JP3560387B2 - 磁性材料とその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特に小型モーター、アクチュエーターなどの用途に最適な、磁気特性、中でも保磁力に優れた磁性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁性材料は家庭電化製品、音響製品、自動車部品やコンピューターの周辺端末機まで、幅広い分野で使用されており、エレクトロニクス材料としての重要性は年々増大しつつある。特に最近、各種電気・電子機器の小型化、高効率化が要求されてきたため、より高性能の磁性材料が求められている。このような要請に応え、Sm−Co系(SmCo系及びSmCo17系)、Nd−Fe−B系などの希土類磁性材料の需要が急激に増大しているが、Sm−Co系は原料供給が不安定で原料コストが高く、Nd−Fe−B系は耐熱性、耐食性等に劣る問題点がある。
【0003】
一方、新しい希土類系磁性材料として、希土類−鉄−窒素系磁性材料が提案されている(例えば特開平2−57663号公報)。この材料は、磁化、異方性磁界、キュリー点が高く、Sm−Co系、Nd−Fe−B系の欠点を補う磁性材料として期待されている。
しかしながら、前述の公報に開示された希土類−鉄−窒素系材料は10μm以下に細かく粉砕して使用しなければ、高い保磁力が達成されないが、10μm以下に粉砕すると表面が酸化されて保磁力が低下するという問題点があった。さらに、これらの材料の保磁力の温度変化率βも−0.45と実用物性を充分満足するものではなかった。
【0004】
この対策として、菱面体晶の結晶構造を有した希土類−鉄−窒素系材料にM成分を含ませることにより保磁力及び保磁力の安定性を向上させることが考えられ、そのような材料は特開平3−16102号公報、特開平6−96918号公報に開示されているが、保磁力の安定性の抜本的な改善に至らず、特に保磁力の温度変化率βはほとんど改善されていない。
【0005】
なおここで保磁力の安定性とは、表面が酸化されても保磁力が低下しない特性(保磁力の耐酸化性能という)と温度変化率βの2つの特性を総称していう。
以上の材料が、110℃を越える高温用途や偏平材料用途など、より広い実用範囲で好ましく用いられるためには、保磁力の安定性がさらに改善された希土類−鉄−窒素系材料とすることが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有した希土類−鉄−窒素系材料に金属元素Mnを共存させ、かつ、窒素量を高窒化領域に限定することにより、10μm以上の大粒径においても高い保磁力を有し、前述の保磁力の安定性などの問題点を解決した希土類−鉄−Mn−窒素組成の磁性材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
高い保磁力と保磁力の安定性を有する10μm以上の希土類−鉄−窒素系磁性材料を得るために、母合金に種々の元素(M)を添加した系について鋭意検討した結果、保磁力及び保磁力の安定性が高くなる結晶構造および組成、さらに微構造を有した希土類(R)−鉄(Fe)−Mn−窒素(N)系磁性材料とその製造法を見いだし、本発明を成すに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 一般式RαFe 100-α-β-γMnβNγで表される磁性材料であり、(但し、Rは希土類元素のうち少なくとも一種、α、β、γは原子%で、下式を満たす)
3≦α≦20
0.5≦β≦25
17≦γ≦25
その主相が、少なくとも前記R、Fe、Mn及びNを成分とする菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有した相であり、主相の周りが、10〜200nmの結晶粒子径を有すると共に、N濃度の高い部分及び/又は結晶格子の崩れた或いは崩れかけた部分で取り囲まれたセル構造を有し、かつ該磁性材料の平均粒子径が10μm以上であって、その保磁力が3.6kOe以上であることを特徴とする磁性材料。
(2) Fe成分の0.01〜50原子%をCoで置換した組成を有する(1)に記載の磁性材料。
(3) Rの50原子%以上がSmである(1)又は(2)に記載の磁性材料。
(4) 実質的にR、Fe、Mnからなる合金を、アンモニアガスを含む雰囲気下で、200〜650℃の範囲で熱処理することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の磁性材料の製造法。
(5) 実質的にR−Fe−Mnからなる合金を、不活性ガス及び水素ガスのうち少なくとも一種を含む雰囲気中又は真空中で、600〜1300℃の範囲で熱処理したのち、アンモニアガスを含む雰囲気下で、200〜650℃の範囲で熱処理することにより窒素を導入することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の磁性材
料の製造法。
(6) 一般式RαFe(100-α-β-γ-δ-ε)MnβNγHδOεで表される磁性材料であり、(但し、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも一種、α、β、γ、δ、εは原子%で、下式を満たす)
3≦100α/(100−δ−ε)≦20
0.5≦100β/(100−δ−ε)≦25
17≦100γ/(100−δ−ε)≦25
0.01≦δ≦10
1≦ε≦10
その主相が、少なくとも前記R、Fe、Mn及びNを成分とする菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有した相であり、主相の周りが、10〜200nmの結晶粒子径を有すると共に、N濃度の高い部分及び/又は結晶格子の崩れた或いは崩れかけた部分で取り囲まれたセル構造を有し、かつ該磁性材料の平均粒子径が10μm以上であって、その保磁力が3.6kOe以上であることを特徴とする磁性材料。
