JP2006291257A - 希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的容易かつ確実に希土類組成を化学量論に近づけられる、還元拡散法による希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法と、保磁力や角形性を損なうことなく飽和磁化を向上させた希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の提供。
【解決手段】過剰の希土類酸化物粉末と遷移金属粉末と還元剤とを含む原料混合物から、還元拡散法を利用し、母合金中に存在する希土類元素の量がその主相に存在する希土類元素の化学量論組成よりも特定量以上過剰である希土類−遷移金属系母合金を製造した後に、該母合金を含窒素雰囲気中で、加熱下に窒化して希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を得る第一の工程と、得られた磁性粉末を、磁性粉末中に存在する希土類元素の過剰量がその主相に存在する希土類元素の化学量論組成に対して特定量以下になるまで、酸性水溶液で洗浄除去した後に乾燥させる第二の工程とを含む希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末とその製造方法に関し、より詳しくは、比較的容易かつ確実に希土類組成を化学量論に近づけられる、還元拡散法による希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法と、それにより得られ、保磁力や角形性を損なうことなく飽和磁化を向上させた希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末に関する。
希土類−遷移金属−窒素系磁性材料、なかでも菱面体晶系、正方晶系または単斜晶系の結晶構造を持ち、特に遷移金属として鉄を含有する金属間化合物に窒素を導入させたものが優れた磁気特性を持つことから、永久磁石材料として注目されてきた。
例えば、Fe−R−N(R:Y、Th、およびランタノイド元素からなる群の中から選ばれた一種または二種以上)で表される永久磁石(特許文献1参照)や、六方晶系あるいは菱面体晶系の結晶構造をもつR−Fe−N−H(R:イットリウムを含む希土類元素のうち一種以上)で表される磁気異方性材料(特許文献2参照)が知られている。また、正方晶系の結晶構造をもつThMn12型金属間化合物に窒素を含有させた希土類磁石材料の製造方法(特許文献3参照)や、菱面体晶系、六方晶系または正方晶系の結晶構造をもつThZn17型、TbCu型、ThMn12型金属間化合物に窒素等を含有させた希土類磁石材料(特許文献4参照)も知られている。
希土類磁石材料に関して、A.Margarianらは、1994年に、単斜晶系の結晶構造をもつR(Fe、Ti)29型金属間化合物に窒素を含有させた材料を公開している(非特許文献1参照)。また、杉山らは、1995年に、「第19回日本応用磁気学会学術講演概要集」で、単斜晶系の結晶構造をもつSm(Fe、Cr)29化合物を公開している(非特許文献2参照)。さらに、石川は、還元拡散法を適用して製造されたSmFe17磁性粉末とその磁石について、工業化された材料特性を紹介している(非特許文献3)。
また、これらの材料に対して、磁気特性などを改善することを目的として、さまざまな添加元素(M)を含有させることが検討されている。例えば、六方晶系あるいは菱面体晶系の結晶構造をもつR−Fe−N−H−M(R:Yを含む希土類元素の一種以上;M:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Pd、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Pb、Biの元素、並びにRの酸化物、フッ化物、炭化物、窒化物、水素化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、塩化物、あるいは硝酸塩の一種以上)で表される磁性材料(特許文献5参照)、また、Fe−R−M−N(R:Y、Thおよびランタノイド元素の一種以上;M:Ti、Cr、V、Zr、Nb、Al、Mo、Mn、Hf、Ta、W、Mg、またはSiの一種以上)で表される永久磁石材料(特許文献6参照)、さらに、六方晶系あるいは菱面体晶系の結晶構造をもつR−Fe−N−H−O−M(R:Yを含む希土類元素の一種以上;M:Mg、Ti、Zr、Cu、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Biの元素、並びにRの酸化物、フッ化物、炭化物、窒化物、あるいは水素化物の一種以上)で表される磁性材料(特許文献7参照)が提案されている。
これらの磁性材料は、通常、まず希土類−鉄系母合金粉末を製造し、その後、窒素原子を導入するための窒化処理を行う方法で製造されている。ここで母合金粉末と窒化後の磁性材料との結晶構造は同一であり、窒素原子が結晶内に取り込まれることにより格子定数が大きくなるのが一般である。
かかる母合金粉末の製造方法としては、例えば、希土類金属、鉄、および必要ならばその他の添加金属を所定比率で調合し、不活性ガス雰囲気中で高周波溶解し、得られた合金インゴットを均一化熱処理してから、ジョークラッシャーなどで所定の粒度に粉砕する方法がある。また、該合金インゴットを使って液体急冷法により合金薄帯を製造し、粉砕する方法が知られている。また、コスト的に優れていることから、還元拡散法を用いて希土類−鉄系母合金粉末を製造する方法が工業的に主流を占めている。
この還元拡散法で母合金粉末を製造する場合には、例えば、特許文献8のように、希土類酸化物粉末、鉄粉、必要によりその他の金属粉(またはそれらの酸化物粉末)、及び還元剤(例えば粒状Ca)とを十分混合し、反応容器(坩堝)に挿入する。そして、不活性ガス雰囲気中900〜1300°Cで熱処理する。このとき希土類酸化物粉末などはCaによって還元され、還元された金属元素は鉄粉などに拡散し、所望の母合金粉末が形成される。ここで得られた反応生成物は、母合金粉末とCa酸化物とを含有する多孔質塊状となっている。
次に、該反応生成物は水中に投入され、以下の湿式処理が行われる。反応生成物中のCa酸化物は水と反応して懸濁したCa水酸化物となり、母合金粉末はスラリー状になる。引き続き、デカンテーションと注水の繰り返しによって、スラリーからCa水酸化物の大部分が除去される。さらに、母合金粉末中に残留した微量のCa水酸化物を除去するために、pH4〜7の希酸でさらに攪拌洗浄される。その後、脱水のためにアルコールやアセトンなどの有機溶剤で洗浄し、残留する有機溶剤を真空乾燥などで除去して目的とする母合金粉末を得ている。
こうして得られた希土類−鉄系母合金粉末は、公知の方法で窒化され、必要に応じて粉砕し粒度調整することにより、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末が製造される。希土類−鉄系母合金粉末の窒化処理方法としては、例えば、該母合金粉末を窒素またはアンモニア、あるいはこれらと水素との混合ガス雰囲気中で200〜700°Cに加熱する方法が知られている。
近年、携帯電話に代表される情報通信機器をはじめ、家電、音響機器、自動車用各種機器などさまざまな機器において小型化や高性能化が要求されている。そして、このような機器に必要不可欠な永久磁石も小型化、高特性化が望まれている。しかし、これまで使われている希土類−遷移金属−窒素系磁石では、飽和磁化に改善の余地があるため、かかる高特性化の要求には応えきれない。
上記希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の飽和磁化を向上させるためには、主相成分の比率を高める必要がある。希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末として、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するSmFe17合金を例に挙げれば、従来は、母合金粉末の段階で主相成分の比率を高めるべく、そのSm組成がSmFe17の化学量論組成(Sm24.1重量%)に近づくよう、原料の配合量や湿式処理(希酸洗浄)の条件が調整されていた。
しかしながら、原料である酸化Sm粉末の配合量をSmFe17に近い量に設定すると、混合した原料粉末の分布がわずかに不均一になるだけで、合金組成に影響が生じ、Feに対するSm量の不足した部分で未拡散Fe相が生成し、磁性粉末の保磁力や角形性が損なわれてしまうという問題があった。
また、湿式処理工程における希酸洗浄で対処する場合、洗浄条件を強化し、Ca水酸化物を除去するだけでなく、SmFe相などのSmリッチ相をも溶解除去することになる。ところが、SmFe17単相に近づけようとSmリッチ相を溶解除去すれば、得られた母合金粉末の表面が酸化物層などで汚染されてしまい、窒化後に得られる希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の保磁力や角形性が損なわれてしまうという問題があった。
したがって、磁性粉末にしたときの保磁力や角形性を良好に維持するためには、ある程度主相であるSmFe17化学量論組成に対してSmリッチな組成の母合金粉末とせざるを得ないが、最終的には、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末には主相以外に主相よりもSmリッチな副相を残留させることが必要とされ、これまでの方法では飽和磁化を高めるにも限界があった。
このような状況下、比較的簡便な還元拡散法によって、保磁力や角形性を良好に維持しながら飽和磁化を高めることができる希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法が切望されていた。
特開昭60−131949号公報 特開平2−57663号公報 特開平5−315114号公報 特開平6−279915号公報 特開平3−16102号公報 特開平4−99848号公報 特開平3−153852号公報 特開平9−241708号公報 A.Margarian、「Proc. 8th Int. Symposium on Magnetic Anisotoropy and Coercivity in Rare Earth Transition Metal Alloys」、 Birmingham、 (1994)、 353 杉山等、「第19回日本応用磁気学会学術講演概要集」、(1995)、p.120 石川、「工業材料」、Vol.46、No.12、(1998)、p.45
