JP2018141238A - 希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法 - Google Patents

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【課題】希土類元素の酸化物を還元拡散させる際に、磁性材料の原料を含む混合物の焼ムラが少ない希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法を提供する。【解決手段】希土類元素及びFe元素を含む酸化物の粉末と金属カルシウムとの混合物を含む塊状の成形体50を準備する成形体準備工程と、成形体50を容器10内で還元拡散反応させる還元拡散工程と、を含み、前記還元拡散工程は、容器10の側面に形成された複数の貫通孔11から容器10内に輻射熱を照射することで、成形体50の加熱を行う。【選択図】図4

Description

本発明は、希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法に関する。
異方性の希土類−鉄−窒素系磁性材料として、例えばSmFeN系の磁性材料は、優れた磁気特性を有し、NdFeB系の磁性材料に代わる希土類ボンド磁石用の磁性材料として注目されている。例えば、希土類−鉄−窒素系磁性材料と樹脂とを混合してなるコンパウンドを、射出成形機にて溶融させて固化させることにより、所望とする形状のボンド磁石を容易に形成することができる。このように、希土類−鉄−窒素系磁性材料を用いた射出成形体は、形状の自由度に富んでいるだけでなく、他部材との一体成形等も可能であることから、その利用分野を徐々に増やしている。
希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法として、例えば特許文献1〜4には、還元拡散法により希土類−鉄−窒素系磁性材料を製造する方法が開示されている。特許文献1〜3に記載の方法では、希土類酸化物と、鉄と、還元剤である金属カルシウムとを混合し、或いは、希土類元素と鉄を含む酸化物と、還元剤である金属カルシウムとを混合し、粉状の混合物を加熱して希土類元素の酸化物を還元拡散させている。また、特許文献4に記載の方法では、希土類元素と鉄を含む酸化物と、還元剤である金属カルシウムとを混合し、この混合物をプレスしたプレス体を還元拡散させている。
特開2010−70777号公報 特開平11−121216号公報 特開2015−113481号公報 特開2013−245357号公報
特許文献1〜3に記載の方法では、希土類元素の酸化物を還元拡散させる際、容器内の場所により、混合物への輻射熱のかかり方が異なるため焼ムラが多くなり、場所により還元剤が溶けるタイミングが異なる。これにより、還元拡散が不十分となる恐れがある。
また、還元拡散を十分に促進させるために保持時間を長くすると、混合物への輻射熱のかかり方が異なるため、得られる磁性材料の粒径のバラツキが生じる。その結果、磁性材料の粒子同士が焼結(ネッキング)し、保磁力の低下につながる。また、得られる磁性材料の粒径が大きくなってしまい、保磁力を大きくできる所望の粒径の磁性材料が得られ難くなる。なお、特許文献4に記載の方法では、原料を成形することを記載している。
本発明に係る実施形態は、希土類元素の酸化物を還元拡散させる際に、磁性材料の原料を含む混合物の焼ムラが少ない希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の実施形態に係る希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法は、希土類元素及びFe元素を含む酸化物の粉末と金属カルシウムとの混合物を含む塊状の成形体を準備する成形体準備工程と、前記成形体を容器内で還元拡散反応させる還元拡散工程と、を含み、前記還元拡散工程は、前記容器の側面に形成された複数の貫通孔から前記容器内に輻射熱を照射することで、前記成形体の加熱を行うこととする。
本発明に係る希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法は、希土類元素の酸化物を還元拡散させる際に、磁性材料の原料を含む混合物の焼きムラを少なくすることができる。
