JP7135419B2 - 多孔質焼結体 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質焼結体に関する。
従来、例えば、固体酸化物形燃料電池のカソードやアノードなどには、触媒粒子を含む多孔質焼結体が用いられている。この種の多孔質焼結体において、触媒活性を向上させるため、触媒自体の性能向上や微細化による触媒表面積の向上を図る手法が一般的に採用されている。しかし、いずれの手法も、触媒表面の活性向上の影響により、多孔質焼結体の使用時に触媒粒子の焼結が生じ、触媒安定性が低下する。そこで、特許文献1に記載される、触媒粒子の結晶構造分布を均一化させる手法や、特許文献2に記載される、触媒粒子の組成分布を均一化させる手法などが提案されている。
具体的には、特許文献1には、一般式ABOで表されるペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物を含み、リートベルト解析に基づき算出される結晶構造の格子歪が2.5%以下である、固体酸化物形燃料電池のカソードに用いられる多孔質焼結体が開示されている。また、特許文献2には、一般式ABOで表されるペロブスカイト構造を有する複合酸化物によって構成され、1つの視野内の10スポットにおいてエネルギー分散型X線分光法により測定されたAサイト内の各元素の原子濃度の標準偏差値が10.3以下である、固体酸化物形燃料電池のカソードに用いられる多孔質焼結体が開示されている。
特開2015-111534号公報 特許第5140787号公報
しかしながら、従来技術には次の課題がある。結晶構造や組成を均一化させることによって触媒粒子の安定性を向上させようとした場合には、材料物性による限界値がある。また、触媒粒子の結晶構造や組成を均一化させるためには、高精度のプロセス技術が必要となり、触媒粒子の合成コストが増加する。そのため、触媒粒子の結晶構造や組成の均一化によらずに、触媒粒子の焼結を抑制することが望まれている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、触媒粒子の焼結を抑制可能な多孔質焼結体を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、複数の触媒粒子(21)(但し、貴金属粒子を除く。)が連なった状態で結合して構成されており、焼結の起点となる焼結起点部(22)を表面に備える粒子連続体(2)と、
上記焼結起点部に接して配置されたピン止め粒子(3)(但し、中央部とその周囲に形成された表面層とを具備しかつ表面層が4価より小さい価数のCeと希土類元素との複合酸化物からなる粒子を除く。)と、
を有する、多孔質焼結体(1)にある。
上記多孔質焼結体は、複数の触媒粒子が連なった状態で結合して構成された粒子連続体を有している。この粒子連続体は、その表面に焼結の起点となる焼結起点部を有している。しかし、この粒子連続体における焼結起点部には、焼結起点部に接するようにピン止め粒子が配置されている。そのため、ピン止め粒子により、粒子連続体を構成する触媒粒子の焼結進行が阻害される。それ故、上記多孔質焼結体によれば、触媒粒子の焼結を抑制することが可能となり、高い触媒安定性を発揮することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1の多孔質焼結体の厚み方向に沿う断面を模式的に示した説明図である。 多孔質焼結体における粒子連続体およびピン止め粒子を模式的に示した説明図である。 触媒粒子とピン止め粒子とを含む混合物を焼成することによって多孔質焼結体を得る過程を模式的に示した説明図である。 粒子連続体の表面の曲率の測定方法を説明するための説明図である。 多孔質焼結体におけるL/Lの測定方法を説明するための説明図である。 実験例1で作製した多孔質焼結体としてのカソードの厚み方向に沿うSEM断面像である。
(実施形態1)
実施形態1の多孔質焼結体1について、図1~図5を用いて説明する。図1に例示されるように、本実施形態の多孔質焼結体1は、粒子連続体2と、ピン止め粒子3と、を有している。
多孔質焼結体1は、例えば、固体酸化物形燃料電池5のカソード51またはアノード52に適用することができる。多孔質焼結体1が固体酸化物形燃料電池5のカソード51に適用される場合には、カソード51に含まれる粒子連続体2を構成する触媒粒子21の焼結を抑制することができ、高いカソード触媒安定性を発揮することができる。一方、多孔質焼結体1が固体酸化物形燃料電池5のアノード52に適用される場合には、アノード52に含まれる粒子連続体2を構成する触媒粒子21の焼結を抑制することができ、高いアノード触媒安定性を発揮することができる。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)5は、固体電解質層50を構成する固体電解質として、酸素イオン導電性を示す固体酸化物セラミックスを用いる燃料電池である。図1には、アノード52と固体電解質層50とカソード51とを有する固体酸化物形燃料電池5としての単セルにおけるカソード51に対して、多孔質焼結体1を適用した例が示されている。なお、固体酸化物形燃料電池5としての単セルは、図1に例示されるように、固体電解質層50とカソード51との間に中間層53をさらに備えることができる。中間層53は、主に、固体電解質層材料とカソード材料との反応を抑制するための層である。また、図1では、固体酸化物形燃料電池5が平板形の電池構造を有する例が示されているが、固体酸化物形燃料電池5は円筒形の電池構造を有していてもよい。
