JP3075723B1 - 金属製パイプ端に金属製フランジを溶接する装置 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】金属製フランジを金属製パイプと共に回転させ
つつ、内側隅肉溶接と外側隅肉溶接を遂行し、従来の仮
溶接作業、内側隅肉溶接作業、外側隅肉溶接作業の大幅
な合理化並びに省力化を達成し、加えてコストダウンを
図る金属製パイプ端に金属製フランジを溶接する装置を
提供する。 【解決手段】金属製パイプ１のパイプ端を挿入した金属
製フランジ２の下部周面を第１，第２支持輪８，９にて
荷受けすると共に、同金属製フランジ２の上部を第３支
持輪１０にて押さえ、該第１乃至第３支持輪８，９，１
０の回動にて上記金属製フランジ２と金属製パイプ１と
を回動しつつ、該金属製フランジ２のパイプ挿入孔の周
縁部と上記パイプ端を環状に隅肉溶接する構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は金属製パイプ端に金
属製フランジを溶接してフランジ付きパイプを製造する
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来上記フランジ付きパイプを製造する
場合、図１に示すように、金属製パイプ１をクレーンで
吊り上げつつ、又は作業員の人力により持ち上げつつ定
盤３上に並設された一対の枕台４上に該金属製パイプ１
を水平に荷受けし、次に該定盤３上に設置された金属製
パイプ１の一端又は両端に金属製フランジ２を作業員が
持ち上げて外挿し、次に金属製フランジ２のパイプ挿入
孔の孔縁部と金属製パイプ端とを仮溶接（点付け）Ａ
し、金属製パイプ１と金属製フランジ２の仮溶接組立体
を得る。

【０００３】そしてこの仮溶接組立体を図２に示すよう
に、作業員の人力又はクレーンにより水平に回転する回
転テーブル５上に垂直に設置し、即ち一方の金属製フラ
ンジ２の外側面を回転テーブル５上に載せて仮溶接組立
体を垂直に立て、仮溶接された一方の金属製フランジ２
と金属製パイプ１一端の内側を環状に隅肉溶接Ｂし、更
に仮溶接組立体を反転して他方の金属製フランジ２と金
属製パイプ１他端の内側を環状に隅肉溶接Ｃし、更に図
３に示すように、この仮溶接組立体をクレーン又は作業
員の人力により水平台上に設置して、両金属製フランジ
２と金属製パイプ１両端の外側を環状に隅肉溶接Ｄ，Ｅ
し、よって金属製フランジ付きパイプを得ていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来は
金属製フランジ付きパイプを製造する際の溶接作業に多
大な作業負担と時間を費やし、生産性の悪化並びにコス
トアップを招いていた。又パイプとフランジの取り付け
角度や芯出しにバラツキを生ずる問題を有していた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は金属製パイプの
パイプ端を挿入した金属製フランジの下部周面を第１，
第２支持輪にて荷受けすると共に、同金属製フランジの
上部を第３支持輪にて押さえ、該第１乃至第３支持輪の
回動にて上記金属製フランジと金属製パイプとを回動し
つつ、該金属製フランジのパイプ挿入孔の周縁部と上記
パイプ端を環状に隅肉溶接し、金属製フランジ付パイプ
を得る構成を有する。そして固定縦フレームと該固定縦
フレームに対し接近離間動する可動縦フレームとを互い
に対向して配し、該固定縦フレームと可動縦フレームの
夫々に上記第１乃至第３支持輪を互いに対向して設け、
上記可動縦フレームの上記接近離間動により上記両フレ
ームの第１乃至第３支持輪間の相対間隔を設定する構成
にする。 更に上記固定縦フレームと可動縦フレームの夫
々にフランジセッティング装置を具備させる。そして、
該各フランジセッティング装置には上記金属製フランジ
の周面の二つのボルト孔に挿入する一対の吊りピンと、
該各対の吊りピンを正方向と逆方向の雄ねじを形成した
スクリューシャフトに螺合させ該スクリューシャフトの
回動により各対の吊りピンの相対間隔を上記金属フラン
ジの二つのボルト孔に適合するように設定する手段と、
該一対の吊りピンを上下動する手段と、上記相対方向へ
進退動する手段とを具備させ、該各対の吊りピンの上下
動と進退動により上記金属製フランジを吊り上げて上記
第１，第２支持輪上に設置する構成にした。

【０００６】本発明によれば、金属製フランジを第１乃
至第３支持輪にて支持し金属製パイプと共に回転させつ
つ、上記内側隅肉溶接と外側隅肉溶接を遂行することが
でき、従来の図１に示す如き仮溶接作業、図２に示す内
側隅肉溶接作業、図３に示す外側隅肉溶接作業の大幅な
合理化並びに省力化を達成し、加えてコストダウンを図
ることができる。

