JP3389407B2 - 導電性セラミックス及び燃料電池セル - Google Patents
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Description
成からなる導電性セラミックスおよびこれを用いた燃料
電池セルに関し、詳細には、焼結性を改善した導電性セ
ラミックスに関するもので、特に燃料電池セルのセパレ
ータ、ガスディフューザ及びインターコネクタや、MH
D発電用の電極などに好適な導電性セラミックスおよび
これを用いた燃料電池セルに関するものである。
O3 )は、高温における化学的安定性に優れ、電子伝導
性が大きいことから固体電解質型燃料電池セルのセパレ
ータ、ガスディフューザ、及びインターコネクタとして
利用されている。
ルを示した。この平板型燃料電池セルでは、例えばY2
O3 安定化ZrO2 からなる固体電解質1の一方にLa
MnO3 系の空気極2、他方にNiージルコニア等の燃
料極3が設けられ、このセル間の接続はLaCrO3 系
よりなるセパレータ4により行われている。燃料電池セ
ルにおいては、空気極側に酸素を含有するガス、例えば
空気を流し、燃料極側に燃料、例えば水素ガスを流しな
がら、1000〜1050℃の温度で発電する。上述の
セパレータ材料としては、CaあるいはSrを固溶した
LaCrO3 系材料が利用される。
池セルと同じ材料を用いて、空気極材料からなる支持管
上に固体電解質および燃料極およびインタ−コネクタと
呼ばれる集電体が略同心円状に形成されている。円筒型
燃料電池セルにおいては、セル同士は例えば一つのセル
の集電体とそれに隣接するセルの燃料極とがNiフェル
トなどを介して接続される。
陽イオンの拡散速度が遅いことに加えて、焼結過程にお
いて材料中からCr成分が揮発し、粒子の接触部(ネッ
ク部)にCr2 O3 として凝縮堆積して焼結を阻害す
る。このため、大気中では2000℃以上の高温で焼結
させるか、あるいは還元性雰囲気でこのCrの蒸発凝縮
を抑制しながら焼結させることが必要であるが、この場
合でも1800℃以上の高温度が必要である。このよう
な高温焼結による材料の作製は、経済的な観点から燃料
電池セルの量産を著しく困難にさせるとともに、コスト
を高める要因になっている。
めの方法として、電気化学的気相合成(EVD)法が適
用されている。しかしながら、この方法は1400℃と
比較的低温でLaCrO3 系材料が作製されるものの、
LaCrO3 の成長速度が遅いため量産性に欠け、ま
た、この方法では出発原料として極めて高価な金属塩化
物を使用する必要があるために経済的にも問題があっ
た。
題点を解決し、低温での焼結性を高めるための方法につ
いて検討を重ねた結果、La、CrおよびMgを含むL
aMgCrO3 系材料に対して、Laを含む希土類元素
酸化物およびMgOを過剰に添加することにより、焼結
性を高め、低温での焼成による緻密化が可能になること
を見い出し、本発明に至った。
属元素としてLa、CrおよびMgを含むペロブスカイ
ト型結晶相を主結晶相とし、さらに少なくともLaを含
有する酸化物相を有する導電性セラミックスであって、
該セラミックス全体の前記金属元素の原子比を下記化1
の希土類元素のうちの少なくとも一種を示し、x,y,
z,uおよびvは原子比を表す数であり、x,y,zは
前記ペロブスカイト型結晶相中のR,Mg,Crの原子
比である。と表した時、前記x,y,z,uおよびv
が、下記式、 0.0001≦u/(x+y+z)≦0.20 0.20<(v+y)/(x+y+z)≦0.60 v>0 を満足するものである。ここで、Rの一部はCa,Ba
およびSrのうちの少なくとも一種で置換されていても
良い。開気孔率は0.5%以下であることが望ましい。
に接続するための集電部材が上記導電性セラミックスか
らなるものである。
速度が遅いことに加えて、Cr成分が優先的に蒸発しや
すく、大気中ではこれが焼結の際、粒子の接触部に凝縮
してCr2 O3 として堆積し、陽イオンの拡散を阻害し
