JP6489073B2 - 希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
この希土類―鉄―窒素系磁石は、従来、FeとSm金属を用いて高周波炉、アーク炉などにより希土類―鉄合金を作製する溶解法や、FeあるいはFe2O3、Sm2O3等とCaを混合加熱処理により希土類―鉄合金を作製する還元拡散法によって得られた母合金を窒化することで得られている。このようにして得られた粉末状の希土類―鉄―窒素系磁石は、保磁力の発生機構がニュークリエーション型であることから、次の工程において平均粒子径が数μmから5μm程度になるまで微粉砕処理される。
例えば、特許文献1では、希土類元素原料として平均粒径が5μm未満の希土類酸化物を使用し、遷移金属原料として平均粒径が5μm未満の遷移金属酸化物、もしくは加熱すれば容易に酸化物を生成する平均粒径が5μm未満の遷移金属化合物を使用し、還元剤として遷移金属は還元できるが希土類元素は還元できないものを使用して、遷移金属原料を還元する第一還元を行い、次に還元剤として希土類元素を還元できるものを使用する第二還元を行い、平均粒径が5μm未満である希土類遷移金属合金粉末を得る希土類遷移金属合金粉末の製造方法が提案されている。これにより希土類遷移金属系の磁製材料が粉砕工程を一切用いないで製造できるとしている。
本発明は、希土類酸化物粉末の還元拡散法により得られる母合金を窒化処理して希土類−鉄−窒素系合金粉末を製造する方法であって、希土類酸化物粉末と鉄粉末の混合物もしくは、これに希土類鉄複合酸化物や酸化鉄の少なくとも一つをさらに含む混合物を出発原料と、金属カルシウムと、を800〜900℃の温度で4時間〜20時間保持し、その後さらに昇温し950℃〜1200℃の温度で所定時間保持を行い還元拡散処する第1工程と、得られた還元拡散反応生成物に窒化ガスを供給し、この気流中で該反応生成物を所定の温度で窒化処理する第2工程と、得られた窒化処理生成物の塊を水中に投入して湿式処理し崩壊させ、さらに得られた磁石粗粉末を粉砕機に装入し解砕・微粉末化して、均質で粒子の揃った磁石粉末を得る第3工程とを含むことを特徴とする。
(1)原料粉末(混合粉末)
まず、磁石原料(出発原料)として、希土類酸化物粉末と鉄粉末の混合粉末もしくは、これに希土類鉄複合酸化物や酸化鉄の少なくとも一つをさらに含む混合粉末を用意する。
次に,上記混合原料粉末に還元剤として,さらに金属カルシウムを混合する。金属カルシウムは、取り扱いの安全性とコストの点で、4メッシュ以下に分級した粒状金属カルシウムが好ましい。そして、混合物を不活性ガス雰囲気中、所定の温度で熱処理し、還元拡散法でTh2Zn17型結晶構造を有する希土類―鉄系母合金を製造する。
原料粉末や還元剤とともに、窒化処理後の湿式処理工程において反応生成物の崩壊を促進させる添加物を混合することも効果的である。崩壊促進剤としては、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属の塩や酸化物を用いることができ、原料粉末などと同時に均一に混合する。ここで不活性ガスは、アルゴン、ヘリウムから選ばれた1種類以上が用いられる。
本焼の時間については、狙いの粒子径にするために保持時間を制御することとなるため規定しにくい。0.5時間以上であれば時間の粒径への影響が少ないので、省エネルギーの観点から0.5〜2時間が好ましい。
なお、800℃未満では、テルミット発熱による温度上昇が起こらず、カルシウムの溶融に伴うサマリウムの拡散が不十分となるため、図示しないが、全体が不均一となり、得られる希土類―鉄―窒素系磁石粉末の保磁力や角形性が低下する。
本発明では、還元拡散反応後の反応生成物に対して、雰囲気ガスを不活性ガスとしたまま変えずに、引き続き、300℃以下、好ましくは50〜280℃、より好ましくは100〜250℃に冷却する。
このとき反応生成物が大気中に曝されると、反応生成物中の活性な希土類−鉄母合金粉末が酸化されて反応性が失活し、結果として窒化の度合いをばらつかせるので、大気(酸素)に曝されることのないように窒化工程に持ち込むことが必要である。
(1)窒化処理
窒化工程では、雰囲気ガスの不活性ガスを排出してから、窒化ガスに変えて昇温し、反応生成物を特定温度に加熱する。
アンモニアと水素とを含有する混合ガスを用いる場合、全気流圧力に対するアンモニアの比(アンモニア分圧)は、0.2〜0.6、好ましくは0.3〜0.5となるようにする。アンモニア分圧が0.2未満であると、長時間かけても母合金の窒化が進まず、窒素量を3.3〜3.7質量%とすることができず、磁石粉末の飽和磁化と保磁力が低下する。
窒化処理の保持時間は、窒化温度にもよるが、100〜300分、好ましくは、140〜250分とする。100分未満では、窒化が不十分になり、一方、300分を超えると窒化が進みすぎるので好ましくない。
これにより、磁石粉末を構成する個々の結晶セル内の窒素分布をさらに均一化することができ、角形性を向上させることができる。熱処理の保持時間は、30〜200分、好ましくは60〜250分が良い。
本発明では、窒化後の処理生成物を湿式処理して、そこに含まれている還元剤成分の副生成物(酸化カルシウムや窒化カルシウムなど)を希土類−鉄−窒素系磁石粉末から分離除去する。
また、窒化後に処理生成物を長期間大気中に放置すると、カルシウムなどの還元剤成分の酸化物が生成し除去しにくくなったり、磁石粉末の表面の酸化によって、窒化が不均一になり主相の比率の低下とニュークリエーションの核の生成によって角形性が低下したりする。したがって、大気中に放置された窒化処理生成物は、反応器から取り出してから2週間以内に湿式処理するのがよい。
上記酸洗浄処理の終了後には、例えば水洗し、アルコールあるいはアセトン等の有機溶媒で脱水し、不活性ガス雰囲気中または真空中で乾燥することで希土類−鉄−窒素系磁石粗粉末を得ることができる。