【０００７】上記金属製フランジは該フランジ周面に設
けられているボルト孔を利用し、該ボルト孔にフランジ
セッティング装置が有する吊りピンを挿入して吊り上
げ、上記第１，第２支持輪上に設置する。

【０００８】又上記金属製パイプはジャッキにて荷受け
し、該ジャッキを上下動しパイプ挿入孔との芯出しを行
う。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態例を図４乃
至図１０に基づいて説明する。

【００１０】図４に示すように、固定縦フレーム６と可
動縦フレーム７とを互いに対向して設置し、各フレーム
６，７にはその対向面側に金属製フランジ２の下部周面
を荷受けする第１，第２支持輪８，９と、同金属製フラ
ンジ２の上部を押さえる第３支持輪１０とを互いに対向
して夫々設ける。

【００１１】上記第１支持輪８，８相互、第２支持輪
９，９相互、第３支持輪１０，１０相互は夫々同一軸線
において回動するレベルに設置し、且つ第１乃至第３支
持輪８，９，１０の各軸線が互いに平行で水平となるよ
うに各支持輪８，９，１０を設置する。

【００１２】又は各支持輪８，９，１０を上下動して上
下のレベルを調整する支持輪調整装置を設け、上記相対
位置を設定する。

【００１３】上記可動縦フレーム７はサーボモーター等
によりベース１１上を移動可能に設置され、該移動によ
り固定フレーム６に対し接近離間し、上記第１乃至第３
支持輪の間隔を適応する金属製パイプ１の長さに応じた
相対間隔に設定する。

【００１４】又上記第３支持輪１０は上下に移動可能で
あり、該移動手段として油圧又はエアシリンダー１２を
固定縦フレーム６と可動縦フレーム７の上端に夫々取り
付け、その各ピストンロッド１３に上記第３支持輪１０
を回転可に支持し、ピストンロッド１３の伸縮により第
３支持輪１０を第１，第２支持輪８，９に対して接近離
間方向に移動し、相対間隔を設定する。これによって第
１，第２支持輪８，９上に金属製フランジ２の下部周面
を荷受けし、同フランジ２の上部を押さえ、同フランジ
２を第１，第２，第３支持輪８，９，１０にて保持す
る。

【００１５】上記第１乃至第３支持輪８，９，１０はそ
の外周面に断面Ｖ字形の環状溝３６を有し、該環状溝３
６内に金属製フランジ２の円周面を嵌合し、環状溝３６
の斜面に支持し且つ保持する。

【００１６】第１，第２支持輪８，９の一方、例えば第
１支持輪８をモーターにて回転駆動される駆動輪とし、
該第１支持輪８の駆動にて金属製フランジ２を回転し、
該金属製フランジ２の回転に伴って第２，第３支持輪
９，１０を従回動せしめる。

【００１７】上記金属製フランジ２は第１乃至第３支持
輪８，９，１０の軸線と平行な軸線を以って各支持輪
８，９，１０間に保持されつつ回転する。

【００１８】上記金属製フランジ２を第１，第２支持輪
８，９上に載置するフランジセッティング装置１４を上
記固定縦フレーム６と可動縦フレーム７に夫々設置す
る。

【００１９】上記フランジセッティング装置１４は、金
属製フランジ２周面に間隔的に設けられているボルト孔
１５に挿入して吊り上げる一対の吊りピン１６を有す
る。フランジセッティング装置１４はこの吊りピン１
６，１６相互の間隔を調整する手段と、同上下動する手
段と、同進退動せしめる手段とを備え、図９，図１０は
その一例を示している。

【００２０】同図に示すように、フランジセッティング
装置１４は手動ハンドル１７やモーターにて回転される
スクリューシャフト１８を備え、該スクリューシャフト
１８の一端側周面に右方向雄ねじ１９を、他端側周面に
左方向雄ねじ２０を夫々形成し、即ち１本のスクリュー
シャフト１８に正方向と逆方向の雄ねじ１９，２０を並
設し、各雄ねじ１９，２０を形成したシャフト部に、雌
ねじ孔２２を有する雌ねじ筒２１を該雌ねじ孔２２を以
って外挿螺合せしめる。

【００２１】各雌ねじ筒２１には上記吊りピン１６を突
設する。よって手動ハンドル１７の右回転又は左回転に
てスクリューシャフト１８を右回転又は左回転させる
と、この回転方向に応じて、上記吊りピン１６は雌ねじ
筒２１と一緒に接近又は離間方向に移動し、相対間隔が
設定される。この相対間隔を金属製フランジ２の２つの
ボルト孔１５と同一間隔に設定する。よって図５Ａ，Ｂ
に示すように、この間隔が設定された吊りピン１６に金
属製フランジ２の二つのボルト孔１５を挿入し吊持す
る。

