JP2009245629A - 固体電解質及び平板型の固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素イオン伝導性のない添加物を混合することなく、熱歪みによる割れや欠けを抑制できる固体電解質およびそれを用いた平板型の固体酸化物形燃料電池を提供する。
【解決手段】一方の表面に燃料極層12が、他方の表面に酸化剤極層13がそれぞれ形成されることにより発電セル10を構成する固体酸化物形燃料電池用の固体電解質11として、ランタンガレート系セラミックスの原料粉に、さらに、ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、酸化鉄のうちの少なくとも一種以上が混合されて、上記原料粉とともに焼結されてなるものを用いた。また、固体電解質を平板状に形成して、固体電解質の一方の表面に燃料極層を、他方の表面に酸化剤極層をそれぞれ形成した発電セルを、板厚方向にセパレータ2を介して複数積層した固体酸化物形燃料電池とした。
【選択図】図1
【解決手段】一方の表面に燃料極層12が、他方の表面に酸化剤極層13がそれぞれ形成されることにより発電セル10を構成する固体酸化物形燃料電池用の固体電解質11として、ランタンガレート系セラミックスの原料粉に、さらに、ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、酸化鉄のうちの少なくとも一種以上が混合されて、上記原料粉とともに焼結されてなるものを用いた。また、固体電解質を平板状に形成して、固体電解質の一方の表面に燃料極層を、他方の表面に酸化剤極層をそれぞれ形成した発電セルを、板厚方向にセパレータ2を介して複数積層した固体酸化物形燃料電池とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料極層と空気極層とに挟まれて配置されることにより発電セルを構成する固体酸化物形燃料電池用の固体電解質及びそれを用いた固体酸化物形燃料電池に関するものである。
近年、燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池は、高効率でクリーンな発電装置として注目されており、実用化された固体高分子形燃料電池(PEFC)の他にも、現在、第1世代としてリン酸形燃料電池(PAFC)、第2世代として溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、そして第3世代として固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発が期待されている。中でも、固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、作動温度が600℃〜1000℃と高く、排熱の効率的な利用が可能であって、大規模発電用途にも適しており、1kw〜10kwの家庭用、業務用などから火力発電所の代替用までの幅広い分野での利用が可能となる。
この固体酸化物形燃料電池は、一般的に、ランタンガレート系酸化物などのセラミックス製の酸化物イオン伝導体から成る平板状の固体電解質層が空気極層(カソード)と燃料極層(アノード)とに挟まれて構成された発電セルを、板厚方向にセパレータを介して複数積層した燃料電池スタックを有している。
そして、発電時には、反応用ガスとして空気極層側に酸化剤ガス(酸素) が供給されるとともに、燃料極層側に燃料ガス(CH4等を含有する都市ガス)を改質器によって改質した改質ガス (H2、CO、CO2、H2O等) が供給される。これらの空気極層および燃料極層は、反応用ガスが固体電解質層との界面に到達することができるよう、何れも多孔質の層とされている。
これにより、発電セル内において、空気極層側に供給された酸素は、空気極層内の気孔を通って固体電解質層との界面近傍に到達し、この部分で空気極層から電子を受け取って酸化物イオン(O2-)にイオン化される。この酸化物イオンは、燃料極層に向かって固体電解質層内を拡散移動する。燃料極層との界面近傍に到達した酸化物イオンは、この部分で改質ガスと反応して反応生成物(H2O、CO2等)を生じ、燃料極層に電子を放出する。これによって、電極反応で生じた電子が別ルートの外部負荷にて起電力として取り出される。
