JP4362832B2 - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、固体酸化物形燃料電池に関し、さらに詳しくは出力性能及び耐久性に優れた固体酸化物形燃料電池に関する。
固体酸化物形燃料電池は、作動温度が高く(900〜1000℃)、効率の良い燃料電池として期待されている。出力性能及び耐久性に優れた固体酸化物形燃料電池の実現のため、種々の提案がなされている。
例えば、固体酸化物形燃料電池において、スカンジアを固溶させたジルコニアからなる電解質の、酸素イオン導電率安定性と高温強度安定性を向上させるために、4A族、5A族、7A族および4B族元素よりなる群から選択される少なくとも1種の酸化物を添加するとの提案が特開2003−22821号公報および特開2003−22822号公報になされている。
しかしながら、これら公報には、マンガンを含んだペロブスカイト酸化物からなる空気極との組み合わせの開示はなく、またマンガンは7A属の酸化物MnOとして添加されるとされているが、その添加量は明確ではない。
また、特開2003−187811号公報には、空気極と電解質で生じる酸素ガスと電子が反応し、酸素イオンを生成させる(1)式の反応を効率良く行わせるために空気極と電解質の間に電子導電性を有するペロブスカイト型酸化物と高融点誘電体酸化物の混合材料を設けることが提案されている。ここで使用されるペロブスカイト型酸化物の代表として、SrやCaを固溶させたランタンマンガナイトがあり、その組成としては(La,Sr)1−δMnO,(La,Ca)1−δMnO、(La,Sr)1−δ(MnFe1−y)Oなどが挙げられる。また、高融点誘電体酸化物の代表としてSmやGdを固溶させたセリウム含有酸化物が提案されている。
また、特開平8−41674号公報には、(La1−x1Srx1)MnO(但し、0.1≦x1≦0.4)で表されるランタンマンガナイトにイットリアを固溶させたジルコニアを40〜60重量部混合させた材料を固体酸化物形燃料電池の空気極に使用することで空気極と電解質の間の電極反応を向上させるだけでなく耐久性にも優れるとした提案がなされている。
特開平8−180886号公報には、空気極と電解質との間にイットリアを固溶させたジルコニアの薄層を設けて、空気極と電解質の接触抵抗を減らすことができ、出力性能を向上させることができるという開示がなされている。ここで使用されている空気極材料はSrを固溶させたランタンマンガナイトである。
さらに、特開2000−44245号公報には、空気極と電解質の間にCaおよび/またはSrを固溶させたランタンマンガナイトとイットリアを固溶させたジルコニアの混合粉末からなる層を設け、空気極と電解質の接触抵抗を減らすことができ、出力性能を向上させることができるとする提案がなされている。
また、特開2003−173801号公報には、固体酸化物形燃料電池において、電解質と燃料極の間での反応を防止するために、気孔率が25%以下のCe1−xLn −δ(但し、Ln:希土類元素、0.05≦x≦0.3)で表されるセリウム含有酸化物からなる層を設けることが提案されている。
しかしながら、これら従来技術にあっても、本発明者らの知る限りでは、電解質を介してのマンガンの拡散を制御するとの開示も示唆もなされていない。
一方、特開2002−134132号公報には、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物からなる空気極とジルコニアからなる電解質を共焼結させた固体酸化物形燃料電池において、空気極と電解質との間にイットリア、ジルコニアおよびセリアを含有する酸化物層を設けることによって燃料極へのマンガン拡散を抑制させるという提案がある。しかし、イットリア、ジルコニアおよびセリアを含有する酸化物は焼結性が低く、ガス透過性が無い電解質を形成させるのに1500℃程度の焼結温度が必要であった。このため、電解質を介して燃料極へ拡散するマンガンの量を制御することは難しいと思われる。
発明の概要
本発明者らは、今般、少なくともマンガンを含むペロブスカイト型酸化物からなる空気極を有する固体酸化物形燃料電池において、燃料極が接する層の、燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が燃料電池の性能に大きな影響を与え、このマンガンの含有量を制御することで優れた燃料電池が得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
よって、本発明は、出力性能、耐久性に優れた固体酸化物形燃料電池の提供をその目的としている。
そして、本発明による燃料電池は、電解質と、空気極と、燃料極とを少なくとも備えてなる固体酸化物形燃料電池であって、前記空気極が、少なくともマンガンを含むペロブスカイト型酸化物を含んでなり、前記燃料極に接する層の、燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が0.3〜4重量%であることを特徴とするものである。
[図1]は、円筒タイプの固体酸化物形燃料電池の断面を示す図である。
[図2]は、本発明による固体酸化物形燃料電池の基本構成を表す拡大断面図である。本発明による固体酸化物形燃料電池は、空気極支持体1と、電解質3と、燃料極4とを備えた基本構成を有する。この図にあっては、空気極支持体1と、電解質3との間に、空気極の一態様としての空気側電極反応層5が設けられ、また電解質3と、燃料極4との間に多孔質層6が設けられてなる。空気支持体1の内部の矢印の方向に空気(酸素)を流し、燃料極4に沿った矢印の方向に燃料ガス(水素、一酸化炭素、メタン等)を流し、それぞれ空気極および燃料極に接触させる。
[図3]は、図2の構造において、多孔質層6が無く、電解質3と、燃料極4との間に燃料側電極反応層4aが設けられた固体酸化物形燃料電池の拡大断面図である。
[図4]は、図3の構造において、空気側電極反応層5を複数層(5a、5b)により構成した固体酸化物形燃料電池の拡大図である。
[図5]は、図3の構造に加えて、燃料側電極反応層4aと、電解質3との間に、多孔質層6を設けた固体酸化物形燃料電池の拡大図である。
[図6]は、図5の構成において、空気側電極反応層5を複数層(5a、5b)により構成した固体酸化物形燃料電池の拡大図である。
[図7]は、電極特性評価のための反応過電圧を測定するための電池構成を示す図である。
発明の具体的説明
固体酸化物形燃料電池の基本構造
本発明による固体酸化物形燃料電池の構造は、以下に述べる本発明の構成および組成を満足する限り特に限定されない。例えば、平板型、円筒型いずれであっても良い。本発明における固体酸化物形燃料電池はマイクロチューブのタイプ(外径10mm以下より好ましくは5mm以下)にも適応可能である。例えば円筒型に構成した場合について述べれば以下のとおりである。すなわち、図1は、円筒タイプの固体酸化物形燃料電池の断面を示す図である。この固体酸化物形燃料電池は、円筒状の空気極支持体1上に、帯状のインターコネクター2、電解質3、さらに電解質3の上にインターコネクター2と接触しないように燃料極4が設けられて構成されている。空気極支持体の内側に空気(酸素)を流し、外側に燃料ガスを流すと、酸素が空気極と電解質の界面で、以下の反応のとおり、酸素イオンが生じる。
1/2O+2e→O2−(1)
この酸素イオンが電解質を通って燃料極に達する。そして、電解質近傍の燃料極において、燃料ガスと酸素イオンが反応して水および二酸化炭素になる。これらの反応は以下の式で示される。
+O2−→HO+2e(2)
CO+O→CO+2e(3)
燃料極4とインターコネクター2を接続することによって外部へ電気を取り出すことができる。
図2は、本発明による固体酸化物形燃料電池の基本構成を表す拡大断面図である。本発明による固体酸化物形燃料電池は、空気極支持体1と、電解質3と、燃料極4とを備えた基本構成を有する。図2にあっては、空気極支持体1と、電解質3との間に、空気極の一態様としての空気側電極反応層5が設けられ、また電解質3と、燃料極4との間に多孔質層6が設けられてなる。これら空気側電極反応層5と、多孔質層6は、本発明にあっては必須ではないが、設けられてなることが好ましい。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、図3に示されるように、本発明による固体酸化物形燃料電池は、燃料極の一態様としての燃料側電極反応層4aが設けられていてもよい。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、図4に示されるように、本発明による固体酸化物形燃料電池は、空気側電極反応層5を複数層(5a、5b)により構成されていてもよい。
また、本発明の別の態様によれば、以上の構成要素を組み合わせた態様が提供される。例えば、図5に示されるように、燃料極4(燃料側電極反応層4aを含む概念である)と、電解質3との間に、多孔質層6を設けた固体酸化物形燃料電池が提供される。また、別の態様によれば、図6に示される構成において、空気側電極反応層を複数層により構成した固体酸化物形燃料電池が提供される。
本発明にあっては、燃料極に接する層の、燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が0.3〜4重量%であることを特徴とする。
従って、燃料極に接する形で電解質が設けられてなる場合には、この電解質の燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が0.3〜4重量%である。本発明の好ましい態様によれば、電解質の燃料極側の表面におけるマンガンの含有量は、0.6〜3.5重量%が好ましく、より好ましくは0.9〜3重量%である。また、この態様において、電解質の空気極側の表面におけるマンガンの含有量は10重量%未満程度が好ましく、より好ましくは6重量%未満である。また、本発明の更に好ましい態様によれば、電解質の空気極側の表面におけるマンガンの含有量が、電解質の燃料極側の表面におけるマンガン成分の含有量よりも大であることが好ましい。
また、燃料極と、電解質との間に多孔質層が設けられてなる場合には、この多孔質層の燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が0.3〜4重量%である。本発明の好ましい態様によれば、多孔質層の燃料極側の表面におけるマンガンの含有量は、0.6〜3.5重量%が好ましく、より好ましくは0.9〜3重量%である。また、本発明の更に好ましい態様によれば、電解質の空気極側の表面におけるマンガンの含有量が、多孔質層の燃料極側の表面におけるマンガンの含有量よりも大であることが好ましい。
なお、本発明において、「燃料極に接する層の、燃料極側の表面におけるマンガンの含有量」における、「層の表面のマンガン含有量」とは、燃料極表面から深さ3μm以内の燃料極に接する層におけるマンガンの含有量を意味する。また、その測定は、燃料極側からの分析、断面を形成し、その断面方向からの分析のいずれであってもよい。
本発明においては、上記の通り、燃料極に接する層において、燃料極側の表面におけるマンガンの含有量を制御する。このマンガンは、空気極を構成するマンガンを含むペロブスカイト型酸化物から、その製造の際の焼結時に拡散してくるものと考えられるが、この拡散量を制御することで、出力特性に優れ、またサーマルサイクルを経ても性能を維持する、すなわち耐久性に優れた固体酸化物形燃料電池が実現できた。このマンガン量を制御することで、良好な固体酸化物形燃料電池が実現できる理由は定かではないが、それによって本発明が限定されないことを条件にその理由を述べれば次の通りである。すなわち、燃料極と、それに接する層の界面においてマンガン量が上記範囲に置かれると、十分な焼結により二つの層の密着性が大きく向上し、また電解質が良好なイオン伝導性を確保して、その性状の向上に寄与するものと考えられる。
本発明において、燃料極に接する層の、燃料極側の表面におけるマンガン量の制御は、電池の組成および物理的構成、ならびに製造条件を制御することで実現可能である。以下、マンガン量の制御のための具体的手段を含めて、本発明による固体酸化物形燃料電池を構成する要素について、詳細に説明する。
電解質
本発明において、電解質は、高温で酸素イオン(O2−)の高い伝導性を示し、かつガス透過性の無い層であり、スカンジアおよび/またはイットリアを固溶させたジルコニアからなる層が好ましく用いられる。本明細書において、スカンジアを固溶させたジルコニアを「SSZ」と、スカンジアおよびイットリアを固溶させたジルコニアを「ScYSZ」または「SSZ/YSZ」と、またイットリアを固溶させたジルコニアを「YSZ」と呼ぶ。
本発明の好ましい態様によれば、SSZにおけるスカンジアの固溶量、ScYSZにおけるスカンジアおよびイットリアの合計固溶量、YSZにおけるイットリアの固溶量は、3〜12mol%程度が高い酸素イオン導電性を実現できることから好ましく、より好ましい下限は8mol%程度である。また、本発明の好ましい態様によれば、酸素イオン導電性を向上させるために、CeO、Sm、Gd、Yb、Gd、Er、Nd、Eu、Ey、Tm、Pr、LaおよびBiからなる群から選択される少なくとも一種の酸化物を合計5mol%以下程度固溶させてもよい。さらに、その低温での焼結を可能にするために、Bi、Al、SiOなどを添加してもよい。
また、本発明の好ましい態様によれば、電解質が、燃料極側の膜表面において、その結晶粒径の3%径が3μm以上で、かつ97%径が20μm以下である粒度分布を有するものであることが好ましい。この範囲にあることで、良好な焼結性によりガス透過性が無く、また燃料極との良好な密着性を有する電解質が実現できる。
ここで、燃料極側の電解質表面の結晶粒径とは、プラニメトリック法で求められた粒径分布を意味する。すなわち、まず、SEMで電解質表面の写真を撮り、この写真上で面積(S)の概知の円を描き、円内の粒子数nと円周にかかった粒子数nから次式によって単位面積あたりの粒子数Nを求める。
=(n+1/2n)/(S/m
ここで、mは写真の倍率である。1/Nが1個の粒子の占める面積であるから、結晶粒径の粒径が円相当径の場合は、2/√(πN)、正方形の場合は1/√Nで得られる。
さらに、本発明において、電解質の結晶粒径の3%径とは、プラニメトリック法で100個の結晶粒径を測定し、粒径の小さい順番から並べた際の3番目に相当する粒径を指し、97%径とは97番目に相当する粒径を指す。
本発明において、電解質はガス透過性が無いとは、具体的には電解質の片面とその反対側面の間に圧力差を設け、その間を透過するNガスのガス透過量で評価することができる。本発明の好ましい態様によれば、電解質はガス透過量QがQ≦2.8×10−9ms−1Pa−1であることが好ましく、より好ましくはQ≦2.8×10−10ms−1Pa−1である。
本発明において電解質の厚さは適宜決定されてよいが、10μm〜100μm程度が、耐久性等の観点からこのましい。
本発明による電解質は、スカンジアおよび/またはイットリアを固溶させたジルコニアの原料粉末から調製されてよい。ガス透過性が無く、適正な結晶粒径を形成できるとの観点から、BET値が0.5〜20m−1で、粒度分布として3%径が0.1μm以上、97%径が2μm以下で、および平均粒子径が0.3〜1μm程度に制御した原料粉末がより好ましい。なお、本発明において、BET値とは好ましくは島津製作所製の流動式比表面積測定装置フローソーブII2300形を用いて測定して得られた値である。また、粒度分布とは好ましくは島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2000を用いて測定して得られた値である。さらに、平均粒子径とは好ましくは島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2000を用いて測定して得られるメディアン径(50%径)の値である。
電解質の作製法は特に限定されないが、量産性に優れ、低コストであるという観点からスラリーコート法、スクリーン印刷法、シート接着法が好ましい。
また、電解質の原料の作製法は、イットリアおよび/またはスカンジアの固溶を均一にできる方法であれば良く特に限定されないが、共沈法が一般的であり、好ましい。
本発明の別の好ましい態様によれば、電解質は少なくとも二層から構成され、空気側電極反応層側にイットリアを固溶させたジルコニア(YSZ)からなる層を、そして燃料極側にスカンジアを固溶させたジルコニア(SSZ)からなる層が設けられてなるか、その逆であってもよい。
さらに、本発明の別の好ましい態様によれば、電解質は少なくとも三層から構成され、SSZからなる層、YSZからなる層、そしてSSZからなる層の順に積層されてなることができる。
さらに、本発明の別の好ましい態様によれば、電解質はSSZ/YSZの構成比を変えたものであっても良い。例えば、電解質の空気極側をSSZ/YSZ=3/1とし、燃料極側をSSZ/YSZ=1/3とすることができる。また、別の例によれば、空気極側から燃料極側に向かってSSZ/YSZ=3/1、SSZ/YSZ=1/3、SSZ/YSZ=3/1と変化させてもよい。なおここで、SSZ/YSZ=3/1とは、ジルコニア中に固溶されるスカンジアとイットリアのモル比を示し、例えば88molZrO−9Sc−3Yなどがこれに該当する。
空気極
本発明において、空気極は、空気雰囲気下において、電子導電性が高く、酸素ガス透過性が高く、酸素イオンを効率よく生成するものであることが好ましい。本発明において、空気極は、電池の強度を保持するとともに空気極としての機能を有する空気極支持体として構成されてよい。
本発明において空気極は、少なくともマンガンを含むペロブスカイト型酸化物を含んでなるものである。本発明の好ましい態様によれば、この空気極は、(La1−xMnO(ここで、AはCaまたはSrを表し、xは0.15≦x≦0.3を、yは0.97≦y≦1を満足するものである)で表されるランタンマンガナイトである。
本発明の好ましい態様によれば、空気極または空気極支持体は、マンガンおよびニッケルを含むペロブスカイト型酸化物と、酸素イオン導電性を有する酸化物とを均一に混合した混合導電性セラミックス材料からなる構成とすることが出来る。その好ましい例としては、例えば、(La1−x(Mn1−zNi)O(ここで、AはCaまたはSrを表し、0.15≦x≦0.3、0.97≦y≦1、0.02≦z≦0.10を満足する)で表されるランタンマンガナイトと、SSZとの混合物が挙げられる。ここで、マンガンとニッケルを含むペロブスカイト型酸化物の割合は、30〜70重量%が好ましい。また、空気極は、酸素ガス透過性の観点から適当な細孔径および空隙率を有し、細孔径としては0.5μm以上、空隙率としては5%以上が好ましい。さらに、電解質へのマンガンの拡散を抑制する効果が高い組成であることが耐久性能向上の観点からより好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、マンガンとニッケルを含むペロブスカイト型酸化物の組成としては、(Ln1−x(Mn1−zNi)O(ここで、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選ばれる1種または2種以上を表し、AはCaまたはSrを表し、0.15≦x≦0.3、0.97≦y≦1、0.02≦z≦0.10を満足するものである)であることがより好ましい。zが0.02≦z≦0.10の範囲にあることで、固溶の安定性が高く、ペロブスカイト構造内のマンガンが他電極に拡散されるのを抑制する作用が最も大きく、好ましい。xが0.15≦x≦0.3を満たすことで、良好な電子導電性を確保し、また酸素イオンを効率よく生じさせることが出来る。また、yが0.97≦y≦1の範囲にあることで、ペロブスカイト構造内のマンガン量を適切にし、過剰のランタン成分が水分を吸収して水酸化ランタンに変化し材料そのものの安定性が低下することを有効に防止できるので、有利である。
空気極を構成する、酸素イオン導電性を有する酸化物としては、少なくともジルコニアを含む酸化物、セリウム含有酸化物、ランタンガレート系酸化物が好ましい。さらに、ジルコニアを含む酸化物としてはSSZ、ScYSZ、およびYSZがより好ましい。
空気極としてのSSZにおけるスカンジアの固溶量としては3〜12mol%の範囲が好ましい。また、ScYSZにおけるスカンジアとイットリアの合計固溶量は3〜12mol%の範囲が好ましい。さらに、YSZにおけるイットリアの固溶量は3〜12mol%の範囲である。スカンジアまたはイットリアの固溶量が過多になると、結晶相が立方晶の他に菱面体晶が生成し酸素イオン導電性が低下することと、スカンジア、イットリアは高価な材料であり酸素イオン導電性が低くなるところまで固溶させるのは実用的でないため、留意する必要がある。また、SSZおよびScYSZには、さらにCeO、Sm、Gd3、Yb3、およびErから選ばれる少なくとも一種の酸化物が5mol%以下固溶されていてもよい。良好な酸素イオン伝導性を確保することができる。
