JP2002038206A - 希土類−遷移金属−窒素系合金粉末の製造方法 - Google Patents

希土類−遷移金属−窒素系合金粉末の製造方法

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JP2002038206A JP2000222245A JP2000222245A JP2002038206A JP 2002038206 A JP2002038206 A JP 2002038206A JP 2000222245 A JP2000222245 A JP 2000222245A JP 2000222245 A JP2000222245 A JP 2000222245A JP 2002038206 A JP2002038206 A JP 2002038206A
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Takahiro Tomimoto
高弘 冨本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気特性が良好な希土類−遷移金属−窒素系
合金粉末を得る。 【解決手段】 希土類元素および遷移金属元素を含有す
る溶液と、希土類元素および遷移金属元素の不溶性物質
を生成する物質とを反応させて析出した沈殿物を焼成し
て酸化物を得た後に、還元性雰囲気において加熱して還
元してタップ密度を1〜1.5g/cm3 の原料粉末を
作製した後に、1〜1.5g/cm3 の充填密度で還元
性金属とともに坩堝中へ充填した後に、加熱容器内にお
いて不活性気体雰囲気において還元処理を行った後に、
加熱容器内を真空排気した後、窒素雰囲気として加熱処
理し窒化を行った後に水中に投入して合金粉末を分離す
る希土類−遷移金属−窒素系合金粉末の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類−鉄−窒素
系合金粉末の製造方法に関し、特に磁気特性の優れた磁
石として有用な希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類−鉄−窒素系合金粉末は、保磁力
が大きな永久磁石用の材料として利用されている。この
材料は、保磁力を発現させるために平均粒径を数μmの
微粒子にする必要があるために、これらの合金は粉末状
態で求められることが多い。粉末を得るためには、所定
の成分に混合した金属原料を溶融してインゴットにした
後、このインゴットを粉砕する方法、あるいは、希土類
酸化物粉末と遷移金属粉末を所定の割合で混合し、これ
をカルシウム等の還元性金属とともに加熱して希土類酸
化物を還元し、同時に遷移金属中に拡散させる還元拡散
法が知られている。
【0003】還元拡散法は入手容易な希土類酸化物を使
用することが可能であり、合金粉末が成分の還元と同時
に拡散を行うことができるという利点があり、希土類と
遷移金属を成分とする磁石の製造にこの方法が適用され
ている。一方、永久磁石用の合金粉末において、結晶粒
子の均一性がそのまま保磁力の大きさに結びつく現象も
知られており、還元拡散法において使用する原料の希土
類酸化物粉末、遷移金属粉末の粒子の混合均一化には、
粉砕メディアを用いた湿式混合法等の精密混合の技術が
応用されてきた。しかしながら、それでもなお、十分均
一な反応生成物が得られているとは言い難かった。
【0004】そこで、本出願人は、原料の粒径を最適化
する方法として、希土類および遷移金属の所望の成分を
溶解した溶液中から希土類および遷移金属成分を沈殿さ
せて粒子形状が揃った沈殿物を得た後に、沈殿物を酸素
含有雰囲気において焼成して希土類酸化物および遷移金
属酸化物の粒子を含んだ金属酸化物とし、次いで金属酸
化物を還元性雰囲気において加熱することによって、遷
移金属成分の少なくとも一部分を金属粒子とし、希土類
酸化物と遷移金を含有した原料を調製した後に、カルシ
ウム等の還元性金属によって還元拡散する方法を提案し
ている。
【0005】溶液中での沈殿物生成で得られる希土類お
よび遷移金属を含む原料は、希土類および遷移金属の粒
