JP7089838B2 - 固体酸化物形燃料電池用単セル及びその製造方法、並びに、固体酸化物形燃料電池用カソード及びその製造方法 - Google Patents
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Description
るイオン導電成分が添加される場合がある。また、SOFCのカソード反応は、カソードにおける電解質層(又はバリア層)に近い領域で起こるために、カソードにその表層から反応領域まで酸素を供給しなくてはならず、カソードにはガス拡散性が求められる。このことから、通常のカソードは多孔構造を有する。このように、カソードの電気抵抗は、カソード材料自体の電気抵抗率のみから決定されるものではない。
前記カソードは、100μm以下の厚さを有し、200Ω・cm以下の電気抵抗率を有し、かつ、少なくとも5%以上72%未満の気孔率を有する、
SOFC用単セルを提供する。
(I)粉末状の電子伝導体を必須成分として含み、かつ、粉末状のイオン伝導体を任意成分として含むカソード粉末と、バインダーと、溶剤とを含むカソード用ペーストを作製する工程と、
(II)前記カソード用ペーストを前記電解質層上に塗布して焼成し、カソードを形成する工程と、
を含み、
前記カソード粉末において、前記電子伝導体は、前記電子伝導体と前記イオン伝導体との合計に対して25~100質量%であり、
前記カソード用ペーストにおける粉末の凝集度γを、前記カソード粉末のBET比表面積から算出される1次粒子径(BET換算径)βに対する、前記ペースト中の前記カソード粉末の凝集物の最大粒子径αの比(α/β)と定義した場合、前記凝集度γが890以下である、
SOFC用単セルの製造方法も提供する。
(I)粉末状の電子伝導体を必須成分として含み、かつ、粉末状のイオン伝導体を任意成分として含むカソード粉末と、バインダーと、溶剤とを含むカソード用ペーストを作製する工程と、
(II)前記カソード用ペーストの塗膜を形成し、前記塗膜を焼成してカソードを形成する工程と、
を含み、
前記カソード粉末において、前記電子伝導体は、前記電子伝導体と前記イオン伝導体との合計に対して25~100質量%であり、
前記カソード用ペーストにおける粉末の凝集度γを、前記カソード粉末のBET比表面積から算出される1次粒子径βに対する、前記ペースト中の前記カソード粉末の凝集物の最大粒子径αの比(α/β)と定義した場合、前記凝集度γが890以下である、
SOFC用カソードの製造方法も提供する。
側の面上に配置されたアノード層112と、によって形成されている。なお、アノード支持基板111自体がアノード電極として十分に作用し得る場合には、アノード層112が設けられない場合もある。電解質層13、バリア層14及びカソード12は、アノード支持基板111によって支持されている。
することもある。これらの理由から、実際にSOFCが運転される温度域で電気抵抗率を測定することには困難が伴う。また、電子伝導性を担うカソード材料の電子伝導率は、イオン伝導体のイオン伝導率のような大きな温度依存性がなく、実際にSOFCが運転される高温域におけるカソードの電気抵抗率は常温での測定値と大きな差はない。
SOFC用単セル1のカソード12が1辺が3cmの正方形以下の大きさである場合、SOFC用単セル1から、カソード12が10mm×10mmの正方形となるように1つの測定サンプルを切り出す。すなわち、この測定サンプルでは、カソード12が電解質層13やアノード11等と一体化しており、単セルの構造が維持されている。なお、SOFC用単セル1においてカソード12が10mm×10mmの正方形である場合は、測定サンプルを切り出すことなく、SOFC用単セル1をそのまま測定サンプルとして利用する。また、カソード12が小さすぎて、カソード12が10mm×10mmの正方形となるようにSOFC用単セル1から測定サンプルを切り出せない場合は、カソード12が最大の正方形となるようにSOFC用単セル1から測定サンプルを切り出す。
増加させていき、各電流値において発生した電圧値を記録する。各電流値と各電圧値から最小二乗法により傾きを求め、その傾きから抵抗RAB,CDを算出する。同様にB-C間に
電流を流して、D-A間に発生する電圧を記録し、抵抗RBC,DAを求め、抵抗RAB,CD及び抵抗RBC,DAを用いて抵抗率ρ1を求める。また、C-D間、D-A間にも電流を流して同様の測定を行って抵抗RCD,AB及び抵抗RDA,BCを求め、抵抗RCD,AB及び抵抗RDA,BCを用
いて抵抗率ρ2を求める。抵抗率ρ1と低効率ρ2との平均値を求め、その平均値を常温で
のカソードの電気抵抗率ρcとする。なお、電気抵抗率の算出に当たり必要なカソードの
厚さは、上記のSOFC用単セルの断面画像から求める方法によって得られた値を用いる。
SOFC用単セル1のカソード12が1辺が3cmの正方形よりも大きい場合、SOFC用単セル1のカソード12が形成されている領域において、中心部分の1つの正方形区画と、さらにこの中心部分の区画と重ならず、かつ互いに重ならない複数(2以上)の正方形区画とをSOFC用単セル1から測定サンプルとして切り出す。各正方形区画は、10mm×10mmとする。それら各正方形区画の各頂点に銀からなる端子を取り付け、測定1の場合と同様の方法により、各測定サンプルの電気抵抗率を測定する。中心部分の1区画と、それ以外の区画から2区画を任意に選択し、3つの区画における電気抵抗率の平均値を求め、得られた値をカソード12の電気抵抗率とする。電気抵抗率は上述のように3区画から求めてもよいが、中心部分の1区画とその他の4区画の合計5区画から求めてよいし、それ以上でも構わない。区画数が多いほど、カソード12の全体を表す値となる。ただし、均質なカソードが形成されている場合においては、5区画以上、区画数を多くしても、電気抵抗率は大きく変わらない。したがって、カソードの電気抵抗率は、3区画、好ましくは5区画の平均値とすれば十分である。
