JP2985545B2 - 合金粉末の製造方法 - Google Patents

合金粉末の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属間化合物粉末のみ
ならず、希土類金属を含む合金粉末の新規な製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、希土類金属とFe、Co、Ni
等の遷移金属との金属間化合物又は合金は産業上有用な
材料であり、例えば、TbーFe−Coの薄膜は光磁気
メモリーに、Sm−Coは永久磁石に、La−Niは水
素貯蔵合金にと利用される。この場合、これらの金属間
化合物又は合金は粉末状態で求められることが多い。粉
末を得るためには、成分となる金属を溶融してインゴッ
トにした後、このインゴットを粉砕する方法が一般的で
あるが、直接粉末を得る方法としては、希土類酸化物粉
末と遷移金属粉末を混合し、これをカルシウム蒸気中で
加熱することで希土類酸化物を還元して遷移金属中に拡
散させる還元拡散法が知られている。
【0003】還元拡散法は安価な希土類酸化物を使用す
ることや、合金が還元と同時にできるという利点があ
り、永久磁石用のSmCo5 金属間化合物又はSm−C
o合金の製造では広くこの方法が用いられる。しかし、
反応副生成物であるCaOや未反応Caを除去するため
に水洗工程が必要であり、水に対し不安定な物質では採
用できない。例えば、Nd−Fe合金に適用すると、反
応そのものは完了するが、後の水洗工程で著しく酸素量
が増大してしまうという欠点がある。たとえ、水分中の
酸素量を極力減らすことができたり、有機溶媒等で水洗
工程を簡略化できたとしても、還元拡散法により得られ
た合金粉末では、耐食性が根本的に改善されるものでは
なく、多くの場合、大気中に暴露しておくだけでも酸素
量が増大し、求められる物性或いは特性の発現が著しく
阻害されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
とするところは、水洗工程を経ても酸素量の増大せず、
ひいては通常の大気中で水分に対し安定な合金粉末を得
ることのできる合金粉末の製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
を重ねた結果、通常の還元拡散反応に引き続いて反応生
成物を窒素を含む雰囲気のなかで熱処理することによ
り、水分に対して極めて安定な合金粉末を製造し得るこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、上述の目的は、希土類金属と、F
e、Co及びNiの中からから選ばれた少なくとも一種
の金属とからなる合金粉末の製造方法において、希土類
酸化物の原料粉と、Fe、Co及びNiの中から選ばれ
た少なくとも一種の金属粉と、粒状のCaとを混合し、
この混合物をアルゴン雰囲気中において600℃から1
200℃の範囲の温度で加熱し、引き続いて窒素あるい
は窒素を含む雰囲気中において250℃から800℃の
範囲の温度で加熱し、その後、この反応生成物を水およ
び弱酸水溶液で処理するすることを特徴とする合金粉末
の製造方法により、解決される。
【0007】好ましくは、前記金属粉の一部を30原子
%までの範囲にて同種の金属の酸化物で置換してもよ
い。
【0008】また、本発明の製造方法においては、前記
粒状のCaを希土類酸化物の酸素原子当量に対し約1.
5倍程度混合することが好ましい。
【0009】
【作用】単独の窒素処理によって耐食性が増す事例は数
多く提示されているが、本発明は、鉄鋼、磁気記録用鉄
粉等に用いられる希土類−Fe、Co、Ni系合金を還
元拡散法により製造するのに当たり、還元拡散反応後に
窒素又は窒素を含む雰囲気中での窒素処理を行うことを
特徴としており、これにより、水洗工程は勿論大気中に
暴露しておいても酸素量が増大しない希土類−Fe、C
o、Ni系合金粉末を製造することができ、本発明によ
る工業的意義は大きい。
【0010】即ち、従来の還元拡散法によれば、副生成
物であるCaOは速やかに水と反応してCa(OH)2
になるが、未反応のCaは比較的緩慢に反応するので除
去に手間取り、ひいては純度の低下をもたらす原因にも
なっていたのに対し、本発明によれば、窒素処理を行っ
ているので、未反応のCaの大部分がCaN等のカルシ
ウム窒化物になり、このCaN等のカルシウム窒化物は
CaOと同様に速やかに水と反応するのでこの除去には
極めて好都合である。
【0011】金属粉の一部を30原子%までの範囲にて
同種の金属の酸化物で置換することにより、この金属酸
化物の粉とCa粉との反応、即ち、金属酸化物の還元時
の自己発熱によって希土類酸化物とCa粉との還元反応
を全体として均一にすると共に容易ならしめる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について、Nd−Fe
合金粉末の製造例から説明する。
【0013】まず、目的とする組成に応じた割合でNd