また、空気極における酸素イオン導電性を有する酸化物としてセリウム含有酸化物としては、一般式(CeO1−2X1(JX1(但し、JはSm、Gd、Yのいずれか一種、0.05≦X1≦0.15)で表されるものである。この化合物は、焼結性が低く、ガス透過性が無い電解質を形成させるのに1500℃以上の焼結温度が必要とされ、高温焼結ゆえにマンガンを含むペロブスカイト型酸化物から電解質へのマンガンの拡散が多くなる傾向を示したが、ニッケルを含有させることによって電解質へのマンガン拡散が抑制される。
さらに、空気極における酸素イオン導電性を有する酸化物であるランタンガレート系酸化物としては、一般式La1−aGa1−bまたはLa1−aGa1− b−c(但し、DはSr、Ca、Baの1種または2種以上、EはMg、Al、Inの1種または2種以上、LはCo、Fe、Ni、Crの1種または2種以上を表す)で表されるものが好ましく用いられる。マンガンを含むペロブスカイト型酸化物と共焼結されると相互拡散が起こりマンガンが拡散されやすくなる傾向を示すが、ニッケルを含むことによってマンガンの拡散を有効に抑制することができる。
燃料極
本発明において燃料極は、固体酸化物形燃料電池の燃料極として用いられる通常のものであってよい。すなわち、燃料極は、固体酸化物形燃料電池の燃料ガス雰囲気において電子導電性、燃料ガス透過性が高く、電解質を移動してきた酸素イオンが、燃料ガスと反応して水および二酸化炭素になる反応を効率よく実施させるものであればよい。
本発明の好ましい態様によれば、燃料極は、酸化ニッケルと、ジルコニアとを焼結させたものが好ましい。酸化ニッケルは、燃料ガス雰囲気下で還元されてニッケルとなり、触媒能と電子導電性を発揮する。
本発明の好ましい態様によれば、燃料極として、酸化ニッケルと、イットリウムを固溶させたジルコニア(NiO/YSZ)を用いることが好ましい。この物質は、電子導電性が高く、IR損を低くすることができるからである。NiO/YSZの比率は重量比で50/50〜90/10が、高い電子導電性を実現でき、またNi粒子の凝集によって耐久性能が低下することを有効に防止できるため好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、燃料極の材料として、NiO/SSZ、NiO/カルシウムを固溶させたジルコニア(以下、NiO/CSZと示す)を挙げることができる。SSZよりYSZの方が安価であることから、YSZの方が好まれるが、CSZはYSZよりさらに安価であり、よってコストの観点からはNiO/CSZが最も好ましい。なお、NiO/CSZにおいても固体酸化物形燃料電池の燃料ガス雰囲気下においてはNi/CSZとなる。
燃料極の原料の調製法は、NiO/SSZおよびNiO/YSZなどの燃料極材料が均一に混合されていれば特に限定されないが、共沈法、スプレードライ法などが挙げられる。
なお、酸素イオンと燃料ガスとの反応を効率よく行わせるために、電解質と燃料極の間に燃料側電極反応層を設けることが好ましいが、燃料側電極反応層の詳細は後記する。
空気側電極反応層
本発明の好ましい態様によれば、空気極と電解質との界面において、
1/2O+2e→O
の反応を促進するために、空気極と電解質との間に、空気側電極反応層を設けることが好ましい。
本発明において、空気側電極反応層は酸素イオン導電性が高いことが好ましい。また、さらに電子導電性を有することで、上記反応をより促進させることができることからより好ましい。さらに、電解質との熱膨張係数が近く、電解質および空気極との反応性が低く、密着性が良好である材料であることが好ましい。
以上の観点から、本発明の好ましい態様によれば、空気側電極反応層の好ましい材料として、LaAMnO(ここで、AはCaまたはSrである)で表されるランタンマンガナイトと、SSZとを均一に混合してなる層が挙げられる。ここで、本発明の好ましい態様によれば、700℃以上における電子導電性、材料の安定性等の観点から、この材料は(La1−xAx)MnOと表記した場合、x、yの値は0.15≦x≦0.3、0.97≦y≦1を満足する組成を有するものであることが好ましい。この組成範囲にあることで、高い電子伝導性が確保でき、水酸化ランタンの生成を防止して、高出力の燃料電池が実現できる。
本発明の好ましい態様によれば、このランタンマンガナイトには、SrまたはCaに加えて、Ce、Sm、Gd、Pr、Nd、Co、Al、Fe、Cr、Ni等を固溶させたものであっても良い。特に、Niを固溶させた(La、A)(Mn、Ni)Oで表される組成のものはLaZrで表されるランタンジルコネートと呼ばれる絶縁層の生成を抑制させることができるだけでなく、マンガンの拡散を抑制させることができるので好ましい。
本発明における空気側電極反応層のSSZには、さらにCeO、Sm、Gd、Bi等が5mol%以下程度固溶させてもよい。また、2種以上固溶させてもよい。これらの材料の固溶により、酸素イオン導電性の向上が期待できることから好ましい。本発明の好ましい態様によれば、空気側電極反応層のSSZにおけるスカンジアの固溶量は3〜12mol%程度が、酸素イオン導電性の観点から好ましく、より好ましくは8〜12mol%程度である。
本発明の好ましい態様によれば、空気側電極反応層は、ランタンマンガナイトと、SSZと、一般式(CeO1−2X(B(ここで、BはSm、Gd、Yのいずれかを表し、Xは0.05≦X≦0.15を満たすものである)で表されるセリウム酸化物とが均一に混合された層であって、連通した開気孔を有するものであってもよい。セリウム酸化物の存在により、空気極と電解質との反応の抑制が期待される。セリウム酸化物の混合量は、全体に対し3〜30wt%程度が、空気極と電解質との反応を抑制し、また両者の密着性を確保する観点から好ましい。
本発明の別の好ましい態様によれば、空気側電極反応層は、マンガンおよびニッケルを含むペロブスカイト型酸化物と、ジルコニアを含む酸化物、セリウム酸化物、またはランタンおよびガリウムを含むペロブスカイト型酸化物との混合導電性セラミックスからなり、かつ連通した開気孔を有するものであることが好ましい。
ここで、マンガンおよびニッケルを含むペロブスカイト型酸化物は、好ましくは、(Ln1x(Mn1zNi)O(式中、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選ばれるいずれか1種または2種以上のものを表し、Aは、CaまたはSrのいずれかを表し、xは0.15≦x≦0.3を、yは0.97≦y≦1を、そしてzは0.02≦z≦0.10を満足するものである)で表されるものである。
また、ジルコニアを含む酸化物とは、好ましくは、スカンジアを固溶させたジルコニア、またはスカンジアおよびイットリアを固溶させたジルコニアを意味する。
さらに、セリウム酸化物とは、好ましくは、式(CeO1−2X1(J (ここで、Jは、Sm、Gd、またはYを表し、X1は0.05≦X1≦0.15を満足するものである)で表されるものである。
この態様において、マンガンとニッケルを含むペロブスカイト型酸化物の、空気側電極反応層中の含有量は30〜70重量%程度であることが好ましい。
さらに、本発明の別の好ましい態様によれば、空気側電極反応層は、空気極側の第一の層と、電解質側の第二の層との少なくとも二層から構成されてなることが好ましい。
この態様において、第一の層は、電子導電性を有する酸化物と酸素イオン導電性を有する酸化物とが均一に混合され、連通した開気孔を有する層とされることが好ましい。
ここで、電子導電性を有する酸化物とは、電子導電性を有し固体酸化物形燃料電池の空気雰囲気で安定であるものが好ましく、具体的にはSrまたはCaを固溶させたランタンマンガナイトが挙げられる。電解質へのマンガンの拡散が少ないことや電子導電性が高いことを考慮すると、(La1−xMnO(ここで、AはCaまたはSrを表し、xは0.15≦x≦0.3を、yは0.97≦y≦1を満足する)で表されるランタンマンガナイトがより好ましい。また、このランタンマンガナイトには、Ce、Sm、Pr、Nd、Co、Al、Fe、Ni、Crなどを固溶させたものであっても良い。特に、Niを固溶させることが好ましい。Niを固溶させたものとしては、(La1−x(Mn1−zNi)O(但し、A=CaまたはSrのいずれか、0.15≦x≦0.3、0.97≦y≦1、0.02≦z≦0.10)であるものが好ましい。
また、第一の層における酸素イオン導電性を有する酸化物としては、酸素イオン導電性を有し固体酸化物形燃料電池の空気雰囲気下で安定であれば良く、その具体例としては、SSZ、ScYSZ、YSZ、セリウム含有酸化物、少なくともランタンとガリウムを含むペロブスカイト型酸化物(以下、ランタンガレート系酸化物と示す。)を挙げることができる。
第一の層としてのSSZにおけるスカンジアの固溶量としては3〜12mol%の範囲が好ましい。また、第一の層としてのScYSZにおけるスカンジアとイットリアの合計固溶量は3〜12mol%の範囲が好ましい。さらに、第一の層として好ましいYSZにおけるイットリアの固溶量は3〜12mol%の範囲である。スカンジアまたはイットリアの固溶量が過多になると、結晶相が立方晶の他に菱面体晶が生成し酸素イオン導電性が低下することと、スカンジア、イットリアは高価な材料であり酸素イオン導電性が低くなるところまで固溶させるのは実用的でないため、留意する必要がある。また、SSZおよびScYSZには、さらにCeO、Sm、Gd3、Yb3、およびErから選ばれる少なくとも一種の酸化物が5mol%以下固溶されていてもよい。良好な酸素イオン伝導性を確保することができる。
また、第一の層としてのセリウム含有酸化物としては、一般式(CeO1−2X1(JX1(但し、JはSm、Gd、Yのいずれか一種、0.05≦X1≦0.15)で表されるものである。
さらに、第一の層としてのランタンガレート系酸化物としては、一般式La1−aGa1−bまたはLa1−aGa1−b−c(但し、DはSr、Ca、Baの1種または2種以上、EはMg、Al、Inの1種または2種以上、LはCo、Fe、Ni、Crの1種または2種以上)で表されるものが好ましく用いられる。
以上、第一の層として好ましい電子導電性を有する酸化物と酸素イオン導電性を有する酸化物を各々挙げたが、電子導電性および酸素イオン導電性の両方を有したものであっても良い。その例としては、少なくともランタンとコバルトを含む酸化物であるランタンコバルタイト系酸化物などを挙げることができる。
第二の層は、少なくとも酸素イオン導電性を有し、電解質へマンガン成分の拡散を抑制する作用を有し、連通した開気孔を有するものが好ましい。
ここで、少なくとも酸素イオン導電性を有することが好ましいのは、主に第一の層で生成すると考えられる酸素イオンを、電解質へ効率良く供給するためである。また、電解質へマンガン成分の拡散を抑制する作用を有することが好ましいのは、電解質に電子導電性が発現することを抑制できることと焼結性の向上によって生じる電解質の燃料極側表面の粒子が大きくなりすぎることによって生じる燃料極との密着性の低下を抑制することができるためである。また、連通した開気孔を有するのが好ましいのはガス透過性が無いものであると、第一の層および空気極から拡散されるマンガン成分を効率良く拡散させてしまうためである。マンガンの拡散量を制御するポイントは第二の層における微構造であり、特に細孔径、空隙率、厚みの適正化が重要である。細孔径は0.1〜10μmが好ましく、空隙率は3〜40%が好ましく、厚みは5〜50μmが好ましい。
この態様において、第二の層としては、上記理由から酸素イオン導電性が高くかつ焼結性が高くないものすなわちマンガンを電解質に拡散させにくい材料が好ましい。さらに空気極から拡散されるマンガンを吸収する作用を有する材料が好ましい。この観点からSSZ、セリウム含有酸化物が代表として挙げられる。また、SSZより焼結性が高いが第一の層と電解質の密着性を向上させるという観点からScYSZの利用も好ましい。空気極から拡散されるマンガンを吸収する作用を有することが好ましいのは、マンガンが第二の層に入ることで第二の層に電子導電性が発現し、第一の層と同様に酸素イオンの生成を行うことができるようになるためである。この作用により、より高い出力性能を実現することが可能である点で、本発明の有利な態様であるといえる。
この態様において、第二の層としての、SSZ、およびセリウム含有酸化物は、第一の層で説明したものと同様のものであってよい。また、ScYSZも第一の層のそれと同様であってよいが、ScYSZにおけるスカンジアとイットリアの合計量に対するスカンジアの比率としては20mol%以上が好ましい。スカンジアが少なすぎるとマンガンの拡散を抑制させる効果が小さくなるためである。また、ScYSZにはさらにCeO、Sm、Gd3、Yb3、およびErから選ばれる少なくとも一種の酸化物が5mol%以下固溶されていてもよい。
従って、本発明の空気側電極反応層が二層からなる態様として、
第一の層が、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物と、スカンジアおよび/またはイットリアを固溶させたジルコニアとの混合物であって、連通した開気孔を有するものからなり、第二の層が、スカンジアを固溶させたジルコニアであって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなるもの、
第一の層が、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物とセリウム含有酸化物との混合物であって、連通した開気孔を有するものからなり、第二の層が、スカンジアを固溶させたジルコニアであって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなるもの、
第一の層が、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物とランタンおよびガリウムを含むペロブスカイト型酸化物との混合物であって、連通した開気孔を有するものからなり、第二の層が、スカンジアを固溶させたジルコニアであって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなるもの、
第一の層が、ランタンおよびコバルトを含むペロブスカイト型酸化物であって、連通した開気孔を有するものからなり、第二の層が、スカンジアを固溶させたジルコニアであって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなるもの、
前記第一の層が、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物とスカンジアおよび/またはイットリアを固溶させたジルコニアとの混合物であって、連通した開気孔を有しするものからなり、前記第二の層が、セリウム酸化物であって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなるもの
が提供される。
さらに本発明の好ましい態様によれば、空気側電極反応層が二層からなる態様において、空気極が有する細孔の径d1と、第一の層が有する細孔の径d2と、第二の層が有する細孔の径d3とが、d1>d2>d3の関係を満たすものであることが、出力特性に優れた燃料電池を実現できる観点から好ましい。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、空気側電極反応層が二層からなる態様において、空気極が有する空隙率a1と、第一の層が有する空隙率a2と、第二の層が有する空隙率a3、電解質が有する空隙率a4とが、a1≧a2≧a3>a4の関係を満たすものであることが好ましい。
また、第一の層と、第二の層の厚さは適宜決定されてよいが、好ましくは第二の層の厚さが5〜50μmであり、第一の層の厚さが5〜50μmである。
多孔質層
本発明の好ましい態様によれば、燃料極と電解質との間に、多孔質層が設けられてなる。本発明にあっては、この多孔質層はジルコニアを含む蛍石型酸化物からなり、厚み5〜40μmであり、かつその空隙率が電解質のそれよりも大であるものである。そして、本発明にあっては、上記したように、この多孔質層の、燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が0.3〜4重量%であることを特徴とするものである。
さらに本発明の好ましい態様によれば、多孔質層の燃料極側の表面におけるマンガン成分の含有量が0.6〜3.5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.9〜3重量%である。
本発明において、この多孔質層は、燃料極へマンガンが拡散されることを抑制するだけでなく、電解質を移動してきた酸素イオンを燃料極へ効率良く移動させるように機能するものである。この観点から、多孔質層は酸素イオン導電性が高いことが好ましい。また、電解質からのマンガンを燃料極に拡散させないこと、そして材料自身の抵抗によって出力性能を低減させないためには多孔質層の厚さを制御することもまた重要である。本発明の好ましい態様によれば、多孔質層の厚さは5〜40μmが好ましい。さらに、多孔質層は、出力性能および耐久性能の観点から空隙率が3〜30%で有ることが好ましく、またそれが有する細孔の径は0.05〜2μm程度が好ましい。一方、Hガスが燃料極側から電解質表面に到達しないよう、燃料極側から電解質に通じる空孔が無いものが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、電解質が有する空隙率a1と、蛍石型酸化物からなる多孔質層が有する空隙率a2と、燃料極が有する空隙率a3とが、a1<a2<a3の関係を満足するものであることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、多孔質層を構成するジルコニアを含む蛍石型酸化物は、固体酸化物形燃料電池の燃料ガス雰囲気下において安定であり、酸素イオン導電性が高い材料が好ましく、SSZ、ScYSZ、およびYSZが好ましいものとして挙げられる。これらSSZ、ScYSZ、およびYSZは、多孔質層に求められる物理特性を除けば、上記空気側電極反応層を構成するそれと同様であってよい。またその好ましい態様も同様であってよい。
燃料側電極反応層
本発明の好ましい態様によれば、燃料極における反応を効率よく行い、出力性能を向上させるために、電解質と燃料極の間に燃料側電極反応層を設けることが好ましい。なお、本発明にあっては、この燃料側電極反応層は燃料極の一態様であるため、「燃料極に接する層」との用語の意味は、燃料側電極反応層が設けられた態様にあっては、この燃料側電極反応層に接する層を意味することとなる。
本発明において、燃料側電極反応層としては、電子導電性と酸素イオン導電性の両方の特性に優れるNiO/SSZまたはNi/SSZが好ましく用いられる。ここで、NiOは燃料雰囲気下で還元されてNiとなり、燃料側電極反応層はNi/SSZとなる。
本発明の好ましい態様によれば、NiO/SSZの比率は、重量比で10/90〜50/50が、良好な電子導電性および酸素イオン導電性が実現できるため、好ましい。
また、この燃料側電極反応層を構成するSSZにおけるスカンジアの固溶量としては、3〜12mol%程度が、酸素イオン導電性が高く、燃料極における反応を促進させることができるため好ましい。また、このSSZは、さらにCeO、Sm、Gd、Biを一種または二種以上5mol%以下固溶させてもよい。これらを固溶させることで、燃料ガス雰囲気下で酸素イオン導電性の向上だけでなく電子導電性の向上も期待できる。
本発明の好ましい態様によれば、燃料側電極反応層として、NiOとSSZとセリウム酸化物が所定の重量比で均一に混合された層(以下、NiO/SSZ/セリウム酸化物)を好ましく用いることが出来る。この層は、燃料ガス雰囲気下で、酸素イオン導電性が高く、電子導電性が高いという利点を有する。NiOは燃料ガス雰囲気下で還元されてNiとなり、この層はNi/SSZ/セリウム酸化物となる。ここで、セリウム酸化物とは、セリウムが含まれた酸化物であれば良く特に限定されないが、一般式(CeO1−2 (B(ここで、BはSm、Gd、またはYのいずれか一種を表し、Xは0.05≦X≦0.15を満たすものである)で表されるものが、高い酸素イオン導電性を実現でき、好ましい。
インターコネクター
本発明による固体酸化物形燃料電池が有するインターコネクターは、固体酸化物形燃料電池の発電温度の空気雰囲気および燃料ガス雰囲気において電子導電性が高い、ガス透過性が無い、酸化還元雰囲気に対して安定であるものが好ましい。この観点からランタンクロマイトの利用が好ましい。
