JP2009263157A - 緻密質ジルコニア焼結体の製造方法、当該緻密質ジルコニア焼結体、それを用いた固体酸化物形燃料電池用電解質および固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

緻密質ジルコニア焼結体の製造方法、当該緻密質ジルコニア焼結体、それを用いた固体酸化物形燃料電池用電解質および固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、緻密質ジルコニア焼結体における寸法安定性、高温強度を向上して耐熱衝撃性に優れ、製造時の歩留りよく得ることができる。これらの特性を有する緻密質ジルコニア焼結体は、700〜1000℃の高温領域で使用される固体酸化物形燃料電池用の電解質として有用である。
【解決手段】本発明は、原料ジルコニア粉末を用いてジルコニア焼結体を製造する方法において、原料ジルコニア粉末が、リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とからなる粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、緻密質ジルコニア焼結体の製造方法、当該緻密質ジルコニア焼結体、それを用いた固体酸化物形燃料電池用電解質および固体酸化物形燃料電池であり、好ましくはジルコニア焼結体シートの製造後に生じるジルコニア焼結体シートを再利用し、新たな緻密質ジルコニア焼結体シート、特に結晶構造が立方晶系の緻密質ジルコニア焼結体シート製造に関するものである。
従来からジルコニア焼結体に関する技術は多く提案されているが(特許文献1、特許文献2、非特許文献1他)、焼結体はセラミックスであり焼成時に寸法が大きく変化するため寸法精度を保つことが難しく、その結果焼結体の歩留まりが低くなる。特に平面性を有する薄膜シートにあっては、サブミクロン級の微細な原料粉末を使用するため成形に多量のバインダーを必要とするので、焼成後に高度な平面性や平坦性を保つことが難しく、歩留まりの低さは著しいものである。また薄膜であるがゆえにハンドリング強度は十分とは言えず、製造時や取扱い時に破損するシートが多く生じることがある。これらの上記の焼結後に生じた不良のジルコニア焼結体シートやその不良品の断片・破片が蓄積するので廃棄上の問題と資源の有効活用が望まれる。一方、ジルコニア焼結体は一旦焼結した後は化学的安定で耐薬品性が有り、また他のセラミックスより高硬度・高強度・高靭性であり、通常の方法により再利用することは非常に困難である。
ジルコニアのリサイクル使用に関して、ジルコニア焼結体を加熱処理により特定結晶系のジルコニア粒子であってかつ平均粒子径が0.5μmから1.5μmの粒子とし、これを再度焼結体の原料とする技術が開示されている(特許文献3)。しかし、この技術に関するジルコニア焼結体は、実質は正方晶ジルコニアであり、正方晶ジルコニアの水熱劣化特性を利用してオートクレーブ中で加熱処理後、さらに粉砕する必要があり、原料と同程度の粒子径のジルコニア粒子とするにはコストが高くなり、リサイクル粉体を使用する利点は少ないないものである。
特開昭58−55373号 特開昭60−191056号 特開平10−218662号 Journal of Materials Science 第20巻 p.1407−1418(1985)
本発明は、ジルコニア焼結体の再利用と、再利用に際して緻密質焼結体を高品質に得ることができる技術を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、下記手段を見出することで発明を完成するに至ったものである。以下に本発明を特定するものである。
本発明の第一発明は、原料ジルコニア粉末を用いてジルコニア焼結体を製造する方法において、原料ジルコニア粉末がリサイクルジルコニア粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法である。
本発明の第二発明は、原料ジルコニア粉末を用いてジルコニア焼結体を製造する方法において、原料ジルコニア粉末が、リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とからなる粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法である。
本発明の第三発明は、第一発明または第二発明にかかる製造方法により得られる緻密質ジルコニア焼結体である。当該緻密体ジルコニア焼結体は、厚さが0.03〜0.5mmである緻密質ジルコニア焼結体シートであることが好ましい。
本発明の第四発明は、第三発明により得られる緻密質ジルコニア焼結体を用いたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電解質である。
本発明の第五発明は、第三発明にかかる緻密質ジルコニア焼結体または第四発明にかかる固体酸化物形燃料電池用電解質を用いることを特徴とする固体酸化物形燃料電池である。
本発明は、単に使用後の粉砕用ジルコニア焼結体に処理を施して未使用の原料粉体と同一の粒子径・比表面積にするのではなく、特定の平均粒子径・比表面積を有するリサイクルジルコニア粉末単独で、あるいは当該リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とを混合して用いることで、高温強度が向上して耐熱衝撃性に優れ、さらには寸法安定性も増した緻密質ジルコニア焼結体を、歩留りよく得ることができる。これらの特性を有する緻密質ジルコニア焼結体は、700〜1000℃の高温領域で使用される固体酸化物形燃料電池用の電解質として有用に使用され、さらには、本発明の緻密質ジルコニア焼結体を使用した固体酸化物形燃料電池は、優れた耐久性と起動・停止を短時間に行え、多様な条件での運転が可能になる。特に、リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とを原料粉末とするとして用いることで、ジルコニア焼結体の前記効果はより一層向上するものである。ジルコニア焼結体が緻密質シートであるときに特に有効である。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り以下のものに限定されるものではない。
