JP2012185928A - 燃料極支持型の発電セルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料極支持型の発電セルにおいて、反りを抑制できる製造方法を提供する。
【解決手段】固体電解質2aと空気極3aと燃料極4aとを備える燃料極支持型の発電セル1の製造方法であって、セル全体の機械的強度を支持する為の第1燃料極層41aを予め焼成し第1燃料極焼結体を形成し、電極反応を司る第2燃料極層42aと固体電解質2の各グリーンシートを、第1燃料極焼結体と積層・圧着し積層体を形成し、本焼成時に、第1燃料極焼結体によって面方向の収縮を拘束し、積層体は厚み方向の収縮を行い、燃料極支持型の発電セル1の反りの抑制を図ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】固体電解質2aと空気極3aと燃料極4aとを備える燃料極支持型の発電セル1の製造方法であって、セル全体の機械的強度を支持する為の第1燃料極層41aを予め焼成し第1燃料極焼結体を形成し、電極反応を司る第2燃料極層42aと固体電解質2の各グリーンシートを、第1燃料極焼結体と積層・圧着し積層体を形成し、本焼成時に、第1燃料極焼結体によって面方向の収縮を拘束し、積層体は厚み方向の収縮を行い、燃料極支持型の発電セル1の反りの抑制を図ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)に用いる燃料極支持型の発電セルの製造方法に関し、さらに詳しくは、反りが抑制された燃料極支持型の発電セルの製造方法に関する。
SOFCは、固体電解質として酸化物イオン伝導性の高いセラミックスを用い、装置内で生じる電気化学反応を利用して、電力を取り出す装置である。燃料電池の中でも、SOFCは、発電効率が高く、高価な触媒も必要ではないため、環境負荷低減のための創エネルギーデバイスとして開発が進められている。
SOFCの固体電解質に関し、高い酸化物イオン伝導性を有するセラミックスを使用するのはもちろん、固体電解質の厚みを薄くすることで、高い発電性能を得ることができる。
セラミックスである固体電解質を薄く形成することで電気抵抗の低減が図れ、600℃以下での発電が可能となり、構成部材に安価な金属を使用することによる低コスト化、更には、作動温度の低減による信頼性向上を図ることができる。
ところが、固体電解質を薄く形成することで、発電セルの強度が不足する為、燃料極または空気極を厚く形成し、強度を補償する必要がある。
電極過電圧抵抗の小さい燃料極を厚く形成してある燃料極支持型の発電セルは燃料極用グリーンシートと固体電解質用グリーンシートを貼り合わせて同時に焼結するが、異材種であることより、割れや反りを生じるおそれがある。
このような実状を鑑みて、たとえば、特許文献1では、燃料極の固体電解質と接している面のもう一方の面に、固体電解質の熱膨張係数に近い絶縁体と、電力を取り出す為の端子とを形成し、反りの抑制を図る方法が記載されている。しかしながら、この従来技術では、絶縁層を燃料極の外側に形成するため、発電で得られた電気を効率よく取り出すことができない問題があった。
また、特許文献2では、焼成時に荷重を加え、反りを抑制する方法が記載されている。しかしながら、この従来技術では、大量生産が困難であり、コストが高くなる問題があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、発電効率が良く低温での動作が可能な燃料極支持型の発電セルを、反りを抑制しつつ、低コストで製造することがを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る燃料極支持型の発電セルの作製方法は、
固体電解質と、前記固体電解質の一方の主面に形成された空気極と、前記固体電解質の他方の主面に形成された燃料極と、を備える燃料極支持型の発電セルの製造方法であって、
前記燃料極の少なくとも一部となる燃料極用グリーンシートを形成し、前記燃料極用グリーンシートを予備焼成して燃料極焼結体を形成する工程と、
前記固体電解質となる前記固体電解質用グリーンシートを、前記燃料極焼結体に直接または間接的に積層し積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼成して、燃料極/固体電解質焼結積層体を得る工程と、を備えることを特徴とする。