粒子連続体2は、複数の触媒粒子21が連なった状態で結合して構成されている。触媒粒子21の構成材料としては、例えば、La、Sr、Co、Fe、Ni、および、Mnからなる群より選択される少なくとも2種を含む酸化物などを例示することができる。この構成によれば、固体酸化物形燃料電池5のカソード51に用いて良好な発電性能を発揮可能な多孔質焼結体1が得られる。上記酸化物としては、具体的には、(La,Sr)CoO、(La,Sr)(Co,Fe)O、La(Mn,Fe)O、La(Ni,Fe)Oなどの遷移金属ペロブスカイト型酸化物等を例示することができる。また、触媒粒子21の構成材料としては、他にも例えば、Ni、NiOなどを例示することができる。この構成によれば、固体酸化物形燃料電池5のアノード52に用いて良好な発電性能を発揮可能な多孔質焼結体1が得られる。なお、粒子連続体2を構成する触媒粒子21は、1種の触媒粒子21より構成されていてもよし、2種以上の触媒粒子21より構成されていてもよい。
粒子連続体2は、焼結の起点となる焼結起点部22を表面に備えている。焼結起点部22としては、具体的には、図2に例示されるように、粒子連続体2における、触媒粒子21同士の結合部分に形成されたくびれ部221、触媒粒子21の表面に形成された凸部222、触媒粒子21の表面に形成された凹部223、これらの組み合わせなどを例示することができる。これらの部位は、焼結の起点となりやすい部位であり、上記構成によれば、これらの部位からの触媒粒子21の焼結進行を抑制することが可能になる。
ピン止め粒子3は、焼結起点部22に接して配置されている。ピン止め粒子3は、焼結起点部22からの焼結の進行を阻害する。図2では、具体的には、粒子連続体2のくびれ部221、粒子連続体2を構成する触媒粒子21の表面にある凸部222、粒子連続体2を構成する触媒粒子21の表面にある凹部223にピン止め粒子3が配置されている例が示されている。なお、ピン止め粒子3は、焼結起点部22の全てに配置されていてもよいし、焼結起点部22の一部に配置されていてもよい。ピン止め粒子3は、好ましくは、少なくともくびれ部221に配置されているとよい。くびれ部221は、粒子連続体2を構成する触媒粒子21同士が隣接しているため、隣接する触媒粒子21同士が一つになろうとしてより焼結が進行しやすいからである。
ピン止め粒子3の構成材料としては、例えば、触媒粒子21の構成材料よりも高い焼結温度を有する金属または酸化物などを例示することができる。この構成によれば、触媒粒子21とピン止め粒子3とを含む混合物(図3(a))を焼成することにより、触媒粒子21表面の凸部222や凹部223等から部分的に溶解し、周囲のピン止め粒子3を取り込みつつ隣り合う触媒粒子21同士が結合し、くびれ部221が形成される(図3(b))。そして、冷却時には、粒子連続体2のくびれ部221や触媒粒子21の凸部222、凹部223等にピン止め粒子3が析出する(図3(c))。そのため、上記構成によれば、多孔質焼結体1の焼成時にピン止め粒子3が触媒粒子21よりも先に溶解することがない。それ故、上記構成によれば、触媒粒子21とピン止め粒子3との焼結温度差を利用して、粒子連続体2のくびれ部221や触媒粒子21の凸部222、凹部223等にピン止め粒子3が選択的に配置された構造を得やすい利点がある。
ピン止め粒子3は、多孔質焼結体1の焼成時における焼成温度にて触媒粒子21の構成材料と化合物を形成しない金属または酸化物より構成されているとよい。この構成によれば、多孔質焼結体1の焼成時に、触媒粒子21とピン止め粒子3とが化学反応しないので、触媒粒子21に取り込まれたピン止め粒子3がくびれ部221、凸部222、凹部223等に析出しやすくなる。それ故、この構成によれば、粒子連続体2における焼結起点部22へのピン止め粒子3の配置を確実なものとすることが可能になる。なお、上記化合物を形成しないとは、多孔質焼結体1の焼成時に、触媒粒子21とピン止め粒子3とが化学反応してしまって触媒粒子21にピン止め粒子3が取り込まれたままとならないことを意味する。したがって、上記析出が生じる範囲内であれば、ピン止め粒子3は、触媒粒子21の構成材料とわずかに化合物を形成してもよい。