本発明にかかる第一発明と第二発明は、緻密質ジルコニア焼結体の製造方法であり、第三発明は、第一発明または第二発明の方法により得られた緻密質ジルコニア焼結体である。
本発明に用いる原料ジルコニア粉末は、当該緻密質ジルコニア焼結体の製造後に得られる粉砕用ジルコニア焼結体を粉砕して得られるリサイクルジルコニア粉末、あるいはリサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とからなる。
当該リサイクルジルコニア粉末は、粉砕用ジルコニア焼結体を粉砕して得られるジルコニア粉末である。粉砕用ジルコニア焼結体とは、その形状が平板状、ディンプル付平板状、円筒状、平板円筒状、リング状、ブロック状、球状等のものを挙げることができるが、大きさや厚さが1mm以上の三次元形状のジルコニア焼結体は粉砕に多大のエネルギーを消費しその効率が悪くなると共に、粉砕に伴う不純物の混入が問題となるので、厚さが1mm未満、特に厚さが0.5mm以下の平板状、シート状のものが好ましい。具体的には、寸法等の規格外ジルコニア焼結体シート、破損したジルコニア焼結体シートの破片等を粉砕用ジルコニア焼結体とするものである。この粉砕して得られるジルコニア粉末は上記未使用粉末とは異なり粉末自体が焼き締まっているため粉体中に気孔等がほとんどなく、また凝集も少なく単分散に近い状態で存在するものである。
当該リサイクルジルコニア粉末の平均粒子径が0.1〜35μmであることが好ましく、より好ましくは、0.15〜25μm、更に好ましくは、0.15〜10μm、特に好ましくは、0.2〜5μmである。
また、95体積%粒子径は0.8〜60μmであることが好ましく、より好ましくは、1.0〜40μm、更に好ましくは、1.0〜30μm、特に好ましくは、1.2〜10μmである。さらに最大粒子径は、1.0〜100μmであることが好ましく、より好ましくは、1.2〜60μm、更に好ましくは、1.2〜40μm、特に好ましくは、1.5〜15μmである。当該リサイクルジルコニア粉末の平均粒子径が0.1μm未満であり、95体積%粒子径が0.8μm未満、最大粒子径が1.0μm未満の場合は、粉砕に多大なエネルギー、労力、時間が必要になり実用的でなくなる。逆に、平均粒子径が35μmを上回り、95体積%粒子径が60μmを上回り、最大粒子径が100μmを上回る場合は、焼結性に劣るようになって95%以上の密度をもつ緻密な焼結体ジルコニアが得られず、さらに密度を上げるためには1500℃以上の高温焼成が必要となる問題がある。
当該平均粒子径、最大粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−920」)により測定し、各々粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積に対して50体積%となる粒子径、粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して100体積%となる粒子径の値である。また、95%体積径は、粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積に対して95体積%となる粒子径である。
蒸留水中の分散剤として0.2質量%のメタリン酸ナトリウムを添加した水溶液を分散媒とし、該分散媒約100cm中に当該ジルコニア粉末を0.01〜1質量%加え、5分間超音波処理して分散させて測定する。なお、前記方法で当該ジルコニア粉末が分散されずに沈降してしまう場合には、超深度カラー3D形状測定レーザー光顕微鏡(キーエンス製、商品名「VK−9500」)を用いて粒子画像を取り込み、これを印刷して印刷された粒子をノギスで計測し、その平均値を算出する。
さらに、リサイクルジルコニア粉末の比表面積は0.1〜15m/g、好ましくは1〜10m/gであるものが好ましい。比表面積が0.1m/g未満であると焼結性が不十分となり、緻密質ジルコニア焼結体が製造できにくくなる。また、10m/gを上回ると、焼結性は十分となるが、さらに微細粒子に粉砕する必要が有り、粉砕に多大なエネルギー、労力、時間が必要になり実用的でなくなる。なお比表面積は、BET法により測定されたものである。
当該平均粒子径のリサイクルジルコニア粉末を得る方法は粉砕用ジルコニア焼成体をジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、シュレッダ、ロールクラッシャ、ハンマーミル、カッティングミル、ロッドミル、ローラミル、ローターミル、衝撃式粉砕機、ジェット粉砕機、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、乳鉢等の粉砕機を1種または複数組み合わせる通常の手段により粉砕して得ることができるが、粗大粒子割合が少ないリサイクルジルコニア粉末を効率的に得るためには、当該粉砕用ジルコニア焼結体をまず乾式粉砕して平均粒子径2.0〜2000μmの粉末、より好ましくは、3.0〜1000μm、更に好ましくは、3.0〜500μm、特に好ましくは、5.0〜100μmに、また、95体積%粒子径は4.0〜4000μmであることが好ましく、より好ましくは、5.0〜3000μm、更に好ましくは、5.0〜2000μm、特に好ましくは、6.0〜300μmである。さらに最大粒子径は、5.0〜5000μmであることが好ましく、より好ましくは、6.0〜4000μm、更に好ましくは、6.0〜3000μm、特に好ましくは、8.0〜500μmである。当該乾式粉砕ジルコニア粉末の平均粒子径が2.0μm未満であり、95体積%粒子径が4.0μm未満、最大粒子径が5.0μm未満の場合は、粉砕に多大なエネルギー、労力、時間が必要になり実用的でなくなる。また、平均粒子径が2000μmを上回り、95体積%粒子径が4000μmを上回り、最大粒子径が5000μmを上回る場合は、後に続く湿式粉砕に粉砕に多大なエネルギー、労力、時間が必要になり実用的でなくなる。