固体電解質と、前記固体電解質の一方の主面に形成された空気極と、前記固体電解質の他方の主面に形成された燃料極と、を備える燃料極支持型の発電セルの製造方法であって、
前記燃料極の少なくとも一部となる燃料極用グリーンシートを形成し、前記燃料極用グリーンシートを予備焼成して燃料極焼結体を形成する工程と、
前記固体電解質となる前記固体電解質用グリーンシートを、前記燃料極焼結体に直接または間接的に積層し積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼成して、燃料極/固体電解質焼結積層体を得る工程と、を備えることを特徴とする。
前記燃料極層を予め焼成することで、前記燃料極焼結体上に前記固体電解質用グリーンシートを積層・圧着し、焼成する際に、前記燃料極焼結体は収縮することなく、拘束層として作用する。すなわち、空気極に比較して電極過電圧抵抗の小さい燃料極を厚く形成してある燃料極支持形の発電セルにおける比較的厚肉の燃料極用グリーンシートを、予め焼成することで、発電セルの反りを抑制することができる。
また、本発明の方法では、反りを抑制するために、焼成時に加重を加える必要がないことから、加重装置並びに加重工程を必要とせず、低コストである。また、反りを抑制するために、発電セルの基本的な構成を変更する必要がないので、発電効率に優れている。
好ましくは、前記燃料極は、主にセルの強度を支持する第1燃料極層と、主に電極反応を司る第2燃料極層とで構成され、
前記第1燃料極層となる第1燃料極用グリーンシートを予備焼成して前記第1燃料極焼結体を形成し、
前記第2燃料極となる第2燃料極用グリーンシートと、前記固体電解質用グリーンシートとを、前記第1燃料極焼結体に積層して前記積層体を形成し、
前記積層体を焼成して、前記燃料極/固体電解質焼結積層体を得ることを特徴とする。
前記第1燃料極層を予め焼成することで、前記第1燃料極焼結体上に前記第2燃料極用グリーンシートと前記固体電解質用グリーンシートを積層・圧着し、焼成する際に、前記第1燃料極焼結体は収縮することなく、拘束層として作用し、発電セルの反りを抑制することができる。
前記第1燃料極層となる第1燃料極用グリーンシートを予備焼成して前記第1燃料極焼結体を形成し、
前記第2燃料極となる第2燃料極用グリーンシートと、前記固体電解質用グリーンシートとを、前記第1燃料極焼結体に積層して前記積層体を形成し、
前記積層体を焼成して、前記燃料極/固体電解質焼結積層体を得ることを特徴とする。
前記第1燃料極層を予め焼成することで、前記第1燃料極焼結体上に前記第2燃料極用グリーンシートと前記固体電解質用グリーンシートを積層・圧着し、焼成する際に、前記第1燃料極焼結体は収縮することなく、拘束層として作用し、発電セルの反りを抑制することができる。
好ましくは、前記燃料極焼結体または前記第1燃料極焼結体の予備焼成は、少なくとも前記燃料極/固体電解質焼結積層体を得る焼成温度以上の温度で行う。このような温度で予備焼成を行うことで、前記燃料極焼結体の拘束層として作用が向上する。
前記燃料極/固体電解質焼結積層体における前記固体電解質の前記燃料極と接している面と反対側の主面に、前記空気極となる空気極用ペーストを塗布し、焼き付け処理を行うことにより前記空気極を形成してもよい。
前記燃料極/固体電解質焼結積層体における前記固体電解質の前記燃料極と接している面と反対側の主面に、前記空気極となる空気極用ペーストを塗布し、焼き付け処理を行うことにより前記空気極を形成してもよい。
本発明によれば、燃料極と固体電解質を積層し、同時に焼成して作製する燃料極支持型の発電セル特有の問題である反りの発生を抑制することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
<燃料極支持型の発電セル1>
本実施形態に係る燃料極支持型の発電セル1を図1に示す。該発電セル1は、固体電解質2aと、固体電解質2aの一方の主面に接するように形成されている空気極3aと、固体電解質2aの他方の主面に接するように形成されている燃料極4aと、を有する。
本実施形態に係る燃料極支持型の発電セル1を図1に示す。該発電セル1は、固体電解質2aと、固体電解質2aの一方の主面に接するように形成されている空気極3aと、固体電解質2aの他方の主面に接するように形成されている燃料極4aと、を有する。
この発電セル1は、電気化学反応により電気を発生させるための最小単位であり、複数の発電セル1を、セパレータを介して直列に接続することで、スタックとされ、高出力を得ることができる。
