JP2016115600A - メタルサポートセル - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な低温作動性を有しながら、金属材料を含む支持体とその上に配置された燃料極との間の剥離、ならびに、燃料極内や各層間における各層を構成する成分粒子間での剥離が抑制されたメタルサポートセルを提供すること。【解決手段】本発明のメタルサポートセルは、金属材料を含み連続孔を備えた支持体(A)上に、燃料極(B)と固体電解質(C)と空気極(D)とが、(B)、(C)、(D)の順序で配置されたメタルサポートセルであって、上記燃料極(B)が、還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物を有する導電成分及びイットリア安定化ジルコニアを含んでいる。上記固体電解質(C)は、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)と、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)とを含んでいる。上記第1電解質層(C1A)は上記燃料極(B)側に、上記第2電解質層(C1B)は上記空気極(D)側に配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、メタルサポートセルに関する。
近年、従来の電解質支持型セルや電極支持型セルよりも機械的強度、急速起動性、耐レドックス特性等に優れるメタルサポートセルが盛んに開発されている(例えば特許文献1参照)。メタルサポートセルは、金属支持体の劣化等の防止のため、低温作動することが好ましい。メタルサポートセルに含まれる固体電解質としては、希土類等で安定化されたジルコニア系酸化物やセリア系酸化物の使用が検討されている。メタルサポートセルでは、作動性の向上と共に、金属材料を含む支持体とその上に配置された燃料極等の剥離が問題となっていた。
特開2013−201038号公報
従って、本発明の課題は、十分な低温作動性を有しながら、金属材料を含む支持体とその上に配置された燃料極との剥離が抑制され、さらに、燃料極内ならびに燃料極とその上に配置された電解質等との各層間における各層を構成する成分粒子間での剥離が抑制されたメタルサポートセルを提供することにある。
本発明者は、メタルサポートセルにおいて、特定の材料からなる燃料極が、金属材料を含む支持体との剥離の抑制に効果的であること、さらに、特定の材料で構成された電解質層を組み合わせることにより、燃料極内ならびに各層間における各層を構成する成分粒子間での剥離が抑制され、耐久性に優れ、かつ低温作動性にも優れたメタルサポートセルを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のメタルサポートセルは、金属材料を含み連続孔を備えた支持体(A)上に、燃料極(B)と固体電解質(C)と空気極(D)とが、(B)、(C)、(D)の順序で配置されたメタルサポートセルであって、上記燃料極(B)が、還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物を有する導電成分及びイットリア安定化ジルコニアを含んでいる。上記固体電解質(C)は、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)と、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)とを含んでいる。上記第1電解質層(C1A)は上記燃料極(B)側に、上記第2電解質層(C1B)は上記空気極(D)側に配置されている。
本発明によれば、メタルサポートセルにおいて、金属材料を含む支持体と燃料極との剥離が抑制され、さらに、低温作動性にも優れ、燃料極内ならびに各層間における各層を構成する成分粒子間での剥離が抑制され、耐久性の優れたメタルサポートセルを提供できる。
本発明のメタルサポートセルの、好ましい実施形態の構成を示す図である。 本発明のメタルサポートセルの、別の好ましい実施形態の構成を示す図である。
以下の説明において、特に記載がない限り、範囲を表す「A〜B」は「A以上B以下」を意味する。
1.メタルサポートセル
本発明のメタルサポートセルでは、金属材料を含み連続孔を備えた支持体(A)上に、燃料極(B)と固体電解質(C)と空気極(D)とが、(B)、(C)、(D)の順序で配置されている。上記燃料極(B)は、還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物を有する導電成分及びイットリア安定化ジルコニアを含んでいる。上記固体電解質(C)は、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)と、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)とを含んでいる。上記第1電解質層(C1A)は上記燃料極(B)側に、上記第2電解質層(C1B)は上記空気極(D)側に配置されている。
本発明では、燃料極(B)を構成する酸化物イオン伝導性金属酸化物にイットリア安定化ジルコニアを用いる。イットリア安定化ジルコニアは導電成分との密着性が高く、導電成分と酸化物イオン伝導性金属酸化物との間の剥離を抑制できる。さらに、還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物を有する導電成分及びイットリア安定化ジルコニアを含む燃料極(B)は、金属材料を含み連続孔を備えた支持体(A)となじみがよく、上記支持体(A)上に上記燃料極(B)を配置することにより、支持体(A)と燃料極(B)の間の層間剥離を抑制できる。また、上記燃料極(B)と接する第1電解質層(C1A)は、燃料極(B)に含まれる導電成分との密着性が高いイットリア安定化ジルコニアを主成分として含み、しかも該イットリア安定化ジルコニアは燃料極(B)に含まれる酸化物イオン伝導性金属酸化物と同じくジルコニア系酸化物であるため、燃料極(B)と第1電解質層(C1A)の層間における成分粒子の間での剥離を抑制できる。さらに、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)上に、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)を配置することにより、セルの低温作動性をより向上させることができる。燃料極(B)、ならびに第1電解質層(C1A)、第2電解質層(C1B)は同じジルコニア系酸化物を含むことにより、各層間における各層を構成する成分粒子の間での剥離が抑制される。なお、「燃料極(B)に含まれるイットリア安定化ジルコニア」と「第1電解質層(C1A)の主成分として含まれるイットリア安定化ジルコニア」とは、イットリアで安定化されたジルコニアである点で同じであればよく、イットリア含有量およびその他の金属元素の含有量等は同じであっても異なっていてもよい。
本発明のメタルサポートセルの好ましい形態では、セリア系酸化物を主成分として含む第3電解質層(C2)を備えていてもよい。これにより、電解質の低温作動性をより向上させることができる。第3電解質層(C2)では、第2電解質層(C1B)と空気極(D)との間に配置されていることが好ましい。第3電解質層(C2)は、第2電解質層(C1B)により燃料極からの水素ガスが遮断されるため、第3電解質層(C2)のセリア系酸化物が還元されることが抑制され、第3電解質層(C2)における電子伝導性の発現による電流リークの発生を抑制できる。また、セリア系酸化物の還元膨張の発生も抑制されるため、起動時の電解質の体積変化が小さく、耐久性の高いセルとすることができる。また、第3電解質層(C2)は、第2電解質層(C1B)のジルコニア系酸化物と空気極(D)とが反応して高抵抗物質層が形成されて発電性能が低下することを抑制でき、後述のバリア層としての機能も果たすことができる。
1−1 支持体(A)
本発明のメタルサポートセルを構成する支持体(A)としては、金属材料を含み連続孔を備えていれば、特に制限されない。金属材料としては、特に制限されないが、例えば、Fe、Ti、Cr、Cu、Ni、Agを用いることができ、1種を単独で使用してもよいし、2種以上が合金化されていてもよい。2種以上が合金化された材料としては、特に制限されず、例えば、ニッケル系耐熱合金、ニッケル−クロム合金、鉄−クロム合金、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304)やフェライト系ステンレス鋼(例えば、SUS430)が挙げられる。これらの中で、汎用性があり、安価な材料である点で、フェライト系ステンレス鋼が好ましい。
