JP2015118925A - 固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートおよび該シートを含む固体酸化物形燃料電池用単セル - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートおよび該シートを含む固体酸化物形燃料電池用単セル Download PDF

Info

Publication number
JP2015118925A
JP2015118925A JP2014229263A JP2014229263A JP2015118925A JP 2015118925 A JP2015118925 A JP 2015118925A JP 2014229263 A JP2014229263 A JP 2014229263A JP 2014229263 A JP2014229263 A JP 2014229263A JP 2015118925 A JP2015118925 A JP 2015118925A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zirconia
sheet
powder
mass
cubic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014229263A
Other languages
English (en)
Inventor
相川 規一
Norikazu Aikawa
規一 相川
秦 和男
Kazuo Hata
和男 秦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2014229263A priority Critical patent/JP2015118925A/ja
Publication of JP2015118925A publication Critical patent/JP2015118925A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、低抵抗でありながら、ジルコニアシートの製造工程および当該ジルコニアシートを電解質としたセルの製造工程において、搬送を伴う操作における割れの発生が低減された固体酸化物形燃料電池用電解質シートとして好適なジルコニアシートを提供することを目的とする。さらに、そのようなジルコニアシートを電解質として含んだ固体酸化物形燃料電池用単セルを提供することも目的とする。【解決手段】本発明の固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートは、ジルコニア系酸化物を含み、前記ジルコニア系酸化物が立方晶ジルコニアを主成分とするものであり、シート厚さが50〜120μmであり、4点曲げ試験において破断に至る最大たわみ量が10〜30%であることを特徴とする。また本発明の固体酸化物形燃料電池用単セルは該ジルコニアシートを電解質として含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、欠けや割れの発生が抑制され、しかも電気抵抗の低い固体酸化物形燃料電池用電解質シート、特に電解質支持型セルの固体電解質膜として好適なジルコニアシートと、該シートを含む固体酸化物形燃料電池用単セルとに関するものである。
従来、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCとも称することがある)の固体電解質として、酸素イオン導電体であるイットリアなどで安定化されたジルコニアが広く使用されている。特に、電解質支持型セルでは電解質自体でセルを保持する強度が必要なため、強度特性の観点からは主として正方晶よりなるジルコニアシートが固体電解質膜として好ましい。しかし、正方晶ジルコニアは酸素イオン伝導率が立方晶ジルコニアに比べて低いため、セル発電性能が劣る傾向にある。一方、立方晶ジルコニアを主成分とするジルコニアシートは強度特性が、主として正方晶よりなるジルコニアシートに比べて劣るため、電解質支持型セルにおける電解質シートとして立方晶ジルコニアを主成分とするジルコニアシートを用いる場合には、シートの厚さを厚くすることによってセル強度の保持を図る必要があった。しかしながら、電解質(シート厚さ)が厚くなると電解質シートの厚さ方向の抵抗が大きくなりセル発電性能が低下する問題がある。
近年、SOFCシステムが汎用化されるためにさらなるコストパーフォーマンスの向上が必要であり、高い発電性能を有する電解質支持型セルを製造するために、電解質シートとして用いた時に、導電性が高く、しかも強度特性に優れたジルコニアシートが求められている。
立方晶ジルコニアを主成分とするジルコニアシートの高強度化については、シート中の残留ポアを低減して緻密化し電解質シートの機械的強度を高めるスカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法(特許文献1)などの提案がなされている。しかし、立方晶ジルコニアを主成分とするジルコニアシートについては、シート厚さが200μm以下に薄膜化しても年々高まる要求特性に応えることのできる、さらなる技術開発が求められている。
特開2011−204398号公報
一般的に、立方晶ジルコニアを主成分とするジルコニアシート(以下、立方晶系ジルコニアシートともいう)の曲げ強度は、JIS規格(JIS R1601)に準拠して測定するとシートの厚さに係りなくほとんど0.3〜0.4GPaの範囲の値になる。しかし、シートが破壊した時の最大荷重値はシートの厚さによって大きく異なり、シートの厚さの2乗に反比例することになる。本発明者らは立方晶系ジルコニアシートにおいて、厚さが薄くなると、特に120μm以下の領域では、シートに少しの外力がかかっただけで簡単に割れや欠けが生じやすくなるのでハンドリング性に大きな問題があることを知見した。
また、立方晶系ジルコニアシートにおいては、固体酸化物形燃料電池の発電性能向上の観点からシートの厚み方向の抵抗値の低減は重要であり、そのような観点からも、シート厚みが薄くてもハンドリング特性に優れたシートの開発が強く求められている。特に、シート面積が50cm2以上の立方晶系ジルコニアシートを製造するときには焼成直後のシートに割れや欠けが顕著に認められ、シート製造歩留りが低下する問題があることを本発明者らは知見した。加えて、当該ジルコニアシートを燃料電池用単セルの量産工程で処理する場合、たとえば、検査工程および電極形成工程等の工程間や工程内でシートを移動・搬送するときに、外力により曲げ方向の歪を生じる場合があり、それに耐えられないシートは割れを発生することがあり、薄膜シートになるほど、割れ発生の確率が高くなる傾向にあることを本発明者らは知見した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、立方晶ジルコニアを主成分として含み、シート厚さが薄いにもかかわらず、製造工程およびその後の電極形成工程等で、移動・搬送を伴う操作において割れの発生が低減された、抵抗値の低い固体酸化物形燃料電池に有用なジルコニアシートを提供することを目的とする。さらに、そのようなジルコニアシートを含む固体酸化物形燃料電池用単セルを提供することも目的とする。
本発明者は、立方晶系ジルコニアシートについて、シートの厚さ、絶対強度、たわみ量、およびその後の工程で発生する割れや欠けとの関係についてさらに研究を進めた。その結果、薄膜であっても、ある程度の歪(たわみ)に耐えることができれば、割れに至ることが少ないことから、最大たわみ量と薄膜シートの割れや欠けの発生率とに関係があることを見出した。すなわち、後述する最大たわみ量を所定範囲とすることにより、焼成後の工程中、特に移動・搬送を伴う操作中に生じる歪にも耐え、ハンドリング性に優れたジルコニアシートが得られることを見出し、本発明を完成した。
上記課題を解決することができた本発明の固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートは、ジルコニア系酸化物を含み、前記ジルコニア系酸化物が立方晶ジルコニアを主成分とするものであり、シート厚さが50〜120μmであり、4点曲げ試験において破断に至る最大たわみ量が10〜30%であることを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池用単セルは、電解質として、前記本発明のジルコニアシートを含むことを特徴とする。
固体酸化物形燃料電池用電解質シート等に用いられるジルコニアシートは、当該シートの量産工程、燃料電池用単セルの量産工程において、たとえば、検査工程および電極形成工程等の工程間や工程内でシートを搬送するときに、ロボットハンドで厚さ方向や、外寸方向(厚さ方向に垂直な方向)に挟まれたり、あるいは吸引されたり、ベルトコンベアに搭載・移動されたりするが、この間、ジルコニアシートは少なからず応力を受けることになる。ジルコニアシートは、その全面に均一に応力がかかる場合は、薄膜であったとしても割れに強いが、不均一な応力が発生し、ジルコニアシート自体に歪を生じると破損しやすい傾向にある。本発明のジルコニアシートは、このような歪が生じても、破損することがないように、最大たわみ量を所定範囲に制御されたものとすることにより、工程の歩留まり低下を抑制することができるものである。
本発明のジルコニアシートは、シート厚さが50〜120μmと薄く、ジルコニア系酸化物として立方晶ジルコニアを主成分として含みながらも、4点曲げ試験において破断に至る最大たわみ量が10〜30%であるために、低抵抗でありながら、当該シート製造工程およびその後の電極形成工程等で、移動・搬送を伴う操作中に生じる歪にも耐え、ハンドリング性に優れて割れの発生が低減されたものとなる。したがって、本発明のジルコニアシートを固体酸化物形燃料電池用単セルの電解質として用いると、セル強度に優れ発電性能に優れた単セルとすることができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートは、ジルコニア系酸化物を含み、前記ジルコニア系酸化物が立方晶ジルコニアを主成分とするものであり、シート厚さが50〜120μmであり、4点曲げ試験において破断に至る最大たわみ量(最大たわみ率)が10〜30%であることを特徴としている。以下、ジルコニアシートについて詳細に説明する。