ところが、この発電セルを構成する固体電解質は、上述の酸化物イオンの移動のために600℃〜1000℃の高い作動温度が必要になることから、熱膨張などの熱歪みによって割れや欠けが生じ得る。これにより、上述の電極反応が阻害されて、一部の発電セルから所望量の起電力を取り出すことができない場合には、燃料電池全体としての発電量が減少してしまう。
これに対して、特許文献1には、ランタンガレート系酸化物の原料粉にアルミナ粒子を添加混合して焼結させたアルミナ粒子添加の固体電解質が提案されており、このアルミナ粒子添加の固体電解質は、焼結時に原料粉の粒成長を抑制して、グレインサイズの拡大による強度の低下を防止でき、熱歪みによる割れや欠けを抑制できる。
しかしながら、この固体電解質は、グレインサイズの拡大による強度の低下を防止して、熱歪みによる割れや欠けを抑制できても、アルミナ粒子が酸素イオン伝導性を有していないため、その添加割合が増加すると導電率の低下、すなわち、上記酸化物イオンの移動量の減少により、燃料電池全体としての発電量の減少を引き起こてしまうという問題があった。
そこで、発電量の減少を招く、酸素イオン伝導性のない添加物を混合することなく、熱歪みによる割れや欠けを抑制できる固体電解質およびそれを用いた平板型の固体酸化物形燃料電池を提供することを課題とする。
すなわち、請求項1に記載の発明に係る固体酸化物形燃料電池用の固体電解質は、一方の表面に燃料極層が形成され、かつ他方の表面に酸化剤極層が形成されることにより発電セルを構成する固体酸化物形燃料電池用の固体電解質であって、組成式La1-xSrxGa1-yMgyO3(X=0.05〜0.3、Y=0.025〜0.3)、またはLa1-xSrxGa1-y-zMgyCozO3(X=0.05〜0.3、Y=0〜0.29、Z=0.01〜0.3、Y+Z=0.025〜0.3)で表されるランタンガレート系セラミックスの原料粉に、さらに、ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、酸化鉄のうちの少なくとも一種以上が混合されて、上記原料粉とともに焼結されてなることを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の固体電解質において、上記ランタンガレート系セラミックスの原料粉を仮焼成して、粉砕した粉砕粒子に、上記ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、酸化鉄のうちの少なくとも一種以上が混合されて、上記粉砕粒子とともに焼結されてなることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の固体電解質において、上記粉砕粒子に、上記酸化鉄が、鉄換算で0.01wt%以上であって20wt%以下の割合で上記混合、焼結されてなることを特徴としている。
ここで、「上記粉砕粒子に、上記酸化鉄が、鉄換算で0.01wt%以上であって20wt%以下の割合で」とは、酸化鉄および粉砕粒子に対する酸化鉄の割合が鉄重量換算で0.01%以上であって20%以下であることを意味している。
また、請求項4に記載の発明に係る平板型の固体酸化物形燃料電池は、請求項1ないし3のいずれかに記載の固体電解質が平板状に形成されて、この固体電解質の一方の表面に燃料極層が、他方の表面に上記酸化剤極層がそれぞれ形成された発電セルが、上記板厚方向にセパレータを介して複数積層されていることを特徴としている。
請求項1〜3に記載の発明によれば、ランタンガレート系セラミックスの原料粉に、ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、酸化鉄のうち少なくとも一種以上を混合して、原料粉とともに焼結することによって、この原料粉の粒成長を抑制して、固体電解質のグレインサイズの拡大による強度の低下を防止できる。また、いずれの原料粉に対する混合添加物も、ランタンガレート系セラミックスの構成元素の酸化物や酸化鉄からなるため、酸化物イオンの移動量の減少を引き起こす恐れがなく、酸化鉄の場合には、酸化物イオンの移動量が増加する。