乾式粉砕とは、水、アルコール等の分散媒を使用しない通常乾式粉砕として用いられる手段を用いることができるが、前記のように粉砕用ジルコニア焼結体シートは高硬度・高強度・高靭性であるので、前記装置の回転刃(粉砕刃)や回転ローター(粉砕ローター)等を高速で回転させて効率的に短時間で粉砕する必要がある。そのためには、回転数が2000〜30000rpm、好ましくは3000〜20000prmで回転できる装置を選択することが好ましい。さらに、1つの乾式粉砕機を用いて粉砕用ジルコニア焼結体を乾式粉砕するよりも、回転数の異なる2つ以上の乾式粉砕機を用いて1次粉砕、2次粉砕することが、更により粗大粒子割合が少ないリサイクルジルコニア粉末を効率的に短時間で得るために好ましい。具体的には、カッティングミルで回転刃を2000〜4000rpmで回転させて1次粉砕し、平均粒子径が100〜3000μmの1次乾式粉砕ジルコニア粉末を得る。このときに、粗大粒子の混入をさけるための粒度調整用スクリーンとして、たとえば、0.05〜1.5mmの篩、好ましくは0.08〜0.2mmの篩で通過するものを分取することが、粉砕効率を高める上で好ましい。そのときの篩形状は丸孔形、梯子形、ヘリングボーン形等が選択できる。
次いで、当該1次乾式粉砕ジルコニア粉末をローターミルでローターを6000〜30000rpmで回転させて粉砕し、平均粒子径2.0〜2000μmの粉末の2次乾式粉砕ジルコニア粉末を得る。このときに、粗大粒子の混入をさけるための粒度調整用スクリーンとして、たとえば、0.05〜1.5mmの篩で通過するものを分取することが、粉砕効率を高める上で好ましい。また、回転刃や回転ローターは高速回転する磨耗により、粉砕ジルコニア粉末中に鉄、クロム等のコンタミネーションを起こすことがあるので、これを避けるためにジルコニア製の回転刃や回転ローターを使用することが好ましい。コンタミネーションにより乾式粉砕ジルコニア粉末が灰色等に着色した場合は、磁石や酸洗浄によりコンタミネーション成分を除去する。
湿式粉砕とは、水、アルコール等の分散媒を使用した通常湿式粉砕として用いられる手段を用いることができ、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、湿式ジェットミル、ホモジナイザー等が例示される。
上記乾式粉砕で得られた乾式粉砕ジルコニア粉末を、水、アルコール等の分散媒、ジルコニア製のボールやビーズ等の粉砕媒体とともに攪拌回転させて粉砕し、次いで、分散媒を除去、乾燥して本発明に使用されるリサイクルジルコニア粉末を得る。所定の平均粒子径、最大粒子径の調製するために湿式粉砕も1次湿式粉砕にとどまらず、2次湿式粉砕など複数回粉砕をすることも可能である。
好ましい粉砕方法としては、粉砕用ジルコニア焼結体を乾式で平均粒子径が2.0〜2000μmに粉砕した後に湿式で平均粒子径が0.1〜35μmに粉砕することである。
当該リイクルジルコニア粉末と当該未使用ジルコニア粉末は、ともに、単にジルコニアのみの粉末であっても良いが、MgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物;Y、La、CeO、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb等の希土類金属酸化物;Sc、Bi、In等その他の金属酸化物など安定化剤として加えたジルコニアが好ましい。これらから1種または2種以上を選択した単独または混合物であってもよい。これらの中でも、燃料電池用の固体電解質として使用する場合には、例えば、3〜10モル%のY、4〜12モル%のScまたは4〜15モル%のYbで安定化されたジルコニアが好ましく、特に、8〜10モル%のY、8〜12モル%のScまたは8〜15モル%のYbで安定化された立方晶系ジルコニアが好適である。さらに0.01〜5質量%程度のAl、Gd、SiO、TiO、Bi、CeO等が添加されたジルコニアを例示することができる。また、当該リサイクルジルコニア粉末と当該未使用ジルコニア粉末の安定化剤は、同材料であっても異なる材料であってもよく、さらにその添加量が同じであっても、異なる添加量であってもよい。
原料ジルコニア粉末は、当該リサイクルジルコニア粉末、さらに好ましくは当該リサイクルジルコニア粉末と、当該未使用ジルコニア粉末の混合粉末であるが、混合粉末の場合の混合割合は、当該リサイクルジルコニア粉末2〜98質量%と、当該未使用ジルコニア粉末98〜2質量%、好ましくは当該リサイクルジルコニア粉末2〜50質量%と、当該未使用ジルコニア粉末98〜50質量%、特に当該リサイクルジルコニア粉末3〜30質量%と、当該未使用ジルコニア粉末97〜70質量%が好ましい。
未使用ジルコニア粉末とは、未だ焼結によりジルコニア焼結体とされていない粉末であり、一般的には市販のジルコニア粉末および/またはジルコニアナノ粒子が好適に使用される。未使用のジルコニア粉末は、平均粒子径が0.01〜2μm、好ましくは0.03〜1μm、更に好ましくは平均粒子径が0.1〜2μmである。当該未使用ジルコニア粉末は比表面積が5〜60m/g、好ましくは比表面積が5〜30m/g、更に好ましくは7〜30m/gである。