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、比較的容易かつ確実に希土類組成を化学量論に近づけられる、還元拡散法による希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法と、それにより得られ、保磁力や角形性を損なうことなく飽和磁化を向上させた希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、還元拡散法によって、主相の化学量論組成よりも希土類元素を特定量以上過剰に含有する希土類−遷移金属系母合金粉末を製造してから、これを窒化して希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を得た後、さらに、この磁性粉末を酸性水溶液で湿式処理して、磁性粉末から過剰な希土類元素の少なくとも一部を除去することで、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の希土類元素の主相比率を比較的容易に高めることができ、これにより磁性粉末の保磁力や角形性を損なうことなく、確実に飽和磁化を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、還元拡散法で製造された希土類−遷移金属系母合金に窒素を導入して希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を製造する方法において、(1)過剰の希土類酸化物粉末と遷移金属粉末と還元剤とを含む原料混合物から、還元拡散法を利用して、母合金中に存在する希土類元素の量がその主相に存在する希土類元素の化学量論組成よりも0.4重量%以上過剰である希土類−遷移金属系母合金を製造した後に、該母合金を含窒素雰囲気中で、加熱下に窒化して希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を得る第一の工程と、(2)得られた磁性粉末を、磁性粉末中に存在する希土類元素の過剰量がその主相に存在する希土類元素の化学量論組成に対して0.4重量%以下になるまで、酸性水溶液で洗浄除去した後に乾燥させる第二の工程と、を含むことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、第一の工程で母合金を製造した後に、該母合金を水素ガス雰囲気中、500°C以下の温度で水素処理する工程をさらに含むことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、第二の工程で用いる酸性水溶液が、酢酸又は塩酸の一種以上を含むpH4〜6の水溶液であることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、第二の工程における磁性粉末の洗浄時間が、10分間以上であることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、第二の工程の後に、磁性粉末を、さらに真空中または不活性ガス雰囲気中、500°C以下の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法が提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係る製造方法で得られる希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、磁性粉末の結晶構造が、菱面体晶系、正方晶系または単斜晶系から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、磁性粉末の結晶構造が、菱面体晶系のRTM17合金(ここで、Rは60重量%以上がSmである希土類元素、TMは、その30重量%以下をCoで置換しうるFeからなる遷移金属元素であり、Nは2.6〜3.9重量%の窒素である)ことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第6の発明において、水素の含有量が0.10重量%以下であることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末が提供される。
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法によれば、還元拡散法により希土類元素が特定量過剰な希土類−遷移金属系母合金を製造し、得られた母合金を窒化した後、得られた希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を酸洗浄することを含む比較的簡便な方法で、主相の希土類組成を化学量論に近づけた磁性粉末を製造できる。また、この方法で得られた希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末は、保磁力や角形性を損なうことなく飽和磁化が向上しており、従来に比べて最大エネルギー積の高い磁性粉末である。したがって、この磁性粉末を用いれば、高い磁気特性を有するボンド磁石を容易に製造できることから、その小型化、高性能化に寄与することができる。
以下、本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法、および得られる希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末について、さらに詳しく説明する。
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法は、還元拡散法で製造された希土類−遷移金属系母合金に窒素を導入して希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を製造する方法において、(1)過剰の希土類酸化物粉末と遷移金属粉末と還元剤とを含む原料混合物から、還元拡散法を利用して、母合金中に存在する希土類元素の量がその主相に存在する希土類元素の化学量論組成よりも0.4重量%以上過剰である希土類−遷移金属系母合金を製造した後に、該母合金を含窒素雰囲気中で、加熱下に窒化して希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を得る第一の工程と、(2)得られた磁性粉末を、磁性粉末中に存在する希土類元素の過剰量がその主相に存在する希土類元素の化学量論組成に対して0.4重量%以下になるまで、酸性水溶液で洗浄除去した後に乾燥させる第二の工程とを含むことを特徴とする。
1.原料
本発明の還元拡散法による希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法では、まず、第一の工程で希土類−遷移金属系母合金を製造する際に、原料粉末として少なくとも希土類酸化物粉末、遷移金属粉末を用い、必要により他の添加元素を含む粉末を配合する。
<希土類酸化物>
本発明に用いられる希土類酸化物粉末としては、磁性粉末の成分となりうるものであれば特に制限されないが、Sm、PrまたはNdから選ばれる少なくとも1種の元素、あるいは、さらにDy、Ho、Er、Tm、Gd、Tb、La、CeまたはYbから選ばれる少なくとも1種の元素が含まれるものが好ましい。中でもSmまたはNdが含まれるものは、本発明の効果を顕著に発揮させることが可能となるので特に好ましい。
さらに、上記希土類酸化物粉末の粒径は、特に制限されないが、反応性、作業性等の面から10μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、希土類酸化物粉末は、粒径0.1〜10μmの粉末が希土類酸化物粉末全体の80%以上を占める粉末を用いるのが望ましい。添加元素成分は、希土類酸化物全体の20重量%以下を含む場合には、粒径0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占める粉末を用いるのがよい。
<遷移金属>
本発明に用いられる遷移金属粉末は、その種類や製法によって限定されず、例えば、アトマイズ法、電解法等により製造された粉末状の遷移金属を用いることができる。遷移金属の種類としては、Feが好ましく、さらに、磁気特性を損なうことなく磁石の温度特性を改善する目的でFeの一部をCoで置換しても良い。この場合、Coの置換量は、Feの30重量%以下とすることが望ましい。
また、上記遷移金属粉末には、保磁力の向上、生産性の向上、さらに低コスト化のため、Mn、Ca、Cr、Nb、Mo、Sb、Ge、Zr、V、Si、Al、Ta、Cu、Ti等の一種以上が含有されていても良い。以下、このような元素を添加元素成分という。その含有量は、総計で7重量%以下とすることが望ましい。また、C、B等の不純物が5重量%以下含有されていても良い。
遷移金属粉末の粒径は、特に限定されないが、希土類−遷移金属系母合金が微粉化される際の負荷を低減して、合金粉末の酸化や歪み発生を抑制するために、篩分け等で100μm以下に粒度調整した遷移金属粉末を用いることが好ましい。さらには、粒径が1〜70μmの粉末が遷移金属粉末全体の80%以上を占める粉末であることが好ましい。
また、遷移金属粉末全体の30重量%までを遷移金属酸化物粉末としてもよいが、この場合には粒径が0.1〜10μmの粉末が遷移金属酸化物全体の80%以上を占める粉末を用いるのがよい。なお、添加元素成分がある場合には、遷移金属と添加元素成分との合金粉末を用いることもできる。この合金粉末の粒径は1〜70μmの粉末が遷移金属粉末全体の80%以上を占める粉末であるのがよい。
本発明においては、原料粉末、還元剤などを混合する際、原料粉末の種類、粒径などの選択、配合量の決定は重要である。原料粉末の配合組成は、後に述べる湿式処理工程の条件と組み合わせることを前提として、窒化工程に供する希土類−遷移金属系母合金の希土類元素組成が、主相と副相と不可避不純物とからなる希土類−遷移金属系母合金の主相の化学量論組成よりも0.4重量%以上過剰となるように、希土類酸化物の投入量を多めに設定することが必要である。過剰量が0.4重量%未満となる配合量では、あとの酸性水溶液による湿式処理工程で希土類元素が失われて、表面が酸化されるなどにより、所望の磁性粉末を得ることができない。ただし、必要以上の過剰量を配合すると、コストの増加を招くので、好ましくない。
2.還元拡散
次に、上記原料粉末と還元剤とを反応容器に投入し、特定条件で加熱処理する。この加熱処理によって、希土類酸化物と必要に応じて配合される他の酸化物原料とを還元剤によって還元するとともに、還元された希土類元素を遷移金属粉末に拡散させて、希土類−遷移金属系母合金粉末を生成させる。
<還元剤>
還元剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの水素化物、例えば、Li及び/又はCa、あるいはこれらの元素とNa、K、Rb、Cs、Mg、Sr又はBaから選ばれるが、取り扱いの安全性とコストの点で、粒状の金属カルシウムが好ましい。
これらアルカリ金属、又はアルカリ土類金属元素は、合金粉末の結晶相内部に0.001〜0.1重量%含有することで、窒化処理に要する時間を短くすることができる。上記還元剤の粒度は、5mm以下の粒状になっていることが好ましい。アルカリ金属、又はアルカリ土類金属元素の含有量が0.001重量%未満では処理効果が小さく、0.1重量%を超えると希土類−遷移金属−窒素系磁石合金の磁気特性、特に磁化が低下するので好ましくない。
これら還元剤を使用する際、その投入量、還元剤と希土類酸化物の粉体性状、各種原料粉末の混合状態、還元拡散反応の温度と時間を注意深く制御することが望ましい。還元剤は、上記原料粉末と混合するか、カルシウム蒸気が原料粉末と接触しうるよう分離して配置することもできる。
原料粉末、還元剤とともに、後の湿式処理工程において反応生成物の崩壊を促進させる添加剤を混合することも効果的である。崩壊促進剤としては、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩や酸化カルシウムなどを用いることができ、原料粉末と同時に均一に混合する。
これら原料粉末や還元剤などは、それぞれの粉体特性差によって分離しないように均一に混合することが重要である。混合方法としては、たとえばリボンブレンダー、タンブラー、S字ブレンダー、V字ブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー、ボールミル、振動ミル、アトライター、ジェットミルなどが使用できる。
上記原料粉末と還元剤などの混合物は、還元拡散熱処理されるが、主成分である遷移金属粉末の周りに、希土類酸化物粉末、添加元素粉末、遷移金属酸化物粉末などが均一に分布存在していることが重要である。上記した粒径範囲をはずれると、良好な混合状態が得られにくかったり粉末が取り扱いにくくなったりする場合がある。
還元温度は、900〜1300°C、特に1000〜1150°Cの範囲とするのが望ましい。900°C未満では遷移金属粉末に対して、希土類元素や添加元素の拡散が不均一となり、これを用いて製造される希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の保磁力や角形性が低下する。1300°Cを超えると、生成した希土類−遷移金属系母合金粉末が粒成長を起こすとともに互いに焼結するため、均一窒化が困難になり磁性粉末の角形性が低下する。反応時間は、原料粉末の種類、その粒径、還元温度に合わせて適宜設定されるが、1〜20時間、好ましくは3〜12時間程度である。
還元剤としてカルシウムを用いて原料粉末の還元拡散反応を行うと、希土類−遷移金属系母合金粉末、酸化カルシウム、未反応の余剰の金属カルシウムなどからなる反応生成物が多孔質塊状の混合物として生成する。
