JP2005139024A - 混合導電性セラミックス材料およびこの材料を用いた固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 混合性の高い(La1-xMx)1-yMnO3(但し、M:Sr,Ca,Baのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-mAm(但し、A:Sc2O3,Y2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末を提供する。
【解決手段】 Laイオンと、Sr,Ca,Baから選ばれる一種以上のイオンと、Mnイオンと、Zrイオンと、Sc,Yのいずれか一種以上のイオンと、を所定の割合で混合し原料溶液を調整する工程と、共沈溶液を前記原料溶液に混合し沈殿物を生成させる工程と、前記沈殿物と前記溶液を攪拌し前記沈殿物と前記溶液を同時に乾燥させ乾燥粉体を生成する工程と、前記乾燥粉体を熱分解し熱分解粉体を生成する工程と、前記熱分解粉体を粉砕する工程と、該粉体を熱処理する工程と、からなる製造方法。
【選択図】 図3
【解決手段】 Laイオンと、Sr,Ca,Baから選ばれる一種以上のイオンと、Mnイオンと、Zrイオンと、Sc,Yのいずれか一種以上のイオンと、を所定の割合で混合し原料溶液を調整する工程と、共沈溶液を前記原料溶液に混合し沈殿物を生成させる工程と、前記沈殿物と前記溶液を攪拌し前記沈殿物と前記溶液を同時に乾燥させ乾燥粉体を生成する工程と、前記乾燥粉体を熱分解し熱分解粉体を生成する工程と、前記熱分解粉体を粉砕する工程と、該粉体を熱処理する工程と、からなる製造方法。
【選択図】 図3
Description
本発明は、(La1-xMx)1-yMnO3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-mAm(但し、A:Sc2O3,Y2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末(以下、LaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末と示す。)の製造方法およびこの粉末を空気極または電極反応層の原料に用いた固体酸化物形燃料電池に関する。特には、固体酸化物形燃料電池の空気極と固体電解質との間の電極反応を促進させ、出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池に関する。
従来、製造コストが安価であるという理由から種々の原料粉末同士を混合して焼結させて目的組成の粉末を得るという粉末混合法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)しかし、固体粉末同士の混合では、原料粉末の比重差等の理由から混合性が低いという問題があった。
また、原料粉末同士の混合では混合性が低いという理由から、種々の原料を硝酸等の溶媒に加え、イオン化させた溶液を作製し、その後前記溶液に熱を加え、硝酸等の溶媒を蒸発させて沈殿物を得るという蒸発乾固法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。しかし、本方法で得られた粉末においても混合性が低く、固体酸化物形燃料電池の空気極あるいは電極反応層として用いた場合、出力性能が低下するという問題があった。
さらに、混合性の高い粉末を得る方法としてシュウ酸塩等を用いた共沈法が提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかし、本発明のLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末に含まれるすべてのイオンを均一に沈殿させることができないため、共沈法で得られた沈殿物で原料を作製すると適正な組成を有する混合粉末が得られないという問題があった。
特開平9-302438号公報(第1-9頁、図1-図2)
特平2002-53320号公報(第1-8頁、図1-図8)
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので最適な合成法で得られたLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末を用いることで出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、Laイオンと、Sr,Ca,Baから選ばれる一種以上のイオンと、Mnイオンと、Zrイオンと、Sc,Yのいずれか一種以上のイオンと、を所定の割合で混合し原料溶液を調整する工程と、共沈溶液を前記原料溶液に混合し、混合した溶液中に沈殿物を生成させる工程と、前記混合した溶液を攪拌する工程と、前記混合した溶液を沈殿物ごと乾燥させ乾燥粉体を生成する工程と、前記乾燥粉体を熱分解し熱分解粉体を生成する工程と、前記熱分解粉体を粉砕する工程と、該粉体を熱処理する工程と、を備えることを特徴とする(La1-xMx)1-yMnO3(但し、M:Sr,Ca,Baのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-mAm(但し、AはSc2O3,Y2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアとからなる混合粉末の製造方法を提供する。
ここで混合する工程と攪拌する工程、攪拌する工程と乾燥させる工程とは同時に行ってもよい。つまり攪拌しながら共沈溶液を混合してもよいし、攪拌しながら乾燥させてもよい。攪拌しながら共沈溶液を混合する場合は生成物は実際には沈殿しないがここでは沈殿物と呼ぶ。また、熱分解粉体とは、例えば、沈殿物がシュウ化物であるときに、これが加熱分解されて酸化物などになった状態の粉体を指す。
本発明によれば、LaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末を上記方法で作製するので出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、電子導電性が高い(La1-xMx)1-yMnO3(但し、M:Sr,Ca,Baのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイト材料と酸素イオン導電性が高い(ZrO2)1-mAm(但し、A:Sc2O3,Y2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニア材料とが混合性の高い状態で分散されているので、固体酸化物形燃料電池の空気極または電極反応層として用いた場合、(1)式の反応を効率良く進めることができるためである。
1/2O2+2e-→O2- … (1)
1/2O2+2e-→O2- … (1)
本発明ではまた、上記方法と同様の方法で得られた(La1-xMx)1-y(Mn1-zQz)O3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上,Qは Ni,Al,Fe,Cr,Co,Ce,Sm,Gd,Pr,Ndのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-mAm(但し、A:Sc2O3,Y2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末(以下、LaEMnG/(ZrO2)1-mAm混合粉末と示す)を提供する。
LaEMnG/(ZrO2)1-mAm混合粉末を上記方法で作製するので出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、電子導電性が高い(La1-xMx)1-y(Mn1-zQz)O3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上,Qは Ni,Al,Fe,Cr,Co,Ce,Sm,Gd,Pr,Ndのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイト材料と酸素イオン導電性が高い(ZrO2)1-mAm(但し、A:Sc2O3,Y2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニア材料とが混合性の高い状態で分散されているので、固体酸化物形燃料電池の空気極または電極反応層として用いた場合、(1)式の反応を効率良く進めることができるためである。
本発明ではまた、上記方法と同様の方法で得られた(La1-xMx)1-yMnO3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-m-nAmDn(但し、A:Sc2O3,Y2O3のいずれか一種以上、D:CeO2,Sm2O3,Gd2O3,Er2O3,Bi2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末(以下、LaEMn/(ZrO2)1-m-nAmDn混合粉末と示す。)を提供する。
LaEMn/(ZrO2)1-m-nAmDn混合粉末を上記方法で作製するので出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、電子導電性が高い(La1-xMx)1-yMnO3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイト材料と酸素イオン導電性が高い(ZrO2)1-m-nAmDn(但し、AはSc2O3,Y2O3のいずれか一種以上、DはCeO2,Sm2O3,Gd2O3,Er2O3,Bi2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニア材料とが、混合性の高い状態で分散されているので、固体酸化物形燃料電池の空気極または電極反応層として用いた場合、(1)式の反応を効率良く進めることができるためである。
