JP5088277B2 - 希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法に関し、特に、還元拡散法を用いた希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法に関する。
Sm−Fe−N(サマリウム−鉄−窒素)系磁石に代表される希土類−鉄−窒素系磁石は、高性能かつ安価な磁石として知られている。このSm−Fe−N系合金粉末は、Sm2Fe17X(x=3)で構成されることによって、最大の飽和磁化を示すとされている(非特許文献1参照)。
従来、希土類−鉄−窒素系合金粉末は、溶解法や還元拡散法により得た希土類−鉄合金を窒化することで得られる。例えば、Sm−Fe−N系合金粉末の場合、溶解法では、高周波炉、アーク炉などにより、FeとSm(金属)からSm−Fe合金を作製する。また、還元拡散法では、FeあるいはFe23、Sm23などと還元剤であるCaを混合加熱処理することにより、Sm−Fe合金を作製する。これらにより得られた母合金を窒化して、Sm−Fe−N系合金粉末が得られる。
このうち、還元拡散法によるSm−Fe−N系合金粉末の製造方法について、酸化サマリウム粉末と鉄粉末と粒状金属カルシウムとを混合し、不活性ガス雰囲気中で加熱することによって、テルミット反応により、酸化サマリウムを還元して、Feに拡散させることにより(Sm23+17Fe+3Ca→Sm2Fe17+3CaO)、反応生成物であるSm2Fe17合金粉末を得て、反応副生成物であるCaOを湿式処理により分離除去し、乾燥を行った後、アンモニアと水素の混合雰囲気中で加熱することにより、Sm2Fe17合金粉末を窒化することが、非特許文献2に示されている。
また、希土類酸化物粉末を還元して、遷移金属に拡散させる還元工程に引き続き、反応生成物を、Nを含有する雰囲気中で熱処理し、希土類−遷移金属合金粉末を窒化する工程を行った後、湿式処理により反応副生成物を除去し、所望の磁気特性を有する希土類−遷移金属−窒素系合金粉末を得る方法が、特許文献1〜4に記載されている。
例えば、特許文献1には、希土類酸化物粉末と、遷移金属粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および、これらの水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを混合し、この混合物を不活性雰囲気中で900〜1200℃に加熱し、反応生成物を窒素雰囲気中において300〜600℃の温度に保持して窒化した後、湿式処理を行う方法が開示されている。
これらの方法のいずれにおいても、得られた希土類−鉄−窒素系合金粉末を平均粒径10μm以下に粉砕することによって、優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系磁石粉末を製造することが可能である。
このような還元拡散法で得られる反応生成物は、一般に、数cmから数十cmの大きさである。このような大きさの反応生成物を、窒素を含有する雰囲気中で、そのまま熱処理すると、雰囲気ガスが反応生成物の内部まで拡散せずに、反応生成物のバルクの表面近傍と内部とで窒化の度合いが異なって、湿式処理後に得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末の磁気特性にばらつきが生ずることが予想されたが、実際には、比較的均一な窒化がなされている。これは、反応生成物が多孔質であり、その孔を通って窒素を含有する雰囲気ガスが、反応生成物の内部まで拡散できているためである。
しかしながら、近年の電気・電子機器の小型化、高効率化に伴い、より小型で高効率な希土類ボンド磁石が求められている。その実現には、より高い磁気特性を示す磁石合金粉末が要求される。
このため、希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法において、さらなる均一な窒化を達成するための試みがなされている。例えば、特許文献5〜7には、原料混合物に対して還元拡散処理を行い、その後、引き続き窒化処理を行ってから湿式処理を行うにあたり、還元拡散処理を終了してから還元物に水素処理を行い崩壊させ、活性な合金粉粒子を表出させることにより、均一に窒化する技術が開示されている。
特開平5−148517号公報 特開平5−271852号公報 特開平5−279714号公報 特開平6−212342号公報 特開2008−1953号公報 特開2007−84918号公報 特開2007−119909号公報 T. Iriyama, IEEE TRANSSACTIONS ON MAGNETICS, Vol. 28, No. 5 (1992) 「還元拡散法で製造するSm−Fe−N系異方性ボンド磁石」(石川 尚、日刊工業新聞社、「工業材料」1998年12号、第45〜48頁)
