JP2013229311A - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐久性が高く、かつ、作動温度が比較的低い場合においても高い出力を示す、固体酸化物形燃料電池を提供する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池1のカソード10は、第1の層11と第2の層12と、を含む。第1の層11は、元素比が(LaXSr1-X1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトと、スカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアである酸素イオン伝導性材料とを含む。第2の層12は、元素比が(LaXSr1-X1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトを主成分として含む。第2の層12における酸素イオン伝導性材料の含有率は、第1の層11における酸素イオン伝導性材料の含有率よりも低い。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池に関する。
近年、燃料電池は、クリーンエネルギー源として注目されている。燃料電池のうち、電解質に固体のセラミックを使用している固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」ということがある)は、作動温度が高いため排熱を利用でき、さらに高効率で電力を得ることができる等の長所を有しており、家庭用電源から大規模発電まで幅広い分野での活用が期待されている。
SOFCは、基本構造として、カソード(空気極)とアノード(燃料極)との間にセラミックからなる固体電解質層が配置された構造を有する。例えば平型のSOFCは、カソード、固体電解質層、及びアノードを重ね合せたものを単セルとし、この単セルがインターコネクターを挟んで複数積み重ねられることによって高出力を得る。このような平型のSOFCには、電解質を支持体としてセルの強度を維持する電解質支持型セル(ESC)とアノードを支持体としてセルの強度を維持するアノード支持型セル(ASC)とがある。
ところで、SOFCのカソードの材料として、元素比が(LaXSr1-X1-aMn(X
の範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイト(以下、「LSM」ということがある)と安定化ジルコニアなどの酸素イオン伝導性材料との混合物を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。このLSMと酸素イオン伝導性材料との混合物であるカソードは、耐久性に優れるという利点を有するものの、作動温度が比較的低い温度(例えば、800℃未満)では十分な性能を得にくく、比較的高い温度(例えば800℃以上)で作動させる必要がある。
また、特許文献2には、LaMnO3系ペロブスカイト型酸化物とイットリア安定化ジルコニアとの配合量が異なる多層膜で空気極を構成したSOFCが開示されている。ここで、特許文献2の実施例には、LaMnO3系ペロブスカイト型酸化物として、LaSrMnO3が用いられている。
特表平8−507639号公報 特開平4−14762号公報
本発明は、耐久性が高く、かつ、作動温度が比較的低い場合においても高い出力を示す、SOFCを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために本発明は、
カソードと、
アノードと、
前記カソードと前記アノードとの間に配置された電解質層と、を備え、
前記カソードは、前記電解質層側に配置された第1の層と前記第1の層に対して前記電解質層と反対側に配置された第2の層と、を含み、
前記第1の層は、元素比が(LaXSr1-X1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトと、スカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアである酸素イオン伝導性材料とを含み、
前記第2の層は、元素比が(LaXSr1-X1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、a
の範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトを主成分として含み、
前記第2の層における前記酸素イオン伝導性材料の含有率は、前記第1の層における前記酸素イオン伝導性材料の含有率よりも低い、
固体酸化物形燃料電池を提供する。
本発明の固体酸化物形燃料電池では、カソードが、LSMとスカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアである酸素イオン伝導性材料とを含む第1の層と、LSMを主成分として含む第2の層とを有している。また、第2の層における上記の酸素イオン伝導性材料の含有率は第1の層における酸素イオン伝導性材料の含有率よりも低い。これにより、本発明の固体酸化物形燃料電池は、カソードがLSMと酸素イオン伝導性材料とを含むにも関わらず、比較的低い作動温度で高い出力を示す。また、本発明の固体酸化物形燃料電池は、カソードとしてLSMが用いられているので高い耐久性を示す。従って、本発明によれば、耐久性が高く、かつ、作動温度が比較的低い場合においても高い出力を示す、SOFCを提供することができる。
本発明に係るSOFCの一実施形態を模式的に示す断面図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれによって限定されるものではない。
図1に、本実施形態のSOFC1の断面図を示す。本実施形態のSOFC1は、カソード10と、アノード30と、カソード10とアノード30との間に配置された電解質層20とを備えている。なお、本実施形態では、ASCを例に挙げて説明する。
まず、カソード10について具体的に説明する。