2O3粉末とFe粉末とCa粉末とを混合する。この場
合、Feの原子量に対し30原子%までの範囲にてFe
2O3又はFe3O4で置換してよい。これらの酸化鉄がC
aにより還元されるときの反応熱により、全体として均
一な反応を行わしめることができ、外部エネルギーの節
約や収率の向上につながる。また、粒状のCa粉の混合
量については、希土類酸化物と、選択的に混合する金属
酸化物との酸化物を還元するに足ることが必要である
が、好適には、粒状のCaの混合量は、Nd2O3と、選
択的に混合するFe2O3又はFe3O4と中の酸素原子の
当量に対し1.5倍程度が望ましい。
【0014】このようにして得られた混合粉を真空排気
が可能な加熱容器中に配置する。加熱容器内を真空排気
した後、アルゴンガスを通じながら600℃から120
0℃の範囲内、望ましくは800℃から1000℃の範
囲内で数時間、好適には2時間程度加熱する。加熱温度
が600℃未満であると、酸化物の還元反応が進行せず
好ましくなく、加熱温度が1200℃を越えると、Ca
が飛散してしまうので好ましくない。ここで、混合粉、
即ち、出発系にFe2O3又はFe3O4が適量入っている
場合、昇温途中で自己発熱し、効率的に均一な反応を行
わしめることができるが、Feに対して30原子%以上
相当のFe2O3又はFe3O4が混合されていると、極め
て大きな発熱により爆発あるいは飛散が起きて好ましく
ない。
【0015】次いで、加熱を止め、引き続いてアルゴン
ガス中で250℃から800℃の範囲内で、好ましくは
300℃から600℃の範囲内の一定の温度まで冷却し
て以後この温度で一定に保持する。その後、加熱容器を
再び真空排気した後、窒素ガスを導入する。導入するガ
スは窒素に限らず窒素原子を含むガス、例えば、アンモ
ニアでもよい。大気圧以上の圧力で窒素ガスを通じなが
ら30分間以上1時間以内、好適には30分間加熱した
後、加熱を停止し放冷する。
【0016】得られた反応生成物をイオン交換水に投入
し、これにより、反応生成物が直ちに崩壊し、合金粉末
とCa成分との分離が始まる。水中での撹拌、静置、上
澄み液の除去を数回繰り返し、最後に酢酸等の弱酸で処
理することにより、Ca成分の分離が完了する。得られ
た合金粉末は粒径がシャープに揃うと共に流動性のある
ものである。
【0017】窒素又は窒素を含む雰囲気中での窒素処理
が水洗工程に先立ち行われていることにより、水洗工程
においても、酸素成分を含まない合金粉末が得られるこ
とに役立つ。即ち、従来、反応生成物であるCaOは速
やかに水と反応してCa(OH)2 になるが、未反応の
Caは比較的緩慢に反応するので除去に手間取り、ひい
ては純度の低下をもたらす原因にもなっていたのに対
し、本発明によれば、窒素処理を行っているので、未反
応のCaの大部分がCaN等のカルシウム窒化物にな
り、このCaN等のカルシウム窒化物はCaOと同様に
速やかに水と反応するのでこの除去には極めて好都合で
ある。
【0018】以下、本発明の具体例について従来と比較
しながら説明する。
【0019】(実施例1)平均粒径1μmのNd2O3粉
23.15gと平均粒径30μmのFe粉39.44g
とを混合し、さらに粒状のCa12.41gを加えて充
分に混合する。Caの当量はNd2O3中の酸素原子の当
量に対し1.5倍である。混合物を軟鋼製の坩堝に入
れ、加熱容器中にセットする。加熱容器内を1×10-2
トル(Torr)以下まで真空排気した後、アルゴンガスを
導入し、大気圧で流通させる。
【0020】加熱容器を加熱し850℃になったらこの
状態で2時間保持し続け、以後アルゴンガスを流通させ
たままま冷却していく。500℃になったらこの温度に
保持を開始し、アルゴンガスの流通を止めて直ちに加熱
容器内を真空排気する。加熱容器内が1×10-2トル
(Torr )以下まで真空排気された後、排気を止め、窒素
ガスを導入し、大気圧で窒素ガスが流通するようにし、
その後、30分間の熱処理を行ってから加熱を止めて放
冷する。
【0021】得られた反応生成物は多孔質のブロック状
であって容易に坩堝から取り出すことができ、反応生成
物を3000ccのイオン交換水中に投入すると、直ち
に崩壊する。この時、反応生成物中のCaOと、ほとん
どをCaN等のカルシウム窒化物とする未反応のCaと
が微細なCa(OH)2 に変わる。このスラリーを10
分間撹拌した後、10分間静置し、微細なCa(OH)
2 が浮遊している上澄み液を捨てる。ここで再度300
0ccのイオン交換水を加えて先と同様な操作を行う。
数回、この操作を繰り返した後、当初pH4.5に調整
された酢酸水溶液中で15分間撹拌、静置して上澄み液
を捨てる。この後再度水洗いを数回行ってCa分の除去
が完了する。最後に、Ca分を除去した合金粉末をヌッ
チェにてアルコール置換しながら水と分離し、分離した
ケーキを80℃で真空乾燥し、これにより、Nd−Fe
合金粉末を得る。
【0022】こうして得られた合金粉末は46.22g
で、粒径を約50μmとする流動性の良い黒色粉末であ
った。化学分析によれば、Nd27.7%、Fe70.