さらに、未使用ジルコニア粉末は、複数粉末を混合するものであってもよく、例えば比表面積が5〜30m/g、好ましくは平均粒子径が0.2〜1μm、比表面積が8〜20m/gのジルコニアサブミクロン粒子と、平均粒子径が0.01〜0.1μm、比表面積が8〜60m/g、好ましくは平均粒子径が0.03〜0.08μm、比表面積が10〜30m/gのジルコニアナノ粒子とからなることが、焼結性を高める上で好ましく、その配合割合は、当該ジルコニアサブミクロン粒子50〜98質量%、好ましくは70〜95質量%、当該ジルコニアナノ粒子2〜50質量%、好ましくは5〜30質量%のものである。
混合方法としては、当該原料ジルコニア粉末が十分に混合されていれば良く、通常のスラリー調製時に、ボールミルに当該原料ジルコニア粉末と分散剤、分散媒をボールミルに投入してミリングする方法でもよいが、当該リサイクルジルコニア粉末と、当該未使用ジルコニア粉末とを前もってロッキングミル、タンブラーミキサー、ドラムミキサー、ミキシングシェーカー等の粉体混合機を用いて混合して混合粉体とすることが好ましい。
本発明にかかる原料ジルコニア粉末を用いて緻密質ジルコニア焼結体を製造する方法とは、原料ジルコニア粉末を、冷間静水圧成形法、ホットプレス法、乾式プレス法、押出成形法、鋳込み成形法、ドクターブレード法、カレンダーロール法等の方法である。冷間静水圧成形法であるときは、原料ジルコニア粉末を型に充填し、脱気密封後液体の入った圧力容器に入れ、この液体を加圧して成形した後、加熱処理する方法である。ホットプレス法は原料ジルコニア粉末を型に充填し、加圧しながら加熱して成形と焼成を同時に行う方法である。乾式プレス方法であるときは、バインダー等を添加してジルコニア粉体を乾燥下造粒し、型に充填し加圧した後、焼成することで所望の形状を得る方法である。また押出成型法であるときは、当該原料ジルコニア粉末を、バインダー、溶剤、必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤、消泡剤等をボールミル、ニーダーやミキサー等を用いて混合して、スラリー組成物あるいは混練組成物を作製し、所定の形状を有する金型から押出した後、乾燥、焼成することで所望の形状を得る方法である。上記スラリー組成物あるいは混練組成物を所定の型に導入し成型した後、乾燥、焼成することで所望の形状を得る方法が鋳込み成形法である。また当該原料ジルコニア粉末を、バインダー、溶剤、必要に応じて分散剤、可塑剤、潤滑剤、消泡剤等をボールミル、ニーダーやミキサー等を用いて混合して、スラリー組成物あるいは混練組成物を作製し、シート状に成形した後、乾燥、焼成する方法が、ドクターブレード法、カレンダーロール法である。特にシート状の焼結体を得る方法としては好ましい方法である。
冷間静水圧成形法、ホットプレス法以外の方法で成形した後、焼成する方法としては、炉床昇降式バッチ焼成炉、トンネル式連続焼成炉等で焼成して当該緻密質ジルコニア焼結体
なお、本発明にかかる緻密質ジルコニア焼結体は、緻密質焼結体の前駆体であるジルコニアグリーン体を、原料ジルコニア粉末を融点以下または一部液相を生じる温度(一般には1300〜1600℃)に加熱して、固体反応により原料ジルコニア粉末の粒子間結合が進行して焼き締しめたものである。当該緻密質ジルコニア焼結体における密度はその焼結体の理論密度に対して93%以上、好ましくは95%以上のものであることが好ましい。なお、当該緻密質ジルコニア焼結体の密度はアルキメデス法で測定することによって得られる。
当該緻密質ジルコニア焼結体の形状は、焼結体の用途により平板状、円筒状、平板円筒状、リング状とすることができ、特に平板状の緻密質ジルコニア焼結体シートの場合、その寸法は、厚さが0.5mm以下、好ましくは厚さが0.01〜0.5mm、更に好ましくは0.05〜0.3mmであり、次いで好ましくは0.05〜0.4mm、最も好ましくは0.08〜0.3mmである。また、該ジルコニア焼結体シートの大きさは、その全表面積が1〜1000cm、好ましくは50〜750cm、さらに好ましくは、80〜500cmである。
本発明で得られる緻密質ジルコニア焼結体は、一旦ジルコニア焼結温度に曝されたものを粉砕して得たリサイクルジルコニア粉末を使用しているので、粉体自体が緻密で凝集がほとんどなく、ほぼ単分散に近い状態であるので、成形のために必要とするバインダー量の低減が可能になり、未使用ジルコニア粉末のみを用いて製造したジルコニア焼結体シートよりも製造時の寸法安定性が向上し、また、焼結体としては、耐熱衝撃性が向上し、さらに室温から1000℃までの昇温・降温時、またその繰り返しによる熱膨張曲線にヒステリシス現象がほとんど認められず、割れ・クラックの発生が抑制される。この効果は、リサイクルジルコニア粉末のみを原料ジルコニア粉末とした場合よりも、リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末との混合品を原料ジルコニア粉末とした場合により顕著に現れる傾向がある。また、結晶系が、正方晶ジルコニアよりも立方晶ジルコニアである焼結体シートを粉砕したリサイクルジルコニア粉末を原料ジルコニア粉末とするほうが、立方晶系ジルコニア焼結体の結晶粒径(グレイン径)とリサイクルジルコニア粉末の粒径と近いためか、著しい効果が認められる。
本発明の第四発明は、第三発明にかかる緻密質ジルコニア焼結体を用いることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電解質である。上記のように耐熱衝撃性の向上が図れた緻密質ジルコニア焼結体は急激な昇温降温条件およびその繰り返し使用条件にも割れ・クラック等の発生が少なくなるので燃料電池用電解質として好適に使用され、さらには上記特性から、より薄膜化された電解質としても使用可能である。