得られた希土類−鉄−窒素系磁石粗粉末は、粒子径が小さい多数の粒子が集って、ブドウ状に焼結し2次粒子のほか、単独の1次粒子の2種類から形成されている。このような磁石粗粉末を溶媒とともにビーズミル、媒体撹拌ミル等の粉砕機に入れ、2次粒子からなる希土類−鉄−窒素系磁石粉末の焼結部が外れる程度に弱く解砕し、その後ろ過、乾燥する。
粉砕に用いる溶媒としては、イソプロピルアルコール、エタノール、トルエン、メタノール、ヘキサン等が使用できるが、特にイソプロピルアルコールが好ましい。粉砕後所定の目開きのフィルターを用いて、ろ過、乾燥して希土類−鉄−窒素系磁石微粉末を得る。
本発明では、上記の方法で得られ、磁石粉末がSm−Fe−Nであるものが好ましい。特に、Sm量が磁石粉末全体に対して23.2〜23.6質量%のものが一層好ましい。SEMによって観察すると、図2のように、1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が見てとれる。
また、得られた粗粉末中の1次粒子の長軸粒子径をSEMによって確認し測定した際、5μm以上を有する1次粒子径が累積個数百分率で20%未満であることが好ましく、15%未満であるとより好ましい。これは、1次粒子径が5μmを超えるような粒子が増えると、断面を確認した際に窒化不足を起こしている粒子が存在しているほか、粒子が大きいため、飽和磁化、角形性、保磁力を低下させる要因にもなるからである。また、0.5μm以下の累積個数百分率は4%未満が好ましい。4%以上では微粉末が多いため、成形品を製造する際の加熱に弱く保磁力が急激に低下したり、また樹脂との混練時に流動性が悪くなって成形自体が出来なくなる問題が発生しうるからである。
合金粉末の磁気特性は、日本ボンド磁石工業協会、ボンド磁石試験方法ガイドブック、BM−2002、BM−2005に準じて、1600A/mの配向磁界をかけてステアリン酸中で希土類−鉄−窒素系磁石粉末を配向させ試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁して測定した。
磁石合金粉末の比重を7.67g/cm3とし、反磁場補正をせずに最大磁界1200kA/mの振動試料型磁力計を用いて、飽和磁化:4πIm(T)、保磁力:iHc(kA/m)、角形性:Hk(kA/m)を測定した。Hkは、減磁曲線の角形性を表し、第二象限において、磁化4πIが残留磁化4πIrの90%の値を取るときの減磁界の大きさである。
粉砕前の希土類−鉄−窒素系磁石粉末の粒子表面、形状を走査型電子顕微鏡(SEM:株式会社日立製作所製、S−800)で観察した。
平均粒子径は、粒度分布測定器にて測定した。粒子長軸径は、SEM像から1次粒子の粒径を1000倍で撮影した写真を2倍に拡大して、最小メモリ1mmの定規で長さを測定し、粒子の累積個数百分率を求めた。
XRDによる粉末X線回折装置を用いて、測定したデータをもとに化合物の同定を行い、それら化合物の存在比率についてリートベルト解析を使用し、半定量値を算出することで、各化合物の割合を求めた。
フェノール樹脂中に粉末を埋め込み、研磨紙で#2000番まで研磨後SEMによる反射二次電子像観察を行い、1000倍で5視野撮影し、主相単相である粒子の数を総粒子数で割り算し百分率を求めた。
観察時の主相は灰色であり、その他Fe単独相や未窒化相は濃い灰色ないし黒色を、Smリッチ相や過窒化相,Sm単独相については薄い灰色ないし白色となるため、観察写真から目視で判断可能である。
磁石原料粉末として、反応晶析法で製造された、平均粒子径が0.7μmの酸化鉄Fe2O3粉末(純度99%)100.0gと、平均粒子径が2.8μmの酸化サマリウムSm2O3粉末(純度99.5%)31.8gを秤量し、次に500ccのポリ容器中にて秤量した酸化鉄を純水130gに分散させスラリー化したところに、さらに酸化サマリウムを投入し、これにSUJ2製の直径5/32inchの金属ボールを追加して20時間ボールミル混合を行った。その後、ポリ容器からスラリーを排出し、金属ボールと分離した後定置式真空凍結乾燥器にて40℃設定で20時間乾燥した。
乾燥した混合粉末100.0gを箱型雰囲気炉にて水素を25ml/(min・g)流し、昇温速度5℃/minで700℃まで加熱して4時間保持した後、室温まで冷却し、内部を空気に置換して水素還元物を回収した。
このときの水素還元物の一部をXRDにて同定を行い、リートベルト解析でその存在比率を半定量値として算出した。このときの存在比率は、α―Fe:Sm2O3:SmFeO3=65.9:25.0:9.1(質量%)であった。
この水素還元物16gに粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(純度99%)3.6gを、コンデショニングミキサー(MX−201:シンキー製)で30秒間混合した。
これをステンレススチール反応容器に装入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら、表1に示すように850℃まで昇温し10時間保持後、さらに1050℃まで昇温し1時間保持し還元熱処理した後、250℃まで炉内でArガスを流通しながら冷却した。次に、Arガスをアンモニア分圧が0.33のアンモニア−水素混合ガスに切り替えて昇温し、420℃で200分保持し、その後、同温度で水素ガスに切り替えて30分保持し、さらに窒素ガスに切り替えて30分保持し冷却した。
取り出した多孔質塊状の反応生成物を直ちに純水中に投入したところ、崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)2懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後に1分間攪拌し、次いでデカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。
