JP5507729B1 - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部にクラックが発生することを抑制可能な固体酸化物型燃料電池を提供する。
【解決手段】NiOとNiOより小さい熱膨張係数を有するセラミックス材料とによって構成される燃料極20と、空気極と、前記燃料極20と前記空気極との間に配置される固体電解質層30とを備え、還元前の前記燃料極20をXRD分析した場合、前記セラミックス材料のピーク角度は、前記セラミックス材料の原料粉末のピーク角度から高角側に2θで0.06度以内とする。
【選択図】図1
【解決手段】NiOとNiOより小さい熱膨張係数を有するセラミックス材料とによって構成される燃料極20と、空気極と、前記燃料極20と前記空気極との間に配置される固体電解質層30とを備え、還元前の前記燃料極20をXRD分析した場合、前記セラミックス材料のピーク角度は、前記セラミックス材料の原料粉末のピーク角度から高角側に2θで0.06度以内とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体酸化物型燃料電池に関する。
従来、燃料極と、空気極と、燃料極と空気極との間に配置される固体電解質層と、を備える固体酸化物型燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。燃料極は、NiOとセラミックス材料とによって構成されている。
ところで、セラミックス材料の熱膨張係数がNiOの熱膨張係数よりも小さい場合、燃料極の焼成後の降温プロセスにおいて、セラミックス粒子はNiO粒子によって圧縮される。
一方で、燃料極の還元処理によってNiOがNiに還元されると、セラミックス粒子にかかっていた圧縮力が低減されて、セラミックス粒子が膨張する。
その結果、燃料極が全体的に膨張することによって、セル内部にクラックが発生するという問題がある。
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、内部にクラックが発生することを抑制可能な固体酸化物型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る固体酸化物型燃料電池は、燃料極と、空気極と、固体電解質層と、を備える。燃料極は、NiOと、NiOより小さい熱膨張係数を有するセラミックス材料と、によって構成される。固体電解質層は、燃料極と空気極との間に配置される。還元前の燃料極をXRD分析した場合、セラミックス材料のピーク角度は、セラミックス材料の原料粉末のピーク角度から高角側に2θで0.06度以内である。
本発明によれば、内部にクラックが発生することを抑制可能な固体酸化物型燃料電池を提供することができる。
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(固体酸化物型燃料電池10の構成)
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)10の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、固体酸化物型燃料電池10の構成を示す拡大断面図である。
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)10の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、固体酸化物型燃料電池10の構成を示す拡大断面図である。
固体酸化物型燃料電池10は、縦縞型、横縞型、燃料極支持型、電解質平板型、或いは円筒型の燃料電池である。固体酸化物型燃料電池10は、図1に示すように、燃料極20、固体電解質層30、バリア層40および空気極50を備える。
燃料極20は、固体酸化物型燃料電池10のアノードとして機能する。燃料極20は、多孔質の板状焼成体である。燃料極20の厚みは、0.2mm〜5.0mmとすることができる。本実施形態では、燃料極20は還元処理前の状態であることが想定されている。
燃料極20は、NiOと、NiOよりも小さい熱膨張係数のセラミックス材料と、を主成分として含む。このようなセラミックス材料としては、Y2O3、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、GDC(ガドリウムドープセリア)などが挙げられる。NiOの含有量は適宜調整可能である。ただし、還元後の燃料極20におけるNi含有量は、30体積%以上であることが好ましく、55体積%以下であることがより好ましい。還元前後における燃料極20の微構造については後述する。
