【0045】
また、固体電解質層17の厚みは、特に限定されるものではなく、多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16の管径や、固体電解質層17自体の比抵抗などを考慮しつつ任意に定めることができる。
【0046】
また、第3固体電解質としては、酸素イオン導電性を示すものであれば良く、特に限定されるものではない。具体的には、上述した第1固体電解質として説明したもの、すなわち、イットリア(Y2O3)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc2O3)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb2O3)、エルビア(Er2O3)等の安定化剤で安定化された安定化ジルコニアが好適な一例として挙げられる。なお、安定化ジルコニアは、1種または2種以上の安定化剤により安定化されていても良く、また、アルミナ(Al2O3)との複合体であっても良い。
【0047】
次に、管接続部14について説明する。本発明に係るSOFC10において、管接続部14は、空気極材料12から形成されている場合には、空気極として機能するとともに各電解質電極接合管11同士を電気的に接続する役割を果たす。同様に、燃料極材料13から形成されている場合には、燃料極として機能するとともに各電解質電極接合管11同士を電気的に接続する役割を果たす。なお、電解質電極接合管11が多孔質燃料極管15を有している場合には、管接続部14は空気極材料12から形成され、電解質電極接合管11が多孔質空気極管16を有している場合には、管接続部14は燃料極材料13から形成される。
【0048】
ここで、図1において、管接続部14は、立体形状に形成されているが、本発明に係るSOFC10の管接続部14の形状は、特に限定されるものではない。例えば、直方体、円柱、三角柱形状等の他の形状であっても良い。
【0049】
空気極材料12としては、具体的には、上述した多孔質空気極管16の材料として説明したもの、すなわち、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、遷移金属ペロブスカイト型酸化物と第2固体電解質との複合物を好適に用いることができる。また、燃料極材料13としては、具体的には、上述した多孔質燃料極管15の材料として説明したもの、すなわち、周期律表第8、9、10族の金属およびこれらの合金のうち少なくとも一種と、酸素イオン導電性を示す第1固体電解質とのサーメットを好適に用いることができる。
【0050】
次に、管接続部14中における電解質電極接合管11の位置関係について説明する。図1に示すように、各電解質電極接合管11同士は、管接続部14中において互いに接触しないように一定間隔離間された状態で長手方向に平行に配列されて固定されている。ここで、本発明に係るSOFC10では、隣り合う各電解質電極接合管11の間隔は、特に限定されるものではないが、管同士の間隔を狭くすれば狭くするほど小型集積化を図ることが可能となる。例えば、数100μm程度〜数10μm程度の間隔とすることもできる。
【0051】
また、図3に示すように、各電解質電極接合管11は、管の一端に形成された露出部18とこの露出部に隣接する固体電解質層17の一部とが、管接続部14の面19aより外側に向かって突出されて固定されているとともに、管の他端が管接続部14の面19bより外側に向かって突出されて固定されている。このように固体電解質層17が、管接続部14よりも外側に位置しておれば、管接続部14と露出部18とが電気的に接触してショートすることを確実に回避できる。なお、上記管の他端は、管接続部14の面19bと一致していても構わない。
【0052】
また、図1および図3では、各電解質電極接合管11が、管接続部14中に4行×3列の配列とされたものが例示されているが、この配列に特に限定されるものではなく、管接続部14中に複数行×複数列配列されていても良い。さらに、図4に示すように、電解質電極接合管11の間に、異なる管径を有する他の電解質電極接合管20が配置されていても良い。この場合には、管接続部14を形成する空気極材料12または燃料極材料13の使用量を減らすことができるとともに、より一層集積化を図ることができる。なお、図5に示すように、管接続部14中に各電解質電極接合管11がランダムに配列されていてもSOFC10として機能できることは勿論である。
【0053】