還元拡散によって得られる希土類−遷移金属系母合金粉末は、主相と副相からなる。主相とは、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末としたとき磁気特性に寄与する相である。そして、主相の具体例には、菱面体晶系のSmFe17合金が得られるSmFe17化合物相、正方晶系のNdFe11TiN合金が得られるNdFe11Ti化合物相、単斜晶系のSm(Fe、Cr)29合金が得られるSm(Fe、Cr)29化合物相を挙げることができる。一方、副相とは、一般に希土類−遷移金属系母合金粉末の主相以外の相すべてを指すが、本発明では主相よりも希土類リッチな相を意味するものとする。
3.水素処理
還元拡散反応の反応生成物は、目的とする希土類−遷移金属系母合金のほかに、酸化カルシウム、未反応の余剰の金属カルシウムなどを含んだ多孔質塊状の混合物であるため、容易には粉末化できない。そのため、必要に応じて水素処理を行い、母合金に水素を吸蔵させ、崩壊しやすくすることができる。
水素処理では、上記反応生成物を水素ガス雰囲気中に放置することにより、反応生成物を脆化させ、粉砕させる。そのためには、反応容器(密閉容器)内に水素を充満させて、一定の水素加圧下で処理すれば効率がよい。密閉容器内の圧力は特に限定されないが、大気圧よりも0.01〜0.11MPa、好ましくは0.03〜0.08MPa高い圧力となるようにするのが好ましい。大気圧+0.01MPaよりも圧力が低いと、母合金内で水素吸蔵反応が促進されにくく、大気圧+0.11MPaよりも高いと反応熱が高くなりすぎるので好ましくない。
水素処理は、常温または300℃以下の温度で実施することが望ましい。母合金への水素吸蔵速度は、温度に依存するものの室温程度の温度環境下でも十分に吸蔵が開始され、また水素を吸蔵することによって自己発熱が起こり、この反応熱によって吸蔵速度が加速され、粉砕される。還元拡散法における反応生成物(母合金)に対し水素雰囲気中で外部から100〜300℃に加熱することで水素を吸蔵させてもよいし、特に外部加熱をせず自発的に水素を吸蔵させ、その時の発熱を有効に利用してもよい。水素処理後、合金粉末は室温程度に冷却される。
水素処理の時間は、反応生成物を密閉容器から取り出した時点で、崩壊物の粒径が100mm以下、好ましくは10mm以下になるように設定する必要がある。崩壊物が100mmを超える状態では、湿式処理に引き続いて行われる窒化処理工程で均一な窒化が困難になり、磁性粉末の角形性が低下する。例えば、特開平9−241708号公報(特許文献8)や特開平11−124605号公報に開示されている要領で水素処理すると、反応生成物を反応容器から冷却後に取り出して、大気中に晒すことによって自然崩壊する。
実際に、本発明の原料粉末と還元拡散条件で得られた反応生成物は、過剰に希土類元素を含有しているので、水素処理後に容器から取り出した時点で、上記のように、既に崩壊しており、引き続き行われる湿式処理工程でさらに崩壊性が向上する。
4.湿式処理I
還元拡散後の反応生成物、またはそれを水素処理して得られた反応生成物は、次に湿式処理を行い、希土類−遷移金属系母合金粉末から酸化カルシウムなどの還元剤成分に起因する副生成物(残留不純物)を分離除去する。この湿式処理は、水洗処理と酸洗浄処理からなり、以下、湿式処理Iともいう。
この場合、反応生成物は、可及的速やかに湿式処理工程に持ち込むことが望ましい。その理由は、反応生成物を長時間大気中に放置すると、還元拡散で生成した希土類−遷移金属系母合金粉末が酸化してしまうと同時に、炭酸カルシウムなどの還元剤成分の炭酸化物が生成してしまうため除去しにくくなり、その結果、窒化が均一に進行せず、最終的に得られた磁性粉末の磁化、保磁力、角形性が低下するためである。したがって、崩壊した反応生成物は、大気中では3日以内、好ましくは1日以内、仕掛品として不活性ガス雰囲気中に保管する場合には2週間以内に湿式処理するとよい。
<水洗>
湿式処理Iでは、まず反応生成物を水中に投入する。このとき反応生成物中の酸化カルシウムはCa(OH)となる。また生成物中に余剰のCaが金属状態または水素化物として残留する場合には、水素ガスを発生しながら崩壊が進行する。引き続きデカンテーション−注水−デカンテーションを繰り返し行い、Ca(OH)の多くを除去する。
適切に水素処理された反応生成物は、水中に投入すると、一層激しく水と反応する。水素化された反応生成物は、通常、水中に投入し、0.1〜3時間攪拌すると、細かく崩壊しスラリー化する。得られたスラリーは、粗い篩を通し水洗槽に移す。このときスラリーのpHは11〜12程度であり、崩壊しないで篩上に残留する塊は殆どなくなり、残ったロスを非常に少ないものとすることができる。
その後、スラリーのpHが10以下になるまでデカンテーションを繰り返す。粉末の水崩壊性が高いために、スラリーのpHが10になるまでの合計水洗時間は120分以内ですむ。
<酸洗浄>
次に、酸性水溶液を用いて母合金粉末を酸洗浄する。酸性水溶液は、酢酸または塩酸の少なくとも一種からなる酸を用いることが望ましい。この酸洗浄は、従来も残留するCa(OH)を除去するために行われているが、上記した原料の配合組成と、この酸洗浄によって決定される希土類−遷移金属系母合金粉末の希土類元素組成が、良好な磁気特性を得るためにも重要である。
すなわち、本発明において、乾燥して得られる希土類−遷移金属系母合金の希土類組成が、母合金の主相となる金属間化合物の化学量論組成に対して0.4重量%以上過剰となるように、原料の配合組成と酸洗浄の条件を決定することが重要である。
過剰な希土類成分が存在することによって、主相となる金属間化合物相よりも希土類リッチな副相を形成するが、還元拡散法においては、その反応機構から、多くの場合、該希土類リッチな副相は、主相となる希土類−遷移金属系母合金粉末の表面や粒界に存在している。その量や存在形態は、還元拡散熱処理条件などにも影響されるが、原料の配合組成と酸洗浄の条件により強く影響される。配合組成については、前記したとおり、希土類酸化物量を理論量より多くすると、得られる希土類−遷移金属系母合金粉末の希土類元素組成が多くなる。
これに対して、酸洗浄においては、該希土類リッチ相(副相)の溶解速度は主相に比べて早いが、実際には、希土類−遷移金属系母合金主相も水溶液中に溶解しているので、酸洗浄における水素イオン濃度や洗浄時間の設定によって、得られる希土類−遷移金属系母合金粉末の希土類組成は変わってくる。
一般に、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の希土類リッチ相は、主相に比べて永久磁石としての磁気特性が低いので、磁性粉末の飽和磁化を高めるためには可能な限り少なくするのが望ましい。しかしながら、先に述べたように、希土類−遷移金属系母合金粉末の段階で、該希土類リッチな副相を低減し主相比率を高めようとすると、最終的に得られる希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の保磁力や角形性が低下する。この理由は明らかでないが、該希土類リッチな副相の存在は、湿式処理による汚染から希土類−遷移金属系母合金粉末主相を保護するものと考えられる。
本発明において、酸洗浄は、水素イオン濃度が上記のpH4〜6の範囲で実施すればよく、洗浄時間などの他の条件は、原料の配合組成に対して、乾燥後に得られる希土類−遷移金属系母合金の希土類組成が、依然として該母合金の主相となる金属間化合物の化学量論組成に対して0.4重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1.0重量%以上過剰となるように設定すればよい。過剰量が0.4重量%未満では、最終的に得られる希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の保磁力や角形性が低下する。なお水溶液中の水素イオン濃度については、pH4未満では、母合金の溶解速度が大きすぎて均一に洗浄するためには洗浄時間の調整が難しく、pHが6を超えるとその溶解速度が極端に遅く母合金粉末の酸化が進行し好ましくない。また、洗浄時間は、用いる酸水溶液のpHなどによって異なるので、厳密に規定できないが、30分間以内、好ましくは25分間以内とする。
このような処理終了後には、希土類−遷移金属系母合金粉末を、例えば水洗し、アルコールあるいはアセトン等の有機溶媒で脱水し、不活性ガス雰囲気中または真空中で乾燥することで、窒化処理工程に持ち込む希土類−遷移金属系母合金粉末を得ることができる。
5.窒化処理
次に、上記により処理された希土類−遷移金属系母合金を窒化処理して、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を製造する。
窒化処理は、希土類−遷移金属系母合金を窒素含有雰囲気で加熱するものであり、公知の方法を用いることができる。例えば、Nガス雰囲気、NガスとHガスの混合雰囲気、NHガスとHガスの混合雰囲気中、250〜600°C、好ましくは400〜500°C、より好ましくは420〜480°Cの温度範囲で母合金微粉末を加熱することにより行うことができる。加熱温度が250°C未満では窒化が進まず、一方、600°Cを超えると合金が希土類元素の窒化物と鉄に分解するので好ましくない。
加熱装置としては、静置式加熱炉、流動床式加熱炉、回転式加熱炉等を用いることができるが、合金粉末とガスとの接触を均一にするためには、粉末を攪拌しながら窒化するとよい。加熱温度が低すぎたり加熱時間が短かすぎると、粉末内部に未窒化相が残り、逆に温度が高すぎたり加熱時間が長すぎると、過窒化となり、得られる磁性粉末の磁化、保磁力、角形性が低下するため、適宜処理条件を最適化しなければならない。
また、上記熱処理温度範囲における、熱処理時間、窒化雰囲気として混合ガス雰囲気とするときのガス比率は、希土類−遷移金属系母合金粉末の粒径や表面状態などによって、目標窒素量となるよう適宜選択される。
希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の目標窒素量は、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するSmFe17合金を例に挙げれば、2.6〜3.9重量%、望ましくは3.0〜3.6重量%、さらに望ましくは3.1〜3.5重量%である。また、正方晶系のThMn12型結晶構造を有するNdFe11TiN合金であれば、1.5〜2.1重量%、望ましくは1.6〜1.9重量%である。さらに、単斜晶系のR(Fe、Ti)29型結晶構造を有するSm(Fe、Cr)29合金であれば、2.5〜4.2重量%、望ましくは3.5〜4.0重量%である。なお、窒素量は、例えば、LECO社製TC−336/TC−436ARを用いて不活性ガス−インパルス加熱融解−熱伝導度法によって評価できる。
なお、上記窒化熱処理に引き続いて、水素ガスおよび/または不活性ガス中で合金粉末を熱処理してもよい。ここで熱処理すると、磁性粉末内部の窒素分布が均一化され、磁気特性のうち角形性を向上させることができる。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウムガスなどを使用できる。ただし先の窒化処理雰囲気が窒素の場合には、窒素以外の雰囲気を選択する。熱処理時間は、最終的に得られる本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末において、上記目標窒素量の範囲となるように適宜設定すればよい。
6.湿式処理II
窒化処理して得られた希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末は、その主相の化学量論組成に対して、なお希土類組成が過剰であるため、さらに、第二の工程で湿式処理を行う。ここでの湿式処理を、前記湿式処理Iと区別するために、以下、湿式処理IIともいう。
希土類−遷移金属系母合金粉末に過剰に含まれた希土類元素は、窒化後も希土類リッチな副相として存在し、この希土類リッチな副相は、希土類−遷移金属−窒素系合金の主相に比べて磁性の弱い相である。