得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に7分間保持した。その後、純水で6回掛水洗浄し、さらにイソプロピルアルコールで溶媒置換した後、合金粉末をろ過し、150℃で真空乾燥することによって、1次粒子および1次粒子同士が焼結したブドウ状の2次粒子からなるSm−Fe−N磁石粉末を得た。
この粉末組成は、Sm:23.4質量%、N:3.41質量%、O:0.17質量%、残部Feだった。
この合金粉末をエタノール中で振動式ミル(マルチミル:ナルミ技研製)を用い、SUJ2ボール5/32インチ、振動数:30Hz、30分間イソプロピルアルコール中で解砕し、常温真空乾燥した。
得られた磁石粉末の磁気特性は、日本ボンド磁石工業協会、ボンド磁石試験方法ガイドブック、BM−2002、BM−2005に準じて、1600A/mの配向磁界をかけてステアリン酸中で希土類−鉄−窒素系磁石粉末を配向させ試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁して測定した。磁石合金粉末の比重を7.67g/cm3とし、反磁場補正をせずに最大磁界1200kA/mの振動試料型磁力計を用いて、飽和磁化:4πIm(T)、保磁力:iHc(kA/m)、角形性:Hk(kA/m)を測定した。
分析組成とTh2Zn17型結晶構造の格子定数から算出された粉末のX線密度は7.67g/cm3で、この値で飽和磁束密度4πImを換算した。iHcは保磁力である。またHkは、減磁曲線の角形性を表し、第二象限において、磁化4πIが4πIrの90%の値を取るときの減磁界の大きさである。結果を表2に示すが、Br:1.31T、iHc:903kA/m、Hk:449kA/mであり高特性が得られた。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ1.9%、13.2%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、98%であった。得られた磁石粉末表面のSEM写真を図2に示す。
実施例1の要領で原料粉末などを混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように800℃まで昇温し20時間保持後、さらに950℃まで昇温し2時間保持と変更し、それ以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.27T、iHc:958kA/m、Hk:447kA/mであり高特性が得られた。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ2.6%、10.9%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、94%であった。
実施例1の条件で原料粉末などを混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように900℃まで昇温し4時間保持後、さらに950℃まで昇温し2時間保持と変更し、それ以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.29T、iHc:940kA/m、Hk:445kA/mであり高特性が得られた。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ2.2%、12.1%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、96%であった。
実施例1の条件で原料粉末などを混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように800℃まで昇温し20時間保持後、さらに1200℃まで昇温し0.5時間保持と変更し、それ以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.33T、iHc:877kA/m、Hk:444kA/mであり高特性が得られた。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ1.7%、14.4%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、95%であった。
実施例1の条件で原料粉末などを混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように900℃まで昇温し4時間保持後、さらに1200℃まで昇温し0.5時間保持と変更し、それ以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.34T、iHc:863kA/m、Hk:444kA/mであり高特性が得られた。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ1.6%、15.2%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、96%であった。
実施例1の条件の混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように800℃まで昇温し24時間保持と変更した以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.14T、iHc:974kA/m、Hk:390kA/mであった。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ7.1%、8.1%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、94%であった。
