JP2014067562A - 固体酸化物形燃料電池及びそれを用いた発電方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池及びそれを用いた発電方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、アンモニアを燃料とした場合に、好適な燃料極を有する固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。すなはち、特にアノード支持型燃料電池とした場合、燃料極における高いアンモニア改質性能と耐久性を合わせ持ち、持続的に高い起電力を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも燃料極、空気極および固体電解質で構成される固体酸化物形燃料電池であって、該燃料極を形成する燃料極材料がセリア−希土類金属酸化物系固溶体またはセリア−アルカリ土類金属酸化物系固溶体であるセリア系酸化物(A)と、Ni,FeおよびCoよりなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物(金属酸化物(B))と、希土類金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物で安定化された酸化ジルコニウムであるジルコニウム系酸化物(C)とを含むアンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池及び、発電方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池及びそれを用いた発電方法に関する。詳しくは燃料としてアンモニアを用いた固体酸化物形燃料電池及びそれを用いた発電方法に関するものである。
近年、燃料電池はクリーンエネルギー源として注目されており、その用途は家庭用発電から業務用発電、更には自動車用発電などを主体にして急速に改良研究および実用化研究が進められている。
固体酸化物形燃料電池の代表的な構造は、平板状固体電解質の片面側に燃料極(アノード)、他方面側に空気極(カソード)を設けた電解質支持型セルを縦方向に多数積層したスタックが基本であり、燃料電池の発電性能を高めるには、固体電解質を緻密且つ薄肉化することが有効とされている。ちなみに固体電解質には、発電源となる燃料ガスと空気の混合を確実に阻止する緻密性と、導電ロスを極力抑えることのできる優れたイオン導電性が求められ、そのためには極力薄肉で且つ緻密質であることが求められる。しかも燃料電池は、燃料極(アノード)/固体電解質/空気極(カソード)を有するセルと、燃料ガスと空気を分離・流通させるためのセパレータとを交互に多数積層した構造のもので、固体電解質には大きな積層荷重がかかる、作動温度は700〜1000℃程度で相当の熱ストレスを受けるので、高レベルの強度と耐熱性が要求される。
この様な要求特性から、固体酸化物形燃料電池用固体電解質の素材としては主としてジルコニア主体のセラミックシートが使用されており、該シートの両面にスクリーン印刷などによって燃料極(アノード)と空気極(カソード)を形成したセルが使用されている。
しかし、電解質支持型セルでは、薄肉化するほど積層荷重によって割れを起こし易くなるため、薄肉化するにしても自ずと限界があり、したがってイオン導電ロスの低減にも限界がある。
そこで、薄肉の固体電解質とするための手段として、固体電解質を支持する燃料極支持基板が配置された、いわゆる、アノード支持型セルが提案されている。すなわち、多孔質の燃料極支持基板に燃料極(アノード)をスクリーン印刷によって形成し、その上に固体電解質膜をコーティング等で形成した後、更にその上に空気極(カソード)をスクリーン印刷などによって形成する方法を採用することにより、固体電解質膜を一段と薄肉化し、導電ロスを更に低減させるものである。
燃料極支持基板は、通電のための導電性を有すると共に、発電源となる燃料ガスと空気、或は燃料の酸化によって生成する排ガス(水蒸気など)を通過・拡散させ得るよう多孔質のセラミック材によって構成されるが、導電性に加えて、多孔質形状であることに起因する耐クラック性や耐衝撃性を向上することが求められている。
一方、アンモニアを燃料として用いた固体酸化物形燃料電池も提案されている。アンモニアを燃料とした場合には、燃料極において、アンモニアが分解して水素と窒素が生成し、固体電解質を通過した酸素イオンが生成した水素と反応して電子を放出し、電子は外部回路を通って空気極に移動することになる。したがって、アンモニアを燃料とする場合には、燃料極にてアンモニアを効率的に分解する必要がある。そこで、燃料極材料の電極触媒としてニッケル、コバルト、鉄などを用い、かつ、アンモニア分解触媒としてモリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケルなどを用いたものが提案されている(特許文献1)。
特開2011−204416号公報
アノード支持型セルの性能に重大な影響を及ぼす問題点として、高温条件下で稼動と中断を繰り返したとき、支持基板にクラックや割れを生じるおそれがある。その理由には次の様なことが考えられる。
1)燃料極支持基板は、燃料電池としての稼動時に600〜1000℃程度の高温条件下で水素などの燃料ガスにより還元性雰囲気に曝され、中断時には外部からの空気の流入によって酸化性雰囲気に曝される。そして、酸化・還元の繰返しにより燃料極支持基板の構成素材が状態変化を生じて内部歪みや素材劣化を起こし、これがクラックや割れを起こす原因になる。