このため、添加物による発電量の減少を阻止できる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、ランタンガレート系セラミックスの原料粉を仮焼成して粉砕した粉砕粒子に、上記ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、酸化鉄のうち少なくとも一種以上を混合して、粉砕粒子とともに焼結するため、この粉砕粒子の粒成長を効果的に抑制することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、添加物として、酸化鉄を鉄換算で0.01wt%以上であって20wt%以下の割合で粉砕粒子に混合したため、酸素イオン伝導率を増加させることができ、固体酸化物形燃料電池の発電効率を高めることができる。
従って、請求項4に記載の平板型の固体酸化物形燃料電池によれば、固体電解質の熱歪みによる割れや欠けを抑制して、電解質割れなどによって燃料電池全体として発電量が減少してしまうことに対する抑制効果を得ることができる。
以下、本発明に係る平板積層型の固体酸化物形燃料電池の実施形態を、図1〜図4を用いて説明する。
本実施形態に係る燃料電池は、図1に示すように、円形平板状の固体電解質11の一方の表面に燃料極層12が形成されるとともに、他方の表面に空気極層(酸化剤極層)13が形成された発電セル10を、板厚方向に矩形板状のセパレータ2を介して複数積層した外観視略矩形柱状の燃料電池スタック1を有して構成されている。
また、発電セル10の燃料極層12とセパレータ2との間には、円形平板状の燃料極集電体14が配置されるとともに、酸化剤極層13とセパレータ2との間には、円形平板状の空気極集電体15が配置されている。
また、発電セル10の燃料極層12とセパレータ2との間には、円形平板状の燃料極集電体14が配置されるとともに、酸化剤極層13とセパレータ2との間には、円形平板状の空気極集電体15が配置されている。
ここで、この固体電解質11は、組成式La1-xSrxGa1-yMgyO3(X=0.05〜0.3、Y=0.025〜0.3)、またはLa1-xSrxGa1-y-zMgyCozO3(X=0.05〜0.3、Y=0〜0.29、Z=0.01〜0.3、Y+Z=0.025〜0.3)で表されるランタンガレート系セラミックスの原料粉に、ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、鉄および鉄化合物のうちの少なくとも一種以上が混合されて、上記原料粉とともに焼結されてなるものである。
この固体電解質11の製造方法としては、まず、上記ランタンガレート系セラミックスの原料粉となるLaO2、SrCO3、Ga2OおよびMgOならびに必要に応じてCoOの各成分の粉末割合を調製する。次いで、これら原料粉を仮焼成して、得られた仮焼体を粉砕した後に、この粉砕粒子にランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、鉄および鉄化合物のうちの少なくとも一種以上を、バインダーや溶剤などとともに加えて、ボールミルで粉砕混合することにより、スラリーを作製する。次いで、このスラリーを用いてドクターブレード法によってグリーンシートを成形した後に、空気中にて充分に乾燥させ、次いで、所定の円形平板状に切り出して1450℃で焼結することにより得られる。
その際、上記粉砕粒子に加える混合添加物として、好ましくは酸化鉄が、鉄換算で0.01wt%以上であって20wt%以下、より好ましくは、0.1wt%以上であって10wt%以下の割合で用いられる。
これは、酸化鉄を粉砕粒子に混合した場合には、酸素イオン伝導率が増加するためであり、0.01wt%未満では、この伝導率増加の効果が得られず、他方、20wt%を超えると、鉄による電子リークが生じうるためである。
これによって、ランタンガレート系セラミックスのGaが一部Feに置換されて、一部のGaのサイトにFeが導入された固体電解質11が得られる。
これは、酸化鉄を粉砕粒子に混合した場合には、酸素イオン伝導率が増加するためであり、0.01wt%未満では、この伝導率増加の効果が得られず、他方、20wt%を超えると、鉄による電子リークが生じうるためである。
これによって、ランタンガレート系セラミックスのGaが一部Feに置換されて、一部のGaのサイトにFeが導入された固体電解質11が得られる。