焼結性を悪くする、いわゆるLaCrO3 系材料の焼結
は蒸発凝縮機構が支配的である。
剰にすることにより、過剰分のLaと蒸発してきたCr
成分とが反応することによって液相を生成すると思われ
る。
オンの拡散速度が大きくなり、焼結性が大きく向上す
る。
焼成温度と焼成雰囲気に強く影響される。本発明では、
LaCrO3 の焼結の温度と雰囲気との関係を詳細に検
討した結果、1400℃以上の温度で、且つ雰囲気の酸
素分圧を10-3気圧以上にした場合、LaCrO3 の焼
結が著しく促進されることを知見したものである。
在のところ定かではないが、次のように解釈される。L
aCrO3 からのCrの蒸発成分としては、1000℃
以上の温度と10-3気圧以上の酸素分圧下においては、
Cr2 O3 が支配的に発生し、これが過剰のLa2 O3
と容易に反応するため、Cr2 O3 のネック部への凝縮
を抑制しその結果、焼結が促進されると考えられる。
分圧下においては、Crが支配的に蒸発し、このCrが
気相の酸素と容易に反応し、ネック部においてCr2 O
3 の凝縮が起こり、焼結が阻害されることになる。La
CrO3 粉末から焼結中にCr成分が蒸発すると粉末粒
子表面は、分解したLa2 O3 が析出する。このLa2
O3 はそのまま2粒子間に存在し上述したように電気伝
導度を阻害する傾向にある。
結体に対して1000℃以上、10-3気圧以上の酸素分
圧の雰囲気中で熱処理することにより、La2 O3 を主
結晶粒子の3重点に移動させ孤立粒子として析出させ、
これによりLa2 O3 の析出による電気伝導度の低下を
防止することができ、LaCrO3 系材料の本来の電気
伝導度と水素/水蒸気雰囲気における安定性を得ること
ができる。
電池セルなどの電極材料として用いる場合には、高い電
気伝導度が要求される。LaCrO3 において、Crを
Mgで置換すると、下記化2に従い、ホールが生成され
る。
したMgイオン濃度に比例する。従って、本発明の導電
性セラミックスは、高い導電性を有するとともに、還元
雰囲気下においても高い安定性を有するもので、これに
より燃料電池の集電部材などの電極材料として有用なも
のである。
のRの一部がCa,BaおよびSrの少なくとも一種で
置換されていても良い。この場合には、Mgの場合と同
様、電気伝導度がさらに向上するという利点がある。即
ち、例えば、LaCrO3 中のLaがCaで置換されて
いると、下記化3に従い、ホールが生成される。
したCaイオン濃度に比例し、高い導電性を有するとと
もに、還元雰囲気下においても高い安定性を有する。
いては、従来から知られるLa、CrおよびMgを含有
する複合酸化物に対して、LaおよびMgを過剰に存在
させることが大きな特徴である。LaCrO3 はABO
3 型ペロブスカイト型結晶を有し、LaはAサイト、M
g、CrはBサイトを構成する元素である。ところで、
ABO3 型ペロブスカイト型結晶は、理想的にはAサイ
ト構成元素/Bサイト構成元素(原子比)=1である。
即ち、x,yおよびzは、理論的にはx=y+zを満足
するが、本発明では多少異なる場合もある。よって、本
発明においては、LaおよびMgが過剰に存在すること
が特徴である。
は、化1(Rx+u Mgy+v Crz )によれば、0.00
01≦u/(x+y+z)≦0.2を満足する量で配合
されることが重要である。これは、この値が0.000
1より少ないと、低温焼成により焼結体が充分に緻密化
できずに0.5%以上の開気孔率が存在することとな
り、この値が0.20を越えると電気伝導度が小さくな
り電極材料として適用できなくなるためである。また、
本発明の導電性セラミックスは水素、水蒸気および酸素
雰囲気で安定であるという性質を有するが、La2 O3
の量が上記範囲を越えると水素や水蒸気雰囲気での安定
性が悪くなり発電中に材料が分解するという問題があ
る。この範囲内でも0.05≦u/(x+y+z)≦
0.1の範囲が良い。
びMgの過剰量vは、前記式においてそれぞれ、0.2
0<(v+y)/(x+y+z)≦0.60であること