本発明において希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の主相とは、磁気特性に寄与する相であって、菱面体晶系のSmFe17合金であればThZn17型結晶構造を有するSmFe17化合物相であり、正方晶系のNdFe11TiN合金であればThMn12型結晶構造を有するNdFe11TiN化合物相であり、単斜晶系のSm(Fe、Cr)29合金であればR(Fe、Ti)29型結晶構造を有するSm(Fe、Cr)29化合物相である。また、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の副相とは、一般に主相以外のすべての相を指すが、母合金粉末の場合と同様に、本発明では主相よりも希土類リッチな相を意味するものとする。
希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末に過剰に含まれた希土類元素は、飽和磁化を低下させる原因となるために、上記磁性粉末を、酸性水溶液を用いて改めて酸洗浄することが必要である。酸性水溶液としては、酢酸または塩酸の少なくとも一種からなる水溶液を用いることが好ましい。
このときの酸性水溶液の水素イオン濃度は、pH4〜6の範囲に調整して洗浄処理を実施するとよい。pH4未満では、上記磁性合金主相の溶解速度が大きすぎて、均一に洗浄するためには洗浄時間の調整が難しく、pHが6を超えるとその溶解速度が極端に遅く希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の酸化が進行するので好ましくない。
洗浄時間などの条件は、最終的に得られる本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末において、その主相の化学量論組成に対する希土類元素の過剰量が0.4重量%以下、好ましくは0.1重量%以下となるように適宜設定すればよい。0.4重量%を超えると、本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の飽和磁化が従来と同等レベルに留まり、特性の向上が見られず好ましくない。洗浄時間は、用いる酸水溶液のpHなどによって異なるので、厳密に規定できないが、10分間以上とする。ただし、長すぎると希土類元素が必要以上に溶出してしまうので、好ましくは40分間以内とする。
酸洗浄の後、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末は、水洗および/または脱水(乾燥)する。後者の処理には、アルコールあるいはアセトン等の有機溶媒を用いることができる。
7.熱処理
上記湿式処理IIで処理された希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末は、不可避不純物である水素を含有している。そこで、第二の工程の後で、磁性粉末を熱処理して不可避不純物である水素の含有量を低減することができる。ただし、上記湿式処理IIが終了した段階で、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の水素含有量が十分低い値であれば、高い保磁力や角形性が実現できるので熱処理しなくてもよい。
熱処理を行うことで、水素の含有量を0.10重量%以下、好ましくは0.05重量%以下とすることが望ましい。なお、水素含有量は、不活性ガス−インパルス加熱融解−カラム分離−熱伝導度法によって評価することができる。磁性粉末中の水素の含有量が0.10重量%を超える場合には、真空中または不活性ガス雰囲気中、500°C以下の温度で熱処理することが好ましい。
不活性ガス雰囲気としては、アルゴン、窒素、ヘリウムなどを用いることができる。熱処理温度が500°Cを超えると、α−Feの生成により磁気特性の劣化が起こるので好ましくない。一方、熱処理温度が150°C未満では、温度が低すぎて水素含有量を低減することが難しい。したがって150〜500°C、好ましくは200〜300°Cの範囲の温度で熱処理するのがよい。この熱処理は、酸洗浄または必要に応じて引き続いて行われる水洗および/または有機溶媒による脱水後の乾燥と同時に行うことができる。
熱処理時間は、最終的に得られる本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末において、水素含有量が0.10重量%以下となるように適宜設定すればよい。非酸化性雰囲気として窒素ガスを選択する場合には、最終的に得られる本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末において、先に述べた目標窒素量の範囲内となるように設定することが望ましい。
8.希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末は、上記の方法で製造された希土類−遷移金属母合金に窒素を導入し、さらに湿式処理を行って得られた磁石合金粉末である。
この磁性粉末は、上記したように菱面体晶系または正方晶系または単斜晶系の少なくとも一種の結晶構造を有する主相からなるものである。例えば、菱面体晶系の磁性粉末としては、ThZn17型結晶構造を有するSmFe17化合物、正方晶系の磁性粉末としては、ThMn12型結晶構造を有するNdFe11TiN化合物、そして単斜晶系の磁性粉末としては、R(Fe、Ti)29型結晶構造を有するSm(Fe、Cr)29化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に菱面体晶系の結晶構造であるSmFe17化合物は、高い磁気特性を有しており好ましい磁性粉末である。この磁性粉末にあっては、種々の磁石特性の改善を目的として、Smを他の希土類元素で部分的に置換することができる。ただし、希土類元素の60重量%以上はSmとすることが望ましい。希土類元素が60重量%未満になると、磁気異方性が低下し高い保磁力が得られにくくなるからである。Feについても同様の目的で、他の遷移金属で部分的に置換することができる。特に、CoをFeの30重量%以下置換すると、化合物のキュリー温度が向上し、磁化の温度係数を小さくすることができる。Co置換量がFeの30重量%を超えると、キュリー温度は高くなるものの、飽和磁化が低下するので好ましくない。
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末は、希土類元素の過剰量が、主相の化学量論組成に対して0.4重量%以下であり、水素の含有量が0.10重量%以下である。また、磁性粉末の平均粒径は、その結晶構造などによって異なるために特に限定するものではないが、100μm以下、特に50μm以下が望ましい。菱面体晶系の結晶構造であるSmFe17化合物の場合、例えば、1〜10μmとすることができる。このように粒径が小さい場合、比表面積が大きいことから、酸素を含む雰囲気で磁性粉末を取り扱うと容易に酸化し、窒化後の磁性粉末の磁気特性が低下するため、取り扱いに注意する必要がある。そのため、必要により磁性粉末を表面処理することができる。表面処理には、シラン系、チタネート系、アルミネート系など各種カップリング剤を用いることができる。
希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末は、樹脂バインダーと混合してボンド磁石用コンパウンドを調製することができる。この希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末には、その求められる磁気特性に合わせてNd−Fe−Bなどの希土類−遷移金属−ホウ素系磁石粉、フェライト磁石粉、アルニコ磁石粉等、通常、ボンド磁石の原料となる各種の磁性粉末を混合しても良い。異方性磁石だけでなく、等方性磁性粉末も混合できるが、異方性磁場(HA)が4.0MA/m(50kOe)以上の磁性粉末を用いることが好ましい。ボンド磁石に用いられる樹脂バインダーは、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。
そして、このボンド磁石用コンパウンドを射出成形、押出成形、又は圧縮成形すればボンド磁石を製造することができる。特に好ましい成形方法は、薄肉で小型の複雑な形状の磁石を得ることが可能な射出成形である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
本発明では、次の方法で母合金粉末および磁性粉末の成分組成、磁性粉末の結晶構造、磁気特性を測定し、評価した。
母合金粉末および磁性粉末の希土類元素については、セイコー電子工業製SPS4000を用いたICP発光分析法で測定した。窒素については、LECO社製TC−336/TC−436ARを用いた不活性ガス−インパルス加熱融解−熱伝導度法で測定した。また、水素については、堀場製作所製EMGA−621を用いた不活性ガス−インパルス加熱融解−カラム分離−熱伝導度法で評価した。
また、磁性粉末の結晶構造については、粉末X線回折装置(Cu−Kα、理学電機株式会社製 Rotaflex RAD−rVB、マックサイエンス株式会社製 SUN SP/IPX)によって評価した。
得られた磁性粉末の磁気特性は、最大印加磁界1200kA/mの振動試料型磁力計(東英工業株式会社製、VSM−3)で測定した。試料は、日本ボンド磁石工業協会「ボンド磁石試験法ガイドブック」BMG−2005に準じて、1600kA/mの配向磁界をかけて作製し、4000kA/mの磁界で着磁してから評価した。磁性粉末の磁気特性は、SmFe17磁性粉末であれば、Jmが1.4T以上、Hcが570kA/m以上、Hkが250kA/m以上を目標としている。
(実施例1)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)243gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.6%)100gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)40gをミキサーで混合した。
これをスチール反応容器に挿入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、4時間保持し冷却した。反応容器から取り出した多孔質塊状の反応生成物を純水中に投入したところ、崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後1分間攪拌し、次いでデカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に20分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、Sm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.5重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.4重量%である。
得られたSmFe17母合金粉末を管状炉に挿入し、アンモニア分圧が0.5のアンモニア−水素混合ガス気流中、450°Cで300分保持し、その後、同温度でアルゴンガス気流に切り替え、30分保持し冷却した。
次に、管状炉から取り出したSm−Fe−N磁性粉末を純水中に投入し、攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0を10分間保持した後、濾過し磁性粉末をエタノールで洗浄した。得られた粉末を管状炉に挿入し、100Paの真空中、300°Cで1時間熱処理した後に冷却し、本発明のSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.5重量%、N組成が3.3重量%、Hが0.037重量%で、菱面体晶系ThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.2重量%である。