本発明ではまた、上記方法と同様の方法で得られた(La1-xMx)1-y(Mn1-zQz)O3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上,Qは Ni,Al,Fe,Cr,Co,Ce,Sm,Gd,Pr,Ndのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-m-nAmDn(但し、AはSc2O3,Y2O3のいずれか一種以上、DはCeO2,Sm2O3,Gd2O3,Er2O3,Bi2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末(以下、LaEMnG/(ZrO2)1-m-nAmDn混合粉末と示す)を提供する。
LaEMnG/(ZrO2)1-m-nAmDn混合粉末を上記方法で作製するので出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、電子導電性が高い(La1-xMx)1-y(Mn1-zQz)O3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上,Qは Ni,Al,Fe,Cr,Co,Ce,Sm,Gd,Pr,Ndのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイト材料と酸素イオン導電性が高い(ZrO2)1-m-nAmDn(但し、AはSc2O3,Y2O3のいずれか一種以上、DはCeO2,Sm2O3,Gd2O3,Er2O3,Bi2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニア材料とが混合性の高い状態で分散されているので、固体酸化物形燃料電池の空気極または電極反応層として用いた場合、(1)式の反応を効率良く進めることができるためである。
本発明の好ましい態様においては、共沈溶液には、シュウ酸が含まれている。
共沈溶液に、シュウ酸が含まれていることによって焼結性に優れるLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末を得ることができ、出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、焼結性が高いため固体電解質との密着性を向上させることができ、界面での電気的なロスを抑制することができるためである。
本発明の好ましい態様においては、前記粉体を熱処理する工程での最高温度が800〜1100℃であり、前記熱処理する工程の後に粉砕する工程と、
最高温度が1300〜1500℃の範囲でさらに熱処理を行う工程とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合粉末の製造方法を提供する。
最高温度が1300〜1500℃の範囲でさらに熱処理を行う工程とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合粉末の製造方法を提供する。
上記粉砕工程と追加の熱処理工程を経ることによって、焼結性に優れ、混合性に優れるLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末を得ることができ、出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、800〜1100℃で熱処理した粉体は、結晶粒子径が小さく容易に均一に粉砕・混合することができるためで、さらに、均一混合された状態の粉末を1300〜1500℃で熱処理することによって、結晶性が高く、混合性の高いLaEMnO3と(ZrO2)1-mAmの混合粉末を得ることができるためである。
本発明の好ましい態様においては、前記熱処理する工程の後に、3%径が0.3μm以上、かつ97%径が20μm以下の粒度分布を有する粉末となるように粉砕する工程を備える。なお、熱処理を2回行う場合は2回目の熱処理の後にこの工程を加える。
LaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末は、熱処理後粉砕され、3%径が0.3μm以上、かつ97%径が20μm以下の粒度分布を有する粉末とすることで固体酸化物形燃料電池の空気極または電極反応層として用いた場合、(1)式の反応を効率良く進めることができるためである。
この理由は、3%径が0.3μm未満であると焼結性が高くなり空気極または電極反応層のガス透過性が低くなるためで、一方、97%径が20μmより大きいと焼結性が低くなり、固体電解質との密着性が低下するためである。
本発明の好ましい態様においては、空気極と、固体電解質と、燃料極とを備えた固体酸化物形燃料電池において、前記空気極が、請求項1〜7のいずれか一項に記載の混合粉末から構成された層である。
上記方法で作製したLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末を空気極として使用することで出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、電子導電性が高く、酸素イオン導電性が高いLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末で、かつ粉末の混合性が高いので(1)式に示す反応を効率良く進めることができるためである。
本発明の好ましい態様においては、空気極と固体電解質の間に電極反応層が介在され、該電極反応層は請求項1〜7のいずれか一項に記載の混合粉末から構成された層である。
上記方法で作製したLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末を電極反応層として使用されるので出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、電子導電性が高く、酸素イオン導電性が高いLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末で、かつ粉末の混合性が高いので(1)式に示す反応を効率良く進めることができるためである。
本発明の好ましい態様においては、固体電解質の空気極側表面は、スカンジアを固溶させたジルコニア材料からなることである。
固体電解質の空気極側表面にスカンジアを固溶させたジルコニア材料(以下、SSZと示す)を設けるので出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
この理由は、酸素イオン導電性が高いSSZ材料を設けることで空気極または電極反応層で起こる(1)式の反応で生成した酸素イオンを効率良く固体電解質に通すことができるためである。
均一混合性に優れ、固体酸化物形燃料電池の空気極または電極反応層に好適なLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末を提供することができる。
本発明におけるLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm, LaEMnG/(ZrO2)1-mAm, LaEMnG/(ZrO2)1-m-nAmDnおよびLaEMnO3/(ZrO2)1-m-nAmDn混合粉末(以下、LaEMnO3/(ZrO2)1-mAmを代表として説明する。)は、固体酸化物形燃料電池用の電極材料として好適である。本発明の混合粉末の用途として好ましい固体酸化物形燃料電池について、図1を用いて説明する。 図1は、円筒タイプの固体酸化物形燃料電池の断面を示す図である。円筒状の空気極支持体1上に帯状のインターコネクター2、固体電解質3、さらに固体電解質3の上にインターコネクター2と接触しないように燃料極4が形成されている。空気極支持体の内側にAirを流し、外側に燃料ガスを流すとAir中の酸素が空気極と固体電解質の界面で酸素イオンに変わり、この酸素イオンが固体電解質を通って燃料極に達する。そして、燃料ガスと酸素イオンが反応して水および二酸化炭素になる。これらの反応は(2),(3)式で示される。燃料極4とインターコネクター2を接続することによって外部へ電気を取り出すことができる。
H2+O2-→H2O+2e- … (2)
CO+O2-→CO2+2e- … (3)
H2+O2-→H2O+2e- … (2)
CO+O2-→CO2+2e- … (3)
図2は、空気極1と固体電解質3の間に電極反応層1aを、そして固体電解質3と燃料極4の間に燃料側電極反応層4aを設け、さらに固体電解質をさらに第一の層3aと第二の層3bの2層としたタイプについて示した断面図である。電極反応層1aは空気極からの酸素ガスと電子と、から酸素イオンが生成する(1)式の反応を促進させるために設けられた層であり、この電極反応層1aで生成した酸素イオンが固体電解質3aと3bを通って燃料極側に移動する。そして、燃料側電極反応層4bで(2),(3)式に示す反応が行われ、燃料極4とインターコネクター2を接続することで外部へ電気を取り出すことができる。それゆえ、電極反応層、固体電解質および燃料側電極反応層の適正化を図れば700℃程度の低温まで出力性能に優れた固体酸化物形燃料電池を提供することが可能である。
1/2O2+2e-→O2- … (1)
1/2O2+2e-→O2- … (1)
本発明におけるLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末は、電子導電性が高いLaEMnO3と酸素イオン導電性が高い(ZrO2)1-mAmの混合粉末なので、電子導電性と酸素イオン導電性を兼ね備えた混合導電材料であることと、LaEMnO3および(ZrO2)1-mAmは固体酸化物形燃料電池の700〜1000℃の大気雰囲気下で安定であることから、固体酸化物形燃料電池における空気極または電極反応層として好適である。
(1)式の反応を効率良く行わせるためには、LaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末は適正な組成で、かつ混合性が高い粉末であることが好ましい。適正な組成で、かつ混合性が高い粉末を得るために、本発明のLaイオンと、Sr,Ca,Baから選ばれる一種以上のイオンと、Mnイオンと、Zrイオンと、Sc,Yのいずれか一種以上のイオンと、を所定の割合で原料溶液を調整する工程と、共沈溶液を前記原料溶液に混合し、沈殿物を生成させる工程と、前記混合した溶液を攪拌し、前記混合溶液を前記沈殿物ごと乾燥させ乾燥粉体を生成する工程と、前記乾燥粉体を熱分解し、熱分解粉体を生成する工程と、前記熱分解粉体を粉砕する工程と、該粉体を熱処理する工程と、を備えた製造方法を用いる。
