JP2010238431A - 燃料電池の発電セル - Google Patents

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Abstract

【課題】ランタンガレート系の固体電解層を、割れを生じることなくその厚さを従来よりも飛躍的に薄くすることができ、よって発電効率を一段と向上させることが可能になる燃料電池の発電セルを提供する。
【解決手段】本発明に係る燃料電池の発電セル10は、平板状のランタンガレート系の固体電解質層12の一方の面に、当該固体電解質層12よりも厚さ寸法が大きく、かつ水素ガスが透過可能な多孔質のNi−YSZからなる燃料極層兼支持体11を一体に形成し、他方の面に酸化剤極層13を一体に形成してなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質型の燃料電池における発電部分を構成する発電セルに関するものである。
図2および図3は、従来の一般的な固体電解質型の燃料電池を示すもので、図中符号1が発電セルである。
この発電セル1は、支持体となる固体電解質層2の一方の面に燃料極層3が一体に形成されるとともに、他方の面に空気極層4が一体に形成された円板状のものである。ここで、固体電解質層2としては、(LaSr)(GaMg)O3、(LaSr)(GaMgCo)O3、(LaSr)(GaMgNi)O3、(LaSr)(GaMgFe)O3等の高い酸素イオン伝導性を有するランタンガレート系(LaGaO3系)材料が用いられている。
また、燃料極層3は、Ni、Co等の金属あるいはNi−YSZ、Co−YSZ等のサーメットで構成され、空気極層4は、LaMnO3、LaCoO3等で構成されている。
ちなみに、上記固体電解質層2は、200μm以上の厚さ寸法を有するとともに、上記燃料極層3および空気極層4は、それぞれ上記固体電解質層2の表面に20〜30μmの厚さ寸法で形成されている。
さらに、燃料極層3の表面には、Ni基合金等のスポンジ状の多孔質焼結金属板からなる燃料極集電体5が配設され、他方空気極層4の表面には、Ag基合金等のスポンジ状の多孔質焼結金属板からなる空気極集電体6が配設されている。
そして、これら発電セル1およびその両側に配設された燃料極集電体5、空気極集電体6が、セパレータ7によって挟み込まれることにより単セルが構成されるとともに、複数の上記単セルが積層されることにより、燃料電池スタックが構成されている。
ここで、セパレータ7は、発電セル1間を電気接続するとともに、発電セル1に対して燃料ガス(水素ガス)および酸化剤ガスとしての空気を供給する機能を有するもので、ステンレス等の金属によって形成されている。そして、このセパレータ7の内部には、その外周部から導入された上記燃料ガスを燃料極集電体5に対向する面7aのほぼ中央部から吐出させる燃料ガス流路8と、上記面7aとは反対側の空気極集電体6に対向する面7bのほぼ中央部から空気を吐出させる空気流路9が形成されている。
以上の構成からなる固体電解質型の燃料電池においては、燃料ガス流路8に供給した燃料ガスをセパレータ7の中央部から燃料極集電体5に流出させるとともに、空気流路9に供給した空気を、当該セパレータ7の中央部から空気極集電体6に流出させる。すると、燃料ガスおよび空気は、各々スポンジ状の燃料極集電体5または空気極集電体6内を拡散しつつ外周方向へと流れ、さらに多孔質の燃料極層3または空気極層4から固体電解質層2の界面に到達する。
そして、空気極層4内の気孔を通って固体電解質層2の界面近傍に到達した空気は、当該空気極層4において電子を受け取って酸化物イオン(O2-)にイオン化され、燃料極層3の方向に向かって固体電解質層2内を透過拡散移動する。次いで、燃料極層3との界面近傍に到達した酸化物イオンは、燃料ガスと反応して反応生成物(H2O、CO2等)を生じ、燃料極層3に電子を放出する。そして、この電子を、積層方向両端部のセパレータ7間を通じて外部に起電力として取り出すことができる。
この種の固体電解質型の燃料電池によれば、固体電解質層2として、高い酸素イオン伝導性を有するランタンガレート系電解質を用いているために、700℃程度の中温域の温度雰囲気下において、高い発電性能を発揮することができるという利点を有している。
そして、上記固体電解質層2の厚さをより薄くして、酸素イオンの透過拡散性を向上させることにより、一層発電性能を向上させることができることが知られている。
