JP5412534B2 - 複合基板の製造方法および固体酸化物形燃料電池セルの製造方法 - Google Patents

複合基板の製造方法および固体酸化物形燃料電池セルの製造方法 Download PDF

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本発明は、複合基板の製造方法および固体酸化物形燃料電池セルの製造方法に関する。
近年、環境問題および資源問題などに起因して、クリーンなエネルギ源が求められている。そのようなエネルギ源としては、たとえば燃料電池が期待されている。燃料電池は、燃料を電気化学的に酸化することによって、燃焼によって生じるはずのエネルギを熱エネルギとしてではなく電気エネルギとして取り出すことに特徴がある。
このような燃料電池の中でも固体酸化物形燃料電池は、約1000℃という極めて高温で作動させるものであるため、たとえば排熱を有効利用できるなどの利点を有している。
図7に、従来の固体酸化物形燃料電池に用いられる固体酸化物形燃料電池セルの一例の模式的な構成図を示す。ここで、固体酸化物形燃料電池セル100は、酸化物イオン伝導体である緻密電解質層112の両側にそれぞれ空気極114および燃料極113を配置してなる構造を有している。そして、空気極114側に酸素または空気を導入し、燃料極113側に水素を導入して、約1000℃で固体酸化物形燃料電池セル100を作動させる。
すると、空気極114では(1/2)O2+2e-→O2-の反応によって酸化物イオン(O2-)が生じ、酸化物イオン(O2-)は緻密電解質層112を伝導して燃料極113に向かって移動する。そして、酸化物イオン(O2-)が燃料極113に到達すると、H2+O2-→H2O+2e-の反応によって電子(e-)が放出されて水(H2O)が生じ、電子(e-)は外部回路を通って空気極114に流れる。
ここで、従来の固体酸化物形燃料電池セル100において、緻密電解質層112は、その両側に流れているガス同士が接触しないような構成とする必要があるために緻密な電解質セラミックから構成されている。一般に、緻密な電解質セラミックは機械的強度が大きいことから、従来の固体酸化物形燃料電池セル100は、緻密電解質層112で固体酸化物形燃料電池セルの強度を保つ電解質支持構造の固体酸化物形燃料電池セルとされていることが多い。
図8に、図7に示す従来の固体酸化物形燃料電池セル100の等価電気回路図を示す。図8に示すように、従来の固体酸化物形燃料電池セル100に発生する電圧Vcellは、起電力E0(空気中の酸素のポテンシャルと燃料中の酸素のポテンシャルとの差)から空気極114の過電圧(ηc)と緻密電解質層112の抵抗に起因する電圧(iRel)と燃料極113の過電圧(ηa)とをそれぞれ差し引いたものに相当する。
ここで、緻密電解質層112の抵抗に起因する電圧(iRel)は電流iに比例して大きくなるが、空気極114の過電圧(ηc)および燃料極113の過電圧(ηa)はそれぞれ電流iの対数(logi)に比例して大きくなる。したがって、固体酸化物形燃料電池セル100においては、発電時の電流密度が高くなるにつれて緻密電解質層112の抵抗成分により電圧Vcellが低下する割合が増加することになる。
そこで、たとえば図9に示すように、緻密電解質層112を薄く形成する一方で、燃料極113で固体酸化物形燃料電池セルの強度を保つ燃料極支持構造の固体酸化物形燃料電池セル101も作製されている(たとえば、非特許文献1〜3参照)。
このような燃料極支持構造の固体酸化物形燃料電池セル101は、以下のようにして作製される。まず、図10(a)の模式的斜視図に示すように、緻密電解質層用セラミック粉末とバインダー等とを混合してテープ状に成形した緻密電解質層形成用シート112aと、燃料極用セラミック粉末とバインダー等とを混合してテープ状に成形した燃料極形成用シート113aとを重ね合わせる。
次に、緻密電解質層形成用シート112aと燃料極形成用シート113aとを重ね合わせた積層体を焼成することによって緻密電解質層形成用シート112aおよび燃料極形成用シート113aを共焼結して、図10(b)の模式的斜視図に示す構成の複合基板110を形成する。ここで、複合基板110は、多孔の電解質セラミックから形成された厚みのある燃料極113上に緻密な電解質セラミックから形成された薄い緻密電解質層112が接合された構成を有している。
その後、図10(c)の模式的斜視図に示すように、複合基板110の緻密電解質層112側の表面に空気極114を形成することによって、燃料極支持構造の固体酸化物形燃料電池セル101が形成される。
上記のような燃料極支持構造の固体酸化物形燃料電池セル101の緻密電解質層112としてはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などのジルコニア系の電解質セラミックが用いられ、燃料極113としてはNiOが用いられることが多い。
一方、近年では、ランタンガレート(LSGM)系の電解質セラミックが発見されており、このLSGM系の電解質セラミックは、800℃以下の中温領域でYSZの数倍という良好な酸化物イオン伝導性を示すことが報告されている(たとえば、非特許文献4参照)。