2)燃料極支持基板における導電成分を構成する素材として酸化ニッケルなどを使用した場合、酸化ニッケルは還元性雰囲気で還元され金属ニッケルとなって導電性を示すが、その時に約40体積%程度収縮する。逆に酸化性雰囲気では再び酸化されて酸化ニッケルに変化し、金属ニッケルが酸化ニッケルに酸化されるときに約40%の体積膨張を起こす。該状態変化に伴う膨張・収縮の繰返しによって内部歪みが助長されると共に、この変化は基板の構造強度を支配する骨格成分の強度にも悪影響を及ぼし、クラックや割れの発生を助長する。
3)さらに、アンモニアを燃料として、アノード支持型セルの燃料電池においては使用した場合、燃料極(アノード)において、アンモニアが分解して水素と窒素が生成する。この分解反応が大きな吸熱反応であるため、燃料極支持基板に内部歪みが発生するおそれがあり、これによりクラックや割れの発生が助長される。
従って、燃料電池として実用可能な性能を保証するには、燃料極支持基板として上記1)、2)、3)に示したような基板を構成する組成物の酸化・還元および熱ひずみに伴うクラックや割れの発生を可及的に防止することが極めて重要となる。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、下記技術を見出し、発明を完成するに至ったものである。
第一発明は、少なくとも燃料極、空気極および固体電解質で構成される固体酸化物形燃料電池であって、該燃料極を形成する燃料極材料がセリア−希土類金属酸化物系固溶体またはセリア−アルカリ土類金属酸化物系固溶体であるセリア系酸化物(A)と、Ni,FeおよびCoよりなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物(金属酸化物(B))と、希土類金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物で安定化された酸化ジルコニウムであるジルコニウム系酸化物(C)とを含むことを特徴とするアンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池である。
第二発明は、固体酸化物形燃料電池がアノード支持型燃料電池であり、前記燃料極の厚みが0.2mm〜3mmの範囲内であるアンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池である。なお、本発明のアノード支持型燃料電池において、燃料極とは、燃料極支持基板と該基板に積層されて形成された燃料極層が一体化したものである。
第三発明は、該固体酸化物形燃料電池の燃料極にアンモニアを導入し、かつ、空気極に空気を導入することを特徴とする発電方法である。
アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池、特にアノード支持型セルの燃料電池において、燃料極が高いアンモニア分解性能を持つとともに、高温で且つ酸化性雰囲気と還元性雰囲気に交互に曝される苛酷な条件で使用した場合でも、クラックや割れなどを生じることのない優れた耐久性と強度特性を備え、初期発電性能及び発電性能の持続性に優れた燃料電池を提供できる。
本発明の特徴である燃料極は、燃料極支持基板と積層された燃料極層が一体化されたものであり、前記のとおり、優れたアンモニア分解性能、優れた導電性と十分なガス通過・拡散性を有すると共に、卓越した耐久性を有するものでなければならず、この様な要求を満足できる燃料極の具体的構成について説明していく。
本発明における燃料極、すなはち、燃料極支持基板および燃料極層を形成する燃料極材料は、燃料であるアンモニアを分解して水素に変換するアンモニア分解触媒成分と、導電性を与えるための導電成分と、燃料極の骨格成分を主たる構成素材とする。該アンモニア分解触媒成分および導電成分は、還元性雰囲気下で燃料極にアンモニア分解性能と電子導電性を与える上で必須の成分であり、還元性雰囲気下でアンモニア分解性能と電子導電性が大きくなるセリア−希土類金属酸化物系固溶体(CeO/RO1.5)またはセリア−アルカリ土類金属酸化物系固溶体(CeO/MO)であるセリア系酸化物(A)と、還元性雰囲気下で金属に還元され、アンモニア分解性能を発揮するとともに、ジルコニア系酸化物(C)と反応してサーメットを形成するNi,FeおよびCoよりなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物(金属酸化物(B))である。
前記セリア系酸化物(A)を構成する固溶体(CeO/RO1.5)のRで示される希土類金属としては、Y,La,Pr,Sm,Gdなどが例示され、これら希土類金属の酸化物が添加・固溶されたイットリアドープセリア、ランタナドープセリア、プラセアドープセリア、サマリアドープセリア、ガドリアドープセリアなどが好ましく使用される。また、(MO)のMで示されるアルカリ土類金属としてはCa,Srなどが例示され、これらアルカリ土類金属の酸化物が添加・固溶されたカルシアドープセリアやストロンチアドープセリアなどが好ましく使用される。これらの固溶体はそれぞれ単独で使用し得るほか、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
前記固溶体を構成する金属酸化物のセリアへの好ましい置換比率は、セリア−希土類金属酸化物系固溶体の場合、Ce/Rの原子比で0.65〜0.9/0.1〜0.35の範囲内、より好ましくは0.7〜0.8/0.2〜0.3の範囲内、セリア−アルカリ土類金属酸化物系固溶体の場合、Ce/Mの原子比で0.75〜0.95/0.05〜0.25の範囲内、より好ましくは0.8〜0.9/0.1〜0.2の範囲内である。