カソード10は、第1の層11と第2の層12の2層構造となっている。第1の層11が電解質層20側に配置されている。第2の層12は第1の層11に対して電解質層20の反対側に配置されている。第1の層11は、LSMと酸素イオン伝導性材料とを含む層である。第2の層12は、LSMを主成分として含む層である。
第1の層11は電気化学反応が実質的に行われる層であり、カソード活性層ということもできる。第1の層11は、LSMと酸素イオン伝導性材料以外の成分、例えば、白金や銀などを含んでいてもよい。第1の層11に含有が許容される、LSMと酸素イオン伝導性材料以外の成分の含有率は、例えば5質量%以下であり、4質量%以下がより望ましく、3質量%以下がさらに望ましい。特に、第1の層は、LSMと酸素イオン伝導性材料以外の成分を実質的に含まないことが望ましい。ここで、実質的に含まないとは、その成分の含有率が1質量%以下であることを意味する。とりわけ、第1の層11は、LSM及び酸素イオン伝導材料以外の成分を全く含まず、LSMと酸素イオン伝導性材料のみからなることが望ましい。
第1の層11に含まれる酸素イオン伝導性材料は、スカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアである。スカンジア安定化ジルコニアは、例えば、4〜11モル%のスカンジアで安定化されたジルコニアである。スカンジア安定化ジルコニアにドープされる金属酸化物は、例えば、CeO2、Al23、Bi23である。好ましい酸素イオン伝導性材料としては、(Sc230.10(CeO20.01(ZrO20.89を挙げることができる。これらの材料が2種以上混合されて用いられてもよく、単独で用いられてもよい。本実施形態のように、第1の層11に含まれる酸素イオン伝導性材料がスカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアであると、他の酸素イオン伝導性材料(例えば、イットリア安定化ジルコニア)を第1の層11に含む場合と比較して、SOFC1全体の出力が高まる。
高い出力を示すSOFCを得る観点から、第1の層11の厚さは、第1の層11で電気化学反応が実質的に起こることを考慮して、例えば2.5〜40μmの範囲が望ましい。第1の層11の厚さが2.5μm以上であると、反応場である気相/LSM/酸素イオン伝導性材料の三相界面が増加するので、SOFCの出力を高めることができる。また、第1の層11の厚さが40μm以下であると、電気化学反応の反応場へガス(空気)を効率的に供給できるので、SOFCの出力を高めることができる。SOFCの出力をより高める観点から、第1の層11の厚さは、2.5〜35μmの範囲がより望ましく、3〜27μmの範囲がさらに望ましく、4〜18μmの範囲がとりわけ望ましい。
第1の層11に含まれる酸素イオン伝導性材料の含有率は、51質量%以上80%以下とするのが望ましく、52質量%以上75質量%以下とするのがより望ましく、55質量%以上70質量%以下とするのがさらに望ましい。第1の層11に含まれる酸素イオン伝導性材料の含有率が51質量%以上であると、SOFC1は高い出力を示し、55質量%以上70質量%以下とすれば、さらに高い出力を示す。
また、第1の層11について、材料の抵抗率の抑制と、LSMと電解質との熱膨張率の差によるSOFCの作製または稼働の際に発生する電極剥がれの抑制とのバランスを図るという観点から、第1の層11に含まれる酸素イオン伝導性材料の含有率は以下の範囲であってもよい。すなわち、第1の層11酸素イオン伝導性材料の含有率は10質量%以上49質量%以下とするのが望ましく、15質量%以上47質量%以下とするのがより望ましく、20質量%以上45質量%以下とするのが望ましい。
第1の層11は、厚さ方向に対して酸素イオン伝導性材料の濃度が均一であってもよく、変化していてもよい。第1の層11の厚さ方向の酸素イオン伝導性材料の濃度が変化する場合には、電解質層20から離れるほど酸素イオン伝導性材料の濃度が低くなっていてもよい。
第2の層12は、電流及び空気を第1の層11に送り込むための層であり、カソード集電層ということもできる。第2の層12は、LSMを主成分として含む層である。ここで、「主成分」とは、第2の層12において60質量%以上含まれる成分をいう。第2の層12における酸素イオン伝導性材料の含有率は、第1の層11における酸素イオン伝導性材料の含有率よりも低い。第2の層12に含まれる酸素イオン伝導性材料の含有量は、例えば、40質量%以下であり、35質量%以下が望ましく、30質量%以下がより望ましい。第2の層12には酸素イオン伝導性材料が実質的に含まれないことがさらに望ましい。ここで、「実質的に含まれない」とは、酸素イオン伝導性材料の含有量が1質量%以下の場合を指す。第2の層12は、酸素イオン伝導性材料が全く含まれないことがとりわけ望ましい。ここで、第2の層12における酸素イオン伝導性材料とは、第1の層11に含まれる酸素イオン伝導性材料と同様の材料を意味する。
第2の層12の酸素イオン伝導性材料の含有率が第1の層11の酸素イオン伝導性材料の含有率より低いため、第2の層12は良好な電子伝導性を示す。従って、第1の層11に効率的に電子が送り込まれ、第1の層11における電気化学反応が高い活性を示す。このことに起因して、SOFC1全体で高い出力を得ることができる。特に、第2の層12に酸素イオン伝導性材料が実質的に含まれていないと、第2の層12はとりわけ良好な電子伝導性を示し、SOFC1の出力をより高めることができる。
第2の層12の厚さは、良好な電子伝導性を達成する観点から、例えば2.5μm以上である。第2の層12の厚さが2.5μm以上であると、第1の層11の全面を均質に覆うように第2の層12を形成できるので、良好な電子伝導性が達成される。また、第2の層12の厚さは、電気化学反応の反応場へガス(空気)を効率的に供給するために、例えば、100μm以下である。第2の層12の厚さが100μm以下であると、多孔構造を維持しつつ第2の層12自体の電気的な損失を少なくできるので、電気化学反応の反応場へガス(空気)を効率的に供給しつつ、カソードの電気的な損失を低減できる。これらの特性をより向上させる観点から、第2の層12の厚さは、望ましくは4〜50μmであり、より望ましくは5〜40μmである。