本発明における原料作製の工程においては、共沈させた後、混合溶液を沈殿物ごと乾燥させる工程を有することが重要である。この理由は、LaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末の場合、すべての元素を共沈させることが困難であるため従来の共沈法のように得られた沈殿物と溶液を分離し、沈殿物のみから原料を得ようとすると適正な組成の原料を得ることが困難であるためである。また、適正な組成を得るために調合組成を変えて原料を作製することは可能であるが、共沈を行う温度条件などの管理を徹底しないと沈殿する割合が変化し、組成ズレをもたらすことになるため品質管理の面から好ましくない。
本発明における原料作製の工程においては、熱分解粉体を粉砕する工程を有することが重要である。より具体的には粉をかき混ぜながら細かく粉砕する。これにより、均一混合性および焼結性を高めることができる。
本発明における共沈溶液についてはLaEMnO3/(ZrO2)1-mAmに含まれるすべてのイオンが少なくとも部分的に沈殿するものであれば良く特に限定はない。シュウ酸を含んだ共沈溶液が代表として挙げられる。
本発明におけるLaEMnO3/(ZrO2)1-mAmの重量比は、特に限定はないが、例えば、固体酸化物形燃料電池の空気極として用いる場合は90/10〜30/70が好ましく、電極反応層として用いる場合は70/30〜30/70程度が好ましい。また、空気極表面から固体電解質にむかって、LaEMnO3/(ZrO2)1-mAmの重量比を90/10,50/50,30/70などと重量比率を傾斜して用いても良い。
固体酸化物形燃料電池の電極反応層として用いる場合のLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm粉末の粒度分布は3%径が0.3μm以上、97%径が20μm以下が好ましく、さらに平均粒子径は0.5〜10μmの範囲が好ましい。この範囲の原料粒度のものを用いれば、固体電解質との密着性が高くより出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができるためである。
ここで示す粒度分布および平均粒子径は島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置SALD-2000を用いて測定して得られた値である。なお、平均粒子径はメディアン径(50%径)の値である。
本発明における固体酸化物形燃料電池の固体電解質は、固体酸化物形燃料電池の発電温度で空気雰囲気および燃料ガス雰囲気において、酸素イオン導電性が高いこと、ガス透過性の無い膜であること、電子導電性が無いものであることが好ましい。特に、(1)式の反応を効率良く進めるために空気極側の固体電解質にSSZ材料からなる層を設けることが好ましい。また、(1)式の反応を効率良く行うためにはSSZ材料からなる層の厚みは3μm以上有することが好ましい。
また、酸素イオン導電性が高いという観点から空気極側の固体電解質としては、一般式(CeO2)1-X(J2O3)X (但し、J=Sm,Gd,Yのいずれか一種、0.05≦X≦0.15)で表されるセリウム含有酸化物や少なくともスカンジアとイットリアを固溶させたジルコニア材料(以下、ScYSZと示す。)などであっても良い。
上記酸素イオン導電性が高い材料を空気極側に設けることで700℃程度の低温においても出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することが可能である。
燃料極側に設ける固体電解質は、ガス透過性の無い固体電解質を容易に作製することができるための焼結性と、ある程度の酸素イオン導電性を有する材料であることが好ましい。この観点からYSZ,SSZにさらにBi2O3を固溶させた材料等が好ましい。
なお、ここで示すガス透過性の無い固体電解質とは、固体電解質の片面とその反対側面の間に圧力差を設けた時、その間を透過するガス透過量で評価され、ガス透過量Q≦2.8×10-9ms-1Pa-1(より好ましくはQ≦2.8×10-10ms-1Pa-1)であるものを指す。
空気極と固体電解質および固体電解質と燃料極の間で起こる(1)式、(2)式および(3)式の反応を効率良く行わせるために、固体電解質の空気極側表面と燃料極側表面にSSZ材料を設けたものであっても良い。この理由は、空気極側および燃料極側表面に酸素イオン導電性が高い材料を設けることで低い温度での発電に対して有利に作用するためである。
本発明の固体酸化物形燃料電池における燃料極は固体酸化物形燃料電池の燃料ガス雰囲気において電子導電性が高い、燃料ガス透過性が高く、(2),(3)式の反応を効率良く行えるものであることが好ましい。この観点からは好ましい材料としてはNiOとYSZが均一に混合された層(以下、NiO/YSZと示す)を挙げることができる。NiOは固体酸化物形燃料電池の燃料ガス雰囲気下で還元されてNiとなり、該層はNiとYSZが均一に混合された層(Ni/YSZ)となる。
(2),(3)式の反応を効率良く行うことができ、出力性能を向上させるという観点からは固体電解質と燃料極の間に燃料側電極反応層を設けることが好ましい。
本発明の固体酸化物形燃料電池における燃料側電極反応層としては電子導電性と酸素イオン導電性の両方の特性に優れたNiOとSSZが均一に混合された層(以下、NiO/SSZと示す)が好ましい。NiOは固体酸化物形燃料電池の燃料雰囲気下で還元されてNiとなり、該層はNiとSSZが均一に混合された層(Ni/SSZ)となる。また、NiO/SSZの比率は重量比で10/90〜50/50が好ましい。この理由は、10/90未満では電子導電性が低すぎるためで、一方50/50より大きいと酸素イオン導電性が低すぎるためである。
本発明の固体酸化物形燃料電池におけるNiO/SSZにおけるSSZのスカンジアの固溶量としては、3〜12mol%が好ましい。この理由は、この範囲であれば酸素イオン導電性が高く(2),(3)の反応を促進させることができるためである。また、酸素イオン導電性が700℃程度の低温下においても高いので700℃程度の低温まで高い出力性能を有する固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池におけるNiO/SSZにはさらにCeO2,Sm2O3,Gd2O3,Bi2O3から選ばれる少なくとも一種が5mol%以下固溶されていても良い。これらの材料が固溶されると燃料ガス雰囲気下で酸素イオン導電性の向上だけでなく電子導電性の向上も期待できるので含んでいる方が好ましい。
本発明の固体酸化物形燃料電池における燃料極原料の合成法についてはNiO/SSZおよびNiO/YSZなどの燃料極材料が均一に混合されていれば良く特に限定はない。共沈法、スプレードライ法などが挙げられる。
本発明の固体酸化物形燃料電池におけるインターコネクターは固体酸化物形燃料電池の発電温度の空気雰囲気および燃料ガス雰囲気において電子導電性が高い、ガス透過性が無い、酸化還元雰囲気に対して安定であるものが好ましい。この観点からランタンクロマイトが最も好ましい。
ランタンクロマイトは難焼結性であるため固体酸化物形燃料電池の焼成温度(1500℃以下)でガス透過性の無いインターコネクターを作製することが難しい。焼結性を向上させるためにCa,Sr,Mgを固溶させて用いていることが好ましい。焼結性が最も高く、固体酸化物形燃料電池の他材料と同程度の温度でガス透過性の無い膜を作製できるという点からCaを固溶させたものが最も好ましい。
インターコネクターに用いられるCaを固溶させたランタンクロマイトの固溶量については特に限定はない。Ca固溶量が多いほど電子導電性が高くなるが、材料の安定性が低下することからCaの固溶量としては10〜40mol%程度が好ましい。
本発明における固体酸化物形燃料電池の空気極とインターコネクターの間には(La1-xAx)yMnO3(但し、0.15≦x≦0.3、0.97≦y≦1)で表される組成からなり、ある程度緻密なプリコート層を設けるものであっても良い。このプリコート層を設けることでCaを固溶させたランタンクロマイトの焼結助剤成分であるカルシウムクロメイト成分が空気極へ拡散するのを抑制することができるためである。
ここで示すある程度緻密なプリコート層とは、プリコート層の片面とその反対側面の間に圧力差を設けた時、その間を透過するガス透過量で評価され、ガス透過量Q≦1.4×10-7ms-1Pa-1であるものを指す。
本発明の固体酸化物形燃料電池の形状については特に限定はなく、平板型、円筒型いずれであっても良い。なお、平板型ではインターコネクターをセパレータと呼ぶが、役割はインターコネクターと同様である。セパレータの場合は、フェライト系ステンレス等の耐熱金属であっても良い。
本発明における固体酸化物形燃料電池はマイクロチューブのタイプ(外径10mm以下より好ましくは5mm以下)にも適応可能である。
(実施例1)
(1)原料溶液の作製
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)とを組成および重量比率が、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90-(Sc2O3)0.10=50/50となるように調合し、原料溶液を作製した。
(1)原料溶液の作製
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)とを組成および重量比率が、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90-(Sc2O3)0.10=50/50となるように調合し、原料溶液を作製した。
(2)共沈溶液の作製
容器に純水を測り取り、90℃程度に加温した。この加温した温水へ攪拌しながらシュウ酸・2水和物結晶を80〜90℃に保持させた状態で添加し溶解させた。なお、シュウ酸水溶液中のシュウ酸量は上記金属イオンが完全に沈殿することを想定したときの化学量論比で1.1倍過剰になるようにした。