本発明のジルコニアシートは、ジルコニア系酸化物を含み、前記ジルコニア系酸化物が立方晶ジルコニアを主成分として含む。本発明に係るジルコニア系酸化物とは、金属元素として少なくともジルコニウムを含む金属酸化物を意味する。ジルコニア系酸化物には、ジルコニウム酸化物に異種金属元素および/または非金属元素が固溶してなる金属酸化物(たとえば、後述する安定化ジルコニア)等が含まれる。ジルコニアシートにおけるジルコニア系酸化物の含有量は、ジルコニアシート100質量%に対し、80質量%以上であることが好ましい。80質量%未満では電解質シートとしての導電性(イオン伝導性)が不十分となる虞がある。導電性に優れる観点から、当該含有量は、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、97質量%以上が一層好ましく、99質量%以上がなお一層好ましい。
本発明に係るジルコニアシートは、ジルコニア系酸化物として立方晶ジルコニアを主成分(主結晶相)として含むものである。立方晶ジルコニアを含むことは、たとえば、X線回折法で確認することができる。具体的には、シートのX線回折測定により、立方晶ジルコニアに帰属される回折線ピークが観測されれば立方晶ジルコニアを含むとしてよい。ジルコニア系酸化物として立方晶ジルコニアを主成分として含むとは、シートのX線回折測定により求められる立方晶比率(%)が50%以上であることを意味する。高い酸素イオン伝導性を得るためには、立方晶比率(%)が50%以上であることが好ましい。高い酸素イオン伝導性の観点から、当該立方晶比率(%)が60%以上であることが好ましい。80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上が一層好ましく、98%以上がなお一層好ましく、特に好ましくは100%、すなわち実質的に立方晶比率が100%である。なお、本発明のジルコニアシートにおいて、立方晶以外には、単斜晶、正方晶、菱面体晶に起因するX線回折ピークが存在しているものも含まれるが、単斜晶と菱面体晶は酸素イオン伝導性と曲げ強度を低下させる傾向があり、正方晶は酸素イオン伝導性を低下させる傾向があるため、立方晶比率が高い方が好ましく、上記範囲であることが好ましい。
立方晶比率(%)は、ジルコニアシートのX線回折パターンに現れた、ジルコニアの結晶構造に帰属される回折線のピーク強度値を用いて下記の式から求める。
立方晶比率(%)=(100−単斜晶比率)×(c(400))÷(t(400)+t(004)+c(400))
単斜晶比率(%)=(m(111)+m(−111))÷(m(111)+m(−111)+tc(111))×100
(式中、c(400)は立方晶(400)面のピーク強度を示し、t(400)とt(004)は正方晶(400)面と(004)面のピーク強度を示し、m(111)とm(−111)は単斜晶(111)面と(−111)面のピーク強度を示し、tc(111)は重なった正方晶と立方晶との(111)面のピーク強度を示す)。
本発明のジルコニアシートを構成するジルコニア系酸化物は、組成的には特に限定されるものではないが、スカンジウム、イットリウム、セリウム、イッテルビウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種の金属元素(M)を酸化物換算の含有量合計で8〜15モル%含むものであることが好ましい。なお、金属元素(M)は、通常、ジルコニア系酸化物においてドーパントとして含まれる。これらの元素を上記割合で含むジルコニア系酸化物は、室温並びに燃料電池用電解質シートに用いられる際に必要とされる動作温度においても立方晶構造が維持され易く安定した導電性能を発揮し易い。このような観点から、上記の金属元素(M)を含むジルコニア系酸化物を安定化ジルコニアともいい、金属元素(M)を安定化金属元素ともいう。金属元素(M)の存在形態は限定されるものではないが、上記安定化効果が高いことから、ジルコニア系酸化物に固溶してなる形態が好ましい。
なお、金属元素(M)がスカンジウム、イットリウム、イッテルビウムの場合、酸化物換算の含有量は、M23(Mはスカンジウム、イットリウムまたはイッテルビウムを意味する)換算での含有モル濃度であり、元素(M)がセリウムの場合はCeO2換算での含有モル濃度である。すなわち、上述した各元素の酸化物としての含有量(モル%)は、元素分析等で求めた、ジルコニアシートの単位質量に含まれるジルコニム(Zr),金属元素(M)(Sc,Y,YbおよびCe)の含有量(モル数)に基づき、上記酸化物(ZrO2、Sc23,Y23,Yb23,CeO2)に換算したモル数を求め、これらの各酸化物換算の合計モル数を100モル%としたときの、各酸化物換算モル数をモル%で表したものである。このようにして求めた各酸化物換算モル数の合計が8〜15モル%となることが好ましい。すなわち、好ましいジルコニア系酸化物は、上述の金属元素(M)を含み、上述のようにして求めた金属元素(M)の酸化物換算の含有量合計(モル%)が8〜15モル%の範囲となるものである。
また、金属元素(M)がスカンジウムを含む場合はスカンジア安定化ジルコニアともいい、略号でScSZと称することがある。金属元素(M)としてスカンジウムおよびセリウムを含む場合はスカンジアセリア安定化ジルコニアともいい、略号でScCeSZと称することがある。同様に、金属元素(M)としてイットリウムを含む場合、イッテルビウムを含む場合は、それぞれ、イットリア安定化ジルコニア、イッテルビア安定化ジルコニアともいい、略号でYSZ、YbSZと称することがある。
上記安定化ジルコニアの中でも、スカンジア安定化ジルコニアの場合は、スカンジウム含有量がSc23(スカンジア)換算で8〜12モル%であることが好ましく、より好ましくは9〜11モル%である。
金属元素(M)としてスカンジウムおよびセリウムを含む場合はスカンジアセリア安定化ジルコニアともいい、略号でScCeSZと称することがある。スカンジアセリア安定化ジルコニアの場合は、スカンジウムおよびセリウムの含有量はそれぞれSc23(スカンジア)換算で8〜12モル%、CeO2(セリア)換算で0.5〜3モル%であることが好ましく、より好ましくは、Sc23(スカンジア)換算で9〜11モル%、CeO2(セリア)換算で1〜2モル%である。
また、イットリア安定化ジルコニアの場合は、イットリウムの含有量はY23(イットリア)換算で8〜12モル%であることが好ましく、より好ましくは8〜10モル%である。イッテルビア安定化ジルコニアの場合は、イッテルビウムの含有量がYb23(イッテルビア)換算で8〜15モル%であることが好ましく、より好ましくは9〜12モル%である。
本発明のジルコニアシートにおける上記安定化ジルコニアの含有量合計は、ジルコニア系酸化物100質量%に対し、80質量%以上が好ましく、より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、一層好ましくは95質量%以上であり、なお一層好ましくは98質量%以上であり、特に好ましくは実質的に100質量%である。
なお、本発明のジルコニアシートを構成するジルコニア系酸化物は、金属元素(M)以外に、他の金属元素(Ma)を含んでいてもよい。他の金属元素としては、たとえば、金属元素(M)以外の希土類元素(La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びLu)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、チタン(Ti)およびビスマス(Bi)等が好ましい。これらの他の金属元素(Ma)の含有量は、ジルコニア系酸化物に含まれる元素の各酸化物換算の合計モル数を100モル%としたときの、各酸化物換算モル数をモル%で表したものであり、合計で0.03〜3モル%(0.03モル%以上、3モル%以下)であることが好ましい。これらの他の金属元素の含有量は、ジルコニアシートを元素分析することにより確認できる。
本発明のジルコニアシートは、立方晶ジルコニアを必須として含むものである。当該立方晶ジルコニアの一部または全部が、上記安定化ジルコニアから構成される形態(1)、および上記の金属元素(M)以外の他の金属元素(Ma)をさらに含有する安定化ジルコニアから構成される形態(2)は、いずれも本発明の好適な態様である。
本発明のジルコニアシートは、上述したジルコニア系酸化物以外に他の成分(Mb)を含んでいてもよい。他の成分(Mb)は、安定化ジルコニアの強化や焼結促進等の作用をするものであり、金属酸化物であることが好ましい。たとえば、スカンジア、イットリア等の金属元素(M)の酸化物;金属元素(M)以外の希土類元素の酸化物;SiO2、Al23、Ga23、In23、TiO2、Bi23、V25、Nb25およびMnO2等の希土類元素以外の金属元素の酸化物;が好ましく挙げられる。これらの中でも、SiO2、Al23、Ga23、In23、TiO2、Bi23、V25、Nb25およびMnO2からなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物がより好ましく、SiO2、Al23、Ga23、In23、TiO2およびBi23からなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物がさらに好ましい。
ジルコニア系酸化物以外の成分(Mb)の合計含有量は、ジルコニア系酸化物100質量%に対し、0.01質量%以上、20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、一層好ましくは3質量%以下である。
本発明のジルコニアシートは、4点曲げ試験において破断に至る最大たわみ量が10〜30%(10%以上、30%以下を意味する)の範囲に制御されてなる。たわみ量が10%未満の場合は、搬送工程中で生じるわずかな歪に耐えず、割れを発生し易い。該最大たわみ量は、12%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。また、該最大たわみ量は、28%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。これにより当該工程で発生する歪に対する耐性が一層優れたものとなる。一方、上限は最大たわみ量が30%以下であれば固体電解質シートとして燃料電池用セルに搭載する際の位置精度に優れるものとなる。最大たわみ量が30%を超える場合は、しなりによって形状が大きく変動するので、自動化搬送する際の位置あわせにずれを生じることがある。
さらには、一方の面を上にして測定した最大たわみ量と、他方の面を上にして測定した最大たわみ量の比(最大たわみ量比Rともいう)が、小さい方の数値を分母として、1.0〜1.2(1.0以上1.2以下を意味する)であることが好ましい。最大たわみ量比Rが1.2を超えた場合は、ジルコニアシートの両面に電極を形成するセル製造工程において、一方側に大きく歪を生じることになり好ましくない。より好ましくは、最大たわみ量の平均値の比が、1.15以下、さらに好ましくは、1.1以下である。