第2の層12の厚さT2に対する第1の層11の厚さT1の比(T1/T2)が所定の範囲にあると、良好な電気化学反応の進行、良好な電子伝導性、及び電気化学反応の反応場への効率的なガス(空気)の供給の全てを達成しやすい。さらに、T1/T2が所定値以上(例えば0.0250)であると、第2の層12の表面から実質的な反応場である三相界面までの距離が短くなるので、反応場へガス(酸素)を効率的に供給できる。また、第1の層11を均質に成膜できるので、反応場である三相界面の偏りを少なくできる。このため、高い性能のSOFCを提供することができる。また、T1/T2が所定値(例えば15.5)以下であると、カソード10の表面から実質的な反応場である三相界面までの距離が短いので、反応場へガス(酸素)を効率的に供給できる。また、第1の層11の全面を均質に覆うように第2の層12を形成できる。このため、良好な電子伝導性を達成し、高い性能のSOFCを提供できる。このような観点から、T1/T2は、例えば0.0250〜15.5であり、望ましくは0.0500〜10であり、より望ましくは0.0625〜8である。
また、本実施形態のSOFC1は、カソード10としてLSMと酸素イオン伝導性材料との混合物を用いているにもかかわらず、比較的低い作動温度を実現している。このことにより、単セル同士の間に積層されるインターコネクターのような周辺部品を金属材料で作製することができるようになる。金属材料は安価で加工がしやすいため、低コストでSOFCを用いた発電装置を実現することができる。
従来、比較的低い作動温度を実現するために、カソードとして、La1-YSrYCo1-ZFeZ3(Yの範囲:0.1〜0.5、Zの範囲:0.2〜0.8)で表わされるランタンストロンチウムコバルトフェライト(以下、「LSCF」ということがある)を用いることが知られている。しかし、このLSCFを用いたカソードは耐久性が低い。本実施形態のSOFC1は、カソードとしてLSMと酸素イオン伝導性材料との混合物を用いているので、LSCFをカソードとして用いるSOFCよりも高い耐久性を示す。
ところで、第1の層11は電気化学反応が実質的に行われる層である。電極材料であるLSM、酸素イオン伝導性材料、及び気相の三相界面が多いほど電気化学反応が活発になり、SOFC1の高出力の実現に寄与する。第1の層11の形成にはLSMの粉体材料が用いられる。このLSMの粉体材料の平均粒子径が小さいと上述の三相界面が増えて、SOFC1の高出力の実現に有利である。この観点から、第1の層11の形成に用いられるLSMの粉体材料の望ましい平均粒子径は、例えば2.0μm以下である。
第2の層12は、第1の層11に電子を送り込むとともに空気を送り込む層でもある。従って、第2の層12において空気の拡散性を確保することがSOFC1の高出力の実現に有利である。第2の層12の形成にはLSMの粉体材料を用いる。第2の層12における空気の拡散性を考慮すると、このLSMの粉体材料の平均粒子径は、所定の大きさを有していることが望ましい。この観点から、第2の層12の形成に用いられるLSMの粉体材料の望ましい平均粒子径は、例えば0.5μm以上20μm以下である。
なお、本明細書において、平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定法により測定した粒度分布において、体積累積が50%に相当する粒径(D50)を意味する。
アノード30は、SOFC1の強度を確保するためのアノード支持体として機能する。そして、支持体としてのアノード30上に電解質層20及びカソード10が設けられる。アノード30は、例えば、アノード支持基板31と、アノード支持基板31上に配置されたアノード層32とによって構成される。なお、アノード支持基板31自体がアノードとして十分に作用しうる場合には、アノード層32が設けられない場合もある。
アノード支持基板31及びアノード層32には、ASCのアノードに使用可能な公知の材料を用いることができる。詳しくは、アノード30は、導電性を与えるための導電成分と、骨格成分となるセラミック質とを、主たる構成材料として含んでいる。
上述の導電成分としては、ニッケル、コバルト、鉄、白金、パラジウム、ルテニウム等の金属;酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄のように燃料電池稼動時の還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物、あるいはこれらの酸化物を2種以上含有するニッケルフェライトやコバルトフェライトのような複合金属酸化物、が使用される。これらは単独で使用し得るほか、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用できる。これらの中でも、金属ニッケル、金属コバルト、金属鉄、又はこれらの酸化物が望ましい。
上述の骨格成分としては、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、チタニア、窒化アルミニウム、ムライト等の単独もしくは複合物が使用される。これらの中でも最も汎用性の高いのは安定化ジルコニアである。安定化ジルコニアとしては、ジルコニアに、安定化剤としてMgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属の酸化物;Y23、La23、CeO2、Pr23、Nd23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Er23、Tm23、Yb23等の希土類元素の酸化物;Sc23;Bi23;及びIn23等から選ばれる少なくとも何れか1種の酸化物を固溶させたもの、あるいは更に、これらに分散強化剤としてアルミナ、チタニア、Ta25、及びNb25等が添加された分散強化型ジルコニア等が望ましいものとして例示される。