容器に純水を測り取り、90℃程度に加温した。この加温した温水へ攪拌しながらシュウ酸・2水和物結晶を80〜90℃に保持させた状態で添加し溶解させた。なお、シュウ酸水溶液中のシュウ酸量は上記金属イオンが完全に沈殿することを想定したときの化学量論比で1.1倍過剰になるようにした。
(3)沈殿物の生成
上記原料溶液を攪拌しながら、上記シュウ酸水溶液を徐々に加えていった。攪拌を継続しながら自然冷却させた。
上記原料溶液を攪拌しながら、上記シュウ酸水溶液を徐々に加えていった。攪拌を継続しながら自然冷却させた。
(4) LaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末の作製
沈殿物と上澄み液が混在した状態で蒸発皿に入れ、200℃で乾燥させたのち、500℃で熱分解を行い、熱分解粉体を得た。熱分解粉体をφ5YTZボールで湿式粉砕し、スプレードライで乾燥させた。乾燥させた粉体を1000℃で10時間の熱処理を行った。さらに乾式の粉砕機で粉砕した後、1400℃で10時間の熱処理を行った。その後、得られた混合粉末を気流式の粉砕・分級機で粒度調整を行い、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90-(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)を得た。製品の粒度は、3%径が0.5μmで、97%径が10μmであった。
沈殿物と上澄み液が混在した状態で蒸発皿に入れ、200℃で乾燥させたのち、500℃で熱分解を行い、熱分解粉体を得た。熱分解粉体をφ5YTZボールで湿式粉砕し、スプレードライで乾燥させた。乾燥させた粉体を1000℃で10時間の熱処理を行った。さらに乾式の粉砕機で粉砕した後、1400℃で10時間の熱処理を行った。その後、得られた混合粉末を気流式の粉砕・分級機で粒度調整を行い、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90-(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)を得た。製品の粒度は、3%径が0.5μmで、97%径が10μmであった。
LaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末について、本発明の原料作製法の一例である。原料合成フローは図3に示すとおりである。
(比較例1)粉末混合法による原料作製
ペロブスカイトの単一相であるLa0.75Sr0.25MnO3 組成からなる粉末(平均粒子径2μm)と立方晶の単一相となった(ZrO2)0.90-(Sc2O3)0.10からなる粉末(平均粒子径0.5μm)をLa0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90 (Sc2O3)0.10=50/50となるように秤量し、φ15の樹脂ボールとともに湿式混合した後、スプレードライで乾燥させた。乾燥した粉末を乾式の粉砕機で粉砕した後、1400℃で10時間の熱処理を行った。その後、得られた混合粉末を気流式の粉砕・分級機で粒度調整を行い、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)を得た。製品の粒度は、3%径が0.5μmで、97%径が10μmであった。
ペロブスカイトの単一相であるLa0.75Sr0.25MnO3 組成からなる粉末(平均粒子径2μm)と立方晶の単一相となった(ZrO2)0.90-(Sc2O3)0.10からなる粉末(平均粒子径0.5μm)をLa0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90 (Sc2O3)0.10=50/50となるように秤量し、φ15の樹脂ボールとともに湿式混合した後、スプレードライで乾燥させた。乾燥した粉末を乾式の粉砕機で粉砕した後、1400℃で10時間の熱処理を行った。その後、得られた混合粉末を気流式の粉砕・分級機で粒度調整を行い、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)を得た。製品の粒度は、3%径が0.5μmで、97%径が10μmであった。
(比較例2)蒸発乾固法による原料作製
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)とを組成および重量比率が、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50となるように調合し、原料溶液を作製した。原料溶液を蒸発皿に入れ、該蒸発皿をホットスターラー上に乗せて200℃で硝酸成分を蒸発させた。蒸発皿に残った固まりを500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例1と同様とした。
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)とを組成および重量比率が、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50となるように調合し、原料溶液を作製した。原料溶液を蒸発皿に入れ、該蒸発皿をホットスターラー上に乗せて200℃で硝酸成分を蒸発させた。蒸発皿に残った固まりを500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例1と同様とした。
(比較例3)共沈法による原料作製
実施例1と同様の方法で原料溶液に共沈溶液を混ぜて沈殿物を生成させた。遠心分離機にかけて沈殿物と上澄み液を分離した。沈殿物を純水でよく洗浄した後、500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例1と同様とした。
実施例1と同様の方法で原料溶液に共沈溶液を混ぜて沈殿物を生成させた。遠心分離機にかけて沈殿物と上澄み液を分離した。沈殿物を純水でよく洗浄した後、500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例1と同様とした。
(電極特性の評価)
(5)電極特性用基板の作製
電極特性用基板の材料として、SSZ材料を選定し、該組成は(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10とし、平均粒子径0.5μmの粉末を用いた。前記粉末にバインダーPVAをSSZ材料に対して10wt%加えて混練乾燥した後、円盤状の金型で一軸成形し、1000kg/cm2加圧し成形した。成形したサンプルを1430℃で焼成した。焼成後、厚みが1mmになるように研削した。研削したサンプルをアルキメデス法によって気孔率を測定した。気孔率を測定した結果、0.8%であり、ガス透過性の無いものになっていることを確認した。このようにして電極測定用基板(固体電解質基板)を得た。
(5)電極特性用基板の作製
電極特性用基板の材料として、SSZ材料を選定し、該組成は(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10とし、平均粒子径0.5μmの粉末を用いた。前記粉末にバインダーPVAをSSZ材料に対して10wt%加えて混練乾燥した後、円盤状の金型で一軸成形し、1000kg/cm2加圧し成形した。成形したサンプルを1430℃で焼成した。焼成後、厚みが1mmになるように研削した。研削したサンプルをアルキメデス法によって気孔率を測定した。気孔率を測定した結果、0.8%であり、ガス透過性の無いものになっていることを確認した。このようにして電極測定用基板(固体電解質基板)を得た。
(6)電極の作製
実施例1、比較例1〜3の方法で得られた混合粉末100重量部に対し、バインダーとしてエチルセルロースを10重量部、溶剤としてα-テルピネオールを90重量部加え、30分間混錬することでペーストを作製した。前記電極測定用基板上に直径6mmの大きさになるよう前記ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、1400℃で焼結させた。焼成後の電極の厚みは20μmであった。さらに、電極上とSSZプレス体の反対面に、直径6mmの大きさになるように白金電極をスクリーン印刷法で塗布し、1100℃で焼結させた。このようにして電極特性評価試料を作製した。
実施例1、比較例1〜3の方法で得られた混合粉末100重量部に対し、バインダーとしてエチルセルロースを10重量部、溶剤としてα-テルピネオールを90重量部加え、30分間混錬することでペーストを作製した。前記電極測定用基板上に直径6mmの大きさになるよう前記ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、1400℃で焼結させた。焼成後の電極の厚みは20μmであった。さらに、電極上とSSZプレス体の反対面に、直径6mmの大きさになるように白金電極をスクリーン印刷法で塗布し、1100℃で焼結させた。このようにして電極特性評価試料を作製した。
(7)電極特性評価
前記電極特性評価試料を大気雰囲気下で900℃まで昇温し、この状態で交流インピーダンス測定を行った。このときの周波数は1mHz〜100kHzの範囲とした。前記インピーダンス測定で得られたデータは図4に示すような形状をなし、本試験では図4に示すように高周波側の円弧の幅R(Ω)と電極面積S(cm2)とから大きさから求められた値(以下、界面導電率σEと示す)で電極特性を評価した。なお、交流インピーダンス測定は、さらに800,700℃についても行った。
σE = (1/R)×(1/S) …(4)
前記電極特性評価試料を大気雰囲気下で900℃まで昇温し、この状態で交流インピーダンス測定を行った。このときの周波数は1mHz〜100kHzの範囲とした。前記インピーダンス測定で得られたデータは図4に示すような形状をなし、本試験では図4に示すように高周波側の円弧の幅R(Ω)と電極面積S(cm2)とから大きさから求められた値(以下、界面導電率σEと示す)で電極特性を評価した。なお、交流インピーダンス測定は、さらに800,700℃についても行った。
σE = (1/R)×(1/S) …(4)
ここで示す界面導電率σEとは、電極測定用基板であるSSZと電極の界面部分における電極反応特性を示している。界面導電率の値が大きいほど電極の特性が高いことを示している。