また、LSGM系の電解質セラミックから形成された緻密電解質層を用いた場合には、800℃以下で非常に高い出力の固体酸化物形燃料電池セルが得られることも報告されている(たとえば、非特許文献5参照)。
また、LSGM系の電解質セラミックから形成された薄い緻密電解質層を用いた燃料極支持構造の固体酸化物形燃料電池セルは極めて良好な特性を示すことが期待されている(たとえば、非特許文献6参照)。
Subhasish Mukerjee et al., "Solid Oxide Fuel Cell Development:Latest Results", ECS Transactions, Vol.7, No.1, 2007, pp.59-65 M.Lang et al., "Characterization of SOFC Short Stacks and Stacks for Mobile Applications", ECS Transactions, Vol.7, No.1, 2007, pp.85-94 E.Tang et al., "THE STATUS OF SOFC DEVELOPMENT AT VERSA POWER SYSTEMS", Electrochemical Society Proceedings Volume 2005-07, pp.89-97 石原 達己、「ペロブスカイト系酸化物イオン伝導体」、セラミックデータブック’98、工学製品技術協会編、1998年、p.50-53 Jun Akikusa et al., "SOFC Module and System Development by Means of Sealless Metallic Separators with Lanthanum Gallate Electrolyte", Journal of The Electrochemical Society, 153(3), 2006, pp.A589-A594 Yuanbo Lin et al., "Co-Firing of Anode-Supported SOFCs withThin La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3-δElectrolytes", Electrochemical and Solid-State Letters, 9(6), 2006, pp.A285-A288
燃料極支持構造の固体酸化物形燃料電池セルを作製するためには、上述したように、緻密電解質層用セラミック粉末とバインダー等とを混合してテープ状に成形した緻密電解質層形成用シートと、燃料極用セラミック粉末とバインダー等とを混合してテープ状に成形した燃料極形成用シートとを重ね合わせて同時に焼成するという共焼結という手法が用いられる。
たとえば、従来のように、YSZからなる緻密電解質層用セラミック粉末を用いて形成された緻密電解質層形成用シートと、NiOを含む燃料極用セラミック粉末を用いて形成された燃料極形成用シートとを共焼結した場合には、これらのシートが反応して別の相が形成されることはなかった。
しかしながら、LSGM系の緻密電解質層用セラミック粉末を有する緻密電解質層形成用シートと、NiOを含む燃料極用セラミック粉末を有する燃料極形成用シートとを共焼結して燃料極支持構造の固体酸化物形燃料電池セルを作製した場合に、1350℃以上という高温で共焼結を行なったときにはLaNiO3やLa2NiO4などの高抵抗相が形成されてほとんど発電しないという問題があり、1350℃未満の低温で共焼結を行なったときには緻密電解質層が緻密にならないという問題があった。
また、非特許文献6には、高抵抗相の形成を抑制するため、緻密電解質層と燃料極との間に中間層を挿入することによって、緻密電解質層と燃料極とが直接反応するのを抑制する方法が記載されている。
しかしながら、この非特許文献6の方法においても、実際には燃料極中のNiの一部が緻密電解質層の内部に拡散していることから、本来期待されるレベルの固体酸化物形燃料電池セルの特性が得られていない。
また、LSGM系以外のYSZ等の電解質セラミックから形成された緻密電解質層を用いた固体酸化物形燃料電池セルについてもさらなる特性の向上が求められている。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、緻密電解質層を薄く形成することができるとともに固体酸化物形燃料電池の特性も向上させることができる複合基板の製造方法および固体酸化物形燃料電池セルの製造方法を提供することにある。
本発明は、緻密電解質層形成用シートを作製する工程と、多孔電解質層形成用シートを作製する工程と、緻密電解質層形成用シートと多孔電解質層形成用シートとを重ね合わせてシート積層体を形成する工程と、シート積層体を焼成する工程とを含み、多孔電解質層形成用シートは、熱処理することによって焼結を進行させた粉末を、緻密電解質層形成用シートよりも多く含み、緻密電解質層形成用シートは、La 1-x1 (A1) x1 Ga 1-y1-z1 Mg y1 (B1) z1 3-d1 (ただし、0≦x1≦0.2、0.05≦y1≦0.25、0≦z1≦0.1、0.05≦y1+z1≦0.3、−0.025≦d1≦0.25)の式で表わされる金属酸化物を主成分として含み、多孔電解質層形成用シートは、La 1-x2 (A2) x2 Ga 1-y2-z2 Mg y2 (B2) z2 3-d2 (ただし、0≦x2≦0.2、0.05≦y2≦0.25、0≦z2≦0.1、0.05≦y2+z2≦0.3、−0.025≦d2≦0.25)の式で表わされる金属酸化物を主成分として含んでおり、A1およびA2はそれぞれ独立に、Ba、SrおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属を示し、B1およびB2はそれぞれ独立に、Fe、CoおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を示している複合基板の製造方法である。
