JP4241461B2 - 希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末、その製造方法及びそれを用いた希土類ボンド磁石 - Google Patents

希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末、その製造方法及びそれを用いた希土類ボンド磁石 Download PDF

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Description

本発明は、希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末、その製造方法及びそれを用いたボンド磁石に関し、さらに詳しくは、粒度分布が狭く耐熱性、耐候性と磁気特性に優れた希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末、その製造方法及びそれを用いた希土類ボンド磁石に関するものである。
希土類ボンド磁石は、希土類磁石合金粉末とナイロンなどの熱可塑性樹脂バインダーを混練し、任意の形に成形して得られ、モータ、スピーカ、マイクロホン、小型発電機など磁石応用機器に数多く使用されている。
その中でも、近年の電気・電子機器の小型化、高効率化に対応するため、より小型で高性能な希土類ボンド磁石が求められるようになっている。これを実現するため、より高い磁気特性を示す磁石合金粉末の開発がなされている。例えば、RTM17系磁石合金粉末(ここでRは希土類金属、TMは遷移金属)として示される希土類磁石合金粉末が挙げられる。この系の希土類磁石合金粉末の中でも、SmFe17系磁石合金粉末(以下、単に磁石合金粉末ともいう)がその優れた磁気特性から特に注目を集めている。
上記のようにSm−Fe−Nで代表される希土類−遷移金属−窒素系磁石は、高性能かつ安価な希土類磁石として知られている。そして、この希土類−遷移金属−窒素系磁石は、従来、溶解法や還元拡散法により製造されている。しかし、溶解法では原料として必要とされる希土類金属が高価であるという理由から、希土類−遷移金属−窒素系磁石の製造方法としては、安価な希土類酸化物粉末を原料として利用できる還元拡散法が望ましいと考えられている。
すなわち、従来の還元拡散法では、希土類酸化物粉末原料、遷移金属粉末原料、及び還元剤が配合された混合物を非酸化性雰囲気中で加熱焼成して、希土類−遷移金属系合金をまず合成し、得られた希土類−遷移金属系合金を粉砕して粉末状にした後、この粉末状の合金を窒化処理することで所望の希土類−遷移金属−窒素系磁石を製造している。
そして、この様にして得られた粉末状の希土類−遷移金属−窒素系磁石は、更に次の工程において特定の粒度になるまで微粉砕処理される。この場合、希土類−遷移金属−窒素系磁石における保磁力の発生機構はニュークリエーション型であることから、磁気特性の一つである減磁曲線の角形性を高めるには、微粉砕された後の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末の粒度を揃えることが必要であった。
SmFe17系磁石合金粉末を得る方法として、RTM17組成の結晶構造を有する希土類−鉄系磁石合金を合成する際に、焼鈍時の温度を800〜1250°Cの範囲で変化させ、希土類−鉄母合金の平均結晶粒子径を30〜150μmの範囲に調整し、これを粉砕後に窒化してRTM17組成の結晶構造を有する磁性材料の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
この方法では、鉄を主成分とする相が磁性材料として許容できるまで焼鈍して減少させ、また、Re−Fe−N系磁性材料の原料である母合金の平均結晶粒子径を制御して、従来のものよりも磁性特性が一層優れた希土類元素−鉄−窒素系磁性材料を得ようとしている。
また、粒径が10〜100μmの範囲内に粒度調整された遷移金属粉末原料を用いて、還元拡散法により希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末を製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法によれば、製造される磁石粉末の粒子径が、原料である遷移金属粉末の粒径に依存することから、特定範囲内に粒度調整された遷移金属粉末原料を用いることにより角形性の高い希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末が得られるとしている。
さらに、希土類酸化物粉末と、一部を酸化鉄で置換した特定粒径の鉄粉末と、粒状のCaとを所定の割合で均一に混合し、この混合物をアルゴン雰囲気中において600〜1200°Cの温度で加熱後、窒素ガス雰囲気中において数時間加熱し、この反応生成物を水溶液で処理する合金粉末の製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
ここには、出発原料となるFe粉末として、その粒径が所望とする合金粉末の粒径の40〜60%小さいものを選定することにより、1〜100μmの粒径の希土類−Fe系合金粉末が得られると記載されている。また、Caによる還元拡散反応後に窒素ガス雰囲気で窒化処理を数時間行うことにより、0.01〜15原子%の窒素原子を希土類−Fe系合金粉末に均一に含有させ得るとしている。
このように希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末の粒子径を揃える方法が提案されているが、従来の方法では、微粉砕して得られる希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の中にどうしても粒径1μm以下の微細な粉末が多量に含まれてしまう。この磁石合金粉末は極めて活性が高いため、磁石合金粉末を取り扱う際に酸化して発熱するといった問題や、磁石に成形した後にも耐熱性、耐候性に劣るという問題があった。