本明細書において、最大たわみ量は、JIS R1602に準拠し、4点曲げ試験冶具用いてたわみ変位を測定し、最大たわみ量(%)=(破断に至る試験片中央の変位/支点間距離)×100として求める。なお、本明細書において最大たわみ量とは、特に断りのない限り、破断に至る最大たわみ量を意味する。最大たわみ量は最大たわみ率ともいう。最大たわみ量および最大たわみ量比は以下の手順で測定すればよい。なお、たわみ量の測定には約100mm×10mmに切り出した試験片を用いる。なお、約100mm×10mmの大きさの試験片が得られない場合は、試験片の大きさに合わせて、測定時の支点間距離を調整して測定することができる。すなわち、試験片が100mm×10mmの場合には、JIS R1602に準拠した4点曲げ試験冶具、すなわち支点間距離60mm、荷重点間距離20mmに設定されたインストロン万能試験装置4301型(インストロン社製)の所定の位置に約100mm×10mmの短冊状試験片をのせ、クロスヘッド速度0.5mm/分で荷重をかけて破断したときの試験片中央の変位を計測し、上記式より試験片の最大たわみ量を求める。試験片の長さが100mmより小さく、支点間距離60mmでの測定が困難な場合においては、支点間距離をx(mm)としたときに荷重点間距離をx/3に設定して測定して得られた結果を採用できる。
1枚のシートから、2枚の試験片(試験片1、試験片2)を切り出す。当該シートの一方の面をA面、他方の面をB面と仮にいうとする。試験片1については、A面を上にして測定する。得られた最大たわみ量をmA1とする。試験片2については、B面を上にして測定する。得られた最大たわみ量をmB1とする。mA1とmB1の内、値の小さい方を分母、値の大きい方を分子として、比rを求める。比rは必ず1以上となる。例えば、mA1≧mB1であれば、r=mA1/mB1を求める。得られたrが測定したシートの最大たわみ量比Rである。また、mA1とmB1との単純平均値が、当該シートの最大たわみ量である。
また、最大たわみ量についても、上述のように1枚のシートから得られた値をそのまま採用する。すなわち、1枚のシートについて最大たわみ量mA,mBを測定し、得られた測定値を単純平均した値がシートの最大たわみ量となる。
本発明のジルコニアシートは、ASTM C623−92に準拠した自由共振法で測定した剛性率が60〜90GPaの範囲に制御されていることが好ましい。剛性は、曲げやねじれに対する寸法変化(変形)の起こりにくさの度合いを示す指標であり、剛性率が上記範囲に制御されていることによって、本発明のジルコニアシートを用いてシートの一方の面に燃料極を他方の面に空気極を形成した燃料電池用単セル(電解質支持型セル(ESC))を製造する際の、電極形成工程時のシート破損率低減や電極焼き付け工程後の単セルに生じる反りが低減される効果を有する。電極形成工程では、通常スクリーン印刷法が用いられる。これは、電極画像パターンを有する刷板のスクリーンメッシュの空間からスキージ(ゴム製のへら)を使って圧(スキージ圧)をかけながら一定の速度(スキージ速度)で電極ペーストを押し出し、ジルコニアシートの上に電極画像パターンを形成する印刷方法である。しかし、ジルコニアシートが薄いと、厳密なスキージ圧やスキージ速度等の管理を行っても(スクリーン印刷条件を厳しく制御しても)シートに割れやひびが発生しやすい傾向にある。本発明のジルコニアシートでは、上記範囲の適度な剛性率が満たされることにより、シートに割れやひびの発生が低減されて、電極形成工程での歩留まりが向上する。
さらには、上記印刷時に割れやひびが発生しなくとも、ジルコニアシートの材料である安定化ジルコニアと、燃料極材料や空気極材料との熱膨張係数が異なっているので、印刷後の焼成(ペースト焼付け)時に、ジルコニアシートが薄膜であれば一層熱膨張差によって得られるSOFC用単セルには大きな反りが発生しやすい傾向にある。本発明のジルコニアシートでは、上記範囲の適度な剛性率が満たされることにより、単セルの反りも低減されて、電極焼付け工程での歩留まりが向上する。
本発明のジルコニアシートの剛性率は、より好ましくは65〜85GPa、さらに好ましくは70〜80GPaである。
本発明では、ジルコニアシートのたわみ量が一方の面(A面)から測定した場合と他方の面(B面)から測定した場合とで必ずしも一致しないこと、さらには、最大たわみ量比Rが特定範囲に制御されることが電解質シートとして用いる場合には好ましいことは上述したとおりであるが、シートの向きによりたわみ量が異なる背景としては、ジルコニアシートを含むセラミックシートの製造方法がかかわっていると考えられる。以下に述べる。
通常、ジルコニアシートなどのセラミックシート成形品は、グリーンシート用組成物(スラリー)をキャリアフィルム上に成膜、乾燥することによりグリーンテープを得、これを所定形状に切断してグリーンシートとし、このグリーンシートを焼成することにより得られるが、グリーンシートは、スラリーを乾燥するときにキャリアフィルムに接していた面と、空気側に解放されていた面といった履歴の異なる2つの面を有する。したがって、グリーンシートを焼き上げて製造された、ジルコニアシートにおいても履歴の異なる2つの面が存在することとなる。このような理由から、先述した一方の面を上にして測定した最大たわみ量の値と、他方の面を上にして測定した最大たわみ量の値は通常は異なるものとなる。よって、ジルコニアシートのたわみ特性を評価するにあたり、各面から測定することは重要であり、同時に測定の向きによる最大たわみ量がどの程度異なるのかは、電解質シートとして用いる場合には重要な因子となる。
本発明のジルコニアシートにおけるシート厚さは50〜120μm(50μm以上、120μm以下を意味する)である。上記最大たわみ量を30%以下に制御し易い点から、60μm以上であることが好ましい。同様の理由から、より好ましくは70μm以上である。一方、上限は、電解質シートとして導電性に優れる(低抵抗である)点から110μm以下が好ましい。より好ましくは100μm以下である。
本発明のジルコニアシートの相対密度(アルキメデス法で測定した嵩密度/理論密度)は上記最大たわみ量を10%以上に制御し易い点から、97%以上であることが好ましい。同様の理由から、より好ましくは98%以上であり、さらに好ましくは99%以上であり、一層好ましくは99.3%以上であり、特に好ましくは99.5%以上である。
ジルコニアシートの形状は円形、楕円形、角形、R(アール)を持った角形等何れでもよく、これらのシート面内に同様の円形、楕円形、角形、Rを持った角形等の穴を1つもしくは2つ以上有していてもよい。また本発明は、ジルコニアシートが大版のときに効果的であり、そのような観点から好ましい大きさは、シートの平面面積が50cm2以上であり、より好ましくは70cm2以上、さらに好ましくは90cm2以上であり、特に好ましくは100cm2以上である。この場合、シート面内に有する穴の面積もシート平面面積に含まれるものとする。
本発明のジルコニアシートの製造方法は特に制限されないが、再現性よく所望のジルコニアシートを安定して製造できる点から、以下に説明する製造方法が好ましい。
1.スラリーの調整
まず、スラリーを調整する工程について説明する。本工程では、ジルコニア粉末、溶媒、バインダー、必要に応じて可塑剤や分散剤等をボールミルやビーズミル等で混合してスラリーを調製する。
本発明のたわみ特性を有するジルコニアシートを調製するためには、原料ジルコニア粉末として特定の粒度分布を満足する立方晶系ジルコニア粉末を用いることが好ましい。ここで立方晶系ジルコニア粉末とは、X線回折測定により、立方晶ジルコニアに帰属される回線ピークが観測されるものであり、前述した立方晶比率(%)が50%以上であるものをいう。立方晶比率は60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上が一層好ましい。
また立方晶系ジルコニア粉末としては、スカンジウム、イットリウム、セリウム、イッテルビウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を酸化物換算で0.5〜15モル%含むジルコニア(立方晶系安定化ジルコニアともいう)であることが好ましい。スカンジウム、イットリウム、セリウムおよびイッテルビウムはジルコニアシートを構成するジルコニア系酸化物として好適な安定化ジルコニアに含まれる金属元素(M)であり、安定化金属元素である。立方晶系安定化ジルコニア粉末における安定化金属元素の好ましい含有量は、ジルコニアシートの説明において記載した範囲と同様である。また、立方晶系安定化ジルコニア粉末としては、Si、Al、Ga、In、Ti、Bi等を該ジルコニア粉末に含まれるジルコニウム(Zr)量を100モル%としたときに0.03〜3モル%の範囲で含むものであってもよい。また、立方晶系安定化ジルコニア粉末と、Si、Al、Ga、In、Ti、Bi等の酸化物粉末とを混合して用いてもよく、Si、Al、Ga、In、Ti、Bi等の酸化物粉末の使用量は、立方晶系安定化ジルコニア粉末100質量%に対し、0.01質量%以上、20質量%以下が好ましい。
また、立方晶系安定化ジルコニア粉末としては、90体積%径(D90)が0.25〜0.8μm(0.25μm以上、0.8μm以下)であり、50体積%径(D50)と90体積%径との比(D90/D50)が1.0〜2.0(1.0以上、2.0以下)、90体積%径(D90)と100体積%径(D100)との比(D100/D90)が1.0〜4.0(1.0以上、4.0以下)である粉末を用いることが好ましい。
前記立方晶系安定化ジルコニア粉末のBET比表面積は、3m2/g以上であることが好ましい。より好ましくは4m2/g以上であり、さらに好ましくは5m2/g以上である。また上限は10m2/g以下であることが好ましい。より好ましくは8m2/g以下であり、さらに好ましくは7m2/g以下である。BET比表面積が上記範囲内であれば、グリーンテープ(シート)成形のためのバインダー必要量が少なくなるので、グリーンシート中の粉体充填率が高められて得られるジルコニアシート中の残留ポアをより低減でき、相対密度が上述した好ましい範囲にある、緻密なシートを得ることができる。
前記立方晶系安定化ジルコニア粉末の90体積%径(D90)は、0.25μm以上、0.8μm以下であることが好ましい。D90が0.8μmを超えると、ジルコニア粉末の凝集体が大きくなって粉体充填率が低下するので、得られる薄膜ジルコニアシートの強度が低下する虞がある。一方、D90が0.25μm未満では、ジルコニア粉末中にナノサイズの微細粒子が多くなるため、バインダー量が逆に多く必要になり寸法精度が損なわれる虞がある。前記D90は、より好ましくは0.26μm以上、さらに好ましくは0.27μm以上、特に好ましくは0.28μm以上であり、より好ましくは0.7μm以下、さらに好ましくは0.65μm以下、特に好ましくは0.6μm以下である。
