JP7187920B2 - 多結晶希土類遷移金属合金粉末およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)希土類酸化物粉末と、(2)遷移金属、遷移金属の酸化物及び遷移金属の塩化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属成分粉末と、(3)Mg、Caおよびこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種を含む還元剤と、を混合して混合物とする工程と、
前記混合物を、不活性ガス雰囲気中または真空下で加熱処理して、希土類遷移金属合金粒子を含む反応生成物とする工程と、を有し、
前記遷移金属成分粉末の平均粒径が40μm以下であり、
前記還元剤の質量が還元当量に対して1.0当量以上1.3当量未満であり、
前記還元剤の融点をTm(℃)とすると、前記混合物の加熱処理の際に、混合物を温度T2(ただし、Tm+20℃≦T2≦Tm+200℃)に昇温及び保持する、方法が提供される。
本発明の多結晶希土類遷移金属合金粉末(以下、単に「合金粉末」ともいう)は、希土類元素と遷移金属元素とを含む金属間化合物からなる複数の多結晶粒子を含み、多結晶粒子は、この多結晶粒子を構成する結晶粒のうち面積円相当径1μm以下の結晶粒の割合が、個数基準で60%以上であり、前記多結晶希土類遷移金属合金粉末の平均粒径が50μm以下である。
次に、上述した多結晶希土類遷移金属合金粉末の製造方法について説明する。原料は、(1)希土類酸化物粉末と、(2)遷移金属、遷移金属の酸化物及び遷移金属の塩化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属成分粉末と、(3)Mg、Caおよびこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種を含む還元剤である。
D50が3.9μmでD90が6.9μmのカルボニル鉄粉712gとD50が2.3μmの酸化サマリウム288gを、ヘンシェルミキサを用いてアルゴンガス雰囲気中で十分に混合した。この混合物の酸素量を分析したところ4.6質量%であった。この酸素と反応し酸化カルシウムCaOを形成するカルシウム量(1.00当量)は115gである。そこで粒度3mm以下の金属カルシウムを1.20当量に相当する138g加えてさらに混合し、鉄るつぼに入れてアルゴンガス雰囲気下980℃で4h保持する熱処理を行った。
実施例1と同様にして980℃4h保持する熱処理し、冷却後に回収した反応生成物を解砕し管状炉に入れてアンモニアガス50vol%のアンモニアと水素の混合ガスをフローしながら440℃で3h窒化熱処理し、続いてアルゴンガスをフローしながら同じ温度で1h熱処理し、冷却して試料を回収した。
金属カルシウムを加えてアルゴン雰囲気下で行う熱処理の温度・時間を870℃10hとした以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが23.9質量%、Nが3.2質量%、Oが1.2質量%、Caが0.4質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は8.5μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は1.21MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で83%含んでいた。
金属カルシウムの投入量を1.10当量の127gとし、またアルゴン雰囲気下で行う熱処理の温度・時間を1040℃10hとし、解砕した反応生成物の窒化熱処理を50vol%アンモニアと水素の混合ガスで445℃で5hとした以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが24.1質量%、Nが3.5質量%、Oが1.0質量%、Caが0.3質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は15.7μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は0.49MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で61%含んでいた。
金属カルシウムの投入量を1.28当量の148gとし、またアルゴン雰囲気下で行う熱処理を、まず850℃で10h保持し、その後980℃に昇温し2h保持して冷却した以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが23.7質量%、Nが3.3質量%、Oが1.1質量%、Caが0.2質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は8.3μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は1.33MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は図2に示すような多結晶粒子からなり、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で90%含んでいた。
金属カルシウムの投入量を1.15当量の133gとし、またアルゴン雰囲気下で行う熱処理を、まず890℃で0.1h保持し、その後1040℃に昇温し1h保持したこと、また解砕した反応生成物の窒化熱処理を50vol%アンモニアと水素の混合ガスで445℃で5hとした以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが24.0質量%、Nが3.4質量%、Oが1.2質量%、Caが0.3質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は16.0μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は0.61MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で65%含んでいた。
金属カルシウムの投入量を1.04当量の120gとし、またアルゴン雰囲気下で行う熱処理を、まず845℃で20h保持し、その後870℃に昇温し3h保持して冷却した以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが23.5質量%、Nが3.5質量%、Oが1.4質量%、Caが0.3質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は6.8μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は1.25MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で87%含んでいた。