上記燃料極層12は、Ni等の金属あるいはNi−YSZ等のサーメットで固体電解質11の外周より一回り小さい円状に形成され、酸化剤極層13は、LaMnO3、LaCoO3等で固体電解質11の外周より一回り小さい円状に形成されている。また、燃料極集電体14は、Ni等のスポンジ状の多孔質焼結金属板で固体電解質11と同径の円形平板状に構成され、空気極集電体15はAg等のスポンジ状の多孔質焼結金属板で固体電解質11と同径の円形平板状に構成されている。
さらに、セパレータ2は、厚さ数mmの略方形状のステンレス製の板材で構成されており、上述した発電セル10、各集電体14、15が積層される中央のセパレータ本体20と、このセパレータ本体20より面方向に延設されて、当セパレータ本体20の対向縁部を2箇所で支持する一対のセパレータアーム21、22とで構成されている。
そして、セパレータ本体20は、集電体14、15を介して発電セル10間を電気的に接続するとともに、発電セル10に対して反応用ガスを供給する機能を有し、その内部に燃料ガスをセパレータ2の縁部から導入してセパレータ2の燃料極集電体14に対向する面の中央部の吐出口2xから噴出させる燃料ガス通路23と、酸化剤ガス(空気)をセパレータ2の縁部から導入してセパレータ2の空気極集電体15に対向する面の中央部の吐出口2yから噴出させる酸化剤ガス通路24とを有する。
また、各セパレータアーム21、22は、それぞれセパレータ本体20の外周辺に沿って僅かな隙間を持って対向角隅部に延設される細長帯状として積層方向に可撓性を持たせた構造とされると共に、これらセパレータアーム21、22の端部26、27に板厚方向に貫通する一対のガス孔28x、28yが設けてある。
一方のガス孔28xはセパレータ2の燃料ガス通路23に連通し、他方のガス孔28yはセパレータ2の酸化剤ガス通路24に連通し、各々のガス孔28x、28yからこれらのガス通路23、24を通して各発電セル10の各電極12、13面に燃料ガスや酸化剤ガスを供給するようになっている。
一方のガス孔28xはセパレータ2の燃料ガス通路23に連通し、他方のガス孔28yはセパレータ2の酸化剤ガス通路24に連通し、各々のガス孔28x、28yからこれらのガス通路23、24を通して各発電セル10の各電極12、13面に燃料ガスや酸化剤ガスを供給するようになっている。
そして、各セパレータ2の本体20間にそれぞれ発電セル10および集電体14、15を介在させるとともに、各セパレータ2のガス孔28x、28y間に各々絶縁性のマニホールドリング29x、29yを介在させることによって、ガス孔28xおよびマニホールドリング29xによって構成された燃料ガスマニホールドと、ガス孔28yおよびマニホールドリング29yによって構成された空気マニホールドとを有する外観視略矩形柱状の燃料電池スタック1が構成される。
この燃料電池スタック1の上部および下部には、図2に示すように、セパレータ2より外法の大きいフランジ3が設けられており、これらのフランジ3のマニホールドに対応する2箇所には、それぞれ2本ずつボルト31が挿通されて、その両端部にナット32が螺合されている。このフランジ3と、両端部にナット32を螺合したボルト31とによって、上述のマニホールドリング29x、29yを介装したマニホールドのガスシール性が担保されている。
そして、上部のフランジ3には、中央部に発電セル10の外法より大きい穴30が設けられており、この穴30には、最上段のセパレータ2上に載置された発電セル10と略同一の大きさの錘39が配置されている。この錘39により、集電体14、15に挟まれた発電セル10とセパレータ2との相互密着性が担保されている。
このようにして構成された燃料電池スタック1は、図3および図4に示すように、4枚の側板からなる矩形筒体と天板と底板とを有する内部缶体5内の中央部に、架台51に載置された状態で、平面的に縦横方向に複数行(本実施形態においては2行)複数列(本実施形態においては2列)に並べて多数配置され、上下高さ方向にも複数(本実施形態においては4個)配置されている。また、各燃料電池スタック1は、起動時に酸化剤ガスと改質ガスとの反応によって生成される反応ガスや未反応ガスをそのまま外部に放出するシールレス構造を採用しており、これらの放出された反応ガスなどによって内部缶体5内は昇温するようになっている。