また、前記立方晶系安定化ジルコニア粉末の50体積%径と90体積%径との比(D90/D50)は、1.0〜2.0(1.0以上、2.0以下)であることが好ましい。前記比(D90/D50)が上記範囲内であれば、グリーンシート成形に必要なバインダー量をさらに低減でき、焼成収縮率が低下して、焼成後のジルコニアシートの割れや欠けが低減され歩留まりが向上する。前記比(D90/D50)は、より好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.9以下、さらに好ましくは1.8以下である。
さらに、前記立方晶系安定化ジルコニア粉末の90体積%径と100体積%径との比(D100/D90)は、1.0〜4.0(1.0以上、4.0以下)であることが好ましい。前記比(D100/D90)が上記範囲内であれば、極端に粗大な粒子の割合が少なくなって、グリーンシート中の粉体充填率をさらに高めることができるとともに、シート曲げ強度も強化される傾向となる。前記比(D100/D90)は、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上であり、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.5以下である。
本発明において、50体積%径とは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−920」)により測定し、各々粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積に対して50体積%となる粒子径の値である。また、同様に90体積%径および100体積%径は、それぞれ粒子径が小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積(100体積%)に対して90体積%、100体積%となる粒子径の値である。
また、前記立方晶系安定化ジルコニア粉末の軽装かさ密度は、0.9〜1.4g/mLであることが好ましい。軽装かさ密度が上記範囲内であれば、高い粉末充填密度のグリーンシートが得られ、その結果、最大たわみ量や剛性率が好適なジルコニアシートが製造できる。軽装かさ密度は、より好ましくは0.95以上、さらに好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.3以下、さらに好ましくは1.25以下である。
ジルコニア原料粉末は、上記物性の範囲であれば1種のみからなる必要はなく、2種以上の混合粉末であってもよい。特に軽装かさ密度が0.9g/mL以上1.05g/mL以下の粉末と、軽装かさ密度が1.05g/mLを超え1.4g/mL以下の粉末との2種の混合粉末であることが、特に、上記の好適な最大たわみ量や剛性率を満たすジルコニアシートを製造できるので好ましい。上記混合粉末の好ましい配合比率は、軽装かさ密度が0.9g/mL以上1.05g/mL以下の粉末が70〜97質量%で、軽装かさ密度が1.05g/mLを超え1.4g/mL以下の粉末が3〜30質量%である。
なお、本発明のジルコニアシートを製造するために好ましい粒度分布、軽装かさ密度等を有する立方晶系安定化ジルコニア粉末は、たとえば、市販の立方晶系安定化ジルコニア粉末を1000〜1400℃で熱処理したものを粉砕する方法、市販のジルコニア粉末と安定化剤粉末(金属元素(M)を供給できる材料粉末)とを混合後、熱処理したものを粉砕する方法、立方晶系安定化ジルコニア粉末や前記混合粉末を成形後、仮焼もしくは焼結等によって熱処理して得た焼成体を粉砕して粉末化する方法などによって得ることができる。
熱処理や、仮焼もしくは焼結によって立方晶系安定化ジルコニア粉末中の細孔容積や細孔径が減少するために比表面積が低下してテープ成形のためのバインダー量が低減される。なお、粉砕する工程で得られる粉末のD90等の粒子径分布の再現性を高めるためには、上記熱処理に供するジルコニア粉末としても立方晶系安定化ジルコニア粉末を用いることが好ましく、粉末の凝集や焼結を抑制して所望の粒子径分布に簡便に粉砕できるように、この粉末をロータリーキルン等で流動させながら上記温度範囲で均一に熱処理することが好ましい。
また、前記熱処理した粉末や焼成体を粉砕することによって、好ましい粒度分布(D90、D90/D50比やD100/D90比)に調整することが好ましい。前記のように原料ジルコニア粉末の粒子径分布を特定の範囲に調整するためには、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジェットミル等を用いた粉砕方法を用いることができる。
被粉砕物は熱処理や、仮焼もしくは焼結された粉末や焼成体であるので市販の立方晶系安定化ジルコニア粉末に比べて硬くなっており、投入(粉砕)動力や周速度を高くして強い剪断力を与えてしまうと、粉末の一次粒子まで破壊される過分散状態となって再凝集や異常な粘度上昇が起こる場合がある。従って、過分散させない状態で効率的にマイルドに粉砕することが好ましく、そのためには、循環式の湿式ビーズミルを用い、粉砕メディアとして粒径が0.05〜3mmφのジルコニアビーズ、分散媒として水もしくはエタノールや2−プロパノール等の低級アルコールを用いて、攪拌動力を0.5〜5kWh/kgの範囲、周速度を6〜12m/sの範囲とする条件で粉砕することが好ましい。より好ましい条件は、攪拌動力が0.6〜1.5kWh/kgの範囲、周速度が7〜10m/sの範囲である。
また、必要に応じて分散剤を添加してもよく、被粉砕物が非常に硬い焼結体の場合には、乾式、湿式あるいは乾式と湿式を組み合わせた前粉砕を行うことが好ましい。
スラリー原料粉末には、本発明の効果を損なわない程度に、立方晶系安定化ジルコニア粉末の他にアルミナ、チタニア、シリカ、酸化ニオブ、酸化タリウム等からなるセラミックス粉末を添加してもよい。かかるセラミックス粉末の使用量は、原料粉末の総和に対して0.01質量%以上、5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上、3質量%以下がより好ましい。同様にスラリー原料粉末には、本発明の効果を損なわない程度に、立方晶系安定化ジルコニア粉末以外のジルコニア粉末を添加してもよい。スラリー原料粉末における立方晶系安定化ジルコニア粉末の割合は、好ましくは、70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
スラリーに用いられるバインダーの種類は特に制限されず、従来公知の有機質バインダーを適宜選択して使用することができる。有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重合体、スチレン系共重合体、(メタ)アクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロース等のセルロース類等が例示される。
これらの中でも、ジルコニアグリーンシートの成形性や打抜き加工性、強度、焼成時の収縮率バラツキを抑制する観点から、熱可塑性で且つ数平均分子量が20000〜250000、より好ましくは50000〜200000の(メタ)アクリレート系共重合体が好ましいものとして推奨される。
バインダーの使用量は、原料および/またはスラリー中の立方晶系安定化ジルコニア粉末の粒子径、粒子径分布によって異なるが、スラリー原料粉末100質量部に対して5質量部以上が好ましく、より好ましくは7質量部以上であり、さらに好ましくは8質量部以上であり、16質量部以下が好ましく、より好ましくは15質量部以下であり、さらに好ましくは14質量部以下である。
バインダーの使用量が不足すると、ジルコニアグリーンシートの成形性が低下し、また、強度や柔軟性が不十分となり得る。逆に多過ぎる場合は、スラリーの粘度調節が困難になるばかりでなく、脱脂・焼結時のバインダー成分の分解放出が多く且つ激しくなって形状不良が発生しやすくなり、最大たわみ量も小さくなる傾向がある。
スラリー用の溶媒としては、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール類;アセトンや2−ブタノン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類等が挙げられ、これらから適宜選択して使用する。
これら溶媒は単独で使用し得る他、2種以上を適宜混合して使用することができる。これら溶媒の使用量は、ジルコニアグリーンシート成形時におけるスラリーの粘度を加味して調節するのがよい。好適なスラリー粘度は1Pa・s以上、50Pa・s以下であり、より好ましくは2Pa・s以上、20Pa・s以下である。
また、スラリーの固形分濃度は65質量%以上とすることが好ましく、70〜90質量%の範囲に調整されることがより好ましい。固形分濃度を前記範囲に調整することによって、塗工時のグリーンテープ中の溶剤量が少なくなり、グリーンテープの粉体充填密度を高めることができ、後述のように粉体充填率を55%以上にすることができる。本発明で言う固形分濃度とは、以下式で表される。
固形分濃度(%)=(スラリー原料粉末質量+有機成分の固形分の質量)÷全組成の質量×100
好ましいスラリーの固形分濃度は60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、一層好ましくは75質量%、特に好ましくは80質量%以上である。なお、固形分濃度が90質量%を超えると、スラリー粘度が50Pa・sを超えて、スラリーの流動性が損なわれ高分子フィルムへの均一塗工が困難になる。
スラリーの調製に当たっては、ジルコニア等の原料粉末の分散を促進するため、分散剤を用いることが好ましい。分散剤としては、ポリアクリル酸やポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質;α−オレフィン・無水マレイン酸共重合物の部分エステル;クエン酸や酒石酸等の有機酸;イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩あるいはアミン塩;ブタジエンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩等を挙げることができる。
また、スラリーの成形性を高めるために、可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤としては、フタル酸ジブチルやフタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類;プロピレングリコール等のグリコール類やグリコールエーテル類;フタル酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル等のポリエステル類を挙げることができる。さらに、界面活性剤や消泡剤等を必要に応じて添加することができる。