また、本発明は、緻密電解質層形成用シートを作製する工程と、多孔電解質層形成用シートを作製する工程と、緻密電解質層形成用シートと多孔電解質層形成用シートとを重ね合わせてシート積層体を形成する工程と、シート積層体を焼成することによって複合基板を作製する工程と、複合基板に電極を形成する工程と、を含み、多孔電解質層形成用シートは、熱処理することによって焼結を進行させた粉末を、緻密電解質層形成用シートよりも多く含み、緻密電解質層形成用シートは、La 1-x1 (A1) x1 Ga 1-y1-z1 Mg y1 (B1) z1 3-d1 (ただし、0≦x1≦0.2、0.05≦y1≦0.25、0≦z1≦0.1、0.05≦y1+z1≦0.3、−0.025≦d1≦0.25)の式で表わされる金属酸化物を主成分として含み、多孔電解質層形成用シートは、La 1-x2 (A2) x2 Ga 1-y2-z2 Mg y2 (B2) z2 3-d2 (ただし、0≦x2≦0.2、0.05≦y2≦0.25、0≦z2≦0.1、0.05≦y2+z2≦0.3、−0.025≦d2≦0.25)の式で表わされる金属酸化物を主成分として含んでおり、A1およびA2はそれぞれ独立に、Ba、SrおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属を示し、B1およびB2はそれぞれ独立に、Fe、CoおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を示している固体酸化物形燃料電池セルの製造方法である。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池セルの製造方法は、複合基板に燃料極を形成する工程を含むことが好ましい。
なお、本発明において、「主成分」とは、50質量%以上を占める成分のことを意味する。
本発明によれば、緻密電解質層を薄く形成することができるとともに固体酸化物形燃料電池の特性も向上させることができる複合基板の製造方法および固体酸化物形燃料電池セルの製造方法を提供することができる。
本発明の複合基板の一例の模式的な断面図である。 図1に示す複合基板を用いて作製した本発明の固体酸化物形燃料電池セルの一例の模式的な断面図である。 (a)〜(d)は、図2に示す固体酸化物形燃料電池セルの製造方法の一例を図解する模式的な斜視図である。 (a)〜(d)は、金属酸化物の粉末の理想的な焼結過程を図解する模式的な拡大平面図である。 燃料極形成前の実施例1の複合基板のSEM写真である。 燃料極形成後の実施例1の複合基板のSEM写真である。 従来の固体酸化物形燃料電池セルの一例の模式的な構成図である。 図7に示す従来の固体酸化物形燃料電池セルの等価電気回路図である。 従来の固体酸化物形燃料電池セルの他の一例の模式的な構成図である。 (a)〜(c)は、図9に示す固体酸化物形燃料電池セルの製造方法の一例を図解する模式的な斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
図1に、本発明の複合基板の一例の模式的な断面図を示す。図1に示す複合基板1は、多孔電解質層11と緻密電解質層12とが接合された構成を有している。ここで、多孔電解質層11は、気孔率が6%よりも大きい電解質層であり、緻密電解質層12は、気孔率が6%以下の電解質層である。なお、本発明において、気孔率は下記の式(1)により求められる。また、下記の式(1)において、相対密度(%)は、従来から公知の方法により求めることができる。
気孔率(%)=100(%)−相対密度(%) …(1)
緻密電解質層12としては、たとえば固体酸化物形燃料電池セルの電解質層として従来から用いられている公知のものを用いることができるが、なかでも下記の式(I)で表わされる金属酸化物の焼結体を主成分として含むことが好ましい。この場合には、複合基板1を用いて形成した固体酸化物形燃料電池セルを従来よりも低温で駆動させることができるとともに高い出力を有するものとすることができる傾向にある。なお、下記の式(I)において、A1は、Ba(バリウム)、Sr(ストロンチウム)およびCa(カルシウム)からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属を示している。また、B1は、Fe(鉄)、Co(コバルト)およびMn(マンガン)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を示している。