以上のように、より高い磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末を得るために、還元拡散法により得られた反応生成物を均一に窒化するための試みが種々行われている。
本発明も、さらに優れた保磁力(HcJ)と角形性(Hk)を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末を提供することを目的としている。特に、本発明は、このような優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末を収率よく、低コストで得ることができる製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、希土類酸化物粉末および鉄粉末を含む原料粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤とを混合した後、希土類酸化物粉末を還元して希土類元素を鉄に拡散させて、希土類−鉄系合金粒子と副生成物とを含有する多孔質塊状反応生成物を得る第1工程と、得られた多孔質塊状反応生成物を、窒素を含有する雰囲気中で熱処理して、希土類−鉄系合金粒子を窒化して、希土類−鉄−窒素系合金粉末と前記副生成物との混合粉末を得る第2工程と、湿式処理により、前記混合粉末から前記副生成物を除去して、希土類−鉄−窒素系合金粉末を分離する第3工程と、を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法に係る。
特に、本発明では、前記還元剤として、4.75mm以下の粒径を有し、70質量%以上が0.5mmを超え、2.5mm以下である粒径を有するものを用いることを特徴とする。
また、本発明では、前記還元剤は金属カルシウム粒であることが好ましい。
本発明に係る希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法によれば、保磁力(HcJ)および角形性(Hk)に優れた希土類−鉄−窒素系合金粉末を収率よく、かつ、低コストで製造すること可能となる。
本発明者は、還元拡散工程、窒化工程および湿式処理工程からなる還元拡散法による希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法について、かかる方法で得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末の磁気特性をさらに高めるために、鋭意検討を行った。
かかる製造方法において、還元剤として金属カルシウムを用いた場合、第1工程である還元拡散工程が終了した時点で得られる多孔質塊状反応生成物を観察すると、主として還元拡散反応で生成した希土類−鉄系合金粒子と、還元により生成された副生成物であるCaOとから構成されている。
これを、さらに詳細に観察したところ、希土類−鉄系合金粒子が密集している部分と、希土類−鉄系合金粒子はわずかで、副生成物であるCaOがほとんどを占める部分とが存在しており、このうち、希土類−鉄系合金粒子が密集している部分では、個々の粒子が概ね独立して存在している部分もあるが、多くの部分では、それぞれの粒子が焼結してネットワークを形成しているとの知見が得られた。
第1工程で得られる多孔質塊状反応生成物は、その多孔質性により、窒化工程である第2工程で窒素を含む反応雰囲気ガスが内部まで拡散可能ではあるが、希土類−鉄系合金粒子とCaOの分布が上述のように不均一であると、焼結により密集した部分内における希土類−鉄系合金粒子の窒化の均一性に影響を及ぼすものと考えられる。
なお、上記の説明は、還元剤として金属カルシウムを用いた一般的な場合を例にしているが、他のアルカリ金属、アルカリ土類金属、これらの水素化物を用いた場合にも同様のことがいえる。
本発明者は、かかる知見に基づいて、多孔質塊状反応生成物における希土類−鉄系合金粒子と副生成物の分布に対する還元剤の粒度の影響を鋭意検討することにより、本発明を完成したものである。
以下、本発明の希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は、基本的に、(1)希土類酸化物粉末および鉄粉末を含む原料粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤とを混合した後、希土類酸化物粉末を還元して希土類元素を鉄に拡散させて、希土類−鉄系合金粒子と副生成物とを含有する多孔質塊状反応生成物を得る第1工程と、(2)得られた多孔質塊状反応生成物を、窒素を含有する雰囲気中で熱処理して、希土類−鉄系合金粒子を窒化して、希土類−鉄−窒素系合金粉末と前記副生成物との混合粉末を得る第2工程と、(3)湿式処理により、前記混合粉末から前記副生成物を除去して、希土類−鉄−窒素系合金粉末を分離する第3工程と、を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法に係る点で、従来と同様である。
