JPH08144024A - 安定した保磁力を有する磁性材料およびその製法 - Google Patents

安定した保磁力を有する磁性材料およびその製法

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JPH08144024A
JPH08144024A JP6290064A JP29006494A JPH08144024A JP H08144024 A JPH08144024 A JP H08144024A JP 6290064 A JP6290064 A JP 6290064A JP 29006494 A JP29006494 A JP 29006494A JP H08144024 A JPH08144024 A JP H08144024A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】RとTMとN(RはYを含む希土類元素のうち
の少なくとも一種、TMは遷移金属元素のうち少なくと
も一種、Nは窒素)を含む磁性材料において、組成式が
実質的にRaTM100−a−bNb(a,bは原子百
分率,5≦a≦20,12≦b≦18)で表され、主相
の結晶構造が菱面体晶または六方晶であり、副相として
介在物相が微細分散しており、介在物相の大きさrが1
nm≦r≦500nmである磁性材料。 【効果】粗粉体で大きな保磁力が発現し、優れた耐酸化
性及び温度特性を有した希土類−遷移金属−窒素系磁性
材料を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に小型モーター、ア
クチュエーターなどの用途に最適な、磁気特性、中でも
保磁力に優れた磁性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁性材料は家庭電化製品、音響製品、自
動車部品やコンピューターの周辺端末機まで、幅広い分
野で使用されており、エレクトロニクス材料としての重
要性は年々増大しつつある。特に最近、各種電気・電子
機器の小型化、高効率化が要求されてきたため、より高
性能の磁性材料が求められている。
【0003】この時代の要請に応え、Sm−Co系、N
d−Fe−B系などの希土類磁性材料の需要が急激に増
大している。しかし、Sm−Co系は原料供給が不安定
で原料コストが高く、Nd−Fe−B系は耐熱性、耐食
性に劣る問題点がある。一方、新しい希土類系磁性材料
として、希土類−鉄−窒素系磁性材料が提案されている
(例えば特開平2−57663号公報)。この材料は、
磁化、異方性磁界、キュリー点が高く、Sm−Co系、
Nd−Fe−B系の欠点を補う磁性材料として期待され
ている。
【0004】しかしながら、前述の公報に開示された希
土類−鉄−窒素系材料は10μm以下に細かく粉砕して
使用しなければ、実用的な高い保磁力が達成されない。
10μm以下に粉砕すると、表面が酸化され易く保磁力
が低下したり、磁粉の凝集が激しくなって圧縮成形の
際、密度が上昇しなかったりするため、この材料が本来
有している高磁気特性を充分発揮することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、R−TM−
N系材料において、微構造を限定することにより、10
μm以上の大粒径においても高い保磁力と磁化を有し、
前述の問題点を解決したR−TM−N組成の磁性材料と
その製造法とを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】高い保磁力を有するR−
TM−N系磁性材料を得るために、TMの組み合わせ
や、Nの量と分布を制御することで、微構造を変化させ
た系について鋭意検討した結果、保磁力と共に磁化が高
くなる微構造および組成を有した希土類(R)−遷移金
属(TM)−窒素(N)系磁性材料とその製造法を見い
だし、本発明を成すに至った。
【0007】即ち、本発明は(1)RとTMとN(Rは
Yを含む希土類元素のうちの少なくとも一種、TMは遷
移金属元素のうち少なくとも一種、Nは窒素)を含む磁
性材料において、組成式が実質的にRaTM100-a-b
b(a,bは原子百分率,5≦a≦20,12≦b<1
5)で表され、主相の結晶構造が菱面体晶または六方晶
であり、副相として介在物相が微細分散しており、介在
物相の大きさrが1nm≦r≦500nmであることを
特徴とする磁性材料、及び、(2)微細分散している介
在物相の大きさrが1nm≦r≦20nmであることを
特徴とする(1)に記載の磁性材料、及び、(3)微細
分散している介在物相間の平均距離r' が1nm≦r'
≦1000nmであることを特徴とする(1)〜(2)
に記載の磁性材料、及び、(4)微細分散している介在
物相間の平均距離r' と微細分散している介在物相の大