ピン止め粒子3の構成材料としては、例えば、Gd、Sm、Y、Nd、La、および、Ceからなる群より選択される少なくとも2種を含む酸化物などを例示することができる。この構成によれば、焼結温度が高いので、焼結起点部22へのピン止め粒子3の配置を確実なものとすることが可能になる。また、上記酸化物は、酸素イオン伝導性と電子導電性の両方を備えるため、触媒粒子21、ピン止め粒子3、気孔4の三相界面での反応が促進され、固体酸化物形燃料電池5のカソード51に用いて良好な発電性能を発揮可能な多孔質焼結体1が得られる。上記酸化物としては、好ましくは、Ceと、Gd、Sm、Y、Nd、および、Laからなる群より選択される少なくとも1種と、を含む酸化物であるとよい。この構成によれば、上述した作用効果が得られやすい。上記酸化物としては、具体的には、例えば、CeOにGd、Sm、Y、Nd、および、Laからなる群より選択される少なくとも1種の元素等がドープされたセリア系固溶体などを例示することができる。また、ピン止め粒子3の構成材料としては、他にも例えば、Al、ZrO、ZrOにY、Ca、および、Scからなる群より選択される少なくとも1種の元素がドープされたジルコニア系固溶体などを例示することができる。この構成によれば、固体酸化物形燃料電池5のアノード52に用いて良好な発電性能を発揮可能な多孔質焼結体1が得られる。なお、ピン止め粒子3は、1種のピン止め粒子3より構成されていてもよし、2種以上のピン止め粒子3より構成されていてもよい。
触媒粒子21およびピン止め粒子3は、いずれも酸素イオン伝導性を有しており、ピン止め粒子3の酸素イオン伝導度は、触媒粒子21の酸素イオン伝導度よりも高い構成とすることができる。この構成によれば、多孔質焼結体1をカソード51に適用した場合に、触媒粒子21と気孔4との二相界面だけではなく、触媒粒子21とピン止め粒子3と気孔4との三相界面でのカソード反応を促すことができる。そのため、この構成によれば、ピン止め粒子3の存在による発電性能の低下を抑制することができる。なお、上述した遷移金属ペロブスカイト型酸化物、セリア系固溶体は、いずれも酸素イオン伝導性を有している。また、上述した酸素イオン伝導度の高低は、700℃における酸素イオン伝導度を比較することで判断することができる。
触媒粒子21の平均径をD、ピン止め粒子3の平均径をDとしたとき、多孔質焼結体1は、D≦D、好ましくは、D<Dを満たす構成とすることができる。この構成によれば、粒子連続体2における焼結起点部22へのピン止め粒子3の配置を確実なものとすることが可能になる。
上記D、Dの測定方法について説明する。多孔質焼結体1の厚み方向に沿う断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、一視野に少なくとも20個以上の触媒粒子21が観察されるSEM像を取得する。得られたSEM像の水平方向(上記厚み方向と垂直な方向)にほぼ等間隔で20本の横線を引き、それぞれの横線が、粒子連続体2を構成する触媒粒子21を横切る距離dを測定する。また、粒子連続体2に接触する全てのピン止め粒子3に対し、ピン止め粒子3の中央部(重心)を横切るよう横線(上記厚み方向と垂直な方向に沿う線)を引き、それぞれの横線がピン止め粒子3を横切る距離dを測定する。上記の操作を10視野分実施する。そして、測定された各dの値の平均値を、触媒粒子21の平均径Dとする。また、測定された各dの値の平均値を、ピン止め粒子3の平均径Dとする。なお、後述する図6の下半分では、粒子連続体2の表面に、複数のピン止め粒子3がネッキングした状態で接しているが、このような場合には、複数のピン止め粒子3がネッキングした状態の粒子を1つの粒子と見て、その粒子の中央部(重心)を横切る横線にて測長すれば、統計的にはほぼ正確な平均径Dを求めることができる。
触媒粒子21の平均径Dは、焼結抑制、比表面積を向上させて反応活性を向上させるなどの観点から、好ましくは、0.4μm以上5μm以下、より好ましくは、0.5μm以上3μm以下、さらに好ましくは、0.8μm以上1.5μm以下とすることができる。また、ピン止め粒子3の平均径Dは、焼結抑制、触媒粒子21の反応活性低下を抑制するなどの観点から、好ましくは、0.05μm以上5μm以下、より好ましくは、0.08μm以上3μm以下、さらに好ましくは、0.1μm以上1μm以下とすることができる。
多孔質焼結体1が固体酸化物形燃料電池5のカソード51またはアノード52に用いられる場合、図1に例示されるように、多孔質焼結体1をその厚み方向に沿う断面で見て、多孔質焼結体1の厚み方向の中央部を基準BLとし、当該基準BLよりも固体酸化物形燃料電池5が備える固体電解質層50側に配置される領域を電解質側領域51e、上記基準BLよりも固体電解質層50側とは反対側の表面側に配置される領域を表面側領域51sとする。このとき、多孔質焼結体1は、Dps≦Dpe、好ましくは、Dps<Dpeを満たす構成とすることができる。但し、Dpeは、電解質側領域51eに含まれるピン止め粒子3の平均径であり、Dpsは、表面側領域51sに含まれるピン止め粒子3の平均径である。電解質側領域51eは、電極反応による負荷が高いため、従来、触媒粒子21の焼結が進行しやすい領域であった。これに対して、上記構成によれば、電極反応による負荷が高い電解質側領域51eにおいて、粒子連続体2の焼結起点部22に対するピン止め粒子3の接触面積を増加させることができる。そのため、上記構成によれば、電解質側領域51eに含まれる粒子連続体2を構成する触媒粒子21の焼結を抑制しやすくなる。また、上記構成によれば、表面側領域51sに含まれるピン止め粒子3によってガス拡散性が阻害され難くなる。