特に、本発明では、還元剤として用いられる、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらの水素化物の粒度を調整する点にある。よって、以下の説明では、本発明の特徴を中心に説明する。
[還元剤の粒度の影響]
本発明では、第1工程で用いる還元剤として、4.75mm以下の粒径を有し、70質量%以上が0.5mmを超え、2.5mm以下である粒径を有するものを用いることを特徴とする。
還元剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および、これらの水素化物のいずれか、ないしはこれらの混合物を用いることができるが、従来、取扱いの安全性およびコストの観点から、4メッシュ(タイラーメッシュ、目開き4.75mm)以下、ないしは5メッシュ(タイラーメッシュ、目開き4.00mm)以下に篩い分級した粒状金属カルシウム(Ca)が一般的に用いられている(特許文献5〜7参照)。
4メッシュ以下に篩い分級された粒状金属カルシウムについて、さらに篩い分級を行い、還元剤の粒度の影響を検討したところ、以下の知見が得られた。
すなわち、還元剤の粒度が2.5mm以下であって、かつ、0.5mmを超える場合には、第1工程で得られる多孔質塊状反応生成物において、希土類−鉄系合金粒子が密集する部分と粗になる部分がなくなり、希土類−鉄系合金粒子と副生成物であるCaOが均一に分散した状態となる。また、希土類−鉄系合金粒子同士が独立しており、焼結によりネットワークを形成している部分が少なくなる。
かかる多孔質塊状反応生成物を用いることにより、第2工程において、希土類−鉄系合金粒子に対する窒化が極めて均一に行われる。よって、湿式処理工程である第3工程後に最終的に得られる希土類−鉄系合金粉末においても、各粒子の窒化の均一性が良好であり、その保磁力(HcJ)と角形性(Hk)を高めることが可能となる。
これに対して、還元剤として、その粒度が2.5mmを超えるもののみを用いた場合には、第1工程で得られる多孔質塊状反応生成物において、希土類−鉄系合金粒子が密集した部分と粗に存在する部分とが混在するようになる。また、希土類−鉄系合金粒子が密集した部分において、粒子同士が焼結によりネットワークを形成する。
かかる場合、第2工程において、この密集部分内において粒子間で窒化に不均一が生ずることになり、希土類−鉄系合金粒子間における窒化の均一性が劣ることになる。よって、第2工程後に得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末において、十分に窒化された粒子と未窒化相を含む粒子が混在してしまい、その保磁力(HcJ)と角形性(Hk)に影響を及ぼすこととなる。
一方、還元剤として、その粒度が0.5mm以下のもののみを用いた場合には、第1工程で得られる多孔質塊状反応生成物において、希土類−鉄系合金粒子と、副生成物であるCaO以外に、希土類リッチな粒子が存在してしまう。また、希土類−鉄系合金粒子内においても、十分に希土類が拡散しなかったことに起因すると考えられる未拡散鉄相が存在してしまう。このため、最終的に得られる希土類−鉄系合金粉末における保磁力(HcJ)と角形性(Hk)が大きく低下してしまうこととなる。
なお、還元剤のすべてが、粒度が2.5mm以下であって、かつ、0.5mmを超えるものである必要はない。ただし、かかる粒度のものが、全体の70質量%未満となると、残りの30質量%以上の還元剤の粒度の影響が反映した組織を有する多孔質塊状反応生成物となり、最終的に得られる合金粉末の保磁力(HcJ)と角形性(Hk)が低下することとなる。
本発明においては、原料、各工程における手段、処理条件などについては、従来の還元拡散法を用いた製造方法に基づいて、適宜選択することができる。
例えば、本発明において用いられる希土類酸化物粉末は、特に制限されない。Smは、希土類−鉄−窒素系磁石粉末に対して高い保磁力および角形性という優れた磁石特性をもたらすことから、本発明は、特に、Smを含む希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造に好適に適用される。
また、本発明における原料粉末には、希土類酸化物粉末および鉄粉末のほか、適宜、鉄酸化物粉末、コバルト源などを含みうる。また、保磁力および角形性を高めるための添加元素、崩壊促進剤を原料粉末に添加して、共に混合してもよい。
また、第2工程における窒化処理の前に、多孔質塊状反応生成物に水素処理を施して、水素を吸収させて、該反応生成物を崩壊させてもよい。
本発明により得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末は、還元剤として金属カルシウムを用いた場合、菱面体晶Th2Zn17型結晶構造を有するが、他の結晶構造を有する合金粉末を製造する場合にも、本発明は好適に適用できる。