次に、上記本発明に係るSOFC10を単体として作動させる一作動方法について説明する。図6に示すように、管接続部14の表面のうち、電解質電極接続管11に対して垂直な面19a、19bをガスシール部材21a、21bにより封止するとともに、電解質電極接続管11に対して平行な面のうち対向する一対の面19c、19dをガスシール部材21c、21dにより封止する。なお、面19c、19dは、ガスシール部材21c、21dにより封止されずに、管接続部14が露出された状態となっていても良い。
【0054】
すなわち、管接続部14の表面のうち、電解質電極接続管11に対して垂直な面19a、19bについては、各電解質電極接続管11以外の部分がガスシール部材21a、21bにより封止され、電解質電極接続管11に対して平行な面19c、19dについては、ガスシール部材21c、21dにより表面全体が覆われるようにして封止される。なお、残りの面については、管接続部14が露出された状態となっている。
【0055】
上記ガスシール部材21a〜21dの材料としては、ガスを透過させないものであれば良く、特に限定されるものではない。ただし、SOFC10の熱膨張係数に整合させる必要がある。具体的には、マイカガラス、スピネル(MgAl2O4)などのセラミックス等が好適な一例として挙げられる。
【0056】
また、面19b側には、燃料ガスまたは酸化剤ガス導入手段が取り付けられる。例えば、図6では、燃料ガスまたは酸化剤ガス導入手段として、一端面が開口した筐体22を使用した場合を示している。この筐体22の側面23には、各電解質電極接続管11の開口端と対応する箇所に、ガス吹き出し孔24が形成されており、筐体22の開口より供給される燃料ガスまたは酸化剤ガスを、各電解質電極接続管11内に導入することができるようになっている。
【0057】
上記燃料ガスまたは酸化剤ガス導入手段を構成する主な材料としては、具体的には、耐熱性のステンレス鋼、セラミックス等が好適な一例として挙げられる。
【0058】
一方、面19bに対向する面19a側には、管接続部14より外側に突出された露出部18と電気的に接触して集電を行う集電体が取り付けられる。例えば、図6では、平面状の集電体25を使用した場合を示している。この集電体25の厚み方向には、各電解質電極接続管11の露出部18と対応する箇所に、露出部18が集電体25と電気的に接触しつつ貫通される貫通孔26が形成されている。そして、貫通孔26を貫通した露出部18より集電体25の外側に使用済みの燃料ガスまたは酸化剤ガスを排出できるようになっている。なお、必要に応じて、集電体25の厚み方向の面がガスシール部材により封止されていても良い。
【0059】
上記集電体25を構成する主な材料としては、具体的には、ランタンクロマイト(LaCrO3)などの導電性セラミックス、銀や白金などの貴金属メッシュ、ステンレス、ニッケルメッシュ、ニッケルフェルト等が好適な一例として挙げられる。
【0060】
そして図7に示すように、燃料ガスまたは酸化剤ガス導入手段としての筐体22の開口から燃料ガスまたは酸化剤ガスを各電解質電極接合管11内に導入する(図中矢印A)とともに、図示されない他の酸化剤ガスまたは燃料ガス導入手段(例えば、外部マニホルドなど)を用いて、管接続部14の露出面から酸化剤ガスまたは燃料ガスを導入し(図中矢印B)、管接続部14と集電体25とに負荷27を接続すれば、発電可能となる。
【0061】
なお、上記においては、本発明に係るSOFC10を単体として作動させる一作動方法について説明したが、上記作動方法は特に限定されるものではない。また、本発明に係るSOFC10を一つのユニットとし、これを複数スタックして発電装置を構成することもできる。例えば、面19bの表面すべてをガスシール部材21bにより覆うのではなく、面19bの外周部に部分的に管接続部14が露出された面を形成し、その部分にインターコネクタを設け、このインターコネクタと、他のSOFC10の集電体25とを電気的に接触させてゆけば、直列接続が可能となる。
【0062】
次に、上記本発明に係るSOFCの作用について説明する。本発明に係るSOFCは、管状に形成された多孔質燃料極管または多孔質空気極管の外側面に固体電解質層が接合された電解質電極接合管を複数本有し、これら電解質電極接合管が一定間隔離間されて平行に配列されるとともに、隣り合う各電解質電極接合管同士が空気極材料または燃料極材料により一体的に接合されて形成されている。
【0063】