発電セル1の形状は、特に制限されず、用途等に応じて決定すればよい。たとえば、四角状であってもよいし、円形状であってもよいし、五角形以上の多角形状であってもよい。発電セル1の寸法についても、特に制限されず、用途等に応じて決定すればよい。
<固体電解質2a>
固体電解質2aは、酸化物イオン輸率が0.96(96%)以上の緻密質のイットリア安定化ジルコニア(以下、YSZともいう)、スカンジア安定化ジルコニア(以下、ScSZともいう)、サマリウム添加セリア(以下、SDCともいう)、ガドリニウム添加セリア(以下、GDCともいう)または(LaSr)(GaMg)O3(以下、LSGMともいう)が好ましい。
固体電解質2aは、酸化物イオン輸率が0.96(96%)以上の緻密質のイットリア安定化ジルコニア(以下、YSZともいう)、スカンジア安定化ジルコニア(以下、ScSZともいう)、サマリウム添加セリア(以下、SDCともいう)、ガドリニウム添加セリア(以下、GDCともいう)または(LaSr)(GaMg)O3(以下、LSGMともいう)が好ましい。
このような酸化物は、酸化物イオン輸率および酸化物イオン伝導性が高いため好ましい。なお、酸化物イオン輸率の上限は1である、すなわち、電気伝導の全てを酸化物イオンが担っていることが好ましいが、現在の技術では0.995程度である。
YSZとしては、イットリウム(Y)をジルコニア(ZrO2 )に3〜15モル%固溶させたものが好ましい。ScSZとしてはスカンジウム(Sc)を、ジルコニアに5〜10モル%固溶させたものが好ましい。SDCとしてはサマリウム(Sm)をセリア(CeO2 )に10〜20モル%固溶させたものが好ましい。GDCとしてはガドリニウム(Gd)をセリアに(CeO2 )に10〜20モル%固溶させてものが好ましい。LSGMとしては、(La1−X SrX )(Ga1−Y MgY )O3 において、0.1≦X≦0.4、0.1≦Y≦0.4が好ましい。
固体電解質2a、空気極3aおよび燃料極4aが積層される方向における固体電解質2aの長さを、固体電解質2aの厚みとすると、該厚みは好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜5μmである。厚みを上記の範囲とすることで、固体電解質2aとしての強度を確保でき、かつ発電性能を高く保つことができるという利点がある。
<空気極3a>
空気極3aは、ガス透過性や三相界面での反応性を向上させるために多孔質材料で構成され、発電セル1内において陰極として作用する。構成する材料としては(LaSr)CoO3 (以下、LSCともいう)、(LaSr)(CoFe)O3 (以下、LSCFともいう)、(LaSr)MnO3 (以下、LSMともいう)が好ましい。更に、上記材料にYSZ、ScSZ、SDC、GDC、LSGMなど固体電解質材料とコンポジット化し用いても良い。
空気極3aは、ガス透過性や三相界面での反応性を向上させるために多孔質材料で構成され、発電セル1内において陰極として作用する。構成する材料としては(LaSr)CoO3 (以下、LSCともいう)、(LaSr)(CoFe)O3 (以下、LSCFともいう)、(LaSr)MnO3 (以下、LSMともいう)が好ましい。更に、上記材料にYSZ、ScSZ、SDC、GDC、LSGMなど固体電解質材料とコンポジット化し用いても良い。
LSCとしては、(La1−Z SrZ )CoO3 において、0.1≦Z≦0.4が好ましい。LSCFとしては、(La1−A SrA )(Co1−B FeB )O3 において、0.1≦A≦0.4、0.1≦B≦0.9が好ましい。LSMとしては、(La1−C SrC )MnO3 において、0.1≦C≦0.4が好ましい。
空気中の酸素が固体電解質2aとの界面(三相界面)に到達すると、燃料極4a側から移動してくる電子と酸素とが以下の式1のように反応する。
1/2O2 +2e− →O2− …式1
上記の式1に示す反応により生じた酸化物イオンは、上述した固体電解質2a中を移動する。
1/2O2 +2e− →O2− …式1
上記の式1に示す反応により生じた酸化物イオンは、上述した固体電解質2a中を移動する。
固体電解質2a、空気極3aおよび燃料極4aが積層される方向における空気極3aの厚みとすると、該厚みは、好ましくは3〜30μm、より好ましくは10〜20μmである。空気極3aの厚みを上記の範囲とすることで、高い発電性能と信頼性とを両立することができる。
<燃料極4a>