かかる希土類−鉄−窒素系合金粉末は、適宜、熱処理などを施した後、粒径10μm以下に粉砕され、希土類−鉄−窒素系磁石粉末として供される。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
還元剤として金属カルシウム粒(Ca純度99%)を用いた。かかる金属カルシウム粒を、最初に、4メッシュ(タイラーメッシュ、目開き4.75mm)の篩下のものについて、さらに、以下のように分級した。
・「金属カルシウム粒A」:8メッシュ(タイラーメッシュ、目開き2.36mm)の篩下であって、32メッシュ(同、目開き500μm)の篩上であるもの。
・「金属カルシウム粒B」:7メッシュ(同、目開き2.80mm)の篩上であるもの。
・「金属カルシウム粒C」:32メッシュ(同、目開き500μm)の篩下であるもの。
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10μm〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)2071gと、粒径が0.1μm〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm23純度99.5%)880gを秤量した。還元剤として、前記分級した金属カルシウムのうち、金属カルシウム粒A336gを用いて(Aを100%)、前記原料粉末とミキサーで混合して、混合物を得た。
[第1工程]
得られた混合物を、直径10cmで高さが25cmの鉄製ルツボに投入し、さらに、このルツボをステンレススチール反応容器に入れてから電気炉に装入した。
この容器内をロータリーポンプで真空引きしてArガスに置換した後、Arガスを1.0L/minの流量で流しながら1080℃まで昇温し、4時間保持した。その後、Arガスを流したまま室温まで冷却した。
次に、反応容器から取り出した多孔質塊状反応生成物を可及的速やかに別のステンレススチール容器に投入し、この容器内をロータリーポンプで真空引きして、ゲージ圧20kPaまでH2ガスに置換したところ、該反応生成物は発熱しながらH2ガスを吸収した。なお、この際、容器内の圧力がゲージ圧10kPa〜20kPaを維持するように調整した。H2ガスの吸収が終了し、温度が40℃以下になったところで、雰囲気を窒素ガスに置換して試料を回収した。得られた多孔質塊状反応生成物は、5cm以下に崩壊していることが確認された。
[第2工程]
崩壊後の多孔質塊状反応生成物を電気炉に装入し、炉内をロータリーポンプで真空引きしてから、アンモニア分圧が0.33のアンモニア−水素混合ガスを流通させて昇温し、450℃で400分間保持することによって窒化し、その後、窒素ガスに切り替えて室温まで冷却した。
回収された反応生成物は、灰色と緑色の、12メッシュ(タイラーメッシュ、目開き1.41mm)の篩を通過する粉末となっていた。これらの粉末を、粉末X線回折装置(Cu−Kα、理学電気株式会社製、Rotaflex RAD−γVB、マックスサイエンス社製、SUN SP/IPX)により分析したところ、Sm2Fe173化合物粉末と、CaOとからなることが分かった。
[第3工程]
得られた粉末を直ちに純中に投入すると、CaOはCa(OH)2となり、灰色と白色のスラリーが得られた。このスラリーから、Ca(OH)2懸濁物をデカンテーションによって除去し、合金粉末スラリーを分離した。
次に、得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら、希酢酸を滴下し、pH5.0に30分間保持した。かかるスラリーを濾過した後、数回掛水洗浄を行い、250℃で真空乾燥することによって、合金粉末を得た。
得られた合金粉末の成分組成を、希土類元素については、セイコー電子工業株式会社製、SPS4000を用いた、誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP−AES)により、窒素については、LECO社製、TC−336/S4000を用いた不活性ガス−インパルス加熱融解−熱伝導度法で評価した。
また、粉末の結晶構造について、粉末X線回折装置(Cu−Kα、理学電気株式会社製、Rotaflex RAD−γVB、マックスサイエンス社製、SUN SP/IPX)によって評価した。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.2質量%Sm−残部Fe−3.3質量%N合金粉末であった。
さらに、この合金粉末を樹脂に埋め込んで研磨し、断面を走査型電子顕微鏡(島津製作所株式会社製、SupescanSS−550)の反射電子像として観察したところ、図1に示すように、窒化ムラによる濃淡がなく、該合金粉末が均一に窒化されていることが確認された。