また、上記支持体(A)は、燃料極(B)が配置される側の表面から該表面とは反対側の表面へと繋がる連続孔を有する。連続孔を有する構造としては、特に制限されるものではないが、例えば、金網焼結体(焼結金網ともいう)、金属粉末焼結体(焼結金属ともいう)、金属繊維焼結体(焼結不織布ともいう)、金属短繊維粉焼結体等の、多数の金属片を規則的あるいは不規則に成型して焼き固めた多孔質体や、緻密な金属板をエッチング処理により貫通孔を形成したものやレーザーによるパンチング処理等の機械的処理により貫通孔を形成したもの等を好ましく使用することができる。連続孔は、支持体(A)中に1つであっても複数であってもよいが、複数あることが好ましい。また、連続孔の空間的形状には制限はなく、規則的形状でも、あるいは不規則的形状でもよい。なお、貫通孔とは、支持体(A)の一方の面から他方の面にほぼ直線的に貫通する連続孔のことである。
上記支持体(A)を構成する連続孔の気孔径は、特に制限されないが、有効気孔径dyが、0.05〜1000μmの範囲であることが好ましく、0.1〜500μmの範囲が更に好ましく、0.2〜200μmの範囲が最も好ましい。なお、有効気孔径dyは、粒子ろ過した時にフィルターを通過する粒子の粒子径を測定する方法(JIS−B8356−8)において、95%が補足されてフィルターを通過しない粒子の粒子径の値を意味する。
上記支持体(A)は、その表面が金属酸化物で被覆されていることが好ましい。本発明のセルの作動時において、支持体(A)は高温で還元雰囲気(燃料ガス)または酸化雰囲気(空気)に曝されるため、材質が変質したり劣化したりするおそれがある。金属酸化物で被覆された支持体(A)とすることにより材質の劣化を抑制できる。
1−2 燃料極(B)
燃料極(B)は、還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物を有する導電成分及びイットリア安定化ジルコニアを含んでいる。還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物を有する導電成分としては、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄のように燃料電池稼働時の還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物;あるいはこれらの酸化物を2種以上含有するニッケルフェライトやコバルトフェライトのような複合金属酸化物が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用できる。これらの中でも、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄が望ましい。
イットリア安定化ジルコニアにおけるイットリアの含有量は、好ましくは1〜15mol%であり、より好ましくは3〜13mol%、さらに好ましくは6〜11mol%である。また、イットリアとともに、プラセオジア、ネオジア、サマリア、ガドリニア、ジスプロシア、ユウロピア、エルビア、又はイッテルビア等を添加したイットリア安定化ジルコニアを用いてもよい。それらの中でも、ユウロピア、エルビア、又はイッテルビアを添加したイットリア安定化ジルコニアが好ましく用いられる。これらの金属酸化物を構成する金属元素は、少なくともその一部が上記イットリア安定化ジルコニアに固溶していてもよい。イットリア安定化ジルコニアとしては、結晶構造が正方晶または立方晶を含むイットリア(部分)安定化ジルコニアが好ましい。
イットリア安定化ジルコニアには、さらに、Al、TiO、Ta、Nbなどの金属酸化物が、例えば含有されたものであってもよい。これらの金属酸化物を構成する金属元素は、少なくともその一部が上記イットリア安定化ジルコニアに固溶していてもよい。
上記導電成分とイットリア安定化ジルコニアとの成分比は特に限定されない。導電成分とイットリア安定化ジルコニア成分との成分比(導電成分:イットリア安定化ジルコニア成分)は、例えば質量基準で30:70〜80:20であり、40:60〜70:30が好ましく、50:50〜70:30がより望ましい。ここで、導電成分とイットリア安定化ジルコニア成分との成分比は、還元性雰囲気に曝される前の導電成分の質量に基づいている。
燃料極(B)としては、NiまたはNiOとイットリア安定化ジルコニアとが混合された層がより好ましい。NiOとイットリア安定化ジルコニアとの体積比は、NiO/イットリア安定化ジルコニア=40/60〜70/30が好ましい。これらの体積比は、NiOとイットリア安定化ジルコニアのバルクの比重から質量比に換算できる。
燃料極(B)は、燃料ガス透過性が高いという観点から、気孔を有することが好ましい。燃料極(B)の厚みは5〜30μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
1−3 固体電解質(C)
本発明のメタルサポートセルに配置される固体電解質(C)は、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)と、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)とを含み、好ましくはセリア系酸化物を主成分として含む第3電解質層(C2)を含んでいる。
1−3−1 第1電解質層(C1A)
第1電解質層(C1A)は、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含んでいる。イットリア安定化ジルコニアとしては、上記燃料極(B)において例示の化合物と好ましい態様を同じとする。
本明細書において、ある成分を「主成分として含む」とは、該成分を例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上含んでいることを意味し、以下同様である。
1−3−2 第2電解質層(C1B)
第2電解質層(C1B)は、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含んでいる。スカンジアの含有量は4〜12mol%が好ましい。また、スカンジアとともに、セリア、プラセオジア、ネオジア、サマリア、ガドリニア、ジスプロシア、ユウロピア、エルビア、又はイッテルビア等を添加したスカンジア安定化ジルコニアを用いてもよい。それらの中でも、セリア、ユウロピア、エルビア、又はイッテルビアを添加したスカンジア安定化ジルコニアが好ましく用いられる。これらの金属酸化物を構成する金属元素は、少なくともその一部が上記スカンジア安定化ジルコニアに固溶していてもよい。スカンジア安定化ジルコニアとしては、結晶構造が正方晶または立方晶を含むスカンジア(部分)安定化ジルコニアが好ましい。
スカンジア安定化ジルコニアには、さらに、Al、TiO、Ta、Nbなどの金属酸化物が、例えば含有されたものであってもよい。これらの金属酸化物を構成する金属元素は、少なくともその一部が上記スカンジア安定化ジルコニアに固溶していてもよい。
第1電解質層(C1A)及び/または第2電解質層(C1B)において、イットリア安定化ジルコニア及び/またはスカンジア安定化ジルコニアは、金属元素Mを含んでいてもよい。金属元素Mを含んでいることにより、第1電解質層(C1A)及び/または第2電解質層(C1B)の低温焼結(例えば1100℃以下での焼成による焼結)における緻密性を向上できる。金属元素Mの含有量は、好ましくは、ジルコニウム原子100molに対して、原子換算で0.1〜10.0molの割合である。
金属元素Mとしては、Li,B,Mg,Ca,Al,Ti,V,Mn,Co,Cu,NbまたはBiが挙げられる。中でも、Li,B,CoまたはBiが好ましく、Bi,Coがより好ましい。金属元素Mとして、特にBiが好ましい。金属元素Mを含むことにより、層の厚みが薄く、800〜1100℃という低温焼成であっても、第1電解質層(C1A)及び/または第2電解質層(C1B)の緻密性が高くなる。金属元素Mとして、他にFeやCrが含まれていてもよい。
1−3−3 第3電解質層(C2)
上記第3電解質層(C2)は、セリア系酸化物を主成分として含んでいる。セリア系酸化物としては、セリア(CeO)、又はセリア(CeO)にCaO、SrO、BaO、Ti23、Y23、La23、Pr23、Sc、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Er23、Tm23、Yb23、PbO、WO3、MoO3、V25、Ta25、Nb25、Alの1種もしくは2種以上がドープされたセリア系酸化物が好ましい。上記の中でも、Gd23、Sm23、Pr23、Gd23とSm23がドープされたセリア系酸化物が好ましい。
1−3−4 各電解質層の厚み
イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)の厚みは、0.1〜5μmが好ましく、0.3〜3μmがより好ましく、0.5〜2μmがさらに好ましい。上記厚みが厚すぎると、第1電解質層(C1A)における酸化物イオン伝導性が低下しやすく、発電効率が低くなる場合がある。一方、上記厚みが薄すぎると、ガス遮断性や電子伝導遮断性が低下しやすくなり、発電効率が低くなる場合がある。
スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)の厚みは、0.5〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましく、1〜10μmがさらに好ましい。上記厚みが厚すぎると、第2電解質層(C1B)における酸化物イオン伝導性が低下しやすく、発電効率が低くなる場合がある。一方、上記厚みが薄すぎると、ガス遮断性や電子伝導遮断性が低下しやすくなり、発電効率が低くなる場合がある。
セリア系酸化物を主成分として含む第3電解質層(C2)の厚みは、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。通常、セリア系酸化物は、ジルコニア系酸化物よりも低温運転下での酸化物イオン伝導性に優れている場合が多いため、固体電解質(C)における各層の厚みが上記範囲であると、ジルコニア系酸化物による酸化物イオン伝導度の低下への寄与率が小さくなり、低温運転下でのセリア系酸化物での高酸化物イオン伝導性を活かすことができやすい。
1−4 空気極(D)
空気極(D)は、固体酸化物形燃料電池用セルの発電時にカソード触媒活性を有する金属酸化物を含む層であれば、特に制限されない。カソード触媒活性を有する金属酸化物としては、La、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe、Mn等のうちの少なくとも1種を含有する各種の複合酸化物(例えば、ストロンチウムを固溶したランタンマンガナイト、ランタンフェライト、ランタンコバルトフェライトやランタンコバルタイト等)が挙げられる。空気極(D)は、さらに、ジルコニア系酸化物、上記セリア系酸化物、安定化ビスマスやランタンガレートなどの酸化物イオン伝導性金属酸化物や酸化物イオンと電子との混合伝導性金属酸化物のうち1種類以上が混合された層であることが好ましい。空気極(D)の厚みは5〜30μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。
空気極(D)に含まれていてもよいジルコニア系酸化物としては、公知の安定化ジルコニアとして、例えば、MgO、CaO、SrO、BaOなどのアルカリ土類金属の酸化物、Sc、Y、La、CeO、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどの希土類元素の酸化物、Inなどのその他の金属の酸化物などの一種または二種以上で安定化されたジルコニアが挙げられる。上記の中でも、より高度な熱的特性、機械的特性、化学的特性および酸化物イオン伝導特性を有するジルコニアとして、上記希土類元素の酸化物の一種または二種以上で安定化されたジルコニアが好ましく、スカンジア、イットリア、セリア、及びイッテルビアから選択される少なくとも一種の酸化物で安定化されたジルコニアが好ましい。特に、上記スカンジア安定化ジルコニア、上記イットリア安定化ジルコニア、又は3〜15mol%のイッテルビアで安定化されたジルコニアが好ましい。
安定化ジルコニアとしては、結晶構造が正方晶または立方晶を含む(部分)安定化ジルコニアが好ましい。
上記ジルコニア系酸化物には、さらに、Al、TiO、Ta、Nbなどの金属酸化物が、例えば含有されたものであってもよい。これらの金属酸化物を構成する金属元素は、少なくともその一部が上記安定化ジルコニアに固溶していてもよい。
1−5 他の層
本発明のメタルサポートセルは、例えば、上記燃料極(B)、上記固体電解質(C)、上記空気極(D)以外の他の層を備えていてもよい。他の層としては、例えば、上記固体電解質(C)と空気極(D)との間に、上記固体電解質(C)と空気極(D)とが反応して高抵抗物質層が形成されて発電性能が低下することを防ぐ目的で、バリア層(例えば上記セリア系酸化物からなる層)を例示できる。
1−6 メタルサポートセルの構成例1
図1に、本発明のメタルサポートセルの好ましい実施形態としての、メタルサポートセル10を示す。メタルサポートセル10では、支持体11上に、燃料極12、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層13、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層14、空気極15が配置されている。
メタルサポートセル10では、支持体11上にイットリア安定化ジルコニアを含む燃料極12を配置することにより、支持体11と燃料極12の間の層間剥離を抑制できる。そして、イットリア安定化ジルコニアを含む燃料極12上に、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層13、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層14、空気極15をこの順で配置することにより、燃料極12と第1電解質層13と第2電解質層14の各層間における各層を構成する成分粒子の間での剥離を抑制でき、メタルサポートセル10の耐久性を向上できる。固体電解質としてスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層14を配置することにより、セルの低温作動性をより向上させることができる。
1−7 メタルサポートセルの構成例2
図2に、本発明のメタルサポートセルの別の好ましい実施形態としてのメタルサポートセル20を示す。メタルサポートセル20では、第2電解質層(C1B)と空気極(D)との間に、セリア系酸化物を主成分として含む第3電解質層(C2)が配置されている。メタルサポートセル20では、支持体21上に、燃料極22、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層23、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層24、セリア系酸化物を主成分として含む第3電解質層25、空気極26が配置されている。第2電解質層24と空気極26との間に、第3電解質層25が配置されているため、第2電解質層24のジルコニア系酸化物と空気極26とが反応して高抵抗物質層が形成されて発電性能が低下することを抑制できる。また、固体電解質として低温作動性の高いセリア系酸化物を主成分として含む第3電解質層25を配置することにより、セルの低温作動性をより向上させることができる。
2.メタルサポートセルの製造方法
本発明のメタルサポートセルにおいて、上記支持体(A)上に、燃料極(B)、固体電解質(C)、空気極(D)、ならびに、好ましくは含まれていてもよい他の層を配置して製造する方法としては、特に限定されず、ブレードコート、スリットダイコート等のコーティング法やスクリーン印刷等により塗布する方法、溶射法、パウダージェットデポジション法、エアロゾルデポジション法、コールドスプレー法等の粉体成膜法などの公知の方法が使用できる。固体電解質(C)におけるイットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)、ならびに好ましくは配置されるセリア系酸化物を主成分として含む第3電解質層(C2)を塗布により製造する方法については以下に詳述する。
2−1 第1電解質層(C1A)ならびに第2電解質層(C1B)の製造方法例
第1電解質層(C1A)ならびに第2電解質層(C1B)の製造方法は、例えば、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末、ならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末を製造する粉末製造工程;該粉末を用いて粉末含有層(シートを含む)を形成する前駆体層形成工程;及び、該粉末含有層を焼成する焼成工程を含んでいてもよい。
2−1−1 粉末製造工程
粉末製造工程では、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末、ならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末を製造する。イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末、ならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末は、イットリア安定化ジルコニアならびにスカンジア安定化ジルコニアの各々に含有されている金属(イットリウム、スカンジウム、ジルコニウムなど)を含む化合物を原料として製造する。上記金属酸化物粉末には、上記金属元素Mが含まれていてもよい。
イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末ならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末としては、上記の第1電解質層(C1A)ならびに第2電解質層(C1B)を構成するイットリア安定化ジルコニアならびにスカンジア安定化ジルコニアと好ましい態様を同じとする。Al、TiO、Ta、Nbなどの金属酸化物は、例えば、分散強化剤として用いることができる。
イットリア安定化ジルコニアならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末の製造方法としては特に限定されないが、共沈法などの公知の方法で製造してもよく、さらに共沈法で得られたものを公知の条件で仮焼・粉砕して製造してもよい。上記イットリア安定化ジルコニアならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末の平均粒子径(50体積%径)としては、例えば1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.25μm未満、特に好ましくは0.2μm以下である。下限としては、例えば0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。平均粒子径がこのような範囲であれば、焼成前の粒子同士の間隔が狭くなり、層中での粒子間の接触点(面積)が増大し、焼成時の原子移動が促進されるようになり、低温での焼結性が高くなり、より効果的に第1電解質層(C1A)ならびに第2電解質層(C1B)を緻密にする(例えば、空孔率を小さくする)ことができる。また、溶射法等の粉体成膜法を用いる場合にも、厚みが均一で、均質な膜が得られるようになる。
適宜用いてもよい上記金属元素Mを含む化合物を用いる場合には、上記イットリア安定化ジルコニアならびにスカンジア安定化ジルコニアの各々に含有されている金属(イットリウム、スカンジウム、ジルコニウムなど)を含む化合物からなる材料に、金属元素Mを含む化合物を加え、共沈法などの公知の方法で金属元素Mを含む金属酸化物粉末を製造してもよく、さらに共沈法で得られたものを公知の条件で仮焼・粉砕して製造してもよい。金属元素Mを含む化合物としては特に限定されず、金属元素Mの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、アセチルアセトナート塩などが使用できる。
好ましくは、金属元素Mを含む金属酸化物粉末は、イットリア安定化ジルコニアならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末に上記金属元素Mを含む化合物を混合して製造してもよい。該粉末中の上記金属元素Mの含有量は、ジルコニウム原子100molに対して原子換算で0〜10.0molの割合とすることができる。
さらに好ましくは、金属元素Mを含む金属酸化物粉末は、上記イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末と金属元素Mを含む化合物の粉末とを混合した混合粉末、ならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末と金属元素Mを含む化合物の粉末とを混合した混合粉末を焼成して製造してもよい。金属元素Mを含む化合物は、固形状物を粉砕して微粒子化した粉末として添加してもよい。
金属元素Mを含む化合物を微粒子化した粉末の平均粒子径(50体積%径)としては、例えば1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.25μm未満、特に好ましくは0.2μm以下である。金属元素Mを含む化合物を微粒子化した粉末の平均粒子径(50体積%径)がこのような範囲であれば、より効果的に第1電解質層(C1A)ならびに第2電解質層(C1B)の空孔率を小さくできる。金属元素Mを含む化合物を微粒子化した粉末の平均粒子径(50体積%径)の下限としては、例えば0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。
金属元素Mを含む化合物の粉末は、上記イットリア安定化ジルコニアならびにスカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む金属酸化物粉末と共に、混合粉末として粉砕してもよい。この場合に、混合粉末の平均粒子径(50体積%径)としては、例えば1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.25μm未満、特に好ましくは0.2μm以下である。混合粉末の平均粒子径(50体積%径)がこのような範囲であれば、より効果的に第1電解質層(C1A)ならびに第2電解質層(C1B)を緻密にできる。混合粉末の平均粒子径(50体積%径)の下限としては、例えば0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。
上記各種粉末の平均粒子径(50体積%径)は、上記粉末を2−プロピルアルコールなどの適宜の分散媒に粉末濃度が0.1質量%程度となるように加えて調製した平均粒子径測定用分散液について、動的光散乱法により体積基準の粒度分布を測定し、得られた粒度分布から求めることができる。
粉砕方法としては、ジルコニアビーズ、ジルコニアボール等を使用するビーズミル、ボールミル、遊星ミル等のミルによる粉砕などが挙げられる。なかでも、直径が0.1〜1mm程度のジルコニアビーズを使用することが好ましい。
上記金属酸化物粉末は、Zr,Y,Sc,Ce,Ybの少なくとも1種を含む金属化合物を含んでいてもよい。金属化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ノルマルプロピルジルコネート、テトラノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、硝酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム化合物、ステアリン酸ジルコニウム、塩化ジルコニル化合物、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩等のジルコニウム化合物;イットリウムアセチルアセトナート、硝酸イットリウム等のイットリウム化合物;硝酸スカンジウム等のスカンジウム化合物;セリウムアセチルアセトナート、硝酸セリウム等のセリウム化合物;硝酸イッテルビウム等のイッテルビウム化合物が挙げられる。これらの化合物を添加することにより、焼結性が向上する場合がある。
上記金属酸化物粉末は、さらに、遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素を有する化合物を含んでいてもよい。これらの例としては、Co,Fe等の二価の遷移金属元素;Fe,Cr等の三価の遷移金属元素;Mg,Ca以外のアルカリ土類金属元素を含む化合物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上の二価の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素を有する化合物の組み合わせ、2種以上の三価の遷移金属元素を有する化合物の組み合わせ、二価の遷移金属元素を有する化合物と三価の遷移金属元素を有する化合物との組み合わせで用いてもよい。これらの化合物を添加することにより、焼結性がさらに向上する場合がある。
2−1−2 前駆体層形成工程
前駆体層形成工程では、上記粉末を用いて金属酸化物含有層を形成する。上記粉末には、公知の分散剤及び/又は溶剤(分散媒)が含まれていてもよい。上記粉末を公知のバインダー及び/又は溶剤(分散媒)、必要により更に分散剤や可塑剤等と混合したスラリー(例えば、インク)を形成する。このスラリーを所定の位置に、ブレードコート、スリットダイコート等のコーティング法やスクリーン印刷等により塗布し、乾燥して分散媒を揮発除去することによって層を形成する。例えば、支持体(A)上に配置された燃料極(B)上に、第1電解質層(C1A)前駆体層と第2電解質層(C1B)前駆体層をこれらの順序で配置できる。