固体電解質層30は、燃料極20とバリア層40との間に配置される。固体電解質層30は、空気極50で生成される酸素イオンを透過させる機能を有する。固体電解質層30の材料としては、例えば、3YSZ、8YSZ及び10YSZなどのイットリア安定化ジルコニアやScSZなどのジルコニア系材料を挙げることができる。固体電解質層30の厚みは、3μm〜30μmとすることができる。
バリア層40は、固体電解質層30と空気極50の間に配置される。バリア層40は、固体電解質層30と空気極50の間に高抵抗層が形成されることを抑制する機能を有する。バリア層40の材料としては、セリア(CeO2)及びCeO2に固溶した希土類金属酸化物を含むセリア系材料が挙げられる。このようなセリア系材料としては、GDCやSDC等が挙げられる。バリア層40の厚みは、3μm〜20μmとすることができる。
空気極50は、固体酸化物型燃料電池10のカノードとして機能する。空気極50は、多孔質の板状焼成体である。空気極50の厚みは、5μm〜50μmとすることができる。
空気極50は、一般式ABO3で表され、AサイトにLa及びSrの少なくとも一方を含むペロブスカイト型複合酸化物を主成分として含有する。このようなペロブスカイト型複合酸化物としては、LSCFつまり(La,Sr)(Co,Fe)O3、LSFつまり(La,Sr)FeO3、LSCつまり(La,Sr)CoO3、LSMつまりLaSrMnO3等の材料が挙げられる。
(燃料極20の微構造)
次に、燃料極20の微構造について、図面を参照しながら説明する。図2は、還元前の燃料極20の微構造を示す模式図である。図3は、還元後の燃料極20の微構造を示す模式図である。
次に、燃料極20の微構造について、図面を参照しながら説明する。図2は、還元前の燃料極20の微構造を示す模式図である。図3は、還元後の燃料極20の微構造を示す模式図である。
図2に示すように、還元前の燃料極20において、NiO粒子とセラミックス粒子は互いに接触しており、セラミックス粒子はNiO粒子によって圧縮されている。これは、燃料極20の焼成後の降温プロセスにおいて、熱膨張係数の大きいNiO粒子がセラミックス粒子よりも大きく収縮するためである。
一方で、図3に示すように、還元後の燃料極20では、NiOがNiに還元された結果、Ni粒子とセラミックス粒子の間に気孔が形成されるとともに、セラミックス粒子自体も大きくなる。その結果、燃料極20が全体的に膨張するが、燃料極20の膨張量はセラミックス粒子にかかっていた圧縮力に相関する。そのため、セラミックス粒子に対する圧縮力を適切な値に抑えておくことによって、還元処理による燃料極20の過剰な膨張を抑制することができる。
ここで、圧縮力がかかった状態のセラミックス材料をXRD(X-ray Diffraction)分析すると、セラミックス材料のピーク角度は、セラミックス材料の原料粉末のピーク角度(以下、「基準ピーク角度」という。)から高角側にシフトする傾向がある。
そこで、本実施形態では、セラミックス材料のピーク角度が、基準ピーク角度から高角側に2θで0.06度以内に収めることによって、還元処理による燃料極20の過剰な膨張の抑制が図られている。
例えば、セラミックス材料がY2O3である場合には、純粋なY2O3原料粉末の基準ピーク角度を2θ=57.62°に設定すると、セラミックス材料のピーク角度は、2θで57.62°以上57.68°以下の範囲内であることが好ましい。
XRD分析は、(株)リガク製 試料水平型強力X線回折装置RINT−TTRIIIによって行うことができる。この装置による測定条件は、管電圧50kV、管電流300mA、走査方法2θ/θ、とすればよい。測定範囲は、セラミックス材料の種類に応じて適宜変更すればよいが、低角側だとピークシフトが小さく見える傾向があるので,2θで55°以上の高角側で測定することが望ましい。例えばY2O3であれば、2θ=57.00°〜58.50°とすればよい。また、ピーク角度は、得られたXRDスペクトルから解析ソフトを用いてバックグラウンド除去を行い、半価幅中点法によって同定することができる。なお、XRDスペクトル中にKα1・Kα2回折線の分離が見られる場合は、Kα1ピークの先端から高角度側の裾へ想定線を引き、ピーク角度を決定することができる.