(7) Fe成分の0.01〜50原子%をCoで置換した組成を有する(6)に記載の磁性材料。
(8) R成分の50原子%以上がSmである組成を有する(6)又は(7)に記載の磁性材料。
(9) (1)ないし(3)のいずれか1つに記載の磁性材料を粉砕してなる平均粒径10μm未満の磁性材料0.1〜50重量%と、(1)ないし(3)のいずれか1つに記載又は(6)ないし(8)のいずれか1つに記載の磁性材料50〜99.9重量%とを含有する磁性材料。
【0009】
以下本発明について詳細に説明する。
希土類元素(R)としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuのうち少なくとも一種を含めば良く、従って、ミッシュメタルやジジム等の二種以上の希土類元素の混合物を用いても良いが、好ましい希土類としては、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Erである。さらに好ましくは、Y、Ce、Pr、Nd、Smである。特に、SmをR成分全体の50原子%以上含むと、保磁力が際立って高い材料が得られる。特に、Smを70原子%以上含むことが好ましい。
【0010】
ここで用いる希土類元素は工業的生産により入手可能な純度でよく、製造上混入が避けられない不純物、例えばO、H、C、Al、Si、F、Na、Mg、Ca、Liなどが存在しているものであっても差し支えない。
本発明の磁性粉体中において、R成分は3〜20原子%含有する。R成分が3原子%未満のとき、鉄成分を多く含む軟磁性相が母合金鋳造・焼鈍後も許容量を越えて分離し、このような種類の軟磁性相は窒化物の保磁力に悪影響を及ぼすので実用的な永久磁石材料として好ましくない。またR成分が20原子%を越えると、残留磁束密度が低下して好ましくない。さらに好ましいRの組成範囲は6〜12原子%である。
【0011】
鉄(Fe)は強磁性を担う本磁性材料の基本組成であり、30原子%以上含有する。30原子%未満であると、磁化が小さくなり、好ましくない。鉄成分の組成範囲が50〜77原子%の領域にあれば、粗粉体の保磁力と磁化のバランスが取れた材料となり、特に好ましい。
Feのうち0.01〜50原子%を、Coで置換することができ、Coの導入により、キュリー点と磁化とが上昇するとともに、耐酸化性も向上できる。以下においては、”鉄成分”、”Fe成分”と表記した場合、又は”R−Fe−M−N系”などの式の中でFeと表記した場合、Feの0.01〜50原子%をCoで置換したものを含むものとする。CoのFe置換量の好ましい範囲は1〜30原子%である。Coが30原子%を越えると、原料コストが上昇する割りに上記の効果が小さく磁気特性が不安定となり、逆に1原子%未満であると、置換効果がほとんど見られない。CoのFe置換量の、特に好ましい範囲は2〜20原子%である。
【0012】
本発明のおいてはさらにMnを含む。R−Fe−N系磁性材料に対するMnの添加効果は、粗粉体で大きな保磁力を発現させることである。Mn成分の含有量は、0.5〜25原子%の範囲である。25原子%を越えると飽和磁化が低下して好ましくなく、0.5原子%未満の場合は粉体粒径10μm以上での保磁力が低く(3.5kOe以下)、さらに保磁力の温度特性が改善されなくて好ましくない。より好ましい範囲のMn含有量は、1〜15原子%である。1原子%未満の場合は粉体粒径10μm以上での保磁力が低くて好ましくない。
【0013】
Mn成分に加えて、Ga、Al、Zn、Sn、Cr、Ni、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Pd、C、Si、Geの元素のうち1種または2種以上(M成分)を添加しても良いが、これらの含有量はMn含有量未満で、しかもMnとの合計量が0.5〜25原子%の範囲にある様にしなければならない。M成分のうちで、本発明の効果を発揮させるために共添加する元素として好ましいのはCrである。(以下Mn成分という場合は、その中に上記M成分を含有している場合も含むこととする。)
前記の組成に導入される窒素(N)量は、17〜25原子%にしなければならない。25原子%を越えると磁化が低くなり、磁石材料用途としては実用性があまり高くない。17原子%未満では粗粉体の保磁力をあまり向上させることができず、好ましくない。
【0014】
窒素量の好ましい範囲は、目的とするR−Fe−Mn−N系磁性材料のR−Fe−Mn組成比や副相の量比さらに結晶構造などによって、最適な窒素量は異なるので、その量によるが、例えば菱面体構造を有するSm10.5Fe76.1Co8.9 Mn4.5 を原料合金として選ぶと、17〜23原子%付近が最適な窒素量となる。このときの最適な窒素量とは、目的に応じて異なるが材料の耐酸化性及び磁気特性のうち少なくとも一特性が最適となる窒素量であり、磁気特性が最適とは磁気異方性比、減磁率及び保磁力の温度変化率の絶対値は極小、その他は極大となることである。
【0015】
本発明におけるR−Fe−Mn−N系磁性材料の各組成は、希土類成分が3〜20原子%、鉄成分が30〜79.5原子%、Mn成分が0.5〜25原子%、Nが17〜25原子%の範囲とし、これらを同時に満たすものである。
さらに、本発明で得られるR−Fe−Mn−N系磁性材料には、水素(H)が0.01〜10原子%含まれてもよい。特に好ましい本発明のR−Fe−Mn−N系磁性材料の組成は、一般式RαFe(100− αβγδMnβNγHδで表わしたとき、α、β、γ、δは原子%で、
3≦α/(1−δ/100)≦20
0.5≦β/(1−δ/100)≦25
17≦γ/(1−δ/100)≦25
0.01≦δ≦10