ところが、上記ランタンガレート系電解質は、他の電解質材料に比べて、幾分機械的強度が低いという欠点を有している。しかも、上記従来の燃料電池においては、当該ランタンガレート系電解質からなる固体電解質層2を発電セル1の支持体として用いているために、発電性能を向上させるべく、固体電解質層2の厚さを薄くし過ぎると、発電セル1としての強度が低下し、この結果、製造段階や発電中に固体電解質層2に割れを生じて発電不能に陥るおそれがあった。
このため、従来より発電セル1の支持体ともなる固体電解質層2を、ランタンガレート系の材料で構成した場合には、安定的な発電を行うために、当該固体電解質層2として200μm以上の厚さ寸法が必要であると考えられており、より一層の発電性能の向上を図るうえでの制限になっていた。
そこで、先に本発明者等は、下記特許文献1において、両面に燃料極層および空気極層の各電極層を配した固体電解質層の少なくとも一方の面に、相互に交差する線状の凸部を複数形成し、これら凸部により全面を複数に区画した発電セルを提案した。
かかる発電セルによれば、上記凸部によるコルゲート効果によって、固体電解質の機械的強度を高めることができるために、発電セルの耐割れ性を向上させることができる。
特開2008−218275号公報
しかしながら、上記従来の発電セルにあっては、従来の厚さ寸法が200μm以上の固体電解質層に対しては、相応の効果を得ることができるものの、発電性能を向上させるために、当該固体電解質層2の厚さ寸法を50μm以下にした場合には、これに応じて凸部の高さ寸法も十分に確保することができず、よって期待される機械的強度の向上効果にも限度があるという問題点がある。
また、特に固体電解質層2の厚さ寸法を薄くしようとする場合には、製造上、上記凸部を形成すること自体、難しいという問題点もある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ランタンガレート系の材料からなる固体電解層を、割れを生じることなくその厚さを従来よりも飛躍的に薄くすることができ、よって発電効率を一段と向上させることが可能になる燃料電池の発電セルを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係る燃料電池の発電セルは、平板状のランタンガレート系の固体電解質層の一方の面に、上記固体電解質層よりも厚さ寸法が大きく、かつ水素ガスが透過可能な多孔質のNi−YSZからなる燃料極層兼支持体を一体に形成し、他方の面に酸化剤極層を一体に形成してなることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記固体電解質層の厚さ寸法を、1〜50μmの範囲としたことを特徴とするものであり、さらに請求項3に記載の発明は、上記固体電解質層の厚さ寸法を、10〜30μmの範囲としたことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記燃料極層の厚さ寸法を、0.4〜1.5mmの範囲としたことを特徴とするものである。
請求項1〜4のいずれかに記載の発明においては、上記Ni−YSZの燃料極層兼支持体が、専ら支持体として発電セルとしての機械的強度を担い、当該燃料極層兼支持体の表面に、ランタンガレート系の固体電解質層が形成されている構成になる。
このため、Ni−YSZの機械的強度がランタンガレート系の材料よりも大きいことと相俟って、従来よりも発電セルとしての強度を大幅に向上させることができる。この結果、固体電解質層を構成するランタンガレートの厚さ寸法を従来よりも飛躍的に薄くすることができ、よって発電効率を一段と向上させることが可能になる。
加えて、上記燃料極層兼支持体は、水素ガスが透過可能な多孔質のNi−YSZによって構成されているために、固体電解質層内を透過拡散移動して上記燃料極層兼支持体との界面近傍に到達した酸化物イオンを、当該燃料極層兼支持体において円滑に水素ガスと反応させて反応生成物を生じさせることができ、よって従来と同様に燃料極としての機能も円滑に果たすことができる。
なお、上記固体電解質層の厚さ寸法は、上述したように小さくなるほど、セル電圧が高くなる傾向にあるが、過度に上記厚さを薄くすると、当該固体電解質層内のマイクロポアを介して酸化剤極側から燃料極側に酸素ガスが移動して水素ガスと燃焼反応を生じ、発電反応に使用される水素ガスの量が減少する結果、セル電圧の低下を招来するおそれがある。このため、上記固体電解質層の厚さ寸法としては、請求項2に記載の発明のように、1〜50μmの範囲が好ましく、さらに請求項3に記載の発明のように、10〜30μmの範囲とすることが一層好適である。