また、骨格成分として、CeO2又はBi23に、CaO、SrO、BaO、Y23、La23、Ce23、Pr23、Nb23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dr23、Ho23、Er23、Yb23、PbO、WO3、MoO3、V25、Ta25、及びNb25から選ばれる少なくとも何れか1種を添加した、セリア系又はビスマス系セラミックも使用可能である。また、LaGaO3のようなガレート系セラミックも使用可能である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、骨格成分としては、安定化ジルコニア、セリア系セラミック、及びランタンガレートが望ましく、安定化ジルコニアがより望ましく、特に望ましいのは2.5〜12モル%のイットリアで安定化されたジルコニア、3〜15モル%のスカンジアで安定化されたジルコニア、4〜15モル%のイッテルビアで安定化されたジルコニアである。
アノード支持基板31及びアノード層32の厚さは特に限定されず、一般的なASCのアノード支持基板及びアノード層と同様である。例えばアノード支持基板31の厚さは150μm〜1500μmである。また、アノード層32の厚さは5μm〜30μmである。
電解質層20には、一般的なSOFCの電解質層を適用できるので、その材料は特に限定されない。詳しくは、電解質層20は、セラミック質を主成分として含む。セラミック質としては、通常、SOFCの電解質層の材料として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、イットリア、セリア、スカンジア、イッテルビア等で安定化されたジルコニア;イットリア、サマリア、ガドリニア等がドープされたセリア;ランタンガレート、及びランタンガレートのランタン又はガリウムの一部がストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅等で置換されたランタンガレート型ペロブスカイト構造酸化物等を使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、イットリア、スカンジア、イッテルビア等で安定化されたジルコニアが好適である。
特に、セラミック質として、3モル%以上10モル%以下のイットリアで安定化されたジルコニア、4モル%以上12モル%以下のスカンジアで安定化されたジルコニア、4モル%以上15モル%以下のイッテルビアで安定化されたジルコニア、8〜12モル%のスカンジアと0.5〜5モル%のセリアで安定化されたジルコニアを用いることが望ましい。また、これらの安定化ジルコニアに、アルミナ、シリカ、チタニア等を焼結助剤や分散強化剤として添加した材料も好適に用いることができる。
電解質層20の厚さは、一般的なASCの電解質層と同様であり、例えば5μm〜30μmである。
次に、本実施形態のSOFC1の製造方法について説明する。
カソード10(第1の層11及び第2の層12)、アノード支持基板31、アノード層32、及び電解質層20の各層は、それぞれ、これらを構成する材料の粉体に、バインダー及び溶剤を添加し、さらに必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤、及び消泡剤等を添加してスラリー又はペーストを調製し、このスラリー又はペーストを用いてグリーンシート又はグリーン層を形成し、これらを乾燥及び焼成することによって得ることができる。
SOFC1においては、まずアノード支持基板31が準備され、その上にアノード層32、電解質層20、第1の層11、及び第2の層12がこの順に形成されることによって製造される。
アノード支持基板31を構成する材料の粉末に、バインダー及び溶剤を添加し、さらに必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤、及び消泡剤等を添加してスラリーを調製する。このスラリーをシート状に成形した後に乾燥させてグリーンシートを作製する。このグリーンシートを焼成することによってアノード支持基板31を得ることができる。焼成温度等の焼成条件は、アノード支持基板31に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。また、アノード支持基板31用のスラリーの作製に用いられるバインダー及び溶剤等の種類には制限がなく、従来のSOFCのアノードの製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。
アノード支持基板31の一方の主面上に、アノード層32用のペーストを所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させることによってアノード層32用のグリーン層が形成される。そのグリーン層を焼成することによって、アノード層32が得られる。焼成温度等の焼成条件は、アノード層32に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。また、アノード層32の材料は、上記で説明したとおりである。また、アノード層32用のペーストの作製に用いられるバインダー及び溶剤等の種類には制限がなく、従来のSOFCのアノードの製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。
アノード層32上に、電解質層20用のペーストを所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させることによって電解質層20用のグリーン層が形成される。そのグリーン層を焼成することによって、電解質層20が得られる。焼成温度等の焼成条件は、電解質層20に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。また、電解質層20の材料は、上記で説明したとおりである。また、電解質層20用のペーストの作製に用いられるバインダー及び溶剤等の種類には制限がなく、従来のSOFCの電解質層の製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。なお、電解質層20用のグリーン層を、アノード層32用のグリーン層を焼成する前に当該グリーン層上に形成して、アノード層32のグリーン層と電解質層20のグリーン層とを同時に焼成することも可能である。