上記Dpe、Dpsの測定方法について説明する。多孔質焼結体1の厚み方向に沿う断面を、SEMにて観察し、電解質側領域51eおよび表面側領域51sについて、一視野に少なくとも20個以上の触媒粒子21が観察されるSEM像を取得する。得られた電解質側領域51eのSEM像について、粒子連続体2に接触する全てのピン止め粒子3に対し、ピン止め粒子3の中央部(重心)を横切るよう横線(上記厚み方向と垂直な方向に沿う線)を引き、それぞれの横線がピン止め粒子3を横切る距離dpeを測定する。上記の操作を10視野分実施する。そして、測定された各dpeの値の平均値を、電解質側領域51eに含まれるピン止め粒子3の平均径Dpeとする。同様にして、得られた表面側領域51sのSEM像について、粒子連続体2に接触する全てのピン止め粒子3に対し、ピン止め粒子3の中央部(重心)を横切るよう横線(上記厚み方向と垂直な方向に沿う線)を引き、それぞれの横線がピン止め粒子3を横切る距離dpsを測定する。上記の操作を10視野分実施する。そして、測定された各dpsの値の平均値を、表面側領域51sに含まれるピン止め粒子3の平均径Dpsとする。複数のピン止め粒子3がネッキングした状態となっている場合については、Dの説明にて上述した通りである。なお、実験例3にて測定する電解質側領域51eに含まれる触媒粒子21の平均径Dae、表面側領域51sに含まれる触媒粒子21の平均径Dasについては、電解質側領域51eおよび表面側領域51sについて、上記D、Dの測定方法と同様に測定することで得ることができる。
電解質側領域51eに含まれるピン止め粒子3の平均径Dpeは、焼結による触媒粒子21の粒成長の抑制などの観点から、好ましくは、0.1μm以上5μm以下、より好ましくは、0.5μm以上4μm以下、さらに好ましくは、1.5μm以上3μm以下とすることができる。また、表面側領域51sに含まれるピン止め粒子3の平均径Dpsは、焼結による触媒粒子21の粒成長の抑制、ガス拡散性の確保などの観点から、好ましくは、0.05μm以上3μm以下、より好ましくは、0.08μm以上1μm以下、さらに好ましくは、0.1μm以0.5μm以下とすることができる。
図4に例示されるように、多孔質焼結体1をその厚み方向に沿う断面で見て、粒子連続体2の表面に対応して現われる表面曲線SLについて求めた粒子連続体2の表面の曲率の平均値をraveとする。このとき、多孔質焼結体1は、曲率がraveμm-1以上である部分に配置されたピン止め粒子3の数が、曲率がraveμm-1未満である部分に配置されたピン止め粒子3の数以上である構成とすることができる。この構成によれば、粒子連続体2における焼結起点部22に選択的にピン止め粒子3が配置されることで、触媒粒子21の焼結抑制効果をより確実なものとすることができる。
上記raveの測定方法について説明する。多孔質焼結体1の厚み方向に沿う断面を、SEMにて観察し、一視野に少なくとも10個以上の触媒粒子21が観察されるSEM像を取得する。図4に例示されるように、得られたSEM像の水平方向(上記厚み方向と垂直な方向)にほぼ等間隔で10本の横線を引き、それぞれの横線が、粒子連続体2の表面に対応する表面曲線SLを横切る箇所(図4で丸印をつけた箇所)における曲率rを測定する。そして、測定された各rの値の平均値を、粒子連続体の表面の曲率raveとする。ここで、SEM視野内で観察されるピン止め粒子3の全数Nのうち、曲率がraveμm-1以上である部分に配置されたピン止め粒子の数Nの比率を、N/Nとする。このN/Nが0.5以上である場合に、曲率がraveμm-1以上である部分に配置されたピン止め粒子3の数が、曲率がraveμm-1未満である部分に配置されたピン止め粒子3の数以上であるということができる。
なお、上記N/Nは、触媒粒子21の焼結反応の起点にピン止め粒子3を配置しやすくするとともに、反応に有効な触媒粒子21の表面は極力確保するなどの観点から、好ましくは、0.6以上、より好ましくは、0.7以上、さらに好ましくは、0.75以上とすることができる。
上述したように多孔質焼結体1を電解質側領域51eと表面側領域51sとに二分するとともに、図5に例示されるように、粒子連続体2の外周部23の全長をL、ピン止め粒子3が粒子連続体2に接する部分24の全長をLとする。このとき、多孔質焼結体1は、(L/L)≦(L/L)、好ましくは、(L/L)<(L/L)を満たす構成とすることができる。但し、(L/L)は、電解質側領域51eにおけるL/L値であり、(L/L)は、表面側領域51sにおけるL/L値である。この構成によれば、電極反応による負荷が高い電解質側領域51eにおいて、粒子連続体2の焼結起点部22に対するピン止め粒子3の接触面積を増加させることができる。そのため、この構成によれば、電解質側領域51eに含まれる粒子連続体2を構成する触媒粒子21の焼結を抑制しやすくなる。また、この構成によれば、表面側領域51sに含まれるピン止め粒子3によってガス拡散性が阻害され難くなる。