本発明の第五発明は、第三発明にかかる緻密質ジルコニア焼結体または第四発明にかかる固体酸化物形燃料電池用電解質を用いることを特徴とする固体酸化物形燃料電池である。 緻密質ジルコニア焼結体または固体酸化物形燃料電池用電解質を用いて燃料電池とする一般的な手段を用いることができるが、好ましくは、緻密質ジルコニア焼結体シートまたは当該固体酸化物形燃料電池用電解質の一面に、燃料極材料となるNi、Co、Ru等と上記の安定化ジルコニアおよび/またはイットリア、サマリア、ガドリア等でドープされたセリア系酸化物のサーメットが好適に使用される。特に好ましくは、Niと9〜12モル%Sc安定化ジルコニアからなるサーメットである。これら燃料極材料をエチルセルロース等のバインダー、α−テルピネオール等の溶剤とともに混練して燃料極ペーストを、あるいはミリングして燃料極スラリーを調製し、これをスクリーン印刷法、コーティング法などで被覆・乾燥・焼成することで燃料極を得ることができる。次いで、ジルコニア焼結体シートまたは当該固体酸化物形燃料電池用電解質の燃料極と反対の面に、空気極材料となるランタンマンガナイト、ランタンコバルタイトやランタンフェライトのランタンの一部が、セリウム、サマリウム、プラセオジウムなどの他の希土類元素やストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウムなどのアルカリ土類元素などで置換された、および/またはマンガン、コバルト、鉄の一部が銅、ニッケルなどで置換されたペロブスカイト構造酸化物、さらには、これらペロブスカイト型酸化物に、Gd、YおよびSmから選択される少なくとも1種の酸化物を10〜35モル%含むセリア系酸化物、または、8〜10モル%のYを含むイットリア安定化ジルコニアもしくは9〜12モル%のScを含むスカンジア安定化ジルコニア加えた混合物が好適に使用される。上記燃料極の場合と同様に、空気極ペーストあるいは空気極スラリーを調製し、これをスクリーン印刷法、コーティング法などで被覆・乾燥・焼成することで空気極を得ることができる。当該ジルコニア焼結体または固体酸化物形燃料電池用電解質と空気極と燃料極とにより固体酸化物形燃料電池が形成される。なお、燃料極、空気極の製造の順は特には限定されるものではない。また、固体電解質と空気極との間に、これらの固相反応防止のために、上記セリア系酸化物がそれらの中間層として存在していてもよい。さらには、燃料極とセパレータとの間に生じる隙間を埋めて両者間の密着度を向上させ、これにより接触抵抗を減じ、集電効率を向上させるなどの目的で、Ni粉体、Ni合金粉体、Pt粉体、Pt合金粉体、Ag粉体、Ag合金粉体、Au粉体、Au合金粉体などからなる燃料極コンタクト層や、同じく空気極とセパレータとの間に生じる隙間を埋めて両者間の密着度を向上させ、これにより接触抵抗を減じ、集電効率を向上させるなどの目的で、Ag粉体もしくはAg合金粉体および/または上記ぺロブスカイト型酸化物などからなる空気極コンタクト層や形成されていてもよい。
以下にシートを代表例として実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造
市販の8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー株式会社製、商品名「TZ−8YS」、平均粒子径:0.52μm、比表面積:8.5m2/g、以下8YSZと記す)99.5質量部とアルミナ粉末(昭和電工社製、商品名「AL−160SG」)0.5質量部、溶媒であるトルエン/イソプロパノール混合液(トルエン/イソプロパノール質量比=3/2)50質量部、および分散剤であるソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤2質量部との混合物を、ボールミルを用いて粉砕しつつ混合した。当該混合物へ、バインダーとしてメタクリレート系共重合体(数平均分子量:100,000、ガラス転位温度:−8℃、固形分濃度:50%)を固形分換算で15質量部と、可塑剤であるジブチルフタレート3質量部を添加し、さらにボールミルにより混合してスラリーとした。得られたスラリーを濃縮脱泡し、25℃での粘度を3Pa・sに調整し、塗工用スラリーとした。
この塗工用スラリーをドクターブレード法によりPETフィルム上に塗工し、塗工部に続く乾燥機(50℃、80℃、110℃の3ゾーン)中を0.2m/分の速度で通過させて乾燥し、スリッターで切断して幅150mm、長さ200m、厚さ320μmの長尺ジルコニアグリーンシートを得た。この長尺グリーンシートを120mm角づつに切断して、120mm角のジルコニアグリーンシート1800枚を得た。
次いで、アルミナ多孔質シート(気孔率:45%、厚さ:0.2mm、寸法:15cm角)を2枚重ねて載置した焼成用棚板上に、上記で得たジルコニアグリーンシートを1枚重ね、その上にスペーサーとして多孔質シートを重ね、同様にしてさらに交互に9枚ずつジルコニアグリーンシートと多孔質シートを重ね合わせ、最後に最上層のスペーサーの上にムライト・アルミナ製の重し用治具(気孔率60%、嵩比重:1.3)を載置した。このようにしてジルコニアグリーンシートを9枚重ね合わせたものを合計1800枚大気雰囲気下で、1425℃で3時間焼成し、約90mm角、厚さ270μmの8YSZ焼結体シートを得た(参1)。