また、上記燃料極層兼支持体の厚さ寸法は、大きくなる程上記支持体としての機能を奏することができるものの、反面、流路抵抗の増加が避けられないために発電性能は低くなる傾向にある。また、過度に厚くなると、割れ防止のための機械的強度の確保の観点からはオーバースペックになり、燃料スタック全体の長さ寸法が不要に増加することになる。したがって、上記燃料極層兼支持体の厚さ寸法は、請求項4に記載の発明のように、0.4〜1.5mmの範囲が好ましい。
本発明に係る燃料電池の発電セルの一実施形態を示す縦断面図である。 従来の燃料電池の発電セルを示す縦断面図である。 従来の燃料電池スタックの要部を示す一部分解視した斜視図である。 本発明の実施例1における実験結果を示す図表である。 本発明の実施例2における実験結果を示す図表である。 本発明の実施例3における実験結果を示す図表である。 本発明の実施例4における実験結果を示す図表である。 本発明に対する比較例として従来の発電セルを用いた実験結果を示す図表である。
図1は、本発明に係る燃料電池の発電セルの一実施形態を示すものである。
この発電セル10においては、燃料極層兼支持体11として、多孔質のNi−YSZ、より具体的には、NiO2−8YSZが用いられている。また、この燃料極層兼支持体11は、0.4〜1.5mmの範囲の厚さ寸法に形成されている。
そして、この燃料極層兼支持体11の表面に、固体電解質層12が一体に形成されている。この固体電解質層12は、(LaSr)(GaMg)O3、(LaSr)(GaMgCo)O3、(LaSr)(GaMgNi)O3、(LaSr)(GaMgFe)O3等の高い酸素イオン伝導性を有するランタンガレート系(LaGaO3系)材料によって形成されている。
より詳細には、例えば、LaGaO3のうち、Laの一部がSrに置換し、Gaの一部がMgに置換し、Gaの一部がCoに置換することにより、組成式La1-xSrxGa1-y-zMgyCoz3(atomic比:x=0.050〜0.300、y=0.050〜0.300、z=0.000〜0.080)で示されるランタンガレートによって形成されている。
また、この固体電解質層12は、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは10〜30μmの範囲の厚さ寸法に形成されている。
そして、この固体電解質層12の表面に、La(Sr)Co(Fe)O3(ランタン鉄コバルタイト)、あるいはSmSrCoO3(サマリウムコバルタイト)等からなる空気極層(酸化剤極層)13が形成されている。ちなみに、この空気極層13は、固体電解質層12の表面に5〜20μmの厚さ寸法で形成されている。
次に、上記構成からなる発電セル10の製造方法について説明する。
先ず、平均粒径2μmのNiO2(酸化ニッケル)と平均粒径1μmの8YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)の粉を、重量比率で40%:60%になるように秤量した。そして、これらをプラスチック製の容器に入れ、混合溶剤としてトルエンとブタノールを加えて、24時間のボールミル混合を実施した。
次いで、この混合物に、バインダーとしてポリビニルブチラート(PVB)と可塑剤であるフタル酸ジブチルを加えて再度3時間の混合を実施した後に、得られたスラリーをドクターブレード法によりペットフィルム上にシートを成形し、室温で乾燥させて厚さ寸法が1.2mmのグリーンシートを成膜した。
次に、上記グリーンシートを、約150mmφの円板に切り出し、アルミナ製のセッターに挟んで電気炉内において1150℃で焼成し、直径120mmφのNiO2−YSZからなる上記燃料極層兼支持体11を作成した。
その後、上記燃料極層兼支持体11の一方の面に、中間層として、Ce0.9Gd0.12およびNiO2の粉を各々重量比率で95%:5%で含むペーストを、スクリーン印刷によって2〜3μmの厚さに塗布して印刷を行い、60℃で1時間乾燥した。
次いで、上記中間層の表面に、固体電解質層12として、平均粒径1μmのランタンガレートの粉を含むペーストを、スクリーン印刷で50μmの膜厚に塗布し、60℃で1時間乾燥した。その後、これをアルミナ製のセッターに挟んで電気炉内において1400℃で3時間焼成することにより、燃料極層兼支持体11の一方の表面に、セリア−Ni層を中間層とした薄膜のランタンガレートからなる固体電解質層12が一体形成されたものを作製した。
次に、上記固体電化質12の露出表面に、Sm0.5Sr0.5Co2.753(サマリウムコバルタイト)を含むペーストをスクリーン印刷で30μmの膜厚に塗布し、60℃で1時間乾燥した後に、アルミナ製のセッターに挟んで、電気炉において1100℃で3時間焼成することにより、上記空気極層13を一体に形成した。