La1-x1(A1)x1Ga1-y1-z1Mgy1(B1)z13-d1(ただし、0≦x1≦0.2、0.05≦y1≦0.25、0≦z1≦0.1、0.05≦y1+z1≦0.3、−0.025≦d1≦0.25) …(I)
上記の式(I)において、1−x1はLa(ランタン)の組成比を示し、x1は上記のアルカリ土類金属A1の組成比を示し、1−y1−z1はGa(ガリウム)の組成比を示し、y1はMg(マグネシウム)の組成比を示し、z1は上記の遷移金属B1の組成比を示し、3−d1はO(酸素)の組成比を示している。
ここで、上記の式(I)において、x1が0≦x1≦0.2の関係を満たす場合には、緻密電解質層12が単一相となって不純物が生成しにくくなる傾向にある。
また、上記の式(I)において、y1が0.05≦y1≦0.25の関係を満たす場合には、緻密電解質層12の導電率が向上するとともに、緻密電解質層12が単一相となる傾向にある。
また、上記の式(I)において、z1が0≦z1≦0.1の関係を満たす場合には、緻密電解質層12の電子輸率が高くなりすぎず、内部短絡が起こりにくくなる傾向にある。
また、上記の式(I)において、y1+z1が0.05≦y1+z1≦0.3の関係を満たす場合には、緻密電解質層12が単一相となる傾向にある。
また、上記の式(I)において、x1、y1およびz1がそれぞれ上記の関係を満たす場合には、d1は−0.025≦d1≦0.25の関係を満たすことになる。
なお、緻密電解質層12の材質としては、上記以外にも、たとえば、従来から公知のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の電解質セラミックを用いることも可能である。
また、多孔電解質層11としては、たとえば固体酸化物形燃料電池セルの電解質層として従来から用いられている公知のものを用いることができるが、なかでも下記の式(II)で表わされる金属酸化物の焼結体を主成分として含むことが好ましい。この場合には、複合基板1を用いて形成した固体酸化物形燃料電池セルを従来よりも低温で駆動させることができるとともに高い出力を有するものとすることができる傾向にある。なお、下記の式(II)において、A2は、Ba、SrおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属を示している。また、B2は、Fe、CoおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を示している。
La1-x2(A2)x2Ga1-y2-z2Mgy2(B2)z23-d2(ただし、0≦x2≦0.2、0.05≦y2≦0.25、0≦z2≦0.1、0.05≦y2+z2≦0.3、−0.025≦d2≦0.25) …(II)
上記の式(II)において、1−x2はLaの組成比を示し、x2は上記のアルカリ土類金属A2の組成比を示し、1−y2−z2はGaの組成比を示し、y2はMgの組成比を示し、z2は上記の遷移金属B2の組成比を示し、3−d2はOの組成比を示している。
ここで、上記の式(II)において、x2が0≦x2≦0.2の関係を満たす場合には、多孔電解質層11が単一相となって不純物が生成しにくくなる傾向にある。
また、上記の式(II)において、y2が0.05≦y2≦0.25の関係を満たす場合には、多孔電解質層11の導電率が向上するとともに、多孔電解質層11が単一相となる傾向にある。
また、上記の式(II)において、z2が0≦z2≦0.1の関係を満たす場合には、多孔電解質層11の電子輸率が高くなりすぎず、内部短絡が起こりにくくなる傾向にある。
また、上記の式(II)において、y2+z2が0.05≦y2+z2≦0.3の関係を満たす場合には、多孔電解質層11が単一相となる傾向にある。
また、上記の式(II)において、x2、y2およびz2がそれぞれ上記の関係を満たす場合には、d2は−0.025≦d2≦0.25の関係を満たすことになる。
なお、多孔電解質層11の材質としては、上記以外にも、たとえば、従来から公知のYSZ等の電解質セラミックを用いることも可能である。
なお、多孔電解質層11と緻密電解質層12とは同一の材料を用いて形成されていてもよく、異なる材料を用いて形成されていてもよいが、多孔電解質層11と緻密電解質層12とは同一の材料を用いて形成されていることが好ましい。多孔電解質層11と緻密電解質層12とが同一の材料を用いて形成されている場合には、多孔電解質層11と緻密電解質層12との接合力が向上し、さらには高温で熱処理した場合でも多孔電解質層11と緻密電解質層12との間で化学反応が起こりにくく、変質しにくくなる利点がある。
ここで、多孔電解質層11と緻密電解質層12とが同一の材料を用いて形成されているとは、多孔電解質層11を構成する主成分の組成と緻密電解質層12を構成する主成分の組成とを対比して、これらの主成分の構成元素および構成元素の組成比がそれぞれ同一であることを意味しており、多孔電解質層11と緻密電解質層12との間で主成分以外の成分については同一であってもよく、異なっていてもよい。
多孔電解質層11と緻密電解質層12とが同一の材料を用いて形成されている場合としては、たとえば、緻密電解質層12が上記の式(I)で表わされる金属酸化物の焼結体からなり、多孔電解質層11が上記の式(II)で表わされる金属酸化物の焼結体からなる場合に、A1とA2とが同一元素のアルカリ土類金属元素を示し、B1とB2とが同一元素の遷移金属元素を示すとともに、x1=x2、y1=y2、z1=z2およびd1=d2である場合が挙げられる。