ランタンクロマイトは、難焼結性であるため固体酸化物形燃料電池の焼成温度(1500℃以下)でガス透過性の無いインターコネクターを作製することが難しい。焼結性を向上させるためにCa、Sr、またはMgを固溶させて用いていることが好ましい。焼結性が最も高く、固体酸化物形燃料電池の電解質等の他の電極を焼結させる時の温度と同程度の温度で、ガス透過性の無い膜を作製できるという点からCaを固溶させることが好ましい。
インターコネクターに用いられるCaを固溶させたランタンクロマイトの固溶量は多いほど電子導電性が高くなるが、材料の安定性が低下するおそれもあることから、10〜40mol%程度が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、空気極とインターコネクターの間に、(La1−xAx)MnO(ここで、AはSrまたはCaを表し、xは0.15≦x≦0.3を、yは0.97≦y≦1を満たすものである)で表される組成からなり、緻密なプリコート層を設けてもよい。このプリコート層により、Caを固溶させたランタンクロマイトの焼結助剤成分であるカルシウムクロメイト成分が、空気極へ拡散するのを有効に抑制することができるため有利である。ここで、緻密なプリコート層とは、プリコート層の片面とその反対側面の間に圧力差を設けた時、その間を透過するガス透過量で評価され、ガス透過量Q≦1.4×10msPa以上であるものを好ましくは意味する。
なお、固体酸化物形燃料電池の形状が平板型の場合では、インターコネクターをセパレータと呼び、役割はインターコネクターと同様である。セパレータの場合は、フェライト系ステンレス等の耐熱金属であってもよい。
固体酸化物形燃料電池の製造法
本発明による固体酸化物形燃料電池は、その形状等を考慮して、合目的的な製造法により製造することができる。図1に示されるような円筒型の場合、以下のとおり製造できる。
まず、支持体となる空気極部位を、原料である少なくともマンガンを含むペロブスカイト型酸化物他の成分を、好ましくはバインダーとともに混合し、この混合物を押し出し成形法で成形し、300〜500℃程度の温度でバインダーを除去した後、1400〜1500℃程度で焼成を行い、高強度で多孔質な空気極の支持体を得る。焼成方法としては、吊り焼成方法と横焼き焼成方法とがあるが、横焼成が好ましい。
続いて、得られた空気極支持体の表面に、空気側電極反応層、電解質、インターコネクター、燃料極を成膜する。これらの電極の形成方法としては、湿式法がコストの観点から好ましい。湿式法としては、原料粉末とバインダーと溶媒でスラリーを作製し、このスラリー中に浸漬して電極を形成するディッピング方法、スラリーより高粘度なペーストを用いてスクリーンを介して成膜するスクリーン印刷法、ペットフィルム等の別の基材にシート成形したものをセル表面に貼り付けるシート接着法などを挙げることができる。製法の選定は、被成膜部の形状によって適宜選択されてよく、図1に示される円筒型セルの場合は、空気側電極反応層および電解質はディッピング方法が好ましく、インターコネクターおよび燃料極についてはマスキングレスな方法であるスクリーン印刷法あるいはシート接着法が好ましい。
上記の方法により成膜されたセルは、300〜500℃程度の温度でバインダーを除去した後、空気極支持体より低い温度で、1300〜1500℃程度の範囲の温度で焼成を行うことが好ましい。焼成は、各層ごとに焼成する逐次焼成法と、いくつかの層を同時に焼成する共焼成法があるがいずれであっても良い。コストの観点からは共焼成法が好ましいが、空気極支持体として少なくともマンガンを含むペロブスカイト型酸化物を用いる本発明にあっては、マンガンの拡散によって出力性能が大きく低下する可能性があり、逐次焼成が好ましい場合もある。
また、空気極成形体との共焼成も可能であるが、空気極支持体焼成の場合は他の電極より高温で焼成を行うことから、マンガンの拡散を考慮すれば、逐次焼成が好ましいといえる。
本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例における各種物性、性能等の試験方法は以下のとおりとした。
電解質膜表面の結晶粒径測定
電解質の膜表面を、日立製作所(株)製S−4100を用いてSEM観察し、電解質の燃料極側表面を300倍の倍率で撮影した。さらに、撮影した写真でプラニメトリック法で粒子の粒度分布を算出した。また、平均結晶粒径についても測定した。すなわち、写真上で面積(A)の既知の円を描き、円内の粒子数nと円周にかかった粒子数nから以下の式によって単位面積あたりの粒子数Nを求める。
=(n+1/2n)/(A/m
ここで、mは写真の倍率である。1/Nが1個の粒子の占める面積であるから、膜表面の粒径は円相当径は2/√(πN)、正方形の一辺とすると1/√Nで得られる。
膜表面の粒度分布における3%径とは、プラニメトリック法で100個の結晶粒径を測定し、粒径の小さい順番から並べた際の3番目に相当する粒径を指し、97%径とは97番目に相当する粒径を指す。なお、焼結によって粒子同士が接合しているように見える場合でも粒界が観察されれば別個の粒子と見なして測定した。
ガス漏れ試験
発電試験前に空気極支持体内部に窒素ガスを流し、空気極内部から0.1MPaの圧力を加え、電解質を透過するガス透過量を測定した。これにより電解質がガス透過性が無い膜であるかを評価した。
発電試験
作製された電池(燃料極有効面積:150cm)を用いて発電試験を行った。運転条件は以下のとおりとした。
燃料:(H+11%HO):N=1:2
酸化剤:Air
発電温度:800℃
電流密度:0.3Acm−2
耐久試験
前記発電試験と同一条件下で1000時間保持した後、電流密度を0Acm−2に下げた状態で室温まで温度を下げた後、再度800℃まで昇温し同様の条件で500時間保持した。再度電流密度を0Acm−2に下げた状態で室温まで温度を下げた後、800℃まで昇温し同様の条件で500時間保持した。このようにヒートサイクルを2回含む合計2000時間の耐久試験を実施した。
電解質表面の組成分析
発電試験用電池と同様の条件で作製した電池を用いて電解質の燃料極側表面のマンガンの含有量について調べた。マンガンの含有量は島津製作所製の島津電子線マイクロアナライザーEPMA−8705を用いて測定した。測定条件は以下のとおりとした。
加速電圧:15kW
照射電流量:50nA
分光結晶:LiF
分析線:MnKα線(2.103Å)
空隙率
電池を切断し、空気極から燃料極にかけての切断面を鏡面が出るまで研磨をした。電解質から燃料極部分についてSEMで断面写真を撮り、透明なフィルム上に空隙部と粒子部を色分けしてトレースした。色分けされたフィルムを画像処理にかけて空隙部の割合を算出することにより求めた。
細孔径
細孔径は、以下の方法で求めた。電池を切断し、空気極から燃料極にかけての切断面を鏡面が出るまで研磨をする。空気極から電極反応層部分についてSEMで断面写真を撮り、透明なフィルム上に空隙部と粒子部を色分けしてトレースする。空隙部の大きさを測定し、例えば空隙が円相当のものはその直径が細孔径となり、正方形相当のものは1辺の長さが細孔径として算出する。また、細孔径が0.1〜10μmとは、前記方法で100個の細孔径を測定し、径の小さい順番から並べた際の3番目〜97番目の範囲で測定されたもので、50番目の細孔径に相当するものを指す。すなわち、3%径〜97%径の範囲の細孔径で50%径に相当するものが0.1〜10μmであることを意味する。
[実施例A1]:電解質がSSZからなる層の場合である燃料電池
[実施例A1−1]
(1)空気極支持体の作製
空気極を、La0.75Sr0.25MnO組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトとした。共沈法で作製後熱処理して空気電極原料粉末を得た。平均粒子径は、30μmであった。押し出し成形法によって円筒状成形体を作製し、さらに1500℃で焼成を行い、空気極支持体とした。
(2)空気側電極反応層の作製
空気側電極反応層として、La0.75Sr0.25Mn0.95Ni0.05/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50を用いた。La、Sr、Mn、Ni、Zr、およびScの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。この粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、上記空気極支持体(外径15mm、肉厚1.5mm、有効長400mm)上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。厚さは20μmであった。
(3)電解質のスラリー作製:
電解質は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は140mPasであった。
(4)電解質の作製
調製したスラリーを空気側電極反応層上に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
(5)燃料側電極反応層のスラリー作製
燃料側電極反応層はNiO/90mol%ZrO−10mol%Scとした。Ni、ZrおよびSc各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに、熱処理を施し、粒径を制御した後原料を得た。燃料側電極反応層の組成が、NiO/90mol%ZrO−10mol%Sc=20/80と、50/50の2種類を作製した。平均粒子径はいずれも0.5μmであった。この粉末100重量部と有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)10重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、および可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリーの粘度は70mPasであった。
(6)燃料極のスラリー作製:
燃料極はNiO/90mol%ZrO−10mol%Y=70/30とした。Ni、ZrおよびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した後原料を得た。平均粒径は2μmであった。この粉末100重量部と有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)20重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、および消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリーの粘度は250mPasであった。
(7)燃料極の作製
上記(4)で調製した電解質をマスキングし、有効面積が150cmになるようにし、前記燃料側電極反応層スラリーをまずスラリーコート法により、電解質上へ、NiO/90mol%ZrO−10mol%Sc(平均粒子径)=20/80(0.5μm)、50/50(0.5μm)の順に成膜した。膜厚(焼成後)は10μmであった。この上に、燃料極スラリーをスラリーコート法により成膜した。膜厚(焼成後)は90μmであった。さらに、1400℃で焼成した。
(8)インターコネクターの作製:
インターコネクターの組成をLa0.80Ca0.20CrO、で表されるCaを固溶させたランタンクロマイトとした。原料粉末を噴霧熱分解法で作製後、熱処理を施して得た。得られた粉末の平均粒子径は1μmであった。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリーの粘度は100mPasであった。スラリーコート法によりインターコネクターを成膜し、1400℃で焼成した。焼成後の厚さは40μmであった。
[実施例A1−2]
電解質の焼成温度が1360℃であること以外は実施例1と同様にして、固体酸化物形燃料電池を得た。
[実施例A1−3]
電解質の焼成温度が1380℃であること以外は実施例1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A1−4]
電解質の焼成温度が1420℃であること以外は実施例1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A1−5]
電解質の焼成温度が1440℃であること以外は実施例1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A1−1
電解質の焼成温度が1340℃であること以外は実施例1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A1−2
電解質の焼成温度が1460℃であること以外は実施例1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例2]:電解質がYSZからなる層である燃料電池
[実施例A2−1]
電解質の組成が90mol%ZrO−10mol%Yであること以外は、実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A2−2]
電解質の組成が90mol%ZrO−10mol%Yであり、電解質の焼成温度が1350℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A2−3]
電解質の組成が90mol%ZrO−10mol%Yであり、電解質の焼成温度が1380℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A2−4]
電解質の組成が90mol%ZrO−10mol%Yであり、電解質の焼成温度が1410℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A2−5]
電解質の組成が90mol%ZrO−10mol%Yであり、電解質の焼成温度が1420℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A2−1
電解質の組成が90mol%ZrO−10mol%Yであり、電解質の焼成温度が1330℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A2−2
電解質の組成が90mol%ZrO−10mol%Yであり、電解質の焼成温度が1440℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例3]:電解質がSSZ/YSZからなる層である燃料電池
[実施例A3−1]
電解質の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A3−2]
電解質の組成が、90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、電解質の焼成温度が1350℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A3−3]
電解質の組成が、90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、電解質の焼成温度が1380℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A3−4]
電解質の組成が、90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、電解質の焼成温度が1420℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A3−5]
電解質の組成が、90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、電解質の焼成温度が1430℃であること以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、粒度分布、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
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Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
[実施例A4]:電解質として、空気極側にSSZからなる層、燃料極側にYSZからなる層を有する燃料電池
[実施例A4−1]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1400℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(SSZからなる層:15μm、YSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A4−2]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1350℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(SSZからなる層:15μm、YSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A4−3]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1380℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(SSZからなる層:15μm、YSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A4−4]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1415℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(SSZからなる層:15μm、YSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A4−5]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1425℃で焼結させた。得られた電解質の厚さは、30μm(SSZからなる層:15μm、YSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A4−1
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1330℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(SSZからなる層:15μm、YSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A4−2
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1440℃で焼結させた。得られた電解質の厚さは、30μm(SSZからなる層:15μm、YSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、粒度分布、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
[実施例A5]:電解質として、空気極側にYSZからなる層、燃料極側にSSZからなる層を有する燃料電池
[実施例A5−1]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1400℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(YSZからなる層:15μm、SSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A5−2]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1350℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(YSZからなる層:15μm、SSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A5−3]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1380℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(YSZからなる層:15μm、SSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A5−4]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1420℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(YSZからなる層:15μm、SSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A5−5]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1430℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(YSZからなる層:15μm、SSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A5−1