また、本発明の製造方法においては、スラリー原料として、ジルコニア粉末の少なくとも一部に立方晶系安定化ジルコニア粉末を含有する回収グリーン体を使用することも好ましい態様である。前記立方晶系安定化ジルコニア粉末は高価なため、原料コスト低減のために回収グリーン体を使用することは好ましい。
ところで、上述した製法によるグリーンテープ中の立方晶系安定化ジルコニア粉末は、従来の原料を用いた場合に比べてスラリー中のサブミクロン級の微粒子の含有量が少ないため、溶剤への再溶解性に優れている。すなわち、短時間でもとのスラリーの粒子径にまで溶解でき、凝集物が生じにくいものである。それゆえ、従来の原料を使用した回収グリーンテープを使用するのに比べて、微小な凝集の残留によるポアの発生を低減することができる。
ここで、立方晶系安定化ジルコニア粉末を含有する回収グリーン体とは、焼成する工程に供されなかったグリーンテープとグリーンシートのことである。具体的には上記原料粉末、バインダー、溶媒等を用いてスラリーを調製した後、該スラリーを用いてグリーンテープを作製する際の所定の塗工厚さになっていない塗工初めのグリーンテープ先端部、塗工終了近くのグリーンテープ後端部およびグリーンテープの左右端部;作製されたグリーンテープについて打抜き等の成形を行った場合における、焼成用グリーンシートとして使用しなかった切断屑;等を回収したものである。切断機やカッター等により細かく、好適には3cm角以下に破砕したものを使用することが好ましい。
前記回収グリーン体の使用量は、該回収グリーン体に含まれるジルコニア粉末の質量に換算し、前記スラリー中に含まれる全安定化ジルコニア粉末中5質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、50質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
スラリーは、上記成分を適量混合することにより調製する。その際、各粒子の微細化や粒子径を均一化するために、ボールミルやビーズミル等により粉砕しつつ混合してもよい。また、各成分の添加の順番は特に制限されず、従来方法に従えばよい。
2.グリーンシートの製造
次に、上記で得たスラリーを用いてグリーンシートを製造する工程について説明する。本発明の製造方法においては、得られたスラリーを用いてテープキャスティング法により連続的に高分子フィルム上にテープ状に塗工し、乾燥してグリーンテープとする。
ここで、テープキャスティング法とは、原料粉末を含んだスラリーをシート状に塗工する方法であり、例えば、ドクターブレード法が挙げられる。ドクターブレード法は、一般的にはスラリータンク中へと原料スラリーを供給して、ここへ圧力をかけ、配管を介してスラリーを塗工ダムへ輸送し、ドクターブレードによりスラリーの厚さが均一となるように、高分子フィルム上に塗工する。前記高分子フィルムの材料は特に制限されず、従来公知のプラスチックフィルムを使用することができる。高分子フィルムには、可撓性のみならず、グリーンテープの支持体として十分な剛性および強度も要求される。そのためポリエチレンテレフタレートを素材とする厚さが、50μm〜130μmのPETフィルムを使用することが好ましい。
その後、キャリアフィルム上に塗工されたスラリーを乾燥することにより、テープ状成形体、即ちグリーンテープとする。乾燥条件は特に制限されず、例えば室温〜150℃の一定温度で乾燥してもよいし、50℃、80℃、120℃の様に順次連続的に昇温して加熱乾燥してもよい。
次いで、得られたグリーンテープを所定形状に打ち抜き・切断して、グリーンシートを得る。打ち抜き・切断の方法は特に制限はなく、金型、レーザー、トムソン刃などを用いる公知の方法を採用すればよい。切断加工後はグリーンシートの形状は、円形、楕円形、角形、R(アール)を持った角形、ドーナツ形、リング形、弓型形等の何れの形状でもよい。寸法は、焼成による収縮を考慮し、焼成後に所定寸法になるように調整することが好ましい。
ジルコニアグリーンシートにおける好ましい粉体充填率は55%以上、好ましくは56%以上、より好ましくは57%以上である。なお、グリーンシートの粉体充填率は以下の手順で計算し求めた。
グリーンシートの質量(W1)とグリーンシートの水中質量(W2)を室温で測定し、これらの測定値と水の密度(ρW)とからグリーンシート体積(V1)を下記式より求めた。
V1=(W1−W2)/(ρW)
次いで、グリーンシートを空気中で800℃1時間焼成してグリーンシート中のバインダー等の有機成分を除去したのち室温まで冷却して、焼成後の質量(W3)を測定した。ジルコニアシートの密度(ρZ)をアルキメデス法より求め、粉体充填率(PD)を下記式を用いて求めた。
PD=(W3/ρZ)/V1×100
粉体充填率(PD)を算出する際、通常は、W1,W2,W3の単位として[kg]、密度の単位として[kg/m3]、体積の単位として[m3]を用いることができる。
グリーンシートの粉体充填率を55%以上とすることにより、シート厚さを50〜120μmの範囲内とした場合の最大たわみ量が10〜30%であるジルコニアシートを製造できる。
ジルコニアグリーンシートの表面粗さは、使用する原料安定化ジルコニア粉末やスラリーの粒子径分布等に依存するが、ドクターブレード法によるテープキャスティングの場合、必要に応じて比較的容易に調整することができる。例えば、樹脂フィルムまたは金属板やフィルム(以下、粗さ調整用板またはフィルム)に挟んで加圧して、表面粗さをグリーンシートに転写することによって所定の表面粗さに調整する工程を含む方法を挙げることができる。なお、SOFC用の薄膜立方晶系ジルコニアグリーンシートの表面粗さとしては、一般的には、Raで0.05μm以上、1μm以下の範囲が好適である。
粗さ調整用板またはフィルムの材質は特に限定されないが、たとえば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、平滑処理を施した紙類、表面を研磨した超硬タングステン、ステンレス鋼、ダイス鋼、ステライト、特殊鋼、超硬合金などを挙げることができる。樹脂または金属は、板状またはフィルム状で使用される。当該板またはフィルムの厚さは、好ましくは0.05〜50mmである。さらに、これら板またはフィルムの表面は、加圧されたグリーンシートと板またはフィルムを容易に剥離できるようにするためにフロン等で被覆されていることが好ましい。
これらの粗さ調整用板またはフィルムに挟んで加圧する方法も特に限定されないが、一軸〜四軸プレス機、ロールプレス機などを使用する方法などを採用することができる。加圧する際には、グリーンシートの両面または片面を上記の樹脂または金属に重ねてから加圧してもよいし、プレス機の加圧面に上記の樹脂または金属を接合して使用してもよい。
加圧の温度は、室温でもよいが、100℃以下に加温、制御してもよい。またその圧は、5〜40MPaが好ましく、より好ましくは、10〜30MPaである。圧が5MPa未満の場合は、加圧の効果が得られにくく、バリ高さ不良率低減の効果が小さくなって認められない。一方、40PMaを越える場合は、グリーンシートが変形して焼成後の寸法が大きくふれることがある。グリーンシートに対峙する樹脂または金属面の粗さRzが、十分に転写するためには、なるべく保温下、低加圧で行うことが好ましく、グリーンシートが30〜60℃に十分に保持された状態で、5〜15MPの圧で加圧することが特に好ましい。
また、グリーンシートに加圧処理を施すことにより、ジルコニアシートの表面粗さの調整だけでなく、グリーンシートの粉体充填率を高めることもできる。グリーンシートの粉体充填率を55%以上にするためには、グリーンシートに5〜40MPaの圧力を加えることが好ましく、10〜30MPaの圧力を加えることがより好ましい。グリーンシートにこのような加圧処理を施すことにより、シート厚さを50〜120μmの範囲内とした場合の最大たわみ率を10〜30%の範囲内とすることが可能となる。なお、粉体充填率を高めるための加圧処理は、表面粗さの調整のための加圧処理を兼ねて実施されてもよいし、表面粗さの調整のための加圧処理とは別に実施されてもよい。粉体充填率を高めるための加圧処理が実施される温度条件は特には限定されず、室温でもよい。
ここで、さらに効果的に加圧されるためには、グリーンシートの引張試験における引張破壊伸びが5%以上50%以下、かつ引張降伏強さが2.0MPa以上20MPa以下であること好ましい。さらに好ましくは引張破壊伸びが8%以上30%以下、かつ引張降伏強さが3.0MPa以上15MPa以下である。
3.グリーンシートの焼成
グリーンシートを焼成する工程では、前記のようにして作製されたグリーンシートを焼成し、薄膜立方晶系ジルコニアシートとする。グリーンシートの焼成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、グリーンシートを1枚ずつ棚板に載置して焼成することも可能であるが、量産化のためにグリーンシートと多孔質スペーサーシートとを交互に積み重ねた積層体を棚板に載置して焼結することが好ましい。
積層体の構成は、最下段にスペーサーシートを置き、その上にグリーンシートとスペーサーシートを交互に積み重ね、最上段にはスペーサーシートを載せたものからなる。最下段のスペーサーシートはグリーンシートと棚板との接合を防ぎまた、最上段のスペーサーシートは重しとなりシートの反りやうねりを低減する。
具体的な焼成の条件は特に制限されず、常法によればよい。例えば、グリーンシートからバインダーや可塑剤等の有機成分を除去するために100℃〜400℃、好ましくは150℃〜300℃で2時間〜50時間程度処理する。次いで、1300℃〜1600℃、好ましくは1350℃〜1550℃で2時間〜10時間保持焼成することによりジルコニアグリーンシートを焼結すればよい。
上記のようにして得られたジルコニアシートは焼成後、炉からの回収、検査装置への移動・搬送、検査装置内での搬送、梱包作業、あるいは、セルの製造工程においては、電解質シートの印刷機への搬送、印刷機から乾燥機への搬送、乾燥機から焼成炉への搬送等々、シートの搬送や表裏回転などを伴う複数回の工程を経ることになる。これらは、量産化工程では、カセット等に重ねて入れておき、順次自動的に所定の位置に搬送され、処理が終れば再びカセットに戻されるのが一般的である。移動・搬送の方法は特に限定されないが、ロボットハンドで厚さ方向に挟んだり、外寸方向に挟んだりすること、あるいは吸引、ベルトコンベア、板に載せて板ごとの表裏回転などを挙げることができる。この間、薄膜ジルコニアシートは少なからず応力を受けることになる。ジルコニアシートは、その全面に均一に応力がかかる場合は、薄膜であったとしても割れに強いが、不均一な応力が発生し、ジルコニアシート自体に歪を生じるとたちまちに破損してしまう。本発明のジルコニアシートは、このような歪が生じても、破損することなく、工程の歩留まり低下を抑制することができる。