上記(L/L)≦(L/L)の測定方法について説明する。多孔質焼結体1の厚み方向に沿う断面を、SEMにて観察し、電解質側領域51eおよび表面側領域51sについて、それぞれ、一視野に少なくとも10個以上の触媒粒子21が観察されるSEM像を取得する。電解質側領域51eのSEM像にて粒子連続体2の外周部の全長l、ピン止め粒子3が粒子連続体2に接する部分の全長lpeをそれぞれ測定する。上記の操作を10視野分実施する。そして、測定された各lの値の平均値を、電解質側領域51eにおける粒子連続体2の外周部の全長Lとし、測定された各lpeの値の平均値を、ピン止め粒子3が粒子連続体2に接する部分の全長Lpeとする。(L/L)は、電解質側領域51eにおけるL/Lを意味するLpe/Lを計算することにより算出される。同様にして、表面側領域51sのSEM像にて粒子連続体2の外周部の全長l、ピン止め粒子3が粒子連続体2に接する部分の全長lpsをそれぞれ測定する。上記の操作を10視野分実施する。そして、測定された各lの値の平均値を、表面側領域51sにおける粒子連続体2の外周部の全長Lとし、測定された各lpsの値の平均値を、ピン止め粒子3が粒子連続体2に接する部分の全長Lpsとする。(L/L)は、表面側領域51sにおけるL/Lを意味するLps/Lを計算することにより算出される。なお、上述したL/Lは、ピン止め粒子3による粒子連続体2の被覆率を意味している。
電解質側領域51eにおける(L/L)は、触媒粒子21の焼結反応の抑制効果をより確実なものにするなどの観点から、好ましくは、0.45以上、より好ましくは、0.50以上、さらに好ましくは、0.53以上とすることができる。また、表面側領域51sにおける(L/L)は、燃料ガスの拡散を妨げない範囲で、触媒粒子21の焼結反応の抑制効果をさらに確実なものにするなどの観点から、好ましくは、0.08以上、より好ましくは、0.10以上、さらに好ましくは、0.13以上とすることができる。
本実施形態の多孔質焼結体1は、複数の触媒粒子21が連なった状態で結合して構成された粒子連続体2を有している。この粒子連続体2は、その表面に焼結の起点となる焼結起点部22を有している。しかし、この粒子連続体2における焼結起点部22には、焼結起点部22に接するようにピン止め粒子3が配置されている。そのため、ピン止め粒子3により、粒子連続体2を構成する触媒粒子21の焼結進行が阻害される。それ故、本実施形態の多孔質焼結体1によれば、触媒の焼結を抑制することが可能となり、高い触媒安定性を発揮することができる。
以下、上記多孔質焼結体を固体酸化物形燃料電池のカソードに適用した実験例を示す。
(実験例1)
<材料準備>
NiO粉末(平均粒子径:1.0μm)と、8mol%のYを含むイットリア安定化ジルコニア(以下、8YSZ)粉末(平均粒子径:0.8μm)と、カーボン(造孔剤)と、ポリビニルブチラール(有機材料)と、酢酸イソアミル、2-ブタノールおよびエタノール(混合溶媒)とをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。NiO粉末と8YSZ粉末との質量比は、60:40とした。上記スラリーを、ドクターブレード法を用いて、樹脂シート上に層状に塗工し、乾燥させた後、樹脂シートを剥離することにより、アノードの拡散層形成用シートを準備した。なお、上記平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径(直径)d50である(以下、同様)。
NiO粉末(平均粒子径:1.0μm)と、8YSZ粉末(平均粒子径:0.8μm)と、カーボンと、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミルおよび1-ブタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。NiO粉末と8YSZ粉末の質量比は、60:40である。以降は、拡散層形成用シートの作製と同様にして、アノードの活性層形成用シートを準備した。なお、拡散層形成用シートにおけるカーボン(造孔剤)量は、活性層形成用シートにおけるカーボン量と比較して多量とされている。
8YSZ粉末(平均粒子径:0.8μm)と、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミル、2-ブタノールおよびエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。以降は、拡散層形成用シートの作製と同様にして、固体電解質層形成用シートを準備した。
10mol%のGdがドープされたCeO(以下、GDC)粉末(平均粒子径:0.8μm)と、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミル、2-ブタノールおよびエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。以降は、拡散層形成用シートの作製と同様にして、中間層形成用シートを準備した。
触媒粒子として、(La,Sr)CoO(以下、LSC)粉末(平均粒子径:0.8μm)、ピン止め粒子として、GDC粉末(平均粒子径:0.3μm)を準備した。そして、LSC粉末とGDC粉末とを、体積比で8:2となるように秤量し、これにカーボンと、エチルセルロースと、テルピネオールとを加え、ボールミルにて混合することにより、カソード形成用ペーストを準備した。
<カソード、単セルの作製>
複数枚の拡散層形成用シート、活性層形成用シート、固体電解質層形成用シート、および、中間層形成用シートをこの順に積層し、静水圧プレス(WIP)成形法を用いて圧着することにより、圧着体を得た。圧着体は、圧着後に脱脂した。なお、WIP成形条件は、温度80℃、加圧力50MPa、加圧時間10分という条件とした。