第1実施形態に係るマッフル炉の構成を示す模式図である。 第2実施形態に係るマッフル炉の構成を示す模式図である。 第2実施形態に係るマッフル炉の容器の内部に設けられる内筒を模式的に示す斜視図である。 第2実施形態に係るマッフル炉の容器の内部に成形体を入れた状態を示す模式図である。 希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法の流れを示すフローチャートである。 他の実施形態に係るマッフル炉の構成を示す模式図である。 他の実施形態に係るマッフル炉の構成を示す断面図であり、図6のVII−VII線に相当する断面図である。 他の実施形態に係るマッフル炉の構成を示す模式図である。 他の実施形態に係るマッフル炉の構成を示す断面図であり、図8のIX−IX線に相当する断面図である。 他の実施形態に係るマッフル炉の構成を示す平面図であり、図9の上面から見た平面図である。
<実施形態>
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するためのマッフル炉等を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。
≪マッフル炉≫
まず、実施形態に係る希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法(以下、適宜、磁性材料の製造方法という)に用いるマッフル炉について、図1〜4を参照して説明する。
図1〜4は、マッフル炉の構成をわかりやすくするため、模式的に簡略化して図示している。また、容器及び内筒は、その状態がわかるように、マッフルを透過させて図示している。また、容器の側面に設けられた貫通孔及び内筒の側面に設けられた貫通孔は一部のみを図示している。また、図4は、容器内の成形体の状態がわかるように容器の一部を切り欠いた状態で図示している。また、図4において容器内の成形体は容器内に満杯に充填されているが、成形体は模式的に一部のみを図示している。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係るマッフル炉100について説明する。
図1に示すように、マッフル炉100は、焼成室である容器10と、容器10の周囲を覆うマッフル20と、被焼成物を加熱するための加熱器30と、を備える。
容器10は、被焼成物である成形体を入れる焼成室であり、上面15は開口している。容器10の大きさや形状は特に規定されるものではないが、例えば、底面16の直径(外径)が50mm以上500mm以下、高さ(全体の高さ)が50mm以上2000mm以下の円筒体である。また、容器10の厚さは、例えば、1mm以上5mm以下である。容器10は、底部の厚さが側部の厚さと同じであってもよいが、底部の厚さを側部の厚さよりもやや厚めとしてもよい。
容器10の材料としては、例えば、金属系の材料として、炭素鋼、ステンレス鋼、Ni合金、Mo等を用いることができ、セラミックス系の材料として、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、マグネシア等を用いることができる。ただし、容器10の加工性及び価格を考慮した場合、金属系の材料、特に鋼を用いることが好ましい。
また、容器10には、加熱器30により生成された輻射熱を容器10内に照射するための複数の貫通孔11が、側面17全体に所定間隔となるように形成されている。
貫通孔11の大きさや形状は特に規定されるものではないが、例えば、直径が1mm以上30mm以下である。貫通孔11の直径が1mm以上であれば、加工が容易であり、経済的である。一方、30mm以下であれば、容器10の強度が向上する。ただし、貫通孔11は、成形体が貫通孔11を通過しない大きさとすることが好ましい。
貫通孔11は、輻射熱が容器10内に均等に照射されるように、容器10の側面17全体に均等に配置されていることが好ましい。
貫通孔11は、例えば、パンチング加工することで形成することができる。また、貫通孔11である網目を有する金網からできた容器10を用いてもよい。
容器10の側面17に複数の貫通孔11を有することで、輻射熱を効率的に容器10内に入れることができる。また、成形体と成形体との間や、容器10の内側面と成形体との間に生じた隙間に、輻射熱が入り込みやすくなる。
マッフル20は、熱伝導性のよい耐火物の隔壁であり、容器10の上面15及び側面17を覆っている。すなわち、容器10は、底面16を除きマッフル20により完全に覆われている。
マッフル20の材料としては、例えば、ステンレス鋼、Ni合金等を用いることができる。
容器10の側面17(外側面)とマッフル20との間隔は、例えば、5mm以上100mm以下である。容器10の側面17とマッフル20との間隔が5mm以上であれば、容器10の側面17とマッフル20との接触がより起きにくくなる。一方、100mm以下であれば、容器10内に輻射熱がより照射され易くなり、経済的である。