表1に実施例1、比較例1〜3における界面導電率の結果を示す。各温度での界面導電率の値を比較すると実施例1が最も高い値を示していることがわかる。以上の結果から、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10で代表される混合粉末を本発明の合成方法で作製することが最も好ましいことを確認することができた。
(実施例2)
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸イットリウム溶液Y(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成および重量比率が、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.90(Y2O3)0.10=50/50となるように調合し、原料溶液を作製したこと以外は実施例1と同様とした。
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸イットリウム溶液Y(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成および重量比率が、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.90(Y2O3)0.10=50/50となるように調合し、原料溶液を作製したこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例4)粉末混合法による原料作製
ペロブスカイトの単一相であるLa0.75Sr0.25MnO3 組成からなる粉末(平均粒子径2μm)と立方晶の単一相となった(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10からなる粉末(平均粒子径0.5μm)をLa0.75Sr0.25MnO3 / (ZrO2)0.90(Y2O3)0.10 =50/50となるように秤量し、φ15の樹脂ボールとともに湿式混合した後、スプレードライで乾燥させた。乾燥した粉末を乾式の粉砕機で粉砕した後、1400℃で10時間の熱処理を行った。その後、得られた混合粉末を気流式の粉砕・分級機で粒度調整を行い、La0.75Sr0.25MnO3 / (ZrO2)0.90-(Y2O3)0.10 =50/50の混合粉末(製品)を得た。製品の粒度は、3%径が0.5μmで、97%径が10μmであった。
ペロブスカイトの単一相であるLa0.75Sr0.25MnO3 組成からなる粉末(平均粒子径2μm)と立方晶の単一相となった(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10からなる粉末(平均粒子径0.5μm)をLa0.75Sr0.25MnO3 / (ZrO2)0.90(Y2O3)0.10 =50/50となるように秤量し、φ15の樹脂ボールとともに湿式混合した後、スプレードライで乾燥させた。乾燥した粉末を乾式の粉砕機で粉砕した後、1400℃で10時間の熱処理を行った。その後、得られた混合粉末を気流式の粉砕・分級機で粒度調整を行い、La0.75Sr0.25MnO3 / (ZrO2)0.90-(Y2O3)0.10 =50/50の混合粉末(製品)を得た。製品の粒度は、3%径が0.5μmで、97%径が10μmであった。
(比較例5)蒸発乾固法による原料作製
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸イットリウム溶液Y(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成および重量比率が、La0.75Sr0.25MnO3 / (ZrO2)0.90(Y2O3)0.10 =50/50となるように調合し、原料溶液を作製した。原料溶液を蒸発皿に入れ、該蒸発皿をホットスターラー上に乗せて200℃で硝酸成分を蒸発させた。蒸発皿に残った固まりを500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例1と同様とした。
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸イットリウム溶液Y(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成および重量比率が、La0.75Sr0.25MnO3 / (ZrO2)0.90(Y2O3)0.10 =50/50となるように調合し、原料溶液を作製した。原料溶液を蒸発皿に入れ、該蒸発皿をホットスターラー上に乗せて200℃で硝酸成分を蒸発させた。蒸発皿に残った固まりを500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例1と同様とした。
(比較例6)共沈法による原料作製
実施例2と同様の方法で原料溶液に共沈溶液を混ぜて沈殿物を生成させた。遠心分離機にかけて沈殿物と上澄み液を分離した。沈殿物を純水でよく洗浄した後、500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例2と同様とした。
実施例2と同様の方法で原料溶液に共沈溶液を混ぜて沈殿物を生成させた。遠心分離機にかけて沈殿物と上澄み液を分離した。沈殿物を純水でよく洗浄した後、500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例2と同様とした。
表2に実施例2、比較例4〜6における界面導電率の結果を示す。各温度での界面導電率の値を比較すると実施例2が最も高い値を示していることがわかる。以上の結果から、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Y2O3)0.10で代表される混合粉末を本発明の合成方法で作製することが最も好ましいことを確認することができた。
表1、表2の結果から、本発明の作製方法で得られたLaEMnO3/(ZrO2)1-mAm混合粉末は電極特性に優れ、固体酸化物形燃料電池における空気極および電極反応層に好適であることを確認することができた。
(実施例3)
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ニッケル溶液Ni(NO3)2aq(酸化物含有量20wt%)、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)とを組成および重量比率が、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50となるように調合し、原料溶液を作製したこと以外は実施例1と同様とした。
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ニッケル溶液Ni(NO3)2aq(酸化物含有量20wt%)、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)とを組成および重量比率が、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50となるように調合し、原料溶液を作製したこと以外は実施例1と同様とした。
(実施例4)
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸セリウム溶液Ce(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成および重量比率が、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01=50/50となるように調合し、原料溶液を作製したこと以外は実施例1と同様とした。
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸セリウム溶液Ce(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成および重量比率が、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01=50/50となるように調合し、原料溶液を作製したこと以外は実施例1と同様とした。
(実施例5)
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ニッケル溶液Ni(NO3)2aq(酸化物含有量20wt%)、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸セリウム溶液Ce(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成およびその重量比率が、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01=50/50となるように調合し、原料溶液を作製したこと以外は実施例1と同様とした。
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ニッケル溶液Ni(NO3)2aq(酸化物含有量20wt%)、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸セリウム溶液Ce(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成およびその重量比率が、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01=50/50となるように調合し、原料溶液を作製したこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例7)粉末混合法による原料作製