上記課題を解決すべく、微粉砕後の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末から1μm以下の微細な粒子を篩い分けて取り除くことも考えられるが、上記問題点が解消されるほど十分に分離することは実際上困難である。仮に分級できたとしても、粉砕工程で磁石合金粉末に生じた歪を取り除くことはできないため、この磁石合金粉末を用いて作製した磁石の保磁力は、この材料が本来有している可能性に比べて小さいものとなる。加えて、微粉砕後の磁石合金粉末は、粒子形状が尖った形状をしており、その磁石合金粉末の磁石結晶では逆磁区の芽が出来易く、また粉末の尖塔部が欠けることにより、さらに歪みが増加するという問題もある。
このため、還元拡散法で得られる希土類−遷移金属母合金を粉砕し、窒化した磁石合金粉末を用いて得た磁石は、強力な粉砕工程を適用しない他の方法で得られる同じ粒径の磁石合金粉末を用いた磁石よりも保磁力が小さいという欠点があり、これらの問題を克服できる方法が切望されていた。
特開平3−141608号公報 特開平11−121216号公報 特許2869966号公報(特許請求の範囲、実施例5)
本発明の目的は、上記のような状況に鑑み、粒度分布が狭く耐熱性、耐候性と磁気特性に優れた希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末、その製造方法及びそれを用いた希土類ボンド磁石を提供することにある。
本発明者は、このような従来の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、希土類金属と、鉄を含む母合金を平均粒径が10μm以下になるように粉砕し、得られた合金粉末を希土類酸化物粉末とCa粒と混合して、不活性ガス雰囲気中、800〜1200°Cの温度で、かつ合金粒子が成長しない程度に加熱処理し、得られた反応生成物を水素ガス雰囲気中で脆化・粉砕し、得られた粉末を窒素またはアンモニアを用いて窒化することによって、機械的粉砕が不要なほどに粒度分布の狭い希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末を得ることができ、耐熱性、耐候性だけでなく磁気特性にも優れた磁石粉末が得られることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、希土類金属(R)と、鉄、コバルト、又はニッケルから選ばれた少なくとも1種の遷移金属(TM)と、窒素とを主要構成成分とするRTM17型の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法において、希土類金属(R)と、遷移金属(TM)とを含む母合金を、平均粒径が1〜10μmの粉末に粉砕する工程(a)、粉砕された母合金粉末に希土類酸化物粉末と還元剤とを混合し、不活性ガス中800〜1200°Cの温度で加熱処理する工程(b)、得られた反応生成物を水素ガス雰囲気中で脆化・粉砕する工程(c)、得られた反応生成物粉末を窒素またはアンモニアを用いて窒化し磁石合金粉末を得る工程(d)、および得られた磁石合金粉末から還元剤の残渣物を取り除くために該粉末を水洗する工程(e)を含むことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、希土類金属(R)と、鉄、コバルト、又はニッケルから選ばれた少なくとも1種の遷移金属(TM)と、窒素とを主要構成成分とするRTM17型の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法において、希土類金属(R)と、遷移金属(TM)とを含む母合金を、平均粒径が1〜10μmの粉末に粉砕する工程(f)、粉砕された母合金粉末に希土類酸化物粉末と還元剤とを混合し、不活性ガス中800〜1200°Cの温度で加熱処理する工程(g)、得られた反応生成物を水素ガス雰囲気中で脆化・粉砕する工程(h)、得られた磁石合金粉末から還元剤の残渣物を取り除くために該粉末を水洗する工程(i)、および水洗された反応生成物粉末を窒素またはアンモニアを用いて窒化し磁石合金粉末を得る工程(j)、を含むことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、母合金が、還元拡散法により製造されたSm−Fe系合金であることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明は、第1又は2の発明において、工程(b)又は(g)において、母合金粉末の100重量部に対して、希土類酸化物粉末を1〜10重量部、還元剤を0.5〜5重量部の割合で混合することを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1又は2の発明において、工程(b)又は(g)において、母合金が実質的に粒子成長しないように、加熱時間を0.5〜5時間の範囲にすることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法が提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明の方法を用いて製造された希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、平均粒径が1〜10μmであることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第7の発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末に樹脂バインダーを混合して成形してなる希土類ボンド磁石が提供される。