きさrとの比r’/rが、2≦r’/r≦100である
ことを特徴とする(1)〜(3)に記載の磁性材料、及
び、(5)TMとして、Feを25原子%以上含むか、
または、Feの0.01〜50原子%を、Coで置き換
え、Fe,Coの合計量が25原子%以上であることを
特徴とする(1)〜(4)に記載の磁性材料、及び、
(6)R−TM合金にNを気相から導入し、実質的にR
aTM100-a-b Nb(a、bは原子百分率5≦a≦2
0、15≦b≦30)で表される合金とした後、水素を
含む雰囲気下で加熱処理して合金中のN量を12〜15
原子%とすることを特徴とする、(1)〜(5)に記載
の磁性材料の製造方法である。
【0008】以下本発明について詳細に説明する。希土
類元素(R)としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、
Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、YbおよびLuのうち少なくとも一種を含めば良
く、従って、ミッシュメタルやジジム等の二種以上の希
土類元素の混合物を用いても良いが、好ましい希土類と
しては、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、E
rである。さらに好ましくは、Y、Ce、Pr、Nd、
Smである。特に、SmをR成分全体の50原子%以上
含むと、保磁力が際立って高い材料が得られる。
【0009】また、ここで用いる希土類元素は工業的生
産により入手可能な純度でよく、製造上混入が避けられ
ない不純物、例えばO、H、Al、F、Na、Mg、C
a、Liなどが存在しているものであっても差し支えな
い。遷移金属(TM)としては、Ti,V,Cr,M
n,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Zr,N
b,Mo,Pd,Ag,Cd,In,Hf,Ta,W,
Pt,Pbのうち少なくとも一種を含めば良いが、強磁
性を担う鉄(Fe)を25原子%以上含むのが望まし
い。また、このFeの0.01〜50原子%を、Coで
置き換え、Fe,Coの合計量が25原子%以上であっ
ても良い。Coの導入により、キュリー点と磁化とが上
昇するとともに、耐酸化性も向上できる。以下において
は、遷移金属と表記した場合、Feを25原子%以上含
み、さらに、Feの0.01〜50原子%をCoで置換
したものを含むものとする。
【0010】Fe、Co以外で、粗粉の保磁力を高める
効果があるTMとして、Mn、Ni、Cr、Zr、T
i、Hf、V、Nbなどが挙げられ、これらのうち少な
くとも1種を0.1原子%〜10原子%の範囲で含むの
が好ましい。本発明におけるR−TM−N系磁性材料の
各組成は、希土類成分が5〜20原子%、遷移金属成分
が30〜83原子%、Nが12〜15原子%の範囲と
し、これらを同時に満たすものである。
【0011】R成分が5原子%未満のとき、鉄成分を多
く含む軟磁性相が母合金鋳造・焼鈍後も許容量を越えて
分離し、このような種類の軟磁性相は窒素導入後の保磁
力に悪影響を及ぼすので実用的な永久磁石材料として好
ましくない。またR成分が20原子%を越えると、残留
磁束密度が低下して好ましくない。R成分比として、好
ましくは5原子%以上15原子%以下、さらに好ましく
は8原子%以上12原子%以下である。
【0012】主相の組成としては、RaTM100-a-b
bにおいて、原子百分率で5≦a≦20及び12≦b<
15である必要がある。ここで、a<5では異方性が十
分でないため好ましくなく、a>20では磁化が低すぎ
て好ましくない。また、b<12 では、未窒化相の存
在により磁化を低下させて望ましくなく、b≧15で
は、磁化や異方性を低下させて望ましくない。また、構
造としては、菱面体晶または六方晶であることが必要で
ある。
【0013】ここで主相とは、組成の主成分となる相の
ことであり、結晶性が高く磁化が大きい相であり、この
相を有することにより高い磁気特性を有する。しかし、
主相単独では保磁力の発現機構がニュークリエイション
型であるため、大きな保磁力を得るためには、結晶表面
や粒界の平滑化や非磁性相化により、逆磁区の生成を抑
えるか、実用温度範囲で単磁区状態が安定な粒径付近ま
で微粉砕することで、磁壁の移動をしにくくする必要が
あった。このため、数μm以下の粒径で高保磁力を発揮
する磁性材料においては、微粉砕中または後に、磁粉表
面の酸化が避けられない。そこで、本発明は、酸化によ
る劣化を避けるために、粗粉体でも高保磁力が発現する
ようにしたものである。すなわち、介在物相の存在によ
り、磁壁の移動が抑えられ、高保磁力が発現する。ピン
ニングサイトとして効果を増すためには、介在物相は、
主相の内部に分散することが望ましい。