子の大きさが整ったものが得られ、また両者の混合状態
も均一なものが得られるので、これを原料とした場合に
は特性の優れた合金を得ることが可能である。ところ
が、合金粉末の粒径を所定の範囲内としたものであって
も還元拡散時の条件によっては、特性が優れた合金粉末
を得ることができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、希土類−遷
移金属−窒素系合金の凝集粒子が少なく、永久磁石とし
た場合には保磁力が大きな磁石を得ることが可能な合金
粉末の製造方法を提供することを課題とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、希土類
−遷移金属−窒素系合金の製造方法において、希土類元
素および遷移金属元素を含有する溶液と、希土類元素お
よび遷移金属元素の不溶性物質を生成する物質とを反応
させて析出した沈殿物を焼成して酸化物を得た後に、還
元性雰囲気において加熱しながら還元してタップ密度を
1〜1.5g/cm3 の原料粉末を作製した後に、1〜
1.5g/cm3 の充填密度で還元性金属とともに坩堝
中へ充填した後に、加熱容器内において不活性気体雰囲
気において還元処理を行った後に、加熱容器内を真空排
気した後、窒素雰囲気として加熱処理し窒化を行った後
に水中に投入して合金粉末を分離する希土類−遷移金属
−窒素系合金粉末の製造方法によって解決することがで
きる。また、サマリウム−鉄−窒素系合金である前記の
製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、希土類元素酸化
物および遷移金属からなる原料粉末を溶液中の沈殿によ
って得られたものを原料として製造するとともに、特定
のタップ密度に調整し、得られた原料粉末をカルシウム
とともに坩堝に充填する際に特定の充填密度で充填し、
還元拡散処理を行った後に窒化処理することによって保
磁力の大きな磁性体を得ることが可能であることを見い
だしたものである。
【0009】本発明の方法では、まず、希土類元素と遷
移金属元素を溶液中に均一に溶解した溶液から、不溶性
の塩を生成する物質を加えて沈殿物を調製する。溶液中
における希土類元素および遷移金属元素はその存在形態
を問わず、沈殿生成後の焼成による酸化物の形成の際に
酸化物中に残留することがないものであれば任意の酸、
アルカリを使用することができる。酸を使用する場合に
は、好ましい酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等を挙げる
ことができ、希土類、遷移金属を高濃度に溶解すること
ができる。また、希土類および遷移金属の塩化物、硫酸
塩、硝酸塩等を水に溶解することによって溶液を製造し
ても良い。また水溶液に限らず、金属アルコキシド等の
有機金属を、アルコール、アセトン、シクロヘキサン、
テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解した溶液であっ
てもよい。
【0010】金属成分を溶解した溶液からの沈殿物の生
成は、金属成分と不溶性物質を生成する水酸化物イオ
ン、炭酸イオン、蓚酸イオン等のイオンを含有した溶液
を加えることによって行うことができる。例えば、水酸
化物イオンを供給する物質としてアンモニア水、水酸化
ナトリウム等を挙げることができ、炭酸イオンを供給す
る物質として、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム
等を挙げることができ、シュウ酸イオン等の有機酸イオ
ンを供給するものとしては、シュウ酸、クエン酸等を挙
げることができる。また、金属アルコキシドを有機溶媒
に溶解した溶液の場合には、水を添加することによって
金属水酸化物の形で沈殿が析出可能であり、水酸化物の
不溶性の塩を生成する方法として、ゾルゲル法を用いて
も良い。特に、本発明の方法では、沈殿物を焼成して酸
化物としているので、酸化物が容易に得られるような沈
殿物を生成する物質を沈殿生成物質として加えることが
好ましく、リン酸イオン、ホウ酸イオン、ケイ酸イオン
等から生成する沈殿物からは容易に酸化物を生成するこ