の範囲である。但し、Fe成分は30原子%以上、および上記4式とが同時に成り立つようにα、β、γ、δが選ばれる。
【0016】
さらに製造法によっては、酸素(O)が1〜10原子%含まれることがあり、この場合、磁石の成形性、磁気特性の高い材料とすることができる。
本発明の磁性材料中には、菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有する相を含有することが必要である。本発明ではこれらの結晶構造を作り、少なくともR、Fe、Mn、Nを含む相を主相といい、該結晶構造を作らない、または他の結晶構造を作るような組成を有する相を副相と呼ぶ。主相にはR、Fe成分、Mn成分、Nに加え、HやOを含むことがある。但し、O成分は主相に含まれていても、極めて少量で0.01〜1原子%程度である。
【0017】
好ましい主相の結晶構造の例としては、ThZn17などと同様な結晶構造を有する菱面体晶、または、ThNi17、TbCu、CaZnなどと同様な結晶構造を有する六方晶が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を含むことが必要である。この中でThZn17などと同様な結晶構造を有する菱面体晶が最も好ましい。
【0018】
例えば、磁性材料中に副相として、RFe12−X相といった正方晶を取る磁性の高い窒化物相を含んでいても良いが、本発明の効果を充分に発揮させるためには、その体積分率は主相の含有量より低く押さえる必要があり、主相の含有量が75体積%を越えることが、実用上極めて好ましい。
R−Fe−Mn−N系材料の主相は、主原料相であるR−Fe−Mn合金の格子間に窒素が侵入し、結晶格子が多くの場合膨張することによって得られるが、その結晶構造は、主原料相とほぼ同じ対称性を有する。
【0019】
ここにいう主原料相とは、少なくともR、Fe、Mnを含みかつNを含まず、かつ菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有する相のことである。(なお、それ以外の組成または結晶構造を有し、かつNの含まない相を副原料相と呼ぶ。)
窒素の侵入による結晶格子の膨張に伴い、耐酸化性能または磁気特性の各項目のうち一項目以上が向上し、実用上好適な磁性材料となる。なお、ここにいう磁気特性とは、材料の飽和磁化(4πIs)、残留磁束密度(Br)、磁気異方性磁界(Ha)、磁気異方性エネルギー(Ea)、磁気異方性比、キュリー点(Tc)、固有保磁力(iHc)、角形比(Br/4πIs)、最大エネルギー積[(BH)max]、熱減磁率(α、磁化の可逆温度係数と同義)、保磁力の温度変化率(β、保磁力の可逆温度係数と同義)のうち少なくとも一つを言う。但し、磁気異方性比とは、外部磁場を15kOe印加した時の困難磁化方向の磁化(a)と容易磁化方向の磁化(b)の比(a/b)であり、磁気異方性比が小さいもの程、磁気異方性エネルギーが高いと評価される。
【0020】
例えば、希土類−鉄成分−Mn母合金の主原料相として、菱面体構造を有するSm10.5Fe85.0Mn4.5 を選んだ場合、窒素を導入することによって、結晶磁気異方性が面内異方性から硬磁性材料として好適な一軸異方性に変化し、磁気異方性エネルギーを初めとする磁気特性と耐酸化性が向上する。
本発明の磁性材料は平均粒径10μmを越える値の粗粉体であり、好ましくは10〜200μmである。平均粒径10μm以下であると、保磁力の低下や磁粉の凝集が著しくなり、本来材料が持っている磁気特性を充分発揮しえないので好ましくない。ここで平均粒径とは、特に断らない限り通常用いられる粒子径分布測定装置で得られた体積相当径分布曲線をもとにして求めたメジアン径のことをいう。
【0021】
本発明の材料のうち、菱面体晶を有するSm([Fe,Co],Mn)17母合金を窒化した材料を例にして以下に詳しく述べる。
SmFe17に窒素を導入した場合、SmFe17あたり窒素が3個であるSmFe17であると、磁気異方性エネルギー、磁化、キュリー温度など多くの磁気特性が最適となる(例えば、IEEE Trans. Magn.,28,2326(1992))ことが知られている。さらに、この導入窒素量をSmFe17あたり5〜5.5個程度まで増やすと、粗粉体の状態での保磁力が最大となる。
【0022】
しかし、NがSm([Fe,Co],Mn)17あたり3個を越えて増加すると、Nは格子間に侵入するため結晶格子が広がり、不安定な状態を経て、ついに、N濃度分布に濃淡が生じたり、結晶格子が崩れた或いは崩れかけた部分が生じる。さらに、合金組成や窒素量、窒化条件や窒化後の焼鈍条件によっては、菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有する強磁性相の周りをN濃度の高い結晶格子の崩れた或いは崩れかけた部分が取り囲む、セルのような構造(この構造を以降セル構造と呼ぶ)が生じる場合もある。
【0023】
セル構造が生じる一例として、Sm8.5Fe65.0Mn3.523.0材料の微構造をTEM(透過電子顕微鏡)により観察した結果を図3に示した。10〜200nmの結晶粒子径を有したセル構造が生じているのが判る。
Sm−Fe−N3元系でも、NがSmFe17あたり3個を越えて4個まで増加すると、同様な微構造を生じることが知られている(日本応用磁気学会誌、18巻、201ページ、1994年)。
【0024】
このとき、Mnが共存した場合、高窒化領域での保磁力が大きく増加する。例えば30μm程度の粗粉体Sm−Fe−N3元系では、上述のように保磁力の最大値が2kOe程度であるのに対して、Mnが共存すると、保磁力は9〜12kOeまで増加する。Mnの役割については不明であるが、N濃度の高い部分、または、結晶格子の崩れた或いは崩れかけた部分にMnが存在することにより、磁化反転をくい止める効果が生じるものと考える。
【0025】