【0014】介在物相の磁気異方性は、主相と大きく異
なるのが望ましく、主相と介在物相の異方性エネルギー
の比が2分の1以下または2以上であるのが好ましい。
介在物相の結晶構造としては、主相と異なるものとして
は、bcc相、アモルファス相、fcc相、などが挙げ
られる。主相と同じ菱面体晶、六方晶であっても窒素組
成やTM組成が大きく異なる相であればよい。
【0015】また、主相中に分散した介在物相のサイズ
rは、主相の磁壁幅と同じくらいか、より小さいのが望
ましく、さらには、1nm≦r≦500nmの範囲であ
るのが望ましい。ここで、r<5nmでは、磁壁幅より
小さすぎるため、磁壁をトラップできず、磁壁が移動し
易くなり、保磁力が低下して好ましくなく、r>500
nmでは、主相の磁壁幅より大きすぎ、介在物相の体積
分率が大きくなり、磁化が低下して好ましくない。
【0016】また、微細分散している介在物相間の距離
も磁気特性に大きく影響を及ぼす。微細分散している介
在物相間の平均距離として、各介在物相と最近接の介在
物相の重心間距離をr’とすると、r’は、1nm≦
r’≦1000nmであることが好ましく、さらに好ま
しくは、1nm≦r’≦200nmである。r’<1n
mでは、主相の格子の大きさに近すぎ、主相の結晶子サ
イズが小さくなって好ましくなく、また、r’>200
nmでは磁壁をピン止めしがたく、r’>1000nm
では、磁壁をピン止めすることができない。また、介在
物相のサイズとの比r’/rは、2<r’/r<100
であることが望ましく、さらに好ましくは3<r’/r
<20であるのが望ましい。ここで、r’/r>100
では、介在物相間の距離が離れすぎ、磁壁をピン止めす
るのに十分でない。また、r’/r<2では、介在物相
間の距離が近すぎ、介在物相の占める体積分率が大きく
なりすぎるため、磁気特性を低下させて好ましくない。
【0017】ここに、粗粉体とは平均粒径10μm以上
の粉体のことをいい、微粉体とは平均粒径10μm未満
の粉体のことをいう。平均粒径は、様々な原理・装置で
測定することができ、それぞれ値が異なる。特に断らな
い限り、平均粒径とは、通常用いられる粒子径分布測定
装置で得られた体積相当径分布曲線をもとにして求めた
メジアン径のことをいう。
【0018】ところでR−TM母合金にNを気相から導
入すると、R−TMの結晶格子が膨張する。結晶格子の
膨張に伴い、耐酸化性または磁気特性の各項目のうち一
項目以上が向上し、実用上好適な磁性材料となる。ここ
にいう磁気特性とは、材料の飽和磁化(4πIs)、残
留磁束密度(Br)、磁気異方性磁界(Ha)、磁気異
方性エネルギー(Ea)、磁気異方性比、キュリー点
(Tc)、固有保磁力(iHc)、角形比(Br/4π
Is)、最大エネルギー積[(BH)max]、熱減磁
率(α、磁化の可逆温度係数と同義)、保磁力の温度変
化率(β、保磁力の可逆温度係数と同義)のうち少なく
とも一つを言う。但し、磁気異方性比とは、外部磁場を
15kOe印加した時の困難磁化方向の磁化(a)と容
易磁化方向の磁化(b)の比(a/b)であり、磁気異
方性比が小さいもの程、磁気異方性エネルギーが高いと
評価される。
【0019】例えば、R−TM母合金の主原料相とし
て、菱面体構造を有するSm10.5Fe 85.0Hf4.5 を選
んだ場合、Nを導入することによって、結晶磁気異方性
が面内異方性から硬磁性材料として好適な一軸異方性に
変化し、磁気異方性エネルギーを初めとする磁気特性と
耐酸化性が向上する。本磁性材料全体に導入されるNの
量は、12〜15原子%にしなければならない。15原
子%を越えると磁化が低く、磁石材料用途としては実用
性が小さい。12原子%未満では保磁力をあまり向上さ
せることができず、好ましくない。
【0020】また、目的とするR−TM−N系磁性材料
のR−TM組成比や副相の量比さらに結晶構造などによ
って、最適なN量は異なり、例えば菱面体構造を有する
Sm 10.9(Fe0.89Co0.1184.5Mn4.7 を原料合金
として選ぶと、最適なN量は14原子%付近となる。こ
のときの最適なN量とは、目的に応じて異なるが材料の
耐酸化性及び磁気特性のうち少なくとも一項目が最適と
なるN量であり、磁気特性が最適とは磁気異方性比、減
磁率及び保磁力の温度変化率の絶対値は極小、その他は
極大となることである。
【0021】本発明により得られたR−TM−N系磁性
材料には、水素(H)が15原子%以下、さらに酸素
(O)が15原子%以下含まれていてもよい。好ましく
は水素量及び酸素量は、10原子%以下及び10原子%
以下に制御されている。従って、特に好ましい本発明の
R−TM−N系材料の全体組成(主相と介在物相を含
む)は、一般式RαTM(100-α-β-γ-δ) NβHγO