とは困難であるので、好ましくない。
【0011】沈殿生成反応は、希土類元素、遷移金属元
素の種類、および溶液の成分、沈殿生成反応剤によって
も異なるので、金属元素含有溶液と沈殿生成物質含有溶
液の供給速度、反応温度、反応液濃度、反応液の攪拌、
反応時のpH等を適当に設定することで沈殿生成反応を
調整することができる。沈殿工程において形成される粒
径が、最終的に得られる磁性材料としての合金粉末の粒
子径、粒子形状、粒度分布に影響を及ぼすので、所望の
沈殿物が生成するように調整することが必要となる。本
発明の合金粉末を強磁性材料として使用する場合には、
沈殿物粒子の粒子径は0.05〜20μmとすることが
好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にほ
ぼ全粒子が入るような大きさと分布を有していることで
ある。また、このようにして溶液からの沈殿によって得
られる沈殿物粒子中には希土類元素と遷移金属元素が十
分に混合された状態で存在するものを得ることができ
る。
【0012】本発明において、沈殿反応から得られる沈
殿物は、焼成して金属酸化物を生成する。沈殿反応にお
いて、焼成時に容易に分離あるいは分解することができ
ない物質を使用した場合には、沈殿物を焼成前に充分に
洗浄することが不可欠であるが、焼成時に容易に分離あ
るいは分解する物質であっても、それらを洗浄によって
除去することが好ましい。
【0013】沈殿物の焼成は大気中、あるいは更に酸素
分圧が大きな酸素含有雰囲気で焼成することが好まし
い。焼成は沈殿形成に使用した物質、あるいは溶液中に
含まれていた非金属イオンを分解して金属酸化物を生成
させる必要があるので、焼成温度は、そのような分解反
応が起こる温度以上の温度で焼成する。焼成温度は金属
元素の種類、分解すべき物質の種類に応じて異なるが、
800〜1300℃の温度で数時間焼成するのが好まし
く、より好ましくは900〜1200℃の範囲で焼成す
る。この焼成により、粒子内に希土類元素と遷移金属元
素の微視的な混合がなされた金属酸化物を得ることがで
きる。
【0014】次いで、得られた金属酸化物を還元するこ
とによって、金属粒子を得るが、金属酸化物中の遷移金
属酸化物の少なくとも一部分は予め還元性気体との反応
によって還元を行ったものであることが好ましい。すな
わち、金属酸化物の全量をカルシウム等を添加して還元
拡散法によって直接的に還元することも可能であるが、
大量の酸化物とカルシウム等とを反応させるためには、
カルシウムの必要量が多くなるとともに、カルシウムに
よる還元反応時には、大量の発熱が生じるので、発熱が
過多となって生成する金属粒子が粗大化したり、あるい
は爆発的な発熱が起きる可能性があるので、金属酸化物
中の比較的容易に還元することが可能な遷移金属の酸化
物の少なくとも一部分は、還元性気体との反応によって
還元反応を行い、酸化物の量を減少させることが好まし
く、遷移金属酸化物の酸素の除去率が40%以上である
ことが望ましい。これによってカルシウム等の還元剤の
消費量を少なくするとともに、生成する合金粉末粒子の
形状も良好なものが得られ易くなる。ここで酸素の除去
率とは、当初の遷移金属の酸化物中に存在する酸素全量
に対する還元除去した酸素量の百分率である。
【0015】遷移金属酸化物の還元には水素、一酸化炭
素、メタン等の炭化水素等の還元性気体を炉内に導入し
還元雰囲気を形成して加熱することで可能である。この
還元反応時、遷移金属酸化物粉末に含まれる酸素は水、
あるいは二酸化炭素の形で徐々に除去される。加熱温度
は300〜900℃の範囲であることが好ましく、40
0〜800℃の範囲がより好ましい。300℃よりも低
い場合には、遷移金属酸化物の還元は起こりにくいので
好ましくなく、また、900℃よりも高温では、還元反
応は起こるものの、酸化物粒子が高温により粒子成長と
偏析を起こし、所望の粒子径から逸脱してしまうおそれ
もある。
【0016】本発明の合金粉末の製造方法においては、
このようにして得られた希土類酸化物と一部が還元され
た遷移金属酸化物からなる原料物質のタップ密度を1〜