セリア系酸化物(A)として用いられる上記固溶体の中でも特に好ましいのは、イットリアドープセリア、サマリアドープセリア、ガドリアドープセリアであり、それらの好ましい組成は(CeO0.8(YO1.50.2、(CeO0.7(SmO1.50.5、(CeO0.8(GdO1.50.2である。
前記金属酸化物(B)としては、還元性雰囲気下で金属に還元され、アンモニア分解性能を発現するとともに、ジルコニア系酸化物(C)と反応してサーメットを形成する酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルトが単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
本発明における燃料極材料のもう一つの構成成分であるジルコニア系酸化物(C)は、燃料極および燃料極支持基板として必要な強度、特に耐積層荷重強度や耐久性を確保する上で重要な骨格成分であり、電解質との熱膨張を極力一致させるため、希土類金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物で安定化された酸化ジルコニウムが使用される。好ましい具体例としては、Sc,Y,Ceなどの希土類金属の酸化物2.5〜15モル%で安定化されたジルコニアや、Mg,Caなどのアルカリ土類金属の酸化物5〜20モル%で安定化されたジルコニアが挙げられ、これらは必要により2種以上を併用することも可能である。該安定化ジルコニアの中でも特に好ましいのは、3〜6モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(YSZ),4〜6モル%のスカンジアで安定化されたジルコニア(ScSZ)である。
本発明の燃料極における燃料極支持基板と燃料極層は、それぞれ、上記セリア系酸化物(A)と金属酸化物(B)を適正比率で併用すると共に、適量のジルコニア系酸化物(C)と併用することが極めて重要となる。
まず、前記セリア系酸化物(A)と金属酸化物(B)を併用する理由は下記の通りである。
本発明の燃料極のアンモニア分解性能と電子導電性を付与する成分として使用される金属酸化物(B)は、稼動時に還元性雰囲気で還元されて金属となるが、該燃料極は発電停止時には酸化性雰囲気に曝されるため、そのとき該金属は酸化されて金属酸化物となって20〜40%程度体積膨張を起こす。
一方セリア系酸化物(A)は、前記ジルコニア系酸化物(C)よりも1桁近く大きい酸素イオン導電性を有していることから、従来より、ジルコニア系酸化物に代わる電解質材料としての使用が検討されている。ところがセリア系酸化物(A)を電解質として使用する場合には、電解質の燃料極側でCeイオンが還元されてイオン半径が増大するためと考えられる還元膨張を起こし、セルの破壊に繋がり易いといわれている。即ち、還元膨張するということは、逆にいえば酸化時には収縮することになる。
そこで本発明ではこうした現象を踏まえて、酸化時に大きく体積膨張を起こす金属酸化物(B)の近傍に、酸化時に収縮するセリア系酸化物(A)を存在させ、(酸化性雰囲気)と(還元性雰囲気)間の繰り返しに伴う(膨張)と(収縮)間の繰り返しを相殺または緩和させることができるので、酸化・還元の繰り返しによる歪やクラックの発生を抑制するところに大きな特徴を有している。
また、燃料としてアンモニアを使用する場合には、燃料極において、アンモニアを分解して水素に変換する必要がある。前記金属酸化物(B)は、稼動時に還元性雰囲気で還元されて金属となることによりアンモニア分解触媒としての機能を発現するものである。この時にセリア系酸化物(A)と組み合わせることにより、担体効果により、アンモニア触媒としての性能が向上するとともに、燃料電池の稼働と停止時の温度変化や酸化還元の繰り返しが原因として発生する粒子凝集が抑制されることにより、安定した触媒性能を保持することができる。
本発明の燃料極を形成する燃料極材料におけるセリア系酸化物(A)と金属酸化物(B)とジルコニア系酸化物(C)の割合は前記の効果が発揮される範囲で適宜配合することができるが、セリア系酸化物(A)の割合が5質量部〜40質量部、金属酸化物(B)の割合が15質量部〜65質量部およびジルコニウム系酸化物(C)の割合が20質量部〜50質量部の範囲内であることが好ましい。これらの割合は、(A)、(B)および(C)が有効に作用するための各の存在割合であり、詳しくは下記の通りである。
燃料極材料におけるセリア系酸化物(A)が5質量部を下回る場合は、酸化時の体積収縮が充分でなくなり、金属酸化物(B)の体積膨張によって生じる歪を十分に緩和・低減できなくなり、クラックを起こし易くなるおそれがあり、また、燃料極でのアンモニア分解性能が十分でないおそれがある。一方、セリア系酸化物(A)が40質量部を超えると、燃料極の機械的強度が低下傾向を示すようになる。こうした傾向を考慮して、燃料極材料におけるセリア系酸化物(A)のより好ましい配合量は10質量部〜40質量部、さらに好ましくは15質量部〜35質量部である。
燃料極材料における金属酸化物(B)が15質量部未満では、燃料極としての導電率が不足気味となり、また、アンモニア分解性能も低くなる。一方、65質量部を超えると、酸化時の体積膨張が大きくなり過ぎて、セリア系酸化物(A)の体積収縮では膨張による歪の緩和・抑制効果が不十分となり、クラック防止作用が不足気味となる。こうした観点から、金属酸化物(B)のより好ましい含有率は20質量部〜65質量部、更に好ましくは25質量部〜55質量部である。