また、Mnの組成比にもよるが、Sm([Fe,Co],Mn)17あたりのNの数が4個から6個程度までの本発明の材料について、磁気曲線の立ち上がりや保磁力の着磁磁場依存性などを調べた結果、この材料の磁化反転機構はピンニング型であることがわかった。この傾向はCoを含む、含まないにかかわらず同様に見られる。
【0026】
なお保磁力の着磁磁場依存性の例として、Sm8.2(Fe0.89Co0.1165.9Mn3.522.4磁性材料を0〜15kOeの範囲の静磁場及び79kOeのパルス磁場で着磁した場合の着磁磁場と保磁力の相関を、図4に示した。着磁磁場12kOe付近で急激に保磁力の値が大きくなっていることが判る。この挙動はピンニング型の磁性材料特有のものである。
【0027】
磁粉体の表面付近が酸化劣化して、逆磁区の芽となりうる軟磁性な部分が生じた場合を考える。ニュークリエーション型の材料は磁壁の移動が容易に起こるため、逆磁区が発生すると容易に成長して、保磁力が劣化する。このタイプの材料として前述のSmFe17材料が挙げられる。一方ピンニング型の材料は表面付近に逆磁区が生じても磁壁の移動が起こりにくく高い保磁力を維持する。さらに、保磁力の温度変化率βも磁化反転の機構が異なることにより、大きく改善される可能性がある。
【0028】
ところで既存のSmCo17系材料は、セル型の微構造を持った2相分離型磁石となるが、その製造工程の中で、溶体化及び時効処理工程の制御が非常に重要である。この材料の成分はSm、Co、Cuを必須成分として、この外にFe、Zr、Ti、Hf、Ceなどを含んでおり、これらの金属元素を溶解したのち、900〜1250℃程度の高温で熱処理する。以上の成分を有するSmCo17合金には、高温では均一に固溶しているが、室温付近の低温では相分離するような、固溶限の広い高温安定相が主相として存在する。この高温で安定な相を保ったまま室温まで冷却させるため、溶体化ののち、一般的に水中や油中にクエンチしたり、ガスを吹き付けて急冷処理を行う。この溶体化工程で得た合金を、400〜900℃の温度で1段若しくは多段の時効処理を行い、組成が均一な状態を保っていた合金主相内にCuなどのM成分濃度が大きな相を微細に析出させ、熱力学的に安定な方向である2相分離型の構造を調整する。この微細に析出したM成分濃度の大きな低磁性相がピニング点となり、既存のSmCo17系材料はピンニング型の磁化反転機構を持つことになる。なお、以上の溶体化−時効工程では、熱処理温度、時間、冷却速度の精密な制御が極めて大切で、例えば溶体化ののち急冷するか、徐冷するかで最終的な保磁力の大きさは全く異なったものとなる。
【0029】
これに対し、本発明の範囲において、母合金となるSm−Fe−Mn合金の主原料相の結晶構造は常温で2−17組成を有した菱面体晶であり、高温においても固溶限の低いほぼラインフェイズとなるため、Fe成分及びMnは主原料相中に均一に固溶していて、溶体化や時効処理によってMnやMn化合物がFe成分主体の主原料相中に微細析出することはない。従って、時効処理は必要でなく、焼鈍後の冷却速度にも保磁力は依存しない。この主原料相にNをSm([Fe,Co],Mn)17あたり約3個(約13.6原子%)となるよう導入した場合、全ての窒素が結晶格子間に入って均一な微構造となり、前述のようなニュークリエーション型の磁性材料となる。NをSm([Fe,Co],Mn)17あたり4個(17.4原子%)を越えて導入した場合にはじめて、不均一な微構造が得られ充分なピンニング点となり得る窒素濃度の高い部分が主相内に生じる。この事実は、MnやMn化合物の析出によりピンニング型微構造が誘導されるのではなく、微細なN濃度の濃淡によりピンニング型微構造が得られるのであることを示している。
【0030】
微細なN濃度の不均一性、即ちN濃度の濃淡の周期は、10〜200nm程度であることが、TEM観察(図3など)により明かになっている。
CuなどのM’成分(M’;Cu、Zr、Hf、Nb、Ta、W、Mo、Ti、V、Cr、Mn)を希土類−鉄−窒素系材料に添加して溶体化や時効処理を行い、M’成分やM’化合物を主相中に微細析出させ粗粉体の保磁力を高めるという試みが具体的に例示されている(特開平4−216601号公報、特開平6−20813号公報)が、これらの材料はNの含有量が13〜15原子%と低い値に留まっているため、充分なピンニング点を発生させるだけのN濃度分布の濃淡を生じさせることはできない。
【0031】
従って、本発明の材料は、Mnの微細析出ではなくNの不均一によりピンニング型微構造を生ずるのであるから、上述の公報で開示された磁性材料とは全く異なった磁性材料となる。
以下、本発明の製造法について例示する。
(1)母合金の調製
本発明の磁性材料は、過剰のNを導入することによりR−Fe−Mn合金中にピンニング点が微分散する微構造、例示すればセル構造の境界にピンニング点が存在する微構造をとったとき、ピンニング点にMnが共存すると保磁力の値が極めて大きくなる。従って、Mnの添加は母合金調整の段階で行う。
【0032】
R−Fe−Mn合金の製造法としては、イ)R、Fe成分、Mn金属を高周波により溶解し、鋳型などに鋳込む高周波溶解法、ロ)銅などのボートに金属成分を仕込み、アーク放電により溶かし込むアーク溶解法、ハ)高周波溶解した溶湯を、回転させた銅ロール上に落しリボン状の合金を得る超急冷法、ニ)高周波溶解した溶湯をガスで噴霧して合金粉体を得るガスアトマイズ法、ホ)Fe成分及びまたはMnの粉体またはFe−Mn合金粉体、R及びまたはMnの酸化物粉体、及び還元剤を高温下で反応させ、RまたはR及びMnを還元しながら、RまたはR及びMnを、Fe成分及びまたはFe−Mn合金粉末中に拡散させるR/D法、ヘ)各金属成分単体及びまたは合金をボールミルなどで微粉砕しながら反応させるメカニカルアロイング法、ト)上記何れかの方法で得た合金を水素雰囲気下で加熱し、一旦R及びまたはMnの水素化物と、Fe成分及びまたはMnまたはFe−Mn合金に分解し、この後高温下で低圧として水素を追い出しながら再結合させ合金化するHDDR法のいずれを用いてもよい。