2%、Ca0.08%及びO(酸素原子)0.45%で
あった。出発原料のNdとFeからに基づく収率は7
6.3%であった。
【0023】(実施例2)次に、金属粉の一部を金属酸
化物として混合するNd−Fe合金粉末の製造方法につ
いて説明する。
【0024】平均粒径1μmのNd2O3粉23.15g
と平均粒径30μmのFe粉37.17g及び平均粒径
1μmのFe2O3粉3.42gを混合する。これら原料
のFe原子のうちFe2O3に由来するものは6.5原子
%である。さらにこれに粒状のCa16.48gを加え
て充分に混合する。Caの当量はNd2O3及びFe2O3
中の酸素原子の当量に対し1.5倍である。以後、実
施例1と全く同様の操作でアルゴンガスでの加熱処理、
窒素処理及び後処理を行ったが、初期の昇温中620℃
から急激な自己発熱が見られ、系の温度は瞬間的に87
0℃に達する。
【0025】得られたNd−Fe合金粉末は50.15
gであって、粒径約50μmの流動性の良い黒色粉末で
あった。化学分析によれば、Nd28.2%、Fe7
0.1%、Ca0.07%及びO(酸素原子)0.56
%であった。出発原料のNdとFeからに基づく収率は
83.0%であった。
【0026】(実施例3)実施例2と同じく金属粉の一
部を金属酸化物として混合する他のNd−Fe合金粉末
の製造方法について説明する。
【0027】平均粒径1μmのNd2O3粉23.01
g、平均粒径30μmのFe粉34.62g及び平均粒
径1μmのFe2O3粉6.43gを混合する。これら原
料のFe原子のうちFe2O3に由来するものは13原子
%である。さらにこれに粒状のCa19.60gを加え
て充分に混合する。Caの当量はNd2O3及びFe2 O
3 中の酸素原子の当量に対し1.5倍である。以後、実
施例1と全く同様の操作を行ったが、初期の昇温中57
0℃から急激な自己発熱が見られ、系の温度は瞬間的に
1070℃に達する。
【0028】得られたNd−Fe合金粉末は52.31
gであって、粒径約50μmの流動性の良い黒色粉末で
あった。化学分析によれば、Nd28.1%、Fe6
9.9%、Ca0.12%及びO(酸素原子)0.88
%であった。出発原料のNdとFeからに基づく収率は
87.1%であった。
【0029】(実施例4)窒素ガス中での熱処理温度を
500℃でなく450℃とする以外、実施例3と全く同
じ出発原料を用い実施例3と同様の処理を行った。
【0030】得られたNd−Fe合金粉末は42.32
gであって、粒径約50μmの流動性の良い黒色粉末で
あった。化学分析によれば、Nd26.5%、Fe7
1.2%、Ca0.12%及びO(酸素原子)0.81
%であった。出発原料のNdとFeからに基づく収率は
70.3%であった。
【0031】(実施例5)平均粒径1μmのSm2O3粉
22.88gと平均粒径30μmのFe粉39.73g
とを混合し、さらに粒状のCa11.83gを加えて充
分に混合する。Caの当量はSm2O3中の酸素原子の当
量に対し1.5倍である。以後、実施例1と全く同じ処
理を行う。
【0032】得られたSm−Fe合金粉末は51.22
gであって、粒径約50μmの流動性の良い黒色粉末で
あった。化学分析によれば、Sm28.7%、Fe6
9.8%、Ca0.09%、O(酸素原子)0.33%
であった。出発原料のSmとFeに基づく収率は84.