上記燃料極(B)は、燃料極(B)の前駆体層であってもよい。第1電解質層(C1A)の前駆体層は、後述の焼成工程により焼成後の第1電解質層(C1A)であってもよいし、溶射法等の粉体成膜法を用いて形成された第1電解質層(C1A)であってもよい。また、上記積層体の第2電解質層(C1B)の前駆体層上には、第3電解質層(C2)と空気極(D)の前駆体層が配置されていてもよい。さらに、上記積層体には、好ましくは適宜の位置に含まれていてもよい他の層の前駆体層が配置されていてもよい。上記燃料極(B)の前駆体層、空気極(D)の前駆体層、好ましくは適宜の位置に含まれていてもよい他の層の前駆体層は、それぞれの原料粉末を公知のバインダー及び/又は溶剤(分散媒)、必要により更に分散剤や可塑剤等と混合したスラリーを、ブレードコート、スリットダイコート等のコーティング法やスクリーン印刷等により塗布し、乾燥して分散媒を揮発除去することによって形成できる。これらの層は、溶射法等の粉体成膜法を用いて形成されていてもよい。第3電解質層(C2)の前駆体層の製造方法については後述する。
2−1−3 焼成工程
焼成工程では、上記のように形成した積層体を焼成する。焼成温度としては、800〜1100℃程度とすることができる。
金属元素Mを含む化合物を、イットリア安定化ジルコニア又はスカンジア安定化ジルコニアを含むジルコニア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末と混合した場合には、共沈法などによりジルコニウムと金属元素Mとが原子レベルで混合された原料粉末とは異なり、金属元素Mを含む化合物がジルコニア系酸化物の粒子の界面に存在する。ジルコニア系酸化物の粒子の界面にのみ金属元素Mを含む化合物が存在することにより、ジルコニア系酸化物の粒子の界面を中心に、金属元素Mを含む化合物の融点や金属元素Mの原子拡散などに関わる、固有の性質が発現すると考えられる。すなわち、これらの特性が焼成温度の近傍で発現することにより、ジルコニア系酸化物の粒子の界面における金属元素Mを含む化合物の流動、融着、あるいはジルコニア系酸化物の粒子の界面での金属元素Mの拡散が進み、さらにジルコニア系酸化物の粒子の界面での原子移動が促進されるようになり、ジルコニアの粒成長ならびに焼結をより促すと考えられる。このため、より緻密な第1電解質層(C1A)ならびに第2電解質層(C1B)が得られると考えられる。
2−2 第3電解質層(C2)の製造方法例
好ましくは含まれていてもよいセリア系酸化物を主成分として含む第3電解質層(C2)の製造方法は、例えば、セリア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末を製造する粉末製造工程と、該粉末を用いて粉末含有層(シートを含む)を形成する前駆体層形成工程と、該粉末含有層を焼成する焼成工程とを含んでいてもよい。セリア系酸化物を「主成分として含む」とは、上記と同様である。
2−2−1 粉末製造工程
粉末製造工程では、セリア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末を製造する。セリア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末としては、上記の第3電解質層(C2)を構成するセリア系酸化物と好ましい態様を同じとする。
セリア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末の製造方法としては特に限定されないが、共沈法などの公知の方法で製造してもよく、さらに共沈法で得られたものを公知の条件で仮焼・粉砕して製造してもよい。上記セリア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末の平均粒子径(50体積%径)としては、例えば0.8μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。下限としては、例えば0.05μm以上が好ましい。平均粒子径がこのような範囲であれば、焼成前の粒子同士の間隔が狭くなり、層中での粒子間の接触点(面積)が増大し、焼成時の原子移動が促進されるようになり、低温での焼結性がより高くなる。また、溶射法等の粉体成膜法を用いる場合にも、厚みが均一で、均質な膜が得られるようになる。
上記セリア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末を微粒子化した粉末の平均粒子径(50体積%径)の測定方法は、第1電解質層(C1A)の製造に用いる粉末の場合と同様である。
粉砕方法としては、ジルコニアビーズ、ジルコニアボール等を使用するビーズミル、ボールミル、遊星ミル等のミルによる粉砕などが挙げられる。なかでも、直径が0.1〜1mm程度のジルコニアビーズを使用することが好ましい。
上記セリア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末は、Ce,Y,Sm,Gd,Pr,Sc,Ga,Alの少なくとも1種を含む金属化合物を含んでいてもよい。金属化合物としては、セリウムアセチルアセトナート、硝酸セリウム等のセリウム化合物;イットリウムアセチルアセトナート、硝酸イットリウム等のイットリウム化合物;硝酸サマリウム、硝酸ガドリニウム、硝酸プラセオジウム、硝酸スカンジウム、硝酸ガリウム、硝酸アルミニウム等の金属化合物が挙げられる。これらの化合物を添加することにより、焼結性がより向上する場合がある。
上記セリア系酸化物を主成分として含む金属酸化物粉末は、さらに、遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素を有する化合物を含んでいてもよい。これらの例としては、Co,Fe,Mn等の二価の遷移金属元素;Fe,Cr,Mn等の三価の遷移金属元素;Mg,Ca等のアルカリ土類金属元素を含む化合物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上の二価の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素を有する化合物の組み合わせ、2種以上の三価の遷移金属元素を有する化合物の組み合わせ、二価の遷移金属元素を有する化合物と三価の遷移金属元素を有する化合物との組み合わせで用いてもよい。これらの化合物を添加することにより、焼結性がさらに向上する場合がある。
2−2−2 前駆体層形成工程
前駆体層形成工程では、上記金属酸化物粉末を用いて金属酸化物粉末含有層を形成する。上記金属酸化物粉末には、公知の分散剤及び/又は溶剤(分散媒)が含まれていてもよい。上記金属酸化物粉末を公知のバインダー及び/又は溶剤(分散媒)、必要により更に分散剤や可塑剤等と混合したスラリー(セリア系酸化物含有インク)を形成する。このスラリーを所定の位置に、ブレードコート、スリットダイコート等のコーティング法やスクリーン印刷等により塗布し、乾燥して分散媒を揮発除去することによって層を形成し、積層体とする。所定の位置としては、支持体(A)上に配置された燃料極(B)あるいはその前駆体層上に、第1電解質層(C1A)あるいはその前駆体層、および第2電解質層(C1B)あるいはその前駆体層がこの順に配置された上とすることができる。
また、第3電解質層(C2)の前駆体層上には、空気極(D)の前駆体層が配置されていてもよい。さらに、上記積層体には、好ましくは適宜の位置に含まれていてもよい他の層の前駆体層が配置されていてもよい。上記燃料極(B)、第1電解質層(C1A)、第2電解質層(C1B)、空気極(D)、好ましくは適宜の位置に含まれていてもよい他の層、ならびにそれらの前駆体層の製造方法は、上記の通りである。
2−2−3 焼成工程
焼成工程は、上記第1電解質層(C1A)の製造方法のところで記載したのと同様である。
本発明のメタルサポートセルの製造方法では、例えば、
(i) イットリア安定化ジルコニア含有インク印刷工程、
(ii) 工程(i)で形成された印刷層の乾燥工程、
(iii) 工程(i)(ii)を、スカンジア安定化ジルコニア含有インク、セリア系酸化物含有インクで繰り返す
(iv) 800〜1100℃で共焼成
という工程で構成されていてもよく、この場合には、製造工程の簡略化が可能である。また、一部の層の形成方法を溶射法やパウダージェットデポジション法等の粉体成膜法を用いた形成方法に置き換えてもよい。
上記製造方法において、各層の焼成は、各層の前駆体層の積層体を製造後、共焼成してもよいし、各層毎に800〜1100℃での焼成を行ってもよい。各層の前駆体層の積層体を製造後に共焼成する場合には、製造工程の簡略化が可能となる。また、バインダー等の有機成分を分解除去する脱脂工程(400〜450℃)を含んでもよい。