参考に、当該8YSZ焼結体シートの物性を測定すると、シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は97.2%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は348MPaであった。また、当該焼結体シート5枚を800℃の電気炉中で2時間保持した後、いきなり常温の炉外に取り出して10分間保持し、さらに800℃の電気炉中に入れ、再び常温の炉外に取り出し、割れ・クラックの発生状態を目視で耐熱衝撃性を観察した。割れ・クラックが無い場合には同様の試験を繰り返しその都度割れ・クラックの発生状態を目視で観察し、これらが目視で確認できたときの繰り返しテスト回数の平均値は3.6回であった。さらに、熱機械分析装置(理学電機製、型式「TMA-8140型」)を用いて、25〜1000℃までの昇温時、降温時の線熱膨張係数を3回繰り返し測定した。昇降温速度:5℃/分、標準試料:アルミナである。その結果、25〜1000℃の温度範囲において,昇温・降温時の熱膨張係数のヒステリシスΔαは0.5×10−6/℃以下であり、ヒステリシス現象が若干認められた。
(2)リサイクルジルコニア粉末の製造
上記8YSZ焼結体シートを、カッティングミル(フリッチュ社製、型式「P−25」、篩目:0.75mm梯形目)に順次投入し、回転数2800rpmで回転刃付きローターを回転させて1次乾式粉砕し、受け皿に粉砕ジルコニア粉末を回収した。この時の回収率は98%であった。この1次乾式粉砕ジルコニア粉末の平均粒子径、95体積%粒子径、最大粒子径をレーザー回折/散乱粒度分布測定装置(堀場製作所製:型式「LA―920」)を用いて測定した。
さらに、回収した粗粉砕品を振動式試料供給装置から連続的に高速ローターミル(フリッチュ社製、型式「P−14」、篩目:0.12mm梯形目)に投入し、回転数20000rpmで12枚刃のローターを回転させて粉砕し、2次乾式粉砕ジルコニア粉末を回収した。この時の回収率は96%であった。このジルコニア粉末の平均粒子径、95体積%粒子径、最大粒子径を同様に測定した。
次いで、2次乾式粉砕ジルコニア粉末を、5mmφジルコニアビーズが入った500mLのジルコニア製ポットに100g入れ、さらに蒸留水150gを入れて、遊星ミル(フリッチュ社製、型式「P−5」)に装着し、300rpmで30分間回転させて、1次湿式粉砕した。さらに、5mmφジルコニアビーズを1mmφジルコニアビーズに取り替えて同様に300rpmで30分間回転させて2次湿式粉砕を行った。粉砕後、ガラスフィルターを通して2次湿式粉砕品を分離・回収し、さらに、80℃で5時間乾燥させてリサイクルジルコニア粉末を得た。この粉末の平均粒子径、95体積%粒子径、最大粒子径を同様に測定した。
(3)緻密質ジルコニア焼結体シートの製造
上記「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」において、原料ジルコニア粉末として「市販の8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末」に変えて、上記リサイクルジルコニア粉末を用いた以外は、上記「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」と全く同様にして8YSZ焼結体シート200枚を製造した(実1)。シート物性を表1に示す。
シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は96.3%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は326MPaであった。また、5枚のシートでの耐熱衝撃性テストで割れ・クラック発生までのテスト回数の平均値は4.3回であった。さらに、25〜1000℃の温度範囲において,昇温・降温時の熱膨張係数のヒステリシスΔαは0.1×10−6/℃以下であり、ヒステリシス現象はほとんど無しであった。
<実施例2>
実施例1「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」において、8YSZに変えて、実施例1で得たリサイクルジルコニア粉末50質量%と、実施例1「(1)の粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」に用いた未使用の8YSZ粉末50質量%を原料ジルコニア粉末とした以外は、実施例1「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」と全く同様にして8YSZ焼結体シート200枚を製造した(実2)。シート物性を表1に示す。
シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は97.0%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は342MPaであった。また、5枚のシートでの耐熱衝撃性テストで割れ・クラック発生までのテスト回数の平均値は4.4回であった。さらに、25〜1000℃の温度範囲において,昇温・降温時の熱膨張係数のヒステリシスΔαは0.2×10−6/℃であり、ヒステリシス現象はほとんど無しであった。
<実施例3>
(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造
実施例1「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」において、8YSZに変えて、市販のスカンジア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素化学工業製、商品名「10Sc1CeSZ」、平均粒子径:0.60μm、比表面積:10.8m/g、以下10Sc1CeSZと記す)を用い、バインダー量を16質量部とした以外は、実施例1「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」と同様にして、約90mm角、厚さ約240μmの10Sc1CeSZ焼結体シートを1800枚製造した(参3)。
