JP5679302B2 - 固体電解質形燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質形燃料電池に関する。
固体電解質によって層状に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層の一側面に形成され燃料ガスを前記固体電解質層に透過させる燃料極と、前記固体電解質層の他側面に形成され酸化剤ガスを前記固体電解質層に透過させる空気極と、を備える固体酸化物形燃料電池において、固体電解質として用いられる材料は様々なものが提案されている。
そのような背景の中で、近年、安定化ジルコニアよりも高い酸素イオン伝導性が得られる物質として、ランタンガレート系ペロブスカイト型複合酸化物(La1-xSrx)(Ga1-yMgy)O3(以下、LSGMと記する場合もある)が注目されており、多くの研究が行われている。このLSGM焼結体は、低温でも酸素イオン伝導性の低下が少ない物質で、LaやGaの一部が、それより低原子価のSrやMg等に、置換固溶により置き代わったものであり、これにより、焼結体の酸素イオン伝導性が大きくなるという性質を有する。このように、固体電解質としてLSGMを用いる固体酸化物形燃料電池は、一例として下記特許文献1において提案されている。
特開2008−77998号公報
LSGM電解質は安定化ジルコニア系電解質よりも低温でのイオン伝導性が高く、低温での発電性能の向上に寄与することができる。しかしながら、LSGM電解質はジルコニア電解質よりもNiとの反応性が高く、燃料極に含まれるNiがLSGM電解質側に拡散しやすくなっている。NiがLSGM電解質側に拡散すると、LSGM電解質のイオン伝導性とNiの電子伝導性との混合導電体となり、電解質のイオン伝導率が低下するため、燃料電池としての出力が低下する場合があるという解決すべき課題があった。
この課題を解決するため、上記特許文献1では、LSGM電解質によって形成される電解質層と燃料極との間に、セリウム含有酸化物からなる層を設けている。このようにセリウム含有酸化物からなる層は、Niの拡散を抑制する反応防止層として機能することを意図して形成されている。しかしながら、NiのLSGM電解質層側への拡散は、セリウム含有酸化物を含む反応防止層のみによっては完全に防止することができず、出力性能の向上のためには更なる対策が求められている。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料極に含まれるNiの電解質層側への拡散抑制効果をより高めた固体電解質形燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る固体電解質形燃料電池は、固体電解質によって層状に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層の一側面に形成され燃料ガスを前記固体電解質層に透過させる燃料極と、前記固体電解質層の他側面に形成され酸化剤ガスを前記固体電解質層に透過させる空気極と、を備える。前記燃料極は、Ni及びNiOの少なくとも一方を含み、前記固体電解質層は、La及びGaを少なくとも含むペロブスカイト型複合酸化物とMgOとを含み、前記固体電解質層において前記MgOは粒子状のMgO粒子となって前記一側面側に偏在する。
燃料極側から固体電解質層側へ拡散するNiは、燃料極と固体電解質層との界面を通って固体電解質層側へと移る。本発明では、固体電解質層において、MgOが粒子状のMgO粒子となって、燃料極側の側面である一側面側に偏在しているので、燃料極側から拡散してきたNiが、最初にMgO粒子が偏在する領域を通ることになる。本発明者らはMgO粒子にNiを捕捉する機能があることを見出しており、本発明はその知見を利用している。従って、MgO粒子が偏在する領域に差し掛かったNiは、その偏在領域においてMgO粒子に捕捉され、固体電解質層のより奥の領域への拡散は確実に抑制される。
また、本発明では、MgO粒子を固体電解質層の一側面側に偏在させ、他の部分には極力存在させないように構成している。このようなMgO粒子の偏在化によって、MgO粒子によって生じるイオン伝導性の低下を抑制することができる。更に、Ni拡散防止のために最も効果的な領域にMgO粒子を偏在させることで、少ないMgO粒子で最大限のNi拡散防止効果を発揮させることができる。