焼成工程における雰囲気ガスとしては、窒素やアルゴン等の不活性ガス、空気が挙げられ、支持体の材質の劣化を抑制する点において、不活性ガスを用いることが好ましい。雰囲気ガスには、さらに水素および/または水蒸気を含んでいてもよい。なお、焼成雰囲気ガス中に極微量の酸素(低酸素濃度)または水が存在していれば、スラリー調製に使用したバインダー等の脱脂は行わなくてもよい。
溶射法やパウダージェットデポジション法等の粉体成膜法を用いて層形成する場合には、前駆体層形成工程、脱脂工程及び焼成工程を省略できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における各評価は次のようにして行った。
<平均粒子径の測定>
分散媒として、2−プロピルアルコールを用い、粉体濃度が0.1質量%となるように粉体分散液を希釈することにより平均粒子径測定用分散液を調製し、動的光散乱法による粒子径測定装置(FPAR−1000、大塚電子製)を用いて、体積基準の粒度分布を測定し、得られた粒度分布から50体積%径を算出し、平均粒子径とした。
<セルの冷熱サイクル評価>
得られたメタルサポートセルを、窒素ガス雰囲気の焼成炉に載置し、室温から700℃までの昇温・降温を20回繰り返した。700℃までの昇温時間は2時間に、700℃から室温までの降温時間は5時間に設定した。冷熱サイクルに曝した後のセルについて、金属支持体と燃料極との界面状態、および燃料極中の構成成分粒子間の界面状態、燃料極を構成する成分粒子と固体電解質を構成する成分粒子との界面状態を電子顕微鏡で観察し、下記の基準に基づき評価した。
[界面状態評価基準]
3:何れの界面においても剥離なし
2:金属支持体と燃料極との界面での剥離はないが、燃料極中および/または燃料極と固体電解質の構成成分粒子間の界面の一部に剥離あり
1:金属支持体と燃料極との界面での剥離はないが、燃料極中および/または燃料極と固体電解質の構成成分粒子間の界面における剥離箇所が多数
0:金属支持体と燃料極との界面での剥離があり、さらに、燃料極中および/または燃料極と固体電解質の構成成分粒子間の界面における剥離箇所が多数
<セル電圧劣化率>
得られたメタルサポートセルについて、下記電池性能評価試験により、連続発電によるセルの劣化傾向を評価した。
燃料極に100ml/分の窒素ガス、空気極に200ml/分の空気を供給しながら、200℃/時間の速度でセルを昇温した。次いで、加湿した水素ガスと窒素ガスをそれぞれ100ml/分ずつの流量で燃料極へ、空気を400ml/分の流量で空気極へ、各々供給しながら、電気化学測定システム(ソーラトロン社製、型式1260B)により0.3A/cmの電流を流した。試験開始から100時間経過後と1000時間経過後のセル端子電圧を測定し、下記式によりセル電圧劣化率を算出した。
セル電圧劣化率(%)={(V100−V1000)/(V100)}×111.1
(式中、V100は試験開始100時間経過後におけるセル端子電圧の測定値を示し;
1000は試験開始1000時間経過後におけるセル端子電圧の測定値を示す。)
[調製例C1−A]
250mlのポリエチレン製容器に、8モル%イットリアがドープされている安定化ジルコニア(以下、8YSZ)粉体(第一稀元素化学工業製、平均粒子径:0.54μm)27.0g、硝酸ビスマス五水和物の粉体(和光純薬工業製)3.0g、2−プロピルアルコール32.0gおよびフローレンG−700(共栄社化学製;商品名)2.0gを計量した。さらに、0.5mmφのジルコニアビーズ150gを加え、ボールミルを用いて、8YSZと硝酸ビスマスを含む混合粉体の粉砕処理を混合粉体の平均粒子径が170nm以下となるまで行った後、ジルコニアビーズを濾別し、混合粉体分散液を得た。得られた混合粉体分散液における混合粉体の平均粒子径は158nmであった。
次に、得られた混合粉体分散液100質量部に対して、エチルセルロースを3.5質量部、α−テルピネオール40質量部を加え、均一になるまで混合したのち、残留する2−プロピルアルコールを留去することにより、ジルコニア層(C1A)用電解質インクを得た。得られたジルコニア層(C1A)用電解質インクにおける混合粉体の平均粒子径は166nmであった。
[調製例C1−B]
250mlのポリエチレン製容器に、10モル%スカンジアおよび1モル%セリアがドープされている安定化ジルコニア(以下、10Sc1CeSZ)粉体(第一稀元素化学工業製、平均粒子径:0.63μm)27.5g、酸化ビスマス粉体(安田薬品製、平均粒子径:2.4μm)2.5g、2−プロピルアルコール33.0gおよびフローレンG−700(共栄社化学製;商品名)3.0gを計量した。さらに、0.5mmφのジルコニアビーズ150gを加え、ボールミルを用いて、10Sc1CeSZと酸化ビスマスからなる混合粉体の粉砕処理を混合粉体の平均粒子径が170nm以下となるまで行った後、ジルコニアビーズを濾別し、混合粉体分散液を得た。得られた混合粉体分散液における混合粉体の平均粒子径は160nmであった。
次に、得られた混合粉体分散液100質量部に対して、エチルセルロースを3.5質量部、α−テルピネオール40質量部を加え、均一になるまで混合したのち、残留する2−プロピルアルコールを留去することにより、ジルコニア層(C1B)用電解質インクを得た。得られたジルコニア層(C1B)用電解質インクにおける混合粉体の平均粒子径は165nmであった。
[調製例C2−1]
10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉体(阿南化成製)60.0g、エチルセルロースを3.0g、ジブチルフタレート6.0g、α−テルピネオール40.0gを混合し、3本ロールミルを用いて、セリア粉体の平均粒子径が100nm以下になるまで、解砕及び混合を行い、セリア層(C2)用インクを得た。得られたセリア層(C2)用インクにおけるセリア粉体の平均粒子径は89nmであった。
[実施例1]
材質がAlとTiを含むフェライト系ステンレス鋼で、貫通孔数が900/inch、支持体直径が50mmφ、支持体厚さが250μmの金属支持体(A)を用意した。
次いで、酸化ニッケル粉体(正同化学製)21質量部と8YSZ粉体(第一稀元素化学工業製)14質量部を2−プロピルアルコール105質量部に混合、撹拌して、燃料極(B)用溶射材粉末スラリーを調製した後、高速フレーム溶射装置(溶射ガン型番:AXZ−Gun、ウィティコジャパン社製、微粉末供給装置型番:WSPF−1、ウィティコジャパン社製)に、上記燃料極(B)用溶射材粉末スラリーを、アフターバーナー用補助燃料を兼ねるキャリアーガスを用いて供給し、上記金属支持体(A)上に高速フレーム溶射することによって、金属支持体(A)上に燃料極(B)を形成した。
更に、平均粒子径0.6μmの8YSZ粉体100質量部からなるジルコニア層(C1A)用電解質粉体を準備した。吸塵装置を設置して101〜107kPaの圧力条件下に設置したXYステージ上に上記燃料極(B)を形成した金属支持体(A)を設置し、室温(25℃)、大気圧条件下にて、パウダージェットデポジション法を用いて、上記燃料極(B)上に、上記ジルコニア層(C1A)用電解質粉体を噴出速度150m/秒にて噴射して薄膜状に形成し、金属支持体(A)上に形成した燃料極(B)層上にジルコニア層(C1A)層を形成した。
次いで、平均粒子径0.6μmの10Sc1CeSZ粉体100質量部からなるジルコニア層(C1B)用電解質粉体を準備した。吸塵装置を設置して95〜99kPaの圧力条件下に設置したXYステージ上に上記燃料極(B)及びジルコニア層(C1A)を形成した金属支持体(A)を設置し、室温(25℃)、大気圧条件下にて、パウダージェットデポジション法を用いて、上記ジルコニア層(C1A)上に、上記ジルコニア層(C1B)用電解質粉体を噴出速度115m/秒にて噴射して薄膜状に形成し、上記ジルコニア層(C1A)上にジルコニア層(C1B)を形成した。
次に、ランタンコバルトフェライト粉末(組成:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−x)65質量部に対し、10質量%のエチルセルロースを添加したα―テルピネオール35質量部を加えて、混錬することにより空気極(D)用インクを得た。得られた空気極(D)用インクを、スクリーン印刷法を用いて上記ジルコニア層(C1B)上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、900℃で焼成することによって空気極(D)を形成し、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)と空気極(D)が、これらの順序で配置されたメタルサポートセルを形成した。
上記メタルサポートセルにおいて、燃料極(B)の厚みは20μm、ジルコニア層(C1A)の厚みは2.9μm、ジルコニア層(C1B)の厚みは8.9μm、空気極(D)の厚みは19μmであった。