原料としてD50が16.3μmでD90が31.6μmの還元鉄粉を用い、金属カルシウムの投入量を、混合原料の酸素分析値5.0質量%から計算される1.25当量の157gとし、またアルゴン雰囲気下で行う熱処理を、まず880℃で15h保持し、その後1040℃に昇温し6h保持して冷却した以外は実施例1と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが24.7質量%、Oが0.9質量%、Caが0.1質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は23.2μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17合金粉末であることが確認された。この粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察したところ、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で62%含んでいた。
D50が16.3μmでD90が31.6μmの還元鉄粉608g、D50が32.8μmでB含量18.9質量%のフェロボロン粉65g、D50が3.1μmの酸化ネオジム405g、さらに無水塩化カルシウム20gを、ヘンシェルミキサを用いてアルゴンガス雰囲気中で十分に混合した。なお、フェロボロン粉は、本実施例の目的とするNd2Fe14B合金を形成するのに必要なホウ素源であり、無水塩化カルシウムは湿式処理工程で反応生成物をスラリー化する際の崩壊性を良好にするための添加物である。この混合物の酸素量を分析すると6.3質量%であった。そこで粒度2mm以下の金属カルシウムを1.19当量に相当する203g加えてさらに混合し、鉄るつぼに入れてアルゴンガス雰囲気下850℃で10h保持し、さらに910℃に昇温し5h保持する熱処理を行った。
D50が5.8μmでD90が11.5μmのコバルト粉600g、D50が2.3μmの酸化サマリウム371gを、ヘンシェルミキサを用いてアルゴンガス雰囲気中で十分に混合した。この混合物の酸素量を分析すると6.1質量%であった。そこで粒度4mm以下の金属カルシウムを1.29当量に相当する192g加えてさらに混合し、鉄るつぼに入れてアルゴンガス雰囲気下850℃で5h保持し、さらに880℃に昇温し1h保持する熱処理を行った。
実施例10において、還元剤の金属カルシウムを粒度2mm以下の金属マグネシウムに変更し、その投入量を1.00当量に相当する90gとした他、熱処理を660℃で20h保持し、その後800℃に昇温し8h保持して冷却した。
冷却後に回収した反応生成物を水に投入した後、pH=4を1時間維持するように希塩酸を滴下してスラリー化およびマグネシウム成分を溶解除去した。その後、再度水を投入してデカンテーションを繰り返してpHが7を超えるまで塩酸成分を除去し、エタノールで水分を置換しながらろ過し、得られたケーキをミキサーで減圧下90℃まで昇温乾燥した。
D50が5.3μmでD90が13.1μmのニッケル粉500g、D50が2.8μmの酸化ランタン335gを、ヘンシェルミキサを用いてアルゴンガス雰囲気中で十分に混合した。この混合物の酸素量を分析すると6.8質量%であった。そこで粒度4mm以下の金属カルシウムを1.07当量に相当する152g加えてさらに混合し、鉄るつぼに入れてアルゴンガス雰囲気下870℃で3h保持し、さらに950℃に昇温し3h保持する熱処理を行った。
金属カルシウムを加えてアルゴン雰囲気下で行う熱処理を、まず835℃で20h保持し、その後980℃に昇温し4h保持して冷却した以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが23.5質量%、Nが3.3質量%、Oが1.0質量%、Caが0.3質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は8.3μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は0.98MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、面積円相当径が1μm以下の結晶粒は個数基準で75%で実施例2とほとんど変わらなかった。
金属カルシウムを加えてアルゴン雰囲気下で行う熱処理を、まず900℃で5h保持し、その後980℃に昇温し4h保持して冷却した以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが23.6質量%、Nが3.3質量%、Oが1.3質量%、Caが0.4質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は9.4μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は0.81MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、面積円相当径が1μm以下の結晶粒は個数基準で70%で実施例2とほとんど変わらなかった。
原料としてD50が35.9μmでD90が54.9μmのアトマイズ鉄粉を用い、金属カルシウムの投入量を、混合原料の酸素分析値5.5質量%から計算される1.02当量の152gとし、またアルゴン雰囲気下で行う熱処理を、まず890℃で20h保持し、その後1040℃に昇温し2h保持して冷却した以外は実施例9と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Ndが33.1質量%、Bが1.2質量%、Oが0.4質量%、Caが0.05質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は48.1μmであった。この粉末の保磁力は0.31MA/mであった。またX線回折により、結晶構造が正方晶のNd2Fe14B合金粉末であることが確認された。この粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察したところ、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で60%含んでいた。
金属カルシウムを加えてアルゴン雰囲気下で行う熱処理の温度・時間を1050℃2hとした以外は実施例4と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが23.4質量%、Nが3.1質量%、Oが1.3質量%、Caが0.3質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は17.4μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は0.27MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなり、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で52%含んでいた。
金属カルシウムを加えてアルゴン雰囲気下で行う熱処理の温度・時間を855℃10hとした以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが23.7質量%、Nが3.4質量%、Oが1.7質量%、Caが0.2質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は8.7μmであった。X線回折では、結晶構造がTh2Zn17型の回折線が認められSm2Fe17N3合金粉末であることが確認されたが、それ以外にαFeの回折線も認められた。この粉末の保磁力は0.11MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は表面近傍では多結晶粒子が存在しているが、その内部にはSmが拡散していないFeが残留していた。したがって、面積円相当径が1μm以下の結晶粒の割合は、個数基準で60%未満である。