さらに、この内部缶体5は、その外周が断熱材50で覆われており、内部缶体5内には、上述の平板積層形燃料電池スタック1の燃料ガスマニホールドに燃料ガスを改質した改質ガスを供給する燃料ガス供給ラインに介装の水蒸気発生器(図示を略す)、燃料熱交換器62や改質器61が配設されている。さらに、内部缶体5内には、空気マニホールドに酸素などの酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給ラインに介装の空気熱交換器72が配設されており、内部缶体5の各側板には、それぞれ起動時に内部温度を上昇させる赤外線バーナ55が配置されている。これによって、平板積層形燃料電池は、燃料ガスマニホールドに供給された改質ガスが各スタック1の発電セル10の燃料極層12に、空気マニホールドに供給された酸化剤ガスが各スタック1の発電セル10の酸化剤極層13にそれぞれ供給されるようになっている。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池によれば、ランタンガレート系セラミックスの原料粉を仮焼成して粉砕した粉砕粒子に、ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、鉄および鉄化合物のうちの少なくとも一種以上を混合して、粉砕粒子とともに焼結することによって、この粉砕粒子の粒成長を効果的に抑制して、固体電解質のグレインサイズの拡大による強度の低下を効果的に防止できる。その結果、固体電解質11の熱歪みによる割れや欠けを抑制できる。
加えて、いずれの混合添加物も、ランタンガレート系セラミックスの構成元素の酸化物または酸化鉄からなるため、酸化物イオンの移動量の減少を引き起こす恐れがなく、粉砕粒子に加えることによる燃料電池の発電量の減少問題を引き起こす恐れもない。特に、この混合添加物として、酸化鉄を鉄換算で0.01wt%以上であって20wt%以下の割合で粉砕粒子に混合した場合には、酸素イオン伝導率を増加させることができ、固体酸化物形燃料電池の発電効率を高めることができる。
さらには、燃料電池スタック1の上部に錘39を載置しているため、発電セル10の相互密着性を高めて、固体電解質11の一部の割れなどが全体的な亀裂や破断に繋がることを効果的に防止して、発電量の減少を効果的に抑制できる。
次いで、実施例について説明する。
[実施例]
まず、La1-xSrxGa1-y-zMgyCozO3(X=0.05〜0.3、Y=0〜0.29、Z=0.01〜0.3、Y+Z=0.025〜0.3)の原料粉となるLaO2 、SrCO3、Ga2O、MgOおよびCoOの各成分の粉末割合を調製した。
まず、La1-xSrxGa1-y-zMgyCozO3(X=0.05〜0.3、Y=0〜0.29、Z=0.01〜0.3、Y+Z=0.025〜0.3)の原料粉となるLaO2 、SrCO3、Ga2O、MgOおよびCoOの各成分の粉末割合を調製した。
次いで、これら原料粉120gを一般的な条件で仮焼成して、得られた仮焼体を粉砕した後に、この粉砕粒子に2.4gの酸化鉄(Fe2O3 )を下記表1に示す割合のトルエン、ブタノール、G−700およびジルコニアボールとともに加えてボールミルで1時間粉砕混合した後に、下記表1のバインダーやフタル酸ジ−n−ブチルを加えてさらに1時間撹拌し、次いで、3時間脱泡することにより、スラリーを作製した。
このスラリーを用いてドクターブレード法によってグリーンシートを成形した後に、空気中にて充分に乾燥させて、長さ60mm,幅15mm,厚さ200μmの平板状の酸化物イオン伝導体を得た。
次いで、この酸化物イオン伝導体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影して図5に示すとともに、グレインサイズおよび相対密度を測定してそれぞれ表2に示すとともに、3点曲げ強さを測定して表2に示した。
[比較例]
上記原料粉120gを一般的な条件で仮焼成して、得られた仮焼体を粉砕した後に、そのまま上記表1のバインダーや溶剤などを全て加えて1時間撹拌し、その後、実施例と同様の方法で同径、同厚の酸化物イオン伝導体を得た。次いで、この酸化物イオン伝導体のSEM写真を、実施例と同条件で撮影して図6に示すとともに、グレインサイズ、相対密度および3点曲げ強さを実施例と同様に測定して、それぞれ表2に示した。