δで表わしたとき、α、β、γ、δは原子%で、 2.4≦α≦20 0.8≦β≦30 0≦γ≦10 0≦δ≦10 の範囲である。
【0022】本発明の材料のうち、菱面体晶を有するS
2 (Fe,Co,Cr)17又は(Sm2 (Fe,C
o,Mn)17母合金に窒素成分を導入し、本発明の材料
とする方法について、以下に具体的に例示して述べる。
ただし、例示したものであり、この組成に限定されるも
のではない。磁気異方性エネルギー、磁化、キュリー温
度など多くの磁気特性が最適となるSm2 Fe173
料(例えば、IEEE Trans. Magn.,2
8,2326(1992))より、Sm2 Fe17あたり
窒素が多く導入されて、粗粉体の状態での保磁力が最大
となる。
【0023】NがSm2 Fe17あたり3個を越えて増加
していくと、Nは格子間に侵入するため結晶格子が広が
り、不安定な状態となる。さらNが増加して4個を超過
すると、ついに、結晶格子の崩れた或いは崩れかけた部
分が生じる。この部分が介在物相として働く。このと
き、TMとして、Fe,Coの他に、共存すると高窒化
領域での保磁力が特に大きく増加する元素がある。例え
ば、30μm程度の粗粉体Sm−Fe−N3元系では、
保磁力の最大値が2kOe程度であるのに対して、Cr
が共存すると、保磁力は6〜11kOeまで増加する
し、Mnが共存すると、保磁力は6〜12kOeまで増
加する。
【0024】CrやMnなどの役割については不明であ
るが、結晶格子の崩れた或いは崩れかけた部分にCrや
Mnが存在することにより、磁化反転をくい止める効果
が生じるものと考える。以上のように、この組成の材料
は粗粉でも高い保磁力を有するが、磁化が低く、実用面
で適用範囲が限られる。Nを一旦Sm2 Fe17あたり4
個を越えるまで導入し、上記の微構造を有する粗粉体と
してから、水素を含む雰囲気下で熱処理するなどの方法
を用いて、NをSm2 Fe17あたり3〜4個までとする
と、粗粉であってもの保磁力のみならず、磁化も高い実
用上極めて好ましい磁性材料となる。
【0025】また、CrやMnの組成比にもよるが、S
2 (Fe,Co,Cr)17又はSm2 (Fe,Co,
Mn)17あたりのNの数が3個を超えた辺りから4個あ
たりまでの本発明の材料について、磁気曲線の立ち上が
りや保磁力の着磁磁場依存性などを調べた結果、磁化反
転機構はピンニング型であることが明らかとなった。こ
の傾向はCoを含まない材料に対しても同様に見られ
る。
【0026】磁粉体の表面付近が酸化されて、逆磁区の
芽となりうる軟磁性な部分が生じた場合を考える。ニュ
ークリエーション型の材料は磁壁の移動が容易に起こる
ため、逆磁区が発生すると容易に成長して、保磁力が低
下する。このタイプの材料として、前述のSm2 Fe17
3 材料が挙げられる。一方ピンニング型の材料は、表
面付近に逆磁区が生じても磁壁の移動が起こりづらく、
高い保磁力を維持する。さらに、保磁力の温度変化率β
も磁化反転の機構が異なることにより、大きく改善され
る可能性がある。
【0027】本発明の材料は、10μm以上の粒径を有
していても保磁力が高いだけでなく、組成域によっては
磁化反転機構がピンニング型となり、上記のような理由
で酸化による保磁力の低下や保磁力の温度変化率βも改
善される。ただしM成分の種類と含有量によっては母合
金鋳造法を選ぶとピニングサイトとして介在物相が主相
に分散することがあり、これを窒化することによって本
発明の磁性材料を作製することができる。M成分の種類
として例示すれば、Mn,Cr,Hf,Ti,Zr,
V,Nb,Cu,Inが挙げられ、含有量としては1原
子%〜10原子%の範囲が望ましい。
【0028】以下、本発明の製造法について例示する。 (1)母合金の調製 本発明の磁性材料は、過剰のNを導入することにより、
R−TM主原料相中にピンニング点が微分散する微構
造、例示すればセル型構造の境界にピンニング点が存在
する微構造、をとったとき、ピンニング点にTMが共存
すると保磁力の値が極めて大きくなる。従って、TMの
添加は母合金調整の段階で行う。
【0029】R−TM合金の製造法としては、イ)R、
TM金属を高周波により溶解し、鋳型などに鋳込む高周
波溶解法、ロ)銅などのボートに金属成分を仕込み、ア
ーク放電により溶かし込むアーク溶解法、ハ)高周波溶
解した溶湯を、回転させた銅ロール上に落しリボン状の
合金を得る超急冷法、ニ)高周波溶解した溶湯をガスで
噴霧して合金粉体を得るガスアトマイズ法、ホ)TM合
金粉体、R及びまたはTMの酸化物粉体、及び還元剤を
高温下で反応させ、RまたはR及びTMを還元しなが
ら、RまたはR及びTMを、TM合金粉末中に拡散させ
るR/D法、ヘ)各金属成分単体及びまたは合金をボー
ルミルなどで微粉砕しながら反応させるメカニカルアロ
イング法、ト)上記何れかの方法で得た合金を水素雰囲
