JP3001995B2 - 輪転印刷機の版胴に曲がり易い版板を固定する装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、版胴の胴溝内で回転可
能なスピンドルを介して、輪転印刷機の版胴に曲がり易
い版板を固定する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ドイツ連邦共和国特許出願公告１１９６
２１３号明細書により公知である、輪転印刷機の版胴に
曲がり易い版板を固定する装置においては、版胴の胴溝
内で回転可能なアングルロッドもしくはスピンドルが、
スピンドル内に形成されたギャップを介して版板の後方
端部を掴み、さらにスピンドルがその周面によって、版
板のフック状に曲げられた前方の端部を胴溝の縁に締付
ける。この目的のために、版板の後方端部が二重の曲げ
部を有しており、この曲げ部の、版板縁を形成する区分
がスピンドルのギャップ内に差し込まれる。しかし、こ
の装置は、弛緩時に版板を迅速にかつ確実に引出するこ
とができるように、版胴の表面に形成された溝を比較的
幅広にしなければならないという欠点を有している。さ
らにこの装置の欠点は、版板が、アングルロッドを使用
することによって、あらゆる場合に何回も使用すること
ができないほど強く変形されることである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、輪転
印刷機の版胴に曲がり易い版板を固定する装置を、版板
の後方端部が単に簡単にかつ鈍角で曲げられるように形
成することであり、従って、固定時に、版板の両端部を
差し込むような通路を狭く形成することができ、さらに
版板を後から締付けることができるようにすることであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に講じた本発明の手段は、胴溝が、引込み通路と、内側
が円筒状の締付け通路とを有しており、該締付け通路
が、版板の端部を引込み通路の壁に圧着するために、及
び版板を締付けるために、偏心的に支承された締付けス
ピンドルを有しており、胴溝の一方の壁が、円弧形区分
を有しており、該円弧形区分が同時に内側が円筒状の締
付け通路の円弧であることにある。

【０００５】

【発明の効果】本発明の装置は、版板及び別の曲げ易い
版板を版胴に固定するために使用することができ、さら
にそれぞれの実施例とは無関係に以下の利点を有してい
る。

【０００６】（イ）版板は後方端部において鈍角でのみ
曲げられる。

【０００７】（ロ）引込み通路２の幅を版板の２倍の厚
さより若干大きい大きさまで減少させることができ、そ
れにも拘らず、版板の端部を、弛緩時に確実に引込み通
路２から引出すことができる。

【０００８】（ハ）従来使用される固定装置によって生
ぜしめられる、版板の端部の極端な変形が排除され、従
って、版板を数回使用することができ、このことは特
に、小物印刷にとって重要である。

【０００９】（ニ）版板を問題なく後から締付けること
ができ、特にそれぞれの新しい使用に際して充分に締付
けることができる。

【００１０】（ホ）締付けスピンドル４もしくは２４の
粗い表面が、版板を広範囲にわたって確実に締付けるこ
と、かつ円弧形区分５への締付けによって固定すること
を可能にする。