施例]の欄で説明されている。
ストロンチウムで置換したランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルタイト及びランタンストロンチウムフェライト、並びに、ランタンストロンチウムコバルタイトのコバルトの一部を鉄やマンガン等で置換したランタンストロンチウムコバルトフェライト及びランタンストロンチウムコバルトマンガナイト等が好適に用いられる。すなわち、カソード12に含まれる電子伝導体は、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルタイト、ランタンストロンチウムフェライト、ランタンストロンチウムコバルトフェライト及びランタンストロンチウムコバルトマンガナイトからなる群から選択される少なくともいずれか1種とすることができる。
ルのアノード支持基板及びアノード層を適用することができるため、その材料は特に限定されない。一般的には、アノード支持基板111及びアノード層112は、導電性を与えるための導電成分と、骨格成分となるセラミック質とを含んでいる。導電成分は、ニッケル、コバルト、鉄、白金、パラジウム、ルテニウム等の金属;酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄のように燃料電池稼動時の還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物;あるいはこれらの酸化物を2種以上含有するニッケルフェライトやコバルトフェライトのような複合金属酸化物、が挙げられる。これらは単独で使用し得るほか、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用できる。これらの中でも、金属ニッケル、金属コバルト、金属鉄又はこれらの酸化物が好ましい。骨格成分としては、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、チタニア、窒化アルミニウム、ムライト等の単独もしくは複合物が使用される。これらの中でも最も汎用性の高いのは安定化ジルコニアである。安定化ジルコニアとしては、ジルコニアに、安定化剤としてMgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属の酸化物;Y2O3、La2O3、CeO2、Pr2O3、Nd2O3、Sm2O3、Eu2O3、G
d2O3、Tb2O3、Dy2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3等の希土類元素の酸化物;Sc2O3;Bi2O3;及びIn2O3等から選ばれる少なくとも何れか1種の酸化物を固溶させたもの、あるいは更に、これらに分散強化剤としてアルミナ、チタニア、Ta2O5及びNb2O5等が添加された分散強化型ジルコニア等が好ましいものとして例示される。また、骨格成分として、CeO2又はBi2O3に、CaO、SrO、BaO、Y2O3、La2O3、Ce2O3、Pr2O3、Nb2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb2O3、Dr2O3、Ho2O3、Er2O3、Yb2O3、PbO、WO3、MoO3、V2O5、Ta2O5及び
Nb2O5から選ばれる少なくとも何れか1種を添加した、セリア系又はビスマス系セラミックも使用可能である。また、LaGaO3のようなガレート系セラミックも使用可能で
ある。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、骨格成分としては、安定化ジルコニア、セリア系セラミック及びランタンガレートが好ましく、安定化ジルコニアがより好ましく、特に好ましいのは2.5~12モル%のイットリアで安定化されたジルコニア、2.5~12モル%のイッテルビアで安定化されたジルコニア、3~15モル%のスカンジアで安定化されたジルコニア、8~12モル%のスカンジアと0.5~5モル%のセリアで安定化されたジルコニアである。
下において、電解質層13とカソード12との間で起こる絶縁物質の生成を抑えつつ、発電を促進させる高い効果が期待できることから、バリア層14の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。
(I)粉末状の電子伝導体を必須成分として含み、かつ、粉末状のイオン伝導体を任意成分として含むカソード粉末と、バインダーと、溶剤とを含むカソード用ペーストを作製する工程と、
(II)前記カソード用ペーストを前記電解質層上に塗布して焼成し、カソードを形成する工程と、
を含む。
、電解質層13及びバリア層14を含み、且つ所定の形状を有する多層焼成体を作製する工程と、所定の形状を有する多層焼成体において、アノード11と反対側の面にカソード12を作製する工程と、を含む方法である。
(1)アノード支持基板111用のグリーンシート上に、アノード層112用のグリーン層(アノード層112を設けない構成の場合は不要)と、電解質層13用のグリーン層と、バリア層14用のグリーン層(バリア層14を設けない構成の場合は不要)と、が順に積み重ねられた積層体を形成した後、これら全体を一括して焼成する方法、
又は、
(2)アノード支持基板111用のグリーンシートを焼成してアノード支持基板111を作製し、その上にアノード層112用のグリーン層(アノード層112を設けない構成の場合は不要)と、電解質層13用のグリーン層と、バリア層14用のグリーン層(バリア層14を設けない構成の場合は不要)と、が順に積み重ねられた積層体を形成した後、これらを焼成する方法、
を用いて作製できる。ここでは、(1)の方法を例に挙げて、多層焼成体の作製方法を説明する。