図2に、図1に示す複合基板1を用いて作製した本発明の固体酸化物形燃料電池セルの一例の模式的な断面図を示す。図2に示す固体酸化物形燃料電池セル10は、図1に示す複合基板1の多孔電解質層11の内部に燃料極用材料を付着させることによって形成された燃料極13を緻密電解質層12の一方の表面に備えるとともに、緻密電解質層12の他方の表面に空気極14を備えた構成を有している。
ここで、燃料極13を構成する燃料極用材料としては、たとえば固体酸化物形燃料電池セルの燃料極用材料として従来から用いられている公知のものを用いることができる。また、空気極14としては、たとえば固体酸化物形燃料電池セルの空気極として従来から用いられている公知のものを用いることができる。
以下、図3(a)〜図3(d)の模式的斜視図を参照して、図2に示す固体酸化物形燃料電池セル10の製造方法の一例について説明する。まず、図3(a)に示すように、多孔電解質層形成用シート11a上に緻密電解質層形成用シート12aを重ね合わせてシート積層体を形成する。
多孔電解質層形成用シート11aとしては、たとえば、図1に示す多孔電解質層11を構成する金属酸化物の粉末とその粉末を結合するためのバインダと増孔剤を含むスラリーをシート状に成形したものなどを用いることができる。なお、増孔剤は空隙を形成するための材料であり、増孔剤としてはたとえばカーボンなどを用いることができる。
また、緻密電解質層形成用シート12aとしては、たとえば、緻密電解質層12を構成する金属酸化物の粉末とその粉末を結合するためのバインダとを含むスラリーをシート状に成形したものなどを用いることができる。
ここで、多孔電解質層形成用シート11aは、高温で処理された粉末を、緻密電解質層形成用シート12aよりも多く含んでいることが好ましい。多孔電解質層形成用シート11aには空隙を形成するための増孔剤などが含まれており、単位体積当たりの粉末量が緻密電解質層形成用シート12aよりも小さくなることがあるため、何ら処理することなく、上記のシート積層体を同一の温度で焼成した場合には、多孔電解質層形成用シート11aの収縮量が緻密電解質層形成用シート12aの収縮量よりも大きくなって割れてしまうことがある。
図4(a)〜図4(d)の模式的な拡大平面図に、金属酸化物の粉末の理想的な焼結過程を示す。ここで、まず、図4(a)に示す金属酸化物等の粉末41は、たとえば図4(b)に示すように粉末41の接触面ができるだけ多くなるように再配列する。そして、図4(c)に示すように、粉末41の接触面同士が繋がってネック形成が進行し、最後に図4(d)に示すように、ネック形成において発生した粉末41間の空隙が塞がって焼結体42が形成される。このような焼結過程においては、焼結の進行に伴って粉末41間の空隙が少なくなっていくとともに、焼結過程の際の温度が高温になるにつれて焼結の進行が速くなる。
したがって、たとえば、緻密電解質層形成用シート12aに用いられる金属酸化物の粉末については何ら処理することなく、多孔電解質層形成用シート11aに用いられる金属酸化物の粉末の少なくとも一部を高温で処理して上記の焼結を進行させておくことによってシート積層体の焼成時における多孔電解質層形成用シート11aの収縮量を低減することができる。
したがって、多孔電解質層形成用シート11aに高温で処理された粉末を緻密電解質層形成用シート12aよりも多く含ませることによって、シート積層体の焼成時における多孔電解質層形成用シート11aと緻密電解質層形成用シート12aとの収縮量差を低減することができるため、その収縮量差に起因する割れの発生を有効に抑止することができる。
次に、図3(a)に示すシート積層体を焼成することによって、図3(b)に示す構成の複合基板1を形成する。ここで、図3(b)に示す複合基板1は、図1に示す複合基板1と同一の構成となっており、上記のシート積層体の焼成により、たとえば多孔電解質層形成用シート11aに含まれる金属酸化物の粉末が焼結して多孔電解質層11が形成されるとともに、たとえば緻密電解質層形成用シート12aに含まれる金属酸化物の粉末が焼結して緻密電解質層12が形成されて、多孔電解質層11と緻密電解質層12とが接合する。
ここで、上記のシート積層体の焼成は、たとえば1400℃〜1500℃の空気雰囲気にたとえば6時間〜12時間シート積層体を曝すことによって実施することができる。
次に、上記のシート積層体の焼成により形成された多孔電解質層11の内部に燃料極用材料を付着させることによって、図3(c)に示すように、緻密電解質層12の一方の表面に燃料極13を形成する。ここで、燃料極13は、たとえば、燃料極用材料を分散させたスラリーに多孔電解質層11を浸漬させることによって、燃料極用材料を多孔電解質層11の気孔から内部に導入して多孔電解質層11の内部に付着させることにより形成することができる。
次に、図3(d)に示すように、緻密電解質層12の燃料極13の形成側とは反対側の表面に空気極14を形成することによって、固体酸化物形燃料電池セル10が作製される。ここで、空気極14は、たとえば、緻密電解質層12の表面に従来から公知の空気極用材料を塗布した後に焼成することによって形成することができる。
