JP2015120958A - 希土類−鉄−窒素系磁性合金とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献3には、六方晶系あるいは菱面体晶系の結晶構造をもつR−Fe−N−H−M(R:Yを含む希土類元素のうちの少なくとも一種;M:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Pd、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Pb、Biの元素およびこれらの元素並びにRの酸化物、フッ化物、炭化物、窒化物、水素化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、塩化物、硝酸塩のうち少なくとも一種)で表される磁性材料が記載されている。
また、特許文献4には、Fe−R−M−N(R:Y、Thおよびすべてのランタノイド元素;M:Ti、Cr、V、Zr、Nb、Al、Mo、Mn、Hf、Ta、W、Mg、Si)で表される永久磁石材料が記載され、さらに、特許文献5には、六方晶系あるいは菱面体晶系の結晶構造をもつR−Fe−N−H−O−M(R:Yを含む希土類元素のうちの少なくとも一種;M:Mg、Ti、Zr、Cu、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Biの元素およびこれらの元素並びにRの酸化物、フッ化物、炭化物、窒化物、水素化物のうち少なくとも一種)で表される磁性材料が記載されている。
この母合金粉末を製造する方法としては、例えば、希土類金属、鉄、および必要ならばその他の金属を所定比率で調合し不活性ガス雰囲気中で高周波溶解し、得られた合金インゴットを均一化熱処理してから、ジョークラッシャーなどで所定の粒度に粉砕する方法がある。また、該合金インゴットを使って液体急冷法により合金薄帯を製造し、粉砕する方法や、さらには、希土類酸化物粉末、還元剤、鉄粉、および必要ならばその他の金属粉を出発原料とした還元拡散法によって製造する方法もある。
前記窒化処理としては、例えば、希土類−鉄系の母合金粉末を窒素またはアンモニア、あるいはこれらと水素との混合ガス雰囲気中で200〜700℃に加熱する方法がある。
ボンド磁性材料の代表的なものはボンド磁石である。希土類−鉄−窒素系磁性材料を用いたボンド磁性材料は、高温多湿雰囲気下で錆の発生や磁気特性の低下を起こし易いため、例えば、成形体表面に熱硬化性樹脂等のコーティング膜を形成することで発錆を抑制したり、また、特許文献7に提案されているように、成形体表面に燐酸塩含有塗料による被膜処理を施すことで発錆を抑制しているが、難発錆特性や保磁力等の磁気特性の点で十分に満足できるものではない。
そこで本出願人は、特許文献9で、燐酸を添加した有機溶剤中で磁性材料を粉砕することにより、耐候性に優れ、湿度環境下での保磁力低下を抑制した微粉末を得たが、その効果はまだ十分でない。
前記還元拡散生成物を得る還元温度が1050℃以上1150℃以下で、かつ前記還元温度の保持時間が8時間以上10時間以下であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第3の発明において、鉄粉末の粒度が、150メッシュ(目開き106μm)以下であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第3の発明において、還元剤の粒度が、4メッシュ(目開き4.75mm)以下であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法が提供される。
本発明の磁性合金は、優れた磁気特性を発現するために、Th2Zn17型の結晶構造をもつ合金であることが望ましい。
窒素は2.0質量%以上含まれていればよい。これより少ないと磁性材料の磁気特性が劣るからである。好ましい窒素の量は2.5〜4質量%である。
前記Th2Zn17型の結晶構造をもつ金属間化合物としては、Sm2Fe17N3合金、Nd2Fe17N3合金、Ce2Fe17N3合金、Pr2Fe17N3合金などがある。
前記のとおり、特許文献6(特開平09−143636)では、希土類元素(Yを含むランタノイド元素のいずれか1種または2種以上)と、鉄と、窒素と、M(Mは Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Al、Si、Cの少なくとも一種以上)とを主構成成分とする合金であって、該合金内部にLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、SrまたはBaの少なくとも一種以上を0.001〜0.1質量%含有する希土類−鉄−窒素系磁石用合金が提案されており、CuとCaを含有する点で本発明に類似している。
本発明の合金の製造方法は、特に制限されず、従来法の溶解鋳造法、液体急冷法、還元拡散法などで希土類−鉄系母合金粉末を製造し窒化すればよい。
また、還元拡散法を採用すると、合金が粉末で得られるため粗粉砕工程が不要であること、磁気特性を劣化させる残留鉄相が少ないため均一化熱処理が不要であること、などから他の方法に比べてコスト的に有利である。