セラミック質として上記に例示した材料を用いることができる。電解質層13用のペーストに用いられる溶剤は、特に限定されず、SOFC用単セルの電解質層の製造方法において公知となっている溶剤の中から適宜選択できる。電解質層13用のグリーン層は、焼成後の電解質層13の厚さが目的の厚さとなるように形成されるとよい。
、気孔形成剤、分散剤及び可塑剤等の中から適宜選択できる。調製したペーストを、多層焼成体上にスクリーン印刷等により塗布し、乾燥させることによって、カソード12用のグリーン層が形成される。これを焼成することによって、カソード12が作製される。焼成温度は、特に限定されないが、800℃以上が好ましく、850℃以上がより好ましく、950℃以上がさらに好ましい。また、焼成温度は、1300℃以下が好ましく、1250℃以下がより好ましく、1200℃以下がさらに好ましい。また、焼成時の焼成時間は、特に限定されないが、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。また、焼成時間は、10時間以下が好ましく、7時間以下がより好ましく、5時間以下がさらに好ましい。カソード12用のグリーン層は、焼成後のカソード12の厚さが目的の厚さとなるように形成されるとよい。
(アノード支持基板グリーンシートの作製)
導電成分としての酸化ニッケル(正同化学工業社製、商品名「Green」)60質量部、骨格成分としての3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製、商品名「TZ3Y」)40質量部、気孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGP-3)10質量部、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(分子量:30,000、ガラス転移温度:-8℃、固形分濃度:50質量部)30質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部及び分散媒としてトルエン/イソプロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶剤80質量部を、ボールミルにより混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、70℃で5時間乾燥させて、厚さ300μmのアノード支持基板グリーンシートを作製した。
導電成分としての酸化ニッケル(正同化学工業社製、商品名「Green」)36質量部、イオン伝導成分としての8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製、商品名「TZ8Y」)24質量部、溶剤としてのα-テルピネオール(和光純薬工業社製)36質量部、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業製)4質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業社製)6質量部及び分散剤としてのノニオン界面活性剤(日油社製、製品名「ノニオンOP-83RAT」)4質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M-80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、8YSZアノード層用ペーストを作製した。
セラミック質としての8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製、商品名「TZ8Y」)60質量部、バインダーとしてエチルセルロース(和光純薬工業社製)を5質量部、溶剤としてα-テルピネオール(和光純薬工業社製)を40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業社製)を6質量部及び分散剤としてノニオン界面
活性剤(日油社製、製品名「ノニオンOP-83RAT」)5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M-80S」ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、8YSZ電解質層用ペーストを作製した。
セラミック質として、10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉末(AGCセイミケミカル社製)60質量部、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業社製)5質量部、溶剤としてのα-テルピネオール(和光純薬工業社製)40質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業社製)6質量部及び分散剤としてのノニオン界面活性剤(日油社製、製品名「ノニオンOP-83RAT」)5質量部、を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M-80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて解砕した。これにより、バリア層用ペーストを得た。
8YSZアノード層用ペーストをスクリーン印刷により、上記で得たアノード支持基板グリーンシートに、焼成後の厚さが20μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、アノード層用グリーン層を形成した。
上記で得たアノード層用グリーン層上に、上記8YSZ電解質層用ペーストをスクリーン印刷により、焼成後の厚さが5μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、電解質層用グリーン層を形成した。
上記で得た電解質層用グリーン層上に、上記バリア層用ペーストをスクリーン印刷により、焼成後の厚さが3μm以下となるように印刷した。これを100℃で30分間乾燥させることによって、バリア層用グリーン層を形成した。