なお、上記においては、燃料極用材料を多孔電解質層11の内部に導入して燃料極13を形成したが、本発明においては空気極用材料を多孔電解質層11の内部に導入して空気極14を形成するとともに、緻密電解質層12の空気極14の形成側とは反対側の表面に燃料極用材料を塗布した後に焼成することによって燃料極13を形成してもよい。
すなわち、本発明の固体酸化物形燃料電池セル10においては、上記の複合基板1の多孔電解質層11側に燃料極13を設置するとともに緻密電解質層12側に空気極14を設置した構成とすることもでき、上記の複合基板1の多孔電解質層11側に空気極14を設置するとともに緻密電解質層12側に燃料極13を設置した構成とすることもできる。
以上のようにして作製された本発明の固体酸化物形燃料電池セル10は、上記の構成の本発明の複合基板1を用いて形成されていることから、緻密電解質層12を薄く形成した場合でも緻密電解質層12よりも厚い多孔電解質層11で固体酸化物形燃料電池セル10の強度を保つことができる。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、多孔電解質層の内部に電極用材料(燃料極用材料、空気極用材料)を分散させて付着させるために電極反応活性が向上し、さらには電極(燃料極、空気極)を従来のように1350℃以上の高温で形成するのを抑止できるために電解質と電極用材料との反応を抑制できる。それゆえ、本発明の固体酸化物形燃料電池セルの特性が向上するものと考えられる。
さらに、たとえば、上記の複合基板1を用いて形成された固体酸化物形燃料電池セル10の燃料極13と、上記の複合基板1を用いて形成された他の固体酸化物形燃料電池セル10の空気極14とを電気的に接続すること等によって本発明の固体酸化物形燃料電池セル10の複数が電気的に接続された構成の本発明の固体酸化物形燃料電池を作製することができる。本発明の固体酸化物形燃料電池には、特性が向上した本発明の固体酸化物形燃料電池セル10が複数含まれており、特性の向上分を重畳的に組み合わせた特性が得られることから、従来の固体酸化物形燃料電池セルを用いて作製された固体酸化物形燃料電池と比較して大幅に特性を向上させることができる。
なお、本発明の固体酸化物形燃料電池において、固体酸化物形燃料電池セル10の燃料極13と、他の固体酸化物形燃料電池セル10の空気極14との電気的な接続は、たとえば、従来から公知のインターコネクタ等の導電性部材を用いて行なうことができるが、これに限定されないことは言うまでもなく、固体酸化物形燃料電池セル10の燃料極13と他の固体酸化物形燃料電池セル10の空気極14とが何らかの形で電気的に接続されていればよい。
(緻密電解質層形成用シートの作製)
La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85の式で表わされる金属酸化物(以下、この式で表わされる組成の金属酸化物のことを「LSGM」という。)の粉末を一般的な固相反応法にて合成した。すなわち、まず、酸化ランタン(La23)粉末、炭酸ストロンチウム(SrCO3)粉末、酸化ガリウム(Ga23)粉末および酸化マグネシウム(MgO)粉末をそれぞれ金属元素のモル比が9:1:8:2となるように秤量し、エタノールとともにボールミルに加えて24時間湿式混合粉砕して混合物を得た。そして、その湿式混合粉砕後の混合物からエタノールを除去した後に、1200℃で10時間熱処理して反応させることによって上記の式で表わされる組成のLSGM粉末を得た。
このLSGM粉末の結晶構造をX線回折装置で確認したところ、ほとんどのX線回折ピークがLSGMの結晶構造に対応するX線回折ピークであったが、わずかにLaSrGa37などの不純物に対応するX線回折ピークも含まれていた。
このLSGM粉末240gに、分散剤としてマリアリム(日油株式会社製)を2.4g、バインダーとしてポリビニルブチラール(PVB、平均重合度700)を24g、可塑剤としてフタル酸ジnブチルを8.4g、溶媒として70.8gのn−ブタノールおよび70.8gのトルエンをそれぞれ混練機に加え、その混練機にて攪拌および脱泡して、スラリーを作製した。
そして、上記のようにして作製したスラリーをドクターブレード装置に流し込んでシート状に成形した後、16時間乾燥させることによって、緻密電解質層形成用シートを得た。
(多孔電解質層形成用シートの作製)
LSGM粉末を得るところまでは、上記の緻密電解質層形成用シートの作製と同様の工程を行なった。
次に、上記のようにして得られたLSGM粉末をさらに1450℃で10時間熱処理して焼結を進行させた。
そして、上記の焼結を進行させた後のLSGM粉末160gに、増孔剤として活性炭(和光純薬工業株式会社製)を90g、分散剤としてマリアリム(日油株式会社製)を2.5g、バインダーとしてポリビニルブチラール(PVB、平均重合度700)を26g、可塑剤としてフタル酸ジnブチルを9g、溶媒として75.75gのn−ブタノールおよび75.75gのトルエンをそれぞれ混練機に加え、その混練機にて攪拌および脱泡して、緻密電解質層シート形成用のスラリーを作製した。
その後は、上記の緻密電解質層形成用シートの作製と同様の工程を行なって、多孔電解質層形成用シートを得た。
