JP2013229311A - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体酸化物形燃料電池1のカソード10は、第1の層11と第2の層12と、を含む。第1の層11は、元素比が(LaXSr1-X)1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトと、スカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアである酸素イオン伝導性材料とを含む。第2の層12は、元素比が(LaXSr1-X)1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトを主成分として含む。第2の層12における酸素イオン伝導性材料の含有率は、第1の層11における酸素イオン伝導性材料の含有率よりも低い。
【選択図】図1
Description
の範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイト(以下、「LSM」ということがある)と安定化ジルコニアなどの酸素イオン伝導性材料との混合物を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。このLSMと酸素イオン伝導性材料との混合物であるカソードは、耐久性に優れるという利点を有するものの、作動温度が比較的低い温度(例えば、800℃未満)では十分な性能を得にくく、比較的高い温度(例えば800℃以上)で作動させる必要がある。
カソードと、
アノードと、
前記カソードと前記アノードとの間に配置された電解質層と、を備え、
前記カソードは、前記電解質層側に配置された第1の層と前記第1の層に対して前記電解質層と反対側に配置された第2の層と、を含み、
前記第1の層は、元素比が(LaXSr1-X)1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトと、スカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアである酸素イオン伝導性材料とを含み、
前記第2の層は、元素比が(LaXSr1-X)1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、a
の範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトを主成分として含み、
前記第2の層における前記酸素イオン伝導性材料の含有率は、前記第1の層における前記酸素イオン伝導性材料の含有率よりも低い、
固体酸化物形燃料電池を提供する。
(アノード支持基板グリーンシートの作製)
導電成分としての酸化ニッケル(正同化学社製)60質量部、骨格成分としての3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製、商品名「TZ3Y」)40質量部、空孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGP−3)10質量部、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量部)30質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部、及び分散媒としてトルエン/イソプロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶剤80質量部を、ボールミルにより混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、70℃で5時間乾燥させて、厚さ300μmのアノード支持基板グリーンシートを作製した。
導電成分としての酸化ニッケル(キシダ化学社製)36質量部、骨格成分としての8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素社製、商品名「HSY−8.0」)24質量部、気孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGP−3)2質量部、溶剤としてのα−テルピネオール(和光純薬工業社製)36質量部、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業社製)4質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業社製)6質量部、及び分散剤としてのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤4質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、アノード層用ペーストを作製した。
セラミックス質としての8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素社製、商品名「HSY−8.0」)60質量部、バインダーとしてエチルセルロース(和光純薬工業社製)を5質量部、溶剤としてα−テルピネオール(和光純薬工業社製)を40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業社製)を6質量部、及び分散剤としてソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成工業社製、商品名「イオネットS−80」)5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、電解質層用ペーストを作製した。
アノード層用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得たアノード支持基板グリーンシートに、厚さ20μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、アノード層用グリーン層を形成した。