また熱処理条件としては、温度1000°C以上1150°C以下、好ましくは1050°C以上1150°C以下で、実施例に示すようにCuとCaが主相内に一様に導入される保持時間をとるのが望ましい。
本発明の希土類−鉄−窒素系磁性合金は、磁石材料や高周波磁性材料として利用される。
本発明では、これら従来技術をベースに、いずれも10μm以下の微粉末を樹脂バインダーと混合したボンド磁性材料として圧縮成形、射出成形、押出成形、圧延成形される。
得られた磁性材料粉末を樹脂に埋め込み、エメリー紙と羽布(バフ)で研磨して生じた粒子の研磨面について、CaとCuの含有量を島津製作所製EPMA装置(EPMA−2300、ビーム径約1μm)で定量分析した。ここで1試料についてランダムに3粒子を選び、1粒子について3か所を定量分析している。なお検出感度を高めるために、加速電圧20kV、試料電流1×10−7A、積算時間を60秒とした。
微粉砕処理した乾燥後の微粉を最大磁界1194kA/m(15kOe)の振動試料型磁力計にかけ、飽和磁気分極Jm(0)と保磁力Hc(0)を測定した。
このとき、微粉をパラフィンワックスと共にサンプルケースに詰め、ドライヤーでパラフィンワックスを溶融させてから1592kA/m(20kOe)の配向磁界でその磁化容易軸をそろえ、着磁磁場5570kA/m(70kOe)でパルス着磁した。また飽和磁気分極については、Sm2Fe17N3金属間化合物相の真密度を7.67g/cm3とし反磁場補正せずに評価した。
純度99.9質量%で粒度270メッシュ(目開き53μm)以下の電解鉄粉2.0kgと、純度95質量%で平均粒径0.4μmの銅粉1gと、純度99質量%で平均粒径3μmの酸化サマリウム粉末0.84kgと、純度99質量%で粒度12メッシュ(目開き1.40mm)以下の粒状金属Ca0.35kgとを、アルゴン雰囲気中で十分にミキサー混合した。
混合物を鋼製容器に入れアルゴン雰囲気下、1150℃で10時間にわたって加熱し還元拡散反応を施した。
冷却後に得られた反応生成物を管状炉に装填し、アンモニア分圧0.35のアンモニア−水素混合ガス気流中460℃で4時間加熱(窒化処理)し、その後アルゴンガス中で1時間加熱(アニール処理)した。
冷却後に回収された反応生成物を水中に投入してスラリー化し、攪拌とデカンテーションを繰り返して上澄みに浮遊する水酸化カルシウムを除去した。さらに残留する水酸化カルシウムとSm組成が40質量%を超えるSmリッチ相を除去するために、酢酸を用いてスラリーのpHが5になるまで酸洗浄した。
その後、スラリーを再び水洗浄しエタノール置換後にろ過して170℃で真空乾燥することにより、Sm−Fe−N系磁性材料粉末を得た。この粉末はX線回折より、Th2Zn17型結晶構造の回折線(Sm2Fe17N3金属間化合物)のみ観測され、単相粒子であることを確認した。また、前記の方法でCaとCuの含有量を測定した。
さらに粉末1.0kgを、オルト燐酸23gを添加したエタノールを溶媒として媒体攪拌ミルにて平均粒径2.3μmまで微粉砕し、減圧下ミキサー中140℃で乾燥した。乾燥後の微粉を前記の要領で振動試料型磁力計にかけ、飽和磁気分極Jm(0)と保磁力Hc(0)を測定した。
次に、この粉末の耐候性を調べるために、粉末10gを80℃90%RHの恒温恒湿槽に入れて120時間保持後、同様にして再び保磁力Hc(120)を測定した。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉の投入質量を5g、還元温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例1と同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉の投入質量を16g、還元温度を1050℃、還元拡散の保持時間を8時間とした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例1同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉の投入質量を27g、還元温度を1050℃とした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例1同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉(平均粒径 30μm)の投入質量を240g、還元温度を1180°Cとした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性粉末を得て、実施例1同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉は添加せず、還元拡散の保持時間を8時間とした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例1同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉の投入質量を5g、還元温度を1050℃、還元拡散の保持時間を4時間とした