そのため、従来、燃料極が外側にある管状単セルを集積する場合、セル間にニッケルフェルトを挟み込んで焼き付ける等して電気的な接続を行っていたところ、本発明に係るSOFCによれば、隣り合う電解質電極接合管同士が、空気極材料または燃料極材料により電気的に接続されるため、容易に集積することができる。また、その集積構造も従来の集積構造に比較して単純化できるので、電池製造工程が簡略化でき、それにより低コスト化を図ることができる。
【0064】
また、従来のように管状単セルの集積方法を特に考慮することなく容易に集積できることから、多孔質燃料極管または多孔質空気極管の管径さえ小さくすれば、電池の小型化が可能となる。また、管状単セルにインターコネクタを必要としないことによっても、その分小型化が図れる。また、管径を小さくできるため、体積当たりの電極面積が増加し、発電性能が向上する。
【0065】
また、本発明に係るSOFCは、一体構造であるので、SOFC全体で構造体の強度を担保することができ、機械的信頼性に優れ、特に振動にも強いという利点がある。また、従来の集積構造よりも、容易に管の間の距離を短くできるので、その結果体積当たりの出力密度に優れる。また、小型化することにより、SOFCの熱容量が小さくなるため、急速昇温にも耐え得る。したがって、これまでSOFCでは困難であった車載用電源、緊急用電源などへの用途拡大が期待される。
【0066】
また、上記本発明に係るSOFCにおいて、多孔質燃料極管の外側面に固体電解質層が接合された電解質電極接合管同士が、空気極材料により一体的に接合されている場合には、従来接続が困難であった管の外側が酸化雰囲気下にある場合であっても、高価な貴金属製ワイヤー等を使用することなく簡単に管の間を電気的に接続することができる。
【0067】
次に、本発明に係るSOFCの好適な製造方法について説明する。本発明に係るSOFCの製造方法は、基本的には次のような工程を含んでいる。すなわち、多孔質燃料極管または多孔質空気極管の外側面に固体電解質層を接合して電解質電極接合管を作製する工程と、容器内に複数本の電解質電極接合管を互いに離間させた状態で平行に配列する工程と、その容器内に空気極材料を含むスラリーまたは燃料極材料を含むスラリーを流し込み、配列された電解質電極接合管同士の隙間にスラリーを充填する工程と、容器内部に充填されたスラリーを乾燥させる工程と、得られた乾燥体を所定温度で焼成する工程とを有している。以下、詳細に説明する。
【0068】
初めに、多孔質燃料極管または多孔質空気極管を作製する。すなわち、多孔質燃料極管を用いる場合には、周期律表第8、9、10族の金属またはこれらの合金の酸化物粉末と第1固体電解質粉末とを所定比率で混合し、この混合粉末にメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の結合剤、炭素粉末等の気孔生成剤を加えて水で練り、得られた塑性混合物を押し出し成形法等を用いて、所定の管径、管長さ、管厚みの管状成形体を成形する。
【0069】
一方、多孔質空気極管を用いる場合には、遷移金属ペロブスカイト型酸化物粉末、あるいは、遷移金属ペロブスカイト型酸化物粉末と第2固体電解質粉末とを所定比率で混合した混合粉末に結合剤、気孔生成剤を加えて水で練り、得られた塑性混合物を押し出し成形法等を用いて、上記と同様に、所定の管径、管長さ、管厚みの管状成形体を成形する。
【0070】
次いで、得られた管状成形体を乾燥後、所定の温度で焼成して、多孔質燃料極管または多孔質空気極管とする。管の焼成温度としては、多孔質燃料極管を焼成する場合には、1200〜1600℃程度の温度、多孔質空気極管を焼成する場合には、900〜1300℃程度の温度で焼成するのが好ましいが、特に限定されるものではなく、管の材質、多孔度等を考慮して種々調節することができる。なお、得られた多孔質燃料極管または多孔質空気極管は、所定の管径、管長さ、管厚みとなるようにさらに機械加工が施されても良い。
【0071】
次いで、得られた多孔質燃料極管または多孔質空気極管の外側面に、第3固体電解質を含むスラリーを付着させた後、乾燥させる。これにより、管の表面に、後の焼成によって固体電解質層となる電解質層形成層が付着された電解質付着管となる。なお、本実施の形態では、多孔質燃料極管または多孔質空気極管の一端に、第3固体電解質を含むスラリーが付着されることなく多孔質燃料極管または多孔質空気極管がむき出し状態とされた露出部が形成される。
【0072】