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1330℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(YSZからなる層:15μm、SSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A5−2
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1450℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(YSZからなる層:15μm、SSZからなる層:15μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、粒度分布、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
[実施例A6]:電解質が、三層構造を有する燃料電池
[実施例A6−1]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。さらに、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1400℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(空気側のSSZからなる層:10μm、YSZからなる層:10μm、燃料極側SSZからなる層:10μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A6−2]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。さらに、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1360℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(空気側のSSZからなる層:10μm、YSZからなる層:10μm、燃料極側SSZからなる層:10μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A6−3]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。さらに、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1380℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(空気側のSSZからなる層:10μm、YSZからなる層:10μm、燃料極側SSZからなる層:10μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A6−4]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。さらに、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1420℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(空気側のSSZからなる層:10μm、YSZからなる層:10μm、燃料極側SSZからなる層:10μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A6−5]
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。さらに、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1440℃で焼成した。得られた電解質の厚さは、30μm(空気側のSSZからなる層:10μm、YSZからなる層:10μm、燃料極側SSZからなる層:10μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A6−1
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。さらに、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1330℃で焼結させた。得られた電解質の厚さは、30μm(空気側のSSZからなる層:10μm、YSZからなる層:10μm、燃料極側SSZからなる層:10μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例A6−2
空気側電極反応層上に、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。この上に90mol%ZrO−10mol%YであるYSZからなる層をスラリーコート法で成膜した。さらに、90mol%ZrO−10mol%ScであるSSZからなる層をスラリーコート法で成膜した後、1450℃で焼結させた。得られた電解質の厚さは、30μm(空気側のSSZからなる層:10μm、YSZからなる層:10μm、燃料極側SSZからなる層:10μm)であった。それ以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、粒度分布、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
[実施例A7]:電解質膜の膜厚について
[実施例A7−1]
電解質膜の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、1420℃で焼結させ、厚さが8μmであった以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A7−2]
電解質膜の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、1420℃で焼結させ、厚さが10μmであった以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A7−3]
電解質膜の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、1420℃で焼結させ、厚さが15μmであった以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A7−4]
電解質膜の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、1420℃で焼結させ、厚さが30μmであった以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A7−5]
電解質膜の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、1420℃で焼結させ、厚さが50μmであった以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A7−6]
電解質膜の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、1420℃で焼結させ、厚さが80μmであった以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A7−7]
電解質膜の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、1420℃で焼結させ、厚さが100μmであった以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例A7−8]
電解質膜の組成が90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yであり、1420℃で焼結させ、厚さが120μmであった以外は実施例A1−1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、粒度分布、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
[実施例B1]
(1)電解質の作製
(1−1)電解質原料粉末の作製
電解質材料として、90mol%ZrO−10mol%Scで表されるSSZ材料を用意した。すなわち、ZrOを100℃で加熱した3N以上の濃硝酸に溶解させ、蒸留水で希釈した後、硝酸塩水溶液を得た。Scについても同様の方法から硝酸塩水溶液を得た。各々の硝酸塩水溶液を前記組成になるように調合し、シュウ酸水溶液を加え、共沈させた。共沈して得られた液を200℃程度で乾燥し、500℃で熱分解し、さらに800℃で熱処理をして、原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。
(1−2)プレス体の作製
上記粉末にバインダーPVAを、SSZ材料に対して10wt%加えて混練乾燥した後、円盤状の金型で一軸成形し、1000kg/cm加圧し成形した。
(1−3)プレス焼成体の作製
上記プレス体を1430℃で焼結させた。さらに焼結後に厚さが1mmになるように研削を行った。
(1−4)気孔率測定
前記プレス焼成体をアルキメデス法によって気孔率を測定した。気孔率は、0.8%であり、ガス透過性が無い電解質であることを確認した。
(2)混合導電性セラミックス電極の作製
(2−1)原料の作製
マンガンとニッケルを含むペロブスカイト型酸化物と、酸素イオン導電性を有する酸化物とを均一に混合した混合導電性セラミックス材料を用意した。その組成は、(La0. 75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)Oと90mol%ZrO−10mol%Scで表されるSSZ(以下、(La0.75Sr0.250. 98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Scと示す。)とし、重量比率は50/50とした。まず、(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)Oは、次のようにして得た。La、Sr、MnおよびNiの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加えて沈殿させた。沈殿物をさらに熱処理した。原料を粉砕した後、さらに1300℃で焼成して原料粉末を得た。また、90mol%ZrO−10mol%Scは、次のようにして得た。ZrOを100℃で加熱した3N以上の濃硝酸に溶解させ、蒸留水で希釈した後、硝酸塩水溶液を得た。Scについても同様の方法から硝酸塩水溶液を得た。各々の硝酸塩水溶液を前記組成になるように調合し、シュウ酸水溶液を加え、共沈させた。共沈して得られた液を200℃程度で乾燥し、500℃で熱分解、さらに1200℃で熱処理をして原料粉末を得た。さらに、各々の原料を混合し、1300℃で熱処理を行い、原料粉末を得た。粒子径を制御して、原料粉末の平均粒子径を2μmとした。
(2−2)ペーストの作製
前記(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50からなる原料粉末100重量部に対し、バインダーとしてエチルセルロースを10重量部、溶剤としてα−テルピネオールを90重量部加え、30分間混錬してペーストを作製した。
(2−3)電極の作製
前記プレス体の電解質の片面に、直径6mmの大きさになるよう前記ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、1400℃で焼結させた。焼成後の電極の厚さは20μmであった。さらに、この電極上とプレス体の反対面に、直径6mmの大きさになるように白金電極をスクリーン印刷法で塗布し、1100℃で焼結させて、燃料電池試験片を得た。
[実施例B2]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.99Ni0.01)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B3]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.98Ni0.02)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B4]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.92Ni0.08)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B5]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.90Ni0.10)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B6]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.87Ni0.13)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
比較例B1
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98MnO/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
過電圧測定
以上のようにして得られた試験片を図7に示されるように構成して、反応過電圧を測定した。すなわち、SSZ材料からなる電解質13の片面に混合導電性セラミックスからなる電極11が形成され、電極11の表面に白金電極12と、反対面に白金からなる対極14が形成されている。また、電解質13の側面には白金からなる参照極15が形成され、さらに白金電極12には2本のリード線16、対極および参照極には各々1本ずつリード線17および18が取り付けられている。電池を大気雰囲気で800℃まで昇温させた後、電流遮断法で過電圧の測定を行った。ここで、電流遮断法とは電池に流れている電流を瞬間的に遮断し、その時の電圧変化から、反応に伴う過電圧とオーム抵抗に伴う過電圧を定量する方法である。本試験では、0.2Acm−2条件下での反応過電圧を算出した。一般的に反応過電圧が低く測定されるものほど、電極特性が優れる材料であると言われている。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
比較例B1との比較から明らかなように、Niが入ることによって反応過電圧が低下している。これはNiが入ることによって電解質へのマンガンの拡散が抑制されたものと推測される。このことからNiを含むことによってマンガンの拡散が抑制され、良好な電極特性を有することを確認することができた。また、Ni量で比較すると0.02以上入ると反応過電圧が低下し、一方、0.10より多く加えると反応過電圧が大きくなる傾向が見られる。このことからよりNiが0.02〜0.10の範囲がより好ましいといえる。
以下、(La0.75Sr0.25(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50について試験した。
[実施例B7]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.96(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B8]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.97(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B9]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.99(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B10]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.25)(Mn0.95Ni0. 05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B10と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B11]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.251.01(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
過電圧評価試験
前記と同様の過電圧測定法により、反応過電圧を測定した。その結果は以下の表に示される通りであった。
Figure 0004362832
y値が0.97〜1の範囲であると反応過電圧が小さいが、y値が0.97未満および1.00を越えると急激に大きくなる。以上の結果から、y値として、より好ましい範囲は0.97≦y≦1.00であることを確認することができた。
以下、重量比率を変えて試験した。
[実施例B12]
混合導電性セラミックス電極を重量比が(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=20/80となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B13]
混合導電性セラミックス電極を重量比が(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=30/70となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B14]
混合導電性セラミックス電極を重量比が(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=40/60となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B15]
混合導電性セラミックス電極を重量比が(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=60/40となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B16]
混合導電性セラミックス電極を重量比が(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=70/30となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B17]
混合導電性セラミックス電極を重量比が(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=80/20となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
比較例B2
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)Oとなるように調合し、1300℃で焼成後平均粒径2μmに制御したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
比較例B3
混合導電性セラミックス電極を90mol%ZrO−10mol%Sc組成で表されるSSZ材料を用い、1200℃で焼成後平均粒径が2μmに制御したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