上記電解質層用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得たアノード層用グリーン層
上に、厚さ15μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させた。
上記電解質層用ペーストの乾燥後、上記で得た電解質層用グリーン層及びアノード層用グリーン層が塗布されたアノード支持基板グリーンシートを焼成後の1辺が6cmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、それぞれを1300℃で2時間焼成してハーフセルを得た。
上記第1の層であるカソード活性層及び上記第2の層であるカソード集電層に用いられるLSM粉末を以下の通り調製した。市販の純度99.9%のLa2O3、SrCO3、及びMn2O3の粉末を元素比がLa0.8Sr0.2Mnとなるように混合した。得られた混合物にエタノールを加えて、これをビーズミルで1時間粉砕混合した。次いで、得られた混合物を乾燥させてから、800℃で1時間仮焼した。仮焼後の混合物に対し、さらにエタノールを加えてビーズミルで1時間粉砕混合してから、乾燥させた。その後、1200℃で混合物を5時間固相反応させることによって、粉末を得た。
上記の第1粉体材料50質量部、酸素イオン伝導材料の粉末として第一稀元素社製(Sc2O3)0.10(CeO2)0.01(ZrO2)0.89(以下、「ScSZ」という)50質量部、バインダーとしてエチルセルロース3質量部、及び溶剤としてα−テルピネオール30質量部を、乳鉢を用いて混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて混練し、カソード活性層用のペーストを得た。
カソード集電層用のペーストは粉体として第2粉体材料のみを用い、その他はカソード活性層用のペーストと同様の方法によって作製された。
ハーフセルの電解質層の表面に、スクリーン印刷により、カソード活性層用のペーストを1cm×1cmの正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、カソード活性層用グリーン層を形成した。その後、カソード活性層用グリーン層上に、スクリーン印刷により、カソード集電層用のペーストを1cm×1cmに正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、カソード集電層用グリーン層を形成した。その後、積層された2層のグリーン層を、1150℃で2時間焼成した。これにより、実施例1に係るSOFCを得た。実施例1に係るSOFCのカソード活性層(第1の層)は、50質量%のLSMと、50質量%の酸素イオン伝導性材料であるScSZとからなる。また、実施例1に係るSOFCのカソード集電層(第2の層)は、ScSZを全く含んでおらず、LSMのみからなる。
実施例1のカソード活性層用のペーストの調製において、カソード活性層中のLSM濃度が表1に記載の通りとなるように、第1粉体材料とScSZの混合比を調製した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6のSOFCを作製した。
ハーフセルの電解質層の表面にカソード活性層用のペーストを塗布するときのスクリーン印刷の条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のSOFCを作製した。また、カソード活性層の形成におけるスクリーン印刷の条件、カソード活性層の形成における印刷と乾燥の繰り返し数、カソード活性層用のペーストの溶媒添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例8〜14のSOFCを作製した。
カソード活性層用グリーン層の表面にカソード集電層用のペーストを塗布するときのスクリーン印刷の条件を変更したこと以外は、実施例7と同様にして、実施例15〜17のSOFCを作製した。また、カソード集電層の形成におけるスクリーン印刷の条件や、印刷と乾燥との繰り返し回数を変更した以外は実施例8と同様にして実施例18のSOFCを作製した。
実施例1において、カソード集電層の塗布を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のSOFCを作製した。
カソード活性層中のLSM濃度が表1に記載の通りとなるように、第1粉体材料とScSZの混合比を調製した以外は、比較例1と同様にして、比較例2及び比較例3のSOFCを作製した。
作動温度が800度未満のSOFCで一般的に用いられているLSCFをカソードとしたアノード支持型のSOFCの作製を行った。
セラミック質として、10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉末(阿南化成株式会社製)60質量部、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業株式会社製)5質量部、溶剤としてのα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製)40質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業株式会社製)6質量部、及び分散剤としてのソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、商品名「イオネットS−80」)5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質;アルミナ)を用いて解砕した。これにより、バリア層用ペーストを得た。