燃料極4aは、ガス透過性や三相界面での反応性を向上させるために多孔質材料で構成され、発電セル1内において陽極として作用する。本実施形態では、図1に示すように、燃料極4aは、固体電解質2aの主面に形成された第2燃料極層42aと、該第2燃料極層42a上に形成された第1燃料極層41aと、から構成される。
燃料極4aは、ガス透過性や三相界面での反応性を向上させるために多孔質材料で構成され、発電セル1内において陽極として作用する。本実施形態では、図1に示すように、燃料極4aは、固体電解質2aの主面に形成された第2燃料極層42aと、該第2燃料極層42a上に形成された第1燃料極層41aと、から構成される。
<第2燃料極層42a>
第2燃料極層42aは、固体電解質2aの界面において、外部から供給された燃料(水素)が、固体電解質2aを透過してきた酸化物イオンと下記に示す反応が生じ、電子が生成する層である。
H2 +1/2O2−→H2 O+2e− …式2
本実施形態では、第2燃料極層42aは、水素を三相界面に到達させ、上記の式2に示す反応を促進するために、複数の気孔が連通するように形成された多孔質材料とされる。
第2燃料極層42aは、固体電解質2aの界面において、外部から供給された燃料(水素)が、固体電解質2aを透過してきた酸化物イオンと下記に示す反応が生じ、電子が生成する層である。
H2 +1/2O2−→H2 O+2e− …式2
本実施形態では、第2燃料極層42aは、水素を三相界面に到達させ、上記の式2に示す反応を促進するために、複数の気孔が連通するように形成された多孔質材料とされる。
本実施形態では、第2燃料極層42aは、NiとYSZとのコンポジット材料(以下、Ni/YSZともいう)、NiとScSZとのコンポジット材料(以下、Ni/ScSZともいう)、NiとYSZ/ScSZとのコンポジット材料(以下、Ni/YSZ/ScSZともいう)またはNiとSDCのコンポジット材料(以下、Ni/SDCともいう)から構成される。この材料は、良好な電子伝導性を有するNiをYSZ、ScSZまたはSDCに分散させることで、焼成時のNiの凝集を防止し、三相界面を増加させ、電極の反応性を高めることができる。
固体電解質2a、空気極3aおよび燃料極4aが積層される方向における第2燃料極層42aの長さを、第2燃料極層42aの厚みとすると、該厚みは、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。第2燃料極層42aの厚みを上記の範囲とすることで、高い発電性能と信頼性とを両立することができる。
<第1燃料極層41a>
第1燃料極層41aは、セル全体の強度を担うための層であり、かつ供給された燃料(水素)を、第2燃料極層42aに速やかに到達させるための層である。
第1燃料極層41aは、セル全体の強度を担うための層であり、かつ供給された燃料(水素)を、第2燃料極層42aに速やかに到達させるための層である。
本実施形態では、第1燃料極層41aは、第2燃料極層42aと同様の、NiとYSZとのコンポジット材料(以下、Ni/YSZともいう)、NiとScSZとのコンポジット材料(以下、Ni/ScSZともいう)、NiとYSZ/ScSZとのコンポジット材料(以下、Ni/YSZ/ScSZともいう)またはNiとSDCのコンポジット材料(以下、Ni/SDCともいう)から構成される。
固体電解質2a、空気極3aおよび燃料極4aが積層される方向における第1燃料極層41aの長さを、第1燃料極層41aの厚みとすると、該厚みは、好ましくは100〜2000μm、より好ましくは200〜1000μmである。第1燃料極層41aの厚みを上記の範囲とすることで、高い発電性能と信頼性とを両立することができる。第1燃料極層42a(またはそれを含む燃料極層4a)の厚みは、空気極3aの厚みに比較して、好ましくは5〜100倍大きい。本実施形態では、燃料極4aにおいて、セル1の強度を持たせるためである。
<燃料極支持型の発電セル1の製造方法>
本実施形態に係る燃料極支持型の発電セル1を製造する方法としては、第1燃料極層を予め焼成し、拘束層として作用させることに特徴があり、その他の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用すればよい。以下では、固体電解質2aおよび燃料極4aはシート法を用い、空気極3aはスクリーン印刷を用いて燃料極支持型の発電セル1を製造する方法について具体的に説明する。