バリア層用ペーストの乾燥後、上記で得たバリア層用グリーン層、電解質層用グリーン層、アノード層用グリーン層が形成されたアノード支持基板グリーンシートを、焼成後の1辺が60mmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、1300℃で2時間焼成してバリア層を有するハーフセル(多層焼成体)を得た。
カソードの原料となる粉末材料として、市販の純度99.9%のLa2O3、SrCO3
、純度99%のCoO及びFe2O3の粉末を、元素比がLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8となるように混合した。得られた混合物にエタノールを加えて、これをボールミルで6時間粉砕混合した。次いで、得られた混合物を乾燥させてから、800℃で2時間仮焼した。仮焼後の混合物に対し、さらにエタノールを加えてボールミルで6時間粉砕混合してから、乾燥させた。その後、1200℃で混合物を5時間固相反応させることによって、粉末を得た。得られた粉末にエタノールを加え、さらにこれをボールミルで10時間粉砕混合してから乾燥させて、粉末を得た。なお、得られた粉末は、X線回折によって、ペロブスカイトからなる単一相であることが確認された。さらにその後、ボールミルを用い、回転数と回転時間を調製しながら粉砕することによって、BETによる比表面積が6.9m2
/gを有するLSCF(A1)粉末を得た。
上記の方法で調製されたLSCF(A1)と、10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉末(GDC(B1))(イオン伝導体)(AGCセイミケミカル社製、比表面積10m2/g)との混合粉末を、カソード粉末として用いた。LSCF(A1)80質
量部及びGDC(B1)20質量部に対して、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業社製)が2質量部、溶剤としてのα-テルピネオール(和光純薬工業社製)が15質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業社製)が15質量部及び分散剤としてのノニオン界面活性剤(日油社製、製品名「ノニオンOP-83RAT」)が2質量部の割合となるように加え、これを乳鉢を用いて混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M-80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて混練し、カソード用ペーストを得た。なお、調整したペーストについて、以下の(ペースト中の凝集物の最大粒子径の評価)に記載する方法により凝集物の最大粒子径を計測し、3本ロールミル間のギャップを調整することによって、グラインドメータで計測されるペースト中の凝集物の最大粒子径が25μm以下になるまで解砕/混練した。
凝集物の最大粒子径は JIS K5600-2-5.分散度に従い、グラインドメータを用いて測定した。すなわち、グラインドメータ(BYK社製)の溝にペーストを垂らし、スクレーバーを用いてしごき溝の中に厚さが連続して変化したペースト層を作る。この時、ペースト中の凝集物による顕著な斑点が現れ始めた箇所の層の厚さを読み取り、凝集物の最大粒子径とした。なお、この測定を3回行い、3回の平均値を求めてペースト中の凝集物の最大粒子径αとした。さらにペースト中の凝集物の最大粒子径αと、カソード粉末のBET比表面積から求まる1次粒子径βとの比(=α/β)から凝集度γを求めた。
上記バリア層を有するアノード支持型ハーフセルのバリア層面に、スクリーン印刷により、焼成後の厚さが25μmになるように、上記カソード用ペーストを10mm×10mmの正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、カソード層用グリーン層を形成した。このカソード層用グリーン層を、1050℃で2時間焼成し、実施例1に係るSOFC用単セルを得た。
実施例1におけるカソード用ペーストの作製において、LSCF(A1)とGDC(B1)の混合比を変えたこと、すなわち、LSCF(A1)80質量部、GDC(B1)20質量部の代わりに、それぞれ、
実施例2においてはLSCF(A1)60質量部、GDC(B1)40質量部を用いたこと、
実施例3においてはLSCF(A1)40質量部、GDC(B1)60質量部を用いたこと、
以外は、実施例1と同様の方法で作製することにより、実施例2及び実施例3のSOFC用単セルを得た。ただし、実施例2及び3では、カソード用ペーストの作製において、グラインドメータで計測されるペースト中の凝集物の最大粒子径が25μm以下にならなかった場合には、3本ロールミル間のギャップを調整することに加えて、溶剤としてのα-テルピネオール、可塑剤としてのジブチルフタレート、分散剤としてのノニオン界面活性を適宜加えたりして、ペースト中の凝集物の最大粒子径が25μm以下になるまで解砕/混練した。なお、以下に記載の実施例及び比較例においても、同様の操作により、カソード用ペースト中の凝集物の最大粒子径が25μm以下になるまで解砕/混練した。
カソード用ペーストを2種類準備した。第1のカソード用ペーストは、実施例1におけるカソード用ペーストの作製において、LSCF(A1)80質量部、GDC(B1)20質量部の代わりに、LSCF(A1)20質量部、GDC(B1)80質量部を用いて作製された。第2のカソード用ペーストは、実施例1におけるカソード用ペーストの作製において、LSCF(A1)80質量部、GDC(B1)20質量部の代わりに、LSCF(A1)100質量部をカソード粉末として用いて作製された。次いで、カソードの形成を以下のように行った。なお、カソードの形成以外は、実施例1と同様の方法で実施例4のSOFC用単セルを作製したので、ここではカソードの形成についてのみ説明する。