実施例1の条件の混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように950℃まで昇温し5時間保持と変更した以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1と同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.19T、iHc:875kA/m、Hk:410kA/mであった。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ1.9%、21.0%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、91%であった。
実施例1の条件の混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように1200℃まで昇温し2時間保持と変更した以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.08T、iHc:716kA/m、Hk:378kA/mであった。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ1.3%、29.2%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、78%であった。
実施例1の条件の混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように750℃まで昇温し24時間保持後、さらに1050℃まで昇温し1時間保持と変更した以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.11T、iHc:950kA/m、Hk:386kA/mであった。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ5.3%、10.5%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、83%であった。得られた磁石粉末表面のSEM写真を図3に示した。
実施例1の条件の混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように950℃まで昇温し3時間保持後、さらに1050℃まで昇温し1時間保持と変更した以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.21T、iHc:811kA/m、Hk:409kA/mであった。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ1.6%、21.9%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、89%であった。
実施例1の条件の混合後、ステンレススチール反応容器に装入し容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながらの還元熱処理温度・時間を表1に示すように850℃まで昇温し10時間保持後、さらに1300℃まで昇温し0.5時間保持と変更した以外は同様にして還元熱処理を行い、継続して窒化処理、湿式処理により、Sm−Fe−N粗粉末を得た。得られた粉末は、実施例1同様に1次粒子および1次粒子同士が焼結した、ブドウ状の2次粒子が観察された。
実施例1と同様に解砕後サンプリングして磁気特性を求めた。結果を表2に示すが、Br:1.34T、iHc:767kA/m、Hk:402kA/mであった。
また、解砕した磁石粉末における長軸径0.5μm未満、および5μm以上の存在割合を累積個数百分率によって算出した結果、それぞれ1.3%、23.8%であった。さらに、SEMによる粒子断面観察から求めた主相単相粒子比率については、98%であった。
以上の結果を示す表1より、実施例1〜5では、還元熱処理を2段とし、温度パターンを規定範囲内とすることで微粉・粗粉を抑え、かつ主相単相粒子比率を向上させ、磁気特性を良好にすることが可能なことがわかる。
Claims (6)
- 希土類酸化物粉末の還元拡散法により得られる母合金を窒化処理して希土類−鉄−窒素系磁石粉末を製造する方法であって、
希土類酸化物粉末と鉄粉末の混合物もしくは、これに希土類鉄複合酸化物や酸化鉄の少なくとも一つをさらに含む混合物を出発原料とし、金属カルシウムと混合後、800〜900℃の温度で4時間〜20時間保持し、その後さらに昇温し950℃〜1200℃の温度で所定時間保持を行い還元拡散処理する第1工程と、
得られた還元拡散反応生成物に窒化ガスを供給し、この気流中で該反応生成物を所定の温度で窒化処理する第2工程と、
得られた窒化処理生成物の塊を水中に投入して湿式処理し崩壊させ、さらに得られた磁石粗粉末を粉砕機に装入し解砕・微粉末化して、磁石粉末を得る第3工程と
を含む希土類―鉄―窒素系磁石粉末の製造方法。 - 第1工程の出発原料は、鉄粉末または酸化鉄の平均粒子径が3μm以下であることを特徴とする請求項1記載の希土類―鉄―窒素系磁石粉末の製造方法。
- 第1工程で添加される金属カルシウムは、平均粒子径が4メッシュ以下であり、添加量が酸化物を全て還元するのに必要となる金属カルシウム量を1当量としたときに、1.5〜3.0当量であることを特徴とする請求項1記載の希土類―鉄―窒素系磁石粉末の製造方法。
- 第3工程後の磁石粉末は、5μm以上の累積個数百分率が20%未満かつ0.5μm以下の累積個数百分率が4%未満であることを特徴とする請求項1記載の希土類―鉄―窒素系磁石粉末の製造方法。
- 第3工程後の磁石粉末は、SEMにより観察される主相単相からなる粒子が、総粒子数に対して90%以上であることを特徴とする請求項1記載の希土類―鉄―窒素系磁石粉末の製造方法。
- 磁石粉末がSm−Fe−Nであることを特徴とする請求項1記載の希土類―鉄―窒素系磁石粉末の製造方法。
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