上述した好ましい製造方法によれば、本発明に係る、立方晶ジルコニアを含み、最大たわみ量が所定範囲のジルコニアシートが得られる。より具体的には、粉体充填率55%以上のグリーンシートを用いることにより、シート厚さを50〜120μmの範囲内とした場合に、最大たわみ量が10〜30%の範囲内となるジルコニアシートを得ることができる。粉体充填率55%以上のグリーンシートは、固形分濃度が65質量%以上のスラリーを用いてグリーンシートを作製し、さらにグリーンシートに対して5〜40MPaで加圧処理を施すことにより得ることが可能である。また、シート厚さを50〜120μmの範囲内とした場合に、最大たわみ量が10〜30%の範囲内となるジルコニアシートを得るためには、用いられる原料粉末が、次の軽装かさ密度、粒度分布およびBET比表面積を満たすことが好ましい。軽装かさ密度は0.9〜1.4g/mLであることが好ましい。粒度分布は、D90が0.25〜0.8μm、D90/D50が1.0〜2.0、D100/D90が1.0〜4.0であることが好ましい。BET比表面積は、下限値が3m2/g以上が好ましく、4m2/g以上がより好ましく、5m2/g以上がさらに好ましく、上限値が10m2/g以下が好ましく、8m2/g以下がより好ましく、7m2/g以下がさらに好ましい。
本発明のジルコニアシートを含む固体酸化物形燃料電池用セルは、該ジルコニアシートを含むものであれば限定されないが、本発明のジルコニアシートを電解質シートして含む電解質支持型セルであることが好ましい。
本発明の電解質支持型セルは、燃料極と、空気極と、燃料極と空気極との間に配置された電解質シートとを備えており、該電解質シートとして上述した本発明のジルコニアシートが用いられる。燃料極及び空気極には、従来公知のSOFCに用いられる燃料極及び空気極がそれぞれ適用できる。
本発明の電解質支持型セルは、通常は、電解質シートの一方の主面上に燃料極を形成し、他方の主面上に空気極を形成することによって製造できる。まず、燃料極又は空気極を構成する材料の粉体に、バインダー及び溶剤を添加し、さらに必要に応じて分散剤等を添加してスラリー(ペースト)を調製する。このスラリー(ペースト)を、前記電解質シートの一方又は他方の主面上にスクリーン印刷等により所定の厚さで塗布し、その塗膜を乾燥させることによって、燃料極用又は空気極用のグリーン層を形成することができる。そのグリーン層を焼成することによって、燃料極又は空気極が得られる。焼成温度等の焼成条件は、燃料極及び空気極に用いられるそれぞれの材料の種類等に応じて、適宜決定すればよい。燃料極及び空気極を構成する材料としては、公知のSOFCの燃料極及び空気極に用いられる材料を、それぞれ用いることができる。また、燃料極及び空気極用のスラリーの作製に用いられるバインダー及び溶媒等の種類には特に制限がなく、SOFCの燃料極及び空気極の製造方法で公知となっているバインダー及び溶剤等の中から適宜選択して用いることができる。
本発明の電解質支持型セルは、本発明のジルコニアシートを電解質シートとして用いているために、セル強度に優れるとともに発電性能に優れるため、効率的な発電が可能で且つ長寿命のものとなる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.原料粉末の評価方法
<比表面積の測定>
吸着分子として窒素を用い、BET法により粉末の比表面積を測定した。測定機器としては、マウンテック社製のマックソーブHM−1210型を用いた。測定は一試料につき3点行い、その平均値を比表面積とした。
<粒子径測定>
堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−920」を用い、蒸留水中に分散剤として0.2質量%のメタリン酸ナトリウムを添加した水溶液を分散媒とした。当該分散媒の約100cm3中に粉末を0.01〜0.5質量%となるよう添加し、3分間超音波処理して分散させた後に、体積基準の粒子径分布を測定した。測定結果に基づき90体積%径(D90)、50体積%径(D50),100体積%径(D100),D90/D50,D100/D90をそれぞれ求めた。
<軽装かさ密度>
セイシン企業製のかさ密度測定装置(MT−1001k)を用い、JIS R9301−2−3に準拠して、原料粉末の軽装かさ密度を測定した。使用したふるいは2000μmで、容器は200mLであった。
2.原料粉末の調製
原料粉末調製例1〜4、7
市販の8モル%YSZ粉末(第一稀元素化学工業製、商品名「HSY−8」、比表面積:9m2/g、D50:0.48μm)を炉芯管材質がアルミナのロータリーキルンを用いて1050℃、1200℃、1300℃、1380℃、1450℃の各温度で熱処理した。
ナノ粒子分散専用の湿式媒体循環ビーズミル(アシザワ・ファインテック(株)製)を用い、これに原料粉体スラリーとして、上記熱処理YSZ粉末4kgおよび分散媒としての純水6kgを投入した。ここに、粉砕メディアとして、0.5mm径のジルコニアメディア(比重:6)を、4kg仕込んだ。ミルモーターの動力を調整し、攪拌動力0.5〜2kWh/kg、攪拌羽根先端周速度(ω)8〜10m/秒の範囲で粉砕した。この湿式粉砕により得られたスラリーを10リットルロータリーエバポレーターに入れ、さらに該スラリーと等量のオクタノールを入れて、加熱減圧しながら水を留出させてオクタノール置換スラリーを得た。このスラリーを更に加熱減圧してオクタノールを留出させ減圧乾燥して立方晶系で安定化されたYSZ粉末A1050、A1200、A1300、A1380、A1450を得、各粉末の物性を表1に示した。
原料粉末調製例5〜6
市販の10モル%スカンジア1モル%セリアで安定化された10Sc1CeSZ粉末(第一稀元素化学工業製、商品名「10Sc1CeSZ」、比表面積:11m2/g、D50:0.6μm、D90:1.27μm)を炉芯管材質がアルミナのロータリーキルンを用いて1250℃の温度で熱処理し、上記調製例1〜4、7と同様に粉砕、乾燥して立方晶系で安定化されたScCeSZ粉末B1250を調製した。また、熱処理されていない上記ScCeSZ粉末を高効率湿式粉砕機(コトブキ技研工業(株)製、商品名:アペックスミル、型式:AMV−1)を用いて、上記と同様にして粉砕、乾燥して立方晶系で安定化されたScCeSZ粉末BNCを調製した。これらの粉末の物性を表1に示した。
Figure 2015118925
3.ジルコニアシートの製造
3.1 グリーンシート調製例1〜7、10
各原料粉末調製例で製造した原料粉末(A1050、A1200、A1300、A1380、B1250、BNC、A1450)を用いてスラリーを調製しさらにグリーンシートを調製した。すなわち、各調製例において、原料粉末として表2に示す原料粉末を100質量部、溶媒としてトルエン60質量部、および分散剤としてソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤1.5量部とを混合し、ボールミルにより粉砕処理することにより混合物を調製した。得られた混合物へ、バインダーとしてメタクリレート系共重合体(数平均分子量:55000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量%)を固形分として12〜18質量部となるよう添加し、さらに可塑剤としてジブチルフタレート2質量部を添加し、ボールミルにより20時間混合してスラリーを調製した。得られたスラリーを濃縮脱泡することにより、25℃での粘度を2〜13Pa・sに調整し、塗工用スラリーとした。
上記各塗工用スラリーを、ドクターブレード法によりPETフィルム上に塗工した。当該PETフィルムを、0.2m/分の速度で、50℃、80℃および110℃の3つの温度域を有する乾燥機中に通過させた後、スリッターで切断し、幅150mm、長さ200m、厚さが約105〜150μmの長尺グリーンテープを得た。当該長尺グリーンテープを切断し、約130〜160mmの正方形グリーンシートGA1050(調製例1)、GA1200(調製例2)、GA1300(調製例3)、GA1380(調製例4)およびGBNC(調製例6)を各2000枚、GB1250(調製例5)およびGA1450(調整例10)を各4000枚得た。
なお、GA1300とGB1250では、切断屑等の回収グリーンテープに含まれる安定化ジルコニア粉末の質量に換算し、前記スラリー中に含まれる全安定化ジルコニア粉末に対して、それぞれ15質量%と20質量%になるように回収グリーン体を使用した。
グリーンシート調製例1〜3および5〜7では、さらに、グリーンシートに対して加圧処理を施した。この加圧処理は、25℃〜50℃にグリーンシートを保持した状態で、5〜40MPaの圧力をグリーンシートに加えることによって実施された。より詳しくは、上記正方形グリーンシート1枚ずつを、その上下の面を、表面に離型処理を施したRaが0.03μm、厚さが125μmで160mm正方形のPETフィルムに挟み、2軸プレス機で加圧処理した。加圧処理条件は、たとえば、グリーンシート製造例1では25℃で20MPaの圧で60秒間加圧、グリーンシート調製2では45℃に保温した状態で20MPaの圧で5秒間加圧、グリーンシート調製例7では35℃に保温した状態で10MPaの圧で10秒間加圧した。
グリーンシート調製例1〜7、10でそれぞれ得られたグリーンシートの粉体充填率を測定し、結果を表2に示す。
3.2 グリーンシート調製例8
原料粉末として前記で得た粉末A1050を用いて、厚さが約320μmの長尺グリーンテープを得た以外はグリーンシートの調製例1と同様にして、約160mmの正方形グリーンシートGA’1050を各2000枚得た。グリーンシートの粉体充填率を測定し、結果を表2にあわせて示す。
3.3 グリーンシート調製例9
原料粉末として前記で得た粉末A1050を90質量%、アルミナ粉末(昭和電工社製、商品名「AL−160SG」)10質量%用いて、厚さが約140μmの長尺グリーンテープを得たこと、および、グリーンシートに加圧処理を施さなかったこと以外は、グリーンシートの調製例1と同様にして、約160mmの正方形グリーンシートGC1050を各2000枚得た。グリーンシートの粉体充填率を測定し、結果を表2にあわせて示す。
3.4 グリーンシート調製例11
原料粉末として、前記で得た粉末B1250を85質量%と粉末BNCを15質量%との混合粉末B(1250+NC)用いて、厚さが約120μmの長尺グリーンテープを得た以外はグリーンシートの調製例1と同様にして、約160mmの正方形グリーンシートGB(1250+NC)を各2000枚得た。グリーンシートの粉体充填率を測定し、結果を表2にあわせて示す。