ペロブスカイトの単一相であるLa0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3 組成からなる粉末(平均粒子径2μm)と立方晶の単一相となった(ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01からなる粉末(平均粒子径0.5μm)の粉末をLa0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3 / (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01 =50/50(重量比)となるように秤量し、φ15の樹脂ボールとともに湿式混合した後、スプレードライで乾燥させた。乾燥した粉末を乾式の粉砕機で粉砕した後、1400℃で10時間の熱処理を行った。その後、得られた混合粉末を気流式の粉砕・分級機で粒度調整を行い、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01 =50/50の混合粉末(製品)を得た。製品の粒度は、3%径が0.5μmで、97%径が10μmであった。
ペロブスカイトの単一相であるLa0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3 組成からなる粉末(平均粒子径2μm)と立方晶の単一相となった(ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01からなる粉末(平均粒子径0.5μm)の粉末をLa0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3 / (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01 =50/50(重量比)となるように秤量し、φ15の樹脂ボールとともに湿式混合した後、スプレードライで乾燥させた。乾燥した粉末を乾式の粉砕機で粉砕した後、1400℃で10時間の熱処理を行った。その後、得られた混合粉末を気流式の粉砕・分級機で粒度調整を行い、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01 =50/50の混合粉末(製品)を得た。製品の粒度は、3%径が0.5μmで、97%径が10μmであった。
(比較例8)蒸発乾固法による原料作製
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ニッケル溶液Ni(NO3)2aq(酸化物含有量20wt%)、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸セリウム溶液Ce(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成および重量比率が、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01 =50/50となるように調合し、原料溶液を作製した。原料溶液を蒸発皿に入れ、該蒸発皿をホットスターラー上に乗せて200℃で硝酸成分を蒸発させた。蒸発皿に残った固まりを500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例1と同様とした。
硝酸ランタン溶液La(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、硝酸マンガン溶液Mn(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸ニッケル溶液Ni(NO3)2aq(酸化物含有量20wt%)、硝酸ジルコニウム溶液Zr(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸スカンジウム溶液Sc(NO3)3aq(酸化物含有量20wt%)と、硝酸セリウム溶液Ce(NO3)4aq(酸化物含有量20wt%)と、を組成および重量比率が、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01 =50/50となるように調合し、原料溶液を作製した。原料溶液を蒸発皿に入れ、該蒸発皿をホットスターラー上に乗せて200℃で硝酸成分を蒸発させた。蒸発皿に残った固まりを500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例1と同様とした。
(比較例9)
共沈法による原料作製
実施例5と同様の方法で原料溶液に共沈溶液を混ぜて沈殿物を生成させた。遠心分離機にかけて沈殿物と上澄み液を分離した。沈殿物を純水でよく洗浄した後、500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例5と同様とした。
共沈法による原料作製
実施例5と同様の方法で原料溶液に共沈溶液を混ぜて沈殿物を生成させた。遠心分離機にかけて沈殿物と上澄み液を分離した。沈殿物を純水でよく洗浄した後、500℃で熱分解し、熱分解粉体を得た。これ以降の工程は、実施例5と同様とした。
表3に実施例3〜5、比較例7〜9における界面導電率の結果を示す。各温度での界面導電率の値を比較すると実施例3〜5が比較例7〜9より高い値を示していることがわかる。以上の結果から、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05O3/ (ZrO2)0.89(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01で代表される混合粉末を本発明の合成方法で作製することが最も好ましいことを確認することができた。
表3の結果から、本発明の作製方法で得られたLaEMnGO3/(ZrO2)1-mAm , LaEMnO3/(ZrO2)1-m-nAmDn, LaEMnGO3/(ZrO2)1-m-nAmDn混合粉末は電極特性に優れ、固体酸化物形燃料電池における空気極および電極反応層に好適であることを確認することができた。
粒度分布について
(実施例6)
La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)の粒度は、3%径が0.1μmで、97%径が20μmであること以外は実施例1と同様にした。
(実施例6)
La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)の粒度は、3%径が0.1μmで、97%径が20μmであること以外は実施例1と同様にした。
(実施例7)
La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)の粒度は、3%径が0.3μmで、97%径が20μmであること以外は実施例1と同様にした。
La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)の粒度は、3%径が0.3μmで、97%径が20μmであること以外は実施例1と同様にした。
(実施例8)
La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)の粒度は、3%径が0.3μmで、97%径が25μmであること以外は実施例1と同様にした。
La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50の混合粉末(製品)の粒度は、3%径が0.3μmで、97%径が25μmであること以外は実施例1と同様にした。
表4に実施例1、実施例6〜8の界面導電率の結果を示す。実施例1,7においてはほとんど差が認められないが、実施例6、8においては各温度ごとにおいて界面導電率の値が低下する傾向が見られた。しかし、比較例2〜4よりは高い値を呈していることも確認された。以上の結果から、3%径が0.3μm未満を含む実施例6および97%径が20μm越えすると界面導電率が低下する傾向が見られることから粒度分布としては、3%径が0.3μm以上かつ97%径が20μm以下がより好ましいことを確認することができた。
(実施例9)
電極特性用基板の材料として、YSZ材料を選定し、該組成は(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10とし、平均粒子径0.5μmの粉末を用いたこと以外は実施例1と同様とした。
電極特性用基板の材料として、YSZ材料を選定し、該組成は(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10とし、平均粒子径0.5μmの粉末を用いたこと以外は実施例1と同様とした。
固体酸化物形燃料電池における固体電解質の空気極側表面にSSZ材料を設けることによってより出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができることを確認することができた。
固体酸化物形燃料電池での試験
(実施例10)
図1に示す円筒型の固体酸化物形燃料電池に本発明を適用した。すなわち、円筒状の空気極支持体1上に帯状のインターコネクター2、固体電解質3、さらに固体電解質3の上にインターコネクターと接触しないように燃料極4から構成されたもので、図2に示すように空気極と電解質膜の間に空気側電極反応層が設けられ、そして電解質膜と燃料極の間に電極反応層が設けられ、さらに電解質膜を2層としたタイプのものを用いた。
(実施例10)
図1に示す円筒型の固体酸化物形燃料電池に本発明を適用した。すなわち、円筒状の空気極支持体1上に帯状のインターコネクター2、固体電解質3、さらに固体電解質3の上にインターコネクターと接触しないように燃料極4から構成されたもので、図2に示すように空気極と電解質膜の間に空気側電極反応層が設けられ、そして電解質膜と燃料極の間に電極反応層が設けられ、さらに電解質膜を2層としたタイプのものを用いた。
(9)空気極支持体の作製
空気極の組成は、La0.75Sr0.25MnO3組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトで、共沈法で作製後熱処理して空気電極原料粉末を得た。平均粒子径は、30μmであった。押し出し成形法によって円筒状成形体を作製した。さらに、1500℃で焼結を行い、空気極支持体とした。