(実施例1〜2の複合基板の作製)
上記の緻密電解質層形成用シートと多孔電解質層形成用シートとを重ね合わせた後に円柱状に切り抜いて得られたシート積層体を1450℃の空気雰囲気に6時間放置して焼成することによって、緻密電解質層形成用シートから緻密電解質層を形成し、多孔電解質層形成用シートから多孔電解質層を形成して、緻密電解質層と多孔電解質層とが接合した構成の実施例1の複合基板を作製した。
上記の緻密電解質層形成用シートと多孔電解質層形成用シートとを重ね合わせた後に円柱状に切り抜いて得られたシート積層体を1500℃の空気雰囲気に6時間放置して焼成することによって、緻密電解質層形成用シートから緻密電解質層を形成し、多孔電解質層形成用シートから多孔電解質層を形成して、緻密電解質層と多孔電解質層とが接合した構成の実施例2の複合基板を作製した。
(実施例1〜2の複合基板の評価)
(i)実施例1の複合基板
実施例1の複合基板の作製においては、上記の焼成前のシート積層体の円形状の表面の直径が平均で41.31mmであったのに対し、上記の焼成後の実施例1の複合基板の円形状の表面の直径は平均で35.90mmであった。したがって、実施例1の複合基板においては、円形状の表面の直径方向の平均の線収縮率は13.1%であった。
また、実施例1の複合基板の作製においては、上記の焼成前のシート積層体の厚さが平均で1.232mmであったのに対し、上記の焼成後の実施例1の複合基板の厚さは平均で0.850mmであった。したがって、実施例1の複合基板においては、厚さ方向の平均の線収縮率は31.0%であった。
また、透過型電子顕微鏡を用いて、実施例1の複合基板の積層構造を調査したところ、実施例1の複合基板の緻密電解質層は緻密な焼結体から構成されており、多孔電解質層は多孔の焼結体から構成されていることが確認された。
また、実施例1の複合基板について、上記の円形状の表面の直径と厚さとの測定結果により体積を計算するとともに実施例1の複合基板の質量を測定することによって、これらの体積と質量の値から実施例1の複合基板の密度を算出した。そして、算出した密度をLSGMの理論密度で割ることによって相対密度(%)を求め、その相対密度(%)を100(%)から差し引くことによって、実施例1の複合基板の見かけ上の気孔率(%)を求めた。
この方法により求めた実施例1の複合基板の見かけ上の気孔率は76.9%であった。実施例1の複合基板は緻密電解質層を有していることから、実施例1の複合基板の多孔電解質層は76.9%よりもさらに気孔率が大きくなるものと考えられる。
したがって、このような実施例1の複合基板の多孔電解質層を、たとえば、電極用材料(燃料極用材料、空気極用材料)を含むスラリーに浸漬させることによって、良好なミクロ構造を有する電極(燃料極、空気極)を形成することができる。
(ii)実施例2の複合基板
実施例2の複合基板の作製においては、上記の焼成前のシート積層体の円形状の表面の直径が平均で41.45mmであったのに対し、上記の焼成後の実施例2の複合基板の円形状の表面の直径は平均で35.75mmであった。したがって、実施例2の複合基板においては、円形状の表面の直径方向の平均の線収縮率は13.8%であった。
また、実施例2の複合基板の作製においては、上記の焼成前のシート積層体の厚さが平均で1.138mmであったのに対し、上記の焼成後の実施例2の複合基板の厚さは平均で0.680mmであった。したがって、実施例2の複合基板においては、厚さ方向の平均の線収縮率は40.2%であった。
また、透過型電子顕微鏡を用いて、実施例1の複合基板の積層構造を調査したところ、実施例1の複合基板の緻密電解質層は緻密な焼結体から構成されており、多孔電解質層は多孔の焼結体から構成されていることが確認された。
また、実施例2の複合基板について、実施例1の複合基板と同様にして、実施例2の複合基板の見かけ上の気孔率(%)を求めたところ、その気孔率は81.0%であった。実施例2の複合基板も緻密電解質層を有していることから、実施例2の複合基板の多孔電解質層は81.0%よりもさらに気孔率(%)が大きくなるものと考えられる。
したがって、このような実施例2の複合基板の多孔電解質層を、たとえば、電極用材料(燃料極用材料、空気極用材料)を含むスラリーに浸漬させることによって、良好なミクロ構造を有する電極(燃料極、空気極)を形成することができる。
(実施例1〜2の複合基板への燃料極の作製)
実施例1〜2の複合基板の多孔電解質層を浸漬させるための燃料極形成用のスラリーを作製した。ここで、燃料極形成用のスラリーは、酸化ニッケル(NiO)粉末とガドリニア添加セリア(GDC)粉末とを質量比で8:2の割合で混合し、これらの粉末の混合物からなる燃料極用材料をその燃料極用材料の3倍量の有機溶剤に添加して作製した。
そして、上記のようにして作製した燃料極形成用のスラリーに実施例1〜2の複合基板の多孔電解質層を浸漬させた後に120℃で1時間加熱することによって有機溶剤を乾燥させた。そして、この実施例1〜2の複合基板の多孔電解質層の燃料極形成用のスラリーへの浸漬と有機溶剤との乾燥とを交互に3回繰り返すことによって、実施例1〜2の複合基板の多孔電解質層の内部に上記の燃料極用材料を付着させて燃料極を形成した。