も必要である。これは、上記範囲より多いと開気孔率が
0.5%より大きくなり還元雰囲気中で分解しやすく、
水素や水蒸気との接触時に分解が生じやすくなるためで
ある。Mgの過剰量vの大部分はMgO単体、MgO固
溶体、あるいはMgとLaとの複合酸化物として析出し
ている。これらの析出物は電気伝導度が小さいが、材料
中に分散して析出しており、高電気伝導相であるLaC
rO3 が連続層を形成するため材料としての電気伝導度
が特に小さくなることはない。上記Mgの元素比率は
0.30≦(v+y)/(x+y+z)≦0.50の範
囲が最適である。
上全てペロブスカイト型結晶相に存在しており、酸化物
相には存在していない。
効果に影響を与えない範囲で、Crの一部をMn、N
i、Co、Feなどにより置換することもできるが、具
体的な置換比率はCrに対して30原子%以下、特に1
0原子%以下が好ましい。
の結晶組織としては、少なくともLa、Cr及びMgを
元素とするペロブスカイト型結晶を主結晶相とするもの
で、この主結晶相は50体積%以上の割合で存在するも
のである。このように主結晶相中にLaを含有すること
により、このセラミックスは、ランタンクロマイト系酸
化物に特有の化学的安定性および電気伝導性を有する。
従って、ペロブスカイト型結晶のLaの一部は、セラミ
ックスの化学的安定性や電気伝導性に悪影響を及ぼさな
い限り、他の希土類元素、例えばイットリウム(Y)、
イッテルビウム(Yb)、セリウム(Ce)、サマリウ
ム(Sm)、ネオジウム(Nd)、エルビウム(E
r)、ジスプロシウム(Dy)等で置換されていても良
い。Ca,BaおよびSrなどの希土類元素以外のAサ
イト構成元素で置換されていても良い。特に、Laの一
部がCa,BaおよびSrで置換されている場合には、
Mgの場合と同様、電気伝導度がさらに向上するという
利点がある。
の他相として、Laの酸化物(Lam On )からなる
相、例えばLa2 O3 などの酸化物相が存在することが
大きな特徴である。これらの他相のうち、Laの酸化物
からなる相は、ペロブスカイト型結晶の定比組成より過
剰なLa2 O3 成分が析出したものである。このLaの
酸化物からなる相は、前記ペロブスカイト型主結晶粒子
3つの界面、いわゆる3重点に20nm〜5μm、特に
50〜3000nmの大きさで析出している。即ち、3
重点とは、少なくとも3個以上の結晶粒子により形成さ
れた粒界をいう。
3 の析出は極めて少なく、部分的に存在する場合でも3
0nm以下の厚みである。Mgの過剰量vの大部分はM
gO単体あるいはMgO固溶体として、上記3重点に析
出することが望ましい。なお、Laの酸化物が2粒子間
に析出すると粒界を横切る電子の移動を阻害し、電気伝
導度を低下させることから2粒子間には析出しないこと
が望ましい。このためには、前述した熱処理を行うこと
か望ましい。
体、MgO固溶体、あるいはMgとLaとの複合酸化物
として析出する場合があるが、特に問題はない。電気伝
導度および材料強度を高める観点から、これらの析出物
の粒子径としては0.1〜10μm、特に1〜5μmの
ものをほぼ均一に分散させることが好ましい。
に用いる場合には、発電中において一般に集電部材の両
側を流れる異種ガスにより集電部材に応力が生じるが、
本発明の導電性セラミックスを用いた場合には、過剰量
のMgにより応力を低減させることができ、これによ
り、セル自体の破壊を防止できる。
は、例えば、焼結体のICP発光分光分析による元素分
析によって(x+u)、(y+v)、zを求め、次いで
焼結体を塩酸等に浸漬してペロブスカイト型結晶相を抽
出し、ICP発光分光分析による元素分析によって、
x、y、zを求めることによって算出できる。
る第1の方法として、例えば、LaCO3 、Cr2 O3
や、MgOを一旦1000〜1500℃で仮焼処理後A
BO3 型ペロブスカイト型複合酸化物を作製し、これを
粉砕したものに対して、過剰分のLa、Mgを含む酸化
物粉末、あるいは熱処理により酸化物を形成し得る水酸
化物や炭酸塩、硝酸塩などを前記比率となるように、秤