また、次の方法のように、アノード支持基板31のグリーンシート、アノード層32のグリーン層及び電解質層20のグリーン層を同時に焼成する方法もよく用いられる。すなわち、アノード支持基板31のグリーンシート上にアノード層32用のペーストを所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させることによってアノード層32用のグリーン層を形成する。その後、アノード層32のグリーン層上に、さらに電解質層20用のペーストを所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させる。こうして、アノード支持基板31のグリーンシート、アノード層32のグリーン層、及び電解質層20のグリーン層からなる三層のグリーン層が形成される。これらを同時に焼成する。焼成温度等の焼成条件は、アノード支持基板31のグリーンシート、アノード層32のグリーン層、及び電解質層20のグリーン層に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。
次に、上記の方法で作製されたアノード支持基板31、アノード層32、及び電解質層20からなるハーフセルの電解質層20上に、第1の層11及び第2の層12を形成する。
第1の層11を構成する材料、ここでは、LSMと酸素イオン伝導性材料の粉末に、バインダー及び溶剤を添加し、さらに必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤、及び消泡剤等を添加してペーストを作製する。このペーストをハーフセルの電解質層20上に塗布して乾燥させて第1の層11用のグリーン層を形成する。
第2の層を構成する材料、ここでは、LSMの粉末にバインダー及び溶剤を添加し、さらに必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤、及び消泡剤等を添加してペーストを作製する。このペーストを上記第1の層11用のグリーン層上に塗布して乾燥させて第2の層12用のグリーン層を形成する。第1の層11のグリーン層及び第2の層12のグリーン層が積層されたハーフセルを焼成することによって、SOFC1を得ることができる。焼成温度の条件は、第1の層11及び第2の層12に用いられる材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。また、第1の層11用のペースト及び第2の層12用のペーストの作製に用いられるバインダー及び溶剤等の種類には制限がなく、従来のSOFCのカソードの製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択できる。
なお、第1の層11はLSMと酸素イオン伝導性材料の粉末の混合比を変化させて調製した複数のペーストを用いて、塗布と乾燥を繰り返して複数層からなる第1の層11のグリーン層を形成することとしてもよい。この場合の第1の層11のグリーン層において、電解質層20から離れるほど酸素イオン伝導性材料の粉末の含有量を少なくすればよい。これにより、厚み方向で酸素イオン伝導性材料の濃度を低下させた第1の層11を有する、SOFC1を製造することができる。
以下では、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
(アノード支持基板グリーンシートの作製)
導電成分としての酸化ニッケル(正同化学社製)60質量部、骨格成分としての3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製、商品名「TZ3Y」)40質量部、空孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGP−3)10質量部、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量部)30質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部、及び分散媒としてトルエン/イソプロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶剤80質量部を、ボールミルにより混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、70℃で5時間乾燥させて、厚さ300μmのアノード支持基板グリーンシートを作製した。
(アノード層用ペーストの作製)
導電成分としての酸化ニッケル(キシダ化学社製)36質量部、骨格成分としての8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素社製、商品名「HSY−8.0」)24質量部、気孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGP−3)2質量部、溶剤としてのα−テルピネオール(和光純薬工業社製)36質量部、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業社製)4質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業社製)6質量部、及び分散剤としてのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤4質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、アノード層用ペーストを作製した。
(電解質層用ペーストの作製)