その後、燃料極の形成後の複合基板を1200℃の空気中で3時間熱処理し、その後750℃の水素雰囲気で1時間還元した後の複合基板のミクロ構造を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
図5に燃料極形成前の実施例1の複合基板のSEM写真を示し、図6に燃料極形成後の実施例1の複合基板のSEM写真を示す。図5および図6に示すように、実施例1の複合基板の多孔電解質層の内部にはNiおよびGDCが均一に分散して付着していることが確認された。
また、燃料極形成前の実施例2の複合基板のSEM写真は図5に示すものと同様であり、燃料極形成後の実施例2の複合基板のSEM写真は図6に示すものと同様であったため、実施例2の複合基板の多孔電解質層の内部にもNiおよびGDCが均一に分散して付着していることが確認された。
したがって、実施例1〜2の複合基板を用いて形成された固体酸化物形燃料電池セルおよびこれらの固体酸化物形燃料電池セルの複数を電気的に接続した構成の固体酸化物形燃料電池は良好な発電特性を示すものと考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、緻密電解質層を薄く形成することができるとともに固体酸化物形燃料電池の特性も向上させることができる複合基板の製造方法およびその固体酸化物形燃料電池セルの製造方法を提供することができる。
1,110 複合基板、10,100,101 固体酸化物形燃料電池セル、11 多孔電解質層、11a 多孔電解質層形成用シート、12,112 緻密電解質層、12a,112a 緻密電解質層形成用シート、13,113 燃料極、113a 燃料極形成用シート、14,114 空気極、41 粉末、42 焼結体。

Claims (3)

  1. 緻密電解質層形成用シートを作製する工程と、
    多孔電解質層形成用シートを作製する工程と、
    前記緻密電解質層形成用シートと前記多孔電解質層形成用シートとを重ね合わせてシート積層体を形成する工程と、
    前記シート積層体を焼成する工程とを含み、
    前記多孔電解質層形成用シートは、熱処理することによって焼結を進行させた粉末を、前記緻密電解質層形成用シートよりも多く含み、
    前記緻密電解質層形成用シートは、La 1-x1 (A1) x1 Ga 1-y1-z1 Mg y1 (B1) z1 3-d1 (ただし、0≦x1≦0.2、0.05≦y1≦0.25、0≦z1≦0.1、0.05≦y1+z1≦0.3、−0.025≦d1≦0.25)の式で表わされる金属酸化物を主成分として含み、
    前記多孔電解質層形成用シートは、La 1-x2 (A2) x2 Ga 1-y2-z2 Mg y2 (B2) z2 3-d2 (ただし、0≦x2≦0.2、0.05≦y2≦0.25、0≦z2≦0.1、0.05≦y2+z2≦0.3、−0.025≦d2≦0.25)の式で表わされる金属酸化物を主成分として含んでおり、
    A1およびA2はそれぞれ独立に、Ba、SrおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属を示し、
    B1およびB2はそれぞれ独立に、Fe、CoおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を示している、複合基板の製造方法。
  2. 緻密電解質層形成用シートを作製する工程と、
    多孔電解質層形成用シートを作製する工程と、
    前記緻密電解質層形成用シートと前記多孔電解質層形成用シートとを重ね合わせてシート積層体を形成する工程と、
    前記シート積層体を焼成することによって複合基板を作製する工程と、
    前記複合基板に電極を形成する工程と、を含み、
    前記多孔電解質層形成用シートは、熱処理することによって焼結を進行させた粉末を、前記緻密電解質層形成用シートよりも多く含み、
    前記緻密電解質層形成用シートは、La 1-x1 (A1) x1 Ga 1-y1-z1 Mg y1 (B1) z1 3-d1 (ただし、0≦x1≦0.2、0.05≦y1≦0.25、0≦z1≦0.1、0.05≦y1+z1≦0.3、−0.025≦d1≦0.25)の式で表わされる金属酸化物を主成分として含み、
    前記多孔電解質層形成用シートは、La 1-x2 (A2) x2 Ga 1-y2-z2 Mg y2 (B2) z2 3-d2 (ただし、0≦x2≦0.2、0.05≦y2≦0.25、0≦z2≦0.1、0.05≦y2+z2≦0.3、−0.025≦d2≦0.25)の式で表わされる金属酸化物を主成分として含んでおり、
    A1およびA2はそれぞれ独立に、Ba、SrおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属を示し、
    B1およびB2はそれぞれ独立に、Fe、CoおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を示している、固体酸化物形燃料電池セルの製造方法。
  3. 前記電極を形成する工程は、前記複合基板に燃料極を形成する工程を含む、請求項に記載の固体酸化物形燃料電池セルの製造方法。
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