このようなXRD分析は、固体電解質層30、バリア層40及び空気極50を平面研削で除去することによって露出された燃料極20の表面に対して行うことができる。ただし、XRD分析は、燃料極20の断面や側面に対しても行うことができる。いずれの面が分析対象であるかは、分析結果に影響しないことが確認されている。
また、還元前の燃料極20において、NiO粒子とセラミックス粒子それぞれの平均粒径を比較した場合、NiO粒子のセラミックス粒子に対する粒径比rは、2.5以下であることが好ましい。
NiO粒子のセラミックス粒子に対する粒径比rは、以下の手法で求めることができる。まず、燃料極20の表面をポリッシングした後に、燃料極20の表面をサーマルエッチングすることによって、NiO粒子とセラミックス粒子の粒界を明確にする。次に、NiO粒子とセラミックス粒子が合計150個程度入る倍率で、燃料極20の表面のSEM画像を取得する。次に、SEM画像を画像解析することによって、全NiO粒子の合計面積SNi及び粒子数NNiと、全セラミックス粒子の合計面積SY及び粒子数NYとを求める。そして、次式(1)に基づいて粒径比rを算出する。
r=(SNi/NNi)/(SY/NY) ・・・(1)
このような粒径比rを2.5以下に制御することによって、セラミックス粒子によって燃料極20の骨格が形成され、NiO粒子を離散的に位置させることができる。その結果、還元前の状態において、セラミックス粒子にかかる圧縮力を低減させることができる。
なお、2次元の組織から3次元の構造を推定する手法については、“水谷惟恭、尾崎義治、木村敏夫、山口喬著、「セラミックプロセッシング」、技報堂出版株式会社、1985年3月25日発行、第190頁から第201頁”に記載されている通りである。
(固体酸化物型燃料電池10の製造方法)
次に、固体酸化物型燃料電池10の製造方法の一例について説明する。
次に、固体酸化物型燃料電池10の製造方法の一例について説明する。
まず、NiO粉末、セラミックス粉末、造孔剤(例えばPMMA)、バインダー(例えばPVA)をポットミルで混合することによってスラリーを作製する。この際、ポットミルに投入する玉石の量や混合時間を調整することによって、上記式(1)で表される粒径比rが2.5以下になるようにセラミックス粉末とNiO粉末の粒径を制御する。
次に、スラリーを窒素雰囲気下で乾燥させることによって、混合粉末を作製する。
次に、混合粉末を一軸プレス(成形圧:50MPa)することで板状の燃料極20の成形体を作製する。
次に、固体電解質層用粉末にテルピネオールとバインダーを混合してスラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などによってスラリーを燃料極20の成形体上に塗布することによって、固体電解質層30の成形体を形成する。
次に、バリア層用粉末にテルピネオールとバインダーを混合してスラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などによってスラリーを固体電解質層30の成形体上に塗布することによって、バリア層40の成形体を形成する。
以上により作製された各成形体の積層体を1300〜1600℃で2〜20時間共焼結することによって、燃料極20、緻密な固体電解質層30および緻密なバリア層40の共焼成体を形成する。
次に、空気極用粉末にテルピネオールとバインダーを混合してスラリーを作製する。そして、スクリーン印刷法などを用いてスラリーをバリア層40上に塗布することによって、空気極活性層52の成形体を形成する。
次に、空気極50の成形体を1000〜1100℃で1〜10時間焼結することによって、固体酸化物型燃料電池が完成する。
(他の実施形態)
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
(A)上記実施形態では特に触れていないが、燃料極20は、燃料極集電層と、燃料極活性層とによって構成されていてもよい。燃料極活性層は、燃料極集電層と固体電解質層との間に配置される。
(B)上記実施形態では特に触れていないが、固体酸化物型燃料電池10は、燃料極20と固体電解質層30の間、或いはバリア層40と空気極50の間に他の層を備えていてもよい。このような他の層としては、セリア系材料によって構成される多孔質バリア層が挙げられる。
(C)上記実施形態では、固体酸化物型燃料電池10は、バリア層40を備えることとしたが、バリア層40を備えていなくてもよい。
(サンプルNo.1〜No.30の作製)
以下のようにして、サンプルNo.1〜No.30を作製した。
以下のようにして、サンプルNo.1〜No.30を作製した。
まず、NiO粉末とY2O3粉末をそれぞれ所定条件(1500度、5時間、大気雰囲気)で仮焼して、原料の粒度を大きくした。仮焼にはアルミナ容器を用いた。