次いで、圧着体を1350℃で2時間焼成した。これにより、拡散層(500μm)および活性層(50μm)より構成される層状のアノード、固体電解質層(10μm)、および、中間層(10μm)がこの順に積層された焼結体を得た。
次いで、上記焼結体における中間層の表面に、カソード形成用ペーストをスクリーン印刷法により均一に塗布し、80℃で乾燥させた後、電気炉にて、大気中、1050℃で30分間焼成(焼付)することにより、層状のカソードを形成した。なお、カソードは、中間層の外形よりも小さく形成した。以上により、本例のカソード、および、単セルを得た。
なお、上記において、焼成温度は、触媒粒子であるLSC粒子の粒成長が促進される温度以上、かつ、ピン止め粒子であるGDC粒子の粒成長が生じない温度以下となるように選択したものである。また、GDCは、LSCよりも高い焼結温度を有する酸化物であり、上記焼成温度では、LSCと化合物を形成しない。また、LSCおよびGDCは、いずれも酸素イオン伝導性を有しており、GDCの酸素イオン伝導度は、LSCの酸素イオン伝導度よりも高い。
実験例1にて得られたカソードの厚み方向に沿う断面のSEM像を、図6に示す。図6に示されるように、本例における多孔質焼結体としてのカソードは、複数のLSC粒子が連なった状態で結合して構成された粒子連続体を有していることがわかる。また、粒子連続体は、LSC粒子同士の結合部分に形成されたくびれ部、LSC粒子の表面に形成された凸部、LSC粒子の表面に形成された凹部等より構成される焼結起点部を表面に備えていることがわかる。また、カソードは、粒子連続体における焼結起点部に接して配置されたピン止め粒子を有していることがわかる。また、上述した方法により求めたLSC粒子の平均径D、GDC粒子の平均径Dは、D<Dを満たしていることが確認された。
(実験例2)
ピン止め粒子の配置のされ方が異なるカソード、単セルを作製し、その電極構造の安定性を評価した。具体的には、実験例1と同様にして、カソード、単セルを作製した。但し、ピン止め粒子の配置は、カソードの焼成温度および時間を変化させることによって異ならせた。ここでは、焼成条件は、焼成温度950℃×焼成時間120分(この条件による試料を水準1とする。)、焼成温度1000℃×焼成時間90分(この条件による試料を水準2とする。)、焼成温度1050℃×焼成時間30分(この条件による試料を水準3とする。)の3水準とした。焼成温度を低くすることにより、触媒粒子の液相化、および、それに伴うピン止め粒子の固溶が抑制され、粒子連続体の焼結起点部に優先的にピン止め粒子が配置されなくなる。その結果、焼成温度を低くした場合、その焼成後には、粒子連続体の表面におけるランダムな位置にピン止め粒子が析出した状態が得られやすくなる。なお、焼成時間は、異なる焼成温度による試料間での、触媒粒子の焼結状態(平均径)を、ほぼ一致させるように調整した。また、比較のため、実験例1において、ピン止め粒子であるGDC粒子を配合しなかった点は同様にして、カソード、単セルを作製した。この条件による試料を水準4とする。
各水準のカソードについて、カソードの厚み方向に沿う断面をSEMにて観察した。そして、上述した測定方法により、粒子連続体を構成する触媒粒子の平均径Dを測定した。また、粒子連続体の表面の曲率の平均値raveを測定し、SEM視野内で観察されるピン止め粒子の全数Nのうち、曲率がraveμm-1以上である部分に配置されたピン止め粒子の数Nの比率であるN/Nを算出した。
さらに、各水準の単セルを電気炉内にて900℃で1000時間保持することにより、触媒粒子の焼結抑制効果を加速的に評価した。具体的には、上記と同様にして、900℃で1000時間保持した後(耐久後)の各単セルのカソードについて触媒粒子の平均径Dを測定した。そして、100×(耐久後の触媒粒子の平均径-耐久前の触媒粒子の平均径)/(耐久前の触媒粒子の平均径)の計算式により、焼結進行による触媒粒子の粒径増加率を求めた。以上の結果をまとめて表1に示す。
Figure 0007135419000001
表1によれば、以下のことがわかる。水準4は、ピン止め粒子を添加しなかったため、粒子連続体を構成する触媒粒子の焼結が進行し、触媒粒子の粒径が増加した。水準1、水準2は、粒子連続体の焼結起点部に選択的にピン止め粒子が配置されていないので、水準4と同様に、粒子連続体を構成する触媒粒子の焼結が進行し、触媒粒子の粒径が増加した。
これらに対し、水準3は、粒子連続体の焼結起点部に選択的にピン止め粒子が配置されているので、粒子連続体を構成する触媒粒子の焼結進行を抑制することができ、触媒粒子の粒径増加を抑制することができた。また、水準1~水準3を比較すると、水準3のように、N/Nが0.5以上である、すなわち、曲率がraveμm-1以上である部分に配置されたピン止め粒子の数が、曲率がraveμm-1未満である部分に配置されたピン止め粒子の数以上である場合には、粒子連続体における焼結起点部に選択的にピン止め粒子が配置されることで、触媒粒子の焼結抑制効果をより確実なものとすることができた。これは、焼結起点部に、触媒粒子と反応せず、熱的にも安定なピン止め粒子が配置されたことで、触媒粒子の構成材料の元素表面拡散による粒成長が抑制されたためであると考えられる。
(実験例3)
<材料準備>