本発明の方法によれば、希土類金属と、鉄などの遷移金属とを含む母合金を粉砕して得られる合金粉末を還元拡散法の原料として用いることで、粒度分布がシャープで尖った部分がない希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末を得ることができる。さらには、得られた磁石合金粉末は、機械的粉砕による歪みが無いため良好な磁気特性を有する。この結果、本発明の磁石合金粉末は、1μm未満の微粒子が極めて少ないため大気中での取り扱いが容易となり、耐熱性および耐候性に優れた希土類−遷移金属−窒素系磁石材料となる。
次に、本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末、その製造方法及びそれを用いた希土類ボンド磁石を詳細に説明する。
1.希土類−遷移金属系母合金
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の原料となる希土類−遷移金属系母合金は、溶解鋳造法、液体急冷法、還元拡散法等により製造される。
溶解鋳造法では、希土類金属、鉄、必要に応じてその他の金属を所定の比率で調合して不活性ガス雰囲気中で高周波溶解し、得られた合金インゴットを均一化熱処理した後、ジョークラッシャー、ジェットミル等で所定の粒度に粉砕して製造される。また、液体急冷法では、上記合金インゴットから合金薄帯を作製、これを粉砕して製造され、還元拡散法では、希土類酸化物粉末、還元剤、鉄粉、必要に応じてその他の金属粉及び/又は金属酸化物を出発原料として製造される。
次に、本発明において希土類−遷移金属系母合金の好ましい製造方法である還元拡散法について説明する。
希土類酸化物粉末としては、特に制限されないが、Sm、Gd、Tb、およびCeから選ばれる少なくとも1種の元素、あるいは、さらにPr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、およびYbから選ばれる少なくとも1種の元素が含まれるものが好ましい。中でもSmが含まれるものは、本発明の効果を顕著に発揮させるので特に好ましい。また、この希土類酸化物粉末には、保磁力の向上、生産性の向上、さらに低コスト化のため、Mn、Ca、Cr、Nb、Mo、Sb、Ge、Zr、V、Si、Al、Ta、Cu等の一種以上を添加しても良いが、その添加量は、総計で7重量%以下とすることが望ましい。また、不可避的不純物として、C、B等が5重量%以下含有されていても良い。さらに、上記希土類酸化物粉末の粒径としては、特に制限されないが、反応性、作業性等の面から10μm以下であることが好ましい。
本発明に用いられる遷移金属粉末は、特に限定されず、例えば、アトマイズ法、電解法等により製造された粉末状の遷移金属を用いることができる。遷移金属としては、Feが好ましく、さらに、磁気特性を損なうことなく磁石の温度特性を改善する目的でFeの一部をCo、Niで置換しても良い。また、遷移金属粉末の粒径としては、特に限定されないが、希土類−遷移金属系合金粉砕の際の負荷を低減して粉砕粉の酸化や歪み発生を抑制するために、篩分け等で10〜100μmの範囲に粒度調整した遷移金属粉末を用いることができる。
希土類金属と、鉄、コバルト、ニッケルの中から選ばれた少なくとも1種の金属との組成比は、後工程で配合される希土類酸化物の量等を勘案して適宜決定する。
還元剤としては、Li及び/又はCa、あるいはこれらの元素とNa、K、Rb、Cs、Mg、Sr又はBaから選ばれるアルカリ金属、又はアルカリ土類金属元素が使用できる。これらアルカリ金属又はアルカリ土類金属元素を合金粉末の結晶相内部に0.001〜0.1重量%含有させることで、窒化処理に要する時間を短くすることができる。上記還元剤の粒度は、5mm以下の粒状になっていることが好ましい。アルカリ金属又はアルカリ土類金属元素の含有量が0.001重量%未満では処理効果が小さく、0.1重量%を超えると希土類−遷移金属−窒素系磁石合金の磁気特性、特に磁化が低下するので好ましくない。
これら還元剤を使用する際、その投入量、還元剤と希土類酸化物の粉体性状、各種原料粉末の混合状態、還元拡散反応の温度と時間を注意深く制御することが望ましい。なお、上記還元剤の中では、取り扱いの安全性とコストの点から金属Li又はCaが好ましく、特にCaが好ましい。
次に、上記希土類酸化物粉末原料と、遷移金属粉末原料および、その他原料粉末の混合物を非酸化性雰囲気(酸素が実質的に存在しない雰囲気)中において、還元剤が溶融する温度以上、且つ希土類−遷移金属合金が溶融しない温度まで昇温、保持して加熱焼成する。これにより、希土類酸化物が希土類元素に還元されると共に、この希土類元素が遷移金属中に拡散して希土類−遷移金属系合金が合成される。
Caの融点は、838℃(沸点は1480℃)であるので、加熱処理は、1000〜1200℃程度の温度範囲とし、5〜15時間かけて加熱する。この条件であれば、還元剤は溶解するが蒸気にはならないため効率的に加熱処理できる。
2.希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末の製造方法
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末は、第一の方法として、(a)希土類金属と、遷移金属とを含む上記希土類−遷移金属系母合金を平均粒径が1〜10μmの粉末に粉砕する工程、(b)この母合金粉末に希土類酸化物粉末と還元剤とを混合し、不活性ガス中800〜1200°Cの温度範囲、かつ該母合金が実質的に粒子成長しない条件で加熱処理する工程、(c)得られた反応生成物を水素ガス雰囲気中で脆化・粉砕する工程、(d)得られた反応生成物粉末を窒素またはアンモニアを用いて窒化する工程、(e)反応生成物粉末又は磁石合金粉末から還元剤の残渣物を取り除くために該粉末を水洗する工程を含む方法により製造される。