この粉末を、エタノールを粉砕溶媒としたボールミルで、平均粒径が2.6μmとなるように粉砕し、室温で真空乾燥した。得られたSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.43T、Hcが700kA/m、Hkが390kA/mだった。なお、ThZn17型結晶構造の格子定数から算出された粉末のX線密度は7.67g/ccで、この値で最大磁気分極Jmを換算している。Hcは保磁力である。また、Hkは減磁曲線の角形性を表し、第二象限において、磁気分極JがBrの90%の値を取るときの減磁界の大きさである。
このようにして原料粉末などから還元拡散法で母合金粉末を製造し、湿式処理Iを行った後、母合金を窒化し、さらに湿式処理IIを行って磁性粉末を製造した。その製造条件と得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(実施例2)
希酢酸を滴下しpH5.0に10分間保持した以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.6重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.5重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、pH4.0で10分間、希酢酸による湿式処理を行ったことと、真空の代わりにアルゴンガス気流中で熱処理したこと以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、熱処理することによって、本発明のSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.7重量%、N組成が3.4重量%、Hが0.032重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.4重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.41T、Hcが730kA/m、Hkが410kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(実施例3)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)243gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.6%)110gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45gをミキサーで混合した。
これをスチール反応容器に挿入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、4時間保持し冷却した。30°Cまで温度が下がった時点で、ロータリーポンプで容器内を100Paまで減圧し、次いで、ゲージ圧で20kPaとなるまで水素ガスを導入したところ、反応生成物は水素を吸収し150°Cまで発熱した。なお、水素吸収中には、容器内のゲージ圧が20kPaを維持するよう水素ガスを供給し続けた。水素吸収が終了してから、30°C以下で反応生成物を容器から取り出したところ、10mm以下に崩壊していた。この崩壊した生成物を純水中に投入したところ、ガスを発生しながら、さらに細かく崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後1分間攪拌し、次いで、デカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら、酢酸と30%塩酸を50vol%ずつ混合した混酸を希酸として滴下し、pH5.0に15分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、Sm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が25.2重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は1.1重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸を用いた湿式処理をpH5.0で25分間とした以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、本発明のSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.4重量%、N組成が3.4重量%、Hが0.041重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.1重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.44T、Hcが810kA/m、Hkが430kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(実施例4)
反応生成物の水素処理を250°Cで実施したことと、希酸を滴下しpH5.0に10分間保持したこと以外は、実施例3と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が25.2重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は1.1重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.5で40分間とした以外は、実施例3と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、本発明のSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.3重量%、N組成が3.2重量%、Hが0.034重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.0重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.46T、Hcが660kA/m、Hkが340kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(実施例5)
希酢酸を滴下しpH5.5に20分間保持した以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.5重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.4重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.0で15分間とし、湿式処理後の真空熱処理温度を200°Cとした以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、本発明のSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.4重量%、N組成が3.5重量%、Hが0.058重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.1重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.43T、Hcが630kA/m、Hkが320kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(実施例6)
希酸として30%塩酸を用いてpH5.0に20分間保持した以外は、実施例3と同様にして、Sm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.8重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.7重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.0で20分間としたこと、真空熱処理温度を120°Cとしたこと以外は、実施例3と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、本発明のSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.4重量%、N組成が3.6重量%、Hが0.092重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.1重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.44T、Hcが610kA/m、Hkが300kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(実施例7)
希酢酸を滴下しpH5.0に15分間保持した以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.5重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.4重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.0で20分間とし、湿式処理後の熱処理をアルゴンガス気流中470°Cとした以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、熱処理することによって、本発明のSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.4重量%、N組成が3.2重量%、Hが0.023重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.1重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.45T、Hcが750kA/m、Hkが380kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(実施例8)
希酢酸を滴下しpH5.0に22分間保持した以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.5重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.4重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.0で10分間としたことと、真空熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理することによって、本発明のSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.6重量%、N組成が3.3重量%、Hが0.079重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.3重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.41T、Hcが620kA/m、Hkが310kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(従来例1)
実施例2で得られたSm−Fe母合金粉末を管状炉に挿入し、アンモニア分圧が0.5のアンモニア−水素混合ガス気流中450°Cで300分保持し、その後、同温度でアルゴンガス気流に切り替え30分保持し冷却した。
得られたSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.8重量%、N組成が3.5重量%、Hが0.035重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.5重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.35T、Hcが730kA/m、Hkが420kA/mだった。
Sm−Fe−N磁性粉末の過剰Sm量を0.4重量%以下とするための、窒化後の湿式処理IIを行っていないので、実施例1〜8と比較して飽和磁気分極Jmが小さくなっているのが分かる。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(従来例2)