参考に、当該10Sc1CeSZ焼結体シートの物性を測定すると、シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は97.9%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は381MPaであった。また、5枚のシートでの耐熱衝撃性テストで割れ・クラック発生までのテスト回数の平均値は3.9回であった。さらに、25〜1000℃の温度範囲において,昇温・降温時の熱膨張係数のヒステリシスΔαは0.6×10−6/℃以下であり、ヒステリシス現象が若干認められた。
(2)リサイクルジルコニア粉末の製造
上記(1)で得られたシートを、カッティングミル(フリッチュ社製、型式「P−25」、篩目:0.75mm梯形目)に順次投入し、回転数2800rpmで回転刃付きローターを回転させて粉砕し、受け皿に1次乾式粉砕ジルコニア粉末を回収した。この時の回収率は94%であった。このジルコニア粉末の平均粒子径、95体積%粒子径、最大粒子径を測定した。
さらに、回収した粗粉砕品を振動式試料供給装置から連続的に高速ローターミル(フリッチュ社製、型式「P−14」、篩目:0.12mm梯形目)に投入し、回転数20000rpmで12枚刃のローターを回転させて粉砕し、2次乾式粉砕ジルコニア粉末を回収した。この時の回収率は93%であった。このジルコニア粉末の平均粒子径、95体積%粒子径、最大粒子径を同様に測定した。
次いで、2次乾式粉砕ジルコニア粉末を、5mmφジルコニアビーズが入った500mLのジルコニア製ポットに100g入れ、さらに蒸留水150gを入れて、遊星ミル(フリッチュ社製、型式「P−5」)に装着し、300rpmで30分間回転させて、1次湿式粉砕した。さらに、5mmφジルコニアビーズを1mmφジルコニアビーズに取り替えて同様に300rpmで30分間回転させて2次湿式粉砕を行った。粉砕後、ガラスフィルターを通して2次湿式粉砕品を分離・回収し、さらに、80℃で5時間乾燥させてリサイクルジルコニア粉末を得た。この粉末の平均粒子径は0.9μm、95体積%粒子径は6.1μm、最大粒子径は10μm、比表面積は2.3m/gであった。
(3)緻密質ジルコニア焼結体シートの製造
実施例3「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」において、「10Sc1CeSZ」に変えて、原料ジルコニア粉末として、上記リサイクルジルコニア粉末20質量%と、実施例3「(1)の粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」に用いた未使用の10Sc1CeSZ粉末80質量%を原料ジルコニア粉末とした以外は、実施例3「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」と全く同様にして10Sc1CeSZ焼結体シート200枚を製造した。シート物性を表に示す(実3)。シート物性を表1に示す。
シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は97.8%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は392MPaであった。また、5枚のシートでの耐熱衝撃性テストで割れ・クラック発生までのテスト回数の平均値は4.8回であった。さらに、25〜1000℃の温度範囲において,昇温・降温時の熱膨張係数のヒステリシスΔαは0.2×10−6/℃以下であり、ヒステリシス現象はほとんど無しであった。
<実施例4>
実施例3「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」において、「10Sc1CeSZ」に変えて、原料ジルコニア粉末として、実施例3のリサイクルジルコニア粉末10質量%と、実施例3「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」に用いた未使用の10Sc1CeSZ粉末90質量%を原料ジルコニア粉末とした以外は、実施例3「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」と全く同様にして10Sc1CeSZ焼結体シート200枚を製造した(実4)。シート物性を表1に示す。
シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は98.1%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は395MPaであった。また、5枚のシートでの耐熱衝撃性テストで割れ・クラック発生までのテスト回数の平均値は5.2回であった。さらに、25〜1000℃の温度範囲において,昇温・降温時の熱膨張係数のヒステリシスΔαは0.2×10−6/℃以下であり、ヒステリシス現象はほとんど無しであった。
<実施例5>
(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造
実施例1「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」において、8YSZに変えて、市販の3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(住友大阪セメント化学社製:商品名「OZC−3YC」、平均粒子径:0.42μm、95体積%粒子径:4.4μm、最大粒子径:8μm、比表面積:11.1m/g、以下3YSZと記す)を用いて以外は、実施例1「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」と同様にシート成形し、約90mm角、厚さ75μmの粉砕用3YSZジルコニア焼結体シートを得た(参5)。