こうしたセリア系酸化物(A)、金属酸化物(B)の併用効果をより一層有効に発揮させるには、セリア系酸化物(A)粉末と金属酸化物(B)粉末をボールミル等で予備混合し、セリア系酸化物(A)粉末に金属酸化物(B)粉末を分散・担持させておくことが望ましい。
また、セリア系酸化物(A)粉末に、金属酸化物(B)となる前駆体化合物を予め分散・担持させておくことも有効である。つまり、セリア系酸化物(A)粉末に、金属酸化物(B)となる前駆体化合物、例えば熱分解などにより金属酸化物となる金属の有機もしくは無機化合物の溶液を含浸もしくは付着させ、乾燥後に熱分解することによって、セリア系酸化物(A)粉末に金属酸化物(B)を担持させる方法も有効に活用できる。
燃料極材料におけるジルコニウム系酸化物(C)の配合割合が50質量部を超えると、燃料極の耐積層荷重強度や耐久性などは向上するものの、導電性やアンモニア分解性能が不足となって満足な発電性能が得られ難くなり、逆にジルコニウム系酸化物(C)の配合割合が20質量部未満では、燃料極の耐積層荷重強度や耐久性が乏しくなる。強度特性や耐クラック性、導電性を何れも満足せしめる上でより好ましい含有率は、ジルコニウム系酸化物(C)の配合割合は、25質量部〜45質量部、更に好ましくは30質量部〜40質量部である。
本発明における燃料極支持基板には、燃料としてのアンモニアや空気、あるいは水蒸気や未燃焼ガスといったガスを通過・拡散させるための気孔が必要であり、これらガスを低圧損下に円滑に通過・拡散させるには、基板としての気孔率が酸化性雰囲気下で20%以上の範囲内でなければならない。燃料極基板の気孔率が20%未満では、該ガスが通過・拡散不足となり、発電効率の低下を招く恐れがある。しかも燃料極支持基板内に存在する気孔は、セリア系酸化物(A)、金属酸化物(B)の併用による膨張・収縮緩和効果では完全に阻止することのできない膨張・収縮が起こったときに、気孔部が膨張・収縮の逃げ空間となって内部応力の増大を緩和する機能を発揮し、耐久性の一層の向上に寄与する。こうした点も考慮すると、より好ましい気孔率は酸化性雰囲気下で25%以上、更に好ましくは酸化性雰囲気下で30%以上である。
但し、気孔率が大きくなり過ぎると、燃料極支持基板としての耐積層荷重強度や耐熱衝撃性、耐熱ストレス性が低下し、スタックとして組付けたときの積層荷重などで燃料極支持基板が割れたり、クラックを生じ易くなり、あるいは更に、金属酸化物(B)の分布状態が疎となってアンモニア分解性能や導電性不足になる傾向が生じてくるので、高くとも酸化性雰囲気下で50%以下、好ましくは45%以下、更に好ましくは40%以下に抑えるのがよい。
本発明における燃料極支持基板は、全体として均一なガス通過・拡散性を示すものがよく、そのためには基板全体に亘る気孔の分布状態が均一であることが望ましく、且つ気孔の好ましい平均径は3μm〜20μmの範囲内である。ちなみに、気孔の平均径が3μm未満ではガス通過・拡散性不足したり、前記膨張・収縮の逃げ空間が不足気味となり、前記気孔率不足の場合と同様の問題を生じることがあり、逆に平均径が大き過ぎると、気孔率過剰の場合と同様に強度劣化や導電性不足になる傾向が生じてくるので、20μm以下に抑えるのがよい。気孔のより好ましい平均径は5μm以上〜15μmの範囲内である。
なお、前記支持基板の気孔率は、自動ポロシメーターによって求めることができ、また気孔の平均径は、たとえば支持基板の縦断面のSEM写真からノギス等を用いた実測によって求めることができる。また、支持基板としての上記気孔率や気孔の平均径は、アノード支持基板の製造に用いる気孔形成剤の種類や配合量、(A),(B),(C)原料粉末の粒度構成や基板の前駆体となるグリーンシート等を焼成する際の温度などによって調整することができる。
本発明における燃料極支持基板は、前記セリア系酸化物(A)および金属酸化物(B)にあらかじめ気孔形成剤に含有させておき、この粉末とジルコニウム系酸化物(C)とを、バインダーと溶剤、および必要により分散剤や可塑剤などと共に均一に混合してスラリー状とし、これをドクターブレード法、カレンダーロール法、押出し法などの方法で平滑なシート(例えばポリエステルシートなど)上に所定な厚みで敷き延べ、乾燥して溶剤を揮発除去することによりグリーンシートを得る。
ここで用いられる気孔形成剤としては、上記グリーンシートの焼成条件下で焼失するものであれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル系樹脂等からなる架橋微粒子、天然有機質粉体、メラミンシアヌレートなどの熱分解性もしくは昇華性の樹脂粉体、カーボンブラックや活性炭などの炭素質粉体などが使用される。これら気孔形成剤粉体の形状は、5m/g以上の比表面積を有するものが望ましく、孔や細孔を有するものが好ましい。該気孔形成剤の粒径は、レーザー回折式粒度分布計で測定される平均粒径として0.5〜100μm範囲内が好ましい。
前記グリーンシートを製造する際に用いるバインダーの種類は特に限定されず、有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系またはメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロース類などが例示される。
前記原料粉末[セリア系酸化物(A)、金属酸化物(B)、ジルコニウム系酸化物(C)および気孔形成剤の総和]とバインダーの使用比率は、原料粉末100質量部に対して、バインダー5〜30質量部の範囲内、より好ましくは10〜20質量部の範囲内が好適である。