気下で加熱し、一旦R及びまたはTMの水素化物と、T
M合金に分解し、この後高温下で低圧として水素を追い
出しながら再結合させ合金化するHDDR法のいずれを
用いてもよい。
【0030】高周波溶解法、アーク溶解法を用いた場
合、溶融状態から、合金が凝固する際にFe主体の軟磁
性成分が析出しやすく、特に窒化工程を経た後も保磁力
の低下を引き起こす。そこで、この軟磁性成分を消失さ
せたり、微構造を調製する目的で、アルゴン、ヘリウム
などの不活性ガス中もしくは真空中、600℃〜130
0℃の温度範囲で焼鈍を行うことが有効である。この方
法で作製した合金は、超急冷法などを用いた場合に比
べ、結晶粒径が大きく結晶性が良好であり、高い残留磁
束密度を有している。
【0031】また超急冷法を用いた場合は、微細な結晶
粒が得られ、条件によってはサブミクロンの粒子も調製
できる。但し、冷却速度が大きい場合には、合金の非晶
質化が起こり、窒化後においても磁化などの磁気特性が
低下する。この場合も合金調製後の焼鈍は有効である。
なお、焼鈍は後述の窒化工程時に、窒化雰囲気下で行う
こともできる。
【0032】ガスアトマイズ法で得た合金は、球状の形
態を取ることが多く、微粉体から粗粉体まで調製するこ
とが可能である。この場合も条件によっては焼鈍を行
い、結晶性を良好にすることが必要となる。超急冷法、
ガスアトマイズ法に加えてR/D法、メカニカルアロイ
ング法、HDDR法により調製した合金は、0.01〜
3μmの微細な結晶粒を調整することが可能であるた
め、本発明の効果をより顕著にすることが可能である。
【0033】以上の方法で調製した母合金を焼鈍する条
件は、組成や目的に応じて、不活性ガス、水素ガスのう
ち少なくとも一種を含むガス中、真空中の何れかの雰囲
気下、及び600〜1300℃の範囲の温度との組合せ
のなかから選ばれる。なお、六方晶高温相を作製する場
合など、所定温度で焼鈍(溶体化)したのち急冷する過
程が必要となる場合は、この過程の制御も(1)の工程
に含まれる。急冷溶体化装置としては、水、氷水、空
気、油などの冷媒中でクエンチするよう工夫された熱
炉、ガスクエンチ炉などが挙げられる。
【0034】TM成分としてCuやInなどを含む場
合、母合金を焼鈍(溶体化)したあと急冷する過程、時
効処理をする過程を経て、2相分離構造を作る方法によ
って、より広い組成範囲でピンニング型の材料が得ら
れ、保磁力の酸化劣化や温度変化がさらに改善される。 (2)粗粉砕及び分級 上記方法で作製した合金インゴットを直接窒化すること
も可能であるが、結晶粒径が500μmより大きいと窒
化処理時間が長くなり、粗粉砕を行ってから窒化する方
が効率的である。
【0035】粗粉砕はジョ−クラッシャー、ハンマー、
スタンプミル、ローターミル、ピンミル、コーヒーミル
などを用いて行う。また、ボールミルやジェットミルな
どのような粉砕機を用いても、条件次第では窒化に適当
な、合金粉末の調製が可能である。母合金に水素を吸蔵
させたのち上記粉砕機で粉砕する方法、水素の吸蔵・放
出を繰り返し粉化する方法を用いても良い。
【0036】さらに、粗粉砕の後、ふるい、振動式ある
いは音波式分級機、サイクロンなどを用いて粒度調整を
行うことも、より均質な窒化を行うために有効である。
粗粉砕、分級の後、不活性ガスや水素中で焼鈍を行うと
構造の欠陥を除去することができ、場合によっては効果
がある。以上で、本発明の製造法における希土類−鉄合
金の粉体原料またはインゴット原料の調製法を例示した
が、これらの原料の結晶粒径、粉砕粒径、微構造、表面
状態などにより、以下に示す窒化の最適条件に違いが見
られる。 (3)N成分の導入・焼鈍 N成分は、気相よりR−TM合金内に導入する方法が最
も好ましい。R−TM合金の結晶構造を基本的に変化さ
せないで膨張させることにより、前述のように磁化、磁
気異方性、キュリー点が上昇するからである。雰囲気ガ
ス中に水素を共存させると、N成分の導入効率が高い上
に結晶構造内にNを導入させる点で好ましい。
【0037】窒素成分の導入はアンモニアガス、窒素ガ
スなどの窒素源を含むガスを、上記(1)または、
(1)及び(2)で得たR−TM合金粉体またはインゴ
ットに接触させて、結晶構造内に窒素を導入する工程で
ある。このとき、窒化雰囲気ガス中に水素を共存させる
と、窒化効率が高い上に、結晶構造が安定なまま窒化で
きる点で好ましい。また反応を制御するために、アルゴ
ン、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガスなどを共存させ
る場合もある。
【0038】最も好ましい窒化雰囲気としては、アンモ
ニアと水素の混合ガスであり、特にアンモニア分圧を
0.1〜0.7の範囲に制御すれば、窒化効率が高い上
に本発明の窒素量範囲全域の磁性材料を作製することが