この合金粉末を、エタノールを溶媒として、平均粒径2.5μmまで振動ボールミル粉砕して、磁石粉末とした。得られた磁石粉末の磁気特性について、最大印可磁界1200kA/mの振動試料型磁力計(東英工業株式会社製、VSM−3)を用いて測定した。測定では、日本ボンド磁石工業協会ガイドブック、BMG−2005「ボンド磁石の温度係数試験方法」に準じて、1600kA/mの配向磁界をかけて試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁してから評価した。このときの磁石粉末の密度を7.67Mg/m3とした。
その結果、かかる磁石粉末の保磁力(HcJ)は951kA/m、角形性(Hk)は532kA/mであり、良好な磁気特性を有するSm−Fe−N磁石粉末であった。
(実施例2)
金属カルシウム粒として、Aを71質量%、Bを29質量%の比率で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.2質量%Sm−残部Fe−3.3質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は797kA/m、角形性(Hk)は481kA/mであり、良好な磁気特性を有するSm−Fe−N磁石粉末であった。
(実施例3)
金属カルシウム粒として、Aを73質量%、Bを27質量%の比率で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.1質量%Sm−残部Fe−3.3質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は821kA/m、角形性(Hk)は490kA/mであり、良好な磁気特性を有するSm−Fe−N磁石粉末であった。
(実施例4)
金属カルシウム粒として、Aを72質量%、Bを14質量%、Cを14質量%の比率で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.3質量%Sm−残部Fe−3.3質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は809kA/m、角形性(Hk)は483kA/mであり、良好な磁気特性を有するSm−Fe−N磁石粉末であった。
(実施例5)
金属カルシウム粒として、Aを90質量%、Bを7質量%、Cを3質量%の比率で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.2質量%Sm−残部Fe−3.3質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は924kA/m、角形性(Hk)は521kA/mであり、良好な磁気特性を有するSm−Fe−N磁石粉末であった。
(実施例6)
金属カルシウム粒として、Aを80質量%、Bを5質量%、Cを15質量%の比率で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.1質量%Sm−残部Fe−3.3質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は886kA/m、角形性(Hk)は499kA/mであり、良好な磁気特性を有するSm−Fe−N磁石粉末であった。
(実施例7)
第2工程において、窒化に用いたアンモニア−水素混合ガスを高純度窒素ガス(N純度99.9995%)に替えて、430℃で20時間保持したこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.1質量%Sm−残部Fe−3.0質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は898kA/m、角形性(Hk)は503kA/mであり、良好な磁気特性を有するSm−Fe−N磁石粉末であった。
(実施例8)
還元剤として、金属カルシウム粒の代わりに、8メッシュ(タイラーメッシュ、目開き2.36mm)の篩下であって、32メッシュ(同、目開き500μm)の篩上である水素化カルシウム354gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.3質量%Sm−残部Fe−3.5質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は888kA/m、角形性(Hk)は473kA/mであり、良好な磁気特性を有するSm−Fe−N磁石粉末であった。
(比較例1)
金属カルシウム粒として、金属カルシウム粒Bを100%用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.5質量%Sm−残部Fe−3.4質量%N合金粉末であった。この合金粉末について、実施例1と同様に、樹脂に埋め込んで研磨し、断面を走査型電子顕微鏡の反射電子像として観察したところ、図2に示すように、未窒化相に対応する白色部が多く、窒化ムラが存在しており、該合金粉末の窒化が不均一であることが確認された。