セラミックス質としての8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素社製、商品名「HSY−8.0」)60質量部、バインダーとしてエチルセルロース(和光純薬工業社製)を5質量部、溶剤としてα−テルピネオール(和光純薬工業社製)を40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業社製)を6質量部、及び分散剤としてソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成工業社製、商品名「イオネットS−80」)5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、電解質層用ペーストを作製した。
(アノード層用グリーン層の形成)
アノード層用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得たアノード支持基板グリーンシートに、厚さ20μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、アノード層用グリーン層を形成した。
(電解質層用グリーン層の形成)
上記電解質層用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得たアノード層用グリーン層
上に、厚さ15μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させた。
(焼成)
上記電解質層用ペーストの乾燥後、上記で得た電解質層用グリーン層及びアノード層用グリーン層が塗布されたアノード支持基板グリーンシートを焼成後の1辺が6cmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、それぞれを1300℃で2時間焼成してハーフセルを得た。
(LSM粉末の調製)
上記第1の層であるカソード活性層及び上記第2の層であるカソード集電層に用いられるLSM粉末を以下の通り調製した。市販の純度99.9%のLa23、SrCO3、及びMn23の粉末を元素比がLa0.8Sr0.2Mnとなるように混合した。得られた混合物にエタノールを加えて、これをビーズミルで1時間粉砕混合した。次いで、得られた混合物を乾燥させてから、800℃で1時間仮焼した。仮焼後の混合物に対し、さらにエタノールを加えてビーズミルで1時間粉砕混合してから、乾燥させた。その後、1200℃で混合物を5時間固相反応させることによって、粉末を得た。
得られた粉末にエタノールを加え、さらにこれをボールミルで10時間粉砕混合してから乾燥させて、LSM粉末を得た。なお、得られた粉末はX線回折によって、ペロブスカイトからなる単一相であることが確認された。さらにその後、遊星ボールミルを用い、回転数と回転時間を調製しながら粉砕することによって、平均粒子径(D50)が0.49μmのカソード活性層用の粉体材料(第1粉体材料)及び平均粒子径(D50)が1.90μmのカソード集電層用の粉体材料(第2粉体材料)を得た。
(カソード活性層用のペーストの調製)
上記の第1粉体材料50質量部、酸素イオン伝導材料の粉末として第一稀元素社製(Sc230.10(CeO20.01(ZrO20.89(以下、「ScSZ」という)50質量部、バインダーとしてエチルセルロース3質量部、及び溶剤としてα−テルピネオール30質量部を、乳鉢を用いて混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて混練し、カソード活性層用のペーストを得た。
(カソード集電層用のペーストの調製)
カソード集電層用のペーストは粉体として第2粉体材料のみを用い、その他はカソード活性層用のペーストと同様の方法によって作製された。
(カソード活性層及びカソード集電層の形成)
ハーフセルの電解質層の表面に、スクリーン印刷により、カソード活性層用のペーストを1cm×1cmの正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、カソード活性層用グリーン層を形成した。その後、カソード活性層用グリーン層上に、スクリーン印刷により、カソード集電層用のペーストを1cm×1cmに正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、カソード集電層用グリーン層を形成した。その後、積層された2層のグリーン層を、1150℃で2時間焼成した。これにより、実施例1に係るSOFCを得た。実施例1に係るSOFCのカソード活性層(第1の層)は、50質量%のLSMと、50質量%の酸素イオン伝導性材料であるScSZとからなる。また、実施例1に係るSOFCのカソード集電層(第2の層)は、ScSZを全く含んでおらず、LSMのみからなる。
<実施例2〜実施例6>
実施例1のカソード活性層用のペーストの調製において、カソード活性層中のLSM濃度が表1に記載の通りとなるように、第1粉体材料とScSZの混合比を調製した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6のSOFCを作製した。
<実施例7〜14>
ハーフセルの電解質層の表面にカソード活性層用のペーストを塗布するときのスクリーン印刷の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のSOFCを作製した。また、カソード活性層の形成におけるスクリーン印刷の条件、カソード活性層の形成における印刷と乾燥の繰り返し数、カソード活性層用のペーストの溶媒添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例8〜14のSOFCを作製した。
<実施例15〜18>
カソード活性層用グリーン層の表面にカソード集電層用のペーストを塗布するときのスクリーン印刷の条件を変更したこと以外は、実施例7と同様にして、実施例15〜17のSOFCを作製した。また、カソード集電層の形成におけるスクリーン印刷の条件や、印刷と乾燥との繰り返し回数を変更した以外は実施例8と同様にして実施例18のSOFCを作製した。
<比較例1>