希酢酸を滴下しpH5.0に25分間保持した以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.4重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.3重量%である。
得られたSm−Fe母合金粉末を管状炉に挿入し、アンモニア分圧が0.5のアンモニア−水素混合ガス気流中450°Cで300分保持し、その後、同温度でアルゴンガス気流に切り替え、30分保持し冷却した。
得られたSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.5重量%、N組成が3.1重量%、Hが0.033重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.2重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.41T、Hcが430kA/m、Hkが180kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。Sm−Fe−N磁性粉末の過剰Sm量を0.4重量%以下とするために、Sm−Fe母合金粉末の過剰Sm量を0.4重量%以下に低減させてしまうと、実施例1〜8に比較して、飽和磁気分極Jmは同等であるものの、HcとHkが低下してしまうのが分かる。
(比較例1)
希酢酸を滴下しpH5.0に35分間保持した以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.4重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.3重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.0で10分間としたこと以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、Sm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.5重量%、N組成が3.2重量%、Hが0.048重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.2重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.44T、Hcが540kA/m、Hkが250kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。従来例2と同様、Sm−Fe母合金粉末の過剰Sm量を0.4重量%以下に低減させてしまうと、実施例1〜8に比較して、飽和磁気分極Jmは同等であるものの、HcとHkが低下してしまうのが分かる。
(比較例2)
希酢酸を滴下しpH5.0に60分間保持した以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.2重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.1重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.0で10分間としたことと、真空熱処理の温度を400°Cとしたこと以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、Sm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.3重量%、N組成が3.0重量%、Hが0.031重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.0重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.44T、Hcが470kA/m、Hkが230kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。従来例2や比較例1と同様、Sm−Fe母合金粉末の過剰Sm量を0.4重量%以下に低減させてしまうと、実施例1〜8に比較して、飽和磁気分極Jmは同等であるものの、HcとHkが低下してしまうのが分かる。
(比較例3)
希酢酸を滴下しpH5.5に10分間保持した以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.6重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.5重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.5で10分間としたこと以外は、実施例1と同様に窒化し湿式処理し真空熱処理することによって、Sm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.8重量%、N組成が3.5重量%、Hが0.043重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.5重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.38T、Hcが670kA/m、Hkが350kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。窒化後の湿式処理IIにおいて、Sm−Fe−N磁性粉末の過剰Sm量が0.4重量%以下となっていないので、実施例1〜8に比較して飽和磁気分極Jmが小さくなっているのが分かる。
(実施例9)
希酸を滴下しpH5.0に18分間保持したこと以外は、実施例3と同様にしてSm−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が25.0重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が24.1重量%であるから、過剰のSm量は0.9重量%である。
このSmFe17母合金粉末を、希酢酸による湿式処理をpH5.0で25分間としたことと、その後の真空熱処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様に窒化し、湿式処理することによって、Sm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.4重量%、N組成が3.4重量%、Hが0.105重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.1重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.40T、Hcが420kA/m、Hkが210kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。最終的に得られたSm−Fe−N磁性粉末のH量が0.1重量%を超えていると、実施例1〜8に比較してHcとHkが低下していることが分かる。
(実施例10)
実施例9で窒化後に湿式処理IIして得られたSm−Fe−N磁性粉末を用い、これを管状炉に挿入し、100Paの真空中、250°Cで1時間熱処理した後に冷却した。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.4重量%、N組成が3.4重量%であり実施例9と変わらなかったが、Hが0.048重量%に減少した。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.41T、Hcが630kA/m、Hkが330kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。真空熱処理によって、Hを0.10重量%以下にすることで、実施例9に比べてHcとHkが向上することが分かる。
(実施例11)
Sm−Fe−N磁性粉末を湿式処理した後に行う真空熱処理温度を510°Cとした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N磁性粉末を得た。
このSm−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が23.5重量%、N組成が3.2重量%、Hが0.020重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであり、またX線回折でα−Feの生成が認められた。SmFe17化学量論組成のSm量が23.3重量%であるから、過剰のSm量は0.2重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.42T、Hcが500kA/m、Hkが170kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。真空熱処理温度が500°Cを超えると、α−Feが生成しHcとHkが低下することが分かる。
(実施例12)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)520gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.6%)157gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化ランタン粉末(La純度99.6%)78gとを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)100gをミキサーで混合した。
これをスチール反応容器に挿入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、4時間保持し冷却した。30°Cまで温度が下がった時点で、ロータリーポンプで容器内を100Paまで減圧し、次いでゲージ圧で20kPaとなるまで水素ガスを導入したところ、反応生成物は水素を吸収し120°Cまで発熱した。なお、水素吸収中には、容器内のゲージ圧が20kPaを維持するよう水素ガスを供給し続けた。水素吸収が終了し、30°C以下で反応生成物を容器から取り出したところ、10mm以下に崩壊していた。この崩壊した生成物を純水中に投入したところ、ガスを発生しながらさらに細かく崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後1分間攪拌し、次いで、デカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に20分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノールで数回洗浄し40°Cで真空乾燥することによって、(Sm0.65La0.35)−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が16.1重量%、La組成が7.9重量%、合計の希土類組成が24.0重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。(Sm0.65La0.35Fe17化学量論組成の希土類元素量が23.6重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.4重量%である。
この(Sm0.65La0.35Fe17母合金粉末を、窒化時間を325分間としたことと、希酢酸を用いた湿式処理をpH5.0で30分間としたこと、および真空熱処理温度を250°Cとしたこと以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、本発明の(Sm0.65La0.35)−Fe−N磁性粉末を得た。