本実施形態に係る燃料極支持型の発電セル1を製造する方法としては、第1燃料極層を予め焼成し、拘束層として作用させることに特徴があり、その他の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用すればよい。以下では、固体電解質2aおよび燃料極4aはシート法を用い、空気極3aはスクリーン印刷を用いて燃料極支持型の発電セル1を製造する方法について具体的に説明する。
まず、固体電解質2a、空気極3aおよび燃料極4aを形成するための原料を準備し、これを塗料化して、各ペーストを調製する。
上記の原料として、上記した成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
また、上記の原料として、Niなどの導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等を用いてもよい。
各ペーストは、通常、上記の原料とバインダ樹脂と有機溶剤とを混練した有機系の塗料とされるが、溶剤を水とした水系の塗料であってもよい。各ペースト中には、必要に応じて可塑剤などの添加物が含有されていてもよい。
また、空気極3aおよび燃料極4aを多孔質材料とするために、空気極用ペーストおよび燃料極用ペーストには気孔形成剤が添加されてもよく。気孔形成剤としては、特に制限されないが、本実施形態では、焼成時の保持温度よりも低い温度で分解、気化する樹脂ビーズを用いる。
続いて、前述したペーストを用いて形成された第1燃料極層41aとなる図2(a)に示す第1燃料極用グリーンシート41を所定の形状に切り出し、グリーン体とする。
次に、このグリーン体を焼成して、図2(b)に示す第1燃料極焼結体41a’を得る。これを予備焼成という。予備焼成する前に脱バインダ処理を行ってもよい。焼成条件としては、保持温度T1が好ましくは1400〜1550℃、保持時間が好ましくは1〜6時間である。また、焼成時の雰囲気は大気中とすることが好ましい。
得られた第1燃料極焼結体41a’に、図1に示す第2燃料極層42aとなる図2(c)に示す第2燃料極用グリーンシート42と、図1に示す固体電解質2aとなる図2(c)に示す固体電解質用グリーンシート2とを、この順で積層し、更に圧着することで、図2(d)に示す積層体を得る。
この積層体を焼成(本焼成)して、図2(e)に示す燃料極/固体電解質焼結積層体を得る。焼成する前に脱バインダ処理を行ってもよい。焼成条件としては、保持温度T0が好ましくは1350〜1500℃、保持時間が好ましくは1〜6時間である。また、焼成時の雰囲気は大気中とすることが好ましい。
本焼成時の保持温度T0に対して、予備焼成時の保持温度T1は、同等または高いことが好ましく、1400〜1550度で高いことが好ましい。
本焼成時の保持温度T0に対して、予備焼成時の保持温度T1は、同等または高いことが好ましく、1400〜1550度で高いことが好ましい。
この燃料極/固体電解質焼結積層体の固体電解質2aの燃料極4aと接している面と反対側の主面に、たとえばスクリーン印刷法などにより、空気極3aとなる空気極用ペースト膜3を形成する。
空気極をスクリーン印刷により形成したあとに、固体電解質2aとの密着性を保つために焼付け処理を行い、燃料極支持型の発電セル1を得る。焼き付け条件としては、保持温度T2が好ましくは1000〜1200℃、保持時間が好ましくは1〜6時間である。また、焼成時の雰囲気は大気中とすることが好ましい。焼き付け温度は、前述した本焼成の保持温度T0よりも低いことが好ましい。
このようにして製造された本実施形態の発電セル1は、所望の出力が得られるように、セパレータを介して直列に接続され、スタックを形成し、固体酸化物形燃料電池に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。たとえば上述した実施形態において、燃料極4aを、単一の燃料極層で構成し、それを予備焼成しても良い。また、空気極3aは、ペーストの塗布・焼き付け処理以外で形成しても良い。たとえば、空気極用グリーンシートを形成し、他のグリーンシートおよび燃料極焼結体と共に同時に焼成しても良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
まず、発電セル1を製造するための原料を準備した。