量混合し、これを所定の形状に成形した後、大気などの
酸化性雰囲気中で1300〜1700℃で2〜5時間程
度焼成する方法がある。
ブスカイト型複合酸化物に対して、過剰分のLa、Mg
を含む酸化物粉末を添加する代わりに、例えば、La2
O3、Cr2 O3 、MgO粉末を、ABO3 型ペロブス
カイト型複合酸化物および過剰分のLa、Mgを含む酸
化物を生成するように添加し、これを所望の成形手段に
より任意の形状に成形し、これを1300〜1700℃
の酸化性雰囲気中で焼成しても良い。
製品の寸法精度が要求される場合には、第1の製造方法
の方が好ましい。さらに、焼結体の強度を高める点で
は、第1および第2の製造方法において、焼成温度が1
400〜1600℃の範囲がよく、かかる焼成温度によ
れば、主結晶相の平均粒径は1〜20μmのものが得ら
れる。尚、焼結を促進させるという点から、酸化性雰囲
気における酸素分圧は、10-3気圧以上とするのが良
い。これは、Cr2 O3 が支配的に発生し、これが過剰
のLa2 O3 と容易に反応するため、Cr2 O3 のネッ
ク部への凝集を抑制し、その結果焼結が促進されると考
えられる。一方、10-3気圧よりも低い場合には、焼結
に際してCrの蒸発が優先的に生じ、蒸発したCrが気
相の酸素と容易に反応してしまい、この結果として、ネ
ック部においてCr2 O3 の凝縮が生じて焼結が阻害さ
れることになる。この場合、焼結温度を1400℃以上
とすることが特に望ましい。
応性は、出発原料の粒子径に影響され、出発原料の平均
粒子径は0.1〜10μm、La2 O3 の粉末の平均粒
子径は0.1〜5μmがよく、特に第1の製造方法では
出発原料として0.1〜5μm、第2の製造方法では
0.1〜3μmが好適である。
物は、3つの主結晶粒子間の3重点に析出させることが
必要であるが、そのためには、上記のようにして作製さ
れた焼結体を酸素分圧が10-3気圧以上の酸化性雰囲気
中、1000℃以上、望ましくは1300℃以上の温度
で2〜10時間保持する熱処理を行うことにより、2粒
子間に存在していたLaの酸化物を3重点へ移動させる
ことができる。熱処理は、一度焼結を完了させた後、別
工程として行うこともできるが、前述した焼成条件は、
この熱処理条件を満たしているため、工業的には、焼成
条件を変えることなく、熱処理を継続して行うことが望
ましい。
ることにより焼結性を向上できるが、その製造法によっ
てさらに焼結体を緻密化できる。つまり、酸素分圧10
-3気圧以上で焼成することによって焼結体を緻密化で
き、得られた焼結体を1000℃以上において酸素分圧
10-3気圧以上の雰囲気で熱処理することによってさら
に焼結体を緻密化できる。
も存在するが、これは3重点へ析出したLa酸化物と同
様に孤立しているため電気伝導度に悪影響を及ぼすこと
はない。このようにして作製される本発明の導電性セラ
ミックスは、開気孔率が0.5%以下、特に0.3%以
下の高緻密体であることに加え、酸化性および還元性雰
囲気において化学的に安定で、かつ燃料電池の作動温度
(1000℃)で電気伝導度が15s/cm以上と高い
ものである。
スは、例えば、燃料電池セルにおけるセパレ−タやイン
タ−コネクタなど集電材として好適に使用される。そこ
で、図1に平板型燃料電池セルの典型的な構造を示す。
図1によれば、Y2 O3 安定化ZrO2 などからなる板
状の固体電解質1の片面には、(La,Sr)MnO3
や(La,Ca)MnO3 などからなる空気極2が、ま
た他面にはNi−ZrO2 (Y2 O3 含有)サーメット
などからなる燃料極3が形成され、これを単セルとして
セル間を接続する部材として集電部材4(セパレータ)
がセルの空気極と隣接するセルの燃料極と接続する位置
に配置されている。かかるセルにおいては、空気極2
は、大気などの酸素含有ガスが、燃料極3には水素ガス
などの燃料極が接触し、空気極2および燃料極3のいず
れも多孔質材料により構成されるが、集電部材4は、そ
の片面は酸素含有ガスと接触し、片方は水素ガスと接触