1.5g/cm3 とすることによって、還元拡散後に得
られる強磁性体には磁気特性が優れたものを得ることが
できる。タップ密度が1.0g/cm3 より小さい場合
には、嵩が大きくなり、粒子間の空隙、粒子の凝集が適
切ではなく、還元性金属の必要量が多くなり、その結
果、粒子の凝集が多くなる。そのため得られる合金の保
磁力は小さなものとなってしまう。また、タップ密度が
1.5g/cm3 より大きい場合、嵩が小さくなり、溶
解したカルシウム等の還元性金属が広がる空間が小さ
く、粒子間に充分に還元性金属が浸透しなくなる。その
結果還元拡散反応が不均一に起こり、保磁力に影響を及
ぼす。なお、本発明におけるタップ密度は、JISK5
101に定められた方法により測定したものであるが、
タップ回数が少ないとタップ密度が安定しないため、タ
ップ回数は200回としたものである。また、タップ密
度は、原料粉末中の粒子の粒径にも依存するので、タッ
プ密度は、溶液中からの沈殿反応における沈殿物の生成
条件の調整、およびその後の酸素含有雰囲気における焼
成条件、および遷移金属酸化物中の一部の還元条件等の
調整によって所望の範囲のものとすることができる。
【0017】タップ密度が所定の範囲とされた希土類酸
化物と一部が還元された遷移金属酸化物からなる原料粒
子は、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の還元性金属
とともに軟鋼製の坩堝に入れて加熱装置中に装填して還
元拡散を行うが、その際に軟鋼製の坩堝へ還元性金属と
ともに1〜1.5g/cm3 の充填密度で充填した後
に、不活性気体雰囲気において加熱して還元処理を行う
ことが好ましい。充填密度が1g/cm3 よりも小さい
場合には原料粒子間の距離、原料粒子と還元性金属の距
離が大きくなるために焼結しにくくなる。したがって、
還元拡散反応の反応時間を長くしたり、温度を上昇させ
ることが必要となるが、高温での処理は、凝集粒子を作
る原因にもなり、保磁力の低下が歪めない。また還元性
金属も多く必要となり、その結果、凝集粒子が発生す
る。また、1.5g/cm3よりも大きいと粒子の接触
点が多く、また還元性金属が溶ける空間が狭くなり、凝
集粒子を作る原因になるので好ましくない。アルカリ金
属、アルカリ土類金属等の還元性金属は、粒状または粉
末状の形で使用されるが、微細な粒状のものが好まし
く、とくに粒状金属カルシウムが好適である。これらの
還元性金属は、希土類酸化物および残存する遷移金属酸
化物の還元に必要な化学量論量の 1.1〜3.0倍の
量を用いることが好ましく、より好ましくは1.5〜
2.0倍の量である。
【0018】また、還元性金属とともに崩壊促進剤を併
用しても良い。崩壊促進剤を添加することによって、還
元拡散処理によって得られた合金塊の崩壊に際して、生
成物の崩壊、粒状化を促進させることができる。具体的
には、崩壊促進剤としては塩化カルシウム等のアルカリ
土類金属塩類、酸化カルシウム等を挙げることができ
る。これらの崩壊促進剤は、希土類酸化物当り1〜30
重量%の量を用いることができ、5〜30重量%の割合
で使用することが好ましい。
【0019】還元拡散工程においては、真空排気した後
に、真空中もしくはアルゴン等の不活性気体の雰囲気に
おいて加熱を行うことによって還元を行うことができ
る。還元は、700〜1200℃において加熱すること
が好ましく、800〜1100℃の範囲に加熱すること
がより好ましい。加熱処理は、還元反応を均一に行うた
めに、10分間〜5時間とすることが好ましく、0.5
時間〜2時間とすることがより好ましい。
【0020】加熱処理の終了の後に、不活性気体を通気
した状態で冷却し、100℃程度の温度となった後に、
加熱容器内部を真空排気をし不活性気体を充分に除いた
後に、窒素を通気し、窒素を通気した状態で150〜8
00℃の温度に加熱して窒化処理を行う。窒化処理のた
めの加熱温度は、300〜600℃が好ましく、400
〜550℃の温度がより好ましい。窒化処理温度が15
0℃未満であると、反応生成物である希土類−遷移金属
系合金中への窒素の拡散が不十分となり、窒化を均一に
行うことが困難となる。さらに窒化温度が800℃を超