空気極の組成は、La0.75Sr0.25MnO3組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトで、共沈法で作製後熱処理して空気電極原料粉末を得た。平均粒子径は、30μmであった。押し出し成形法によって円筒状成形体を作製した。さらに、1500℃で焼結を行い、空気極支持体とした。
(10)電極反応層の作製
電極反応層としては、LaAMnO3/SSZとし、該組成およびその重量比率としては、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50を用い、実施例1と同様の方法で原料を作製した。電極反応層粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。前記スラリーを、空気極支持体(外径15mm、肉厚1.5mm、有効長400mm)上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。厚さは20μmであった。
電極反応層としては、LaAMnO3/SSZとし、該組成およびその重量比率としては、La0.75Sr0.25MnO3/ (ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10=50/50を用い、実施例1と同様の方法で原料を作製した。電極反応層粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。前記スラリーを、空気極支持体(外径15mm、肉厚1.5mm、有効長400mm)上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。厚さは20μmであった。
(11)固体電解質(第一の層)のスラリー作製:
固体電解質の第一の層における材料はSSZとし、該組成は(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10とした。ZrO2 を100℃で加熱した3N以上の濃硝酸に溶解させ、蒸留水で希釈した後、硝酸塩水溶液を得た。Sc2O3についても同様の方法から硝酸塩水溶液を得た。各々の硝酸塩水溶液を前記組成になるように調合し、シュウ酸水溶液を加え、共沈させた。共沈して得られた沈殿物と上澄み液を200℃程度で乾燥し、500℃で熱分解、さらに800℃で10時間熱処理をして原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は140mPasであった。
固体電解質の第一の層における材料はSSZとし、該組成は(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10とした。ZrO2 を100℃で加熱した3N以上の濃硝酸に溶解させ、蒸留水で希釈した後、硝酸塩水溶液を得た。Sc2O3についても同様の方法から硝酸塩水溶液を得た。各々の硝酸塩水溶液を前記組成になるように調合し、シュウ酸水溶液を加え、共沈させた。共沈して得られた沈殿物と上澄み液を200℃程度で乾燥し、500℃で熱分解、さらに800℃で10時間熱処理をして原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は140mPasであった。
(12)固体電解質(第二の層)のスラリー作製:
固体電解質の燃料極側の層における材料はYSZ材料とし、該組成は(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10である。ZrO2 を100℃で加熱した3N以上の濃硝酸に溶解させ、蒸留水で希釈した後、硝酸塩水溶液を得た。Y2O3についても同様の方法から硝酸塩水溶液を得た。各々の硝酸塩水溶液を前記組成になるように調合し、シュウ酸水溶液を加え、共沈させた。共沈して得られた沈殿物と上澄み液を200℃程度で乾燥し、500℃で熱分解、さらに800℃で10時間熱処理をして原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は140mPasであった。
固体電解質の燃料極側の層における材料はYSZ材料とし、該組成は(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10である。ZrO2 を100℃で加熱した3N以上の濃硝酸に溶解させ、蒸留水で希釈した後、硝酸塩水溶液を得た。Y2O3についても同様の方法から硝酸塩水溶液を得た。各々の硝酸塩水溶液を前記組成になるように調合し、シュウ酸水溶液を加え、共沈させた。共沈して得られた沈殿物と上澄み液を200℃程度で乾燥し、500℃で熱分解、さらに800℃で10時間熱処理をして原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は140mPasであった。
(13)固体電解質の作製
前記電極反応層上に、まずSSZ材料からなる第一の層をスラリーコート法で成膜した。さらにYSZ材料からなる第二の層をスラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた固体電解質の厚さは、30μm(SSZ層:15μm、YSZ層:15μm)であった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
前記電極反応層上に、まずSSZ材料からなる第一の層をスラリーコート法で成膜した。さらにYSZ材料からなる第二の層をスラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた固体電解質の厚さは、30μm(SSZ層:15μm、YSZ層:15μm)であった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
(14)燃料側電極反応層のスラリー作製
燃料側電極反応層の材料としてはNiO/SSZとし、該組成は、NiO/(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10であり、Ni,ZrおよびSc各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御して原料を得た。電極反応層の重量比率は、NiO/(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10 =20/80と、50/50の2種類を作製し、平均粒子径はいずれも0.5μmであった。該粉末100重量部と有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)10重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は70mPasであった。
燃料側電極反応層の材料としてはNiO/SSZとし、該組成は、NiO/(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10であり、Ni,ZrおよびSc各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御して原料を得た。電極反応層の重量比率は、NiO/(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10 =20/80と、50/50の2種類を作製し、平均粒子径はいずれも0.5μmであった。該粉末100重量部と有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)10重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は70mPasであった。
(15)燃料側電極反応層の作製
面積が150cm2になるように電池へマスキングをし、スラリーコート法により電解質膜上へNiO/(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10 (平均粒子径)=20/80(0.5μm)、50/50(0.5μm)の順に成膜した。膜厚(焼結後)は10μmとした。
面積が150cm2になるように電池へマスキングをし、スラリーコート法により電解質膜上へNiO/(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.10 (平均粒子径)=20/80(0.5μm)、50/50(0.5μm)の順に成膜した。膜厚(焼結後)は10μmとした。
(16)燃料極のスラリー作製:
燃料極の材料はNiO/YSZとし、該組成は、NiO/(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10とし、Ni,ZrおよびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御した後原料を得た。組成およびその重量比率はNiO/(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10 =70/30とし、平均粒径が2μmであった。該粉末100重量部と有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)20重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は250mPasであった。
燃料極の材料はNiO/YSZとし、該組成は、NiO/(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10とし、Ni,ZrおよびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御した後原料を得た。組成およびその重量比率はNiO/(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10 =70/30とし、平均粒径が2μmであった。該粉末100重量部と有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)20重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は250mPasであった。