前記グリーンシート製造用スラリーの調製に当たっては、前記セリア系酸化物(A)、金属酸化物(B)を含有せしめた気孔形成剤やジルコニウム系酸化物(C)を、バインダー成分や、必要により分散剤、可塑剤、更には界面活性剤や消泡剤などと共に均一に混合し、均一分散状態のスラリーとする。
本発明の燃料極を形成する燃料極材料のセリア系酸化物(A)、金属酸化物(B)の原料粉末は、平均粒子径が0.1〜15μmの範囲内で90体積%の粒径が30μm以下の粉末、より好ましくは平均粒子径が0.3〜3μmの範囲内で90体積%の粒径が20μm以下、更に好ましくは平均粒子径が0.5〜1.5μmの範囲内で90体積%の粒径が10μm以下のものが好ましい。また、ジルコニウム系酸化物(C)の原料粉末は、平均粒子径が0.1〜3μm範囲内で90体積%の粒径が6μm以下、より好ましくは平均粒子径が0.1〜1.5μmの範囲内で90体積%の粒径が3μm以下、更に好ましくは平均粒子径が0.2〜1μmの範囲内で90体積%の粒径が2μm以下のものが好ましい。
本発明における燃料極支持基板は、前記原料粉末とバインダーおよび分散媒からなるスラリーを、ドクターブレード法、カレンダー法、押出し法等によって支持板やキャリアシート上に所定の厚さとなる様に敷き延べてシート状に成形し、これを乾燥し分散媒を揮発させてグリーンシートを得、これを所定のサイズに打抜き加工した後、棚板上の多孔質セッターに載置し、あるいはセッターで挟持した状態で、空気雰囲気下に1200〜1450℃の範囲内、好ましくは1250〜1325℃範囲内で1〜5時間程度加熱焼成する方法が採用される。
本発明における燃料極支持基板のシート厚さは0.2mm〜3mmの範囲内、より好ましくは0.3mm〜1mmの範囲内である。
本発明における燃料極は、前記燃料極支持基板と積層された燃料極層が一体化されたものである。該燃料極層を形成するために燃料極材料は燃料極ペーストとして使用することが好ましい。具体的には、本発明のセリア系酸化物(A)、金属酸化物(B)、ジルコニウム系酸化物(C)の原料粉末を、エチルセルロース、ポリエチレングリコールなどのバインダー;エタノール、トルエン、α−テルピネオール、カルビトールなどの溶剤;グリセリン、グリコール、フタル酸ジブチルなどの可塑剤、更には必要に応じて配合される分散剤、消泡剤、界面活性剤、レベリング性向上剤、レオロジー調整剤などと共に、例えば、らいかい機、3本ロールミルや遊星ミルなどを用いて混練して、均一に混合された適度な粘度のペーストとする。
コーティングやディッピングによって燃料極層を形成する場合は、B型粘度計で1〜50mPa・sの範囲内、より好ましくは2〜20mPa・sの範囲内に調整するのがよい。スクリーン印刷により燃料極層を形成する場合の好ましいスラリー粘度は、ブルックフィールズ粘度計で50,000〜2,000,000mPa・sの範囲内、より好ましくは80,000〜1,000,000mPa・sの範囲内、更に好ましくは100,000〜500,000mPa・sの範囲内である。
前記燃料極ペーストは、例えばバーコーター、スピンコーター、ディッピング装置などにより燃料極支持基板上にコーティングし、或いはスクリーン印刷法などで薄膜状に製膜した後、40〜150℃の温度、例えば50℃、80℃、120℃の様な一定の温度、或いは順次連続的に昇温して加熱乾燥する。次いで、好適には1200〜1450℃で焼成し、燃料極支持基板と一体化して燃料極を形成する。この際、1300℃以上であれば焼結が十分に進み強固なサーメットが得られ十分な導電率を有する。一方、焼結温度を1450℃以下にすることにより、過度の焼結によるアンモニア分解活性や電子導電性の低下を十分に抑制することができる。このときの燃料極層の厚みは、10〜300μmの範囲内であり、好ましくは15〜100μmの範囲内、さらに好ましくは20〜50μmの範囲内である。
このようにして形成した本発明の燃料極は、厚みが0.2mm〜3mmの範囲内が好ましく、0.3mm〜1mmの範囲内がより好ましい。該燃料極の厚みが0.2mm未満では、燃料極の機械的強度が低下傾向を示すようになり、厚みが3mmを超えると、燃料極への燃料ガスの拡散速度が遅くなるおそれがある。
本発明における固体電解質は、公知のものを用いればよい。例えば、酸素イオン導電率が高い安定化ジルコニアもしくはランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物が選択される。安定化ジルコニアは、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウムから選択される少なくとも1種の酸化物を3〜15モル%固溶した安定化ジルコニアが好ましい。特に強度の面ではイットリウムが好ましく、導電性の面ではスカンジウムが好ましい。これらの添加量はジルコニウムに対して1〜10質量%範囲内でドープされ、好ましくは3質量%〜8質量%の範囲内でドープされたものである。
その結晶構造は、主体が正方晶系や主体が立方晶系、あるいは正方晶と立方晶との混晶であってもよく、9〜12モル%スカンジア安定化ジルコニア、8〜10モル%イットリア安定化ジルコニア、10〜13モル%イッテルビア安定化ジルコニアが特に好ましいものとして推奨される。また、ランタンガレート系電解質としては、LaGaOペロブスカイトを基本構造とし、そのランタンやガリウムの一部が、ストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、インジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅などで置換された、La1−XSrGa1−YMg3−δ、La1−XSrGa1−YMgCo3−δ、La1−XSrGa1−YFe3−δ、La1−XSrGa1−YNi3−δ、(0<X≦0.2、0<Y≦0.2、0<Z≦0.1、δは酸素欠損量である)が例示される。中でもLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23−δやLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.115Co0.0853−δが高い酸素イオン導電性を有するので特に好ましい。固体電解質の厚さは、特に限定されないが、要求される緻密性に合わせて3〜50μmの範囲内、好ましくは5〜40μmの範囲内とする。