えると、希土類−遷移金属−窒素系合金が希土類−窒素
系化合物と、α−Fe等に分解するために、得られる合
金粉末の磁気特性が著しく低下する。また、熱処理時間
は、窒化が十分に均一に行われる程度の時間であれば良
く、10分〜20時間程度である。このようにして得ら
れた生成物は、生成合金粉末と、副生する酸化カルシウ
ム、未反応の過剰カルシウム、および窒化処理中におい
て生じた窒化カルシム等の混合物が焼結した塊状体であ
る。次にこの生成物を水中に投入すると、カルシウム、
窒化カルシウム、水酸化カルシウム等は水と反応、ある
いは溶解して直ちに崩壊して塊状体から粉末が得られ
る。カルシウム成分は水酸化カルシウム等の懸濁物とし
て合金粉末から分離する。
【0021】崩壊によって生成したスラリーは、撹拌
後、デカンテーションによって、上部の水酸化物等を除
去し、注水−撹拌−デカンテーションの操作を繰り返す
ことにより、該水酸化物を得られた合金粉末から除去す
ることができる。また、一部残留した水酸化物は、酢酸
あるいは塩酸等の酸を用いて、pH3〜6、好ましくは
pH4〜5の範囲で酸洗浄することによって完全に除去
される。このような湿式処理終了後は、例えば水洗後、
アルコールあるいはアセトン等の有機溶剤で洗浄、脱水
した後、真空乾燥することで、希土類−遷移金属−窒素
系合金粉末が製造される。
【0022】
【実施例】以下に、実施例、比較例を示し本発明を説明
する。 実施例1 (沈殿生成工程)反応槽に水30リットル、97重量%
の硫酸520g、サマリウム酸化物484.8g、およ
び硫酸第一鉄7水塩5200gを入れて金属塩の溶液を
調製し、25%アンモニア水を加えてpHの調整を行い
中性とした。次いで、水12リットルに重炭酸アンモニ
ウム2514gと25%アンモニア水1738g混合
し、得られた炭酸イオン含有溶液を反応槽中に撹拌しな
がら徐々に添加した。全量を添加し撹拌を止めて静置す
ると反応生成物は反応槽底部に沈殿した。沈殿物を濾過
して固液分離し水によって洗浄し、80℃において乾燥
した。 (焼成工程)乾燥物をアルミナ製坩堝に入れて、大気中
で1100℃において3時間焼成し、金属酸化物とし
た。 (水素還元工程)水素を5000cm3/min の流量
で通気しながら、600℃において20時間加熱処理
し、酸化第二鉄の酸素除去率を90%とし、平均粒径が
0.6μmのサマリウム酸化物と鉄の混合粉末を得た。
得られた混合粉末のタップ密度は、1.25g/cm3
であった。 (坩堝への充填)作製した希土類酸化物と鉄の混合粉末
100gと平均粒径5mmのカルシウム29.3gを窒
素雰囲気中において充分に混合した後に、軟鋼製の坩堝
に入れて、プレス成型した。プレス成型後の密度は、
1.1g/cm3 であった。 (還元拡散処理)真空排気が可能な加熱装置中に配置
し、加熱前に6.67Pa(0.05torr)まで真
空排気し、次いで5000cm3/min の流量でアル
ゴンを導入しながら昇温速度5℃/分で1070℃まで
昇温し、0.5時間保持した。次いで、加熱を停止し、
アルゴンガスを通気した状態で冷却した。
【0023】(窒化処理工程)加熱容器内が100℃に
なった時点でアルゴンの通気を止めて直ちに加熱容器内
を6.67Pa(0.05torr)まで真空排気す
る。次いで、窒素を5000cm3/min の流量で通
気し、昇温速度5℃/分で450℃まで温度を上げて1
0時間の熱処理を行った後に、冷却を行った。 (崩壊処理工程)得られた反応生成物は多孔質のブロッ
ク状であって容易に坩堝から取り出すことができた。こ
のときのブロックの見かけ密度は1.3g/cm3 であ
った。この反応生成物を3000mlの水中に投入する
と、直ちに崩壊する。この時、反応生成物中の酸化カル
シウム、窒化カルシム等の反応生成物と未反応のカルシ
ウムは、水酸化カルシウムの分散物に変化した。このス
ラリーを30分間撹拌した後、10分間静置し、水酸化
カルシウムが分散した液を分離するデカンテーションを
5回繰り返した。次いで、pH4.0に調整された酢酸
水溶液中で15分間撹拌した後に、静置して上澄み液を
分離してカルシウム成分を分離した。カルシウム成分を