加熱器30は、輻射熱を生成するものであり、マッフル20の外側に配置されている。加熱器30としては、例えば、金属発熱体が挙げられる。この加熱器30は、この種のマッフル炉100で使用されるものであれば特に限定されるものではない。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るマッフル炉100Aについて説明する。
図2、3に示すように、マッフル炉100Aは、焼成室である容器10と、容器10の内部に設けられた内筒40と、容器10の周囲を覆うマッフル20と、被焼成物を加熱するための加熱器30と、を備える。成形体は、容器10と内筒40との間に配置される。
第2実施形態のマッフル炉100Aは、容器10の内部に内筒40が設けられていること以外は、第1実施形態のマッフル炉100と同様であるため、ここでは、主に内筒40に関する事項について説明する。
内筒40は、容器10の内部に、容器10の内側面から離間して設けられており、上面45は開口している。この開口した上面から内筒40の内部に輻射熱を照射することができ、内筒40側から容器10内の成形体を加熱することができる。
内筒40は、容器10の中央部に設けられている。すなわち、内筒40は、容器10の中心線と内筒40の中心線とが一致する位置に設けられている。
内筒40の大きさや形状は特に規定されるものではないが、例えば、底面46の直径(外径)が10mm以上500mm以下、高さ(全体の高さ)が50mm以上2000mm以下の円筒体である。また、内筒40の厚さは、例えば、1mm以上5mm以下である。そして、内筒40と容器10とは、ここでは上面を同じ高さにして設置している。
容器10の内部に内筒40を設けることで、外部から熱が入りにくい容器10の中心側の成形体に熱を伝える空間を確保することができる。そのため、容器10の外側と内筒40の内側とから成形体に熱を供給することができ、成形体の焼ムラを少なくすることができる。更に、容器10の中央部に内筒40を設けることで、容器10の直径が大きくなっても、加熱器30から遠い容器10の中心側の成形体に熱を伝える空間があることで、成形体の焼ムラを少なくすることができる。
また、図2、3に示すように、内筒40には、加熱器30により生成され、内筒40の内部に照射された輻射熱を容器10内に照射するための複数の貫通孔41が、側面47全体に所定間隔となるように形成されている。
貫通孔41の大きさや形状は特に規定されるものではないが、例えば、直径が1mm以上30mm以下である。貫通孔41の直径が1mm以上であれば、加工が容易であり、経済的である。一方、30mm以下であれば、内筒40の強度が向上する。ただし、貫通孔41は、成形体が貫通孔41を通過しない大きさとすることが好ましい。
貫通孔41は、輻射熱が容器10内に均等に入るように、内筒40の側面47全体に均等に配置されていることが好ましい。
貫通孔41は、例えば、パンチング加工することで形成することができる。また、貫通孔41である網目を有する金網からできた内筒40を用いてもよい。
内筒40の側面47に複数の貫通孔41を有することで、内筒40の内部に照射した輻射熱を効率的に容器10内に入れることができる。また、図4に示すように、成形体50と成形体50との間や、容器10の内側面と成形体50との間、内筒40の外側面と成形体50との間に生じた隙間60に、輻射熱がより入り込みやすくなる。
また、マッフル炉100Aは、下記式(1)で表わされる、容器と内筒の内側面の面積率を0.60以上1.0以下とすることが好ましい。
容器と内筒の内側面の面積率=(容器の内側面の面積[cm]+内筒の内側面の面積[cm])÷マッフルの表面積[cm] ・・・・(1)
式(1)において、容器の内側面の面積とは、貫通孔11の存在する部位も含む面積である。同様に、内筒の内側面の面積とは、貫通孔41の存在する部位も含む面積である。また、マッフルの表面積とは、マッフル20の側面と上面の面積であり、マッフル20のすそ21の部分は含まない。なお、マッフル20の側面とは、ここでは、加熱器30に対して平行に面する部位とする。また、マッフル20の上面とは、ここでは、マッフルの上方の円弧状の部位であり、マッフル20の側面とすそ21の部分を除く部位である。なお、マッフル20の側面の高さは、容器10の高さより低くてもよいし、高くてもよいし、同じであってもよい。
マッフル炉100Aは、容器と内筒の内側面の面積率を0.60以上とすることで、輻射熱が容器10内に入りやすくなる。一方、1.0以下とすることで、マッフル炉100Aの設計がしやすくなる。
容器と内筒の内側面の面積率は、容器10内に輻射熱をより入れやすくする観点から、より好ましくは0.65以上である。また、マッフル炉100Aの設計上の観点から、より好ましくは0.90以下、更に好ましくは0.85以下である。