8%であった。
【0033】(実施例6)平均粒径1μmのSm2O3粉
22.88g、平均粒径30μmのFe粉38.64g
及び平均粒径1μmのFe2O3粉1.43gを混合し、
さらに粒状のCa13.44gを加えて充分に混合す
る。出発原料内のFe原子のうちFe2O3に由来するも
のは 2.6原子%である。Caの当量はSm2O3およ
びFe2O3中の酸素原子の当量に対し1.5倍である。
以後、実施例1と全く同じ処理を行った。初期の昇温中
690℃から急激な自己発熱が見られ、系の温度は瞬間
的に830℃に達する。
【0034】得られたSm−Fe合金粉末は54.26
gであって、粒径約50μmの流動性の良い黒色粉末で
あった。化学分析によれば、Sm28.5%、Fe7
0.0%、Ca0.11%、O(酸素原子)0.36%
であった。出発原料のSmとFeに基づく収率は90.
0%であった。
【0035】(実施例7)平均粒径1μmのCeO2 粉
22.90g及び平均粒径30μmのFe粉37.13
gを混合し、さらに粒状のCa16.00gを加えて充
分に混合する。Caの当量はCeO2 中の酸素原子の当
量に対し1.5倍である。以後、実施例1と全く同じ処
理を行う。初期の昇温中670℃から比較的緩慢な自己
発熱が発生し、系の温度は790℃に達する。この場
合、Fe2O3等は含まれていないが、CeO2 が発熱源
となっている。
【0036】得られた合金粉末は51.07gであっ
て、粒径約50μmの流動性の良い黒色粉末であった。
化学分析によれば、Ce29.2%、Fe68.1%、
Ca0.07%、O(酸素原子)0.21%であった。
出発原料のCeとFeに基づく収率は89.1%であっ
た。
【0037】(実施例8)平均粒径1μmのPr6O11
粉22.81gと平均粒径30μmのFe粉37.91
gを混合し、さらに粒状のCa14.77gを加えて充
分に混合する。Caの当量はPr6O11 中の酸素原子の
当量に対し1.5倍である。以後、実施例1と全く同じ
処理を行った。
【0038】得られたPr−Fe合金粉末は52.01
gであって、粒径約50μmの流動性の良い黒色粉末で
あった。化学分析によれば、Pr29.2%、Fe6
8.2%、Ca0.11%、O(酸素原子)0.32%
であった。出発原料のPrとFeに基づく収率は89.
2%であった。
【0039】(実施例9)アルゴンガス中での加熱温度
を750℃とした以外は実施例1と同じ条件にて反応を
行った。得られた合金粉末は43.2gで、粒径を約5
0μmとする流動性の良い黒色粉末であった。化学分析
によれば、Nd27.4%、Fe71.2%、Ca0.
11%及びO(酸素原子)0.56%であった。出発原
料のNdとFeからに基づく収率は71.3%であっ
た。
【0040】(比較例1〜4)比較のため、窒素ガスで
の熱処理を行わないこと以外、上述した実施例1、5、
7及び8と全く同じ原料組成で、還元拡散反応および後
処理を行い、比較例1〜4をそれぞれ作製した。得られ
た合金粉末の組成は、以下の通りであった。
【0041】窒素ガスでの熱処理を行わないこと以外実
施例1と同様にして得られた比較例1では、Nd−Fe
合金粉末が40.45gで得られ、この粉末は粒径約5
0μmで赤黒色粉末であり、また、化学分析より、Nd
15.2%、Fe82.1%、Ca1.6%及びO(酸
素原子)0.86%であった。出発原料のNdとFeか
らに基づく収率は66.4%であった。
【0042】窒素ガスでの熱処理を行わないこと以外実
施例5と同様にして得られた比較例2では、Sm−Fe
合金粉末が50.51gで得られ、この粉末は粒径約5
0μmで赤黒色粉末であり、また、化学分析より、Sm
27.4%、Fe71.6%、Ca0.40%及びO
(酸素原子)0.56%であった。出発原料のSmとF
eからに基づく収率は84.1%であった。
【0043】窒素ガスでの熱処理を行わないこと以外実
施例7と同様にして得られた比較例3では、Ce−Fe
合金粉末が50.6gで得られ、この粉末は粒径約50
μmの赤黒色粉末であり、また、化学分析より、Ce2
8.8%、Fe69.9%、Ca0.10%及びO(酸
素原子)0.67%であった。出発原料のCeとFeか
らに基づく収率は89.5%であった。
【0044】窒素ガスでの熱処理を行わないこと以外実
施例8と同様にして得られた比較例4では、Pr−Fe
合金粉末が51.47gで得られ、この粉末は粒径約5
0μmの赤黒色粉末であり、また、化学分析より、Pr
29.5%、Fe69.1%、Ca0.18%及びO
(酸素原子)0.88%であった。出発原料のPrとF
eからに基づく収率は89.4%であった。
【0045】次に、本発明による実施例と上述した比較
例との比較において、大気中に1週間放置した場合にお
ける酸素量の変化を試験した結果について説明する。
【0046】以下に1週間後の酸素量を示す。尚、括弧
内の数値は反応直後の値である。実施例1−0.46%