除去した合金粉末をヌッチェにて水と分離し、分離した
固形物を80℃で真空乾燥し、合金粉末85gを得た。
合金粉末は平均粒径2.8μmの流動性の良い灰黒色粉
末であった。また合金粉末は、鉄72.5重量%:サマ
リウム24重量%:窒素 3.1重量%、酸素0.4重
量%の組成であった。次いで、合金粉末をパラフィンワ
ックスと共に試料容器に詰め、パラフィンワックスを溶
融させてから1.59×103kA/m(20kOe)
の配向磁場でその磁化容易軸を揃え、着磁磁場3.18
×103kA/m(40kOe)でパルス着磁し、磁気
特性を測定したところ、保磁力1.20×103kA/
m(15.1kOe)、残留磁束密度1.09Tであっ
た。
【0024】実施例2 サマリウム酸化物と鉄との混合粉末の坩堝への充填密度
を変化させた点を除き実施例1と同様に合金粉末を作製
し、得られた合金粉末の磁気特性を測定し、その結果を
図1に示す。
【0025】実施例3 サマリウム酸化物と鉄との混合粉末のタップ密度を1.
0g/cm3 とするとともに坩堝への充填密度を変化さ
せた点を除き実施例1と同様に合金粉末を作製し、得ら
れた合金粉末の磁気特性を測定し、その結果を図2に示
す。
【0026】実施例4 サマリウム酸化物と鉄との混合粉末のタップ密度を1.
50g/cm3 とするとともに充填密度を変化させた点
を除き実施例1と同様に合金粉末を作製し、得られた合
金粉末の磁気特性を測定し、その結果を図3に示す。
【0027】比較例1 サマリウム酸化物と鉄との混合粉末のタップ密度を0.
75g/cm3 とするとともに充填密度を変化させた点
を除き実施例1と同様に合金粉末を作製し、得られた合
金粉末の磁気特性を測定し、その結果を図4に示す。
【0028】比較例2 サマリウム酸化物と鉄との混合粉末のタップ密度を1.
75g/cm3 とするとともに充填密度を変化させた点
を除き実施例1と同様に合金粉末を作製し、得られた合
金粉末の磁気特性を測定し、その結果を図5に示す。
【0029】
【発明の効果】本発明の希土類−遷移金属−窒素系合金
粉末は、希土類および遷移金属を含有する原料粉末を溶
液からの沈殿反応とその後の加熱処理、および遷移金属
酸化物の一部の還元処理によって形成した、特定のタッ
プ密度のものを特定の充填密度で充填したものを用いた
ので、組成が均質な磁気特性の優れた合金粉末を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のSm−Fe−N系合金粉末
の充填密度と保磁力の関係を説明する図である。
【図2】本発明の他の実施例のSm−Fe−N系合金粉
末の充填密度と保磁力の関係を説明する図である。
【図3】本発明の他の実施例のSm−Fe−N系合金粉
末の充填密度と保磁力の関係を説明する図である。
【図4】本発明の比較例のSm−Fe−N系合金粉末の
充填密度と保磁力の関係を説明する図である。
【図5】本発明の他の比較例のSm−Fe−N系合金粉
末の充填密度と保磁力の関係を説明する図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類−遷移金属−窒素系合金の製造方
    法において、希土類元素および遷移金属元素を含有する
    溶液と、希土類元素および遷移金属元素の不溶性物質を
    生成する物質とを反応させて析出した沈殿物を焼成して
    酸化物を得た後に、還元性雰囲気において加熱しながら
    還元してタップ密度を1〜1.5g/cm3 の原料粉末
    を作製した後に、1〜1.5g/cm3 の充填密度で還
    元性金属とともに坩堝中へ充填した後に、加熱容器内に
    おいて不活性気体雰囲気において還元処理を行った後
    に、加熱容器内を真空排気した後、窒素雰囲気として加
    熱処理し窒化を行った後に水中に投入して合金粉末を分
    離することを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系合金
    粉末の製造方法。
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