【００２２】次に上記吊りピン１６を上下動し、且つ進
退動せしめる手段について説明する。

【００２３】図４，図９に示すように、上記スクリュー
シャフト１８をケーシング２３内に内蔵し、該ケーシン
グ２３に設けた開口部２４より上記吊りピン１６を突設
せしめる。ケーシング２３の一端外側にスクリューシャ
フト１８の一端に結合せる手動ハンドル１７を設け、こ
のケーシング２３を上下伸縮手段２５にて支持する。

【００２４】この上下伸縮手段２５としては、螺合推進
機構やシリンダー等の適応が可能であり、例えば図示の
ように、ケーシング２３を支える垂直支柱２６をハンド
ル２７の手動操作にて内蔵する伝達ギア機構を介して垂
直支柱２６を上下に伸縮せしめ、以ってケーシング２３
をスクリューシャフト１８及び吊りピン１６と一緒に上
下動せしめる。よってボルト孔１５に挿入した吊りピン
１６にて金属製フランジ２を吊り上げる。

【００２５】上記吊りピン１６の進退動手段として、上
記垂直支柱２６を支える支持台２８を、固定縦フレーム
６と可動縦フレーム７に設けた案内台２９上に進退動可
に設ける。その推進力はモーター、シリンダー、又は図
示の如き手動ハンドル３０と伝達ギア機構を介して支持
台２８を対向方向に進退動せしめ、よって該支持台２８
に垂直支柱２６を介して支持されたケーシング２３及び
スクリューシャフト１８並びに吊りピン１６を相対方向
に進退動せしめる。

【００２６】よって図６Ａ，Ｂに示すように、吊りピン
１６にて吊り上げた金属製フランジ２を第１，第２支持
輪８，９上に持ち来たし、同ピン１６を下降させて同支
持輪８，９上に載置する。この間、第３支持輪１０は第
１，第２支持輪８，９の上方に充分に離間し、開放した
状態におかれる。

【００２７】次に図７Ａ，Ｂに示すように、第３支持輪
１０をシリンダー１２にて下降し、上記第１，第２支持
輪８，９上に支持された金属製フランジ２の上部を押さ
え、同フランジ２を三点支持し、吊りピン１６を後退せ
しめ、ボルト孔１５より抜去する。

【００２８】次に図８に示すように、金属製パイプ１を
クレーンや人力にて持ち上げ、その一端を固定縦フレー
ム６の第１乃至第３支持輪８，９，１０に保持された金
属製フランジ２のフランジ孔３１に挿入する。

【００２９】次いで可動縦フレーム７を固定縦フレーム
６に対し接近する方向に移動して、同フレーム６の第１
乃至第３支持輪８，９，１０に保持された金属製フラン
ジ２のフランジ孔３１に金属製パイプ１の他端を挿入す
る。

【００３０】この金属製パイプ１はベース１１上に設置
した一対のジャッキ３２にて荷受けし、該ジャッキ３２
の上下動にて同パイプ１を上下動し、傾き修正（水平レ
ベルの設定）とフランジ孔３１に対する芯出しを図る。
フランジ孔３１と金属製パイプ１は通常多少の遊びを有
するので、その遊びの範囲内において上記傾き修正と芯
出しを図る。

【００３１】上記ジャッキ３２は例えばハンドル３３の
手動操作又はモーターによって作動される伝達ギア機構
を介して上下動するものを採用するか、又はシリンダー
を用いる。

【００３２】以上によって、金属製フランジ２を第１乃
至第３支持輪８，９，１０によって支持しつつ、金属製
パイプ１を水平に支持した状態を形成し、パイプ端とフ
ランジ孔３１の周縁部の要所を溶接トーチ３４を用いて
溶接した後、モーターにて第１支持輪８を駆動して、金
属製フランジ２を金属製パイプ１と一緒に回転しつつ、
図４，図８に示すように、同トーチ３４にてパイプ端と
フランジ孔３１周縁部を環状に内側隅肉溶接と外側隅肉
溶接とを行う。

【００３３】上記内側隅肉溶接と外側隅肉溶接を行う各
溶接トーチ３４は、固定縦フレーム６と可動縦フレーム
７の定位置に固定し、上記金属製フランジ２と金属製パ
イプ１とを一回転させて環状溶接を行う。

【００３４】上記金属製フランジ２と金属製パイプ１の
一回転の検出する手段を備え、該手段として例えばフラ
ンジ２の外周面に接して従動する回転輪３５を設け、該
検出信号にて一回転後回転を停止する。