触媒粒子として、LSC粉末(平均粒子径:0.5μm)、ピン止め粒子として、GDC粉末(平均粒子径:0.8μm)とを準備した。そして、LSC粉末とGDC粉末とを、体積比で8:2となるように秤量し、これにカーボンと、エチルセルロースと、テルピネオールとを加え、ボールミルにて混合することにより、カソード形成用ペーストAを準備した。
LSC粉末とGDC粉末とを、体積比で6:4となるように秤量した点以外は、上記と同様にして、カソード形成用ペーストBを準備した。
実験例1と同様にして、拡散層および活性層より構成される層状のアノード、固体電解質層、および、中間層がこの順に積層された焼結体を準備した。次いで、上記焼結体における中間層の表面に、カソード形成用ペーストAをスクリーン印刷法により均一に塗布し、80℃で乾燥させた後、電気炉にて、大気中、1150℃で10分間焼成(焼付)することにより、カソードの電解質側領域を形成した。次いで、この電解質側領域の表面に、カソード形成用ペーストBをスクリーン印刷法により均一に塗布し、80℃で乾燥させた後、電気炉にて、大気中、1050℃で30分間焼成(焼付)することにより、カソードの表面側領域を形成した。これにより、電解質側領域および表面側領域の二層より構成される本例のカソード、および、単セルを得た。なお、この試料を水準5とする。
上記水準5の試料の作製において、カソードの表面側領域の形成時に、カソード形成用ペーストBに代えてカソード形成用ペーストAを用い、1150℃で10分間焼成した点以外は同様にして、水準6のカソード、および、単セルを得た。
上記水準5の試料の作製において、カソードの電解質側領域の形成時に、カソード形成用ペーストAに代えてカソード形成用ペーストBを用い、1050℃で30分間焼成した点以外は同様にして、水準7のカソード、および、単セルを得た。なお、水準5~7のカソードの平均膜厚は56μmとした。
各水準のカソードについて、厚み方向に沿う断面をSEMにて観察した。そして、電解質側領域および表面側領域について、上述した測定方法により、粒子連続体を構成する触媒粒子の平均径Dae、Das、ピン止め粒子の平均径Dpe、Dpsを測定した。また、粒子連続体の表面の曲率の平均値raveを測定し、SEM視野内で観察されるピン止め粒子の全数Nに対する、曲率がraveμm-1以上である部分に配置されたピン止め粒子の数Nの比率であるN/Nを算出した。また、電解質側領域における(L/L)、表面側領域における(L/L)を測定した。
また、各水準の単セルを、ボタンセル評価装置にセットし、アノード側を800℃で還元処理した後、700℃まで降温させ、単セルの発電試験を行った。この際、カソード側には、空気を0.5L/分、アノード側には、5%加湿水素を0.2L/分供給した。そして、インピーダンスアナライザーにて、単セルの電流-電圧測定を行い、0.8Vにおける電流値を発電電流として読み取った。
さらに、上記ボタンセル評価装置にセットされた単セルを、0.6Vでの定電圧発電条件にて500時間保持した。そして、500時間経過後(耐久後)の単セルのカソードについて触媒粒子の平均径を測定した。そして、100×(耐久後の触媒粒子の平均径-耐久前の触媒粒子の平均径)/(耐久前の触媒粒子の平均径)の計算式により、焼結進行による触媒粒子の粒径増加率を求めた。以上の結果をまとめて表2に示す。
Figure 0007135419000002
表2によれば、以下のことがわかる。水準7の電解質側領域では、発電試験前後で触媒粒子の粒成長が見られた。これは、カソードにおける発電反応点は、固体電解質層寄りの部分に集中しており、局所的な発熱が生じていること、また、これによって固体電解質層付近は発電時の酸素消費量が多くなり、触媒粒子(LSC粒子)の部分還元が生じやすくなり、焼結活性が高くなることなどの理由によるものと考えられる。但し、水準7は、上述した実験例2における水準4に比べて、電解質側領域および表面側領域ともに粒径増加率の値が小さく、焼結抑制の効果は見られた。
一方、電解質側領域に含まれるピン止め粒子の平均径を、表面側領域に含まれるピン止め粒子の平均径以上(つまり、Dps≦Dpe)とし、また、電解質側領域におけるL/L値を、表面側領域におけるL/L値以上(つまり、(L/L)≦(L/L))とした水準5、水準6では、電解質側領域における触媒粒子の焼結による粒成長が抑制された。
また、水準6は、水準5、水準7と比較して、発電電流の値が小さかった。これは、水準6では、表面側領域におけるピン止め粒子の平均径が、他に比べて大きかったことにより、空気拡散のための連通気孔径が小さくなり、表面側領域におけるガス拡散性が低下したためであると考えられる。
また、SOFCにおいて、LSC粒子を触媒粒子に用いたカソードでは、LSC粒子と空気との接触界面で発電反応が生じる。そのため、ピン止め粒子による粒子触媒体の被覆率が高くなると、触媒粒子と空気との接触面積が低下する。これにもかからず、水準5において発電性能が高く保たれた理由としては、ピン止め粒子を構成するGDCが、酸素イオン伝導性と電子導電性の両方を備えていたため、触媒粒子、ピン止め粒子、気孔(空気)の三相界面での発電反応が促進されたためであると考えられる。