【0033】
高周波溶解法、アーク溶解法を用いた場合、溶融状態から、合金が凝固する際にFe主体の軟磁性成分が析出しやすく、特に窒化工程を経た後も保磁力の低下をひきおこす。そこで、この軟磁性成分を消失させたり、菱面体晶や六方晶の結晶構造を増大させたりする目的で、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス、水素ガスのうち少なくとも1種を含むガス中もしくは真空中、600℃〜1300℃の温度範囲で焼鈍を行うことが有効である。この方法で作製した合金は、超急冷法などを用いた場合に比べ、結晶粒径が大きく結晶性が良好であり、高い残留磁束密度を有している。従って、この合金は均質な主原料相を多量に含んでおり、本発明の磁性材料を得る母合金として最も好ましい。
(2)粗粉砕及び分級
上記方法で作製した合金インゴットを直接窒化することも可能であるが、結晶粒径が500μmより大きいと窒化処理時間が長くなり、粗粉砕を行ってから窒化する方が効率的である。200μm以下に粗粉砕すれば、窒化効率がさらに向上するため、特に好ましい。
【0034】
粗粉砕はジョ−クラッシャー、ハンマー、スタンプミル、ローターミル、ピンミル、コーヒーミルなどを用いて行う。また、ボールミルやジェットミルなどのような粉砕機を用いても、条件次第では窒化に適当な、合金粉末の調製が可能である。母合金に水素を吸蔵させたのち上記粉砕機で粉砕する方法、水素の吸蔵・放出を繰り返し粉化する方法を用いても良い。
【0035】
さらに、粗粉砕の後、ふるい、振動式あるいは音波式分級機、サイクロンなどを用いて粒度調整を行うことも、より均質な窒化を行うために有効である。
粗粉砕、分級の後、不活性ガスや水素中で焼鈍を行うと構造の欠陥を除去することができ、場合によっては効果がある。
以上で、本発明の製造法における希土類−鉄成分−Mn合金の粉体原料またはインゴット原料の調製法を例示したが、これらの原料の結晶粒径、粉砕粒径、表面状態などにより、以下に示す窒化の最適条件に違いが見られる。
(3)窒化・焼鈍
窒化はアンモニアガス、窒素ガスなどの窒素源を含むガスを、上記(1)または、(1)及び(2)で得たR−Fe成分−Mn成分合金粉体またはインゴットに接触させて、結晶構造内に窒素を導入する工程である。
【0036】
このとき、窒化雰囲気ガス中に水素を共存させると、窒化効率が高いうえに、結晶構造が安定なまま窒化できる点で好ましい。また反応を制御するために、アルゴン、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガスなどを共存させる場合もある。
最も好ましい窒化雰囲気としては、アンモニアと水素の混合ガスであり、特にアンモニア分圧を0.1〜0.7の範囲に制御すれば、窒化効率が高い上に本発明の窒素量範囲全域の磁性材料を作製することができる。
【0037】
窒化反応は、ガス組成、加熱温度、加熱処理時間、加圧力で制御し得る。
このうち加熱温度は、母合金組成、窒化雰囲気によって異なるが、200〜650℃の範囲で選ばれるのが望ましい。200℃未満であると窒化が進まず、650℃を越えると主原料相が分解して、菱面体晶または六方晶の結晶構造を保ったまま窒化することができない。窒化効率と主相の含有率を高くするために、さらに好ましい温度範囲は250〜600℃である。
【0038】
また窒化を行った後、不活性ガス及び又は水素ガス中で焼鈍することは磁気特性を向上させる点で好ましい。
窒化・焼鈍装置としては、横型、縦型の管状炉、回転式反応炉、密閉式反応炉などが挙げられる。何れの装置においても、本発明の磁性材料を調整することが可能であるが、特に窒素組成分布の揃った粉体を得るためには回転式反応炉を用いるのが好ましい。
【0039】
反応に用いるガスは、ガス組成を一定に保ちながら1気圧以上の気流を反応炉の送り込む気流方式、ガスを容器に加圧力0.01〜70気圧の領域で封入する封入方式、或いはそれらの組合せなどで供給する。
本磁性材料の製造方法としては、(1)又は、(1)及び(2)に例示した方法でR−Fe成分−Mn組成の母合金を調製してから、(3)で示した方法で窒化する工程を用いるのが最も好ましい。特に(1)で得られた合金又はこれを(2)の方法で粉砕、分級した合金を、不活性ガス及び水素ガスのうち少なくとも一種を含む雰囲気下で、600〜1300℃で熱処理したのち、アンモニアガスを含む雰囲気下で、200〜650℃の範囲で熱処理することによる、焼鈍処理を行ったのち窒化を行うと、酸化による保磁力の劣化が極めて小さい磁性材料を得ることができる。
【0040】
以上が本発明のR−Fe−Mn−N系磁性材料の製造法に関する説明であるが、特に実用的な硬磁性材料として本発明の磁性材料を応用する際には、(4)再粉砕、(5)磁場成形、(6)着磁を行う場合がある。この中で(4)再粉砕工程でO成分を導入し、より成形性、磁石特性の高い材料とする方法は有効である。以下、その例を簡単に示す。
(4)再粉砕
再粉砕工程は、上記のR−Fe−Mn−N系材料より細かい微粉体まで粉砕する場合や、R−Fe−Mn−N−H−O系材料を得るために、上述のR−Fe−Mn−N系磁性材料にO及びH成分を導入する目的で行われる工程である。
【0041】
再粉砕の方法としては(2)で挙げた方法のほか、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウエットミル、ジェットミル、カッターミル、ピンミル、自動乳鉢及びそれらの組合せなどが用いられる。
O成分やH成分を導入する際、その導入量を本発明の範囲に調整する方法としては、再粉砕雰囲気中の水分量や酸素濃度を制御する方法が挙げられる。