実施例1において、カソード集電層の塗布を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のSOFCを作製した。
<比較例2、3>
カソード活性層中のLSM濃度が表1に記載の通りとなるように、第1粉体材料とScSZの混合比を調製した以外は、比較例1と同様にして、比較例2及び比較例3のSOFCを作製した。
<比較例4>
作動温度が800度未満のSOFCで一般的に用いられているLSCFをカソードとしたアノード支持型のSOFCの作製を行った。
LSCFは電解質であるジルコニアとの反応性が高く、両者が直接接触した状態で、焼付を行うと、高い絶縁物質を作り、著しい性能低下を起こすことが知られている。そこで、本比較例では、絶縁層の生成を防止することを目的として、ガドリニアをドープしたセリアをバリア層として電解質とカソード層との間に介在させて、LSCFをカソードとするアノード支持型のSOFCを作製した。
(バリア層用のペーストの作製)
セラミック質として、10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉末(阿南化成株式会社製)60質量部、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業株式会社製)5質量部、溶剤としてのα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製)40質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業株式会社製)6質量部、及び分散剤としてのソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、商品名「イオネットS−80」)5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質;アルミナ)を用いて解砕した。これにより、バリア層用ペーストを得た。
(バリア層用グリーン層の形成)
実施例1と同様にして、アノード支持基板グリーンシート上に、アノード層のグリーン層を、アノード層のグリーン層上に、電解質層のグリーン層を形成した。さらに、電解質層のグリーン層上に上記のバリア層用ペーストを、スクリーン印刷により厚さ3μm以下となるように印刷した。これを100℃で30分間乾燥させることによって、バリア層用グリーン層を形成した。
(焼成)
バリア層用ペーストの乾燥後、上記で得たバリア層用グリーン層、電解質層用グリーン層、アノード層用グリーン層が形成されたアノード支持基板用のグリーンシートを、焼成後の1辺が60mmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、1300℃で2時間焼成してバリア層を有するハーフセルを得た。
(LSCFの粉体材料の調製)
LSCFカソードの原料となる粉体材料として、市販の純度99.9%のLa23、SrCO3、純度99%のCoO及びFe23の粉末を元素比がLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8となるように混合した。得られた混合物にエタノールを加えて、これをビーズミルで1時間粉砕混合した。次いで、得られた混合物を乾燥させてから、800℃で1時間仮焼した。仮焼後の混合物に対し、さらにエタノールを加えてビーズミルで1時間粉砕混合してから、乾燥させた。その後、1200℃で混合物を5時間固相反応させることによって、粉末を得た。
得られた粉末にエタノールを加え、さらに、これをボールミルで10時間粉砕混合してから乾燥させて、粉末を得た。なお、得られた粉末は、X線回折によって、ペロブスカイトからなる単一相であることが確認された。さらにその後、遊星ボールミルを用い、回転数と回転時間とを調製しながら粉砕することによって、平均粒子径(D50)が0.52μmを有する、LSCF粉末を得た。
(カソード層用ペーストの調製)
上記の方法で調製されたLSCF粉末に対して、バインダーとしてのエチルセルロースが3質量%、溶剤としてのα−テルピネオールが30質量%の割合となるように加え、これを乳鉢を用いて混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて混練し、カソード層用ペーストを得た。
(LSCFカソードの形成)
上記バリア層を有するアノード支持型ハーフセルのバリア層面に、スクリーン印刷により、上記カソード層用ペーストを1cm×1cmの正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、カソード層用グリーン層を形成した。このカソード層用グリーン層を、1000℃で2時間焼成し、比較例4に係るSOFCを得た。
<比較例5〜9>
実施例7のカソード活性層用のペーストの調整において、酸素イオン伝導性材料の粉末としてScSZの代わりに、イットリア安定化ジルコニア(Y230.10(ZrO20.90(第一稀元素化学工業社製、以下「YSZ」という)を使用した以外は、実施例7と同様にして、比較例5のSOFCを作製した。比較例5のSOFCにおいて、カソード活性層(第1の層)は、50質量%のLSMと、50質量%のYSZとからなる。また、ハーフセルの電解質層の表面にカソード活性層用のペーストを塗布するときのスクリーン印刷の条件を変更した以外は、比較例5と同様にして、比較例6のSOFCを作製した。また、カソード活性層の形成におけるスクリーン印刷の条件、カソード活性層の形成における印刷と乾燥の繰り返し数を変更した以外は比較例5と同様にして、比較例7〜9のSOFCを作製した。
<電池性能評価試験>
各実施例及び比較例1〜3、5〜9のSOFCについて以下の方法で電池性能を評価した。SOFCのアノードに100mL/分の窒素を、カソードに100mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、アノード、カソードの出口側のガスについて、流量計で、流量を測定し、漏れが無いことを確認した。
