JP7255514B2 - 希土類磁石粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ボンド磁石等に用いられる希土類磁石粉末の製造方法等に関する。
高磁気特性を発揮する希土類磁石は、省エネルギー化や軽量化等が望まれる電化製品や自動車等の各種電磁機器に多用されている。特に、高磁束密度な(異方性)希土類焼結磁石は、電動機の界磁子の起磁源等として多量に使用されている。
それに伴い、廃棄される希土類焼結磁石のリサイクル(再生)方法が、省資源化等の観点から注目されている。これに関連する記載が、例えば、下記の特許文献1、2にある。
特開2005-2463号公報 特開2003-113429号公報 特開2001-76917号公報
特許文献1は、希土類磁石の研磨屑を酸化熱処理して、電波吸収用磁性粉体に再生することを提案している。特許文献2は、希土類磁石を再溶解して、希土類焼結磁石へ再生することを提案している。ちなみに、特許文献3には、希土類焼結磁石のリサイクルに関する記載はないが、秤量した原料を高周波溶解して製造した合金インゴットに、特定の水素処理を施して異方性希土類磁石粉末を得る製造方法に関する記載がある。
いずれの特許文献にも、希土類焼結磁石を出発原料として、水素処理(HDDR処理)を行い、希土類磁石粉末を得る旨の記載はない。なお、水素処理は、主に、吸水素による不均化反応(Hydrogenation-Disproportionation/単に「HD反応」ともいう。)と、脱水素による再結合反応(Desorption-Recombination/単に「DR反応」ともいう。)とからなる。HD反応とDR反応を併せて単に「HDDR反応」といい、その水素処理を「HDDR(処理)」ともいう。ちなみに、本明細書でいうHDDRには、改良型であるd―HDDR(dynamic-Hydrogenation-Disproportionation-Desorption-Recombination)等も含まれる。
本発明は、このような事情の下で為されたものであり、希土類焼結磁石を原料として、希土類磁石粉末を得る製造方法等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、希土類焼結磁石からなる磁石原料にHDDR処理することにより、粒度に依らず、高配向度の希土類磁石粉末が得られることを新たに見出した。この成果をさらに発展させることで、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《希土類磁石粉末の製造方法》
(1)本発明は、希土類焼結磁石からなる磁石原料に、吸水素させて不均化反応を生じさせる不均化工程と、該不均化工程後の磁石原料から脱水素して再結合反応を生じさせる再結合工程と、を備える希土類磁石粉末の製造方法である。
(2)本発明の製造方法によれば、 粒度によらず高配向度の希土類磁石粉末(単に「磁石粉末」または「磁粉」という。)を得ることができる。具体的にいうと、粒度の小さい磁石粒子(単に「微粒子」ともいう。)が高配向度であることは勿論、粒度の大きい磁石粒子(単に「粗粒子」ともいう。)も高配向度となり得る。このため、本発明の製造方法により得られる磁石粉末を用いれば、例えば、粒度分布を制御して高充填化したボンド磁石の磁気特性を向上させ得る。
(3)本発明の製造方法により、粒度によらず高配向度の磁石粉末が得られるようになった理由は、次のように考えられる。希土類焼結磁石(単に「焼結磁石」という。)は、結晶方位(磁化容易軸、c軸)が揃った磁石粒子の集合体である。焼結磁石(その解砕粉を含む)に、不均化工程と再結合工程(両者を行う処理を単に「水素処理」または「HDDR処理」という。)を施すと、焼結磁石自体の高配向度が反映(継承)された磁石粒子が得られる。こうして本発明の製造方法によれば、全体的に高配向度な磁石粉末が得られるようになったと考えられる。
なお、水素処理(HDDR処理)の原料として一般的に用いられている磁石合金(ストリップキャスト合金等)は、通常、結晶方位が等方的で微細な結晶粒子の集合体(多結晶体)からなる。このような磁石合金を熱処理して粒成長させても、元の結晶方位の影響を受ける結果、結晶方位が揃った粗粒子は得られない。従って、一般的な磁石合金(原料合金)に水素処理して得られる従来の磁石粉末は、粒度が大きくなるほど、低配向度となっていた。このような磁石粉末からなるボンド磁石では、粒度分布制御により磁石粉末の充填率を高めても、その磁気特性(角形性)の向上はさほど望めない。