次に、仮焼後の粉末をアルミナ乳鉢で乾式の粗粉砕した後に、YTZ玉石とIPAをアルミナ容器に投入して湿式粉砕を行い、窒素雰囲気下で乾燥させた。このとき、使用する玉石径、回転数及び粉砕時間を調整することによって、様々な粒子径の粉末を作製した。
次に、作製した様々な粒径のNiO粉末とY2O3粉末と造孔材(PMMA)とを組み合わせて、表1の割合になるよう、NiO粉末とY2O3粉末を調合した。
次に、仮焼後の粉末をアルミナ乳鉢で乾式の粗粉砕した後に、YTZ玉石とIPAをアルミナ容器に投入して湿式粉砕を行い、窒素雰囲気下で乾燥させた。このとき、使用する玉石径、回転数及び粉砕時間を調整することによって、様々な粒子径の粉末を作製した。
次に、作製した様々な粒径のNiO粉末とY2O3粉末と造孔材(PMMA)とを組み合わせて、表1の割合になるよう、NiO粉末とY2O3粉末を調合した。
次に、調合粉末50gとφ10mmのYTZ玉石1000gとIPA90gを0.5Lポリポットに投入して、ポットミル架台で3時間混合することによってスラリーを作製した。このときの回転数は120rpmとした。
次に、スラリーを窒素雰囲気下で乾燥させることによって、混合粉末を作製した。
次に、混合粉末を一軸プレス(成形圧50MPa)することで縦30mm×横30mm、厚み3mmの板を成形し、その板をCIP(成形圧:100MPa)でさらに圧密することによって燃料極の成形体を作製した。
次に、8YSZスラリーを作製し、スクリーン印刷法によって燃料極の成形体上にスラリーを塗布することによって、固体電解質層の成形体を作製した。
次に、燃料極及び固体電解質層の成形体を、1500℃で1時間共焼成した。
次に、LSCFスラリーを作製し、スクリーン印刷法によって焼成体上にスラリーを塗布することによって、空気極の成形体を作製した。
次に、空気極の成形体を、1100℃で1時間焼成した。
(XRD分析)
還元処理前のサンプルNo.1〜No.30について、空気極と固体電解質層を平面研削で除去して露出させた燃料極表面をXRD分析することによって、Y2O3粒子のピーク角度を測定した。平面研削したサンプルは、試料ホルダーに収まる適当な大きさに切断してから、ホルダーと平面を作るように設置した状態で測定を行った。測定結果は表1に示すとおりである。
還元処理前のサンプルNo.1〜No.30について、空気極と固体電解質層を平面研削で除去して露出させた燃料極表面をXRD分析することによって、Y2O3粒子のピーク角度を測定した。平面研削したサンプルは、試料ホルダーに収まる適当な大きさに切断してから、ホルダーと平面を作るように設置した状態で測定を行った。測定結果は表1に示すとおりである。
なお、XRD分析には、(株)リガク製 試料水平型強力X線回折装置RINT−TTRIIIを使用した。測定条件は、管電圧50kV、管電流300mA、走査方法2θ/θ、測定範囲2θ=57.00°〜58.50°、サンプリング幅=0.005°とした。ピーク角度の同定方法は、得られたXRDスペクトルから解析ソフトを用いてバックグラウンド除去を行い、半価幅中点法を用いた。
また、同様の条件でY2O3粉末のみの測定も行い、基準ピーク角度が2θ=57.62°であることを確認した。
また、同様の条件でY2O3粉末のみの測定も行い、基準ピーク角度が2θ=57.62°であることを確認した。
(粒径比)
還元処理前のサンプルNo.1〜No.30について、空気極と固体電解質層を平面研削で除去して露出させた燃料極表面のSEM画像を取得することによって、NiO粒子のY2O3粒子に対する粒径比を算出した。
還元処理前のサンプルNo.1〜No.30について、空気極と固体電解質層を平面研削で除去して露出させた燃料極表面のSEM画像を取得することによって、NiO粒子のY2O3粒子に対する粒径比を算出した。
具体的には、まず、平面研削で露出された燃料極の表面をポリッシングした後にサーマルエッチングした。次に、NiO粒子とY2O3粒子が合計150個程度入る倍率で、燃料極表面のSEM画像を取得した。次に、SEM画像を画像解析することによって、全NiO粒子の合計面積及び粒子数と、全Y2O3粒子の合計面積及び粒子数とを求めた。そして、上記式(1)に基づいて粒径比を算出した。算出結果は表1に示すとおりである。
(還元後の燃料極の特性)
サンプルNo.1〜No.30について、800℃の水素雰囲気で還元処理を行った。
そして、還元処理後のサンプルNo.1〜No.30について、空気極と固体電解質層を平面研削で除去した後に、還元後の燃料極の密度をアルキメデス法で測定した。結果は表1に示すとおりである。
サンプルNo.1〜No.30について、800℃の水素雰囲気で還元処理を行った。
そして、還元処理後のサンプルNo.1〜No.30について、空気極と固体電解質層を平面研削で除去した後に、還元後の燃料極の密度をアルキメデス法で測定した。結果は表1に示すとおりである。