次いで、水素を6mL/分、窒素を194mL/分の加湿した混合ガスをアノードへ、400mL/分の空気をカソードへ供給した。10分以上経過後に起電力が発生し、漏れが無いことを再度確認した後、アノード側のガスを、加湿水素を200mL/分の流量でアノードへ供給し、起電力が安定してから、10分以上経過後に電流−電圧特性による電池性能評価試験を実施した。得られた電流−電圧特性から、0.7Vにおける出力密度を求めた。各実施例及び各比較例1〜3、5〜9の電池性能評価試験の結果を表1に示す。
<カソード活性層及びカソード集電層の厚みの測定>
上記の電池性能評価試験後の各実施例、比較例5〜9のSOFCについて、ガラスカッターを用いて切断し、断面観察用サンプルを作製した。電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製:JSM−7600F)を用いてその断面観察用サンプルの断面観察を行い、カソード活性層の厚みを測定した。カソード活性層の厚みは、電極の中央部分および電極の端部から約2mm離れた2か所の3視野で測定した。それぞれの視野について任意の5点(合計15点)で測定したカソード活性層の厚みの平均値を、カソード活性層の厚みとした。カソード集電層についても同様にしてカソード集電層の厚みを測定した。
Figure 2013229311
実施例1〜14のSOFCの出力密度はいずれも0.20W/cm2以上を示し、第2の層であるカソード集電層を有しない比較例1〜3よりも、大幅に出力密度が高かった。また、実施例1、7〜14において、カソード活性層の厚みが2.5〜35μmの範囲であるSOFCは、出力密度0.24W/cm2以上を示し、カソード活性層の厚みが3〜27μmの範囲であるSOFCは、出力密度0.27W/cm2以上を示し、カソード活性層の厚みが4〜18μmの範囲であるSOFCは、出力密度0.29W/cm2以上を示した。
比較例5〜9のSOFCの出力密度はいずれも0.20W/cm2未満であり、実施例1〜14のSOFCの出力密度よりも低かった。これにより、酸素イオン伝導性材料としてScSZを含むカソード活性層を有するSOFCの出力密度は、酸素イオン伝導性材料としてYSZを含むカソード活性層を有するSOFCの出力密度よりも高いことが示された。
<耐久性試験>
実施例1により得たSOFCを用い、先ず、アノードに100mL/分の窒素を、カソードに100mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、アノード、カソードの出口側ガスについて、流量計で、流量を測定し、漏れが無いことを確認した。
次いで、水素を6mL/分、窒素を194mL/分の加湿した混合ガスをアノードへ、400mL/分の空気をカソードへ供給した。10分以上経過後に起電力が発生し、漏れが無いことを再度確認した後、カソード側のガスを、加湿水素を200mL/分の流量でアノードへ供給し、起電力が安定してから、10分以上経過後に回路中に流れる電流を0.4A/cm2で一定になる様に調節した。
電流を0.4A/cm2に切り替えてから、50時間経過後の電圧を初期値(V50h)とし、2000時間経過後の電圧を計測(V2000h)し、数式1を用いて1000時間当たりの劣化率Dを求めた。
Figure 2013229311
実施例1において、劣化率は0.00%であった。同様の方法により、比較例4について耐久試験を行ったところ、劣化率は1.86%となり、実施例1と比べて耐久性が劣ることが確認された。
カソード集電層の厚さT2に対するカソード活性層の厚さT1の比と出力密度との関係を調べた。カソード活性層用グリーン層の表面にカソード集電層用のペーストを塗布するときのスクリーン印刷の条件を変更したこと以外は、実施例17と同様にして実施例19及び実施例20に係るSOFCを作製した。実施例18及び実施例19に係るSOFCについて、上記のカソード活性層及びカソード集電層の厚みの測定、並びに、上記の電池性能評価試験を実施した。実施例19のSOFCにおいて、カソード活性層の厚みT1、カソード集電層の厚みT2、T1/T2、0.7Vにおける出力密度は、それぞれ、38.1μm、2.32μm、16.4、0.178W/cm2であった。また、実施例20のSOFCにおいて、カソード活性層の厚みT1、カソード集電層の厚みT2、T1/T2、0.7Vにおける出力密度は、それぞれ、2.52μm、114.8μm、0.022、0.189W/cm2であった。
本発明のSOFCでは、耐久性が高く、かつ、作動温度が比較的低い場合においても高い出力を示すことができる。
1 固体酸化物形燃料電池(SOFC)
10 カソード
11 第1の層(カソード活性層)
12 第2の層(カソード集電層)
20 電解質層
30 アノード

Claims (2)

  1. カソードと、
    アノードと、
    前記カソードと前記アノードとの間に配置された電解質層と、を備え、
    前記カソードは、前記電解質層側に配置された第1の層と前記第1の層に対して前記電解質層と反対側に配置された第2の層と、を含み、
    前記第1の層は、元素比が(LaXSr1-X1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトと、スカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアである酸素イオン伝導性材料とを含み、
    前記第2の層は、元素比が(LaXSr1-X1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトを主成分として含み、
    前記第2の層における前記酸素イオン伝導性材料の含有率は、前記第1の層における前記酸素イオン伝導性材料の含有率よりも低い、
    固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記第1の層の厚みが2.5〜40μmの範囲である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
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