できる。窒化反応は、ガス組成、加熱温度、加熱処理時
間、加圧力で制御し得る。このうち加熱温度は、母合金
組成、窒化雰囲気によって異なるが、200〜650℃
の範囲で選ばれるのが望ましい。さらに好ましくは25
0〜600℃である。
【0039】また窒化を行った後、不活性ガス及び又は
水素ガス中で焼鈍することは磁化を向上させるために必
須である。特に水素ガスを含む雰囲気中で焼鈍すると、
窒素量を最適にし、磁化を向上させるので、特に好まし
い。これは、一度窒素を過剰に加えることで介在物分散
型の構造を作り、その後の焼鈍で窒素を抜くことで、磁
化を向上させているためである。
【0040】窒化・焼鈍装置としては、横型、縦型の管
状炉、回転式反応炉、密閉式反応炉などが挙げられる。
何れの装置においても、本発明の磁性材料を調整するこ
とが可能であるが、特に窒素組成分布の揃った粉体を得
るためには回転式反応炉を用いるのが好ましい。反応に
用いるガスは、ガス組成を一定に保ちながら1気圧以上
の気流を反応炉の送り込む気流方式、ガスを容器に加圧
力0.01〜70気圧の領域で封入する封入方式、或い
はそれらの組合せなどで供給する。
【0041】なお、窒化・焼鈍工程を経てから、(2)
粗粉砕・分級に例示した方法で、粒子径を調製すること
も有効である。本磁性材料の製造方法としては、(1)
又は、(1)及び(2)に例示した方法でR−TM組成
の母合金を調製してから、(3)で示した方法でN成分
を導入する工程を用いるのが最も好ましい。特に(1)
又は(2)の工程で本発明の請求項第5項の範囲に含ま
れる焼鈍処理を行ったのち窒化すると、酸化による保磁
力の劣化が極めて小さい磁性材料を得ることができる。
【0042】以上が本発明のR−TM−N系磁性材料の
製造法に関する説明であるが、特に実用的な硬磁性材料
として本発明の磁性材料を応用する際には、(4)微粉
砕、(5)磁場成形、(6)着磁を行う場合がある。以
下、その例を簡単に示す。 (4)微粉砕 微粉砕の方法としては、(2)粗粉砕で用いた方法に加
え、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミ
ル、ウエットミル、ジェットミル、カッターミル、ピン
ミル、自動乳鉢及びそれらの組合せなどが用いられる。
【0043】本発明の磁性材料は、粉砕粒径によって、
ほとんど保磁力が変化せず、また磁化の低下も著しくな
い。従って、10μm以上の本発明の粗粉体と上記の方
法で粉砕した微粉体を1〜50重量%までの範囲で混合
して成形すると、充填率が高まるので、磁化や最大エネ
ルギー積の高い成形体が作製でき、実用上好ましい磁石
材料となる。但し、粗粉体と微粉体の配合比、即ち粒子
径分布によって、角形比が低下する場合があるので注意
を要する。
【0044】(3)又は、(3)及び(4)で得た磁性
粉体にZnなどのTM成分をさらに添加し、(5)の工
程前或は後に熱処理を行って各種磁石材料とする方法
は、角形比を高めたり、耐酸化性をさらに向上させる点
で有効な方法である。 (5)磁場成形 例えば、(3)又は、(3)及び(4)で得た磁性粉体
を異方性ボンド磁石に応用する場合、熱硬化性樹脂や金
属バインダーと混合したのち磁場中で圧縮成形したり、
熱可塑性樹脂と共に混練したのち磁場中で射出成形を行
ったりして、磁場成形する。
【0045】磁場成形は、R−TM−N系磁性材料を充
分に磁場配向せしめるため、好ましくは10kOe以
上、さらに好ましくは15kOe以上の磁場中で行う。
本発明のTM成分は金属バインダーや表面処理剤として
も用いられる。 (6)着磁 (5)で得た異方性ボンド磁石や焼結磁石、(3)また
は、(3)及び(4)で得た粉体を樹脂や金属バインダ
ーとともに無磁場で成形した等方性ボンド磁石や焼結磁
石については、磁石性能を高めるために、通常着磁が行
われる。
【0046】着磁は、例えば静磁場を発生する電磁石、
パルス磁場を発生するコンデンサー着磁器などによって
行う。充分着磁を行わしめるための、磁場強度は、好ま
しくは15kOe以上、さらに好ましくは30kOe以
上である。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。評価方法は以下の通りである。 (1)磁気特性 平均粒径約30μm(比較例1、実施例2においては、
約30μmと約2μmの2種)のR−TM−N系磁性材
料に銅粉を混ぜ、外部磁場15kOe中、2ton/c
2 で成形し、室温中80kOeの磁場でパルス着磁し
た後、振動試料型磁力計(VSM)を用いて、室温の固
有保磁力(iHc/kOe)及び磁化(emu/g)を
測定した。 (2)窒素量 窒素量はSi3 4 (SiO2 を定量含む)を標準試料
として、不活性ガス融解法により定量した。 (3)平均粒径 レーザー回折式粒度分布計を用いて、体積相当径分布を