(17)燃料極の作製
燃料側電極反応層上に燃料極をスラリーコート法により成膜した。膜厚(焼結後)は90μmとした。さらに、燃料側電極反応層と燃料極を1400℃で共焼結させた。
燃料側電極反応層上に燃料極をスラリーコート法により成膜した。膜厚(焼結後)は90μmとした。さらに、燃料側電極反応層と燃料極を1400℃で共焼結させた。
(18)インターコネクターの作製:
インターコネクターの組成をLa0.80Ca0.20CrO3、で表されるCaを固溶させたランタンクロマイトとし、噴霧熱分解法で作製後、熱処理を施して得た。得られた粉末の平均粒子径は1μmであった。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。スラリーコート法によりインターコネクターを成膜し、1400℃で焼結させた。焼結後の厚みは40μmであった。
インターコネクターの組成をLa0.80Ca0.20CrO3、で表されるCaを固溶させたランタンクロマイトとし、噴霧熱分解法で作製後、熱処理を施して得た。得られた粉末の平均粒子径は1μmであった。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。スラリーコート法によりインターコネクターを成膜し、1400℃で焼結させた。焼結後の厚みは40μmであった。
(比較例10)
電極反応層の原料を比較例1と同様の方法で作製した以外は実施例1と同様とした。
電極反応層の原料を比較例1と同様の方法で作製した以外は実施例1と同様とした。
(比較例11)
電極反応層の原料を比較例2と同様の方法で作製した以外は実施例1と同様とした。
電極反応層の原料を比較例2と同様の方法で作製した以外は実施例1と同様とした。
(比較例12)
電極反応の原料を比較例3と同様の方法で作製した以外は実施例1と同様とした。
電極反応の原料を比較例3と同様の方法で作製した以外は実施例1と同様とした。
(発電試験)
実施例10および比較例10〜12で得られた電池(燃料極有効面積:150cm2)を用いて発電試験を行った。このときの運転条件は以下の通りであった。
燃料:(H2+11%H2O):N2 = 1:2
酸化剤:Air
発電温度:700〜1000℃
電流密度:0.3Acm-2
実施例10および比較例10〜12で得られた電池(燃料極有効面積:150cm2)を用いて発電試験を行った。このときの運転条件は以下の通りであった。
燃料:(H2+11%H2O):N2 = 1:2
酸化剤:Air
発電温度:700〜1000℃
電流密度:0.3Acm-2
図5に700〜1000℃における発電電位を示す。1000℃では実施例10、比較例10〜12の間でほとんど差が認められないが、900℃以下になると電位に差が見られ、低温になるほど実施例10と比較の差が大きくなることがわかる。以上の結果から、電極反応層を本発明の方法で作製した混合粉末を用いることで出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供することができることを確認することができた。また、本発明の方法で作製した混合粉末を用いることで700℃〜1000℃の範囲で出力性能に優れる固体酸化物形燃料電池を提供できることも確認することができた。
1:空気極支持体
2:インターコネクター
3:固体電解質
4:燃料極
1a:電極反応層
3a:第一の層
3b:第二の層
4a:燃料側電極反応層
2:インターコネクター
3:固体電解質
4:燃料極
1a:電極反応層
3a:第一の層
3b:第二の層
4a:燃料側電極反応層
Claims (10)
- Laイオンと、Sr,Ca,Baから選ばれる一種以上のイオンと、Mnイオンと、Zrイオンと、Sc,Yのいずれか一種以上のイオンと、を所定の割合で混合し原料溶液を調整する工程と、
共沈溶液を前記原料溶液に混合し、混合した溶液中に沈殿物を生成させる工程と、
前記混合した溶液を攪拌する工程と、
前記混合した溶液を沈殿物ごと乾燥させ乾燥粉体を生成する工程と、
前記乾燥粉体を熱分解し熱分解粉体を生成する工程と、
前記熱分解粉体を粉砕する工程と、
該粉体を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする(La1-xMx)1-yMnO3(但し、M:Sr,Ca,Baのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-mAm(但し、AはSc2O3,Y2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末の製造方法。 - Laイオンと、Sr,Ca,Baから選ばれる少なくとも一種以上のイオンと、Mnイオンと、Ni,Al,Fe,Cr,Co,Ce,Sm,Gd,Pr,Ndから選ばれる少なくとも一種のイオンと、Zrイオンと、Sc,Yのいずれか一種以上のイオンと、を所定の割合で混合し原料溶液を調整する工程と、
共沈溶液を前記原料溶液に混合し、混合した溶液中に沈殿物を生成させる工程と、
前記混合した溶液を攪拌する工程と、
前記混合した溶液を沈殿物ごと乾燥させ乾燥粉体を生成する工程と、
前記乾燥粉体を熱分解し、熱分解粉体を生成する工程と、
前記熱分解粉体を粉砕する工程と、
該粉体を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする(La1-xMx)1-y(Mn1-zQz)O3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上,Qは Ni,Al,Fe,Cr,Co,Ce,Sm,Gd,Pr,Ndのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-mAm(但し、AはSc2O3,Y2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末の製造方法。 - Laイオンと、Sr,Ca,Baから選ばれる少なくとも一種以上のイオンと、Mnイオンと、Zrイオンと、Sc,Yのいずれか一種以上のイオンと、Ce,Sm,Gd,Er,Biから選ばれる少なくとも一種以上のイオンと、を所定の割合で混合し原料溶液を調整する工程と、
共沈溶液を前記原料溶液に混合し、混合した溶液中に沈殿物を生成させる工程と、
前記混合した溶液を攪拌する工程と、
前記混合した溶液を沈殿物ごと乾燥させ乾燥粉体を生成する工程と、
前記乾燥粉体を熱分解し、熱分解粉体を生成する工程と、
前記熱分解粉体を粉砕する工程と、
該粉体を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする(La1-xMx)1-yMnO3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-m-nAmDn(但し、AはSc2O3,Y2O3のいずれか一種以上、D:CeO2,Sm2O3,Gd2O3,Er2O3,Bi2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末の製造方法。 - Laイオンと、Sr,Ca,Baから選ばれる少なくとも一種以上のイオンと、Mnイオンと、Ni,Al,Fe,Cr,Co,Ce,Sm,Gd,Pr,Ndから選ばれる少なくとも一種以上のイオンと、Zrイオンと、Sc,Yのいずれか一種以上のイオンと、Ce,Sm,Gd,Er,Biから選ばれる少なくとも一種以上のイオンと、を所望の割合で原料溶液を調整する工程と、
共沈溶液を前記原料溶液に混合し、混合した溶液中に沈殿物を生成させる工程と、
前記混合した溶液を攪拌する工程と、
前記混合した溶液を沈殿物ごと乾燥させ乾燥粉体を生成する工程と、
前記乾燥粉体を熱分解し熱分解粉体を生成する工程と、
前記熱分解粉体を粉砕する工程と、
該粉体を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする(La1-xMx)1-y(Mn1-zQz)O3(但し、MはSr,Ca,Baのいずれか一種以上,Qは Ni,Al,Fe,Cr,Co,Ce,Sm,Gd,Pr,Ndのいずれか一種以上)で表されるランタンマンガナイトと(ZrO2)1-m-nAmDn(但し、A:Sc2O3,Y2O3のいずれか一種以上、D:CeO2,Sm2O3,Gd2O3,Er2O3,Bi2O3のいずれか一種以上)で表されるジルコニアからなる混合粉末の製造方法。 - 前記共沈溶液には、シュウ酸が含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の混合粉末の製造方法。
- 前記粉体を熱処理する工程での最高温度が800〜1100℃であり、
前記熱処理する工程の後に粉砕する工程と、
最高温度が1300〜1500℃の範囲でさらに熱処理を行う工程と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合粉末の製造方法。 - 前記熱処理する工程の後に、3%径が0.3μm以上、かつ97%径が20μm以下の粒度分布を有する粉末となるように粉砕する工程を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の混合粉末の製造方法。
- 空気極と、固体電解質と、燃料極とを備えた固体酸化物形燃料電池において、前記空気極が、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法により製造された混合粉末からなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
- 前記空気極と前記固体電解質の間に電極反応層が介在され、該電極反応層は請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法により製造された混合粉末からなる層であることを特徴とする請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記固体電解質の空気極側表面は、スカンジアを固溶させたジルコニア材料からなることを特徴とする請求項8または9に記載の固体酸化物形燃料電池。
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