また本発明に係る固体電解質形燃料電池では、前記ペロブスカイト型複合酸化物は、ランタンガレート系ペロブスカイト型複合酸化物であって、前記固体電解質層において粒子状であるLSGM粒子となって存在し、前記固定電解質層の燃料極側の界面において前記LSGM粒子と前記MgO粒子との体積比率が、80:20〜20:80であることも好ましい。
この好ましい態様では、LSGM粒子とMgO粒子との体積比率を80:20〜20:80とすることで、MgO粒子によるNi拡散防止効果を最大限に発揮させる一方で、MgO粒子によるイオン伝導性の低下を最小限に抑制することができる。
また本発明に係る固体電解質形燃料電池では、前記固体電解質層と前記燃料極との間に、Laを含むセリウム酸化物からなる中間層が配置されていることも好ましい。
この好ましい態様では、固体電解質層と燃料極との間にLaを含むセリウム酸化物からなる中間層を配置することで、LSGM粒子のLaの拡散を抑制することができ、一側面側においてLSGM粒子とMgO粒子とを安定して存在させることがでる。したがって、安定して存在するMgO粒子が、固体電解質層側に拡散してくるNiを確実に捕捉することができる。
本発明によれば、燃料極に含まれるNiの電解質層側への拡散抑制効果をより高めた固体電解質形燃料電池を提供することができる。
本実施形態に係る固体電解質形燃料電池の単セルの断面を示す模式的な断面図である。 本実施形態に係る固体電解質形燃料電池の単セルの断面を示す模式的な断面図である。 実施例として得た単セルの切断面の状態を示す図である。 実施例として得た単セルのMg及びNiの偏在状態を示す図である。 図3の第一領域における元素分布を示すグラフである。 図3の第二領域における元素分布を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態である固体電解質形燃料電池について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る固体電解質形燃料電池の単セルの断面を示す模式的な断面図である。図1に示す単セルSC1は、燃料極支持体1(燃料極)と、固体電解質層2bと、空気極3とを備える。燃料極支持体1と固体電解質層2bとの間には、中間層2aが設けられている。
燃料極支持体1は、例えば、Ni及び/又はNiOと、Y23をドープしたジルコニウム含有酸化物との複合体として構成される。
中間層2aは、燃料極支持体1の表面に形成された層である。中間層2aは、例えば、Ce1-xLax2(但し0.30<x<0.50)で表されるセリウム含有酸化物によって構成される。固体電解質層2bは、中間層2aよりも空気極3側に形成された層である。固体電解質層2bは、例えば、ランタンガレート酸化物によって構成される。
本実施形態では、固体電解質層2bに、MgO粒子を偏在させている。より具体的には、固体電解質層2bの中間層2a側の一側面に、MgO粒子を偏在させている。MgO粒子は、固体電解質層2b内ではあるけれども、中間層2aに隣接する領域に偏在するように配置されている。換言すれば、固体電解質層2bと中間層2aとの界面近傍の、固体電解質層2b側に偏在するように配置されている。MgO粒子は、このような領域に偏在させられているものであって、他の領域には極力存在しないように配置されている。
空気極3は、固体電解質層2bの表面に形成された層である。空気極3は、例えば、ランタンコバルト系酸化物やランタンフェライト系酸化物、サマリウムコバルト系酸化物によって構成される。
図1に示す単セルSC1は、本発明の一実施形態の例を示すものであって、本発明の実施形態としては様々な変形態様を採用することが可能である。円筒状に形成した単セルSC2について、図2にその模式的な断面を示す。
図2に示す単セルSC2は、燃料極支持体21(燃料極)と、燃料極反応触媒層24と、固体電解質層22bと、空気極23とを備える。固体電解質層22bと燃料極反応触媒層24との間には、中間層22aが設けられている。
燃料極支持体21は、例えば、Ni及び/又はNiOと、Y23をドープしたジルコニウム含有酸化物との複合体として構成される。燃料極支持体21は、円筒型に形成されている。燃料極反応触媒層24は、燃料極支持体21の表面に形成された層である。
中間層22aは、燃料極反応触媒層24の表面に形成された層である。中間層22aは、例えば、Ce1-xLax2(但し0.30<x<0.50)で表されるセリウム含有酸化物によって構成される中間層である。固体電解質層22bは、中間層22aよりも空気極23側に形成された層である。固体電解質層22bは、例えば、ランタンガレート酸化物によって構成される。