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例1同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉は添加せず、還元温度を1050℃、還元拡散の保持時間を4時間とした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例1同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉の投入質量を5g、還元温度を1200℃、還元拡散の保持時間を12時間とした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例1同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
銅粉の投入質量を35g、還元拡散の保持時間を8時間とした以外は、実施例1と同様にしてSm−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例1同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表1に、EPMAによるCaとCu分析値、SmとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表2に、飽和磁気分極Jm(0)、初期の保磁力Hc(0)と120時間の耐候性試験後の保磁力Hc(120)を表3に示す。
表2,3に示す結果から次のことが分かる。実施例1〜4の磁性材料粉末は、その粒子内部に0.001〜0.1質量%のCaと0.01〜1質量%のCuを含有し、しかも各粒子内3か所の分析値の(最大値)/(最小値)が2以下であり、これらの成分が一様に含まれている。このような粉末から作製した微粉の初期保磁力Hc(0)は780〜867kA/mである。これを80℃90%RHの高温高湿度下に120時間放置する耐候性試験を行った後の保磁力は525〜740kA/mとなっており、初期特性の60%以上の性能を維持している。
比較例2の粉末は、粒子内部にCaを含有しないものであるが、836kA/mの保磁力は耐候性試験後に334kA/mまで大きく低下した。
比較例3の粉末は、粒子内部にCaもCuも含有しないものであるが、812kA/mの保磁力は耐候性試験後に183kA/mまで大きく低下した。
比較例4の粉末は、粉末内部のCa含有量が0.1質量%を超えるものであり初期の飽和磁気分極Jm(0)が、実施例1〜4では1.36〜1.44Tだったのに対して、1.13Tと大幅に低いものとなっている。
比較例5の粉末は、粉末内部のCu含有量が1質量%を超えるものであるが、748kA/mの初期保磁力は耐候性試験後に422kA/mまで大きく低下した。
純度99.9質量%粒度270メッシュ(目開き53μm)以下の電解鉄粉2.0kgと、純度95質量%平均粒径0.4μmの銅粉1gと、純度99質量%平均粒径3μmの酸化ネオジウム粉末0.85kgと、純度99質量%粒度12メッシュ(目開き1.40mm)以下の粒状金属Ca0.35kgとを、アルゴン雰囲気中で十分にミキサー混合した。
混合物を鋼製容器に入れアルゴン雰囲気下1150℃で10時間にわたって加熱し還元拡散反応を施した。
冷却後に得られた反応生成物を管状炉に装填し、アンモニア分圧0.34のアンモニア−水素混合ガス気流中450℃で4時間加熱(窒化処理)し、その後アルゴンガス中で1時間加熱(アニール処理)した。
冷却後に回収された反応生成物を水中に投入してスラリー化し、攪拌とデカンテーションを繰り返して上澄みに浮遊する水酸化カルシウムを除去した。さらに残留する水酸化カルシウムとNd組成が40質量%を超えるNdリッチ相を除去するために、酢酸を用いてスラリーのpHが5になるまで酸洗浄した。
その後、スラリーを再び水洗浄しエタノール置換後にろ過して170℃で真空乾燥することにより、Nd−Fe−N系磁性材料粉末を得た。この粉末のX線回折より、Th2Zn17型結晶構造の回折線(Nd2Fe17N3金属間化合物)のみ観測され、単相粒子であることを確認した。
次に、この磁性材料粉末を樹脂に埋め込み、実施例1と同様にして粒子の研磨面について、CaとCuの含有量を定量分析した。
さらに得られた粉末1.0kgを、オルト燐酸23gを添加したエタノールを溶媒として媒体攪拌ミルにて平均粒径2.0μmまで微粉砕し、減圧下ミキサー中140℃で乾燥してNd−Fe−N系微粉末を得た。乾燥後の微粉末を最大磁界1194kA/m(15kOe)の振動試料型磁力計で飽和磁気分極Jm(0)を測定した。このとき、微粉をパラフィンワックスと共にサンプルケースに詰め、ドライヤーでパラフィンワックスを溶融させてから1592kA/m(20kOe)の配向磁界でその磁化容易面をそろえ、また飽和磁気分極については、Nd2Fe17N3金属間化合物相の真密度を7.55g/cm3とし実施例1と同様に反磁場補正せずに評価した。
次にこの微粉末の耐候性を調べるために、粉末10gを80℃90%RHの恒温恒湿槽に入れて120時間保持後、150℃で真空乾燥して質量及びJmの変化を測定した。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率(試験前の質量に対する増加分を%表示)と飽和磁気分極Jmの初期値Jm(0)と120時間後の値Jm(120)を表6に示す。