参考に、当該3YSZ焼結体シートの物性を測定すると、シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は97.6%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は983MPaであった。また、5枚のシートでの耐熱衝撃性テストで割れ・クラック発生までのテスト回数の平均値は2.7回であった。さらに、25〜1000℃の温度範囲において,昇温・降温時の熱膨張係数のヒステリシスΔαは1.0×10−6/℃以下であり、ヒステリシス現象が認められた。
(2)リサイクルジルコニア粉末の製造
上記(1)で得られたシートを、実施例3と同様に粉砕して、平均粒子径:5.3μm、95体積%粒子径:18.6μm、最大粒子径:35μm、比表面積:0.3m/gのリサイクルジルコニア粉末を得た。
(3)緻密質ジルコニア焼結体シートの製造
実施例3「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」において、「10Sc1CeSZ」に変えて、当該リサイクルジルコニア粉末3質量%と、上記の未使用3YSZ粉末97質量%を原料ジルコニア粉末とした以外は、実施例3「(1)粉砕用ジルコニア焼結体シートの製造」と同様にして約90mm角、厚さ75μmの3YSZジルコニア焼結体シートを得た(実5)。シート物性を表1に示す。
シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は98.0%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は990MPaであった。また、5枚のシートでの耐熱衝撃性テストで割れ・クラック発生までのテスト回数の平均値は4.0回であった。さらに、25〜1000℃の温度範囲において,昇温・降温時の熱膨張係数のヒステリシスΔαは0.2×10−6/℃以下であり、ヒステリシス現象はほとんど無しであった。
Figure 2009263157
Figure 2009263157
本発明は、ジルコニア焼結体の製造後に生じるジルコニア焼結体の再利用し、緻密質ジルコニア焼結体の製造に関するものである。

Claims (13)

  1. 原料ジルコニア粉末を用いてジルコニア焼結体を製造する方法において、原料ジルコニア粉末がリサイクルジルコニア粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  2. 原料ジルコニア粉末を用いてジルコニア焼結体を製造する方法において、原料ジルコニア粉末が、リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とからなる粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のリサイクルジルコニア粉末の平均粒子径が0.1〜35μmであることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  4. 請求項1〜3に記載のリサイクルジルコニア粉末は、粉砕用ジルコニア焼結体を乾式で平均粒子径が2.0〜2000μmに粉砕した後に湿式で平均粒子径が0.1〜35μmに粉砕して得られる粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  5. 請求項2〜4に記載のジルコニア焼結体の製造方法において、原料ジルコニア粉末が、当該リサイクルジルコニア粉末2〜98質量%と、未使用ジルコニア粉末98〜2質量%からなる混合粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  6. 請求項2〜4に記載のジルコニア焼結体の製造方法において、原料ジルコニア粉末が、当該リサイクルジルコニア粉末2〜50質量%と、未使用ジルコニア粉末98〜50質量%からなる混合粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  7. 請求項1〜4に記載のリサイクルジルコニア粉末および/または未使用ジルコニア粉末が、Sc、Y、Ybから選択される少なくとも1種以上で安定化されたジルコニア粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  8. 請求項1〜4に記載のリサイクルジルコニア粉末および/または未使用ジルコニア粉末が、Sc、Y、Ybから選択される少なくとも1種以上で安定化された立方晶系ジルコニア粉末であることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  9. 請求項1記載の緻密質ジルコニア焼結体がシートであることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  10. 請求項9記載の方法が、ドクターブレード法もしくは押出成形法により原料ジルコニア粉末をシートに成形した後、焼成することで、厚さが0.03〜0.5mm、平面面積が1〜1000cmである緻密質ジルコニア焼結体シートを得るものであることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体の製造方法。
  11. 請求項1〜10に記載の方法を用いて得られることを特徴とする緻密質ジルコニア焼結体。
  12. 請求項11に記載の緻密質ジルコニア焼結体を用いたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電解質。
  13. 請求項10に記載の緻密質ジルコニア焼結体または請求項11に記載の固体酸化物形燃料電池用電解質を用いたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
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