(0.45%)、比較例1−1.52%(0.86
%)。実施例5−0.33%(0.33%)、比較例2
−0.61%(0.55%)。実施例7−0.21%
(0.21%)、比較例3−0.69%(0.67
%)。実施例8−0.32%(0.32%)、比較例4
−0.90%(0.88%)。
【0047】これから明らかなように、希土類−Fe、
Co、Ni系合金粉末、とりわけ、これまで問題視され
てきたNd−Fe合金粉末においても、本発明の実施例
による合金粉末では、大気中での安定性が優れているこ
とが判る。
【0048】尚、上述の説明においては、希土類とF
e、Ni、Coとからなる合金粉末について説明した
が、本発明によれば、Fe、Ni、Coの中から選ばれ
た金属粉の一部がTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
Cr、Mo、W、Mn、B、Al、Ca、In、Siお
よびCuの酸化物の形あるいは金属の形で置換すること
はしてもよいことは言うまでもなく可能であり、目的に
応じて各種組成の合金を製造し得る。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
洗工程を経ても酸素量は増大せず、通常の大気中で水分
に対し安定な希土類金属を含む合金粉末を製造すること
ができ、産業上極めて有用な合金粉末の製造方法を提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01F 1/047 H01F 1/04 A 1/053 1/06 A 1/06 J (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22F 9/20 B22F 1/00 C21B 15/02 C22C 1/04 C22C 28/00 H01F 1/047 H01F 1/053 H01F 1/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類金属と、Fe、Co及びNiの中
    からから選ばれた少なくとも一種の金属およびCaから
    なる合金粉末の製造方法において、希土類酸化物の原料
    粉と、Fe、Co及びNiの中から選ばれた少なくとも
    一種の金属粉と、粒状のCaとを混合し、この混合物を
    アルゴン雰囲気中において600℃から1200℃の範
    囲の温度で加熱し、引き続いて窒素あるいは窒素原子を
    含むガスの雰囲気中において250℃から800℃の範
    囲の温度で加熱する窒素処理によって耐酸化処理と共
    に、カルシウムの一部を窒化カルシウムとし、この反応
    生成物を水および弱酸水溶液で処理し窒化カルシウムを
    溶出除去することを特徴とする合金粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属粉の一部を30原子%までの範
    囲にて同種の金属の酸化物で置換することを特徴とする
    請求項1に記載の合金粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記粒状のCaを希土類酸化物の酸素原
    子当量に対し約1.5倍程度することを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載の合金粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 希土類金属と、Fe、Co及びNiの中
    からから選ばれた少なくとも一種の金属とCaからなる
    合金粉末の製造方法において、希土類酸化物の原料粉
    と、Fe、Co及びNiの中から選ばれた少なくとも一
    種の金属粉と、粒状のCaとを混合し、この混合物をア
    ルゴン雰囲気中において600℃から1200℃の範囲
    の温度で加熱し、アルゴン雰囲気にある容器中の気体を
    真空排気した後、引き続いて窒素あるいは窒素原子を含
    むガスの雰囲気中において250℃から800℃の範囲
    の温度で加熱し、その後、この反応生成物を水および弱
    酸水溶液で処理することを特徴とする合金粉末の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記金属粉の一部を30原子%までの範
    囲にて同種の金属の酸化物で置換することを特徴とする
    請求項4に記載の合金粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記粒状のCaを希土類酸化物の酸素原
    子当量に対し約1.5倍程度混合することを特徴とする
    請求項4又は請求項5に記載の合金粉末の製造方法。
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