上記原料粉120gを一般的な条件で仮焼成して、得られた仮焼体を粉砕した後に、そのまま上記表1のバインダーや溶剤などを全て加えて1時間撹拌し、その後、実施例と同様の方法で同径、同厚の酸化物イオン伝導体を得た。次いで、この酸化物イオン伝導体のSEM写真を、実施例と同条件で撮影して図6に示すとともに、グレインサイズ、相対密度および3点曲げ強さを実施例と同様に測定して、それぞれ表2に示した。
図5および6のSEM写真ならびに表2から判るように、実施例の酸化物イオン伝導体は、酸化鉄添加によってグレインサイズが減少しており、比較例と異なって電解質内部に閉気孔も観察される。また、強度は向上している。
1 平板積層形燃料電池スタック
2 セパレータ
2x、2y 吐出口
3 フランジ
10 発電セル
11 固体電解質
12 燃料極層
13 酸化剤極層
14 燃料極集電体
15 空気極集電体
20 セパレータ本体
21 22 セパレータアーム
23 燃料ガス通路
24 酸化剤ガス通路
26 端部
28x、28y ガス孔
29x 29y マニホールドリング
30 穴
31 ボルト
32 ナット
39 錘
2 セパレータ
2x、2y 吐出口
3 フランジ
10 発電セル
11 固体電解質
12 燃料極層
13 酸化剤極層
14 燃料極集電体
15 空気極集電体
20 セパレータ本体
21 22 セパレータアーム
23 燃料ガス通路
24 酸化剤ガス通路
26 端部
28x、28y ガス孔
29x 29y マニホールドリング
30 穴
31 ボルト
32 ナット
39 錘
Claims (4)
- 一方の表面に燃料極層が形成され、かつ他方の表面に酸化剤極層が形成されることにより発電セルを構成する固体酸化物形燃料電池用の固体電解質であって、
組成式La1-xSrxGa1-yMgyO3(X=0.05〜0.3、Y=0.025〜0.3)、またはLa1-xSrxGa1-y-zMgyCozO3(X=0.05〜0.3、Y=0〜0.29、Z=0.01〜0.3、Y+Z=0.025〜0.3)で表されるランタンガレート系セラミックスの原料粉に、
さらに、ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、酸化鉄のうちの少なくとも一種以上が混合されて、上記原料粉とともに焼結されてなることを特徴とする固体電解質。 - 上記ランタンガレート系セラミックスの原料粉を仮焼成して、粉砕した粉砕粒子に、上記ランタン酸化物、ストロンチウム酸化物、ガリウム酸化物、マグネシウム酸化物、コバルト酸化物、酸化鉄のうちの少なくとも一種以上が混合されて、上記粉砕粒子とともに焼結されてなることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
- 上記粉砕粒子に、上記酸化鉄が、鉄換算で0.01wt%以上であって20wt%以下の割合で上記混合、焼結されてなることを特徴とする請求項2に記載の固体電解質。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の固体電解質が平板状に形成されて、この固体電解質の一方の表面に上記燃料極層が、他方の表面に上記酸化剤極層がそれぞれ形成された発電セルが、上記板厚方向にセパレータを介して複数積層されていることを特徴とする平板型の固体酸化物形燃料電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012156007A (ja) * | 2011-01-26 | 2012-08-16 | Toto Ltd | 固体電解質形燃料電池 |
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- 2008-03-28 JP JP2008087828A patent/JP2009245629A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A521 | Written amendment |
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