また、本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末は、第二の方法として、(f)希土類金属と、遷移金属とを含む上記希土類−遷移金属系母合金を平均粒径が1〜10μmの粉末に粉砕する工程、(g)この母合金粉末に希土類酸化物粉末と還元剤とを混合し、不活性ガス中800〜1200°Cの温度範囲、かつ該母合金が実質的に粒子成長しない条件で加熱処理する工程、(h)得られた反応生成物を水素ガス雰囲気中で脆化・粉砕する工程、(i)反応生成物粉末又は磁石合金粉末から還元剤の残渣物を取り除くために該粉末を水洗する工程、(j)得られた反応生成物粉末を窒素またはアンモニアを用いて窒化する工程を含む方法によっても製造される。
(1)粉砕工程(a)又は(f)
本発明では、上記により得られた希土類−遷移金属系合金を、室温まで冷却した後、この合金が所定の粒径になるように粉砕する。粉砕には、例えば、アトライタ−、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、ジョークラッシャー、スタンプミル、ロールクラッシャー、ハンマーミル、サンドミル、ホモジナイザ等の粉砕機を用いることができる。
粉砕条件は、使用する粉砕機の種類などによって異なるので一概には言えないが、アトライターを用いる場合、磁石粗粉末は、鉄系ボールなどの粉砕メディア(直径2〜10mm)と溶媒中で混合し、0.3〜3.0m/sec程度の回転周速度で粉砕を行う。微粉砕にビーズミルや媒体撹拌ミルを用いる場合、粉砕メディア(窒化珪素ボールやジルコニアボールなど)の直径は0.3〜3mm程度のものを用い、回転周速度を5〜50m/secとして5〜30分間粉砕すればよい。
有機溶剤としては、特に制限はなく、通常はエタノールまたはイソプロピルアルコール等のアルコール類、ケトン類、へキサンなどの低級炭化水素類、トルエンなどの芳香族類、またはこれらの混合物が用いられる。このうち、特にイソプロピルアルコールが好ましい。
この工程で、希土類−遷移金属系合金粉末を溶媒とともにビーズミル、媒体攪拌ミル等によって粉砕する場合には、必要により燐酸化合物を添加することができる。
希土類−遷移金属系合金粉末を、燐酸化合物の存在下に有機溶剤中で粉砕すれば、合金粗粉末を粉砕する際に凝集粒子に新生面が生じても、瞬時に溶媒中の燐酸化合物と反応し、粒子表面に安定な燐酸塩皮膜が形成される。また、その後、粉砕された合金微粉末がその磁力によって凝集しても、接触面はすでに安定化されており、解砕により腐食が生じることはない。
この粉末状の希土類−遷移金属系合金を水中に投入して、残留還元剤および生成した酸化物還元剤を溶解し、攪拌とデカンテーションを繰り返し行って湿式処理した後、沈殿した希土類−遷移金属系合金を分離回収する。分離回収した合金を乾燥させれば、平均粒径が1〜10μmの希土類−遷移金属系母合金粉末を得ることができる。
粉砕された母合金粉末の平均粒径は1〜10μmであることが必要である。平均粒径が1μmよりも小さいと還元拡散中に溶解するものが多くなるため、一次粒子の形状が大きくなってしまう危険性がある。また、10μmをこえると高い保磁力を得るために再び粉砕が必要になってしまうため好ましくない。
(2)還元拡散工程(b)又は(g)
上記により得られた希土類−遷移金属系母合金粉末は、これに希土類酸化物粉末とCa粒とを混合して、不活性ガス中800〜1200°Cの温度範囲内で加熱処理を行う。
希土類−遷移金属系母合金粉末に、希土類酸化物粉末とCa粒とを混合する際の混合割合は、母合金粉末の100重量部に対して、希土類酸化物粉末が1〜10重量部、還元剤が0.5〜5重量部となるようにする。特に、希土類酸化物粉末が3〜8重量部、還元剤が1〜4重量部の割合となるようにすることが好ましい。希土類酸化物粉末が1重量部未満であるか、10重量部を超えると、優れた磁気特性を得ることができず、一方、還元剤が0.5重量部未満であると希土類酸化物を十分に還元できず、また、還元剤が5重量部を超えると、還元剤に起因する残留物が多くなり、その除去に手間がかかるために好ましくない。
加熱処理は、800〜1200°Cの温度範囲で、しかも合金粒子が成長しない条件とすることが必要である。800°Cより低い温度ではCaで希土類酸化物の還元は進んでも、RTM17粉末表面での反応が進み難く生成する希土類−遷移金属系合金粒子の形状に変化が起こらないため、粉砕時の粒子表面の凹凸が残存し保磁力が低い原因として残る。一方、1200°Cを超えると、生成する希土類−遷移金属系合金粒子の成長および粒子同士の焼結が進むため目的とする粒子性状を得ることが難しくなる。
また、混合物の加熱時間は、該母合金が実質的に粒子成長しない条件、すなわち0.5〜5時間、好ましくは1〜4時間とする。その理由は、0.5時間より短いとRTM17粉末表面での反応が進み難く、5時間を超えると生成する希土類−遷移金属系合金粒子の成長および粒子同士の焼結が進むため目的とする粒子性状を得ることが難しくなるからである。
前記特許文献3の方法では、原料のFe粉の粒径を平均粒径5μmとすることで粒径約8μmの流動性の良い黒色の微粒子Nd−Fe−N合金粉末を得ている(実施例5)。この黒色の微粒子は、原料のFe粉に多量のNdが拡散したものであるために、粒径が大きくなっている。これに対して、本発明では、RFe17系母合金を粉砕して用いており、RFe17系母合金原料は、既に合金化が済んでいるため、大きな粒子では粒子表面付近のみの反応になり、殆ど粒径に変化はみられない。
(3)水素処理工程(c)又は(h)