実施例1におけるカソード用ペーストの作製において、LSCF(A1)とGDC(B1)との混合粉末であるカソード粉末100質量部に、気孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGPグレード)をさらに5質量部添加した以外は、実施例1と同様の方法で作製することにより、実施例5のSOFCを得た。
実施例1におけるカソード用ペーストの作製において、LSCF(A1)80質量部、GDC(B1)20質量部の代わりに、LSCF(A1)100質量部をカソード粉末として用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で作製することにより、実施例6のSOFC用単セルを得た。
実施例1におけるカソード用ペーストの作製において、LSCF(A1)80質量部、GDC(B1)20質量部の代わりに、LSCF(A1)20質量部、GDC(B1)80質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で作製することにより、比較例1のSOFC用単セルを得た。
実施例1におけるカソードの形成において、焼成温度を1200℃で焼成した以外は、実施例1と同様の方法で作製することにより、比較例2のSOFC用単セルを得た。
実施例1におけるカソード用ペーストの作製において、LSCF(A1)とGDC(B1)との混合粉末であるカソード粉末100質量部に、気孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGPグレード)をさらに15質量部添加した以外は、実施例1と同様の方法で作製することにより、比較例3のSOFCを得た。
実施例1におけるLSCFの粉末材料の調製において、焼成条件、ボールミルの回転数
及び回転時間を調製することによって、BET比表面積が2.3m2/gを有する、LS
CF(A2)粉末を得た。次に、カソード用ペーストの作製において、LSCF(A2)(電子伝導体)40質量部と、10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉末(GDC(B2))(イオン伝導体)(AGCセイミケミカル製、比表面積53m2/g)6
0質量部との混合粉末をカソード粉末として用いた以外は、実施例1と同様の方法で作製することにより、比較例4のSOFC用単セルを得た。
実施例1~6及び比較例1~4のSOFC用単セルについて、以下の方法で電池性能(発電性能)を評価した。SOFC用単セルのアノードに100mL/分の窒素を、カソードに100mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、アノード、カソードの出口側のガスについて、流量計で、流量を測定し、漏れが無いことを確認した。次いで、常温で加湿した水素/窒素=3/97(vol%)の混合ガスを200mL/分の流量でアノードへ、空気を400mL/分の割合でカソードへ供給した。10分以上経過後に起電力が発生し、漏れが無いことを再度確認した。次いで、燃料利用率80%を模擬して、常温で加湿した水素/窒素=20/80(vol%)の混合ガスを200mL/分の流量でアノードへ供給し、起電力が安定してから、10分以上経過後に電流-電圧特性による電池性能評価試験を実施した。なお、電流-電圧特性の計測は、電流を一定値ずつ上昇させて行った。得られた電流-電圧特性から、0.4A/cm2における電圧を記録した。ただし、電流値に関わらず、電解質にダメ
ージを与えてしまうので電圧が0.5V以下になった時点で計測を中断し、電圧値を「0.5V以下」と評価した。結果を表1に示す。なお、測定に当たって、集電材として、アノードには200meshのニッケル網(株式会社ニラコ製、NI-318200)、カソードには100meshの白金網(株式会社ニラコ製、PT-358101)を接触させた。
電池性能評価試験後の実施例1~6及び比較例1~4のSOFC用単セルについて、カソードの電気抵抗率の測定を、van der pauw法に則って行った。以下に具体的に説明する。なお、測定は常温にて行われた。
流を増加させていき、各電流値において発生した電圧値を記録した。各電流値と各電圧値から最小二乗法により傾きを求め、その傾きから抵抗RAB,CDを算出した。同様にB-C
間に電流を流して、D-A間に発生する電圧を記録し、抵抗RBC,DAを求め、抵抗RAB,CD及び抵抗RBC,DAを用いて抵抗率ρ1を求めた。また、C-D間、D-A間にも電流を流して同様の測定を行って抵抗RCD,AB及び抵抗RDA,BCを求め、抵抗RCD,AB及び抵抗RDA,BCを用いて抵抗率ρ2を求めた。抵抗率ρ1と低効率ρ2との平均値を求め、その平均値を常
温でのカソードの抵抗率ρcとした。結果を表1に示す。なお、抵抗率の算出に当たり必
要なカソードの膜厚については、以下に記載するカソードの断面画像より求めた。
定することができなかった。そこで、抵抗が高いことが原因で測定できない場合には、測定機器の仕様から電気抵抗率を1000Ω・cm(1kΩ・cm)超として処理した。
カソードの電気抵抗率測定後の実施例1~6及び比較例1~4の単セルについて、カソードが塗布されている面の中央部分を、長さ10mm、幅5mmになるように切り出し、樹脂包埋した後、上記の長さ部分の中央まで研磨することによって(長さ10mmの端から5mmを研磨することによって)、カソードの中央部分を5mmの幅で観察できる断面観察用樹脂包埋サンプルを作製した。観察には電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM-7600F)を用い、その断面観察用樹脂包埋サンプルのカソードの断面画像を、同じ観察個所を含まないように、断面観察用樹脂包埋サンプルの任意の5点について取得した。