なお、各調製例で得られたグリーンシートの粉体充填率は以下の手順で計算し求めた。
<グリーンシートの粉体充填率の評価>
グリーンシートの質量(W1)とグリーンシートの水中質量(W2)を室温で測定し、水の密度(ρW)とからグリーンシート体積(V1)を下記式より求めた。
V1=(W1−W2)/(ρW)
次いで、グリーンシートを空気中で800℃1時間焼成してグリーンシート中のバインダー等の有機成分を除去したのち室温まで冷却して、焼成後の質量(W3)を測定した。
ジルコニアシートの密度(ρZ)をアルキメデス法より求め、粉体充填率(PD)を下記式を用いて求めた。
PD={(W3/ρZ)/V1}×100
なお、粉体充填率(PD)を算出する際、W1,W2,W3の単位として[kg]、密度の単位として[kg/m3]、体積の単位として[m3]を用いた。
3.5 ジルコニアシート製造例
ジルコニアシート製造例1
一辺が約165mmの正方形アルミナ多孔質シート(気孔率:45%,厚さ:0.2mm)を2枚重ね、その上に前記グリーンシート調製例1で作製したグリーンシート(GA1050)を1枚重ね、さらにその上にスペーサーとして多孔質シートを重ね、さらにグリーンシートと多孔質シートを交互に9枚ずつ重ねて積層体とした。
得られた積層体を焼成用棚板(厚さ20mm,400mm×400mm)の上に4セット載置し、各積層体の最上部に、ムライト・アルミナ製の重し用治具(気孔率:60%,嵩比重:1.3)を載せた状態で、大気雰囲気下、1420℃で3時間焼結することにより、大きさ約100mm、厚さ91μmの正方形のジルコニアシート(SA1050)を1800枚製造した。
ジルコニアシート製造例2〜11
ジルコニアシート製造例1において、グリーンシート製造例1で作製したグリーンシート(GA1050)の代わりに、表2に示すように、各グリーンシート製造例で作製したグリーンシートをそれぞれ用いる以外は、ジルコニアシート製造例1と同様にして、ジルコニアシート(SA1200、SA1300、SA1380、SB1250、SBNC、SB1250P、SA’1050、SC1050、SA1450、SB(1250+NC))をそれぞれ1800枚製造した。
3.6 ジルコニアシートの評価
各製造例で作製したシートについて、相対密度、シート厚み、最大たわみ量等のたわみ特性、剛性率、移動による割れ・欠け発生頻度、立方晶比率、抵抗(電気抵抗)は以下のようにして測定した。また測定結果を表2に示す。
<相対密度>
シートについて、アルキメデス法で密度を測定し8YSZと10Sc1CeSZの理論密度から相対密度を算出した。
<シート厚さの測定>
マイクロメータを使用し、10枚の供試シートの任意の10箇所を測定してその平均値とフレ幅を求めた。
<移動による割れ・欠け発生頻度>
ジルコニアシート製造例1〜11でそれぞれ作製した約100〜110mmの正方形のジルコニアシート1800枚について、検査工程、電極印刷工程内での移動を想定した試験をおこなった。すなわち、ジルコニアシート100枚を重ね、直径約3mmφの吸引装置5個を有するロボットアームを用い、シート1枚について、その4隅と中央の5箇所で同時に吸着して持ち上げ、約1m離れた場所に1枚ずつ移動させて再度100枚を重ねる試験をおこなった。その際に、割れや欠けの発生した頻度を求めた。
<印刷工程中での割れ・欠け発生頻度>
上記検査工程内での想定試験で合格になったジルコニアシート全量について、スクリーン印刷模擬試験を行った。その際に割れや欠けの発生した頻度を求めた。具体的には、スクリーン印刷機(ニューロング社製:LS−150型)の試料台にジルコニアシートを所定の位置に載置し、電極形状の画像パターンを有する刷板(スクリーンメッシュ:テトロン製、#200)を該ジルコニアシートの上に配置し、電極ペーストを刷版に投入ぜずに、空状態でスキージ(ゴム製、硬度:70)を刷版上で移動させた。このときの模擬試験条件は、スキージ圧0.38MPa、スキージ速度4.5cm/s、スキージ角70°であり、ジルコニアシートと刷版とのクリアランスは2.0mmに設定した。
<最大たわみ量および最大たわみ量比Rの評価>
それぞれの製造例において作製したジルコニアシート(群)の中から、偏在なくかつ無作為に10枚のジルコニアシートを抜き出し、それぞれのシートから2枚ずつの約100mm×10mmの短冊状試験片を、ダイヤモンド高速カッターにより、切り出した。各シートから得られた2枚の試験片のうち、1枚はキャリアフィルムに接していた面を上に、他の1枚は空気側に解放されていた面を上して、下記の方法により、各試験片の最大たわみ量を求めて、大きい方の値を分母、小さい方の値を分子として、その比rを算出した。また、シートごとの最大たわみ量(各シートから切り出された2枚の試験片の最大たわみ量の平均値)も求めた。試験に供したシート10枚についてのrの平均値を、各製造例で製造したジルコニアシートの最大たわみ量比R(平均値)とした。また試験片20点の測定値の平均値を各製造例で製造したジルコニアシートの最大たわみ量(平均値)とした。なお、各試験片の詳細な測定方法および条件は以下のとおりである。なお、表2には、製造例1〜11のジルコニアシートの最大たわみ量および最大たわみ量比Rについて、10枚のジルコニアシートの平均値のみ示されている。しかし、製造例1〜3、4〜6および11のジルコニアシートについては、10枚全てのシートにおいて最大たわみ量が10〜30%の範囲内であり、さらに最大たわみ量比が1.0〜1.2の範囲内であった。例えば、製造例2では、10枚の各ジルコニアシートのA面とB面の最大たわみ量は14.5%と14.3%、14.3%と12.9%、15.6%と14.6%、17.4%と17.2%、16.1%と16.0%、14.4%と12.7%、15.8%と15.2%、16.6%と14.5%、13.0%と12.8%、13.2%と12.9%であり、それぞれの最大たわみ量比Rは、1.0、1.1、1.1、1.0、1.0、1.1、1.0、1.1、1.0、1.0であった。
一方、製造例4および8〜10のジルコニアシートは、10枚全てのジルコニアシートの最大たわみ量が10%未満であり、本発明で特定されている最大たわみ量を満たしていなかった。
JIS R1602に準拠した4点曲げ試験冶具、すなわち支点間距離60mm、荷重点間距離20mmを用意し、インストロン万能試験装置4301型にセットした。その冶具の所定の位置に前記の約100mm×10mmの短冊状試験片をのせ、クロスヘッド速度0.5mm/分で荷重をかけて破断したときの試験片中央の変位を計測し、下式より試験片の最大たわみ量を求めた。
最大たわみ量(%)=(破断に至る試験片中央の変位/支点間距離)×100
<立方晶比率>
ジルコニアシートにおけるX線回折パターンから、単斜晶(111)面および(−111)面のピーク強度、並びに正方晶および立方晶(111)面のピーク強度を求め、これらの各強度値と下記式から、単斜晶比率(%)を求めた。
単斜晶比率(%)=[m(111)+m(−111)]/[m(111)+m(−111)+tc(111)]×100
[式中、m(111)は単斜晶(111)面のピーク強度を示し、m(−111)は単斜晶(−111)面のピーク強度を示し、tc(111)は正方晶および立方晶(111)面のピーク強度を示す]
次に当該X線回折パターンから、立方晶(400)面のピーク強度、正方晶(400)面のピーク強度および正方晶(004)面の各ピーク強度を求め、各強度値および上記で求めた単斜晶比率(%)より、下記式を用いて立方晶比率(%)を求めた。
立方晶比率(%)=(100−単斜晶比率)×[c(400)]÷[t(400)+t(004)+c(400)]
[式中、c(400)は立方晶(400)面のピーク強度を示し、t(400)は正方晶(400)面のピーク強度を示し、t(004)は正方晶(004)面のピーク強度を示す]
なお、X線回折装置としては、広角ゴニオメーターと湾曲モノクロメーターが附属された理学電器社製のX線回折装置「RU−300」を使用した。X線としては、50kV/300mAのCuKα1を照射した。得られた回折ピークに対して、平滑化処理、バックグラウンド処理、Kα2除去などの処理を行った。
<抵抗測定>
ジルコニアシートの抵抗の測定は約60mm×10mmに切り出した試験片を用いて4端子法でおこなう。すなわち、当該試験片の60mm長さの中央から、両側5mm、15mmの4箇所にPt線を巻き付け、Ptペーストを塗布して4箇所に電極を形成した。試験版を電気炉に入れ、1000℃に保持しながら、外側2端子間に電流を流し、内側2端子間の電位差を計測することで、体積抵抗率を求めた。さらに、得られた体積抵抗にシート厚さを乗じることにより、シートの厚さ方向における抵抗を求めて比較した。
<剛性率測定>
それぞれの製造例において作製したジルコニアシート(群)の中から、偏在なくかつ無作為に2枚のジルコニアシートを抜き出し、それぞれのシートから2枚ずつの45mm×10mmの短冊状試験片を、ダイヤモンド高速カッターにより、切り出した。計4枚の試験片について、自由共振式剛性率測定装置(日本テクノプラス社製:EG−JG型)を用いて、ASTM C623−92に準拠して、室温で試験片に200Hzから順次振動数を20000Hzに上げながら共振する周波数(f)を求めた。剛性率(G)は以下の式を用いて算出し、得られた4つの値を単純平均して剛性率とした。
G(Pa)=3.9330×{(M×L×f2)/(w×t)}×{(s+s-1)/(4s−2.52s2+0.21s6)}
ただし、s=t/w
M:試験片の質量(kg)、w:試料片の幅(m)、L:試料片の長さ(m)、t:試料片の厚さ(m)
なお、試料片は表裏面をカーボンスプレーして用いた。
Figure 2015118925
表2より、立方晶ジルコニアを含み、最大たわみ量が10%以上、30%以下である製造例(製造例1〜3、5〜7、11)のジルコニアシートは、低抵抗でありながらシートの移動による割れ・欠け発生頻度が数%以下と低い。一方、製造例4、9および10では、最大たわみ量が10%未満であり、焼成体の移動に伴う割れ・欠けの発生頻度および印刷工程における割れ・欠けの発生頻度が製造例1〜3、5〜7及び11のシートよりも高い。
また、表2において、製造例8では、ジルコニアシートの厚さが239μmであり、シート自身の強度が高いためか、たわみ量が小さくても焼成体の移動に伴う割れ・欠けの発生頻度は高くなっていない。しかし、本発明の実施にあたる製造例(製造例1〜3、5〜7及び11)に比べると抵抗が高い結果となった。
本発明のジルコニアシートは、市場要望の薄膜化に対応し、固体酸化物形燃料電池用の電解質として用いられるものであり、特に、シート厚さが120μm以下の薄膜であってもハンドリング性と導電性能に優れたジルコニアシートである。

Claims (5)