過電圧評価試験
前記と同様の過電圧測定法により、反応過電圧を測定した。その結果は以下の表に示される通りであった。
Figure 0004362832
重量比率が30〜70重量%の範囲であると過電圧が小さくなる傾向が見られる。
以下、La以外の希土類元素の影響について試験した。
[実施例B18]
混合導電性セラミックス電極を(Y0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%ScO=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B19]
混合導電性セラミックス電極を(Sm0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
過電圧評価試験
前記と同様の過電圧測定法により、反応過電圧を測定した。その結果は以下の表に示される通りであった。
Figure 0004362832
少なくともマンガンとニッケルを含むペロブスカイト型酸化物として、(Ln1−x(Mn1−zNi)Oで表した場合、LnはSm、Yでも良いことが確認された。このことからLnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuから選ばれるいずれか1種または2種以上であっても同様の効果が得られることは容易に推定でき、好ましいことを確認することができた。
以下、酸素イオン導電性を有する材料の影響について試験した。
[実施例B20]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Y=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B21]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−5mol%Y−5mol%Sc=50/50となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B22]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)Oと(CeO0.8(Sm0.1で表されるセリウム含有酸化物(以下、(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/(CeO0.8(Sm0.1と示す。)が重量比率で50/50となるように調合したものを用いた。(CeO0.8(Sm0.1は、Ce,Smの各々の硝酸溶液からシュウ酸を用いて共沈法により作製し、1200℃で熱処理した後(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)Oと粉末混合し、1300℃で焼成した。さらに本電極を1500℃で焼結させたこと以外は実施例1と同様にした。
[実施例B23]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)Oと90mol%ZrO−10mol%Scと(CeO .8(Sm0.1で表されるセリウム含有酸化物(以下、(La0.75Sr .250.98(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc/(CeO0.8(Sm0.1と示す。)が重量比率で50/25/25となるように調合したものを用いた。(La0.75Sr0.250.9 (Mn0.95Ni0.05)O、90mol%ZrO−10mol%Scおよび(CeO0.8(Sm0.1を各々共沈法により作製したものを粉末混合し、1300℃で焼成したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
[実施例B24]
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)OとLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2で表されるランタンガレート系酸化物(以下、(La0.75Sr0.250.98(Mn0.95Ni0.05)O/La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2と示す。)が重量比率で50/50になるように調合したものを用いた。La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2は、La,SrCO,Ga,MgOを前記組成になるように配合し、ボールミルで混合後、1200℃で熱処理した。その後、各々の粉末を混合して1300℃で焼成したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
比較例B4
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98MnO/90mol%ZrO−10mol%Y=50/50(重量比)となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
比較例B5
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98MnO/90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Y=50/50(重量比)となるように調合したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
比較例B6
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98MnO/(CeO0.8(Sm0.1=50/50となるように調合した。(CeO0.8(Sm0.1は、Ce,Smの各々の硝酸溶液からシュウ酸を用いて共沈法により作製し、1200℃で熱処理した後(La0.75Sr0.250.99MnOと粉末混合し、1300℃で焼成したこと以外は実施例B22と同様にして、燃料電池試験片を得た。
比較例B7
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98MnO/90mol%ZrO−10mol%Sc/(CeO0.8(Sm0.1=50/25/25となるように調合したものを用いた。(La0.75Sr0.250.98MnO、90mol%ZrO−10mol%Scおよび(CeO0.8(Sm0.1を各々共沈法により作製したものを粉末混合し、1300℃で焼成したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
比較例B8
混合導電性セラミックス電極を(La0.75Sr0.250.98MnO/La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2=50/50になるように調合したものを用いた。La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2は、La,SrCO,Ga,MgOを前記組成になるように配合し、ボールミルで混合後、1200℃で熱処理した。その後、各々の粉末を混合して1300℃で焼成したこと以外は実施例B1と同様にして、燃料電池試験片を得た。
過電圧評価試験
前記と同様の過電圧測定法により、反応過電圧を測定した。その結果は以下の表に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
酸素イオン導電性を有する材料としてYSZ、ScYSZ、セリウム含有酸化物、SSZとセリウム酸化物の混合材料およびランタンガレート系酸化物を用いたが、いずれも少なくともマンガンとニッケルを含むペロブスカイト型酸化物との混合では低い反応過電圧を示しているのに対して、ニッケルを含まないと反応過電圧が大きくなっており、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物にニッケルを入れることで電極特性が著しく向上することが確認された。いずれも電解質へのマンガンの拡散が抑制されたことによって電極特性が向上したものと推察される。
固体酸化物形燃料電池の作製
[実施例B25]
(1)空気極支持体の作製
空気極を、La0.75Sr0.25MnO組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトとした。共沈法で作製後熱処理して空気極原料粉末を得た。平均粒子径は、30μmであった。押し出し成形法によって円筒状成形体を作製し、さらに1500℃で焼成を行い、空気極支持体とした。空気極支持体の細孔径は14μm、空隙率は45%、肉厚は1.5mmであった。
(2)空気側電極反応層の作製
空気側電極反応層を、マンガンとニッケルを含むペロブスカイト型酸化物とYSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率が、(La0.75Sr0.25)(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Y=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Ni、ZrおよびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。この粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、上で調製した空気極支持体(外径15mm、肉厚1.5mm、有効長400mm)表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。形成された層の細孔径は5μm、空隙率は28%、厚さは30μmであった。
(3)電解質のスラリー作製:
電解質の材料をYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Yとした。Zr、Yの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は140mPasであった。
(4)電解質の作製
調製したスラリーを上記(2)で作製した空気側電極反応層の表面上に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた電解質の厚さは、30μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
(5)燃料側電極反応層のスラリー作製
燃料側電極反応層の材料をNiO/SSZとし、その組成はNiO/(ZrO0. 90(Sc0.10とした。Ni、ZrおよびSc各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。この沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御して原料を得た。燃料側電極反応層の重量比率が、NiO/(ZrO0.90(Sc0.10=20/80と、50/50の2種類を作製した。平均粒子径はいずれも0.5μmであった。この粉末100重量部と、有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)10重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、および可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリーの粘度は70mPasであった。
(6)燃料側電極反応層の作製
上記(4)で調製した電解質層をマスキングして、有効面積が150cmになるようにし、スラリーコート法により電解質層上に、上記(5)で作製したスラリーNiO/(ZrO0.90(Sc0.10=20/80(平均粒子径0.5μm)、および同50/50(平均粒子径0.5μm)を順に成膜した。膜厚(焼結後)は10μmとした。
(7)燃料極のスラリー作製:
燃料極の材料をNiO/YSZとし、その組成はNiO/(ZrO0.90(Y0.10とした。Ni、ZrおよびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御した後原料を得た。その組成およびその重量比率はNiO/(ZrO0.90(Y0.10=70/30であり、平均粒径は2μmであった。この粉末100重量部と、有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)20重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、および可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリーの粘度は250mPasであった。
(8)燃料極の作製
上記(6)で調製した燃料側電極反応層上に上記(7)で調製したスラリーをスラリーコート法により成膜した。膜厚(焼結後)は90μmであった。さらに、燃料側電極反応層と燃料極を1400℃で共焼結させた。
(9)インターコネクターの作製:
組成La0.70Ca0.30CrOで表されるCaを固溶させたランタンクロマイトのインターコネクタを作製した。噴霧熱分解法で粉末を作製後、熱処理を施して得た。得られた粉末の平均粒子径は1μmであった。この粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。スラリーコート法によりインターコネクターを成膜し、1400℃で焼結させた。焼結後の厚さは40μmであった。
比較例B9
空気側電極反応層として、組成、重量比がLa0.75Sr0.25MnO/90mol%ZrO−10mol%Y=50/50であるものとした。La、Sr、Mn、ZrおよびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。前記スラリーを、空気極支持体表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。厚さは30μmであった。上記以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
表7には40000時間後の推定電位を示すがこれは定置型の燃料電池として求められる寿命が40000時間であるためである。一般的に40000時間での電位低下率が10%以下であれば問題ないとされている。
以下、空気側電極反応層の厚さについて試験した。
[実施例B26]
空気側電極反応層の厚さを3μmとしたこと以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B27]
空気側電極反応層の厚さを5μmとしたこと以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B28]
空気側電極反応層の厚さを20μmとしたこと以外は実施例25と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B29]
空気側電極反応層の厚さを50μmとしたこと以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B30]
空気側電極反応層の厚さを55μmとしたこと以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、前記と同様のガス漏れ試験、発電試験、耐久試験、および電解質表面の組成分析を行った。その結果は、以下に示されるとおりであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以上より、出力性能および耐久性能の面から、空気側電極反応層の厚さ5〜50μmの範囲がより好ましいことが分かる。
空気側電極反応層の二層化の効果
[実施例B31]
第二の空気側電極反応層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、上記実施例B25(2)で得た空気側電極反応層の表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。第二の層の細孔径は1.5μm、空隙率は14%、厚さは10μmであった。上記以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B32]
第二の空気側電極反応層の厚さを3μmとしたこと以外は実施例B31と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B33]
第二の空気側電極反応層の厚さを5μmとしたこと以外は実施例B31と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B34]
第二の空気側電極反応層の厚さを30μmとしたこと以外は実施例B31と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B35]
第二の空気側電極反応層の厚さを50μmとしたこと以外は実施例B31と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B36]
第二の空気側電極反応層の厚さを55μmとしたこと以外は実施例B31と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、前記と同様のガス漏れ試験、発電試験、耐久試験、および電解質表面の組成分析を行った。なお、組成分析については、燃料極に接する電解質の表面に加えて、第二の空気側電極反応層に接する電解質の表面のマンガン含有量についても同様に測定した。また、比較例B9についても同様に測定を行った。その結果は、以下に示されるとおりであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
第二の空気側電極反応層を設けた方が良く、厚さが5〜50μmの範囲がより好ましいことが分かる。
以下、電解質の構成について試験した。
[実施例B37]
電解質の材料をScYSZとし、その組成は90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yとした。Zr、Y、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。上記以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B38]
電解質の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。上記以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B39]
電解質の材料を、組成90mol%ZrO−10mol%ScのSSZ、および組成90mol%ZrO−10mol%YのYSZとした。空気側電極反応層の表面上にYSZをスラリーコート法で成膜した後、YSZ表面上にSSZをスラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。各々の層の厚さを15μmとした。上記以外は実施例B25と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例B40]
電解質の材料を、組成90mol%ZrO−10mol%ScのSSZ、および組成90mol%ZrO−10mol%YのYSZとした。空気側電極反応層の表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した後、SSZ表面上にYSZをスラリーコート法で成膜し、さらにYSZ表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した。各々の層を1400℃で共焼結させた。各々の層の厚さを10μmとした。上記以外は実施例B25と同様とした。
以上のようにして得られた燃料電池について、前記と同様のガス漏れ試験、発電試験、耐久試験、および電解質表面の組成分析を行った。その結果は、以下に示されるとおりであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
[実施例C1]
(1)空気極支持体の作製
空気極を、La0.75Sr0.25MnO組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトとした。共沈法で作製後熱処理して空気極原料粉末を得た。平均粒子径は、30μmであった。押し出し成形法によって円筒状成形体を作製した。さらに、1500℃で焼成を行い、空気極支持体とした。空気極支持体の細孔径は14μm、空隙率は45%、肉厚は1.5mmであった。