実施例1~6及び比較例1~4の各SOFC用単セルについて、上記方法で取得したカソードの断面画像について、画像解析ソフト(Media Cybernetics社製、Image Pro Plus バージョン4.0)を用いて、カソードの厚さを測定した。具体的には、バリア層(電解質層側)へ最も入り込んでいるLSCF粒子(第1LSCF粒子)と、そのLSCF粒子を通りかつ電解質層の表面に対して垂直方向に延びる線上にあるカソード表面とを結ぶ線分の長さから、カソードの厚さTC1を求めた。次いで、同じ視野内で、第1LSCF粒子から2μm以上離れて、2番目、3番目にバリア層(電解質層側)へ入り込んでいるLSCF粒子(第2LSCF粒子及び第3LSCF粒子)と、それら各LSCF粒子を通りかつ電解質層の表面に対して垂直方向に延びる線上にあるカソード表面とを結ぶ線分の長さから、それぞれのカソードの厚さTC2及びTC3を求めた。TC1、TC2及びTC3を平均して得られた値を、その視野におけるカソードの厚さとした。これを断面観察用樹脂包埋サンプルについて、取得した5視野に対して行い、5視野での平均値厚さをカソード厚さとした。結果を表1に示す。
実施例1~6及び比較例1~4の各SOFC用単セルについて、上記方法で取得したカソードの断面画像について、画像解析ソフト(Media Cybernetics社製、Image Pro Plus バージョン4.0)を用いて、カソードの気孔率の測定を行った。具体的には、バリア層とカソードとの境界、カソード表面のそれぞれから2μm以上離れて、カソードの厚さ方向に10μm、カソードの層と平行な方向に(カソードの厚さ方向とは垂直の方向に)20μmの長方形の区画を作成し、画像解析ソフトを用いて、その長方形の区画内の充填されている部分と、気孔の部分とを分け、1視野内における気孔率を求めた。これを取得した5視野に対して行い、5視野の平均をカソードの気孔率とした。結果を表1に示す。なお、実施例4については、2層構造であるので、バリア層側、カソード表面側のそれぞれの層について、カソードの厚さ方向に5μm、カソードの層と平行な方向に(カソードの厚さ方向とは垂直の方向に)20μmの長方形の区画を作成し、得られたそれぞれの層の気孔率について厚さによる加重平均を行い、得られた平均値を1視野内における気孔率とした。
圧の結果に加えて、使用したカソード粉末の組成及びカソード用ペーストの凝集度も示されている。
ルは、電池性能評価試験1での0.4A/cm2における電圧が0.7V以上を満たして
おり、優れた電池性能を示した。また、実施例4のカソードは2層構造であったが、カソード全体としての電気抵抗率が200Ω・cm以下を満たし、さらに気孔率も5%以上72%未満の範囲内であったので、電池性能評価試験1での0.4A/cm2における電圧
が0.7V以上を満たしており、優れた電池性能を示した。なお、実施例4のカソードは1層目の厚さが10μmであり、2層目の厚さが25μmであることから、カソード全体において、LSCF(A1)はLSCF(A1)とGDC(B1)との合計に対して、84.9質量%であった。一方、比較例1、3及び4のカソードは、抵抗が高すぎて測定できず、電気抵抗率は1000Ω・cmを超えていた。また、比較例2のカソードは気孔率が4%であり、5%未満であった。これらの理由から、比較例3のSOFC用単セルは電池評価試験1での0.4A/cm2における電圧が0.509V、比較例1、2及び4の
SOFC用単セルは電池性能評価試験1での電圧が0.5V以下であり、比較例1~4のSOFC用単セルは、実施例1~6のSOFC用単セルと比較して電池性能が低かった。
実施例7として、実施例1と同じカソード用ペーストを用いて、カソードの大きさが40mm×40mmのであるSOFC用単セルを作製した。具体的には、カソードの形成工程で、バリア層面に、スクリーン印刷により、焼成後の厚さが25μmになるように、カソード用ペーストを40mm×40mmの正方形に塗布した以外は、実施例1と同様の方法で作製することにより、実施例7のSOFCを得た。また、実施例8のカソードの作製には実施例3のカソード用ペーストを用い、比較例5のカソードの作製には比較例1のカソード用ペーストを用いて、実施例7と同様にカソードの大きさが40mm×40mmのであるSOFC用単セルを作製した。得られたSOFC用単セルについて、以下に説明する電池性能評価試験2により電池性能を評価し、さらに、以下に説明するカソードの電気抵抗率測定2によりカソードの電気抵抗率を測定した。なお、実施例7及び8、並びに比較例5のSOFC用単セルは、カソードの面積が実施例1~6及び比較例1~4のSOF
C用単セルよりも大きいので、電池性能評価方法及びカソードの電気抵抗率測定方法がこれらとは異なる。なお、カソードの厚さ及び気孔率の測定には、実施例1~6及び比較例1~4のSOFC用単セルの場合と同様の方法を用いた。
SOFC用単セルのアノードに500mL/分の窒素を、カソードに500mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、アノード及びカソードの出口側のガスについて、流量計で流量を測定し、漏れが無いことを確認した。次いで、常温で加湿した水素/窒素=3/97(vol%)の混合ガスを1L/分の流量でアノードへ、空気を1L/分の割合でカソードへ供給した。15分以上経過後に起電力が発生し、漏れが無いことを再度確認した。次いで、燃料利用率80%を模擬して、常温で加湿した水素/窒素=20/80(vol%)の混合ガスを1L/分の流量でアノードへ供給し、起電力が安定してから、15分以上経過後に電流-電圧特性による電池性能評価試験を実施した。なお、電流-電圧特性の計測は、電流を一定値ずつ上昇させて行った。得られた電流-電圧特性から、0.4A/cm2における電圧を記録し
た。ただし、電流値に関わらず、電解質にダメージを与えてしまうので電圧が0.5V以下になった時点で計測を中断し、電圧値を「0.5V以下」と評価した。