【0042】
例えば、ジェットミル等の乾式粉砕機を用いる場合は、粉砕ガス中の水分量を1ppm〜1%、酸素濃度を0.01〜5%の範囲の所定濃度に保ったり、またボールミル等の湿式粉砕機を用いる場合は、エタノールや他の粉砕溶媒中の水分量を0.1重量ppm〜80重量%、溶存酸素量を0.1重量ppm〜10重量ppmの範囲に調整するなどで酸素量を適当な範囲に制御する。
【0043】
また、再粉砕した粒子の取扱い操作をさまざまな酸素分圧に制御されたグローブボックス中で行うことにより、酸素量を調節することもできる。
再粉砕により、10μm未満の粒径となった微粉体は、若干耐酸化性能に劣るが、後述のように、本発明の10μm以上の粗粉体と組み合わせて用いると、磁気特性を高めることができ、むしろ好ましい場合がある。
【0044】
本発明の磁性材料は、粉砕粒径によって、ほとんど保磁力が変化せず、また磁化の低下も著しくない。従って、10μm以上の本発明の粗粉体と上記の方法で粉砕した微粉体を混合して成形すると、充填率が高まるので、磁化や最大エネルギー積の高い成形体が作製でき、実用上好ましい磁石材料となる。但し、粗粉体と微粉体の配合比、即ち粒子径分布によって、角形比が低下する場合があるので注意を要する。
(5)磁場成形
例えば、(3)又は、(3)及び(4)で得た磁性粉体を異方性ボンド磁石に応用する場合、熱硬化性樹脂や金属バインダーと混合したのち磁場中で圧縮成形したり、熱可塑性樹脂と共に混練したのち磁場中で射出成形を行ったりして、磁場成形する。
【0045】
磁場成形は、R−Fe−Mn−N系磁性材料を充分に磁場配向せしめるため、好ましくは10kOe以上、さらに好ましくは15kOe以上の磁場中で行う。
(6)着磁
(5)で得た異方性ボンド磁石材料や焼結磁石材料、(3)または、(3)及び(4)で得た粉体を樹脂や金属バインダーとともに成形した等方性ボンド磁石や焼結磁石材料については、磁石性能を高めるために、通常着磁が行われる。 着磁は、例えば静磁場を発生する電磁石、パルス磁場を発生するコンデンサー着磁器などによって行う。充分着磁を行わしめるための、磁場強度は、好ましくは15kOe以上、さらに好ましくは30kOe以上である。
(7)M成分の添加
(3)又は、(3)及び(4)で得た磁性粉体にZnなどのM成分をさらに添加し、(5)の工程前或は後に熱処理を行って各種磁石材料とする方法は、角形比を向上させる点で有効な方法である。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
評価方法は以下のとおりである。
(1)磁気特性
平均粒径約30〜36μmの粗粉体または約2〜3μmの微粉体であるR−Fe−Mn−N系磁性材料またはR−Fe−N系磁性材料に銅粉を混ぜ、外部磁場15kOe中、2ton/cmで成形し、室温中80kOeの磁場でパルス着磁した後、振動試料型磁力計(VSM)を用いて、室温の固有保磁力(iHc/kOe)及び磁化(emu/g)を測定した。
【0047】
成形磁石については、室温中80kOeの磁場でパルス着磁した後、室温の固有保磁力(iHc/kOe)、磁化(kG)、(BH)max [MGOe]を測定した。
(2)窒素量、酸素量及び水素量
Si(SiOを定量含む)を標準試料として、不活性ガス融解法により窒素量を定量した。
(3)平均粒径
レーザー回折式粒度分布計を用いて、体積相当径分布を測定し、その分布曲線より求めたメジアン径にて評価した。
(4)耐酸化性能
平均粒径約30〜36μmまたは約2〜3μmの粉体を、110℃の恒温槽に入れ、200時間後の固有保磁力を(1)と同様にして測定し、(1)の結果と比較して固有保磁力の保持率(%)を求めた。成形磁石も同様にして評価した。保持率の高いものほど、耐酸化性能が高い。特に、本試験では各種バインダーを添加せず評価しているため、保持率90%を越えるものは、例えばボンド磁石とした時の実用物性として充分使用可能で、保持率95%を越えるものは実用上極めて好適な材料と判定できる。
(5)温度特性試験
VSMを用い、室温〜150℃までの温度範囲にて、(1)で調製した試料の固有保磁力を測定した。室温と150℃の固有保磁力の値から、1℃あたりの保磁力の低下率を計算し、保磁力の温度変化率β[固有保磁力の可逆温度係数](%/℃)を求めた。保磁力の温度変化率の小さいものほど実用的に優れた材料である。このような材料はパーミアンスの小さな永久磁石材料に応用する際、室温での保磁力がさほど高くなくても、一般に不可逆温度係数が小さくなり、より高温用途、偏平材料用途に好ましく用いられる。
【0048】
【実施例1】
純度99.9%のSm、純度99.9%のFe及び純度99.9%のMnを用いてアルゴンガス雰囲気下高周波溶解炉で溶解混合し、さらにアルゴン雰囲気中、1150℃で20時間焼鈍し徐冷することにより、Sm11.2Fe84.2Mn4.6 組成の合金を調製した。
【0049】
この合金をジョークラッシャーにより粉砕し、次いで窒素雰囲気中ローターミルでさらに粉砕した後、ふるいで粒度を調整して、平均粒径約50μmの粉体を得た。
このSm−Fe−Mn合金粉体を横型管状炉に仕込み、465℃において、アンモニア分圧0.35atm、水素ガス0.65atmの混合気流中で4時間加熱処理し、続いてアルゴン気流中で1時間焼鈍したのち、平均粒径約30μmに調整した。
【0050】
得られたSm−Fe−Mn−N系粉体の組成、磁気特性、耐酸化性能、温度特性試験結果を表1に示した。
さらに、外部磁場を印加しないで成形し、初磁化曲線を測定した結果より、Sm−Fe−Mn−N系粉体がピンニング型の材料であることが判った。
なお、X線回折法により解析した結果、主に菱面体晶を示す回折線が認められ、更に、2θ=44゜(Cu、Kα線)付近にも回折線が認められた。
【0051】