  1. ジルコニア系酸化物を含み、前記ジルコニア系酸化物が立方晶ジルコニアを主成分とするものであり、シート厚さが50〜120μmであり、4点曲げ試験において破断に至る最大たわみ量が10〜30%である、
    固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシート。
  2. 一方の面を上にして測定した最大たわみ量と、他方の面を上にして測定した最大たわみ量との比が、小さい方の数値を分母として、1.0〜1.2である、
    請求項1に記載のジルコニアシート。
  3. 自由共振法で測定した剛性率が60〜90GPaである、
    請求項1または2に記載のジルコニアシート
  4. 前記ジルコニア系酸化物が、スカンジウム、イットリウム、セリウム、イッテルビウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種の元素を酸化物換算の合計量で8〜15モル%の割合で含む、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のジルコニアシート。
  5. 電解質として、請求項1〜4のいずれか1項に記載のジルコニアシートを含む、
    固体酸化物形燃料電池用単セル。

JP2014229263A 2013-11-18 2014-11-11 固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートおよび該シートを含む固体酸化物形燃料電池用単セル Pending JP2015118925A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014229263A JP2015118925A (ja) 2013-11-18 2014-11-11 固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートおよび該シートを含む固体酸化物形燃料電池用単セル

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013237591 2013-11-18
JP2013237591 2013-11-18
JP2014229263A JP2015118925A (ja) 2013-11-18 2014-11-11 固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートおよび該シートを含む固体酸化物形燃料電池用単セル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015118925A true JP2015118925A (ja) 2015-06-25

Family

ID=53250272

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014229263A Pending JP2015118925A (ja) 2013-11-18 2014-11-11 固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートおよび該シートを含む固体酸化物形燃料電池用単セル

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2015118925A (ja)
CN (1) CN104659397A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6046851B1 (ja) * 2015-07-07 2016-12-21 日本碍子株式会社 燃料電池
JP2017199570A (ja) * 2016-04-27 2017-11-02 株式会社デンソー 燃料電池単セル
WO2019207856A1 (ja) 2018-04-23 2019-10-31 日本特殊陶業株式会社 複合体、および、電気化学反応セルスタック
JP7162154B1 (ja) * 2021-07-14 2022-10-27 日本碍子株式会社 電気化学セル用電解質膜

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6879759B2 (ja) * 2017-02-09 2021-06-02 株式会社日本触媒 ジルコニア電解質およびその製造方法
JP7168090B2 (ja) * 2019-08-06 2022-11-09 株式会社村田製作所 固体酸化物形燃料電池用電解質シート、固体酸化物形燃料電池用電解質シートの製造方法及び固体酸化物形燃料電池用単セル
JP7287482B2 (ja) * 2019-10-16 2023-06-06 株式会社村田製作所 固体酸化物形燃料電池用電解質シート、固体酸化物形燃料電池用電解質シートの製造方法及び固体酸化物形燃料電池用単セル

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007013567A1 (ja) * 2005-07-27 2007-02-01 Nippon Shokubai Co., Ltd. 固体電解質シートの製造方法および固体電解質シート
JP4796656B2 (ja) * 2009-10-23 2011-10-19 株式会社日本触媒 スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法、および当該製造方法により得られるスカンジア安定化ジルコニアシート
JP6207827B2 (ja) * 2012-01-24 2017-10-04 株式会社日本触媒 梱包体、梱包集合体及び梱包方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6046851B1 (ja) * 2015-07-07 2016-12-21 日本碍子株式会社 燃料電池
WO2017006944A1 (ja) * 2015-07-07 2017-01-12 日本碍子株式会社 燃料電池
US10020528B2 (en) 2015-07-07 2018-07-10 Ngk Insulators, Ltd. Fuel cell
JP2017199570A (ja) * 2016-04-27 2017-11-02 株式会社デンソー 燃料電池単セル
WO2019207856A1 (ja) 2018-04-23 2019-10-31 日本特殊陶業株式会社 複合体、および、電気化学反応セルスタック
KR20200105501A (ko) 2018-04-23 2020-09-07 모리무라 에스오에프씨 테크놀로지 가부시키가이샤 복합체, 및 전기 화학 반응 셀 스택
US11462759B2 (en) 2018-04-23 2022-10-04 Morimura Sofc Technology Co., Ltd. Composite, and electrochemical reaction cell stack
JP7162154B1 (ja) * 2021-07-14 2022-10-27 日本碍子株式会社 電気化学セル用電解質膜

Also Published As

Publication number Publication date
CN104659397A (zh) 2015-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2015118925A (ja) 固体酸化物形燃料電池用ジルコニアシートおよび該シートを含む固体酸化物形燃料電池用単セル
JP5539930B2 (ja) スカンジア安定化ジルコニア焼結粉末およびその製造方法
JP5596755B2 (ja) 固体電解質シート
JP4417843B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用電解質シート及びその製法
WO2006087959A1 (ja) 固体酸化物形燃料電池用電解質シートおよびその製法、並びに固体酸化物形燃料電池セル
Michálek et al. Comparison of aqueous and non-aqueous tape casting of fully stabilized ZrO2 suspensions
JP2014067565A (ja) 固体酸化物形燃料電池、その製造方法及び発電方法
JP6041728B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用の薄膜立方晶系ジルコニアシートの製造方法
JP2014191944A (ja) 固体酸化物形燃料電池用薄膜電解質シート
JP6535174B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用積層体の製造方法及び固体酸化物形燃料電池用積層体のための予備積層体
JP5236998B2 (ja) リサイクルジルコニア粉末の製造方法およびジルコニア焼結体の製造方法
JP5704990B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用電解質シートおよびその製造方法、並びにそれを用いた固体酸化物形燃料電池用セル
JP5484155B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用電解質シートおよびその製造方法、並びにそれを用いた固体酸化物形燃料電池用セル。
JP2009245856A (ja) 燃料電池用セラミックシートの製造方法
JP2007323899A (ja) 固体酸化物形燃料電池用電解質シート及びその製法
JP4914588B2 (ja) ジルコニアシートの製造方法
JP4652551B2 (ja) ジルコニア系セラミックスおよびその製法
JP2020045273A (ja) イオン伝導性酸化物、及びそれを用いた電池、並びにイオン伝導性酸化物の製造方法
JP5689100B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用の原料ジルコニア粉末、ジルコニア焼結体、固体酸化物形燃料電池用電解質および固体酸化物形燃料電池
JP2011204398A (ja) 固体酸化物形燃料電池用スカンジア安定化ジルコニアシートの製造方法
JP2014191940A (ja) 固体酸化物形燃料電池用薄膜電解質シート
JP2018070407A (ja) 固体電解質材料
JP2016150892A (ja) 固体電解質材料
JP2007261873A (ja) セラミックグリーン体の製造法、セラミックス、セラミック電解質及び燃料電池
JP2012212563A (ja) 固体酸化物形燃料電池用電解質シート、並びにそれを用いた固体酸化物形燃料電池用単セル