本実施形態では、固体電解質層22bに、MgO粒子を偏在させている。より具体的には、固体電解質層22bの中間層22a側の一側面に、MgO粒子を偏在させている。MgO粒子は、固体電解質層22b内ではあるけれども、中間層22aに隣接する領域に偏在するように配置されている。換言すれば、固体電解質層22bと中間層22aとの界面近傍の、固体電解質層22b側に偏在するように配置されている。MgO粒子は、このような領域に偏在させられているものであって、他の領域には極力存在しないように配置されている。
空気極23は、固体電解質層22bの表面に形成された層である。空気極23は、例えば、ランタンコバルト系酸化物やサマリウムコバルト系酸化物によって構成される。
固体酸化物形燃料電池の作動原理は以下の通りである。空気極側に空気、燃料極側に燃料ガス(例えばH2やCOを含むガス)を流すと、空気中の酸素が空気極と固体電解質層との界面近傍で酸素イオンに変わり、この酸素イオンが固体電解質層を通って燃料極に達する。そして燃料ガスと酸素イオンが反応して水および二酸化炭素になる。これらの反応は(1)式、(2)式および(3)式で表される。空気極と燃料極を外部回路で接続することによって外部に電気を取り出すことが出来る。
2+O2-→H2O+2e- (1)
CO+O2-→CO2+2e- (2)
1/2O2+2e-→O2- (3)
本実施形態の、中間層2a,22aのセリウム含有酸化物は、ランタンガレート酸化物からなる固体電解質層2b,22bとの反応性が低いという観点から、一般式Ce1-xLnx2(LnはLa、0.30<x<0.50)で表されるものが好ましい。LnとしてLaを用いることで、ランタンガレート酸化物からなる固体電解質層2b,22bとの反応を最も効果的に防止することができるため、発電性能は向上する。尚、最適なLnのドープ量は、固体電解質層2b,22bに用いるランタンガレート酸化物の組成によって変わる。固体電解質層2b,22bに酸素イオン伝導率が高い組成のランタンガレート酸化物(例えば、一般式La1-aSraGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0≦b≦0.3、0≦c≦0.15)で表されるランタンガレート酸化物)を用いることを鑑みると、Lnのドープ量は0.35≦x≦0.45であることがより好ましい。
セリウム含有酸化物からなる粉末の作製方法については特に限定はない。酸化物混合法、共沈法、クエン酸塩法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法などが一般的である。
セリウム含有酸化物からなる粉末の粒子径は、0.1〜1μmが好ましい。
本実施形態においては、セリウム含有酸化物からなる中間層2a,22aの厚みをSμmとしたとき、1<S<50であることが好ましい。さらには、3≦S≦20であることがより好ましい。
この理由は、中間層2a,22aの厚みを1μmよりも厚くすることで、燃料極支持体1,21と固体電解質層2b,22bとの反応を効果的に抑制でき、さらに3μm以上とすることで前記反応をより信頼性高く防止できるからである。一方、中間層2a,22aの厚みを50μmよりも薄くすることで、中間層2a,22aにおける抵抗損の影響を小さくでき、さらに20μm以下とすることで、中間層2a,22aにおける抵抗損の影響をより小さくできるからである。従って、中間層2a,22aの厚みは、燃料極支持体1,21と固体電解質層2b,22bとの反応を十分防止できる範囲で、できるだけ薄くするのが好ましい。
本実施形態においては、固体電解質層2b,22bの厚みをTμmとしたとき2<T<70であることが好ましい。さらには、10≦T≦50であることがより好ましい。
この理由は、固体電解質層2b,22bの厚みを2μmよりも厚くすることで、セリウム含有酸化物からなる中間層2a,22aが燃料雰囲気下で還元され電子伝導性が発現し、発電性能が低下する影響を防止することができ、さらに10μm以上とすることで前記影響をより信頼性高く防止できるからである。一方、固体電解質層2b,22bの厚みを70μmよりも薄くすることで、固体電解質層2b,22bにおける抵抗損の影響を小さくでき、さらに50μm以下とすることで、固体電解質層2b,22bにおける抵抗損の影響をより小さくできるからである。
本実施形態の、固体電解質層2b,22bにおけるランタンガレート酸化物(ペロブスカイト型複合酸化物)は、酸素イオン伝導性が高いと言う観点から、一般式La1-aSraGa1-bMgb3(但し、0.05≦a≦0.3、0≦b≦0.3)(LSGM)で表されるものが好ましい。