【００３５】図４乃至図１０に示す装置によれば、長さ
の異なる金属製パイプ１の両端に金属製フランジ２を溶
接することができ、又一方の縦フレーム６，７の第１乃
至第３支持輪８，９，１０間にのみ金属製フランジ２を
保持して金属製パイプ１の一端を挿入し、前記ジャッキ
３２にて同パイプ１のレベル設定を行い、金属製パイプ
１の一端にのみフランジ２を溶接することもできる。

【００３６】

【発明の効果】本発明によれば、金属製フランジを第１
乃至第３支持輪にて支持し金属製パイプと共に回転させ
つつ、内側隅肉溶接と外側隅肉溶接を遂行することがで
き、従来の仮溶接作業、内側隅肉溶接作業、外側隅肉溶
接作業の大幅な合理化並びに省力化を達成し、加えてコ
ストダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の金属製フランジ付きパイプの第１溶接工
程を説明する側断面図。

【図２】同第２溶接工程を説明する側断面図。

【図３】同第３溶接工程を説明する側断面図。

【図４】本発明の実施形態例を示す金属製パイプ端に金
属製フランジを溶接する装置の側面図。

【図５】Ａは金属製フランジを第１，第２支持輪上に持
ち来す状態を説明する正面図、Ｂは同断面図。

【図６】Ａは金属製フランジを第１，第２支持輪上に載
置する状態を説明する正面図、Ｂは同断面図。

【図７】Ａは金属製フランジの上部を第３支持輪にて押
え、三点支持する状態を説明する正面図、Ｂは同断面
図。

【図８】上記第１乃至第３支持輪にて支持された金属製
フランジと金属製パイプの溶接状態を説明する側断面
図。

【図９】上記金属製フランジを第１，第２支持輪上に載
置するフランジセッティング装置の正面図。

【図１０】同フランジセッティング装置の要部平面図。

【符号の説明】

１ 金属製パイプ ２ 金属製フランジ ６ 固定縦フレーム ７ 可動縦フレーム ８ 第１支持輪 ９ 第２支持輪 １０ 第３支持輪 １１ ベース １２ 油圧又はエアシリンダー １３ ピストンロッド １４ フランジセッティング装置 １５ ボルト孔 １６ 吊りピン １７ ハンドル １８ スクリューシャフト １９ 右方向雄ねじ ２０ 左方向雄ねじ ２１ 雌ねじ筒 ２２ 雌ねじ孔 ２３ ケーシング ２４ 開口部 ２５ 上下伸縮手段 ２６ 垂直支柱 ２７ ハンドル ２８ 支持台 ２９ 案内台 ３０ ハンドル ３１ フランジ孔 ３２ ジャッキ ３３ ハンドル ３４ 溶接トーチ ３５ 回転輪 ３６ 環状溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平９−174286（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−101707（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−91997（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−35877（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−15881（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭52−40889（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭51−20342（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B23K 9/028 B23K 9/00 B23K 9/04 B23K 37/053

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】金属製パイプのパイプ端を挿入した金属製
   フランジの下部周面を第１，第２支持輪にて荷受けする
   と共に、同金属製フランジの上部を第３支持輪にて押さ
   え、該第１乃至第３支持輪の回動にて上記金属製フラン
   ジと金属製パイプとを回動しつつ、該金属製フランジの
   パイプ挿入孔の周縁部と上記パイプ端を環状に隅肉溶接
   する構成とした金属製パイプ端に金属製フランジを溶接
   する装置において、固定縦フレームと該固定縦フレーム
   に対し接近離間動する可動縦フレームとを互いに対向し
   て配し、該固定縦フレームと可動縦フレームの夫々に上
   記第１乃至第３支持輪を互いに対向して設け、上記可動
   縦フレームの上記接近離間動により上記両フレームの第
   １乃至第３支持輪間の相対間隔を設定する構成にし、更
   に上記固定縦フレームと可動縦フレームの夫々にフラン
   ジセッティング装置を具備させ、該各フランジセッティ
   ング装置には上記金属製フランジの周面の二つのボルト
   孔に挿入する一対の吊りピンと、該各対の吊りピンを正
   方向と逆方向の雄ねじを形成したスクリューシャフトに
   螺合させ該スクリューシャフトの回動により各対の吊り
   ピンの相対間隔を上記金属製フランジの二つのボルト孔
   に適合するように設定する手段と、該各対の吊りピンを
   上下動する手段と、上記相対方向へ進退動する手段とを
   具備させ、該各対の吊りピンの上下動と進退動により上
   記金属製フランジを吊り上げて上記第１，第２支持輪上
   に設置する構成にしたことを特徴とする金属製パイプ端
   に金属製フランジを溶接する装置。
2. 【請求項２】上記金属製パイプを荷受けして上下動しパ
   イプ挿入孔との芯出しを行うジャッキを備えることを特
   徴とする請求項１記載の金属製パイプ端に金属製フラン
   ジを溶接する装置。