しこれらを完全に分離する役割を有することから、高緻
密質、高電気伝導性を有することが要求される。本発明
の導電性セラミックスは、この集電部材4として最も好
適に使用される。
発明の導電性セラミックスを、セル間を接続するための
集電部材(インターコネクタ)材料として用いることが
できる。
通り、開気孔率が0.5%以下の高緻密体であるととも
に、電気伝導度、特に燃料電池の作動時(約1000
℃)における電気伝導度が15s/cm以上と高いこと
から、集電部材が要求される特性を十分に満足するもの
である。しかも、この導電性セラミックスは、水素に対
する耐久性に優れることから長期安定性に優れることも
集電部材として好適な1つの理由である。
2 O3 を用いて、これらを表1に示す割合で混合した
後、ジルコニアボールを用いたボールミルにて12時間
混合した後、1400℃で5時間仮焼して固相反応を行
わせ、ペロブスカイト型複合酸化物粉末を作製した。さ
らにこのペロブスカイト型複合酸化物粉末1モルに対し
てLaO3/2 粉末およびMgCO3 粉末を表1に示す割
合で添加し、再度ジルコニアボールを用いて10時間混
合粉砕した。これを一片が5mm×5mm、長さ45m
mの四角柱に成形し、大気中(酸素分圧0.2気圧)表
1に示す条件にて焼成した。
分析により各元素量を定量して(x+u),(y+
v),z量を求め、さらに焼結体を粉砕して塩酸中に浸
漬し、ペロブスカイト型結晶以外の相を溶解除去した
後,残ったペロブスカイト型結晶相の組成をICP発光
分光分析により定量し、その結果からu値およびv値を
求めた。
により試料の開気孔率の測定を行い、焼結性を判断し
た。また、大きさ3mm×3mm、長さ20mmの試料
片を上記のようにして作製し、4端子法により大気中1
000℃で電気伝導度を測定した。また、これらの試料
の水素雰囲気安定性を調べるために、1000℃で5%
の水蒸気を含む水素雰囲気中に24時間保持した後、試
料の表面に全く変化はなかったものに○、表面に分解が
認められたものに×を付した。これらの結果を表2に示
した。比較のために、市販のLaMg0.10Cr0.90の粉
末を2000℃、Ar中で3時間焼成し、上記の方法に
従い開気孔率と電気伝導度を測定した。この結果を表
1,2の試料No.1に記載する。
分uが本発明の範囲より少ない試料No.9では、開気孔
率が15%以上と大きく緻密化できなかった。また、L
a過剰分uが本発明の範囲より多い試料No.15は水素
/水蒸気雰囲気で材料が分解した。Mgの比率(y+
v)/(x+y+z)が本発明の範囲より多い試料No.
8では水素/水蒸気雰囲気中では分解しないものの、電
気伝導度が小さかった。
も1500〜1600℃の焼成温度で開気孔率0.5%
以下で、なかにはほぼ開気孔率が0%の緻密体を得るこ
ともでき、しかも1000℃における電気伝導度が15
s/cm以上で、高温での水素/水蒸気雰囲気において
分解のない優れたものであった。
して、電子顕微鏡写真により組織観察した結果、ペロブ
スカイト型主結晶相の3重点にLaの酸化物からなる相
およびMgO相が析出しているのが観察された。
を調査するために、以下の実験を行った。実施例1にお
いて、表1中の試料No.3と6の組成からなる粉末を表
3に示すような条件で焼成し、焼成後の電気伝導度と開
気孔率を実施例1と同様にして測定した。さらに、焼結
体に対して、電子顕微鏡写真および走査電子顕微鏡によ
り組織観察を行い、La2 O3 の析出について3重点お
よび2粒子間への析出の有無を調べた。その結果を表3
に示した。
酸素分圧が10-3気圧以上において1300℃以上の温
度で焼成することにより、La2 O3 が3重点に析出
し、焼成温度が1300℃未満、または酸素分圧が10
-3気圧より低い場合には、La2 O3 が2粒子間の界面
と3重点に析出し、これに伴い、電気伝導度が低下する
ことがわかった。
0-4気圧で焼成した試料、No.6の1200℃で焼成し
た試料について、酸素分圧0.2気圧、1500℃で2
時間熱処理をしたところ、No.3の試料が開気孔率0.