本発明における空気極としては、電子導電性とイオン導電性の両方を有し、酸化雰囲気下でも安定なペロブスカイト形酸化物からなるものが一般的に用いられる。具体的には、La0.8Sr0.2MnO、La0.6Sr0.4CoO、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8等、ランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンマンガナイトや、ランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンフェライトやランタンコバルタイト等が、空気極材料として好ましい。また、空気極の酸素イオン導電性を高めるために、希土類などをドープしたセリアを適宜混合することもできる。
前記空気極は、前記燃料極材料と同様に、空気極ペーストとした上で、固体電解質上へ空気極を形成するために使用することができる。この際、電解質と空気極との間に絶縁物質が生成するのを防ぐために、反応防止層を設けてもよい。かかる反応防止層は、一般的に、希土類ドープセリアにより形成する。反応防止層と空気極は、個別に焼成を行ってもよいし、或いは燃料極と同時に焼成してもよい。
本発明にかかるアノード支持型燃料電池用の固体酸化物形燃料電池用セルは、本発明の燃料極と、固体電解質、空気極を積層して形成することにより得られるものである。例えば、燃料極と固体電解質のグリーンシートを積層して形成あるいは、燃料極上に固体電解質のスラリーをコーティングして形成、一体焼成後に、電解質側に空気極ペーストにより空気極を形成されることによりセルを製造することができる。
本発明にかかる固体酸化物形燃料電池の燃料極にアンモニアを供給し、かつ、空気極に空気を供給することにより発電することができる。燃料極に導入する燃料はアンモニアであり、アンモニアの濃度は100容量%であっても良いが、燃料極の反応に不活性なガスあるいは、水素と混合して使用することもできる。混合できる不活性なガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムであり、その混合量は特に限定されないが、燃料極に導入するガスに対して1〜50容量%の範囲内が好ましい。また、水素を混合する場合のその混合量は特に限定されないが、燃料極に導入するガスに対して1〜90容量%の範囲内が好ましく、更に好ましくは5〜50容量%の範囲内である。
空気極に導入するガス、酸素を含むものであれば何れのものであっても良く、酸素、空気を用いることができるが、空気極の反応に不活性なガスであれば酸素等と混合し使用することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1)
(燃料極の製造)
金属酸化物(B)として酸化ニッケル粉末(正同化学製、製品名:Green、平均粒子径:0.7μm、比表面積:3.5m/g)50質量部とセリア系酸化物(A)としてイットリアドープセリア粉末(セイミケミカル社製、(CeO0.8(YO1.50.2)15質量部、気孔形成剤粉末としてカーボンブラック5質量部が予備混合された混合粉末70質量部、ジルコニウム系酸化物(C)として3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素化学社製、商品名「HYS−3.0」)35質量部の合計105質量部に、バインダーとしてメタクリル系共重合体(分子量:80000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:45%)を固形分換算で12質量部、溶剤としてトルエン/イソプロパノール(質量部比;3/2)40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部を加え、ボールミルにより混練してから脱泡し、粘度調整して40ポイズのスラリーを得た。
このスラリーをドクターブレード法によりPETフィルム上に塗工し、塗工部に続く乾燥機(50℃、80℃、110℃の3ゾーン)を0.2m/分の速度で通過させて溶剤を蒸発・乾燥することにより、厚さが400μmのグリーンシートを作製した。
また、酸化ニッケル粉末(正同化学製)55質量部とイットリアドープセリア粉末(セイミケミカル社製)15質量部と3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素化学社製)30質量部を混合しエタノールを溶媒として、5mmφジルコニアボールが入ったボールミルで60回転/分で10時間湿式混合した後、これを乾燥、粉砕して燃料極材料(1)を得た。得られた燃料極材料粉体を反応管に充填し、アンモニア分解活性を測定した。
反応条件は、アンモニア40体積%、水蒸気45体積%、窒素15体積%の混合ガスを用いて、ガス空間速度30,000h−1、反応温度800℃、反応圧力0.101325MPa(常圧)の条件下で測定し、下記式によりアンモニア分解率を算出したところ、98%であった。