上記スラリーの付着方法としては、例えば、図8に示すように、多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16の他端側(露出部18形成側と反対側)の開口を樹脂系接着剤等により封止した後、この管を、第3固体電解質を含むスラリー28中に浸漬してディップコーティングする方法等が好適な一例として挙げられる。なお、ディッピング法以外にも、例えば、ハケ塗り法、スプレー法等の種々の付着方法を用いることができる。
【0073】
次いで、得られた電解質付着管を所定の温度で焼成して電解質電極接合管とする。焼成温度としては、1200〜1600℃程度の温度で焼成するのが好ましいが、特に限定されるものではなく、スラリーに含まれる第3固体電解質の種類等を考慮して種々調節することができる。
【0074】
次に、図9に示すように、基体29上に電解質電極接合管11を配列固定する。すなわち、図10に示すように、基体29の上面には、複数の穴31が所定間隔離間された状態で配列形成されている。ここで、これらの穴31は、電解質電極接合管11の管径よりもわずかに大きく、かつ、露出部18の長さよりもわずかに深く形成されている。上記基体29を構成する材料としては、具体的には、ステンレス等の金属やジルコニア、アルミナ等のセラミックス等を用いることができる。
【0075】
そして、この基体29の穴31に、露出部18を下側にした電解質電極接合管11を挿入し、図9に示すように、基体29上に電解質電極接合管11を立設する。この際、電解質電極接合管11の露出部18に隣接する固体電解質層17は、一部分が穴31内に挿入される。これにより、複数本の電解質電極接合管11が、互いに離間された状態で基体29上に平行に配列固定される。なお、必要に応じて、基体29と電解質電極接合管11とを、樹脂系接着剤などにより固定しても構わない。
【0076】
次に、図11に示すように、基体29上に配列固定された電解質電極接合管11の最外周を樹脂製の容器32で覆う。この樹脂製の容器32は、本実施の形態においては角筒形状に形成されており、その高さは、基体29上に配列固定された電解質電極接合管11の上端面より高いか、あるいは、ほぼ同じ高さに設定されている。上記容器32を構成する樹脂材料としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用樹脂材料を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0077】
次に、上記容器32内に空気極材料を含むスラリー33または燃料極材料を含むスラリー34を流し込み、配列された電解質電極接合管11同士の隙間35にスラリー33(34)を充填する。すなわち、容器32内に配列固定された電解質電極接合管11の上端面とスラリー33(34)の液面とがほぼ一致するか、または、電解質電極接合管11の上端面よりもスラリー33(34)の液面の方がわずかに低くなるようにスラリーを充填する。
【0078】
次に、上記容器32内部に充填されたスラリー33(34)を乾燥させて乾燥体とし、基体29を取り外す。なお、乾燥は、乾燥機等の乾燥手段を用いて、容器32内部に配列された電解質電極接合管11が乾燥されたスラリー33(34)により固定されて動かなくなる程度まで行われる。なお、必要に応じて、上記スラリー33(34)中に結合剤が含まれても良い。
【0079】
次に、上記得られた乾燥体を所定温度で焼成する。この際、図12に示すように、容器32は、乾燥体36とともに焼成しても良いし、取り外しても良く、特に限定されるものではない。焼成温度としては、空気極材料を含むスラリー33を用いた場合には、900〜1300℃程度、また、燃料極材料を含むスラリー34を用いた場合には、1200〜1600℃程度の温度で焼成するのが好ましいが、特に限定されるものではなく、種々調節することができる。なお、容器32をつけたまま乾燥体36を焼成した場合には、焼成時の昇温時に容器32自体は気化し、取り除かれる。
【0080】
以上により、多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16の外側面に固体電解質層17が接合された電解質電極接合管11を複数本有し、これら電解質電極接合管11が一定間隔離間されて平行に配列されるとともに、隣り合う各電解質電極接合管11同士が空気極材料12または燃料極材料13により一体的に接合された一体集積型のSOFC10を得ることができる。
【0081】