以上の構成からなる発電セル10においては、Ni−YSZの燃料極層兼支持体11が、専ら発電セル10における支持体として機械的強度を担い、この燃料極層兼支持体11の一方の面に、薄膜のランタンガレート系の固体電解質層12を形成しているため、Ni−YSZの機械的強度がランタンガレート系の材料よりも大きいことと相俟って、従来よりも発電セル10としての強度を大幅に向上させることができる。この結果、固体電解質層12を構成するランタンガレートの厚さ寸法を、例えば50μm以下といった従来よりも飛躍的に薄くすることができ、よって発電効率を一段と向上させることが可能になる。
加えて、燃料極層兼支持体11は、水素ガスが透過可能な多孔質のNi−YSZによって構成されているために、固体電解質層12内を透過拡散移動して燃料極層兼支持体11との界面近傍に到達した酸化物イオンを、この燃料極層兼支持体11において円滑に水素ガスと反応させて反応生成物を生じさせることができ、よって従来と同様に燃料極としての機能も円滑に果たすことができる。
上述した製造方法と同一の方法によって、以下の実施例1〜4において示す本発明に係る発電セルを製作した。また、従来の方法によって下記の比較例で示す従来の発電セルを製作した。そして、これらの発電セルを用いて発電実験を行い、発電セルの電圧を測定した。また、各々の発電セルに対して、固体電解質におけるマイクロポアの多さを観察するとともに、外径120mmの発電セルに対して、支店間距離を80mmの一定として中心部を破壊することにより、3点曲げ破壊強度を測定した。
(発電試験方法)
各々の発電セルに対して、空気極集電体として120mmφの発泡銀を用い、燃料極集電体として120mmφの発泡ニッケルを用い、セパレータとして120mmφのステンレスに銀めっきを施したものを用いて単セルを組み立てた。そして、各単セルについて、燃料ガスとして水素ガスを0℃基準で570ml/minの流量で供給するとともに、酸化剤ガスとして空気を0℃基準で2.8l/minの流量で供給しつつ、750℃で発電試験を実施した。
この際に、上記セパレータからの配線を、電子負荷装置に接続して電流を流し、電流密度を0.54A/cm2、燃料利用率75%、空気利用率38%での各発電セルの電圧を測定した。
(実施例1)
実施例1においては、Ni−8YSZからなる燃料極層兼支持体の厚さ寸法を、0.7mmと一定にして、固体電解質層であるランタンガレートの膜厚を1μm〜50μmに変化させた場合の発電性能および機械的強度を測定した。
図4は、その結果を示すものである。
ランタンガレートの膜厚が1μmと薄い場合に、基準条件である750℃、電流密度0.54A/cm2、燃料利用率75%におけるセル電圧は、0.75Vであり、より膜厚が厚い場合と比較して、若干低い値となった。これは、固体電解質層にマイクロポアが多く存在しているために、当該固体電解質層を介して空気極側から燃料極側に酸素ガスが移動し、燃料極側の水素ガスと燃焼反応を起こした結果、発電反応に使用される水素ガス量が減少したことに起因するものと思われる。
そして、上記ランタンガレートの厚さ寸法が、20μmである場合が、発電セルの電圧が0.85Vと最も高くなることが判った。これに対して、上記厚さ寸法を50μmにした場合には、再び発電セルの電圧が0.81Vと低下している。これは、固体電解質層12が厚くなると、マイクロポアの数が少なくなり、この結果上述した燃焼反応は起き難くなるものの、当該固体電解質層の抵抗値が増加するために、性能低下になったものと考えられる。
以上のことから、図4の結果によれば、固体電解質層の厚さ寸法を、10〜30μmの範囲とすることが好適であることが判明した。
(実施例2)
実施例2においては、固体電解質層であるランタンガレートの膜厚を20μm、Ni−8YSZからなる燃料極層兼支持体の厚さ寸法を0.7mmと一定にして、ランタンガレート中のCo(コバルト)量を、Co0.00〜Co0.10に変化させた場合の発電性能および機械的強度を測定した。
図5は、その結果を示すものである。
一般に、コバルトは、ランタンガレートのドウパントとして、600〜800℃の比較的温度の低い領域において、イオン伝導度を増加させる役割を持っている。しかしながら、コバルトの量が多くなり過ぎると、ランタンガレートの電子伝導性やホール伝導性も高くなり、この結果酸化物イオンのみならず電子等も通し易くなることから、イオン伝導体としての性能が極端に低下してしまう不具合がある。このため、ドウパントとして添加するコバルトは、固体電解質層の厚さの変化に応じて適正な添加量を選択する必要がある。