【実施例2】
母合金の組成を、表1に示す組成に変更する以外は実施例1と同様な操作によって、平均粒径約30μmのR−Fe−Co−Mn−N系粉体を得た。その結果を表1に示す。
なお、X線回折法により解析した結果、主に菱面体晶を示す回折線が観測されたほか、2θ=44゜(Cu、Kα線)付近に比較的大きな回折線が認められた。
【0052】
さらに、実施例2の粉体を、ボールミルにより平均粒径約2μmまで粉砕した。この材料のiHcは9.3kOeであった。
この結果は、実施例2の粉体において、固有保磁力iHcに粒径依存性がないことを示している。
なお、平均粒径約2μmの粉体の評価結果を表1(参考例1)に併せて示した。
【0053】
また、本実施例で作製した約30μmのSm8.5 (Fe0.89Co0.1166.2Mn3.6 21.7組成を有する磁性材料の無磁場下成形体の初磁化曲線を図1に示す。この曲線は12kOeあたりに変曲点(磁化Mを磁場Hで2次微分したdM/dHの極大点[図1中上向き矢印])を有している。この変曲点が存在することは、本材料がピンニング型の磁性材料となっていることの一つの証拠である。
【0054】
【実施例3〜7】
母合金の組成を、表1に示す組成に変更する以外は、実施例1とほぼ同様な操作によって、平均粒径約30μmの希土類−鉄成分−マンガン−窒素系粉体を得た。その結果を表1に示す。
【0055】
【実施例8】
窒化条件をアンモニア分圧0.25〜0.4atm、水素分圧0.6〜0.75atm、窒化温度440〜480℃の範囲で窒化時間を1〜4時間とし、窒素量を17.6〜23.0原子%まで変化させる以外は実施例2と同様な操作によって、平均粒径約30μmのR−Fe−Mn−N系粉体を得た。そのiHcの窒素量依存性を図2(●;図中黒丸が実施例8の結果)に示す。
【0056】
【比較例1】
Mnを加えず、窒化時間を2時間とする以外は実施例1と同様にして、表1に示した組成のSm−Fe−N系粉体を得た。この材料のiHcは0.5kOeであった。この結果を表1に示す(参考例2)。さらに、この材料をボールミルで約2μmまで微粉砕した。この結果を表1に示す。
【0057】
【比較例2】
窒化条件を400℃、アンモニア分圧0.32atm、水素分圧0.68atm、2.5時間とする以外は実施例1と同様にして、表1に示した組成のSm−Fe−Mn−N系粉体を得た。この材料のiHcは0.45kOeであった。この結果を表1に示す(参考例3)さらに、この材料をボールミルで約2μmまで微粉砕した。この結果を表1に示す。
【0058】
【比較例3】
実施例2の母合金を用いる以外は比較例2と同様にして、Sm−Fe−Mn−Co−N系粉体を得た。この材料のiHcは0.5kOeであった。この結果を図1(○;図中白丸が比較例3の結果)に示す。
【0059】
【実施例9】
純度99.9%のSm、純度99.9%のFe、純度99.9%のCo及び純度99.9%のMnを用いてアルゴンガス雰囲気下高周波溶解炉で溶解混合し、さらにアルゴン雰囲気中、1150℃で20時間焼鈍し徐冷することにより、Sm10.8(Fe0.89Co0.1184.6Mn4.6 組成の合金を調製した。
【0060】
この合金をジョークラッシャーにより粉砕し、次いで酸素分圧が約1モル%の窒素雰囲気中ローターミルでさらに粉砕した後、ふるいで粒度を調整して、平均粒径約50μmの粉体を得た。
このSm−Fe−Co−Mn合金粉体を横型管状炉に仕込み、465℃において、アンモニア分圧0.35atm、水素ガス0.65atmの混合気流中で4.5時間加熱処理した。続いて酸素分圧が約10−5の水素ガス気流中で450℃、10分間焼鈍したのち、平均粒径約30μmに調整した。
【0061】
得られた粉体の組成は、Sm8.5(Fe0.89Co0.1166.8Mn3.618.52. 、飽和磁化は123emu/g、固有保磁力は4.7kOe、耐酸化性能は
97%、保磁力の温度特性は0.35%/℃であった。
なお、X線回折法により解析した結果、主に菱面体晶を示す回折線が観測されたほか、2θ=44゜(Cu、Kα線)付近にも回折線が認められた。
【0062】
【実施例10】
実施例9と同様にして得られた母合金を、酸素分圧1モル%の窒素気流中で粗粉砕し、音波式分級機によってふるい径75〜90μmの粒子径に調整した。
このSm−Fe−Co−Mn合金粉末を、アンモニア分圧0.35atm、水素ガス分圧0.65atmのアンモニア−水素混合ガス気流中、465℃で4時間窒化したのち、酸素分圧10−5atmのアルゴン気流中で1時間焼鈍した。
【0063】
得られた平均粒径36μmのSm8.8(Fe0.89Co0.1168.8Mn3.818.50.1 組成の粉体を水分量25wtppm、溶存酸素43wtppmのシクロヘキサン中で15分間ボールミル粉砕した。
この材料の組成は、Sm8.7(Fe0.89Co0.1167.9Mn3.818.10.21.3 で、平均粒径は12μmであった。
【0064】
このSm−Fe−Co−Mn−N−H−O系粉末を15kOeの外部磁場下、12ton/cmの圧力で圧縮成形した圧粉体の磁気特性は、飽和磁化8.8kG、固有保磁力5.2kOe、(BH)max =12.1MGOeであった。また、この圧粉体のβは0.37%/℃、耐酸化性能は100%であった。
【0065】
【実施例11】
実施例10で得られた平均粒径36μmのSm8.8 (Fe0.89Co0.1168.8Mn3.818.50.1組成の粉体を、ボールミル時間を4時間とする以外は実施例10と同様な同様な方法で粉砕し、平均粒径3μmのSm8.5(Fe0.89Co0.1166.5Mn3.717.80.72.8組成の微粉体を得た。
【0066】
この粉体4gに対して、上記平均粒径36μmのSm8.8(Fe0.89Co0.1168.8Mn3.818.50.1組成の粉体6gを乳鉢に入れ、チタン系カップリング剤を微量分散したシクロヘキサン中で軽く混合した。