《希土類磁石粉末等》
本発明は、上述した製造方法により得られる希土類磁石粉末としても把握される。その磁石粉末は、例えば、粒度が106―300μmさらには150―212μmで、残留磁化(σr)が110emu/g以上さらには115emu/g以上および配向度が0.9以上さらには0.93以上である磁石粒子を含む。
また本発明は、そのような希土類磁石粉末を用いたボンド磁石等としても把握される。例えば、本発明は、希土類磁石粉末と、その粉末粒子を固結する樹脂とからなるボンド磁石や、そのボンド磁石の製造に用いるコンパウンドでもよい。なお、ボンド磁石やコンパウンドに用いられる磁石粉末は、粒度分布や合金組成等の異なる複数種が混在した複合粉末でもよい。
《その他》
特に断らない限り本明細書でいう「x~y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a~b」のような範囲を新設し得る。また、「x~ykOe」はxkOe~ykOeを意味し、他の単位についても同様である。なお、粒度「x―y(μm)」は、公称目開きx(μm)を通過せず、公称目開きy(μm)を通過する大きさの粒子であることを意味する。
希土類焼結磁石(出発原料)を水素解砕した粉末を、粒度毎に示した顕微鏡写真である。 その粉末(原料1H/粒度:150―212μm)の一部を拡大して示した顕微鏡写真である。 水素解砕した各原料の磁化曲線を、粒度毎に示すグラフである。 水素解砕した各原料の粒度と配向度の関係を示すグラフである。 磁化曲線に基づいて、配向度(S=σ/σ18k)の算出方法を示す説明図である。 水素処理の各条件を示すパターン図である。 各希土類磁石粉末の配向度(S)と残留磁化(σ)の関係を示す散布図である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明の製造方法のみならず、磁石原料、希土類磁石粉末、コンパウンド、ボンド磁石等にも適宜該当し、方法的な構成要素であっても物に関する構成要素となり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《磁石原料》
水素処理(HDDR処理)される磁石原料(出発原料)は焼結磁石からなる。焼結磁石の一部または全部は、磁石合金(原料)から新規に製造されたものでもよいし、焼結磁石のスクラップを利用したものでもよい。スクラップの利用により、焼結磁石のリサイクルが促進される。なお、本明細書でいうスクラップには、廃棄された各種機器(電磁気製品等)から回収された焼結磁石の他、その製造過程で生じた焼結磁石の不良品や加工屑等のスラッジが含まれてもよい。
焼結磁石は、等方性でもよいが、結晶方位が特定方向に整列した異方性であると好ましい。異方性焼結磁石は、例えば、磁石合金の粉末(粉砕粉)を磁場中成形した成形体を焼結させて得られ、その配向度は、例えば、95%以上、97%以上さらには98%以上となり得る。
焼結磁石は、例えば、磁石粒子(主相/RFe14B、R:希土類元素)の平均粒径が5μm以上、10μm以上であるとよい。また、焼結磁石は、溶体化処理(工程)により、磁石粒子を粒成長させたものでもよい。この場合、平均粒径は75μm以上、100μm以上さらには200μm以上ともなり得る。なお、平均粒径は、焼結磁石を顕微鏡(SEM等)で観察したときの結晶粒サイズ(単に「粒径」という。)のメディアン径(d50)とする。各粒径は、各結晶粒の面積相当径(結晶粒と面積が等しい円形の直径)とする。平均粒径の算出は、例えば、観察像を画像処理(例えばImageJによる二値化解析)して得られる。
ちなみに溶体化処理は、焼結磁石(粉砕粉を含む。)を酸化防止雰囲気中(真空中、不活性ガス雰囲気中等)で加熱してなされる。加熱は、例えば、1000~1200℃さらには1050~1150℃で、3~20時間さらには7~15時間なされるとよい。
磁石原料は、焼結磁石に基づく限り、その形態や状態等を問わない。例えば、磁石原料は、塊状(ブロック状)、粒子状、粉末状等でもよい。また磁石原料は、焼結磁石を水素雰囲気に曝して水素解砕(水素粉砕を含む。)する解砕工程が施されたものでもよい。水素解砕された磁石原料は水素化物の状態でもよいし、脱水素された状態でもよい。その解砕粉(粉砕粉を含む)は、粒度を問わず、水素解砕後に機械粉砕がなされたものでもよい。