測定し、その分布曲線より求めたメジアン径にて評価し
た。 (4)耐酸化性能 平均粒径約30μmの粉体を、110℃の恒温槽に入
れ、200時間後の固有保磁力を(1)と同様にして測
定し、(1)の結果と比較して固有保磁力の保持率
(%)を求めた。保持率の高いものほど、耐酸化性能が
高い。特に、本試験では各種バインダーを添加せず評価
しているため、保持率90%を越えるものは、例えばボ
ンド磁石とした時の実用物性として優れた材料と判定で
きる。 (5)温度特性試験 VSMを用い、室温〜150℃までの温度範囲にて、
(1)で調製した試料の固有保磁力を測定した。室温と
150℃の固有保磁力の値から、1℃あたりの保磁力の
低下率を計算し、保磁力の温度変化率β(%/℃)を求
めた。保磁力の温度変化率の小さいものほど実用的に優
れた材料である。このような材料はパーミアンスの小さ
な永久磁石材料に応用する際、室温での保磁力がさほど
高くなくても、一般に不可逆温度係数が小さくなり、よ
り高温用途、偏平材料用途に好ましく用いられる。
【0048】
【実施例1】純度99.9%のSm、純度99.9%の
Fe、純度99.9%のCo、及び純度99.9%のM
nを用いてアルゴンガス雰囲気下高周波溶解炉で溶解混
合し、さらにアルゴン雰囲気中、1150℃で20時間
焼鈍することにより、Sm10 .9(Fe0.89Co0.11
84.5Mn4.6 組成の合金を調製した。
【0049】この合金をジョークラッシャーにより粉砕
し、次いで窒素雰囲気中ローターミルでさらに粉砕した
後、ふるいで粒度を調整して、平均粒径約50μmの粉
体を得た。このSm−Fe−Co−Mn合金粉体を横型
管状炉に仕込み、450℃において、アンモニア分圧
0.35atm、水素ガス0.65atmの混合気流中
で2.5時間加熱処理し、続いて同温度、水素気流中で
1時間焼鈍した後、平均粒径約30μmに調整した。
【0050】得られたSm−(Fe,Co,Mn)−N
系粉体の組成、磁気特性、耐酸化性能、温度特性試験結
果を表1に示した。このように高磁気特性を示す原因を
探るため、得られた粉体の断面を、透過型電子顕微鏡に
より観察した(図3)。介在物相(図中の黒い部分)が
微細に分散している構造を有している。介在物相のサイ
ズは、1nm〜20nmであり、この微細な構造が、磁
壁の移動を妨げる効果を有すると考えられる。
【0051】なお、X線回折法により解析した結果、菱
面体晶を示す回折線、及び44゜(Cu、Kα線)付近
に比較的大きな回折線が認められた。また、強度は低く
なっており、主相の一部が非晶質になっていると考えら
れる。
【0052】
【実施例2】母合金の組成を、表1に示す組成に変更す
る以外は実施例1と同様な操作によって、平均粒径約3
0μm、及び2μmのR−TM−N系粉体を得た。その
結果を表1に示す。また、得られた粉体の断面を、透過
型電子顕微鏡により観察した結果、実施例1と同様の介
在物が微分散する構造を有していることがわかった。高
磁気特性を示すのはこの構造に起因するものであること
は、明らかである。
【0053】なお、X線回折法により解析した結果、菱
面体晶を示す回折線、及び44゜(Cu、Kα線)付近
に比較的大きな回折線が認められた。また、得られた粉
体を無磁場下で等方性に成型し、保磁力の初磁化曲線を
調べた。その結果を図1に示す。この曲線は12kOe
辺りに変曲点(磁化Mを磁場Hで2次微分したd2 M/
dH2 の極大点[図1中下向き矢印])を有すること
は、本材料の保磁力発現機構がピンニング型であること
を示唆している。
【0054】また、得られた粉体を等方性に成型し、着
磁磁場を変化させたときの保磁力の変化を調べた。その
結果を図2に示す。着磁磁場を上げていくにつれて、保
磁力は急激に増加して飽和に到るが、この様子も、本材
料の保磁力発現機構がピンニング型であることを示唆し
ている。
【0055】
【実施例3】実施例2の粉体を、ボールミルにより平均
粒径約3μmまで粉砕した。この材料の保磁力は9.1
kOeであった。この結果は、実施例2の粉体におい
て、保磁力の粒径依存性がないことを示している。
【0056】
【実施例4、5】TMの組成を表1に示すとおりとする
以外は実施例1と同様な操作により、Sm−TM−N系
粉体を得た。その評価結果を表1に示す。また、これら
の粉体断面をTEM観察することにより、微構造は実施
例1と同様であることがわかった。さらに初磁化曲線の
測定により、磁化反転機構はピンニング型であると考え
られる。
【0057】
【比較例1】TMをFeとCoのみとする以外は実施例
1と同様にして、Sm10.5(Fe0. 9 Co0.1 89.5
金を作製した。この合金粉末を横型管状炉に仕込み46
5℃においてNH3 分圧0.35atm、水素ガス0.