(2)空気側電極反応層(第一の層)の作製
第一の層を、(La1−xMnOとYSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率が、La0.75Sr0.25MnO/90mol%ZrO−10mol%Y=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、ZrおよびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。この第一の層の粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、空気極支持体(外径15mm、肉厚1.5mm、有効長400mm)表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。第一の層の細孔径は5μm、空隙率は28%、厚さは20μmであった。
(3)空気側電極反応層(第二の層)の作製
第二の層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。第二の層の細孔径は1.5μm、空隙率は14%、厚さは10μmであった。
(4)電解質のスラリー作製:
電解質の材料をYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Yとした。Zr、Yの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は140mPasであった。
(5)電解質の作製
調製したスラリーを第二の層上に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた電解質の厚さは、30μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
(6)燃料側電極反応層のスラリー作製
燃料側電極反応層の材料をNiO/SSZとし、その組成は、NiO/(ZrO .90(Sc0.10とした。Ni、ZrおよびSc各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御して原料を得た。燃料側電極反応層の重量比率が、NiO/(ZrO0.90(Sc0.10=20/80と、50/50の2種類を作製し、平均粒子径はいずれも0.5μmであった。この粉末100重量部と有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)10重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、および消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリーの粘度は70mPasであった。
(7)燃料側電極反応層の作製
上記(5)で調製した電解質層をマスキングし、有効面積が150cmになるようにし、スラリーコート法により電解質層上へNiO/(ZrO0.90(Sc0.10(平均粒子径)=20/80(0.5μm)、50/50(0.5μm)の順に成膜した。膜厚(焼結後)は10μmとした。
(8)燃料極のスラリー作製:
燃料極の材料をNiO/YSZとし、その組成はNiO/(ZrO0.90(Y0.10とした。Ni、Zr、およびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御した後原料を得た。組成およびその重量比率はNiO/(ZrO0.90(Y0.10=70/30であり、平均粒径は2μmであった。この粉末100重量部と、有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)20重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、および消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリーの粘度は250mPasであった。
(9)燃料極の作製
燃料側電極反応層上に燃料極スラリーをスラリーコート法により成膜した。膜厚(焼結後)は90μmであった。さらに、燃料側電極反応層と燃料極を1400℃で共焼結させた。
(10)インターコネクターの作製:
組成をLa0.70Ca0.30CrOで表されるCaを固溶させたランタンクロマイトのインターコネクターを作製した。噴霧熱分解法で作製後、熱処理を施して得た。得られた粉末の平均粒子径は1μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。スラリーコート法によりインターコネクターを成膜し、1400℃で焼結させた。焼結後の厚さは40μmであった。
比較例C1
空気側電極反応層の材料をYSZとし、その組成およびその重量比率は90mol%ZrO−10mol%Yとした。Zr、Yの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、空気極支持体の表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。厚さは30μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例C2
空気側電極反応層を(La1−xMnOとYSZが均一に混合された層とし、組成およびその重量比率が、La0.75Sr0.25MnO/90mol%ZrO−10mol%Y=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Zr、およびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、空気極支持体表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。厚さは30μmであった。上記以外は実施例C1と同様として、燃料電池を得た。
比較例C3
空気側電極反応層を(La1−xMnOと一般式(CeO0.8(Y0.1で表されるセリウム含有酸化物が均一に混合された層(以下、(La1−xMnO/(CeO0.8(Y0.1と示す。)とし、その組成およびその重量比率が、La0.75Sr0.25MnO/(CeO0.8(Y0.1=50/50であるものを調製して用いた。La0.75Sr0.25MnOについてはLa,SrおよびMnの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに1200℃で熱処理を施した。(CeO0.8(Y0.1についてはCeおよびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに1200℃で熱処理を施した。1200℃で熱処理を施したLa0.75Sr0.25MnO粉末および(CeO0.8(Y0.1粉末を粉末混合法で混合させた後、1400℃で熱処理を施し、さらに粒径を制御して原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。前記スラリーを、空気極支持体表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。厚さは30μmであった。上記以外は実施例C1と同様として、燃料電池を得た。
比較例C4
電解質を1500℃で焼結させたこと以外は、比較例C3と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、空気側電極反応層の第二の層の細孔径について試験した。
[実施例C2]
第二の層の原料の平均粒子径を0.5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1350℃で焼結させたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C3]
第二の層の原料の平均粒子径を0.5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1380℃で焼結させたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C4]
第二の層の原料の平均粒子径を0.5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1400℃で焼結させたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C5]
第二の層の原料の平均粒子径を2μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1430℃で焼結させたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C6]
第二の層の原料の平均粒子径を5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1430℃で焼結させたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C7]
第二の層の原料の平均粒子径を5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1450℃で焼結させたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
電解質層のガス透過量を比較すると実施例5〜7では好ましいQ≦2.8×10−9ms−1Pa−1ではあるが、より好ましいQ≦2.8×10−10ms−1Pa−1の範囲にはない。一方、実施例C1〜4はより好ましいQ≦2.8×10−10ms−1Pa−1である。電解質のガス透過性を考慮すると、空気極の細孔径d1と第一の層の細孔径d2と第二の層の細孔径d3はd1>d2>d3であることが好ましいことが分かる。
また、第二の層における空隙率としては、3〜40%がより好ましいことが分かる。
以下、空気側電極反応層の第二の層の厚さについて試験した。
[実施例C8]
第二の層の厚さを3μmとしたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C9]
第二の層の厚さを5μmとしたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C10]
第二の層の厚さを30μmとしたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C11]
第二の層の厚さを50μmとしたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C12]
第二の層の厚さを55μmとしたこと以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以上により、第二の層の厚さとしては5〜50μmの範囲が、より好ましいことが分かる。
電解質の燃料極側表面におけるマンガン成分の含有量が0.3〜4重量%であることがより好ましいことが分かる。
以下、空気側電極反応層の第一の層における厚さについて試験した。
[実施例C13]
第一の層の厚さが3μmとした以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C14]
第一の層の厚さが5μmとした以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C15]
第一の層の厚さが30μmとした以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C16]
第一の層の厚さが50μmとした以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C17]
第一の層の厚さが55μmとした以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以上により、第一の層における厚さとして5〜50μmの範囲がより好ましいことが分かる。
以下、空気側電極反応層の第一の層および第二の層における材料を変えて試験した。
[実施例C18]
第二の層の材料をScYSZとし、組成を90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yとした。Zr、ScおよびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C19]
第一の層を(La1−xMnOとSSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率がLa0.75Sr0.25MnO/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Zr、およびScの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C20]
第一の層を(La1−x(Mn1−zNi)OとSSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率が(La0.75Sr0.25)(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Ni、Zr、およびScの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C21]
第一の層を(La1−x(Mn1−zNi)OとScYSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率が(La0.75Sr0.25)(Mn0. 95Ni0.05)O/90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Y=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Ni、Zr、Y、およびScの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
電解質の構成について
[実施例C22]
電解質の材料をScYSZとし、その組成は90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yとした。Zr、Y、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C23]
電解質の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C24]
電解質の材料をSSZおよびYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scおよび90mol%ZrO−10mol%Yとした。第二の層表面上にYSZをスラリーコート法で成膜した後、YSZ表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した。1400℃で焼結させた。なお、各々の層の厚さは15μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例C25]
電解質の材料をSSZおよびYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scおよび90mol%ZrO−10mol%Yとした。第二の層表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した後、SSZ表面上にYSZをスラリーコート法で成膜し、さらにYSZ表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した。各々の層を1400℃で共焼結させた。なお、各々の層の厚さは10μmであった。上記以外は実施例C1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
[実施例D1]
(1)空気極支持体の作製
空気極は、La0.75Sr0.25MnO組成になるように調合したSrを固溶させたランタンマンガナイトとした、共沈法で作製後熱処理して空気極原料粉末を得た。平均粒子径は、30μmであった。押し出し成形法によって円筒状成形体を作製した。さらに、1500℃で焼成を行い、空気極支持体とした。その細孔径は14μm、空隙率は45%、肉厚は1.5mmであった。
(2)空気側電極反応層の作製
空気側電極反応層を(La1−xMnOとYSZが均一に混合された層とし、その組成および重量比率がLa0.75Sr0.25MnO/90mol%ZrO−10mol%Y=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Zr、およびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。この粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、空気極支持体表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。厚さは30μmであった。
(3)電解質のスラリー作製:
電解質の材料をYSZとし、該組成は、90mol%ZrO−10mol%Yであるものを調製して用いた。Zr,Yの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は140mPasであった。
(4)電解質の作製
調製したスラリーを空気側電極反応層の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた電解質の厚さは、30μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。空隙率は1%であった。
(5)ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層のスラリー作製
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)5重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は200mPasであった。
(6)ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の作製
調製したスラリーを電解質層の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。なお、空隙率は15%、細孔径は0.3μmであった。
(7)燃料側電極反応層のスラリー作製
燃料側電極反応層の材料をNiO/SSZとし、その組成はNiO/(ZrO0. 90(Sc0.10とした。Ni、ZrおよびSc各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御して原料を得た。燃料側電極反応層の重量比率がNiO/(ZrO0.90(Sc0.10=20/80と、50/50の2種類を作製した。平均粒子径はいずれも0.5μmであった。この粉末100重量部と、有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)10重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、および可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は70mPasであった。
(8)燃料側電極反応層の作製
上記(6)で調製した多孔質層をマスキングし、有効面積が150cmになるようにし、スラリーコート法により多孔質層上へNiO/(ZrO0.90(Sc0.10(平均粒子径)=20/80(0.5μm)、50/50(0.5μm)の順に成膜した。膜厚(焼結後)は10μmとした。
(9)燃料極のスラリー作製:
燃料極の材料をNiO/YSZとし、その組成はNiO/(ZrO0.90(Y0.10とした。Ni、Zr、およびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸を加え沈殿させた。沈殿物と上澄み液を乾燥した後、さらに熱処理を施し、粒径を制御した後原料を得た。組成およびその重量比率はNiO/(ZrO0.90(Y0.10=70/30であり、平均粒径が2μmであった。この粉末100重量部と、有機溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)20重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)5重量部、消泡剤(ソルビタンセスオキオレート)1重量部、および可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は250mPasであった。