Figure 2014067562
前記の燃料極材料(1)100質量部に対して、バインダーとしてエチルセルロースを2質量部、溶媒としてα−テルピネオールを40質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート6質量部、分散剤としてのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤4質量部加え、3本ロールミルを用いて混練し、燃料極ペーストを得た。さらに、前記グリーンシート上に、該燃料極ペーストをスクリーン印刷にて厚さ20μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、燃料極層を形成し、燃料極グリーンシートを得た。
(アノード支持型ハーフセルの製造)
8モル%イットリウム安定化ジルコニア粉末(第一稀元素社製、商品名「HSY−8.0」、平均粒子径(D50)0.5μm、90体積%径(D90)0.9μm)60質量部、バインダーとしてエチルセルロースを5質量部、溶媒としてα−テルピネオールを40質量部、可塑剤としてジブチルフタレートを6質量部、分散剤としてソルビタン酸エステル系界面活性剤5質量部を混合した後、3本ロールミルを用いて混練し、電解質ペーストを得た。
前記燃料極グリーンシート上に前記電解質ペーストをスクリーン印刷により厚さ15μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させた。乾燥後、円形状に打抜き、1300℃で2時間焼成して直径90mmの円形のアノード支持型ハーフセル(1)を作製した。該ハーフセルより32mm×9mmで厚さが0.4mmの供試基板をJIS R−1601の方法に準拠して3点曲げ強度を測定した。結果を表1にしめす。
(空気極ペーストの製造)
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(セイミケミカル製、平均粒子径:0.5μm)80質量部と20モル%ガドリニアドープセリア(セイミケミカル製、平均粒子径:0.5μm)20質量部を混合し、さらにバインダーとしてエチルセルロースを2質量%、溶媒としてα−テルピネオールを30質量部加え、3本ロールミルを用いて混練し、空気極ペーストを得た。
(中間層ペーストの製造)
20モル%ガドリニアドープセリア(セイミケミカル製:Ce0.8Gd0.2、平均粒子径:0.5μm、比表面積:10m/g)に、ポリエチレングリコール(分子量300)35質量部加え、3本ロールミルを用いて混練し、中間層ペーストを得た。
(アノード支持型セルの製造)
前記アノード支持型ハーフセル上に前記中間層ペーストをスクリーン印刷により印刷し、100℃で30分間乾燥させた。さらに、この中間層の上に空気極ペーストをスクリーン印刷により印刷し、100℃で30分間乾燥させた。乾燥後、1000℃で3時間焼結することによって、本発明のアノード支持型セル(1)を得た。
(実施例2)
(燃料極の製造)
セリア系酸化物(A)としてイットリアドープセリア粉末にかえて、ガドリニアドープセリア粉末(セイミケミカル製、Ce0.8Gd0.2)15質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、厚さが400μmのグリーンシートを作製した。
また、酸化ニッケル粉末(正同化学製)55質量部とガドリニアドープセリア粉末(セイミケミカル製)15質量部と3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素化学社製)30質量部を用いて、実施例1と同様にして、燃料極材料(2)を得た。得られた燃料極材料粉体を実施例1と同様にして、アンモニア分解活性を測定してところ、アンモニア分解率は99%であった。
前記の燃料極材料(2)を用いて、実施例1と同様にして、燃料極層を形成し、燃料極グリーンシートを得た。
(アノード支持型ハーフセルの製造)
前記燃料極グリーンシート上に実施例1と同様の電解質ペーストを用いて、電解質層を形成して、アノード支持型ハーフセル(2)を作製した。該ハーフセルより32mm×9mmで厚さが0.4mmの供試基板をJIS R−1601の方法に準拠して3点曲げ強度を測定した。結果を表1にしめす。
(アノード支持型セルの製造)
前記アノード支持型ハーフセル(2)を用いて、実施例1と同様にして、本発明のアノード支持型セル(2)を得た。
(比較例1)
(燃料極の製造)
金属酸化物(B)として酸化ニッケル粉末(正同化学製)50質量部、気孔形成剤粉末としてカーボンブラック5質量部が予備混合された混合粉末55質量部、ジルコニウム系酸化物(C)として3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素化学社製、商品名「HYS−3.0」)50質量部の合計105質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、厚さが400μmのグリーンシートを作製した。
また、酸化ニッケル粉末(正同化学製)55質量部と3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素化学社製)45質量部を用いて、実施例1と同様にして、比較の燃料極材料(1)を得た。得られた燃料極材料粉体を実施例1と同様にして、アンモニア分解活性を測定してところ、アンモニア分解率は88%であった。
前記の比較の燃料極材料(1)を用いて、実施例1と同様にして、燃料極層を形成し、燃料極グリーンシートを得た。