【００１１】（ヘ）例えば、端部における巻き込まれる
締付け線材を有するような、特別の版板を必要とせず、
このことによりコストが軽減される。

【００１２】（ト）版胴における、引込み通路２及び締
付け通路３によって形成される胴溝が簡単に製造され
る。

【００１３】

【実施例】図１に示された締付け装置は、主に、版胴１
に形成され、引込み通路２と、版胴軸線（図示せず）に
対して平行に延びる内側が円筒状の締付け通路３とを有
している胴溝と、前記締付け通路３に対して軸平行に配
置された締付けスピンドル４とによって形成されてい
る。引込み通路２の有効幅が符号１７で示されている。
引込み通路２の壁は、円弧状区分５を有しており、この
円弧状区分は同時に締付け通路３の円周の円弧でもあ
る。締付けスピンドル４は円筒状のスピンドル本体６と
軸受ピン７とを有しており、しかもスピンドル本体６の
軸線８と軸受ピン７の軸線９とは互いにずらされてい
る。締付けスピンドル４は、軸受ピン７の軸線９が締付
け通路３の軸線と合致するように締付け通路３内に配置
されている。このことによって、スピンドル本体６は、
締付け通路３内に偏心的に配置される。締付けスピンド
ル４の周面１０には、締付けスピンドルのほぼ中央で半
径方向に孔１１又は溝が形成されており、この孔又は溝
内に締付けスピンドルのたわみを制限するための支持部
材１２が配置されている。支持部材１２は、ピン１３
と、該ピン１３によって案内される積み重ねられた複数
のさらばね１４と、締付けスピンドル４に対して軸平行
に整合された円筒ローラ１５とを有している。円筒ロー
ラ１５は、さらばね１４によって締付け通路３の壁に圧
着され、従って締付けスピンドル４のたわみに抵抗す
る。しかも同時に、ピン１３が締付けスピンドル４のた
わみを制限する。支持部材１２は、コイルばね又は別の
弾性的な部材によって、及び該コイルばねに直接当接す
る又はコイルばねに当接するローラ保持器内で走行する
円筒ローラもしくは球によって選択的に形成されること
ができる。この場合、たわみ制限は、完全に圧縮された
コイルばねの高さによって得られる。前述の実施例にお
いてたとえ唯一つの支持部材のみが選ばれているとして
も、勿論、当業者は、本発明の締付け装置の構成におい
て締付けスピンドル４の長さ及び形成されるたわみ力に
関連して、及び円筒ロール１５もしくは球のできるだけ
少ない摩擦を考慮して、どれだけの支持部材を締付けス
ピンドルに取り付けなければならないかを判断して決定
することを重視している。

【００１４】版板１６を版胴１に固定する際に、版板１
６の鋭角又は直角に設けられた前方端部、及び版板１６
の鈍角に設けられた後方端部が引込み通路２内に差し込
まれる。次いで、締付けスピンドル４は、周知の形式
で、例えばウォーム歯車装置を介して、締付けスピンド
ル４が版板１６の両端部を掴んで円弧状区分５に圧着さ
せるように回転される。要するに、図１において締付け
スピンドル４は逆時計回りで回転される。締付けスピン
ドル４が回転する際に、スピンドル本体６の表面の粗さ
及び版板１６及び円弧状区分５の両端部の粗さが、版板
１６の両端部を引込み通路２内にできるだけ深く引き込
んで締付けるようにする。ここで必要な、スピンドル本
体６の表面の粗さは、製造上一般的な凸凹の深さによっ
ても、例えばつば出しによるような特別の製造段階によ
っても保証することができる。

【００１５】図２は、締付け装置に使用される本発明の
第２実施例の締付けスピンドルの概略的側面図を示す。
版胴１、引込み通路２、締付け通路３並びに版板１６の
端部の構成は、図面を見易くするために省略されてい
る。これは、締付けスピンドル２４の構成及び作用原理
が、第１実施例の締付けスピンドル４の特徴に相応して
いるからである。

【００１６】図２によれば、締付けスピンドル２４は、
スピンドル本体２６、軸受ピン２７及びスピンドル本体
２６に設けられた支持区分３０を有している。スピンド
ル本体２６の回転軸線２８は軸受ピン２７の回転軸線２
９に対してずらされており、従って締付けスピンドル２
４は偏心体のように作用する。スピンドル本体２６のほ
ぼ中央に配置された支持区分３０は円筒状に形成されて
おり、しかも支持区分の回転軸線は軸受ピン２７の回転
軸線２９と一致しており、さらに支持区分の直径は、該
支持区分３０が締付け通路３内にすべりばめによって配
置されるように、即ち、締付け通路３内に回転可能に支
承されているように決められている。たとえ唯一つの支
持区分３０が締付けスピンドル２４のたわみを既にほぼ
完全に排除したとしても、支持部材３０の摩擦をできる
だけ小さく維持するために締付けスピンドル２４に複数
の支持区分を設けることは、形成される力に基づいて有
利である。さらに、それぞれの支持区分３０の幅を、設
けられた複数の支持区分３０に関連して決定すること
は、当業者に任せることができる。