固体電解質2aを構成する材料の原料として、8モル%Y2 O3 安定化ZrO2 (以下、8YSZという)粉末を準備した。8YSZ粉末:100重量部と、バインダ樹脂としてのブチラール:15重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):4重量部と、溶媒としてのアルコール:80重量部とをボールミルで混合・分散してペースト化し、固体電解質用ペーストを得た。得られたペーストを用いて、ドクターブレード法により、焼成後の厚みが表1に示す厚みとなるように固体電解質用グリーンシート2を形成した。
次いで、第1燃料極層41aを構成する材料の原料として、NiOと8YSZとが60:40の重量比で混合されたNiO/YSZ混合粉末を準備した。NiO/YSZ原料粉末:100重量部と、気孔形成剤としてのアクリルビーズ:20重量部と、バインダ樹脂としてのブチラール:7.5重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):4重量部と、溶媒としてのアルコール:80重量部とをボールミルで混合・分散してペースト化し、第1燃料極用ペーストを得た。得られたペーストを用いて、ドクターブレード法により、焼成後の厚みが表1に示す厚みとなるように第1燃料極用グリーンシート41を形成した。
次いで、第2燃料極層42aを構成する材料の原料として、NiOと8YSZとが60:40の重量比で混合されたNiO/YSZ混合粉末を準備した。NiO/YSZ原料粉末:100重量部と、気孔形成剤としてのアクリルビーズ:20重量部と、バインダ樹脂としてのブチラール:7.5重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):4重量部と、溶媒としてのアルコール:80重量部とをボールミルで混合・分散してペースト化し、第2燃料極用ペーストを得た。得られたペーストを用いて、ドクターブレード法により、焼成後の厚みが表1に示す厚みとなるように第2燃料極用グリーンシート42を形成した。
次いで、上記で作製した第1燃料極用グリーンシート41を、焼成後にφ30mmとなるように打ち抜くことにより、グリーン体を得た。
得られたグリーン体を、予備焼成温度:表1に示す温度、保持時間:5時間、焼成雰囲気:大気中の条件で焼成し、第1燃料極焼結体41a’を得た。
得られたφ30mmの第1燃料極焼結体41a’とφ30mmで打ち抜かれた第2燃料極用グリーンシート42、固体電解質用グリーンシート2を順に積層し、温間等方圧プレスにて、保持温度:70℃、保持圧力:147MPa、保持時間:1minで圧着し、積層体を得た。
得られた積層体を、積層体焼成温度:表1に示す温度、保持時間:5時間、焼成雰囲気:大気中の条件で焼成し、φ30mmの燃料極/固体電解質焼結積層体を得た。
次いで、空気極3を構成する材料の原料として、La0.6 Sr0.4 Co0.2 Fe0.8 O3 (以下、LSCF6428ともいう)粉末を準備した。LSCF6428粉末:100重量部と、気孔形成剤としてのアクリルビーズ:20重量部と、バインダ樹脂としてのブチラール:7.5重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):4重量部と、溶媒としてのアルコール:80重量部とをボールミルで混合・分散してペースト化し、空気極用ペーストを得た。
得られたφ30mmの燃料極/固体電解質焼結積層体の固体電解質2aの燃料極4aと接している面と反対側の主面に、スクリーン印刷により、LSCF6428粉末を含む空気極用ペーストを塗布し、焼成温度:1100℃、保持時間:5時間、焼成雰囲気:大気中の条件で再度焼成し、固体電解質と焼付けを行い、燃料極支持型の発電セル1を得た。
得られた発電セル1について、反りを評価するために下記に示す方法により行った。
<反り評価>
得られた発電セル1を平らなスタンドを備えるダイヤルゲージを用いて、燃料極面、空気極面それぞれの中心の厚みを測定し反り量を算出した。具体的には、セルの反りは、固体電解質側に凸となり、固体電解質を上に向けて測定した厚みから、燃料極を上に向けて測定した厚みを引いた値をセルの反り量として評価した。反り量が200μm以上あるセルにおいて、発電セッティング時に割れを生じることがあることがわかっている。
得られた発電セル1を平らなスタンドを備えるダイヤルゲージを用いて、燃料極面、空気極面それぞれの中心の厚みを測定し反り量を算出した。具体的には、セルの反りは、固体電解質側に凸となり、固体電解質を上に向けて測定した厚みから、燃料極を上に向けて測定した厚みを引いた値をセルの反り量として評価した。反り量が200μm以上あるセルにおいて、発電セッティング時に割れを生じることがあることがわかっている。