この(Sm0.65La0.35)−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が15.3重量%、La組成が7.6重量%、合計希土類元素組成が22.9重量%、N組成が3.4重量%、Hが0.040重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。(Sm0.65La0.35Fe17化学量論組成の希土類元素量が22.8重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.1重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得た(Sm0.65La0.35)−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.46T、Hcが570kA/m、Hkが250kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(従来例3)
窒化後の(Sm0.65La0.35)−Fe−N磁性粉末に対する湿式処理と真空熱処理を行わなかった以外は、実施例12と同様にして(Sm0.65La0.35)−Fe−N磁性粉末を得た。
この(Sm0.65La0.35)−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が15.5重量%、La組成が7.8重量%、合計希土類元素組成が23.3重量%、N組成が3.5重量%、Hが0.035重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。(Sm0.65La0.35Fe17化学量論組成の希土類元素量が22.8重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.5重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得た(Sm0.65La0.35)−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.34T、Hcが580kA/m、Hkが270kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。(Sm0.65La0.35)−Fe−N磁性粉末の過剰希土類元素量を0.4重量%以下とするための、窒化後の湿式処理IIを行っていないので、実施例12に比較して飽和磁気分極Jmが小さくなっているのが分かる。
(実施例13)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)510gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.6%)219gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化イットリウム粉末(Y純度99.6%)14gとを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)100gをミキサーで混合した。
これをスチール反応容器に挿入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、4時間保持し冷却した。30°Cまで温度が下がった時点で、ロータリーポンプで容器内を100Paまで減圧し、次いで、ゲージ圧で20kPaとなるまで水素ガスを導入したところ、反応生成物は水素を吸収し130°Cまで発熱した。なお、水素吸収中には、容器内のゲージ圧が20kPaを維持するよう水素ガスを供給し続けた。水素吸収が終了し30°C以下で反応生成物を容器から取り出したところ、10mm以下に崩壊していた。この崩壊した生成物を純水中に投入したところ、ガスを発生しながら、さらに細かく崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後1分間攪拌し、次いで、デカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に10分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、(Sm0.90.1)−Fe母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が22.6重量%、Y組成が1.5重量%、合計の希土類元素組成が24.1重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。(Sm0.90.1Fe17化学量論組成の希土類元素量が23.3重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.8重量%である。
この(Sm0.90.1Fe17母合金粉末を、窒化時間を360分間としたことと、希酢酸を用いた湿式処理をpH5.0で50分間としたこと以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、本発明の(Sm0.90.1)−Fe−N磁性粉末を得た。
この(Sm0.90.1)−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が21.3重量%、Y組成が1.4重量%、合計希土類元素組成が22.7重量%、N組成が3.3重量%、Hが0.037重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。(Sm0.90.1Fe17化学量論組成の希土類元素量が22.5重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.2重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得た(Sm0.90.1)−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.49T、Hcが610kA/m、Hkが300kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(従来例4)
窒化後の(Sm0.90.1)−Fe−N磁性粉末に対する湿式処理と真空熱処理を行わなかった以外は、実施例13と同様にして(Sm0.90.1)−Fe−N磁性粉末を得た。
この(Sm0.90.1)−Fe−N磁性粉末は、Sm組成が21.8重量%、Y組成が1.4重量%、合計希土類元素組成が23.2重量%、N組成が3.3重量%、Hが0.032重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。(Sm0.90.1Fe17化学量論組成の希土類元素量が22.5重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.7重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得た(Sm0.90.1)−Fe−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.39T、Hcが610kA/m、Hkが320kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。(Sm0.90.1)−Fe−N磁性粉末の過剰希土類元素量を0.4重量%以下とするための、窒化後の湿式処理IIを行っていないので、実施例13に比較して飽和磁気分極Jmが小さくなっているのが分かる。
(実施例14)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)680gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.6%)345gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化コバルト粉末(Co純度99.6%)110gとを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)230gをミキサーで混合した。
これをスチール反応容器に挿入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、4時間保持し冷却した。30°Cまで温度が下がった時点で、ロータリーポンプで容器内を100Paまで減圧し、次いでゲージ圧で20kPaとなるまで水素ガスを導入したところ、反応生成物は水素を吸収し160°Cまで発熱した。なお、水素吸収中には、容器内のゲージ圧が20kPaを維持するよう水素ガスを供給し続けた。水素吸収が終了し、30°C以下で反応生成物を容器から取り出したところ、5mm以下に崩壊していた。この崩壊した生成物を純水中に投入したところ、ガスを発生しながら、さらに細かく崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後1分間攪拌し、次いで、デカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に13分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、Sm−(Fe0.9Co0.1)母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が24.5重量%で、ThZn17型結晶構造を主相とするものであった。Sm(Fe0.9Co0.117化学量論組成のSm量が24.0重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.5重量%である。
このSm(Fe0.9Co0.117母合金粉末を、窒化時のアンモニア−水素混合ガス気流のアンモニア分圧を0.6としたことと、希酢酸を用いた湿式処理をpH5.0で15分間としたこと、および真空熱処理温度を350°Cとしたこと以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、本発明のSm−(Fe0.9Co0.1)−N磁性粉末を得た。
このSm−(Fe0.9Co0.1)−N磁性粉末は、Sm組成が23.4重量%、N組成が3.4重量%、Hが0.031重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。Sm(Fe0.9Co0.117化学量論組成のSm量が23.2重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.2重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−(Fe0.9Co0.1)−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.43T、Hcが710kA/m、Hkが330kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(従来例5)
窒化後のSm−(Fe0.9Co0.1)−N磁性粉末に対する湿式処理と真空熱処理を行わなかった以外は、実施例14と同様にしてSm−(Fe0.9Co0.1)−N磁性粉末を得た。
このSm−(Fe0.9Co0.1)−N磁性粉末は、Sm組成が23.7重量%、N組成が3.5重量%、Hが0.033重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。Sm(Fe0.9Co0.117化学量論組成のSm量が23.2重量%であるから、過剰の希土類元素量は0.5重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−(Fe0.9Co0.1)−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.29T、Hcが720kA/m、Hkが340kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。Sm−(Fe0.9Co0.1)−N磁性粉末の過剰Sm量を0.4重量%以下とするための、窒化後の湿式処理IIを行っていないので、実施例14に比較して飽和磁気分極Jmが小さくなっているのが分かる。