また、マッフル炉100Aは、下記式(2)で表わされる、容器の開口部の総面積率を0.20以上0.45以下とすることが好ましい。
容器の開口部の総面積率=容器の開口部の総面積[cm]÷マッフルの表面積[cm] ・・・・(2)
式(2)において、容器の開口部の総面積とは、容器10の上面15の開口した部位の面積と、容器10の側面17に形成された貫通孔11の面積の合計と、を足した面積である。また、マッフルの表面積とは、マッフル20の側面と上面の面積であり、マッフル20のすそ21の部分は含まない。
マッフル炉100Aは、容器の開口部の総面積率を0.20以上とすることで、輻射熱が容器10内に入りやすくなる。一方、0.45以下とすることで、マッフル炉100Aの設計がしやすくなる。
容器の開口部の総面積率は、容器10内に輻射熱をより入れやすくする観点から、より好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.35以上である。
なお、ここでは第2実施形態のマッフル炉100Aを例にとり説明したが、第1実施形態のマッフル炉100においても、前記式(2)で表わされる、容器の開口部の総面積率を0.20以上0.45以下とすることが好ましい。
≪磁性材料の製造方法≫
次に、磁性材料の製造方法の一例として、一般式SmFe100-x-yで示される磁性材料の製造方法について説明する。なお、Sm以外の希土類元素を用いる場合でも、以下に説明する方法と同様の方法で磁性材料を製造することができる。
本実施形態に係る磁性材料の製造方法は、前記説明したマッフル炉を用いるものであり、ここでは、一例として、図2に示すマッフル炉100Aを用いた磁性材料の製造方法について説明する。
図5に示すように、磁性材料の製造方法は、第一の工程S101と、第二の工程S102と、第三の工程S103と、第四の工程S104と、第五の工程S105と、第六の工程S106と、を含み、この順に行う。以下、各工程について説明する。
(第一の工程:原料を作製する工程)
第一の工程S101は、磁性材料の構成元素イオンを含む溶液から得られる沈殿物を焼成し、酸化物を得る工程である。
まず、SmイオンとFeイオンを含む溶液を作り、この溶液にアンモニアを滴下し、Sm−Fe水酸化物の沈殿物を作る。次に、この沈殿物を含む溶液を、液体と固形分(酸化物の沈殿物)に分けて、固形分を洗浄した後、乾燥させる。
液体と固形分に分ける方法は特に制約はない。また、乾燥温度は、50℃以上が好ましい。乾燥温度を50℃以上とすることで、乾燥時間を短くすることができる。乾燥時間をより短くする観点から、より好ましくは90℃以上である。一方、乾燥温度は、150℃以下が好ましい。乾燥温度を150℃以下とすることで、固形分が凝集しにくくなる。
次に、固形分である酸化物の沈殿物を、大気中で焼成する。沈殿物を焼成することで、Sm−Fe酸化物原料が得られる。
大気中での焼成温度は、好ましくは700℃以上1300℃以下であり、より好ましくは900℃以上1100℃以下である。このような焼成を行う目的は、非金属イオンを分解し、金属酸化物にすることであり、この目的が達成される温度に調整される。
前記酸化物の製造において、溶液中での各成分の均一な混合が重要である。溶液は、酸性溶液であれば何でもよいが、塩酸、硫酸又は硝酸が好ましい。
前記溶液から不溶性の塩を生成するイオンとして、好ましくは、水酸化物イオン、炭酸イオン、シュウ酸イオンを挙げることができる。
水酸化物イオンは、例えば、アンモニアや苛性ソーダにより提供することができる。また、炭酸イオンは、重炭酸アンモニウム、重炭酸ソーダにより提供することができる。また、シュウ酸イオンは、シュウ酸により提供することができる。
得られた沈殿物の粒子径、粒度分布、組成の制御は、前記各種イオンの供給速度や反応温度及び攪拌速度等によって行うことができる。
(第二の工程:還元する工程)
第二の工程S102は、還元性ガスを含む雰囲気のもとで前記酸化物を還元する工程である。
還元性ガスとしては、水素、一酸化炭素、メタン等の炭化水素ガスを挙げることができる。還元性ガスとしては、コストの観点から、水素が好ましい。
また、加熱温度を300℃以上900℃以下とすることにより、酸化鉄に含まれる酸素を、水分や二酸化炭素の形で除去することができる。なお、酸化Sm中の酸素は、還元性雰囲気のガスでは還元できない。
この第二の工程における加熱温度は、好ましくは、400℃以上800℃以下である。第二の工程における還元温度が低いと還元反応が進行しにくく、高いと粒子同士が凝集して、第一の工程で作製した金属酸化物の粒子径から逸脱する。
(第三の工程:成形体準備工程)