得られたメタルサポートセルの冷熱サイクル評価は「3」であり、セル電圧劣化率は2.1%であった。
[実施例2]
材質がAlとTiを含むフェライト系ステンレス鋼で、貫通孔数が900/inch、支持体直径が50mmφ、支持体厚さが250μmの金属支持体(A)を用意した。
次いで、酸化ニッケル粉体(正同化学製)21質量部と8YSZ粉末(第一稀元素化学工業製)14質量部を2−プロピルアルコール105質量部に混合、撹拌して、燃料極(B)用溶射材粉末スラリーを調製した後、高速フレーム溶射装置(溶射ガン型番:AXZ−Gun、ウィティコジャパン社製、微粉末供給装置型番:WSPF−1、ウィティコジャパン社製)に、上記燃料極(B)用溶射材粉末スラリーを、アフターバーナー用補助燃料を兼ねるキャリアーガスを用いて供給し、上記金属支持体(A)上に高速フレーム溶射することによって、金属支持体(A)上に燃料極(B)を形成した。
次に、8YSZ粉体(第一稀元素化学工業製、平均粒子径:0.54μm)35質量部を2−プロピルアルコール105質量部に混合、撹拌して、ジルコニア層(C1A)用溶射材粉末スラリーを調製した後、高速フレーム溶射装置(溶射ガン型番:AXZ−Gun、ウィティコジャパン社製、微粉末供給装置型番:WSPF−1、ウィティコジャパン社製)に、上記ジルコニア層(C1A)用溶射材粉末スラリーを、アフターバーナー用補助燃料を兼ねるキャリアーガスを用いて供給し、上記燃料極(B)上に高速フレーム溶射することによって、金属支持体(A)上に形成した燃料極(B)上にジルコニア層(C1A)を形成した。
次いで、調製例C1−Bにおいて調製したジルコニア層(C1B)用電解質インクを、スクリーン印刷法によりジルコニア層(C1A)層上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、1050℃において3時間焼成することによって、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)が、これらの順序で配置されたハーフセルを形成した。
次に、ランタンコバルトフェライト粉末(組成:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−x)65質量部に対し、10質量%のエチルセルロースを添加したα―テルピネオール35質量部を加えて、混錬することにより空気極(D)用インクを得た。得られた空気極(D)用インクを、スクリーン印刷法を用いて上記ジルコニア層(C1B)上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、900℃で焼成することによって空気極(D)を形成し、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)と空気極(D)が、これらの順序で配置されたメタルサポートセルを形成した。
上記メタルサポートセルにおいて、燃料極(B)の厚みは26μm、ジルコニア層(C1A)の厚みは2.2μm、ジルコニア層(C1B)の厚みは4.8μm、空気極(D)の厚みは24μmであった。
得られたメタルサポートセルの冷熱サイクル評価は「3」であり、セル電圧劣化率は1.9%であった。
[実施例3]
材質がAlとTiを含むフェライト系ステンレス鋼で、貫通孔数が900/inch、支持体直径が50mmφ、支持体厚さが250μmの金属支持体(A)を用意した。
次いで、酸化ニッケル粉体(酸化ニッケルGreen、正同化学製)60質量部、8YSZ粉末(第一稀元素化学工業製)40質量部からなる混合粉体100質量部に対して、エチルセルロース3質量部、α―テルピネオール40質量部を加えて、混錬することにより燃料極(B)用インクを得た。得られた燃料極(B)用インクを、スクリーン印刷法により上記金属支持体(A)に塗布した後、150℃で30分間乾燥し、金属支持体(A)上に燃料極(B)前駆体層を形成した。
更に、調製例C1−Aにおいて調製したジルコニア層(C1A)用電解質インクを、スクリーン印刷法により上記金属支持体(A)上に形成した燃料極(B)前駆体層上に塗布した後、150℃で30分間乾燥し、金属支持体(A)上に形成した燃料極(B)前駆体層上にジルコニア層(C1A)前駆体層を形成した。
次いで、調製例C1−Bにおいて調製したジルコニア層(C1B)用電解質インクを、スクリーン印刷法によりジルコニア層(C1A)前駆体層上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、1050℃において3時間焼成することによって、燃料極(B)上に、ジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)をこの順で形成した。
更に、調製例C2−1において調製したセリア層(C2)用インクを、スクリーン印刷法により上記ジルコニア層(C1B)上に塗布した後、150℃で30分間乾燥した後、1050℃において3時間焼成することによって、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)とセリア層(C2)が、これらの順序で配置されたハーフセルを形成した。
次に、ランタンコバルトフェライト粉末(組成:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−x)65質量部に対し、10質量%のエチルセルロースを添加したα―テルピネオール35質量部を加えて、混錬することにより空気極(D)用インクを得た。得られた空気極(D)用インクを、スクリーン印刷法を用いて上記ジルコニア層(C1B)上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、900℃で焼成することによって空気極(D)を形成し、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)とセリア層(C2)と空気極(D)が、これらの順序で配置されたメタルサポートセルを形成した。
上記メタルサポートセルにおいて、燃料極(B)の厚みは21μm、ジルコニア層(C1A)の厚みは1.0μm、ジルコニア層(C1B)の厚みは8.3μm、セリア層(C2)の厚みは2.3μm、空気極の厚みは20μmであった。
得られたメタルサポートセルの冷熱サイクル評価は「3」であり、セル電圧劣化率は0.48%であった。
[実施例4]
材質がAlとTiを含むフェライト系ステンレス鋼で、貫通孔数が900/inch、支持体直径が50mmφ、支持体厚さが250μmの金属支持体(A)を用意した。
次いで、酸化ニッケル粉体(酸化ニッケルGreen、正同化学製)60質量部、8YSZ粉末(第一稀元素化学工業製)40質量部からなる混合粉体100質量部に対して、エチルセルロース3質量部、α―テルピネオール40質量部を加えて、混錬することにより燃料極(B)用インクを得た。得られた燃料極(B)用インクを、スクリーン印刷法により上記金属支持体(A)に塗布した後、150℃で30分間乾燥し、金属支持体(A)上に燃料極(B)前駆体層を形成した。
更に、調製例C1−Aにおいて調製したジルコニア層(C1A)用電解質インクを、スクリーン印刷法により上記金属支持体(A)上に形成した燃料極(B)前駆体層上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、1100℃において3時間焼成することによって、金属支持体(A)上に、燃料極(B)とジルコニア層(C1A)をこの順で形成した。
次いで、平均粒子径0.6μmの10Sc1CeSZ粉体100質量部からなるジルコニア層(C1B)用電解質粉体を準備した。吸塵装置を設置して95〜99kPaの圧力条件下に設置したXYステージ上に上記燃料極(B)及びジルコニア層(C1A)を形成した金属支持体(A)を設置し、室温(25℃)、大気圧条件下にて、パウダージェットデポジション法を用いて、上記ジルコニア層(C1A)上に、上記ジルコニア層(C1B)用電解質粉体を噴出速度140m/秒にて噴射して薄膜状に形成し、上記ジルコニア層(C1A)上にジルコニア層(C1B)を形成した。
更に、平均粒子径0.3μmの10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉体100質量部からなるセリア層(C2)用電解質粉体を準備した。1kPaの圧力条件下に設置したXYステージ上に上記燃料極(B)、ジルコニア層(C1A)及びジルコニア層(C1B)を形成した金属支持体(A)を設置し、室温(25℃)、大気圧条件下にて、パウダージェットデポジション法を用いて、上記ジルコニア層(C1B)上に、上記セリア層(C2)用電解質粉体を噴出速度170m/秒にて噴射して薄膜状に形成し、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)とセリア層(C2)が、これらの順序で配置されたハーフセルを形成した。