【００１７】版板１６を版胴１に固定する際には、第１
実施例に相応する形式で締付けスピンドル２４は、例え
ばウォーム歯車装置のような公知の装置を介して、偏心
的に支承されたスピンドル本体２６が版板１６の両端部
を掴み、できるだけ深く引込み通路２内に引込み、しか
も引込み通路２の円弧状区分に締め込まれるように回動
される。この際、締付けスピンドル２４が制限されずに
回動できるために、即ち、特に、支持区分３０の、スピ
ンドル本体２６の表面から突出する部分が版板１６の端
部を変形し又は損傷させることを避けるために、以下の
対策のうちどちらかが選択的に講じられる。版板１６の
両方の端部にそれぞれ１つの切欠きが打ち抜き成形され
ており、版板１６を締付ける際に、この切欠き内に支持
区分３０を回し入れることができるか、あるいは支持区
分３０の、スピンドル本体２６の表面から突出する部分
が、版板１６の端部に切欠きを必要としないように面取
りされている。面取り部を設計する際には、締付け時及
び弛緩時に締付けスピンドル２４をその都度の方向でほ
ぼ４分の１だけ回動させる必要があるということが前提
にされる。

【００１８】図３は、図２に示された締付けスピンドル
の概略的端面図を示す。この図面は、支持区分３０の面
取り部を特に示すために極めて概略的に示されている。
図３から判るように、支持区分３０は、支持区分３０の
円弧とスピンドル本体２６の円弧とが接近する個所３１
から両方向へそれぞれ９０度の範囲にわたって面取りさ
れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】締付け装置の第１実施例の概略的端面図であ
る。

【図２】本発明の締付け装置における締付けスピンドル
の第２実施例を示す側面図である。

【図３】図２に示す締付けスピンドルの概略的端面図で
ある。

【符号の説明】

１ 版胴、 ２ 引込み通路、 ３ 締付け通路、 ４
締付けスピンドル、５円弧形区分、 ６ スピンドル
本体、 ７ 軸受ピン、 ８，９ 軸線、１０ 周面、
１１ 孔、 １２ 支持部材、 １３ ピン、 １４
さらばね、 １５ 円筒ローラ、 １６ 版板、 １
７ 有効幅、 ２４ 締付けスピンドル、２６ スピン
ドル本体、 ２７ 軸受けピン、 ２８，２９ 回転軸
線、 ３０ 支持区分

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平１−72336（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−105805（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41F 27/12

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 版胴の胴溝内で回転可能なスピンドルを
   介して、輪転印刷機の版胴に曲がり易い版板を固定する
   装置において、前記胴溝が、引込み通路（２）と、内側
   が円筒状の締付け通路（３）とを有しており、該締付け
   通路が、版板（１６）の端部を引込み通路（２）の壁に
   圧着するために、及び版板（１６）を締付けるために、
   偏心的に支承された締付けスピンドル（４）を有してお
   り、胴溝の一方の壁が、円弧形区分（５）を有してお
   り、該円弧形区分が同時に内側が円筒状の締付け通路
   （３）の円弧であることを特徴とする、輪転印刷機の版
   胴に曲がり易い版板を固定する装置。
2. 【請求項２】 締付けスピンドル（４）が、そのたわみ
   を制限するために支持部材（１２）を有しており、さら
   に締付けスピンドル（４）が、内側が円筒状の締付け通
   路（３）の壁に支持されるようになっている請求項１記
   載の装置。
3. 【請求項３】 締付けスピンドル（４）が、スピンドル
   本体（６）と、該スピンドル本体に対して軸平行な支承
   ピン（７）とを有しており、さらに支持部材（１２）
   が、内側が円筒状の締付け通路（３）の壁に沿って転動
   する円筒ローラ（１５）を有していてスピンドル本体
   （６）内に半径方向で取り付けられたばね部材（１４）
   として形成されている請求項１又は２記載の装置。
4. 【請求項４】 スピンドル本体（６）が、支承ピン
   （７）に対して同心的な円筒状の支持区分（３０）を有
   しており、該支持区分が、すべりばめによって内側が円
   筒状の締付け通路（３）内に配置されている請求項１記
   載の装置。