第三の工程S103は、希土類元素(ここではSm元素)及びFe元素を含む酸化物の粉末と金属カルシウムとの混合物を含む塊状の成形体を準備する工程である。以下、第二の工程S102で得られた酸化物の粉末を還元粉と呼ぶ。
この工程では、例えば、混合物をプレス加工することにより成形して塊状の成形体とする。そして、この成形体を複数作製する。
まず、第二の工程S102で得られた還元粉と金属カルシウムとを混合する。混合装置としては、Vブレンダーや攪拌翼をもつミキサー等を用いればよい。
次に、得られた混合物を、金型のキャビティに充填する。充填後、混合物のプレスを行い、塊状に成形された成形体(プレス体)を得る。金型のキャビティの形状や大きさは、特に規定されるものではなく、例えば、成形体の形状としては、球状(球体)、楕円体状(楕円体)、円柱状(円柱体)、四角柱状(四角柱体)等の形状が挙げられる。しかしながら、後述する成形体占有率を考慮すると(容器内に隙間を多く設けることを考慮すると)、球状や楕円体状が好ましい。なお、楕円体とは、楕円を三次元へ拡張したような立体であり、例えば、ラグビーボールやレモンのような形状が挙げられる。
金型のキャビティの大きさは、混合物をキャビティに充填するときにこぼれない大きさにしておくことが好ましい。ただし、金型のキャビティの大きさは、後述するとおり、得られる成形体が、容器及び内筒の貫通孔を通過しない大きさとなるように設定することが好ましい。
プレス方法としては、油圧式プレスやロータリープレス等が考えられるが、生産性を考慮すると、油圧式プレスが好ましい。
プレスの圧力は、50kgf/cm以上が好ましい。プレスの圧力を50kgf/cm以上とすることで、成形体が割れにくくなり、運搬が容易になる。一方、プレスの圧力は、500kgf/cm以下が好ましい。プレスの圧力を500kgf/cm以下とすることで、プレス機を小型化することができ、生産性上、好ましい。プレスの圧力は、プレス機をより小型化し、生産性をより向上させる観点から、より好ましくは300kgf/cm以下である。
成形体は、容器の貫通孔を通過しない大きさであることが好ましい。このような大きさとすることで、成形体が容器からこぼれ落ちることがない。
また、成形体は、内筒の貫通孔を通過しない大きさであることが好ましい。このような大きさとすることで、成形体が内筒の内部に入ることがない。
成形体の大きさは、球状の場合、例えば、直径が10mm以上250mm以下であることが好ましい。直径が10mm以上であれば、容器内の隙間をより大きくすることができ、容器内における輻射熱の通りがよりよくなる。一方、250mm以下であれば、成形体が大きくなり過ぎず、容器内における輻射熱の通りがよりよくなる。容器内における輻射熱の通りがよりよくなることで、より均一に成形体に熱が伝わり、最終的に得られる磁性材料の粒子の大きさのバラツキがより小さくなる(楕円体状及び円柱状の場合も同様である)。容器内における輻射熱の通りを更によくする観点から、直径は、より好ましくは20mm以上、更に好ましくは50mm以上であり、また、より好ましくは150mm以下である。
成形体の大きさは、楕円体状の場合、例えば、長軸の長さが10mm以上250mm以下、短軸の長さが9mm以上100mm以下であることが好ましい。長軸の長さが10mm以上、或いは、短軸の長さが9mm以上であれば、容器内の隙間をより大きくすることができ、容器内における輻射熱の通りがよりよくなる。一方、長軸の長さが250mm以下、或いは、短軸の長さが100mm以下であれば、成形体が大きくなり過ぎず、容器内における輻射熱の通りがよりよくなる。容器内における輻射熱の通りを更によくする観点から、長軸の長さは、より好ましくは30mm以上、更に好ましくは50mm以上であり、また、より好ましくは150mm以下である。容器内における輻射熱の通りを更によくする観点から、短軸の長さは、より好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、また、より好ましくは100mm以下である。
成形体の大きさは、円柱状の場合、底面の直径が10mm以上250mm以下、高さが10mm以上250mm以下であることが好ましい。底面の直径が10mm以上、或いは、高さが10mm以上であれば、容器内の隙間をより大きくすることができ、容器内における輻射熱の通りがよりよくなる。一方、底面の直径が250mm以下、或いは、高さが250mm以下であれば、成形体が大きくなり過ぎず、容器内における輻射熱の通りがよりよくなる。容器内における輻射熱の通りを更によくする観点から、底面の直径は、より好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、また、より好ましくは100mm以下である。容器内における輻射熱の通りを更によくする観点から、高さは、より好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、また、より好ましくは100mm以下である。