(アノード支持型ハーフセルの製造)
前記燃料極グリーンシート上に実施例1と同様の電解質ペーストを用いて、電解質層を形成して、比較のアノード支持型ハーフセル(1)を作製した。該ハーフセルより32mm×9mmで厚さが0.4mmの供試基板をJIS R−1601の方法に準拠して3点曲げ強度を測定した。結果を表1にしめす。
(アノード支持型セルの製造)
前記比較のアノード支持型ハーフセル(1)を用いて、実施例1と同様にして、比較のアノード支持型セル(1)を得た。
(比較例2)
(燃料極の製造)
金属酸化物(B)として酸化ニッケル粉末(正同化学製)50質量部、気孔形成剤粉末としてカーボンブラック5質量部が予備混合された混合粉末55質量部、セリア系酸化物(A)としてイットリアドープセリア粉末(セイミケミカル社製、(CeO0.8(YO1.50.2)50質量部の合計105質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、厚さが400μmのグリーンシートを作製した。
また、酸化ニッケル粉末(正同化学製)55質量部とイットリアドープセリア粉末(セイミケミカル社製)45質量部を用いて、実施例1と同様にして、比較の燃料極材料(2)を得た。得られた燃料極材料粉体を実施例1と同様にして、アンモニア分解活性を測定してところ、アンモニア分解率は98%であった。
前記の比較の燃料極材料(2)を用いて、実施例1と同様にして、燃料極層を形成し、燃料極グリーンシートを得た。
(アノード支持型ハーフセルの製造)
前記燃料極グリーンシート上に実施例1と同様の電解質ペーストを用いて、電解質層を形成して、比較のアノード支持型ハーフセル(2)を作製した。該ハーフセルより32mm×9mmで厚さが0.4mmの供試基板をJIS R−1601の方法に準拠して3点曲げ強度を測定した。結果を表1にしめす。
(アノード支持型セルの製造)
前記比較のアノード支持型ハーフセル(2)を用いて、実施例1と同様にして、比較のアノード支持型セル(2)を得た。
(試験例)
実施例1、2および比較例1、2で得たアノード支持型セルについて、800℃で発電試験を行ない、I−Vカーブを測定した。すなわち、当該セルの燃料極側にニッケル網(80メッシュ)を、空気極側に白金網(80メッシュ)によりセル挟持し、さらに当該ニッケル網と白金網の両側に金属マニホルドを設け、燃料ガスとしてアンモニア(流量0.167L/min)、酸化剤ガスとして空気(流量0.250L/min)を供給した。測定に当たっては、電流測定器としてアドバンテスト社製の型番「TR6845」、電流電圧発生器としては高砂製作所社製の型番「GP016−20R」を使用した。発電試験開始時と400時間後の最大出力密度(W/cm)を求めた。結果を表1に示す。
本発明に係る燃料極を用いた実施例1および2では、最適な配合割合でセリア系酸化物(A)と金属酸化物(B)とジルコニウム系酸化物(C)から構成されているため、燃料極としての強度も高く、さらにアンモニア分解活性や耐久性にすぐれ、該燃料極を有する固体酸化物燃料電池は、初期の発電性能および耐久性に優れるものであった。一方、比較例1の燃料極は、セリア系酸化物(A)を配合していないため強度は高いものの、アンモニア分解活性や耐久性に劣るものであり、該燃料極を有する固体酸化物燃料電池の発電特性が低いものであった。また、比較例1の燃料極は、ジルコニウム系酸化物(C)を配合していないため、アンモニア分解活性は高く、初期の発電性能も高い結果となったが、セルの強度が低いため、耐久性に劣るものであり、該燃料極を有する固体酸化物燃料電池の発電持続性が低いものであった。
Figure 2014067562
本発明は、アンモニアを燃料として固体酸化物形燃料電池に用いることができ、更に本電池を用いて発電することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも燃料極、空気極および固体電解質で構成される固体酸化物形燃料電池であって、
    該燃料極を形成する燃料極材料がセリア−希土類金属酸化物系固溶体またはセリア−アルカリ土類金属酸化物系固溶体であるセリア系酸化物(A)と、Ni,FeおよびCoよりなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物(金属酸化物(B))と、希土類金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物で安定化された酸化ジルコニウムであるジルコニウム系酸化物(C)とを含むことを特徴とするアンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記燃料極材料中において、セリア系酸化物(A)が5質量部〜40質量部、金属酸化物(B)が15質量部〜65質量部およびジルコニウム系酸化物(C)が20質量部〜50質量部の割合で含まれる請求項1に記載のアンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池。
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池がアノード支持型燃料電池であり、前記燃料極の厚みが0.2mm〜3mmの範囲内であるアンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池の燃料極にアンモニアを導入し、かつ、空気極に空気を導入することを特徴とする発電方法。
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