次に、上記還元拡散反応で生成した反応生成物(希土類−遷移金属系合金、副生成物CaO、未反応残留Ca、不可避不純物などからなる)を水素ガス雰囲気中に放置することにより、反応生成物を脆化させ、粉砕させる。そのためには、密閉容器内に水素を充満させて、一定の水素加圧下で処理すれば効率がよい。
密閉容器の導入口から水素ガスを導入し、容器内の圧力は特に限定されないが、大気圧よりも0.01〜0.11MPa、好ましくは0.03〜0.08MPa高い圧力となるようにするのが好ましい。大気圧+0.01MPaよりも圧力が低いと、合金内で水素吸蔵反応が促進されにくく、大気圧+0.11MPaよりも高いと反応熱が高くなりすぎるので好ましくない。
合金への水素吸蔵速度は、温度に依存するものの室温程度の温度環境下でも十分に吸蔵が開始され、また水素を吸蔵することによって自己発熱が起こり、この反応熱によって吸蔵速度が加速され、粉砕される。還元拡散法における反応生成物(合金)に対し水素雰囲気中で外部から100〜600℃に加熱することで水素を吸蔵させてもよいし、特に外部加熱をせず自発的に水素を吸蔵させ、その時の発熱を有効に利用してもよい。水素処理後、合金粉末は室温程度に冷却される。
本発明によれば、水素処理された合金を含む反応生成物は、水との反応性が増しており、大気中にさらされるだけで大気中の水分と反応し自然崩壊が進行するほどである。このため反応生成物を1cm角大に破砕する工程は必要とされない。
(4)窒化処理工程(d)
次に、上記により粉砕された希土類−遷移金属系合金粉末を窒化処理して、希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末を製造する。窒化処理には、公知の方法を用いることができ、例えば、Nガス雰囲気、NガスとHガスの混合雰囲気、NHガスとHガスの混合雰囲気中、250〜600°Cの温度範囲で合金微粉末を加熱することにより行うことができる。加熱温度が250°C未満では窒化が進まず、一方、600°Cを超えると合金が希土類元素の窒化物と鉄に分解するので好ましくない。
加熱装置としては、静置式加熱炉、流動床式加熱炉、回転式加熱炉等を用いることができるが、合金粉末とガスとの接触を均一にするためには、粉末を攪拌しながら窒化するとよい。加熱温度が低すぎたり加熱時間が短かすぎると粉末内部に未窒化相が残り、逆に温度が高すぎたり加熱時間が長すぎると過窒化となり、得られる磁石粉末の磁化、保磁力、角形性が低下するため、適宜処理条件を最適化しなければならない。
また、工程数を減らしてコスト低減を図るため、平均粒径1〜10μmの合金微粉末を、窒素、アンモニア、又はこれらと水素との混合ガス雰囲気中250〜600°Cで窒化処理を施す際に、特に400〜600°Cで熱処理して結晶の歪みを除去することもできる。さらに、均一な窒素分布を得て磁石粉末の角形性を向上させるために、必要に応じ、窒化処理に続いて、真空中、又はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で磁石粉末を加熱し、磁石粉末に過剰に導入された窒素を排出させてもよい。
(5)水洗工程(e)
その後、粉末状の希土類−遷移金属系磁石粉末を水中に投入して、残留還元剤および生成した酸化物還元剤を溶解し、攪拌とデカンテーションを繰り返し行う。すなわち、磁石粉末を密閉容器から取り出し、大気中に約0.5〜3時間放置した後、水中に投入してデカンテーションを行う。この水洗(湿式処理)後、沈殿した希土類−遷移金属系磁石粉末を分離回収する。
磁石粉末又は水素化された反応生成物を水中に投入し、0.1〜3時間攪拌すると、細かく崩壊しスラリー化する。得られたスラリーは、粗い篩を通し水洗槽に移す。このときスラリーのpHは11〜12程度であり、崩壊しないで篩上に残留する塊は殆どなくなり、残ったロスを非常に少ないものとすることができる。
その後、スラリーのpHが10以下になるまでデカンテーションを繰り返す。粉末の水崩壊性が高いために、スラリーのpHが10になるまでの合計水洗時間は約60〜120分ですむ。なお、デカンテーション条件は、1mの水を注水し、攪拌1分、静置分離1分、排水することを標準条件とし、デカンテーション開始から終了までの時間を1回の水洗時間とした。
その後、スラリーのpHが5〜6になるように酢酸などの酸を添加し、酸洗を行い、固液分離し乾燥する。水洗により、磁石合金又は合金粉末は所望の粒径に粉砕されるので、あらためて強力な機械的粉砕を行う必要はない。
第一の方法では水素処理された粉砕物を窒化後、得られた磁石粉末を水洗したが、第二の方法では、水素処理された粉砕物を水洗してから、得られた反応生成物粉末に窒化を行う。すなわち、第二の方法は、上記の(4)窒化工程と(5)水洗工程とを入れ替えた方法である。
磁石粉末又は水素化された反応生成物は、水中崩壊性が格段に向上しているので、デカンテーション前の篩分け時に篩上を減少させることができる。さらに、水洗で一層細かく粉砕されるので、デカンテーションの回数も少なくてすむ。
3.希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末
上記のようにして得られた希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末は、合金粒子の周りを希土類金属が薄い層状になって取り囲んだ粒子構造をしている。すなわち、粒度分布が均一で、粒子形状は尖った部分が少なく、比較的丸いものである。そのため、本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末には、強力な機械的粉砕が行われず、粉砕による歪みが生じないため、保磁力の高い、耐熱性および耐候性に優れた希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末となる。