水素解砕(解砕工程)は、例えば、溶体化工程前(溶体化未処理を含む)または溶体化工程後の焼結磁石を水素雰囲気中で加熱してなされる。加熱温度は、例えば、400~600℃さらには450~550℃、加熱時間は、例えば、0.3~2時間さらには0.7~1.5時間である。水素雰囲気は、例えば、水素流量下または水素分圧下である。また水素雰囲気は、水素ガスのみならず、不活性ガス等を含む混合ガスからなってもよい。
磁石原料は、配向度が0.96以上、0.97以上さらには0.98以上であるとよい。特に磁石原料は、粒度が75―300μm、106―250μmさらには150―212μmで、上記のような高配向度の粒子を含むとよい。
本明細書でいう配向度(S)は、0~18kOeの磁場を印加したときに得られる磁化曲線(減磁曲線)において、18kOe印加時の磁化(σ18k)に対する特定磁化(σa)の比率(S=σ18k/σa)とする(図4参照)。特定磁化(σa)は、特定磁場域(10~18kOe)の磁化曲線を外挿して求まる残留磁化とする。具体的にいうと、印加磁場を横軸(kOe)、磁化を縦軸(emu/g)とする磁化曲線において、印加磁場:10~18kOeとしたときに得られる曲線を近似した直線と、縦軸との交点から求まる磁化が特定磁化(σa)である。なお、直線近似は最小二乗法による。
本明細書でいう粒度は、特に断らない限り、所定のメッシュサイズの篩いを用いて分級する篩い分法により規定される(JIS Z 8801準拠)。例えば、粒度:「(+)a―bμm」(a<b)は、公称目開きaμmのメッシュを通過せず、公称目開きbμmのメッシュを通過する粒子からなることを意味する。
焼結磁石または磁石粉末は、通常、正方晶化合物であるRTM14型結晶(主相)の理論組成よりもRリッチ組成である。例えば、それら全体を100at%としたとき、R:11~15at%さらには12~13at%、B:5~9at%さらには6.2~7at%含まれるとよい。ここで、R:希土類元素、TM:遷移金属元素である。なお、主相の理論組成値は、原子%(at%)で、R:11.8at%、B:5.9at%、TM:残部である。
Rは、Y、ランタノイドまたはアクチノイドの一種以上である。その代表例はNdである。また、保磁力を高める重希土類元素(Dy、Tb等)がRに含まれてもよい。TMは、3d遷移元素(Sc~Cu)または4d遷移元素(Y~Ag)の1種以上、さらには8~10族元素(特にFe、Co、Ni)のいずれかである。その代表例はFeである。耐熱性を高めるCo、保磁力等を高めるCu、Nb、Ga等がTMに含まれてもよい。Bは、その一部がCで置換されてもよい。保磁力を高める元素として、典型元素(Al、Si、Zn、Ga等)がさらに含まれてもよい。
焼結磁石からなる磁石原料に対する水素処理後に、保磁力を高める処理(例えば、Dy、Tb、Nd-Cu合金等の拡散処理)がなされてもよい。このため、磁石粉末の組成(結果物組成)と焼結磁石の組成(原料組成)は、実質的に同じ場合もあれば異なる場合もある。
《水素処理》
水素処理は、主に、不均化工程(HD)と再結合工程(DR)からなる。不均化工程は、処理炉に入れた磁石原料を所定の水素雰囲気に曝し、吸水素させた磁石原料に不均化反応(三相分解反応)を生じさせる工程である。不均化工程は、例えば、水素分圧:5~300kPaさらには10~100kPa、雰囲気温度:750~950℃さらには800~900℃、処理時間:1~7時間さらには2~5時間としてなされる。
再結合工程は、不均化工程後の磁石原料から脱水素して、分解された三相の再結合反応を生じさせる工程である。再結合工程は、例えば、水素分圧:1kPa以下、雰囲気温度:700~900℃さらには730~860℃、処理時間:1~6時間さらには2~4時間としてなされる。
磁石原料に水素処理(HDDR)を施すことにより、微細なRTM14型結晶が集合した多結晶体(磁石粒子)からなる磁石粉末が得られる。なお、各磁石粒子を構成する結晶粒径は0.05~3μmさらには0.1~1μm程度であるが、磁石粉末の粒度は水素処理に供される磁石原料の粒度に依る。磁石粉末の粒度は、例えば、20―250μm、さらには45―212μmである。
《用途》
本発明に係る磁石粉末の用途は、種々あり得るが、その代表例はボンド磁石である。ボンド磁石は、主に希土類磁石粉末とバインダ樹脂からなる。バインダ樹脂は、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもよい。またボンド磁石は、圧縮成形されたものでも射出成形されたものでもよい。希土類異方性磁石粉末を用いたボンド磁石は、配向磁場中で成形されると、高磁気特性を発揮し得る。