銅粉の投入質量を5g、還元温度を1100℃とした以外は、実施例5と同様にしてNd−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例5同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表6に示す。
銅粉の投入質量を15g、還元温度を1050℃、保持時間を8時間とした以外は、実施例5と同様にしてNd−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例5同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表6に示す。
銅粉の投入質量を25g、還元温度を1050℃とした以外は、実施例5と同様にしてNd−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例5同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表6に示す。
銅粉は添加せず、還元拡散の保持時間を8時間とした以外は、実施例5と同様にしてNd−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例5同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表6に示す。
銅粉の投入質量を5g、還元温度を1050℃、還元拡散の保持時間を4時間とした以外は、実施例5と同様にしてNd−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例5同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表6に示す。
銅粉は添加せず、還元温度を1050℃、還元拡散の保持時間を4時間とした以外は、実施例5と同様にしてNd−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例5同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表6に示す。
銅粉の投入質量を5g、還元温度を1200℃、還元拡散の保持時間を12時間とした以外は、実施例5と同様にしてNd−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例5同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表6に示す。
銅粉の投入質量を35g、還元拡散の保持時間を8時間とした以外は、実施例5と同様にしてNd−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例5同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表4に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表5に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表6に示す。
表5,6に示す結果から次のことが分かる。実施例5〜8の磁性材料粉末は、その粒子内部に0.001〜0.1質量%のCaと0.01〜1質量%のCuを含有し、しかも各粒子内3か所の分析値の(最大値)/(最小値)が2以下であり、これらの成分が一様に含まれている。このような粉末から作製した微粉末の飽和磁気分極Jm(0)は1.42〜1.54Tである。これを80℃90%RHの高温高湿度下に120時間放置する耐候性試験を行った後の飽和磁気分極は1.41〜1.51Tとなっており、初期特性の98%以上の性能を維持している。また質量変化率(質量増加率)は2%以下である。
比較例7の粉末は、粒子内部にCaを含有しないものであるが、1.52Tの飽和磁気分極Jm(0)は耐候性試験後に1.43Tまで大きく低下した。
比較例8の粉末は、粒子内部にCaもCuも含有しないものであるが、1.55Tの飽和磁気分極Jm(0)は耐候性試験後に1.34Tまで大きく低下した。
比較例9の粉末は、粉末内部のCa含有量が0.1質量%を超えるものであり初期の飽和磁気分極Jm(0)が、実施例5〜8では1.42〜1.54Tだったのに対して、1.29Tと大幅に低いものとなっている。加えて、1.29Tの飽和磁気分極Jm(0)は耐候性試験後に1.17Tまで大きく低下した。
比較例10の粉末は、粉末内部のCu含有量が1質量%を超えるものであるが、1.35Tの初期飽和磁気分極Jm(0)は耐候性試験後に1.20Tまで大きく低下した。
純度99.9質量%粒度270メッシュ(目開き53μm)以下の電解鉄粉2.0kgと、純度95質量%平均粒径0.4μmの銅粉5gと、純度99質量%平均粒径5μmの酸化セリウム粉末0.88kgと、純度99質量%粒度12メッシュ(目開き1.40mm)以下の粒状金属Ca0.47kgとを、アルゴン雰囲気中で十分にミキサー混合した。