(実施例15)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)760gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化ネオジム粉末(Nd純度99.6%)260gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める二酸化チタン粉末(TiO純度99.6%)98gとを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)230gをミキサーで混合した。
これをスチール反応容器に挿入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1100°Cまで昇温し、4時間保持し冷却した。30°Cまで温度が下がった時点で、ロータリーポンプで容器内を100Paまで減圧し、次いで、ゲージ圧で20kPaとなるまで水素ガスを導入したところ、反応生成物は水素を吸収し100°Cまで発熱した。なお、水素吸収中には、容器内のゲージ圧が20kPaを維持するよう水素ガスを供給し続けた。水素吸収が終了し30°C以下で反応生成物を容器から取り出したところ、5mm以下に崩壊していた。この崩壊した生成物を純水中に投入したところ、ガスを発生しながら、さらに細かく崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後1分間攪拌し、次いで、デカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に15分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、Nd−Fe−Ti母合金粉末を得た。
この粉末は、Nd組成が18.5重量%で、ThMn12型結晶構造を主相とするものであった。NdFe11Ti化学量論組成のNd量が17.9重量%であるから、過剰のNd量は0.6重量%である。
このNdFe11Ti母合金粉末を、窒化時のアンモニア−水素混合ガス気流のアンモニア分圧を0.35としたことと、希酢酸を用いた湿式処理をpH5.0で25分間としたこと、および真空熱処理温度を150°Cとしたこと以外は、実施例1と同様に窒化し、湿式処理し、真空熱処理することによって、本発明のNd−Fe−Ti−N磁性粉末を得た。
このNd−Fe−Ti−N磁性粉末は、Nd組成が17.7重量%、N組成が1.8重量%、Hが0.053重量%で、正方晶系のThMn12型結晶構造を有するものであった。NdFe11TiN化学量論組成のNd量が17.6重量%であるから、過剰のNd量は0.1重量%である。
この磁性粉末を、平均粒径が2.2μmとなるようにした以外は実施例1と同様にして、粉砕して得たNd−Fe−Ti−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.34T、Hcが450kA/m、Hkが150kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(従来例6)
窒化後のNd−Fe−Ti−N磁性粉末に対する湿式処理と真空熱処理を行わなかった以外は、実施例15と同様にしてNd−Fe−Ti−N磁性粉末を得た。
このNd−Fe−Ti−N磁性粉末は、Nd組成が18.1重量%、N組成が1.9重量%、Hが0.049重量%で、正方晶系のThMn12型結晶構造を有するものであった。NdFe11TiN化学量論組成のNd量が17.6重量%であるから、過剰のNd量は0.5重量%である。
この磁性粉末を実施例12と同様にして粉砕して得たNd−Fe−Ti−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.29T、Hcが450kA/m、Hkが140kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。Nd−Fe−Ti−N磁性粉末の過剰Nd量を0.4重量%以下とするための、窒化後の湿式処理IIを行っていないので、実施例15に比較して飽和磁気分極Jmが小さくなっているのが分かる。
(実施例16)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)680gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.6%)340gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化クロム粉末(Cr純度99.6%)164gとを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)297gをミキサーで混合した。
これをスチール反応容器に挿入し、容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1000°Cまで昇温し、4時間保持し冷却した。30°Cまで温度が下がった時点で、ロータリーポンプで容器内を100Paまで減圧し、次いで、ゲージ圧で20kPaとなるまで水素ガスを導入したところ、反応生成物は水素を吸収し140°Cまで発熱した。なお、水素吸収中には、容器内のゲージ圧が20kPaを維持するよう水素ガスを供給し続けた。水素吸収が終了し、30°C以下で反応生成物を容器から取り出したところ、5mm以下に崩壊していた。この崩壊した生成物を純水中に投入したところ、ガスを発生しながら、さらに細かく崩壊してスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)懸濁物をデカンテーションによって分離し、純水を注水後1分間攪拌し、次いで、デカンテーションを行う操作を5回繰り返し、合金粉末スラリーを得た。得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に20分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノールで数回洗浄し40°Cで真空乾燥することによって、Sm−(Fe0.85Cr0.15)母合金粉末を得た。
この粉末は、Sm組成が22.6重量%で、RE(Fe、Ti)29型結晶構造を主相とするものであった。Sm(Fe0.85Cr0.1529化学量論組成のSm量が22.0重量%であるから、過剰のSm量は0.6重量%である。
このSm(Fe0.85Cr0.1529母合金粉末を、希酢酸を用いた湿式処理をpH5.0で35分間としたこと、および真空熱処理温度を450°Cとしたこと以外は、実施例1と同様に窒化し湿式処理し真空熱処理することによって、本発明のSm−(Fe0.85Cr0.15)−N磁性粉末を得た。
このSm−(Fe0.85Cr0.15)−N磁性粉末は、Sm組成が21.1重量%、N組成が4.0重量%、Hが0.026重量%で、単斜晶系のRE(Fe、Ti)29型結晶構造を有するものであった。Sm(Fe0.85Cr0.1529化学量論組成のSm量が21.0重量%であるから、過剰のSm量は0.1重量%である。
この磁性粉末を、平均粒径が2.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様にして、粉砕して得たSm−(Fe0.85Cr0.15)−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが1.15T、Hcが390kA/m、Hkが130kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。
(従来例7)
窒化後のSm−(Fe0.85Cr0.15)−N磁性粉末に対する湿式処理と真空熱処理を行わなかった以外は、実施例16と同様にしてSm−(Fe0.85Cr0.15)−N磁性粉末を得た。
このSm−(Fe0.85Cr0.15)−N磁性粉末は、Sm組成が21.6重量%、N組成が4.2重量%、Hが0.027重量%で、菱面体晶系のThZn17型結晶構造を有するものであった。Sm(Fe0.85Cr0.1529化学量論組成のSm量が21.0重量%であるから、過剰のSm量は0.6重量%である。
この磁性粉末を実施例1と同様にして粉砕して得たSm−(Fe0.85Cr0.15)−N磁性粉末の磁気特性は、Jmが0.99T、Hcが390kA/m、Hkが130kA/mだった。
上記母合金、磁性粉末の製造条件と、得られた磁性粉末の特性などを表1にまとめて示した。Sm−(Fe0.85Cr0.15)−N磁性粉末の過剰Sm量を0.4重量%以下とするための、窒化後の湿式処理IIを行っていないので、実施例16に比較して飽和磁気分極Jmが小さくなっているのが分かる。
Figure 2006291257
本発明によって得られる希土類−鉄−窒素系磁性粉末は、従来の磁性粉末に比べると、同等の保磁力Hcと角形性Hkを維持しながら、その希土類組成が主相の化学量論組成に近づいていることから、飽和磁気分極Jmが高いものとなる。このため、磁気特性向上が要求されるボンド磁石用の粉末として、その工業的価値は極めて大きい。

Claims (9)

  1. 還元拡散法で製造された希土類−遷移金属系母合金に窒素を導入して希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を製造する方法において、
    (1)過剰の希土類酸化物粉末と遷移金属粉末と還元剤とを含む原料混合物から、還元拡散法を利用して、母合金中に存在する希土類元素の量がその主相に存在する希土類元素の化学量論組成よりも0.4重量%以上過剰である希土類−遷移金属系母合金を製造した後に、該母合金を含窒素雰囲気中で、加熱下に窒化して希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末を得る第一の工程と、
    (2)得られた磁性粉末を、磁性粉末中に存在する希土類元素の過剰量がその主相に存在する希土類元素の化学量論組成に対して0.4重量%以下になるまで、酸性水溶液で洗浄除去した後に乾燥させる第二の工程と、
    を含むことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法。
  2. 第一の工程において、母合金を製造した後に、該母合金を水素ガス雰囲気中、500°C以下の温度で水素処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法。
  3. 第二の工程で用いる酸性水溶液が、酢酸又は塩酸の一種以上を含むpH4〜6の水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法。
  4. 第二の工程における磁性粉末の洗浄時間が、10分間以上であることを特徴とする請求項1に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法。
  5. 第二の工程の後に、磁性粉末を、さらに真空中または不活性ガス雰囲気中、500°C以下の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得られる希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末。
  7. 磁性粉末の結晶構造が、菱面体晶系、正方晶系または単斜晶系から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末。
  8. 磁性粉末の結晶構造が、菱面体晶系のRTM17合金(ここで、Rは60重量%以上がSmである希土類元素、TMは、その30重量%以下をCoで置換しうるFeからなる遷移金属元素であり、Nは2.6〜3.9重量%の窒素)であることを特徴とする請求項7に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末。
  9. 水素の含有量が0.10重量%以下であることを特徴とする請求項6に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末。
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