ちなみに、ボンド磁石に用いられる磁石粉末は、その充填率を高めるために、粒度分布が調整されたものでもよい。例えば、粒度が―45μmさらには―20μmの微粉と、粒度が75―250μmさらには106―212μmの粗粉とを混在させた磁石粉末を用いて、ボンド磁石を製造してもよい。
出発原料となる焼結磁石を製作し、その焼結磁石にHDDR処理を施すことにより磁石粉末を製作した。HDDR処理前の原料と、HDDR処理後に得られた磁石粉末とをそれぞれ評価した。このような実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
《出発原料》
(1)原料1
出発原料となる焼結磁石を次のように製作した。先ず、ストリップキャストされた磁石合金(株式会社三徳製)を用意した。この合金組成は、その全体を100質量%(単に「%」という。)として、31.8%Nd-0.98%B-0.9%Co-0.1%Cu-0.15%Al-0.05%Ga-Fe(残部)であった。その合金組成を原子%に換算すると、Nd:14.5原子%、Fe:78.0原子%、B:1.00原子%となる。
磁石合金を0.2MPaの水素雰囲気中で保持して粗粉砕した後、さらに0.6MPa窒素気流によるジェットミル粉砕で微粉砕した。こうして粒度d50=60μmの原料粉末を得た。
原料粉末を成形金型のキャビティへ充填して磁場中成形した。このとき、印加した配向磁場:20kOe、成形圧力:20MPaとした。得られた成形体を真空(<10-2Pa)中で加熱(1035℃×4時間)して液相焼結させた。そのまま炉冷して得られた焼結体を真空(<10-2Pa)中で再加熱(520℃×1時間)した後、同雰囲気で炉冷した。こうして異方性希土類焼結磁石(永久磁石)を得た。その焼結磁石はブロック状(7mm×16mm×30mm)であり、その質量は28gであった。この焼結磁石を「原料1」という。
(2)原料2
原料1に溶体化処理を施して、粒成長させた原料2も用意した(溶体化工程)。溶体化処理は、処理炉に入れた原料1を、真空雰囲気(<10-2Pa)中で加熱(1100℃×10時間)した後、同雰囲気で炉冷した。こうして得られた焼結磁石を「原料2」という。
(3)原料C
既述したストリップキャストされた磁石合金に溶体化処理した比較原料も用意した。溶体化処理は、真空雰囲気(<10-2Pa)中で加熱(1100℃×10時間)した後、同雰囲気で炉冷した。こうして得られた比較原料を「原料C」という。
(4)結晶粒径
各原料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、得られたSEM像を画像処理して、各原料の平均結晶粒径(d50)を求めた。平均結晶粒径は、原料1:13μm、原料2:250μm、原料C:100μmであった。
なお、各結晶粒径は、視野内(600μm×600μm)にある各結晶の面積を円形と仮定して直径を算出し、それらのメディアン径を平均結晶粒径とした。
《水素解砕》
(1)解砕工程
各原料を水素雰囲気中で加熱(500℃×1時間)し、水素を吸蔵させた各原料を解砕した(解砕工程)。水素雰囲気は、水素ガス(H)とアルゴンガス(Ar)の混合気流中(H:400ml/min+Ar:100ml/min)とした。原料1、原料2および原料Cの各解砕粉を、それぞれ「原料1H」、「原料2H」、「原料CH」という。
(2)観察・測定
各原料の解砕粉を大気中で篩って分級した。各原料を粒度毎にSEMで観察した。原料1Hと原料2Hについて、各粒度毎のSEM像を図1Aに示した。また原料1Hの一部(粒度:150―212μm)を図1Bに拡大して示した。
各原料の磁気特性を各粒度毎に振動試料磁力計(東英工業株式会社製VSM)で測定した。これにより得られた磁化曲線(減磁曲線)を図2にまとめて示した。また、各原料について、各粒度毎の配向度(S)を各磁化曲線から求めた。こうして得られた各配向度を図3にまとめて示した。
配向度(S)の算出は、図4に示すように、18kOeを印加したときの磁化(σ18k)に対する特定磁化(σ)の割合(S=σ/σ18k)とした。特定磁化(σ)は、10~18kOeを印加したときの磁化曲線を最小二乗法により近似した直線が、縦軸と交わるときの磁化とした。このような方法で配向度を算出した理由は、水素解砕された各原料が水素化物状態で保磁力がないためである。