金属カルシウムは、大きさに制約はないが、粒径10mm以下のものが好ましい。また、反応当量(還元粉末の酸素を還元するのに必要な量)は、1.1当量以上3.0当量以下であり、好ましくは、1.5当量以上2.0当量以下である。また、必要に応じて塩化カルシウム等のアルカリ土類金属塩、酸化カルシウムを混合してもよい。
(第四の工程:還元拡散工程)
第四の工程S104は、前記成形体を容器内で還元拡散反応させる工程である。
まず、得られた成形体を、容器に充填する。容器の内部には内筒が設けられているため、成形体は、容器と内筒との間に配置される。成形体の充填の仕方は特に制約はなく、ランダムに充填すればよい。
第四の工程は、下記式(3)で表わされる、成形体占有率を0.4以上0.8以下として行うことが好ましい。
成形体占有率=容器内の成形体の体積[cm]÷容器の容積[ml] ・・・・(3)
式(3)において、容器内の成形体の体積とは、容器内に成形体を満杯に充填した場合の、容器内の成形体の合計の体積である。なお、ここでの満杯とは、例えば、成形体が容器の上面からはみ出ない程度に、容器内に成形体を目一杯に入れた状態をいう。なお、この場合、成形体が存在しない部位である容器内の隙間がないものとすると、成形体占有率は1となる。
第四の工程では、成形体占有率を0.4以上とすることで、容器内に充填する成形体の体積を大きくすることができ、経済性が向上する。一方、0.8以下とすることで、成形体が存在しない部位である容器内の隙間を多くすることができる。これにより、輻射熱を、より均一に成形体にかけることができ、焼ムラをより少なくすることができる。
成形体占有率は、経済性の観点から、より好ましくは0.45以上である。また、隙間をより多くする観点から、より好ましくは0.7以下である。
成形体占有率は、容器の形状が同一であれば、成形体の形状や大きさで決まる。
次に、真空排気後、Arガス等の不活性ガスを導入しながら温度を上昇させる。これにより、容器の側面に形成された複数の貫通孔から容器内に輻射熱を照射し、成形体の加熱を行う。
また、例えば炉の上部に加熱器を設けることで、内筒の上面の開口部から、内筒の内部に輻射熱を照射する。この輻射熱は、内筒の側面に形成された複数の貫通孔から容器内に照射される。このように、内筒の内部に照射した輻射熱を、内筒の側面に形成された複数の貫通孔から容器内に照射することで、成形体を加熱する。なお、この際、輻射熱は、容器の上面の開口部からも容器内に入るため、容器の上面から容器内に照射された輻射熱によっても、成形体は加熱される。
加熱温度は、700℃以上1200℃以下が好ましい。加熱時間を700℃以上とすることで、還元拡散反応が促進される。一方、コストの観点から、1200℃以下とすることが好ましい。加熱温度は、還元拡散反応が促進させる観点から、より好ましくは800℃以上である。また、コストをより低減させる観点から、好ましくは1100℃以下である。
また、加熱処理時間は、0.2時間以上3時間以下が好ましい。加熱処理時間を0.2時間以上とすることで、容器の側面に近い側の粒子が大きくなるとともに、容器の側面より遠い側の粒子も大きくなり、目的の粒径であるSmFe17合金を得られやすくなる。一方、加熱処理時間を3時間以下とすることで、容器の側面に近い側の粒子と、遠い側の粒子とで、大きさのバラツキが生じにくくなる。加熱処理時間が3時間より長い場合は、例えば、容器の側面に近い側は、遠い側に比べて粒子が大きくなりやすく保磁力が低くなりやすい。加熱処理時間は、粒子を大きくする観点から、好ましくは0.5時間以上である。また、粒子の大きさのバラツキをより抑制する観点から、好ましくは2時間以下である。
(第五の工程:窒化する工程)
第五の工程S105は、還元拡散反応させた成形体を窒化する工程である。
まず、炉を所定まで冷却した後、真空引きを行い、引き続き窒素を導入しながら温度を所定まで上昇させる。次に、この上昇させた所定温度で、所定時間保持する。これにより、窒化させた成形体(焼成品)が得られる。
(第六の工程:水洗及び乾燥する工程)
第六の工程S106は、窒化させた成形体を水洗及び乾燥する工程である。
まず、焼成品を純水中に投入して攪拌し、静止後に上澄み液を排出する。このデカンテーションを所定回数繰り返す。次に、99.9%酢酸を投入して攪拌し、静止後に上澄み液を排出する。これにより得られたスラリーを固液分離し、真空乾燥にて乾燥する。これにより、磁性材料が得られる。
このようにして製造された磁性材料は、保磁力や残留磁束密度の測定を行い、磁気特性の評価を行う。