希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末を構成する希土類元素は、前記の通り、Sm、Gd、Tb、Ceの内少なくとも一種あるいは、さらにPr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの内一種以上を含むものが好ましい。中でもSmを含むものは著しく大きな磁気特性を発揮しうる。
また、Feをはじめとする遷移金属元素は、保磁力の向上、生産性の向上並びに低コスト化のために、Mn、Ca、Cr、Nb、Mo、Sb、Ge、Zr、V、Si、Al、Ta、Cu等の一種以上を含有してもよい。この場合、Mnなどの含有量は、遷移金属全重量に対して7重量%以下とすることが望ましい。また、不可避的金属不純物としてC、B等が5重量%以下含有されていても良い。上記範囲をはずれると磁気特性が低下してしまう。
上記の如く、本発明の製造方法で得られた希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末は、還元拡散後に機械的粉砕処理を施さないことから、微粉が存在せず、また粒子表面に歪みがない、粒径が1〜10μmのシャープな粒度分布を有する球状に近い磁石粉末である。
そのため本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末は、磁気特性の一つである減磁曲線の残留磁束密度(Br)、角形性(Hk)、保磁力(iHc)が高く、残留磁束密度が1.3T(13kG)以上、角形性が320kA/m(4kOe)以上、保磁力が640kA/m(8kOe)以上という優れた磁気特性を有するものである。
ただし、本発明の磁石合金粉末は、平均粒径が1〜10μmと小さく、比表面積が大きいため、酸素を含む雰囲気で取り扱うと容易に酸化し、窒化後の磁石粉末の磁気特性が低下するため、取り扱いに注意する必要がある。そのため、必要により磁石粉末を表面処理して取り扱い性を改良することができる。表面処理には、シラン系、チタネート系、アルミネート系など各種カップリング剤を用いることができる。
4.ボンド磁石
本発明のボンド磁石は、上記のようにして得られた希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末を、樹脂バインダーと混合してボンド磁石用コンパウンドとし、これを射出成形、押出成形、又は圧縮成形したものである。特に好ましい成形方法は、射出成形である。
上記の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末には、その求められる磁気特性に合わせてフェライト磁石粉、アルニコ磁石粉等、通常、ボンド磁石の原料となる各種の磁石粉末を混合しても良い。異方性磁石だけでなく、等方性磁石粉末も混合できるが、異方性磁場(HA)が4.0MA/m(50kOe)以上の磁石粉末を用いることが好ましい。
ボンド磁石に用いられる樹脂バインダーは、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。熱可塑性樹脂系バインダーは、特にその種類に限定されることはなく、例えば、6ナイロン、6−6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、6−12ナイロン、芳香族系ナイロン、これらの分子を一部変性、または共重合化した変性ナイロン等のポリアミド樹脂、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂、架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、セミ架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、メタクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリルエーテルアリルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、前出の各樹脂系エラストマー等が挙げられ、これらの単重合体や他種モノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、他の物質での末端基変性品などが挙げられる。
これらの中では、得られる成形体の種々の特性やその製造方法の難易性から12ナイロンおよびその変性ナイロン、ナイロン系エラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂の使用が好ましい。これら熱可塑性樹脂の2種類以上のブレンド等も当然使用可能である。
樹脂バインダーの配合量は、特に制限されるものではないが、ボンド磁石用コンパウンド100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは3〜50重量部とする。さらには、5〜30重量部、特に、7〜20重量部がより好ましい。樹脂バインダーが1重量部よりも少ないと著しい混練トルクの上昇、流動性の低下を招いて成形困難になるだけでなく、磁気特性が不十分であり、50重量部よりも多いと、所望の磁気特性が得られないので好ましくない。
ボンド磁石用コンパウンドには、本発明の目的を損なわない範囲で、反応性希釈剤、未反応性希釈剤、増粘剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤や種々の安定剤などの添加剤、充填材を配合することができる。ボンド磁石用コンパウンドを溶融混練するには、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機などが使用される。
上記のボンド磁石用コンパウンドを射出成形する場合、最高履歴温度が265℃以下、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下となる条件とする。最高履歴温度が265℃を超えると、磁気特性が低下するという問題が生じるので好ましくない。