(10)燃料極の作製
燃料側電極反応層上に燃料極スラリーをスラリーコート法により成膜した。膜厚(焼結後)は90μmとした。さらに、燃料側電極反応層と燃料極を1400℃で共焼結させた。
(11)インターコネクターの作製:
組成La0.70Ca0.30CrOで表されるCaを固溶させたランタンクロマイトのインターコネクターを作製した。噴霧熱分解法で原料粉末を作製後、熱処理を施して得た。得られた粉末の平均粒子径は1μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。スラリーコート法によりインターコネクターを成膜し、1400℃で焼結させた。焼結後の厚さは40μmであった。
ここで示す厚さとは、電池を切断し、空気極から燃料極にかけての切断面をSEM観察し、写真のスケールから算出したものである。
[実施例D2]
多孔質層の厚さを5μmにしたこと以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D3]
多孔質層の厚さを10μmにしたこと以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D4]
多孔質層の厚さを30μmにしたこと以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D5]
多孔質層の厚さを40μmにしたこと以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、多孔質層の空隙率、細孔径を変えて試験した。
[実施例D6]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.3μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは20μmであり、空隙率は3%、細孔径は0.1μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D7]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.3μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1380℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであり、空隙率は8%、細孔径は0.05μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D8]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は1μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは20μmであり、空隙率は15%、細孔径は0.8μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D9]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は1μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)5重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは20μmであり、空隙率は20%、細孔径は2μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D10]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をSSZとし、その組成は、90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は1μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)5重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1350℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは20μmであり、空隙率は30%、細孔径は1.2μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D11]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.2μmであった。この粉末30重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは20μmであり、空隙率は2%、細孔径は0.04μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D12]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)5重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは20μmであり、空隙率は32%、細孔径は2.5μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、多孔質層の材料について試験した。
[実施例D13]
多孔質層の材料をScYSZとし、その組成は90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yとした。Zr、Sc、Yの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D14]
多孔質層の材料をYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Yとした。Zr、Yの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例D5
電解質と燃料側電極反応層の間に(CeO0.8(Sm0.1で表されるセリウム含有酸化物からなる層を設けた。Ce、Smの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであり、空隙率が18%、細孔径が0.5μmであった。この層を設けた以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、空気側電極反応層の材料について試験した。
[実施例D15]
空気側電極反応層は、(La1−x(Mn1−zNi)OとSSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率が(La0.75Sr0.25)(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Ni、ZrおよびScの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、電解質の構成を変えて試験した。
[実施例D16]
電解質の材料はScYSZとし、その組成は90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yとした。Zr、Y、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D17]
電解質の材料はSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr,Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D18]
電解質の材料としてはSSZおよびYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scおよび90mol%ZrO−10mol%Yとした。空気側電極反応層の表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した後、SSZ表面上にYSZをスラリーコート法で成膜した。1400℃で焼結させた。なお、各々の層の厚さは15μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例D19]
電解質の材料はSSZおよびYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scおよび90mol%ZrO−10mol%Yとした。空気側電極反応層の表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した後、SSZ表面上にYSZをスラリーコート法で成膜し、さらにYSZ表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した。各々の層を1400℃で共焼結させた。各々の層の厚さは10μmであった。上記以外は実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
[実施例E1]
空気側電極反応層を以下の通り二層とした以外は、実施例D1と同様にして、燃料電池を得た。
(1)空気側電極反応層(第一の層)の作製
第一の層は(La1−xMnOとYSZが均一に混合された層であり、組成およびその重量比率がLa0.75Sr0.25MnO/90mol%ZrO−10mol%Y=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Zr、およびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、空気極支持体(外径15mm、肉厚1.5mm、有効長400mm)表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。第一の層の細孔径は5μm、空隙率は28%、厚さは20μmであった。
(2)空気側電極反応層(第二の層)の作製
第二の層はSSZとし、組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。この粉末40重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。このスラリー粘度は100mPasであった。このスラリーを、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後に1400℃で焼結させた。第二の層の細孔径は1.5μm、空隙率は14%、厚さは10μmであった。
[実施例E2]
多孔質層の厚さを5μmにしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E3]
多孔質層の厚さを10μmにしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E4]
多孔質層の厚さを30μmにしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E5]
多孔質層の厚さを40μmにしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
空気側電極反応層の第二の層の細孔径について試験した。
[実施例E6]
第二の層の原料の平均粒子径を0.5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1350℃で焼結させたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E7]
第二の層の原料の平均粒子径を0.5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1380℃で焼結させたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E8]
第二の層の原料の平均粒子径を0.5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1400℃で焼結させたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E9]
第二の層の原料の平均粒子径を2μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1430℃で焼結させたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E10]
第二の層の原料の平均粒子径を5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1430℃で焼結させたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E11]
第二の層の原料の平均粒子径を5μmとし、第一の層表面上にスラリーコート法で成膜した後、1450℃で焼結させたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
電解質のガス透過量を比較すると実施例9〜11では好ましいQ≦2.8×10−9ms−1Pa−1の範囲内ではあるが、より好ましいQ≦2.8×10−10ms−1Pa−1の範囲内にはない。一方、実施例E1,6〜8はより好ましいQ≦2.8×10−1 ms−1Pa−1の範囲内である。電解質のガス透過性を考慮すると、空気極の細孔径d1と第一の層の細孔径d2と第二の層の細孔径d3はd1>d2>d3であることが好ましいことが分かる。
以下、空気側電極反応層の第二の層の厚さについて試験した。
[実施例E12]
第二の層の厚さを3μmとしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E13]
第二の層の厚さを5μmとしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E14]
第二の層の厚さを30μmとしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E15]
第二の層の厚さを50μmとしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E16]
第二の層の厚さを55μmとしたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、空気側電極反応層の第一の層の厚さについて試験した。
[実施例E17]
第一の層の厚さを3μmとした以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E18]
第一の層の厚さを5μmとした以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E19]
第一の層の厚さを30μmとして以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E20]
第一の層の厚さを50μmとして以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E21]
第一の層の厚さを55μmであること以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、多孔質層の空隙率、細孔径について試験した。
[実施例E22]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.3μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調子した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであり、空隙率は3%、細孔径は0.1μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E23]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.3μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1380℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであり、空隙率は8%、細孔径は0.05μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E24]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は1μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであり、空隙率は15%、細孔径は0.8μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E25]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は1μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)5重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであり、空隙率は20%、細孔径は2μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E26]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は1μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)5重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1350℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであり、空隙率は30%、細孔径は1.2μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E27]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.2μmであった。この粉末30重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであり、空隙率は2%、細孔径は0.04μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E28]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層材料をSSZとし、この組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。この粉末20重量部を、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)5重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、および消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーを電解質の表面に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼結させた。得られた多孔質層の厚さは、20μmであり、空隙率は32%、細孔径は2.5μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、空気側電極反応層の第一の層および第二の層の材料について試験した。
[実施例E29]
第二の層をScYSZとし、その組成は90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yとした。Zr、ScおよびYの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は2μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E30]
第一の層を(La1−xMnOとSSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率がLa0.75Sr0.25MnO/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Zr、およびScの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E31]