以上、マッフル炉及び磁性材料の製造方法について説明したが、マッフル炉及び磁性材料の製造方法は前記した実施形態に限定されるものではない。以下、他の実施形態について説明する。
[他の実施形態]
図6〜10に示すように、容器10Aは、その底部18が容器10Aの外側に延出している構成であってもよい。つまり、容器10Aは、底部18が容器10Aの外側面から延出するフランジ状の延出部18aを有する。
容器10Aが延出部18aを有することで、成形体の荷重による容器10Aの変形が防止される。これにより、容器10Aの寿命を延ばすことができる。
延出部18aの水平方向に突出する長さWは、容器がマッフル炉に入る大きさであれば特に制限はないが、例えば容器10の底面16の直径Dに対する比(W/D)が0.01以上0.05以下とすることができる。
その他の事項については、マッフル炉100Bについては第1実施形態に係るマッフル炉100と同様であり、マッフル炉100Cについては第2実施形態に係るマッフル炉100Aと同様である。
また、マッフル炉及び磁性材料の製造方法は、以下の形態であってもよい。
例えば、第2実施形態に係るマッフル炉は、内筒に貫通孔を設けるものとしたが、内筒の貫通孔は設けないものであってもよい。
また、第2実施形態に係るマッフル炉は、容器の内部に内筒を1つ設けたものとしたが、同じ形状の内筒を横並びに2つ以上設けたものであってもよく、異なる形状の内筒を横並びに2つ以上設けたものであってもよい。
また、容器の底面及び内筒の底面には、貫通孔を設けないものとしたが、Arガス等の不活性ガスや窒素を導入するための貫通孔を、容器の底面に設けてもよく、内筒を設ける場合は、容器の底面及び内筒の底面に設けてもよい。
また、内筒の底面は開口しているものであってもよい。
また、容器及び内筒の貫通孔の形状は、円形状の他、四角形状や楕円形状であってもよい。なお、四角形状や楕円形状の貫通孔は、容器の高さ方向又は周方向に向かって細長い形状であってもよい。
また、磁性材料の製造方法は、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間、或いは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、金属酸化物や成形体に混入した異物を除去する異物除去工程や、各工程で発生した不良品を除去する不良品除去工程等を含めてもよい。
また、磁性材料の製造方法は、マッフル炉を用いるものとしたが、側面に貫通孔を有する容器を用いるものであれば、炉の種類は限定されるものではない。
以上説明したとおり、本実施形態に係るマッフル炉及び磁性材料の製造方法は、容器の側面に複数の貫通孔が形成されているため、成形体を還元拡散反応させる工程において、輻射熱を効率的に容器内に入れることができる。また、容器に入れた成形体同士の隙間等に輻射熱が入り込みやすくなるため、輻射熱が容器内の成形体全体にいきわたるようにかかり、焼きムラを少なくすることができる。これにより、粒子の大きさのバラツキが少なくなり、粒子同士が焼結することによる保磁力の低下が抑制される。
また、本実施形態に係るマッフル炉及び磁性材料の製造方法は、容器の内部に内筒を設けたり、内筒の側面に複数の貫通孔を形成したりすることで、前記の効果をより向上させることができる。
このように、本実施形態に係るマッフル炉及び磁性材料の製造方法は、近年における、焼ムラについての更なる改善といった要望に応えることができる。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
<No.1>
(原料を作製する工程)
[溶解]
まず、以下の方法でSm−Fe硫酸溶液を作製した。
純水2.0kgに、5.0kgのFeSO・7HOを溶解させた。更に、0.49kgのSmと、0.74kgの70%硫酸とを加えて攪拌した。更に、純水を加えて、最終的にFeが0.726mol/L、Smが0.112mol/Lとなるように調整し、Sm−Fe硫酸溶液を完成させた。
[沈殿]
温度35℃に保持された純水2kgの中に、前記Sm−Fe硫酸溶液を攪拌しながら滴下すると同時にアンモニアも滴下させ、pHを7〜8に調整した。これにより、Sm−Fe水酸化物の沈殿物が得られた。得られた沈殿物は、粘度があるスラリーであった。
[洗浄、乾燥、焼成]
前記スラリーを洗浄し、その後、固形分を分離した。この固形分を装置内温度80℃のオーブンに入れて約10時間乾燥させた。その後、乾燥させた固形分を大気中で1000℃のもと焼成した。焼成した酸化物を冷却させた後、装置内から取り出した。酸化物は粉体であり、赤色であった。
(水素還元する工程)