なお、必要に応じて、得られたSOFC10の空気極材料12または燃料極材料13の部分を機械加工して面出しや寸法調整を行っても良い。また、上記製造方法においては、電解質付着管を焼成することにより予め電解質電極接合管11を作製した場合について説明したが、これ以外にも、電解質付着管を焼成することなく、電解質付着管を複数本互いに離間させた状態で容器内に平行に配列固定しても良い。さらには、多孔質燃料極管15または多孔質空気極管16を形成する前の管状成形体の外表面に、第3固体電解質を含むスラリーを付着させ、この管を複数本互いに離間させた状態で容器内に平行に配列固定しても良い。このようにした場合には、焼成回数を減らすことができるので、さらなるコスト削減を図ることができる。
【0082】
【実施例】
以下の手順に従い、SOFCを作製した。先ず、酸化ニッケル(ナカライテスク株式会社製)と、ZrO2−11mol%Sc2O3組成を有する粉末(第一稀元素化学工業株式会社製)とを、重量比で4:6となるように秤量し、ボールミルで24時間混合した後、乾燥させた。この混合粉末に結合剤としてメチルセルロース、気孔生成剤として炭素粉末を加えて水で練り、粘土状にした後、押し出し成形法により管状成形体を成形した。次いで、この管状成形体を乾燥後、1400℃で2時間焼成し、多孔質燃料極管とした。得られた多孔質燃料極管の管径、管厚み、管長さは、それぞれ、2mm、0.5mm、20mmであった(管外径2mm、管内径1mm)。
【0083】
次いで、得られた多孔質燃料極管の一端の開口を酢酸ビニルにより封止した後、この管を、ZrO2−11mol%Sc2O3組成の固体電解質を含むスラリー中に浸漬して電解質層形成層をディップコーティングし、電解質付着管とした。この際、多孔質燃料極管の他端を5mmむき出し状態とし、露出部とした。
【0084】
次いで、得られた電解質付着管を1400℃で2時間焼成して電解質電極接合管とした。
【0085】
次いで、金型表面に形成された12個の穴(配列:4行×3列、穴間隔:1mm)に、露出部を下側にした電解質電極接合管を挿入し、金型上に電解質電極接合管を立設した。
【0086】
次いで、金型上に配列固定された電解質電極接合管の最外周を、ポリエチレン樹脂製の角筒容器(縦15mm×横15mm×高さ15mm)で覆った後、容器の下部と金型とを液密状態にシールし、固定した。
【0087】
次いで、容器内にLaSrMnO3空気極材料(セイミケミカル株式会社製)を含むスラリーを流し込み、電解質電極接合管の隙間にスラリーを充填した。この際、スラリーの液面は、電解質電極接合管の上端面よりもわずかに低くなるように調節した。
【0088】
次いで、この容器内部に充填されたスラリーを100℃で乾燥させた後、金型を外し、得られた乾燥体を容器ごと1150℃で2時間焼成して電解質電極接合管と空気極材料とを一体焼結させた。これにより、一体集積型のSOFCを得た。
【0089】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施の形態では、多孔質燃料極管または多孔質空気極管に支持管としての機能を持たせたが、それ以外にも、多孔質燃料極管または多孔質空気極管に代えて、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)等からなる多孔質基体管を支持管とし、この多孔質基体管の外側面に燃料極層または空気極層を形成し、さらに、その外側面に固体電解質層を接合した接合管を用いることもできる。
【0090】
【発明の効果】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池によれば、隣り合う電解質電極接合管同士が、空気極材料または燃料極材料により電気的に接続されるため、容易に集積することができる。また、その集積構造も従来の集積構造に比較して単純化できるので、電池製造工程が簡略化でき、それにより低コスト化を図ることができる。
【0091】
また、従来のように管状単セルの集積方法を特に考慮することなく容易に集積できることから、多孔質燃料極管または多孔質空気極管の管径さえ小さくすれば、電池の小型化が可能となる。また、管状単セルにインターコネクタを必要としないことによっても、その分小型化が図れる。また、管径を小さくできるため、体積当たりの電極面積が増加し、発電性能が向上する。
【0092】