また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は648kA/m、角形性(Hk)は347kA/mであった。
(比較例2)
金属カルシウム粒として、金属カルシウム粒Cを100%用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、22.9質量%Sm−残部Fe−3.1質量%N合金粉末であった。この合金粉末について、実施例1と同様に、樹脂に埋め込んで研磨し、断面を走査型電子顕微鏡の反射電子像として観察したところ、図3に示すように、合金中にSmが拡散していないFe相が残留していることが確認された。
また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は451kA/m、角形性(Hk)は153kA/mであった。
(比較例3)
金属カルシウム粒として、Aを68質量%、Bを9質量%、Cを23質量%の比率で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.1質量%Sm−残部Fe−3.1質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は592kA/m、角形性(Hk)は386kA/mであった。
(比較例4)
金属カルシウム粒として、Aを65質量%、Bを30質量%、Cを5質量%の比率で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.3質量%Sm−残部Fe−3.4質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は723kA/m、角形性(Hk)は401kA/mであった。
(比較例5)
還元剤として、金属カルシウム粒の代わりに、32メッシュ(タイラーメッシュ、目開き500μm)の篩下である水素化カルシウム384gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、22.8質量%Sm−残部Fe−3.0質量%N合金粉末であった。この合金粉末について、実施例1と同様に、樹脂に埋め込んで研磨し、断面を走査型電子顕微鏡の反射電子像として観察したところ、合金中にSmが拡散していないFe相が残留していることが確認された。
また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は439kA/m、角形性(Hk)は137kA/mであった。
(比較例6)
金属カルシウム粒として、4メッシュ(タイラーメッシュ、目開き4.75mm)の篩下のものであって、さらなる分級を行わなかったものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、合金粉末および磁石粉末を順次得た。
得られた合金粉末は、Th2Zn17型結晶構造を有する、23.3質量%Sm−残部Fe−3.3質量%N合金粉末であった。また、得られた磁石粉末の保磁力(HcJ)は711kA/m、角形性(Hk)は418kA/mであった。
図1は、実施例1の希土類−鉄−窒素系合金粉末の断面の走査型電子顕微鏡の反射電子像を示す写真である。 図2は、比較例1の希土類−鉄−窒素系合金粉末の断面の走査型電子顕微鏡の反射電子像像を示す写真である。 図3は、比較例2の希土類−鉄−窒素系合金粉末の断面の走査型電子顕微鏡の反射電子像像を示す写真である。

Claims (2)

  1. 酸化サマリウム粉末および鉄粉末を含む原料粉末と、金属カルシウムまたは水素化カルシウムから選ばれる少なくとも1種の還元剤とを混合した後、酸化サマリウム粉末を還元してサマリウム元素を鉄に拡散させて、サマリウム−鉄系合金粒子と副生成物とを含有する多孔質塊状反応生成物を得る第1工程と、
    得られた多孔質塊状反応生成物を、窒素を含有する雰囲気中で熱処理して、サマリウム−鉄系合金粒子を窒化して、Sm 2 Fe 17 3 化合物粉末と前記副生成物との混合粉末を得る第2工程と、
    湿式処理により、前記混合粉末から前記副生成物を除去して、Sm 2 Fe 17 3 化合物粉末を分離する第3工程と、
    を有する、Sm 2 Fe 17 3 化合物粉末の製造方法において、
    前記還元剤として、4.75mm以下の粒径を有し、かつ、70質量%以上が0.5mmを超え、2.5mm以下である粒径を有するものを用いることを特徴とする、Sm 2 Fe 17 3 化合物粉末の製造方法。
  2. 前記還元剤は、金属カルシウム粒であることを特徴とする請求項1に記載のSm 2 Fe 17 3 化合物粉末の製造方法。
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