カソード電極の電気抵抗率の測定に当たっては、SOFC用単セルのカソードが形成されている40mm×40mmの領域において、1つの中心部分と4つの角の部分とをそれぞれ10×10mmに切り出して、それら5つの正方形区画の頂点に銀からなる端子を取り付け、カソードの電気抵抗率測定1の場合と同様の方法により評価を行った。なお、測定は常温にて行われた。電気抵抗率の平均及び標準偏差の算出に当たっては、5区画の場合は切り出した全ての区画について算出し、3区画の場合は中心部分の1区画と、4つの角の部分の区画から任意に選択された2つの区画とについて算出した。結果を表2に示す。
圧の結果に加えて、使用したカソード粉末の組成及びカソード用ペーストの凝集度も示されている。また、表2に示されているカソードの気孔率は、実施例1~6及び比較例1~4のSOFC用単セルの場合と同様に、上記で説明した方法で求められた値である。
面積が大きいものであっても、3区画及び5区画の電気抵抗率の平均値が共に200Ω・cm以下であり、さらに気孔率が5%以上72%未満の範囲を満たすことにより、優れた電池性能を有するSOFC用単セルが得られることが確認された。一方、比較例5のSOFC用単セルのカソードは、3区画及び5区画の電気抵抗率の平均値が共に1000Ω・cmを超えており、電池性能評価試験1での電圧が0.5V以下と、実施例7及び8のSOFC用単セルと比較して電池性能が低かった。また、実施例7及び8のカソードは、3区画及び5区画の電気抵抗率の標準偏差が共に小さく、すなわちカソード内の電気抵抗率のバラツキが小さいので、カソード全体で高い集電効率を実現することが可能である。
実施例1及び比較例1のカソード用ペーストの作製工程において、GDC(B1)粉末の代わりに、10モル%サマリアがドープされているセリア粉末(SDC)(AGCセイミケミカル製、比表面積9.8m2/g)を用いたこと以外は、実施例1及び比較例1と
同様の方法で作製することにより、実施例9及び比較例6のSOFC用単セルをそれぞれ得た。実施例9及び比較例6のSOFC用単セルについて、実施例1及び比較例1と同様の方法で測定された、カソード用ペーストの凝集度、カソードの気孔率、カソードの電気抵抗率及び電池性能評価試験0.4A/cm2における電圧の結果を、表3に示す。
実施例1及び比較例1のカソード用ペーストの作製工程において、LSCF(A1)の代わりに、LSCFのAサイトを欠損させたL‘SCF(元素比:La0.57Sr0.38Co0.2Fe0.8、比表面積7.2m2/g)を用いたこと以外は、実施例1及び比較例1と同
様の方法で作製することにより、実施例10及び比較例7のSOFC用単セルをそれぞれ得た。実施例10及び比較例7のSOFC用単セルについて、実施例1及び比較例1と同様の方法で測定されたカソード用ペーストの凝集度、カソードの気孔率、カソードの電気抵抗率及び電池性能評価試験0.4A/cm2における電圧の結果を、表3に示す。
実施例1及び比較例1のカソード用ペーストの作製工程において、LSCF(A1)の代わりにランタンストロンチウムコバルタイト(LSC(元素比:La0.6Sr0.4Co1.0、比表面積7.1m2/g))を用いたこと以外は、実施例1及び比較例1と同様の方法で作製することにより、実施例11及び比較例8のSOFC用単セルをそれぞれ得た。実施例11及び比較例8のSOFC用単セルについて、実施例1及び比較例1と同様の方法で測定された、カソード用ペーストの凝集度、カソードの気孔率、カソードの電気抵抗率及び電池性能評価試験における電圧の結果を、表3に示す。
実施例1及び比較例1のカソード用ペーストの作製工程において、LSCF(A1)の代わりにランタンストロンチウムフェライト(LSF(元素比:La0.6Sr0.4Fe1.0
、比表面積6.8m2/g))を用いたこと以外は、実施例1及び比較例1と同様の方法
で作製することにより、実施例12及び比較例9のSOFC用単セルをそれぞれ得た。実施例12及び比較例9のSOFC用単セルについて、実施例1及び比較例1と同様の方法で測定された、カソード用ペーストの凝集度、カソードの気孔率、カソードの電気抵抗率
及び電池性能評価試験における電圧の結果を、表3に示す。
実施例1及び比較例1のカソード用ペーストの作製工程において、LSCF(A1)の代わりにランタンストロンチウムマンガナイト(LSM(元素比:La0.8Sr0.2Mn1.0、比表面積7.4m2/g))、GDC(B1)の代わりに10Sc1CeSZ(Sc2
O3が10mol%、CeO2が1mol%ドープされたZrO2、第一稀元素化学工業製
、ただし、購入後、ボールミル処理により比表面積を11m2/gに調整したもの)を、
表3に示す混合比で混合してカソード粉末として用いてカソード用ペーストを作製し、それを用いてカソードを形成したこと以外は、実施例1及び比較例1と同様の方法で作製することにより、実施例13及び比較例10のSOFC用単セルをそれぞれ得た、実施例13及び比較例10のSOFC用単セルについて、実施例1及び比較例1と同様の方法で測定された、カソード用ペーストの凝集度、カソードの気孔率、カソードの電気抵抗率及び電池性能評価試験における電圧の結果を、表3に示す。
11 アノード
12 カソード
13 電解質層
14 バリア層
111 アノード支持基板
112 アノード層
21 測定サンプル
22 測定サンプルにおけるカソード
Claims (12)
- カソードと、アノードと、前記カソードと前記アノードとの間に配置された電解質層と、を備えた固体酸化物形燃料電池用単セルであって、
前記カソードは、100μm以下の厚さを有し、25℃での測定値として40Ω・cm以下の電気抵抗率を有し、かつ、30%以上70%以下の気孔率を有し、
前記カソードが電子伝導体及び前記電子伝導体との合計100質量%に基づき40~60質量%のイオン伝導体を含み、
前記イオン伝導体が、セリア系固溶体を含み、