ボンド磁石用コンパウンドが異方性の磁性粉末を含有する場合には、成形機の金型に磁気回路を組み込み、コンパウンドの成形空間(金型キャビティー)に配向磁界がかかるようにすると、異方性のボンド磁石が製造できる。このとき配向磁界は、400kA/m以上、好ましくは800kA/m以上とすることによって高い磁気特性のボンド磁石が得られる。ボンド磁石用コンパウンドが等方性の磁性粉末を含有する場合には、コンパウンドの成形空間(金型キャビティー)に配向磁界をかけないで行う。
次に、実施例、比較例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例、比較例により得られた磁石粉末は、粒径などを以下の方法で測定し、磁気特性や耐候性を評価した。
粉末の粒径および粒度分布の測定には、レーザ回折粒度分布測定器を用いた。粉末の比表面積の測定にはBET法を用い、微粒子の有無の観察には走査電子顕微鏡を用いた。
粉末の保磁力HCJと角形性を評価するための磁界Hk(磁化が残留磁化の90%になる磁界)の測定には振動試料型磁力計を用いた。その際、試料は、20mgほどの粉末を内径3mm長さ7mmの透明アクリルでできたケースにパラフィンと一緒に入れて、長さ方向に磁界を印加しながら、ドライヤーなどで加熱してパラフィンを溶かし、粉末を配向させたのち、パラフィンを固めて作製した。
耐候性試験は、磁石合金粉末を60°C、90%RHの恒温恒湿槽内に24時間放置し、放置前後の保磁力を測定し、これを比較することで評価した。
(実施例1)
純度99.9%、粒度約50μm以下(300メッシュ、タイラー標準)の電解鉄1.53kgと純度99%、平均粒径43μm(325メッシュ)の酸化サマリウム粉末(Sm)0.75kgと純度95.0%の粒状金属カルシウム0.3kgとをVブレンダーを用いて混合した。得られた混合物を円筒形のステンレス容器に入れ、アルゴンガス雰囲気下、1050℃で7時間加熱処理を施した。次いで、焙焼物を冷却してビーカー中の純水中に投じ、水素イオン濃度pHが10以下となるまで、攪拌とデカンテーションとを繰り返した。pHが5となるまで水中に酢酸を添加し、この状態で10分間攪拌を行った。攪拌は、ガラス製スクリューをモータで回転して行った。最後に水分を除去し、乾燥してSm−Fe(27重量%Sm)母合金粉末を作製した。
次に、この母合金粉末を、2−プロパノールを溶媒とした媒体攪拌ミルで平均粒径が約4μmになるように粉砕して乾燥した。この粉末100gとSm粉末5gとCa粒2.5gを混合してステンレス容器に詰め、アルゴンガス中、焼結温度1000°Cで2時間の加熱処理を行った。室温まで冷却した後に、水素ガスをステンレス容器に導入して水素脆化させ、35vol%アンモニアガス−水素ガス雰囲気で480°C、6時間加熱して窒化処理を行った。
このようにして得た合金粉末を水中に投入して、残留Caを取り除いてSmFe17の粉末を得た。得られた合金粉末は、大気中に放置しておいても酸素量が殆ど変化せず、安定性に富んだものであった。1μm以下の微粒子は大きく減少していることが走査電子顕微鏡で観察できた。
得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(実施例2)
加熱処理温度を800°Cとした他は実施例1と同じ条件でSmFe17の粉末を得た。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(実施例3)
加熱処理温度を1180°Cとした他は実施例1と同じ条件でSmFe17の粉末を得た。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1に記載の還元拡散法でSm−Fe(27重量%Sm)母合金粉末を作製した後、これを粉砕せず、Sm粉末とCa粒とも混合せずに、35vol%アンモニアガス−水素ガス雰囲気で480°C、6時間加熱して窒化処理を行った。その後、2−プロパノールを溶媒とした媒体攪拌ミルで平均粒径が約4μmになるように粉砕して乾燥した。
得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
1μm以下の微粒子の有無は顕微鏡で観察することで評価した結果、本例では実施例1と異なり、粒径1μm以下の微細な粒子が凝集して二次粒子を形成していることがわかった。
(比較例2)
焼結温度を700°Cとした他は実施例1と同じ条件でSmFe17の粉末を得た。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(比較例3)
焼結温度を1200°Cとした他は実施例1と同じ条件でSmFe17の粉末を得た。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(実施例4)
母合金の粉砕平均粒径を1.1μmとした以外は実施例1と同じ条件でSmFe17の粉末を得た。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(実施例5)
母合金の粉砕平均粒径を9.3μmとした以外は実施例1と同じ条件でSmFe17の粉末を得た。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(実施例6)
実施例1の方法で作製したSm−Fe(27重量%Sm)母合金粉末を用い、同様にして、2−プロパノールを溶媒とした媒体攪拌ミルで平均粒径が約4μmになるように粉砕して乾燥した。この粉末100gとSm粉末5gとCa粒2.5gを混合してステンレス容器に詰め、アルゴンガス中、焼結温度1000°Cで2時間の加熱処理を行った。室温まで冷却した後に、水素ガスをステンレス容器に導入して水素脆化させた。