第一の層を(La1−x(Mn1−zNi)OとSSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率が(La0.75Sr0.25)(Mn0.95Ni0.05)O/90mol%ZrO−10mol%Sc=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Ni、ZrおよびScの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E32]
第一の層を(La1−x(Mn1−zNi)OとScYSZが均一に混合された層とし、その組成およびその重量比率が(La0.75Sr0.25)(Mn0. 95Ni0.05)O/90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Y=50/50であるものを調製して用いた。La、Sr、Mn、Ni、Zr、Y、およびScの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は5μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
以上のようにして得られた燃料電池について、電解質の燃料極側の表面におけるMnの含有量、ガス漏れ試験、発電試験、および耐久試験を行った。その結果は、以下の表示に示される通りであった。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、多孔質細孔層の材料について試験した。
[実施例E33]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をScYSZとし、その組成は90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yとした。Zr、Sc、Yの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E34]
ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなる多孔質層の材料をYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Yとした。Zr、Yの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
比較例E8
電解質と燃料側電極反応層の間に(CeO0.8(Sm0.1で表されるセリウム含有酸化物からなる層を設けた。Ce、Smの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであり、空隙率が18%、細孔径が0.5μmであった。この層を多孔質層の代わりに設けたこと以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
Figure 0004362832
Figure 0004362832
Figure 0004362832
以下、電解質の構成を変えて試験した。
[実施例E35]
電解質の材料をScYSZとし、その組成は90mol%ZrO−5mol%Sc−5mol%Yとした。Zr、Y、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E36]
電解質の材料をSSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scとした。Zr、Scの各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように調合した後、シュウ酸による共沈を行った。さらに熱処理を施し、粒径を制御した原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E37]
電解質の材料をSSZおよびYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scおよび90mol%ZrO−10mol%Yとした。第二の層表面上にYSZをスラリーコート法で成膜した後、YSZ表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した。1400℃で焼結させた。なお、各々の層の厚さは15μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E38]
電解質の材料をSSZおよびYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scおよび90mol%ZrO−10mol%Yとした。第二の層表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した後、SSZ表面上にYSZをスラリーコート法で成膜した。1400℃で焼結させた。なお、各々の層の厚さは15μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
[実施例E39]
電解質の材料をSSZおよびYSZとし、その組成は90mol%ZrO−10mol%Scおよび90mol%ZrO−10mol%Yとした。第二の層表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した後、SSZ表面上にYSZをスラリーコート法で成膜し、さらにYSZ表面上にSSZをスラリーコート法で成膜した。各々の層を1400℃で共焼結させた。なお、各々の層の厚さは10μmであった。上記以外は実施例E1と同様にして、燃料電池を得た。
Figure 0004362832
Figure 0004362832

Claims (46)

  1. 電解質と、空気極と、燃料極とを少なくとも備えてなる固体酸化物形燃料電池であって、
    前記空気極が、少なくともマンガンを含むペロブスカイト型酸化物を含んでなり、
    前記燃料極に接する層の、燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が0.3〜4重量%であり、
    前記電解質が、前記燃料極側の膜表面において、その結晶粒径の3%径が3μm以上で、かつ97%径が20μm以下のものであることを特徴とする、固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記燃料極に接する層が、前記電解質である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記燃料極と、前記電解質との間に多孔質層が設けられてなり、
    前記燃料極に接する層が該多孔質層であり、
    前記多孔質層が、ジルコニアを含む蛍石型酸化物からなり、厚み5〜40μmであり、かつその空隙率が電解質のそれよりも大であるもの
    である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記空気極と前記電解質の間に、空気側電極反応層が設けられてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記電解質の空気極側の表面におけるマンガンの含有量が、前記電解質の燃料極側の表面におけるマンガン成分の含有量よりも大である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  6. 前記電解質の燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が0.6〜3.5重量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  7. 前記電解質の燃料極側の表面におけるマンガンの含有量が0.9〜3重量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  8. 前記電解質の空気極側の表面におけるマンガンの含有量が10重量%未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  9. 前記電解質の空気極側の表面におけるマンガンの含有量が6重量%未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  10. 前記空気側電極反応層が、マンガンおよびニッケルを含むペロブスカイト型酸化物と、ジルコニアを含む酸化物との混合導電性セラミックスからなり、かつ連通した開気孔を有するものである、請求項4〜9のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  11. 前記空気側電極反応層が、マンガンおよびニッケルを含むペロブスカイト型酸化物と、セリウム酸化物との混合導電性セラミックスからなり、かつ連通した開気孔を有するものである、請求項4〜9のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  12. 前記空気側電極反応層が、マンガンおよびニッケルを含むペロブスカイト型酸化物と、ランタンおよびガリウムを含むペロブスカイト型酸化物との混合導電性セラミックスからなり、かつ連通した開気孔を有するものである、請求項4〜9のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  13. 前記マンガンとニッケルを含むペロブスカイト型酸化物の、空気側電極反応層中の含有量が30〜70重量%である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  14. 前記マンガンおよびニッケルを含むペロブスカイト型酸化物が、(Ln1−x(Mn1−zNi)O(式中、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選ばれるいずれか1種または2種以上のものを表し、Aは、CaまたはSrのいずれかを表し、xは0.15≦x≦0.3を、yは0.97≦y≦1を、そしてzは0.02≦z≦0.10を満足するものである)で表されるものである、請求項10〜13のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  15. 前記ジルコニアを含む酸化物が、スカンジアを固溶させたジルコニアである、請求項10、13、または14に記載の固体酸化物形燃料電池。
  16. 前記ジルコニアを含む酸化物が、スカンジアとイットリアを固溶させたジルコニアである、請求項10、13、または14に記載の固体酸化物形燃料電池。
  17. 前記セリウム酸化物が、式(CeO1−2X1(JX1(ここで、Jは、Sm、Gd、またはYを表し、X1は0.05≦X1≦0.15を満足するものである)で表されるものである、請求項11、13、または14に記載の固体酸化物形燃料電池。
  18. 前記空気側電極反応層が前記空気極側の第一の層と、前記電解質側の第二の層との少なくとも二層から構成されたものである、請求項4〜15のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  19. 前記第一の層が、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物と、スカンジアおよび/またはイットリアを固溶させたジルコニアとの混合物であって、連通した開気孔を有するものからなり、
    前記第二の層が、スカンジアを固溶させたジルコニアであって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなる
    ものである、請求項18に記載の固体酸化物形燃料電池。
  20. 前記第一の層が、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物とセリウム含有酸化物との混合物であって、連通した開気孔を有するものからなり、
    前記第二の層が、スカンジアを固溶させたジルコニアであって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなる
    ものである、請求項18に記載の固体酸化物形燃料電池。
  21. 前記第一の層が、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物とランタンおよびガリウムを含むペロブスカイト型酸化物との混合物であって、連通した開気孔を有するものからなり、
    前記第二の層が、スカンジアを固溶させたジルコニアであって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなる
    ものである、請求項18に記載の固体酸化物形燃料電池。
  22. 前記第一の層が、ランタンおよびコバルトを含むペロブスカイト型酸化物であって、連通した開気孔を有するものからなり、
    前記第二の層が、スカンジアを固溶させたジルコニアであって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなる
    ものである、請求項18に記載の固体酸化物形燃料電池。
  23. 前記第一の層が、マンガンを含むペロブスカイト型酸化物とスカンジアおよび/またはイットリアを固溶させたジルコニアとの混合物であって、連通した開気孔を有するものからなり、
    前記第二の層が、セリウム酸化物であって、前記電解質よりも大きな空隙率を有するものからなる
    ものである、請求項18に記載の固体酸化物形燃料電池。
  24. 前記第二の層が有する細孔の径が0.1〜10μmである、請求項18〜23のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  25. 前記空気極が有する細孔の径d1と、前記第一の層が有する細孔の径d2と、前記第二の層が有する細孔の径d3とが、d1>d2>d3の関係を満たすものである、請求項18〜24のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  26. 前記第二の層の空隙率が3〜40%である、請求項18〜25のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  27. 前記空気極が有する空隙率a1と、前記第一の層が有する空隙率a2と、前記第二の層が有する空隙率a3、前記電解質が有する空隙率a4とが、a1≧a2≧a3>a4の関係を満たすものである、請求項18〜24のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  28. 前記第二の層の厚さが5〜50μmである、請求項18〜24のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  29. 前記第一の層の厚さが5〜50μmである、請求項18〜24のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  30. 前記第二の層を構成する前記セリウム酸化物が、式(CeO1−2X1(JX1(ここで、Jは、Sm、Gd、またはYを表し、X1は0.05≦X1≦0.15を満足するものである)で表されるものである、請求項23〜29のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  31. 前記第一の層を構成するマンガンを含むペロブスカイト型酸化物が、(La1−xMnO(ここで、AはCaまたはSrを表し、xは0.15≦x≦0.3を、yは0.97≦y≦1を満足するものである)で表されるランタンマンガナイトである、請求項20、21、23〜30のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  32. 前記第一の層を構成するマンガンを含むペロブスカイト型酸化物が、(La1−x(Mn1−zNi)O(ここで、AはCaまたはSrを表し、xは0.15≦x≦0.3を、yは0.97≦y≦1を、zは0.02≦z≦0.10の関係を満足するものである)で表されるランタンマンガナイトである、請求項20、21、23〜30のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  33. 前記第一の層を構成するセリウム酸化物が、式(CeO1−2X1(JX1(ここで、Jは、Sm、Gd、またはYを表し、X1は0.05≦X1≦0.15を満足するものである)で表されるものである、請求項20、24〜32のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  34. 前記電解質が、スカンジアおよび/またはイットリアを固溶させたジルコニアからなる層からなるものである、請求項1〜33のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  35. 前記電解質が少なくとも二層から構成され、前記空気側電極反応層側にイットリアを固溶させたジルコニアからなる層を、そして前記燃料極側にスカンジアを固溶させたジルコニアからなる層が設けられている、請求項1〜34のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  36. 前記電解質が少なくとも二層から構成され、前記空気側電極反応層側にスカンジアを固溶させたジルコニアからなる層を、そして前記燃料極側にイットリアを固溶させたジルコニアからなる層が設けられている、請求項1〜34のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  37. 前記電解質が少なくとも三層から構成され、スカンジアを固溶させたジルコニアからなる層、イットリアを固溶させたジルコニアからなる層、そしてスカンジアを固溶させたジルコニアからなる層の順に積層されてなる、請求項1〜34のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  38. 前記空気極が、(La1−xMnO(ここで、AはCaまたはSrを表し、xは0.15≦x≦0.3を、yは0.97≦y≦1を満足するものである)で表されるランタンマンガナイトである、請求項1〜37のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  39. 前記電解質の空気極側の表面におけるマンガンの含有量が、前記蛍石型酸化物からなる多孔質層の燃料極側の表面におけるマンガンの含有量よりも大である、請求項3〜38のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  40. 前記蛍石型酸化物からなる多孔質層の燃料極側の表面におけるマンガン成分の含有量が0.6〜3.5重量%である、請求項39に記載の固体酸化物形燃料電池。
  41. 前記蛍石型酸化物からなる多孔質層の燃料極側の表面におけるマンガン成分の含有量が0.9〜3重量%である、請求項39に記載の固体酸化物形燃料電池。
  42. 前記蛍石型酸化物からなる多孔質層が空隙率3〜30%を有するものである、請求項3〜41のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  43. 前記電解質が有する空隙率a1と、前記蛍石型酸化物からなる多孔質層が有する空隙率a2と、前記燃料極が有する空隙率a3とが、a1<a2<a3の関係を満足するものである、請求項3〜42のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  44. 前記蛍石型酸化物からなる多孔質層が有する細孔の径が0.05〜2μmである、請求項3〜43のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  45. 前記蛍石型酸化物が、スカンジアを固溶させたジルコニアである、請求項3〜44のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  46. 前記蛍石型酸化物が、スカンジアおよびイットリアを固溶させたジルコニアである、請求項3〜44のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
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