実施例1と同様にして、アノード支持基板グリーンシート上に、アノード層のグリーン層を、アノード層のグリーン層上に、電解質層のグリーン層を形成した。さらに、電解質層のグリーン層上に上記のバリア層用ペーストを、スクリーン印刷により厚さ3μm以下となるように印刷した。これを100℃で30分間乾燥させることによって、バリア層用グリーン層を形成した。
バリア層用ペーストの乾燥後、上記で得たバリア層用グリーン層、電解質層用グリーン層、アノード層用グリーン層が形成されたアノード支持基板用のグリーンシートを、焼成後の1辺が60mmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、1300℃で2時間焼成してバリア層を有するハーフセルを得た。
LSCFカソードの原料となる粉体材料として、市販の純度99.9%のLa2O3、SrCO3、純度99%のCoO及びFe2O3の粉末を元素比がLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8となるように混合した。得られた混合物にエタノールを加えて、これをビーズミルで1時間粉砕混合した。次いで、得られた混合物を乾燥させてから、800℃で1時間仮焼した。仮焼後の混合物に対し、さらにエタノールを加えてビーズミルで1時間粉砕混合してから、乾燥させた。その後、1200℃で混合物を5時間固相反応させることによって、粉末を得た。
上記の方法で調製されたLSCF粉末に対して、バインダーとしてのエチルセルロースが3質量%、溶剤としてのα−テルピネオールが30質量%の割合となるように加え、これを乳鉢を用いて混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて混練し、カソード層用ペーストを得た。
上記バリア層を有するアノード支持型ハーフセルのバリア層面に、スクリーン印刷により、上記カソード層用ペーストを1cm×1cmの正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、カソード層用グリーン層を形成した。このカソード層用グリーン層を、1000℃で2時間焼成し、比較例4に係るSOFCを得た。
実施例7のカソード活性層用のペーストの調整において、酸素イオン伝導性材料の粉末としてScSZの代わりに、イットリア安定化ジルコニア(Y2O3)0.10(ZrO2)0.90(第一稀元素化学工業社製、以下「YSZ」という)を使用した以外は、実施例7と同様にして、比較例5のSOFCを作製した。比較例5のSOFCにおいて、カソード活性層(第1の層)は、50質量%のLSMと、50質量%のYSZとからなる。また、ハーフセルの電解質層の表面にカソード活性層用のペーストを塗布するときのスクリーン印刷の条件を変更した以外は、比較例5と同様にして、比較例6のSOFCを作製した。また、カソード活性層の形成におけるスクリーン印刷の条件、カソード活性層の形成における印刷と乾燥の繰り返し数を変更した以外は比較例5と同様にして、比較例7〜9のSOFCを作製した。
各実施例及び比較例1〜3、5〜9のSOFCについて以下の方法で電池性能を評価した。SOFCのアノードに100mL/分の窒素を、カソードに100mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、アノード、カソードの出口側のガスについて、流量計で、流量を測定し、漏れが無いことを確認した。
上記の電池性能評価試験後の各実施例、比較例5〜9のSOFCについて、ガラスカッターを用いて切断し、断面観察用サンプルを作製した。電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製:JSM−7600F)を用いてその断面観察用サンプルの断面観察を行い、カソード活性層の厚みを測定した。カソード活性層の厚みは、電極の中央部分および電極の端部から約2mm離れた2か所の3視野で測定した。それぞれの視野について任意の5点(合計15点)で測定したカソード活性層の厚みの平均値を、カソード活性層の厚みとした。カソード集電層についても同様にしてカソード集電層の厚みを測定した。
実施例1により得たSOFCを用い、先ず、アノードに100mL/分の窒素を、カソードに100mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、アノード、カソードの出口側ガスについて、流量計で、流量を測定し、漏れが無いことを確認した。
10 カソード
11 第1の層(カソード活性層)
12 第2の層(カソード集電層)
20 電解質層
30 アノード
Claims (2)
- カソードと、
アノードと、
前記カソードと前記アノードとの間に配置された電解質層と、を備え、
前記カソードは、前記電解質層側に配置された第1の層と前記第1の層に対して前記電解質層と反対側に配置された第2の層と、を含み、
前記第1の層は、元素比が(LaXSr1-X)1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトと、スカンジア安定化ジルコニア又は金属酸化物をドープしたスカンジア安定化ジルコニアである酸素イオン伝導性材料とを含み、
前記第2の層は、元素比が(LaXSr1-X)1-aMn(Xの範囲:0.5〜0.9、aの範囲:0.0〜0.2)の酸化物であるランタンストロンチウムマンガナイトを主成分として含み、
前記第2の層における前記酸素イオン伝導性材料の含有率は、前記第1の層における前記酸素イオン伝導性材料の含有率よりも低い、
固体酸化物形燃料電池。 - 前記第1の層の厚みが2.5〜40μmの範囲である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
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