また、還元後の燃料極におけるNi含有量(vol%)を測定した。具体的には、まず、燃料極を切り出して、断面のイオンミリング研磨(日立IM4000)を行った。このとき、サンプルの樹脂埋めは行わなかった。続いて、研磨したサンプルをSEM(日本電子製:JSM−6610LV)観察した。そして、倍率1500倍で任意の5視野をEDS(Oxford Instruments社製:X−act)分析によって、燃料極におけるNiとYの含有比率を測定した。5視野の測定結果の平均値から、Yの含有量をY2O3に換算して、NiとY2O3の理論密度から集電層におけるNi含有量(vol%)を算出した。結果は表1に示すとおりである。
また、還元後のサンプル断面を顕微鏡で観察することによって、クラックや電解質剥離が発生したか否かを確認した。確認結果は表1に示すとおりである。表1では、クラックが確認されなかったサンプルを◎、燃料極内部にのみ微小なクラックが確認されたものを○、クラックが燃料極から電解質にまで進展していたサンプルを×と評価した。
また、還元後の燃料極における反りの発生状況を確認した。確認結果は表1に示すとおりである。表1では、反りが確認されなかったサンプルを○、反りが確認されたサンプルを△と評価した。
(燃料極の導電率)
サンプルNo.1〜No.30について、平面研削で削り出された燃料極の導電率を直流4端子法(800℃、H2雰囲気、定電流1A)で測定した。測定結果は表1に示すとおりである。
サンプルNo.1〜No.30について、平面研削で削り出された燃料極の導電率を直流4端子法(800℃、H2雰囲気、定電流1A)で測定した。測定結果は表1に示すとおりである。
表1に示すように、XRD分析によるY2O3のピーク角度が、2θ=57.62°以上57.68°以下であったサンプルでは、燃料極において特性に影響を与えるようなクラックが観察されなかった。これは、Y2O3粒子にかかる圧縮力を抑えることによって、還元による燃料極の膨張を抑制できたためである。
また、表1に示すように、還元後の燃料極におけるNi含有量が55体積%以下のサンプルでは、微細なクラックの発生も抑制することができた。なお、Ni量が60体積%であってもサンプルNo.26〜29では、燃料極内にクラックを留めることができたが、この理由は次のように考えられる。すなわち、Ni量が増えて燃料極の骨格がY2O3からNiOになり,還元時の寸法変化が膨張から収縮に変化すると、寸法変化の起こらない電解質に圧縮応力が加わるとともに、燃料極に引張り応力が加わる。その結果、燃料極内部でクラックの進展が停止したものと考えられる。
また、表1に示すように、NiO粒子のY2O3粒子に対する粒径比が2.5以下のサンプルでは、燃料極の反りが観察されなかった。これは、十分に大きなサイズのY2O3粒子で燃料極の骨格を形成することができたためである。
なお、粒径比が2.5よりも大きいサンプルNo.13,18,25,30においても燃料極の反りが観察されていないが、この理由は、これらのサンプルではクラックが発生しており、そのクラックにおいて内在応力が開放されたためであると考えられる。
また、表1に示すように、還元後の燃料極におけるNi含有量が30体積%以上のサンプルでは、500(S/cm)以上の十分な導電率を得ることができた。
10 固体酸化物型燃料電池
20 燃料極
30 固体電解質層
40 バリア層
50 空気極
20 燃料極
30 固体電解質層
40 バリア層
50 空気極
Claims (5)
- NiOと、NiOより小さい熱膨張係数を有するセラミックス材料と、によって構成される燃料極と、
空気極と、
前記燃料極と前記空気極との間に配置される固体電解質層と、
を備え、
還元前の前記燃料極をXRD分析した場合、前記セラミックス材料のピーク角度は、前記セラミックス材料の原料粉末のピーク角度から高角側に2θで0.06度以内である、
固体酸化物型燃料電池。 - 還元前の前記燃料極において、NiO粒子のセラミックス粒子に対する粒径比は、2.5以下である、
請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。 - 還元後の前記燃料極におけるNi含有量は、30体積%以上である、
請求項1又は2に記載の固体酸化物型燃料電池。 - 還元後の前記燃料極におけるNi含有量は、55体積%以下である、
請求項1乃至3のいずれかに記載の固体酸化物型燃料電池。 - 前記セラミックス材料は、Y2O3である、
請求項1乃至4のいずれかに記載の固体酸化物型燃料電池。
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JP2014203529A (ja) | 2014-10-27 |
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