次に、ランタンコバルトフェライト粉末(組成:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−x)65質量部に対し、10質量%のエチルセルロースを添加したα―テルピネオール35質量部を加えて、混錬することにより空気極(D)用インクを得た。得られた空気極(D)用インクを、スクリーン印刷法を用いて上記ジルコニア層(C1B)上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、900℃で焼成することによって、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)とセリア層(C2)と空気極(D)が、これらの順序で配置されたメタルサポートセルを形成した。
上記メタルサポートセルにおいて、燃料極(B)の厚みは21μm、ジルコニア層(C1A)の厚みは1.4μm、ジルコニア層(C1B)の厚みは5.3μm、セリア層(C2)の厚みは4.2μm、空気極(D)の厚みは20μmであった。
得られたメタルサポートセルの冷熱サイクル評価は「3」であり、セル電圧劣化率は0.51%であった。
[比較例1]
材質がAlとTiを含むフェライト系ステンレス鋼で、貫通孔数が900/inch、支持体直径が50mmφ、支持体厚さが250μmの金属支持体(A)を用意した。
次いで、酸化ニッケル粉体(正同化学製)15質量部と10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉体(阿南化成製)15質量部を2−プロピルアルコール90質量部に混合、撹拌して、燃料極(b)用溶射材粉末スラリーを調製した後、高速フレーム溶射装置(溶射ガン型番:AXZ−Gun、ウィティコジャパン社製、微粉末供給装置型番:WSPF−1、ウィティコジャパン社製)に、上記燃料極(b)用溶射材粉末スラリーを、アフターバーナー用補助燃料を兼ねるキャリアーガスを用いて供給し、上記金属支持体(A)上に高速フレーム溶射することによって、金属支持体(A)上に燃料極(b)を形成した。
次に、8YSZ粉体(第一稀元素化学工業製、平均粒子径:0.54μm)35質量部を2−プロピルアルコール105質量部に混合、撹拌して、ジルコニア層(C1A)用溶射材粉末スラリーを調製した後、高速フレーム溶射装置(溶射ガン型番:AXZ−Gun、ウィティコジャパン社製、微粉末供給装置型番:WSPF−1、ウィティコジャパン社製)に、上記ジルコニア層(C1A)用溶射材粉末スラリーを、アフターバーナー用補助燃料を兼ねるキャリアーガスを用いて供給し、上記燃料極(b)上に高速フレーム溶射することによって、金属支持体(A)上に形成した燃料極(b)上にジルコニア層(C1A)を形成した。
次いで、調製例C1−Bにおいて調製したジルコニア層(C1B)用電解質インクを、スクリーン印刷法によりジルコニア層(C1A)上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、1000℃において3時間焼成することによって、金属支持体(A)上に燃料極(b)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)が、これらの順序で配置されたハーフセルを形成した。
次に、ランタンコバルトフェライト粉末(組成:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−x)65質量部に対し、10質量%のエチルセルロースを添加したα―テルピネオール35質量部を加えて、混錬することにより空気極(D)用インクを得た。得られた空気極(D)用インクを、スクリーン印刷法を用いて上記ジルコニア層(C1B)上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、900℃で焼成することによって空気極(D)を形成し、金属支持体(A)上に燃料極(b)とジルコニア層(C1A)とジルコニア層(C1B)と空気極(D)が、これらの順序で配置されたメタルサポートセルを形成した。
上記メタルサポートセルにおいて、燃料極(b)の厚みは22μm、ジルコニア層(C1A)の厚みは3.4μm、ジルコニア層(C1B)の厚みは11.8μm、空気極(D)の厚みは21μmであった。
得られたメタルサポートセルの冷熱サイクル評価は「1」であり、セル電圧劣化率は11.2%であった。
[比較例2]
材質がAlとTiを含むフェライト系ステンレス鋼で、貫通孔数が900/inch、支持体直径が50mmφ、支持体厚さが250μmの金属支持体(A)を用意した。
次いで、酸化ニッケル粉体(正同化学製)21質量部と8YSZ粉末(第一稀元素化学工業製)14質量部を2−プロピルアルコール105質量部に混合、撹拌して、燃料極(B)用溶射材粉末スラリーを調製した後、高速フレーム溶射装置(溶射ガン型番:AXZ−Gun、ウィティコジャパン社製、微粉末供給装置型番:WSPF−1、ウィティコジャパン社製)に、上記燃料極(B)用溶射材粉末スラリーを、アフターバーナー用補助燃料を兼ねるキャリアーガスを用いて供給し、上記金属支持体(A)上に高速フレーム溶射することによって、金属支持体(A)上に燃料極(B)を形成した。
次に、調製例C1−Bにおいて調製したジルコニア層(C1B)用電解質インクを、スクリーン印刷法により燃料極(B)上に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、1050℃において3時間焼成することによって、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1B)が、これらの順序で配置されたハーフセルを形成した。
次に、ランタンコバルトフェライト粉末(組成:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−x)65質量部に対し、10質量%のエチルセルロースを添加したα―テルピネオール35質量部を加えて、混錬することにより空気極(D)用インクを得た。得られた空気極(D)用インクを、スクリーン印刷法を用いて上記ジルコニア層(C1B)に塗布し、150℃で30分間乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、900℃で焼成することによって空気極(D)を形成し、金属支持体(A)上に燃料極(B)とジルコニア層(C1B)と空気極(D)が、これらの順序で配置されたメタルサポートセルを形成した。
上記メタルサポートセルにおいて、燃料極(B)の厚みは24μm、ジルコニア層(C1B)の厚みは9.7μm、空気極(D)の厚みは22μmであった。
得られたメタルサポートセルの冷熱サイクル評価は「1」であり、セル電圧劣化率14.8%であった。
以上のように、燃料極(B)が還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物を有する導電成分及びイットリア安定化ジルコニアを含み、イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)と、スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)がこの順で燃料極(B)上に形成されたメタルサポートセルでは、燃料極(B)内および各層間における成分粒子間の耐剥離性に優れ、かつ耐久性に優れていた。第3電解質層(C2)が第2電解質層(C1B)と空気極(D)との間に配置されたメタルサポートセルでは、特に耐久性に優れていた。
本発明のメタルサポートセルは、固体酸化物型燃料電池の製造に好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 金属材料を含み連続孔を備えた支持体(A)上に、燃料極(B)と固体電解質(C)と空気極(D)とが、(B)、(C)、(D)の順序で配置されたメタルサポートセルであって、
    該燃料極(B)が、還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物を有する導電成分及びイットリア安定化ジルコニアを含み、
    該固体電解質(C)が、
    イットリア安定化ジルコニアを主成分として含む第1電解質層(C1A)と、
    スカンジア安定化ジルコニアを主成分として含む第2電解質層(C1B)と
    を含み、
    該第1電解質層(C1A)が該燃料極(B)側に、該第2電解質層(C1B)が該空気極(D)側に配置された
    メタルサポートセル。


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