前記電子伝導体は、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルタイト、ランタンストロンチウムフェライト、ランタンストロンチウムコバルトフェライト及びランタンストロンチウムコバルトマンガナイトからなる群から選択される少なくともいずれか1種であり、
前記電解質層が酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、又は酸化イッテルビウムで安定化されたジルコニアを含む、
固体酸化物形燃料電池用単セル。 - 前記カソードにおいて、互いに重ならない3つの正方形区画であって、かつ、各正方形区画が10mm×10mmの大きさを有している前記3つの正方形区画を任意で選択した場合、前記3つの正方形区画における、電気抵抗率についての標準偏差が、10Ω・cm以下である、
請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用単セル。 - 前記カソードにおいて、互いに重ならない5つの正方形区画であって、かつ、各正方形区画が10mm×10mmの大きさを有している前記5つの正方形区画を任意で選択した場合、前記5つの正方形区画における、電気抵抗率についての標準偏差が、8Ω・cm以下である、
請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用単セル。 - 前記カソードにおいて、前記電子伝導体は、前記電子伝導体と前記イオン伝導体との合計に対して40~60質量%である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用単セル。 - 前記イオン伝導体は、安定化ジルコニアを更に含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用単セル。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用単セルを製造する方法であって、
(I)粉末状の電子伝導体及びイオン伝導体を含むカソード粉末と、バインダーと、溶剤とを含むカソード用ペーストを作製する工程と、
(II)前記カソード用ペーストを前記電解質層上に塗布して焼成し、カソードを形成する工程と、
を含み、
前記カソード粉末において、前記電子伝導体は、前記電子伝導体と前記イオン伝導体との合計に対して40~60質量%であり、
前記カソード用ペーストにおける粉末の凝集度γを、前記カソード粉末のBET比表面積から算出される1次粒子径βに対する、前記ペースト中の前記カソード粉末の凝集物の最大粒子径αの比(α/β)と定義した場合、前記凝集度γが500以下である、
固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法。 - 固体酸化物形燃料電池用のカソードであって、
100μm以下の厚さを有し、25℃での測定値として40Ω・cm以下の電気抵抗率を有し、かつ、30%以上70%以下の気孔率を有し、
電子伝導体及び前記電子伝導体との合計100質量%に基づき40~60質量%のイオン伝導体を含み、
前記イオン伝導体が、セリア系固溶体を含み、
前記電子伝導体は、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルタイト、ランタンストロンチウムフェライト、ランタンストロンチウムコバルトフェライト及びランタンストロンチウムコバルトマンガナイトからなる群から選択される少なくともいずれか1種である、
固体酸化物形燃料電池用カソード。 - 互いに重ならない3つの正方形区画であって、かつ、各正方形区画が10mm×10mmの大きさを有している前記3つの正方形区画を任意で選択した場合、前記3つの正方形区画における、電気抵抗率についての標準偏差が、10Ω・cm以下である、
請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。 - 互いに重ならない5つの正方形区画であって、かつ、各正方形区画が10mm×10mmの大きさを有している前記5つの正方形区画を任意で選択した場合、前記5つの正方形区画における、電気抵抗率についての標準偏差が、8Ω・cm以下である、
請求項7又は8に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。 - 前記電子伝導体は、前記電子伝導体と前記イオン伝導体との合計に対して40~60質量%である、
請求項7~9のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。 - 前記イオン伝導体は、安定化ジルコニアを更に含む、
請求項7~10のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用カソード。 - 請求項7~11のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用カソードを製造する方法であって、
(I)粉末状の電子伝導体及び粉末状のイオン伝導体を含むカソード粉末と、バインダーと、溶剤とを含むカソード用ペーストを作製する工程と、
(II)前記カソード用ペーストの塗膜を形成し、前記塗膜を焼成してカソードを形成する工程と、
を含み、
前記カソード粉末において、前記電子伝導体は、前記電子伝導体と前記イオン伝導体との合計に対して40~60質量%であり、
前記カソード用ペーストにおける粉末の凝集度γを、前記カソード粉末のBET比表面積から算出される1次粒子径βに対する、前記ペースト中の前記カソード粉末の凝集物の最大粒子径αの比(α/β)と定義した場合、前記凝集度γが500以下である、
固体酸化物形燃料電池用カソードの製造方法。
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