表1より、試料番号1(比較例)では、第1燃料極用グリーンシートの予備焼成を行わずに、第1燃料極用、第2燃料極用および固体電解質用の各グリーンシートを積層・圧着し、同時焼成した燃料極支持型の発電セルの反り量を示し、200μm以上反ることが確認できた。たとえば図3に示すように反る。
これに対し、試料番号2(実施例)では、第1燃料極用グリーンシート41を予備焼成したのちに積層体として焼成することで、反りは60μmまで大幅に低減できることが確認できた。また、600°C以下での低温での発電効率も良好であった。
また、試料番号3〜12では、反りが200μm以下でセルを形成でき、発電時に割れやクラックを生じないことが確認され、試料番号2と同等な発電特性が得られることが確認できた。また、試料番号13では第2燃料極層を形成しておらず、発電性能は若干低下するものの、反りの抑制は確認できた。
1… 燃料極支持型の発電セル
2a… 固体電解質
3a… 空気極
4a… 燃料極
41a… 第1燃料極層
42a… 第2燃料極層
2a… 固体電解質
3a… 空気極
4a… 燃料極
41a… 第1燃料極層
42a… 第2燃料極層
Claims (4)
- 固体電解質と、前記固体電解質の一方の主面に形成された空気極と、前記固体電解質の他方の主面に形成された燃料極と、を備える燃料極支持型の発電セルの製造方法であって、
前記燃料極の少なくとも一部となる燃料極用グリーンシートを形成し、前記燃料極用グリーンシートを予備焼成して燃料極焼結体を形成する工程と、
前記固体電解質となる前記固体電解質用グリーンシートを、前記燃料極焼結体に直接または間接的に積層し積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼成して、燃料極/固体電解質焼結積層体を得る工程と、を備えることを特徴とする燃料極支持型の発電セルの製造方法。 - 前記燃料極は、主にセルの強度を支持する第1燃料極層と、主に電極反応を司る第2燃料極層とで構成され、
前記第1燃料極層となる第1燃料極用グリーンシートを予備焼成して第1燃料極焼結体を形成し、
前記第2燃料極層となる第2燃料極用グリーンシートと、前記固体電解質用グリーンシートとを、前記第1燃料極焼結体に積層して前記積層体を形成し、
前記積層体を焼成して、前記燃料極/固体電解質焼結積層体を得ることを特徴とする請求項1に記載の燃料極支持型の発電セルの製造方法。 - 前記燃料極焼結体または前記第1燃料極焼結体の予備焼成は、少なくとも前記燃料極/固体電解質焼結積層体を得る焼成温度以上の温度で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料極支持型の発電セルの製造方法。
- 前記燃料極/固体電解質焼結積層体における前記固体電解質の前記燃料極と接している面と反対側の主面に、前記空気極となる空気極用ペーストを塗布し、焼き付け処理を行うことにより前記空気極を形成する請求項1〜3のいずれかに記載の燃料極支持型の発電セル。
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JP2011046572A JP2012185928A (ja) | 2011-03-03 | 2011-03-03 | 燃料極支持型の発電セルの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015128001A (ja) * | 2013-12-27 | 2015-07-09 | Toto株式会社 | 固体酸化物型燃料電池 |
JP2017533540A (ja) * | 2014-08-28 | 2017-11-09 | コリア インスティチュート オブ インダストリアル テクノロジー | 単相ペロブスカイト系固体電解質、これを含む固体酸化物燃料電池、及びその製造方法 |
JP2020128324A (ja) * | 2019-02-08 | 2020-08-27 | 森村Sofcテクノロジー株式会社 | セラミックスグリーンシート、セラミックス焼結体の製造方法、および、電気化学反応単セルの製造方法 |
-
2011
- 2011-03-03 JP JP2011046572A patent/JP2012185928A/ja not_active Withdrawn
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