混合物を鋼製容器に入れアルゴン雰囲気下1150℃で10時間にわたって加熱し還元拡散反応を施した。
冷却後に得られた反応生成物を管状炉に装填し、アンモニア分圧0.34のアンモニア−水素混合ガス気流中450℃で4時間加熱(窒化処理)し、その後アルゴンガス中で1時間加熱(アニール処理)した。
冷却後に回収された反応生成物を水中に投入してスラリー化し、攪拌とデカンテーションを繰り返して上澄みに浮遊する水酸化カルシウムを除去した。さらに残留する水酸化カルシウムとCe組成が40質量%を超えるCeリッチ相を除去するために、酢酸を用いてスラリーのpHが5になるまで酸洗浄した。
その後、スラリーを再び水洗浄しエタノール置換後にろ過して170℃で真空乾燥することにより、Ce−Fe−N系磁性材料粉末を得た。この粉末のX線回折より、Th2Zn17型結晶構造の回折線(Ce2Fe17N3金属間化合物)のみ観測され、単相粒子であることを確認した。
次に、この磁性材料粉末を樹脂に埋め込み、実施例1と同様にして粒子の研磨面について、CaとCuの含有量を定量分析した。
さらに得られた粉末1.0kgを、オルト燐酸23gを添加したエタノールを溶媒として媒体攪拌ミルにて平均粒径2.1μmまで微粉砕し、減圧下ミキサー中140℃で乾燥してCe−Fe−N系微粉末を得た。乾燥後の微粉末を最大磁界1194kA/m(15kOe)の振動試料型磁力計で飽和磁気分極Jm(0)を測定した。このとき、微粉をパラフィンワックスと共にサンプルケースに詰め、ドライヤーでパラフィンワックスを溶融させてから1592kA/m(20kOe)の配向磁界でその磁化容易面をそろえ、Ce2Fe17N3金属間化合物相の真密度を7.55g/cm3とし実施例1と同様に反磁場補正せずに評価した。
次に、この微粉末の耐候性を調べるために、粉末10gを80℃90%RHの恒温恒湿槽に入れて120時間保持後、150℃で真空乾燥して質量及びJmの変化を測定した。原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表7に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表8に、120時間の耐候性試験後の質量変化率(試験前の質量に対する増加分を%表示)と飽和磁気分極Jmの初期値Jm(0)と120時間後の値Jm(120)を表9に示す。
銅粉の投入質量を15g、還元温度を1050℃、保持時間を8時間とした以外は、実施例9と同様にしてCe−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例9同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表7に、EPMAによるCaとCu分析値、NdとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表8に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表9に示す。
銅粉は添加せず、還元拡散の保持時間を8時間とした以外は、実施例9と同様にしてCe−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例9同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表7に、EPMAによるCaとCu分析値、CeとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表8に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表9に示す。
銅粉の投入質量を5g、還元温度を1050℃、還元拡散の保持時間を4時間とした以外は、実施例9と同様にしてCe−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例9同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表7に、EPMAによるCaとCu分析値、CeとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表8に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表9に示す。
銅粉は添加せず、還元温度を1050℃、還元拡散の保持時間を4時間とした以外は、実施例9と同様にしてCe−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例9同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表7に、EPMAによるCaとCu分析値、CeとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表8に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表9に示す。