2%、電気伝導度15s/mであり、No.6の試料が開
気孔率0.3%、電気伝導度16s/mであり、No.3
およびNo.6の試料とも、2粒子間におけるLa2 O3
の析出は見られなかった。
ミックスを用いて、図1に示した構造の大きさ50mm
×50mm、厚み3mmのセパレータを作製した。この
セパレータの結晶粒子径は4〜10μmであった。ま
た、市販の純度99.9%の8mol%Y2 O3 −92
mol%ZrO2 粉末を用い、理論密度比99.3%の
緻密な厚み0.25mmの固体電解質板を作製した。こ
の一方の面に30μmの厚みに70wt%NiOー30
wt%ジルコニア(8mol%Y2O3 を含有)の混合
粉末を塗布し、1400℃で2時間焼き付け燃料極とし
た。
O3 粉末を30μmの厚みに塗布し、1200℃で2時
間焼き付けし、空気極とした。これを上記のセパレータ
で挟み空気極側に酸素ガスを、燃料極側に水素ガスを流
し1000℃で400時間連続発電し、発電時の出力密
度を測定した。その結果を図2に示した。これより本発
明以外のNo.1,15の出力は極めて小さかったが、
本発明のNo.3,10は安定した発電特性を示すこと
が判った。
2 O3 、CaCO3 、BaCO3 、SrCO3 を用い
て、これらを表4に示す割合で混合した後、ジルコニア
ボールを用いたボールミルにて12時間混合した後、1
400℃で5時間仮焼して固相反応を行わせ、ペロブス
カイト型複合酸化物粉末を作製した。さらにこのペロブ
スカイト型複合酸化物粉末1モルに対してLaO3/2 粉
末およびMgCO3 粉末を表4に示す割合で添加し、再
度ジルコニアボールを用いて10時間混合粉砕した。こ
の後、実施例1と同様にして、焼結体を作成した。
にして、x,y,z,u,v値を求め、さらに開気孔
率、電気伝導度、水素雰囲気安定性を測定した。この結
果を表5に記載する。
Ca,Baで置換された場合でも、優れた特性を有する
ことが判る。尚、Sr,Ca,Baはペロブスカイト型
粒子内に固溶しており、その固溶量については、表中の
xの一部として記載した。
2 O3 、CaCO3 、SrCO3 、NiO、Fe2 O3
を用いて、これらを表6に示す割合で混合した後、ジル
コニアボールを用いたボールミルにて12時間混合した
後、1400℃で5時間仮焼して固相反応を行わせ、ペ
ロブスカイト型複合酸化物粉末を作製した。さらにこの
ペロブスカイト型複合酸化物粉末1モルに対して希土類
BR>元素酸化物粉末およびMgCO3 粉末を表6に示す
割合で添加し、再度ジルコニアボールを用いて10時間
混合粉砕した。この後、実施例1と同様にして、焼結体
を作成した。
にして、x,y,z,u,v値を求め、さらに開気孔
率、電気伝導度、水素雰囲気安定性を測定した。この結
果を表7に記載する。
カイト型結晶中のLaの一部が希土類元素で置換されて
いる場合にも、優れた特性を有することが判る。尚、S
r,Ca,NiおよびFeはペロブスカイト型粒子内に
固溶しており、Sr,Caの固溶量については、表中の
xの一部として、Ni,Feの固溶量については表中の
zの一部として記載した。
aCrO3 系組成物における焼結性を改善し、高電気伝
導度を有するとともに1600℃以下の低温で高緻密体
を作製することができる。しかも、高温の水素雰囲気で
の安定性に優れるものであり、例えば、燃料電池などの
水素と接触するインターコネクタ、セパレータ、ガスデ
ィフューザなどの集電部材として好適に使用することに
より、安価でしかも燃料電池としての長期安定性に対応
できる電極材料を提供できる。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】金属元素としてLa、CrおよびMgを含
むペロブスカイト型結晶相を主結晶相とし、さらに少な
くともLaを含有する酸化物相を有する導電性セラミッ
クスであって、該セラミックス全体の前記金属元素の原
子比を下記化1 【化1】 ここで、RはLa、またはLaとLa以外の希土類元素
のうちの少なくとも一種を示し、x,y,z,uおよび
vは原子比を表す数であり、x,y,zは前記ペロブス
カイト型結晶相中のR,Mg,Crの原子比である。と
表した時、前記x,y,z,uおよびvが、下記式、 0.0001≦u/(x+y+z)≦0.20 0.20<(v+y)/(x+y+z)≦0.60 v>0 を満足することを特徴とする導電性セラミックス。 - 【請求項2】Rの一部がCa,BaおよびSrの少なく
とも一種で置換されている請求項1記載の導電性セラミ
ックス。 - 【請求項3】開気孔率が0.5%以下であることを特徴
とする請求項1記載の導電性セラミックス。 - 【請求項4】セル間を電気的に接続するための集電部材
が請求項1乃至請求項3記載の導電性セラミックスから
なることを特徴とする燃料電池セル。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP32468795 | 1995-12-13 | ||
JP7-324687 | 1995-12-13 | ||
JP07785496A JP3389407B2 (ja) | 1995-12-13 | 1996-03-29 | 導電性セラミックス及び燃料電池セル |
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JPH09221357A JPH09221357A (ja) | 1997-08-26 |
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-
1996
- 1996-03-29 JP JP07785496A patent/JP3389407B2/ja not_active Expired - Fee Related
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