投入する金属カルシウムを0.99当量に相当する124gとした以外は実施例2と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが22.7質量%、Nが3.1質量%、Oが1.0質量%、Caが0.2質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は18.3μmであった。X線回折では、結晶構造がTh2Zn17型の回折線が認められSm2Fe17N3合金粉末であることが確認されたが、それ以外にαFeの回折線も認められた。この粉末の保磁力は0.25MA/mであった。粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は表面近傍では多結晶粒子が存在しているが、その内部にはSmが拡散していないFeが残留していた。したがって、面積円相当径が1μm以下の結晶粒の割合は、個数基準で60%未満である。
投入する金属カルシウムを1.31当量に相当する164gとした以外は実施例4と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが24.4質量%、Nが3.7質量%、Oが2.8質量%、Caが0.6質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は17.3μmであった。またX線回折により、結晶構造がTh2Zn17型の単相粉末であり、Sm2Fe17N3合金粉末であることが確認された。この粉末の保磁力は0.38MA/mであった。また粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察した。その結果、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなるが、全体的に結晶粒が粗く、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒を個数基準で53%含んでいた。
アルゴン雰囲気下で行う熱処理を、まず850℃で10h保持し、その後1080℃に昇温し10h保持して冷却した以外は実施例15と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Ndが33.2質量%、Bが1.4質量%、Oが0.7質量%、Caが0.1質量%で残部がFeであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は46.4μmであった。この粉末の保磁力は0.06MA/mであった。またX線回折により、結晶構造が正方晶のNd2Fe14B合金粉末であることが確認された。この粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察したところ、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなるが、結晶粒が10~20μmに粗大化しており、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒はほとんど認められなかった。
原料としてD50が37.5μmでD90が60.7μmのコバルト粉を用い、金属カルシウムの投入量を、混合原料の酸素分析値5.5質量%から計算される1.20当量の98gとし、またアルゴン雰囲気下で行う熱処理を1100℃に昇温し7h保持して冷却した以外は実施例10と同様にして合金粉末を作製した。回収された粉末は、Smが33.4質量%、Oが0.08質量%、Caが0.03質量%で残部がCoであり、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製,HELOS&RODOS)による平均粒径(50%粒子径D50)は29.7μmであった。この粉末の保磁力は0.28MA/mであった。またX線回折により、結晶構造がCaCu5型のSmCo5合金粉末であることが確認された。この粉末をエポキシ樹脂に包埋し研磨した試料を作製し、粒子断面をFE-SEM装置でEBSD法により観察したところ、本実施例で得られた粉末は多結晶粒子からなるが、結晶粒が10~20μmに粗大化しており、画像解析の結果、面積円相当径が1μm以下の結晶粒はほとんど認められなかった。
Claims (6)
- 多結晶希土類遷移金属合金粉末の製造方法であって、
前記多結晶希土類遷移金属合金粉末は、希土類元素と遷移金属元素とを含む金属間化合物からなる複数の多結晶粒子を含む多結晶希土類遷移金属合金粉末であって、前記多結晶粒子は、この多結晶粒子を構成する結晶粒のうち面積円相当径1μm以下の結晶粒の割合が、個数基準で60%以上であり、前記多結晶希土類遷移金属合金粉末の平均粒径が50μm以下であり、前記方法が、
(1)希土類酸化物粉末と、(2)遷移金属、遷移金属の酸化物及び遷移金属の塩化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属成分粉末と、(3)Mg、Caおよびこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種を含む還元剤と、を混合して混合物とする工程と、
前記混合物を、不活性ガス雰囲気中または真空下で加熱処理して、希土類遷移金属合金粒子を含む反応生成物とする工程と、を有し、
前記遷移金属成分粉末の平均粒径が40μm以下であり、
前記還元剤の質量が還元当量に対して1.0当量以上1.3当量未満であり、
前記還元剤の融点をTm(℃)とすると、前記混合物の加熱処理の際に、混合物を温度T2(ただし、Tm+20℃≦T2≦Tm+200℃)に昇温及び保持する、方法(ただし、HDDR処理を有する方法を除く)。 - 前記温度T2が、Tm+20℃≦T2≦Tm+150℃である、請求項1に記載の方法。
- 前記混合物の加熱処理の際に、混合物を温度T2に昇温及び保持する前に、温度T1(ただし、Tm≦T1≦Tm+50℃、T1<T2)に昇温及び保持する、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記混合物の加熱処理の後に、反応生成物を湿式処理して、加熱処理によって副生するMg及びCaの少なくとも一種の酸化物及び/又は水酸化物からなる副生物を除去する工程をさらに有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記混合物の加熱処理の後に、反応生成物を水素化処理あるいは窒化処理し、それにより水素化物あるいは窒化物である前記多結晶希土類遷移金属合金粉末の最終製品を得る工程をさらに有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記多結晶粒子は、この多結晶粒子を構成する結晶粒のうち面積円相当径1μm以下の結晶粒の割合が、個数基準で80%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
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