本実施形態の、固体電解質層2b,22bにおけるランタンガレート酸化物(ペロブスカイト型複合酸化物)は、酸素イオン伝導性が高いと言う観点から、一般式La1-aSraGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0≦b<0.3、0<c≦0.15)(以下LSGMCと略称する)で表されるものも好ましい。
本実施形態における固体電解質層2b,22bは、LSGMからなる層とLSGMCからなる層両方を含む構成とすることもできる。すなわちLSGMからなる層とLSGMCからなる層との多層構造であっても良い。
ランタンガレート酸化物の原料粉末の作製方法については特に限定はない。酸化物混合法、共沈法、クエン酸塩法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法などが一般的である。
本実施形態の燃料極支持体1,21としては、特に制限はないが、固体酸化物形燃料電池の燃料雰囲気下において電子伝導性が高く、(1)式、(2)式の反応が効率良く行われるものであることが好ましい。これらの観点から好ましい材料としては、例えばNiO/ジルコニウム含有酸化物、NiO/セリウム含有酸化物、NiO/ランタンガレート酸化物等が挙げられる。ここで言う、NiO/ジルコニウム含有酸化物、NiO/セリウム含有酸化物、NiO/ランタンガレート酸化物とは、それぞれNiOとジルコニウム含有酸化物、NiOとセリウム含有酸化物、NiOとランタンガレート酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを指す。またここで示すNiO/ジルコニウム含有酸化物のジルコニウム含有酸化物とは、例えばCaO、Y23、Sc23のうちの一種以上をドープしたジルコニウム含有酸化物を指す。またここで示すNiO/セリウム含有酸化物のセリウム含有酸化物は、一般式Ce1-yLny2(但し、LnはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Yのいずれか一種又は二種以上の組み合わせであり、0.05≦y≦0.50)で表される化合物を指す。セリウム含有酸化物は一般的に、燃料雰囲気下で還元されて電子伝導性が発現するため、混合伝導体となる。またここで示すNiO/ランタンガレート酸化物のランタンガレート酸化物は特に限定は無いが、(1)式、(2)式の反応をより効率良く行うために、LSGMまたはLSGMCであることが好ましい。またNiOは燃料雰囲気下で還元されてNiとなるため、前記混合物はNi/ジルコニウム含有酸化物、Ni/セリウム含有酸化物、Ni/ランタンガレート酸化物となる。
本明細書中における均一に混合されたとは、酸化物混合法、共沈法、クエン酸塩法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法、などによって作製された原料粉末を用いることによって、得ることが出来る。すなわち、ここで示す均一に混合されたとは、前記手法で得られる原料レベルの均一性があれば十分均一であることを指している。
燃料極を支持体とし、燃料極支持体1,21とする場合は、支持体としての強度に優れ、かつ安定性が高いという観点から、NiO/ジルコニウム含有酸化物を用いることが好ましい。またこの場合、(1)式、(2)式の反応をより効率的に行うことができ、発電性能を向上させるという観点から、燃料極支持体1,21と固体電解質層2b,22bとの間に、燃料極反応触媒層24を設けることが好ましい。燃料極反応触媒層24としては、電子伝導性と酸素イオン伝導性に優れるという観点から、NiO/セリウム含有酸化物、NiO/ランタンガレート酸化物等が挙げられ、重量比率としては10/90〜90/10が好ましい。この理由は、10/90よりもNiOが少ないと電子伝導性が低すぎるためで、一方90/10よりNiOが多くなると酸素イオン伝導性が低すぎるためである。なお燃料極反応触媒層24は、固体電解質層2,22側から燃料極支持体1,21方向へ、NiOの量が徐々に多くなるように傾斜させた構造としても良い。
本実施形態における燃料極支持体1,21および燃料極反応触媒層24は、Niの他にFe、Co、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt等を含むものであっても良い。