65atmの混合気流中で2.5時間加熱処理し、続い
てアルゴン気流中で1時間焼鈍した後、平均粒径約30
μmに調整した。この粗粉体をボールミルで4時間微粉
砕し、平均粒径約2μmの微粉体を得た。
【0058】これらの評価結果を表1に示す。また、得
られた粉体の断面を、透過型電子顕微鏡により観察した
結果、実施例において見られたような微細な構造を有し
ていないことがわかった。
【0059】
【表1】
【0060】
【参考例1】実施例1で得た粒径約30μmのSm−F
e−Mn−N系粉体を、2ton/cm2、15kOe
の条件で磁場成形したあと、アルゴン雰囲気下、110
0℃、1時間の条件で熱処理を行った。これを急冷した
ときの成形体の固有保磁力は0.1kOe以下であっ
た。この成形体を再び約30μmに粉砕した粉体の固有
保磁力は0.1kOe以下であった。なおこの材料の結
晶構造をX線回折により解析した結果、α−鉄、窒化鉄
に対応する回折線が主に検出された。
【0061】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、1
0μm以上の粗粉体でも保磁力が高く、しかも磁化も高
い優れた耐酸化性と温度特性を有した希土類−遷移金属
−窒素系磁性材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1で作製したSm9.0 (Fe0.89
Co0.1169.9Mn7.8 13.3組成を有する磁性材料の
無磁場下成形体の初磁化曲線である。
【図2】本発明実施例2で作製したSm9.0 (Fe0.89
Co0.1169.9Mn7.8 13.3組成を有する磁性材料の
無磁場下成形体を、着磁磁場を変化させたときの保磁力
の変化である。
【図3】本発明実施例1で作製したSm9.3 (Fe0.89
Co0.1172.4Mn4.0 14.3組成を有する磁性材料の
断面を透過型電子顕微鏡で観察した写真である。
【手続補正書】
【提出日】平成6年11月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RとTMとN(RはYを含む希土類元素
    のうちの少なくとも一種、TMは遷移金属元素のうち少
    なくとも一種、Nは窒素)を含む磁性材料において、組
    成式が実質的にRaTM100-a-b Nb(a,bは原子百
    分率,5≦a≦20,12≦b<15)で表され、主相
    の結晶構造が菱面体晶または六方晶であり、副相として
    介在物相が微細分散しており、介在物相の大きさrが1
    nm≦r≦500nmであることを特徴とする磁性材
    料。
  2. 【請求項2】 微細分散している介在物相の大きさrが
    1nm≦r≦20nmであることを特徴とする、請求項
    1に記載の磁性材料。
  3. 【請求項3】 微細分散している介在物相間の平均距離
    r’が1nm≦r’≦1000nmであることを特徴と
    する、請求項1又は2に記載の磁性材料。
  4. 【請求項4】 微細分散している介在物相間の平均距離
    r’と微細分散している介在物相の大きさrとの比r’
    /rが、2≦r’/r≦100であることを特徴とす
    る、請求項1〜3に記載の磁性材料。
  5. 【請求項5】 TMとして、Feを25原子%以上含む
    か、または、Feの0.01〜50原子%を、Coで置
    き換え、Fe,Coの合計量が25原子%以上であるこ
    とを特徴とする、請求項1〜4に記載の磁性材料。
  6. 【請求項6】 R−TM合金にNを気相から導入し、実
    質的にRaTM100- a-b Nb(a、bは原子百分率5≦
    a≦20、15≦b≦30)で表される合金とした後、
    水素を含む雰囲気下で加熱処理して合金中のN量を12
    〜15原子%とすることを特徴とする、請求項1〜6に
    記載の磁性材料の製造方法。
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