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、多孔質焼結体1は、固体酸化物形燃料電池5のカソード51またはアノード52以外にも、水の電気分解で用いられる酸素発生電極や、リチウムイオン電池等の2次電池の電極材料などに適用することもできる。また、各実施形態、各実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
以下、参考形態の例を付記する。
項1.複数の触媒粒子(21)が連なった状態で結合して構成されており、焼結の起点となる焼結起点部(22)を表面に備える粒子連続体(2)と、
上記焼結起点部に接して配置されたピン止め粒子(3)と、
を有する、多孔質焼結体(1)。
1 多孔質焼結体
2 粒子連続体
21 触媒粒子
22 焼結起点部
3 ピン止め粒子
4 気孔

Claims (12)

  1. 複数の触媒粒子(21)(但し、貴金属粒子を除く。)が連なった状態で結合して構成されており、焼結の起点となる焼結起点部(22)を表面に備える粒子連続体(2)と、
    上記焼結起点部に接して配置されたピン止め粒子(3)(但し、中央部とその周囲に形成された表面層とを具備しかつ表面層が4価より小さい価数のCeと希土類元素との複合酸化物からなる粒子を除く。)と、
    を有する、多孔質焼結体(1)。
  2. 上記ピン止め粒子は、上記触媒粒子の構成材料よりも高い焼結温度を有する金属または酸化物より構成されている、請求項1に記載の多孔質焼結体。
  3. 上記ピン止め粒子は、上記多孔質焼結体の焼成時における焼成温度にて上記触媒粒子の構成材料と化合物を形成しない金属または酸化物より構成されている、請求項1または2に記載の多孔質焼結体。
  4. 上記触媒粒子の平均径をD、上記ピン止め粒子の平均径をDとしたとき、
    ≦Dを満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の多孔質焼結体。
  5. 上記焼結起点部は、上記触媒粒子同士の結合部分に形成されたくびれ部(221)、上記触媒粒子の表面に形成された凸部(222)、上記触媒粒子の表面に形成された凹部(223)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載の多孔質焼結体。
  6. 上記多孔質焼結体を厚み方向に沿う断面で見て、
    上記粒子連続体の表面に対応して現われる表面曲線(SL)について求めた上記粒子連続体の表面の曲率の平均値をraveとしたとき、
    上記曲率がraveμm-1以上である部分に配置された上記ピン止め粒子の数が、上記曲率がraveμm-1未満である部分に配置された上記ピン止め粒子の数以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の多孔質焼結体。
  7. 上記多孔質焼結体は、固体酸化物形燃料電池(5)のカソード(51)またはアノード(52)に用いられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の多孔質焼結体。
  8. 上記多孔質焼結体を厚み方向に沿う断面で見て、
    上記多孔質焼結体の厚み方向の中央部を基準(BL)とし、当該基準よりも上記固体酸化物形燃料電池が備える固体電解質層(50)側に配置される領域を電解質側領域(51e)、上記基準よりも上記固体電解質層側とは反対側の表面側に配置される領域を表面側領域(51s)としたとき、
    ps≦Dpeを満たす、請求項7に記載の多孔質焼結体。
    但し、
    上記Dpe:上記電解質側領域に含まれる上記ピン止め粒子の平均径
    上記Dps:上記表面側領域に含まれる上記ピン止め粒子の平均径
  9. 上記多孔質焼結体を厚み方向に沿う断面で見て、
    上記多孔質焼結体の厚み方向の中央部を基準(BL)とし、当該基準よりも上記固体酸化物形燃料電池が備える固体電解質層(50)側に配置される領域を電解質側領域(51e)、上記基準よりも上記固体電解質層側とは反対側の表面側に配置される領域を表面側領域(51s)とするとともに、
    上記粒子連続体の外周部の全長をL、上記ピン止め粒子が上記粒子連続体に接する部分の全長をLとしたとき、
    (L/L)≦(L/L)を満たす、請求項7または8に記載の多孔質焼結体。
    但し、
    上記(L/L):上記電解質側領域におけるL/L値
    上記(L/L):上記表面側領域におけるL/L値
  10. 上記触媒粒子および上記ピン止め粒子は、いずれも酸素イオン伝導性を有しており、
    上記ピン止め粒子の酸素イオン伝導度は、上記触媒粒子の酸素イオン伝導度よりも高い、請求項7~9のいずれか1項に記載の多孔質焼結体。
  11. 上記触媒粒子は、La、Sr、Co、Fe、Ni、および、Mnからなる群より選択される少なくとも2種を含む酸化物より構成される、請求項7~10のいずれか1項に記載の多孔質焼結体。
  12. 上記ピン止め粒子は、Gd、Sm、Y、Nd、La、および、Ceからなる群より選択される少なくとも2種を含む酸化物より構成される、請求項7~11のいずれか1項に記載の多孔質焼結体。
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