本実施形態の空気極3,23としては、特に制限はないが、ランタンマンガン系酸化物、ランタンフェライト系酸化物、ランタンコバルト系酸化物、ランタンニッケル系酸化物、サマリウムコバルト系酸化物などを好適に用いることが出来る。
本実施形態における燃料極支持体1,21および空気極3,23に使用する原料粉末の作製方法については特に限定はない。酸化物混合法、共沈法、クエン酸塩法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法などが一般的である。
本実施形態における単セルSC1,SC2の作製方法としては、例えば、燃料極支持体1,21の成形体を作製し800℃〜1150℃で仮焼する工程と、得られた仮焼体の表面に固体電解質層2,22を成形し1200℃〜1400℃で支持体と共焼結させる工程と、焼結した固体電解質層2,22の表面にもう一方の電極である空気極3,23を成形し800℃〜1200℃で焼結させる工程と、を備えるセル作製方法が好ましい。なお支持体と電解質の共焼成時の焼結温度は、支持体からの金属成分の拡散を抑制する観点と、ガス透過性の無い固体電解質層を得る観点から、1250℃〜1350℃がより好ましい。
本実施形態における固体電解質層2,22の作製方法については、特に制限はなく、スラリーコート法、テープキャスティング法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、EVD法、CVD法、RFスパッタリング法などを用いて作製することができるが、量産性に優れ、低コストであるという観点から、スラリーコート法が好ましい。
本実施形態における固体電解質形燃料電池(単セル)の形状については特に限定はなく、平板型、円筒型、フラットチューブ型などいずれであっても良い。また円筒型の場合、マイクロチューブのタイプ(外径10mm以下、より好ましくは5mm以下)にも適用可能である。ところで本実施形態における効果は、特に500℃〜800℃程度の作動温度において優れた発電性能が得られる。固体酸化物形燃料電池の低温作動化は、固体酸化物形燃料電池の起動性の面から好ましい。急速起動、急速停止に対する信頼性、安定性の観点から、固体酸化物形燃料電池(単セル)の形状については円筒型が好ましい。
(1)LSGM原料粉末の作製
LSGM原料粉末の作製は、固相法により行った。La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23に示すランタンとガリウムを含むペロブスカイト型酸化物の組成比となるように、原料となる各種金属酸化物の粉末を秤量し、溶液中で混合した後に溶媒を除去して得られた粉末を、1400℃で焼成、および粉砕してランタンガレート系電解質材料を作製した。更に、得られた粉末を1000℃で仮焼成および粉砕することにより、LSGM原料粉末を得た。
(2)固体酸化物形燃料電池セル(単セル)の作製
上記のようにして得られたLSGM原料粉末を用いて、以下の方法で固体酸化物型燃料電池セルである単セルSC2を作製した。
NiOと、10YSZ(10mol%Y23−90mol%ZrO2)と、を重量比65:35で混合して円筒状に成形し900℃仮焼した燃料極支持体21を作製した。この燃料極支持体21上に、NiOと、GDC10(10mol%Gd23−90mol%CeO2)と、を重量比40:60で混合したものをスラリーコート法により成膜し、燃料極反応触媒層24を形成した。さらに、燃料極反応触媒層24上にLDC40(40mol%La23−60mol%CeO2)およびLSGM原料粉末をスラリーコート法により順次積層し、固体電解質層2b,22bを形成した。得られた成形体を1300℃にて焼成した。さらに得られた焼成体にLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83の組成のLSCFをスラリーコート法にて成膜し、1050℃で焼成することで固体酸化物形燃料電池セルである単セルSC2を作製した。
作製した単セルSC2は、燃料極支持体21が外径10mm、肉厚1mmであり、燃料極反応触媒層24の厚さが20μmであり、LDC層である中間層22aの厚みが10μmであり、LSGM層である固体電解質層22bの厚みが30μmであり、LSCF層である空気極23の厚みが20μmである。
(3)固体酸化物形燃料電池セル(単セル)の評価
上記で得られた固体酸化物形燃料電池セルである単セルSC2の固体電解質層22bにおけるMgOの存在状態を、以下の方法により分析した。