このようにして得た合金粉末を水中に投入して、残留Caを取り除いた後、35vol%アンモニアガス−水素ガス雰囲気で480°C、6時間加熱して窒化処理を行って、SmFe17の粉末を得た。
得られた合金粉末は、大気中に放置しておいても酸素量が殆ど変化せず、安定性に富んだものであった。1μm以下の微粒子は大きく減少していることが走査電子顕微鏡で観察できた。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(比較例4)
母合金の粉砕平均粒径を0.5μmとした以外は実施例1と同じ条件でSmFe17の粉末を得た。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
(比較例5)
母合金の粉砕平均粒径を12.3μmとした以外は実施例1と同じ条件でSmFe17粉末を得た。得られた粉末の平均粒径を測定し標準偏差を計算した。また、粉末の比表面積、保磁力、角形性、耐候性を測定した。これらの結果を表1に示した。
Figure 0004241461
「評価」
表1より、実施例1の磁石合金粉末は、比較例1に比べて粒径が大きいが標準偏差は小さいことがわかる。その結果、比表面積も小さくなっている。これらのことが保磁力の増大角形性の改善につながっている。耐候性試験後の保磁力も試験前の値に近く、良好である。
実施例2の粉末は、実施例1に比べて粒径が小さいが標準偏差はやや大きめである。1μm以下の粉末が実施例1に比べて少し残っているが、比表面積も比較例1、2に比べて小さくなっており、保磁力、角形性に優れていることが分かる。耐候性も十分である。
実施例3の粉末は、実施例1に比べて粒径が大きくなり、標準偏差もやや大きめになっているが、比較例3に比べて粒径が小さく十分な保磁力を得ることができている。
実施例4の粉末は、実施例1に比べて粒径が小さいため高い保磁力が得られる。比較例4も同様に高い保磁力は得られるものの粒子の凝集が激しいため角形性が低い結果になっている。
実施例5の粉末は、実施例1に比べて粒径が大きいため低い保磁力になってしまうが、比較例5に比べて大きな保磁力を有する。これらの材料に要求される保磁力は480kA/m以上である。
実施例6の粉末は、実施例1と同等の磁気特性であったが、合金粉末を水素脆化後に洗浄しているために、実施例1に比べて僅かに角形性と保磁力が低いという結果が得られた。

Claims (8)

  1. 希土類金属(R)と、鉄、コバルト、又はニッケルから選ばれた少なくとも1種の遷移金属(TM)と、窒素とを主要構成成分とするRTM17型の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法において、
    希土類金属(R)と遷移金属(TM)を含む母合金を、平均粒径が1〜10μmの粉末に粉砕する工程(a)、粉砕された母合金粉末に希土類酸化物粉末と還元剤とを混合し、不活性ガス中800〜1200°Cの温度で加熱処理する工程(b)、得られた反応生成物を水素ガス雰囲気中で脆化・粉砕する工程(c)、得られた反応生成物粉末を窒素またはアンモニアを用いて窒化し磁石合金粉末を得る工程(d)、および得られた磁石合金粉末から還元剤の残渣物を取り除くために該粉末を水洗する工程(e)を含むことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法。
  2. 希土類金属(R)と、鉄、コバルト、又はニッケルから選ばれた少なくとも1種の遷移金属(TM)と、窒素とを主要構成成分とするRTM17型の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法において、
    希土類金属(R)と遷移金属(TM)を含む母合金を、平均粒径が1〜10μmの粉末に粉砕する工程(f)、粉砕された母合金粉末に希土類酸化物粉末と還元剤とを混合し、不活性ガス中800〜1200°Cの温度で加熱処理する工程(g)、得られた反応生成物を水素ガス雰囲気中で脆化・粉砕する工程(h)、得られた反応生成物粉末から還元剤の残渣物を取り除くために該粉末を水洗する工程(i)、および水洗された反応生成物粉末を窒素またはアンモニアを用いて窒化し磁石合金粉末を得る工程(j)を含むことを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法。
  3. 母合金が、還元拡散法により製造されたSm−Fe系合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法。
  4. 工程(b)又は工程(g)において、母合金粉末の100重量部に対して、希土類酸化物粉末を1〜10重量部、還元剤を0.5〜5重量部の割合で混合することを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法。
  5. 工程(b)又は工程(g)において、母合金が実質的に粒子成長しないように、加熱時間を0.5〜5時間の範囲にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法を用いて製造された希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末。
  7. 平均粒径が1〜10μmであることを特徴とする請求項6に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末。
  8. 請求項7に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁石合金粉末に樹脂バインダーを混合して成形してなる希土類ボンド磁石。
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