図5の結果によれば、コバルトの添加量が無いCo0.00および添加量が少ないCo0.01において、最も高いセル電圧を示した。
なお、このコバルトの添加量を変化させた場合の燃料極層兼支持体の破壊強度は、いずれも48〜58Nであり、大きな変化はなかった。
(実施例3)
実施例3においては、固体電解質層であるランタンガレートの膜厚を20μm、コバルト量をCo0.01の一定とし、Ni−8YSZからなる燃料極層兼支持体の厚さ寸法を、0.3〜1.5mmに変化させた場合の発電性能および機械的強度を測定した。
図6は、その結果を示すものである。
発電セルにおいて支持体としても機能する燃料極層兼支持体の厚さ寸法を1.5mmと厚くすると、3点曲げにより破壊強度は260Nと非常に高くなり、割れに難いものになるのに対して、上記厚さ寸法を0.3mmにすると、上記破壊強度は9Nに低下して、簡単に割れを生じてしまうことが判る。
これまでの上記燃料電池の開発の経緯から、上記機械的強度の観点から、発電セルとして起動・停止に伴う昇温・降温を繰り返しても割れを生じないためには、少なくとも20N程度が必要と考えられる。このため、図6から判断すれば、上記燃料極層兼支持体の厚さ寸法は、少なくとも0.4mmは必要である。他方、発電性能としては、上記燃料極層兼支持体の厚さ寸法が小さい程、高くなる傾向にある。
したがって、上記燃料極層兼支持体の厚さ寸法は、0.4〜1.5mmに設定することが好ましい。
(実施例4)
実施例4では、上記ランタンガレートの膜厚を30μm、Ni−8YSZからなる燃料極層兼支持体の厚さ寸法を、0.1mmと一定にして、ランタンガレートの組成を変化させた場合の発電性能および機械的強度への影響を調査した。図7は、その結果を示すものである。
実施形態において述べたように、ペロブスカイト型の結晶構造を持つランタンガレートの基本組成はLaGaO3であるが、イオン伝導度を高めるために、Laサイトの一部をSr(ストロンチウム)に、Gaサイトの一部をMg(マグネシウム)とCo(コバルト)で置換してある。そこで、当該置換による影響を調査したが、図7に見られるように、SrやMgのドウパント量の変化により、多少発電性能に差は生じるものの、実用上は殆ど影響が無いことが判った。また、3点曲げによる破壊強度についても、燃料極層兼支持体の厚さ寸法が一定であるために、106〜129Nと極端な差は見られなかった。
(比較例)
比較例においては、図2に示したものと同様の固体電解質層を支持体とし、この固体電解質層の厚さ寸法を100〜500μmに変化させた場合の発電セルの発電性能および機械的強度を測定した。なお、いずれの発電セルにおいても、上記固体電解質層の一方の面にNiとCe0.8Sm0.22の混合物からなる燃料極層(30μm)、他方の面にサマリウムコバルタイトからなる空気極層(30μm)を形成した。
その結果を示す図8から判るように、3点曲げによる破壊強度が、ランタンガレートの厚さ寸法が150μmの発電セルにおいて僅か6Nであり、220μmの発電セルにおいても12Nで割れを生じてしまった。また、上記厚さ寸法が500μmの発電セルでは、上記破壊強度が45Nと比較的高いものの、セル電圧が0.25Vと極端に低くなってしまった。これは固体電解質層が厚くなってしまった結果、電解質の抵抗値(IR抵抗)が大きくなったためと考えられる。
固体電解質型の燃料電池において、発電部分を構成するための発電セルとして利用される。
10 発電セル
11 燃料極層兼支持体
12 固体電解質層
13 空気極層

Claims (4)

  1. 平板状のランタンガレート系の固体電解質層の一方の面に、上記固体電解質層よりも厚さ寸法が大きく、かつ水素ガスが透過可能な多孔質のNi−YSZからなる燃料極層兼支持体を一体に形成し、他方の面に酸化剤極層を一体に形成してなることを特徴とする燃料電池の発電セル。
  2. 上記固体電解質層の厚さ寸法を、1〜50μmの範囲としたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の発電セル。
  3. 上記固体電解質層の厚さ寸法を、10〜30μmの範囲としたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の発電セル。
  4. 上記燃料極層兼支持体の厚さ寸法を、0.4〜1.5mmの範囲としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料電池の発電セル。
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