まず、得られた単セルSC2を切断し、切断面を研磨した後にSEM−EDX(S4100:日立製作所製)で切断面を観察した。この切断面の状態を図3に示す。図3の(A)は二次電子像を示し、図3の(B)は反射電子像を示している。図3の(A)及び(B)に示されるように、LSGM(固体電解質層22b)とLDC(中間層22a)との界面近傍には、MgO粒子が偏在している。界面から離れたLSGMにもMgOは存在するが、界面近傍のLSGMにはより多くのMgO粒子が偏在し、この領域においてはLSGMとLDCの界面に沿ってMgO粒子が列を成し、LDC側(中間層22a)及び燃料極支持体21側)から拡散するNiを捕捉するようになっている。
図3に示すようにMgO粒子が、LSGM(固体電解質層22b)とLDC(中間層22a)との界面に沿って偏在する状態を示すため、EDXの半定量値をグラフ化したものを図4に示す。図4では、1点あたりの分析範囲を、界面に沿った方向で10μm、界面に直交する方向で2μmとしている。図3の(B)に示すような、倍率5000倍の反射電子像を撮影し、LSGM(固体電解質層22b)とLDC(中間層22a)との界面からLSGM(固体電解質層22b)に向かって、1点当たりの分析範囲におけるMgO粒子(図3の黒い粒子)の存在面積比率を求めたものである。図4に示すグラフでは、LSGM(固体電解質層22b)とLDC(中間層22a)との界面を基準位置とし、その基準位置からの距離を横軸にとっている。
図4に示されるように、LSGM(固体電解質層22b)とLDC(中間層22a)との界面に沿って偏在するMgO粒子が、Niを捕捉し、LSGM(固体電解質層22b)側へ拡散するのを効果的に抑制している。尚、LSGM粒子とMgO粒子との体積比率は、80:20〜20:80とすることが好ましいものである。このように調整することで、MgO粒子によるNi拡散防止効果を最大限に発揮させる一方で、MgO粒子によるイオン伝導性の低下を最小限に抑制することができる。
図5には、図3に示す第一領域AR1における成分分布を示し、図6には、図3に示す第二領域AR2における成分分布を示す。第一領域AR1は、図3においては淡い色の領域として認識されており、MgO粒子が少ない状態であると推測される。図5に示すように、第一領域AR1においては、Mg成分の存在を示すピークが低く出ており、この推測が妥当なものであることの証左となっている。一方、第二領域AR2は、図3においては濃い色の領域として認識されており、MgO粒子が多い状態であると推測される。図6に示すように、第二領域AR2においては、Mg成分の存在を示すピークが高く出ており、この推測が妥当なものであることの証左となっている。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1:燃料極支持体
2a:中間層
2b:固体電解質層
3:空気極
21:燃料極支持体
22a:中間層
22b:固体電解質層
23:空気極
24:燃料極反応触媒層
SC1:単セル
SC2:単セル

Claims (3)

  1. 固体電解質によって層状に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層の一側面に形成され燃料ガスを前記固体電解質層に透過させる燃料極と、前記固体電解質層の他側面に形成され酸化剤ガスを前記固体電解質層に透過させる空気極と、を備える固体酸化物形燃料電池であって、
    前記燃料極は、Ni及びNiOの少なくとも一方を含み、
    前記固体電解質層は、La及びGaを少なくとも含むペロブスカイト型複合酸化物とMgOとを含み、
    前記固体電解質層において前記MgOは粒子状のMgO粒子となって前記燃料極側の側面に偏在することを特徴とする固体電解質形燃料電池。
  2. 前記ペロブスカイト型複合酸化物は、ランタンガレート系ペロブスカイト型複合酸化物であって、前記固体電解質層において粒子状であるLSGM粒子となって存在し、
    前記固電解質層の燃料極側の界面において前記LSGM粒子と前記MgO粒子との体積比率が、80:20〜20:80であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質形燃料電池。
  3. 前記固体電解質層と前記燃料極との間に、Laを含むセリウム酸化物からなる中間層が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体電解質形燃料電池。
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