混合後の体積相当径分布は、3μmと28μmの2箇所にピークを有していた。この混合粉体を、実施例10と同様にして圧粉体としたときの磁気特性は、飽和磁化9.5kG、固有保磁力5.0kOe、(BH)max =14.5MGOeであった。また、この圧粉体のβは0.37%/℃、耐酸化性能は100%であった。
【0067】
【実施例12】
焼鈍終了後、焼鈍温度から500℃までの冷却速度を、約130℃/minとする以外(実施例1の同冷却速度は約4℃/min)は、実施例1と同様にして、Sm−Fe−Mn−N系材料を作製した。この材料の固有保磁力iHcは、6.6kOeであった。
【0068】
【比較例4】
実施例1で得た粒径約30μmのSm−Fe−Mn−N系粉体を、2ton/cm、15kOeの条件で磁場成形したあと、アルゴン雰囲気下、1100℃、1時間の条件で熱処理を行った。これを急冷したときの成形体のiHcは0.1kOe以下であった。この成形体を再び約30μmに粉砕した粉体のiHcは0.1kOe以下であった。なおこの材料の結晶構造をX線回折により解析した結果、α−鉄、窒化鉄に対応する回折線が主に検出された。このものは本発明における菱面晶体または六方晶の結晶構造を含有しないものであった。
【0069】
【表1】
Figure 0003560387
【0070】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、10μm以上の粗粉体で保磁力の高く、優れた耐酸化性能と温度特性を有した希土類−鉄成分−マンガン−窒素(−水素−酸素)系磁性材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で作製したSm8.5(Fe0.89Co0.1166.2Mn3.621.7組成を有する磁性材料の無磁場下成形体の初磁化曲線。
【図2】Sm10.9(Fe0.89Co0.1166.2Mn4.6 組成を有する母合金を様々な条件で窒化した実施例8及び比較例3の磁性材料の窒素量と保磁力iHcの相関図。
【図3】Sm8.5Fe65.0Mn3.523.0材料の微構造をTEM(透過電子顕微鏡)により観察した写真。
【図4】Sm8.2(Fe0.89Co0.1165.9Mn3.522.4磁性材料を0〜15kOeの範囲の静磁場及び79kOeのパルス磁場で着磁した場合の着磁磁場と保磁力の相関図。

Claims (9)

  1. 一般式RαFe 100-α-β-γMnβNγで表される磁性材料であり、(但し、Rは希土類元素のうち少なくとも一種、α、β、γは原子%で、下式を満たす)
    3≦α≦20
    0.5≦β≦25
    17≦γ≦25
    その主相が、少なくとも前記R、Fe、Mn及びNを成分とする菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有した相であり、主相の周りが、10〜200nmの結晶粒子径を有すると共に、N濃度の高い部分及び/又は結晶格子の崩れた或いは崩れかけた部分で取り囲まれたセル構造を有し、かつ該磁性材料の平均粒子径が10μm以上であって、その保磁力が3.6kOe以上であることを特徴とする磁性材料。
  2. Fe成分の0.01〜50原子%をCoで置換した組成を有する請求項1記載の磁性材料。
  3. Rの50原子%以上がSmである請求項1又は2記載の磁性材料。
  4. 実質的にR、Fe、Mnからなる合金を、アンモニアガスを含む雰囲気下で、200〜650℃の範囲で熱処理することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁性材料の製造法。
  5. 実質的にR−Fe−Mnからなる合金を、不活性ガス及び水素ガスのうち少なくとも一種を含む雰囲気中又は真空中で、600〜1300℃の範囲で熱処理したのち、アンモニアガスを含む雰囲気下で、200〜650℃の範囲で熱処理することにより窒素を導入することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁性材
    料の製造法。
  6. 一般式RαFe(100-α-β-γ-δ-ε)MnβNγHδOεで表される磁性材料であり、(但し、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも一種、α、β、γ、δ、εは原子%で、下式を満たす)
    3≦100α/(100−δ−ε)≦20
    0.5≦100β/(100−δ−ε)≦25
    17≦100γ/(100−δ−ε)≦25
    0.01≦δ≦10
    1≦ε≦10
    その主相が、少なくとも前記R、Fe、Mn及びNを成分とする菱面体晶又は六方晶の結晶構造を有した相であり、主相の周りが、10〜200nmの結晶粒子径を有すると共に、N濃度の高い部分及び/又は結晶格子の崩れた或いは崩れかけた部分で取り囲まれたセル構造を有し、かつ該磁性材料の平均粒子径が10μm以上であって、その保磁力が3.6kOe以上であることを特徴とする磁性材料。
  7. Fe成分の0.01〜50原子%をCoで置換した組成を有する請求項6記載の磁性材料。
  8. R成分の50原子%以上がSmである組成を有する請求項6又は7記載の磁性材料。
  9. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁性材料を粉砕してなる平均粒径10μm未満の磁性材料0.1〜50重量%と、請求項1ないし3のいずれか1項に記載又は請求項6ないし8のいずれか1項に記載の磁性材料50〜99.9重量%とを含有する磁性材料。
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