銅粉の投入質量を5g、還元温度を1200℃、還元拡散の保持時間を12時間とした以外は、実施例9と同様にしてCe−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例9同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表7に、EPMAによるCaとCu分析値、CeとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表8に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表9に示す。
銅粉の投入質量を35g、還元拡散の保持時間を8時間とした以外は、実施例9と同様にしてCe−Fe−N系磁性材料粉末を得て、実施例9同様に評価を行った。
原料の投入質量、還元拡散の反応温度と保持時間を表7に、EPMAによるCaとCu分析値、CeとNの化学分析値、CaとCuの分析値の最大値と最小値の比率を表8に、120時間の耐候性試験後の質量変化率、初期の飽和磁気分極Jm(0)と120時間の耐候性試験後の飽和磁気分極Jm(120)を表9に示す。
表8,9に示す結果から次のことが分かる。実施例9、10の磁性材料粉末は、その粒子内部に0.001〜0.1質量%のCaと0.01〜1質量%のCuを含有し、しかも各粒子内3か所の分析値の(最大値)/(最小値)が2以下であり、これらの成分が一様に含まれている。このような粉末から作製した微粉末の飽和磁気分極Jm(0)は1.39、1.34Tである。これを80℃90%RHの高温高湿度下に120時間放置する耐候性試験を行った後の飽和磁気分極は1.35、1.32Tとなっており、初期特性の97%以上の性能を維持している。また質量変化率(質量増加率)は3%以下である。
比較例12の粉末は、粒子内部にCaを含有しないものであるが、1.38Tの飽和磁気分極Jm(0)は耐候性試験後に1.31Tまで大きく低下した。また耐候性試験後の質量変化率は6%を超え、(質量増加)粉末が赤褐色に変化した。
比較例13の粉末は、粒子内部にCaもCuも含有しないものであるが、1.40Tの飽和磁気分極Jm(0)は耐候性試験後に1.13Tまで大きく低下した。また耐候性試験後の質量変化率は10%を超え、(質量増加)粉末が赤褐色に変化した。
比較例14の粉末は、粉末内部のCa含有量が0.1質量%を超えるものであり初期の飽和磁気分極Jm(0)が、実施例9、10では1.39、1.34Tだったのに対して、1.25Tと大幅に低いものとなっている。加えて、1.25Tの飽和磁気分極Jm(0)は耐候性試験後に1.19Tまで大きく低下した。
比較例15の粉末は、粉末内部のCu含有量が1質量%を超えるものであるが、初期の飽和磁気分極Jm(0)が、実施例9、10では1.39、1.34Tだったのに対して、1.15Tと大幅に低いものとなっている。加えて、1.15Tの初期飽和磁気分極Jm(0)は耐候性試験後に1.02Tまで大きく低下した。
Claims (7)
- 希土類元素(Yを含むランタノイド元素のいずれか1種または2種以上)14〜26質量%と、窒素2.0質量%以上と、残部鉄を主構成成分とする合金であって、Th2Zn17型の結晶構造を有する合金内部に一様に、0.001〜0.1質量%のCaと0.01〜1質量%のCuを含有することを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁性合金。
- 希土類元素が、Sm、Nd又はCeから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の希土類−鉄−窒素系磁性合金。
- 希土類酸化物粉末、鉄粉末、銅粉末、及び該希土類酸化物の還元剤である金属カルシウムもしくは水素化カルシウムを混合し、この混合物を還元拡散法により非酸化性雰囲気中で加熱焼成して希土類−鉄母合金を含む還元拡散反応生成物を得る工程、得られた希土類−鉄母合金を窒化処理する工程を含む希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法において、
前記還元拡散生成物を得る還元温度が1050℃以上1150℃以下で、かつ前記還元温度の保持時間が8時間以上10時間以下であることを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法。 - 希土類酸化物粉末の平均粒径が、10μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法。
- 鉄粉末の粒度が、150メッシュ(目開き106μm)以下であることを特徴とする請求項3に記載の希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法。
- 銅粉末の平均粒径が、10μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法。
- 還元剤の粒度が、4メッシュ(目開き4.75mm)以下であることを特徴とする請求項3に記載の希土類−鉄−窒素系磁性合金の製造方法。
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