また、一体構造であるので、固体酸化物形燃料電池全体で構造体の強度を担保することができ、機械的信頼性に優れ、特に振動にも強いという利点がある。また、従来の集積構造よりも、容易に管の間の距離を短くできるので、その結果体積当たりの出力密度に優れる。また、小型化することにより、固体酸化物形燃料電池の熱容量が小さくなるため、急速昇温にも耐え得る。したがって、これまで固体酸化物形燃料電池では困難であった車載用電源、緊急用電源などへの用途拡大が期待される。
【0093】
また、上記本発明に係る固体酸化物形燃料電池において、多孔質燃料極管の外側面に固体電解質層が接合された電解質電極接合管同士が、空気極材料により一体的に接合されている場合には、従来接続が困難であった管の外側が酸化雰囲気下にある場合であっても、高価な貴金属製ワイヤー等を使用することなく簡単に管の間を電気的に接続することができる。
【0094】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るSOFCの概略図である。
【図2】 電解質電極接合管の拡大図である。
【図3】 本発明に係るSOFCの正面図である。
【図4】 管接続部中に異なる管径を有する電解質電極接合管が配列された一例を示した図である。
【図5】 管接続部中に電解質電極接合管がランダムに配列された一例を示した図である。
【図6】 本発明に係るSOFCを単体として作動させる一作動方法を説明する図である。
【図7】 本発明に係るSOFCに燃料ガス、酸化剤ガスを導入して発電を行う様子を示した図である。
【図8】 ディッピング法により電解質付着管を作製する様子を示した図である。
【図9】 基体上に電解質電極接合管を配列固定した状態を示した図である。
【図10】 複数の穴が所定間隔離間された状態で配列形成された基体を示した図である。
【図11】 基体上に配列固定された電解質電極接合管の最外周に配置された容器内にスラリーを流し込み、電解質電極接合管同士の隙間をスラリーで充填する様子を示した図である。
【図12】 容器内部のスラリーを乾燥させて乾燥体とし、基体を外した状態を示した図である。
【図13】 (内側)空気極/固体電解質/燃料極(外側)形式の従来の管状単セル構造とその断面を示した図である。
【図14】 (内側)空気極/固体電解質/燃料極(外側)形式の従来の管状単セルの集積構造を示した図である。
【図15】 (内側)燃料極/固体電解質/空気極(外側)形式の従来の管状単セル構造とその断面を示した図である。
【図16】 (内側)燃料極/固体電解質/空気極(外側)形式の従来の管状単セルの集積構造を示した図である。
【図17】 (内側)燃料極/固体電解質/空気極(外側)形式の他の従来の管状単セル構造を示した図である。
【符号の説明】
10 SOFC
11 電解質電極接合管
12 空気極材料
13 燃料極材料
14 管接続部
15 多孔質燃料極管
16 多孔質空気極管
17 固体電解質層
18 露出部
Claims (5)
- 管状に形成された多孔質燃料極管または多孔質空気極管の外側面に固体電解質層が接合されてなる複数本の電解質電極接合管と、
前記複数本の電解質電極接合管が離間されて平行に配列され、隣り合う各電解質電極接合管の固体電解質層表面間に形成された隙間を埋めるようにして、各電解質電極接合管同士を空気極材料または燃料極材料により一体的に接合する管接続部とを有し、
前記電解質電極接合管内には燃料ガスまたは酸化剤ガスが導入され、前記管接続部の外表面から酸化剤ガスまたは燃料ガスが導入されることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。 - 前記管接続部の外表面より、前記電解質電極接合管の両端が突出されていることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記電解質電極接合管の一端に、前記固体電解質層が接合されることなく前記多孔質燃料極管または多孔質空気極管の一部が露出された露出部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記露出部と当該露出部に隣接する前記固体電解質層の一部とが、前記管接続部の外表面よりも外側に突出されていることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記管接続部の外形は、立方体形状または直方体形状であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の固体酸化物形燃料電池。
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