なお参考までに、図3には、原料1(溶体化処理前の焼結磁石)の配向度(S) も併せて示した。配向度(S)は、原料1の減磁曲線に基づいて、飽和磁化(σs)に対する残留磁化(σr)の割合(S=σr/σs)として算出した。
《磁石粉末》
(1)HDDR処理
水素解砕した各原料に、水素処理を施して磁石粉末を製作した。具体的にいうと、真空排気した処理炉内の各原料に対して、図5に示す脱水素処理、HD処理(不均化工程)およびDR処理(再結合工程)を順次施した。
脱水素処理は、原料をArガス気流中に加熱して行った。これにより水素解砕時に吸蔵された水素が原料から放出(脱水素)される。
HD処理は、脱水素処理後の原料を、所定の水素分圧(PH2)を有する雰囲気中で加熱して行った。これにより、吸水素した原料は、三相(NdH、Fe、FeB)に分解される。このとき、原料(母合金)の結晶方位(c軸)がFeBに転写され、FeBに原料の配向度が反映される。
DR処理は、HD処理後の原料を、Arガス気流中に加熱して行った。これにより、分解されていた三相が再結合して、NdFe14B結晶粒(主相)が生成される。こうして原料に相応する配向度の磁石粉末が得られる。原料1H、原料2Hおよび原料CHに、HDDR処理して得られた磁石粉末を、それぞれ「試料1」、「試料2」、「試料C」という。
(2)観察・測定
各磁石粉末の磁気特性を、各粒度毎に振動試料磁力計(東英工業株式会社製VSM)で測定した。得られた磁化曲線に基づいて、既述した方法で算出した配向度(S)と、減磁曲線と縦軸の交点である残留磁化(σr)とを、各試料について粒度毎に求めた。こうして求めた配向度(S)と残留磁化(σr)の関係を図6にまとめて示した。
なお、試料1と試料2については、4つの粒度(45―75μm、75―106μm、106―150μm、150―212μm)に関する配向度(S)と残留磁化(σr)の関係を図6にプロットした。試料Cについては、最大粒度:150―212μmに関する配向度(S)と残留磁化(σr)の関係を図6にプロットした。
《評価》
(1)原料
図3から明らかなように、焼結磁石を水素解砕した原料1H、2Hは、粒度が小さいときは勿論、粒度が大きくなっても高配向度(≧0.96)が確保されていた。特に、溶体化処理して結晶粒を粗大化させると、粒度に依らず、安定してより大きな配向度(≧0.98)が確保されることがわかった。なお、各原料の粒子が多結晶体であることは図1Aおよび図1Bからわかる。
一方、ストリップキャスト合金を水素解砕した原料CHは、粒度の増加と共に配向度が急激に低下し、粒度:150―212μmのときの配向度(S)は0.93程度となった。
(2)磁石粉末
図6から明らかなように、焼結磁石を水素解砕した原料1H、2Hに水素処理(HDDR処理)を施すと、粒度に拘わらず配向度が高い磁石粉末が得られることがわかった。一方、ストリップキャスト合金を水素解砕した原料CHに水素処理して得られた磁石粉末は、配向度および残留磁化が大幅に低下した。このことから、磁石粉末の配向度は、原料の配向度が反映されているといえる。
以上のことから、本発明のように、希土類焼結磁石を出発原料としてHDDR処理を施すと、広範囲な粒度で高磁気特性(特に高配向度)を発揮する希土類磁石粉末が得られることが確認された。

Claims (6)

  1. 希土類焼結磁石からなる磁石原料に、吸水素させて不均化反応を生じさせる不均化工程と、
    該不均化工程後の磁石原料をArガス気流中で加熱して再結合反応を生じさせる再結合工程と備え
    ボンド磁石に用いられる希土類磁石粉末の製造方法。
  2. 前記磁石原料は、前記希土類焼結磁石を熱処理して磁石粒子を粒成長させる溶体化工程が施されている請求項1に記載の希土類磁石粉末の製造方法。
  3. 前記磁石原料は、前記希土類焼結磁石を水素解砕する解砕工程が施されている請求項1または2に記載の希土類磁石粉末の製造方法。
  4. 前記磁石原料は、粒度が106―300μmで配向度が0.96以上である粒子を含む請求項1~3のいずれかに記載の希土類磁石粉末の製造方法。
  5. 前記希土類焼結磁石は、スクラップを含む請求項1~4のいずれかに記載の希土類磁石粉末の製造方法。
  6. 前記希土類磁石粉末は、粒度が106―300μm、残留磁化(σr)が110emu/g以上、および配向度が0.9以上である磁石粒子を含む請求項1~5のいずれかに記載の希土類磁石粉末の製造方法
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