大気焼成で得られた酸化物の2kgを、鋼容器に詰めた。その時の積厚は、18mmであった。次に、容器を炉内に入れて、100Paまで真空引きした。その後、水素ガスを導入しながら、700℃まで上昇させた。その後、15時間保持して粉末(還元粉)を得た。得られた粉末は、黒色の酸化物粉末であった。この水素還元を数十回繰り返し、50kgの還元粉をホッパーに貯めた。
この工程で、Smと結合している酸素は還元できないが、Feと結びついている酸素は還元できる。Feと結びついている酸素の95%は還元されている。
(成形体準備工程)
[混合]
前記工程で得られた還元粉中の酸素量に対して、2.0倍当量の金属カルシウム(粒径が約6mm)を用意した。そして、還元粉100gに対して、金属カルシウム26gをVブレンダーで混合した。混合時間は3分とした。
[金型充填]
次に、内径60mm×深さ100mmの円筒状の金型のキャビティに前記混合した粉を充填した。充填したときの充填物の高さは70mmであった。そして、油圧プレスで、200kgf/cmでプレスを行った。プレス後の充填物(成形体)の高さは23.5mmであり、プレス後の充填物(成形体)の密度は1.9g/cmであった。このようにして、複数の円柱状の成形体を得た。
(還元拡散工程)
[容器充填]
前記の成形体500個を容器に入れた。500個の成形体の合計の体積は、約33206cmである。
容器、内筒の詳細は表1に示すとおりである。容器は鋼製であり、容器の側面には、直径10mmの貫通孔を複数設けている。容器の側面の貫通孔は、側面全体にわたって設けられており、また、容器の底面はフラットで貫通孔は無く、容器の上面は開口している。また、容器の厚みは、側部の厚みが1.5mm、底部の厚みが2mmである。
内筒は鋼製であり、内筒の側面には、直径10mmの貫通孔を複数設けている。内筒の側面の貫通孔は、側面全体にわたって設けられておりまた、内筒の底面はフラットで貫通孔は無く、内筒の上面は開口している。また、内筒の厚みは1.5mmである。
容器の容積は、約78.1リットルである。よって、前記した磁性材料の製造方法で説明した式(3)で表わされる成形体占有率は、
「33206[cm]÷78100[ml]≒0.43」である。
すなわち、容器の内部には、輻射熱が伝わる約57%の隙間ができた。
[炉に仕込み]
次に、成形体が入った容器を、そのまま炉内にセットした。マッフルの詳細は表1に示すとおりである。なお、マッフルの高さは、側面の部位の高さである。また、マッフルの上面は半球であり、上部面積は、球の表面積を求める公式「4πr」(rは半径)に基づき、半球であるため「2πr」により求めた。
[還元拡散]
炉内を真空引きした後、Arを導入し、1100℃まで温度を上昇させた。そして、1時間保持した後、冷却した。
(窒化する工程)
次に、100℃まで冷却した後、真空引きを行い、引き続き窒素を導入しながら450℃まで温度を上昇させた。そして、23時間保持した。
(水洗及び乾燥する工程)
前記窒化後に得られた焼成品は、ブロック状であった。この焼成品をハンマーで50mm程度に解砕し、純水に投入した。そして、30分間攪拌した後、デカンテーションし、上澄み液であるCa(OH)成分を捨てた。この上澄み液は、真っ白な液体であった。デカンテーションを10回繰り返し、99.9%酢酸を投入して、15分間攪拌した。得られたスラリーを固液分離し、80℃で真空乾燥した。保持時間は10時間であり、最終真空度は50Paであった。
(粉末)
このようにして、粉末である平均粒径が3.0μmのSmFeN系磁性材料が得られた。得られた磁性材料は、金属光沢のある粉であった。
<No.2〜7>
No.2〜7は、容器及び内筒の条件を表1に変更した以外は、No.1と同様にしてSmFeN系磁性材料を得た。
なお、No.1に比べて、No.2は容器の側面の貫通孔が多いものであり、No.3は容器の側面の貫通孔がより多いものであり、No.4は成形体占有率が高いものである。また、No.5は容器の側面の貫通孔が無いものであり、No.6は容器の側面の貫通孔及び内筒が無いものであり、No.7は容器の側面の貫通孔が無く、またNo.1に比べて、成形体占有率が高いものである。
また、No.2のSmFeN系磁性材料の平均粒径は3.1μmであり、No.3のSmFeN系磁性材料の平均粒径は3.3μmであり、No.4のSmFeN系磁性材料の平均粒径は3.1μmであり、No.5のSmFeN系磁性材料の平均粒径は2.7μmであり、No.6のSmFeN系磁性材料の平均粒径は2.5μmであり、No.7のSmFeN系磁性材料の平均粒径は2.5μmであった。
なお、No.2〜4、7の成形体占有率は、成形体の個数を変化させることで調整した。
No.1〜7のSmFeN系磁性材料について、以下の評価を行った。
(磁気特性の評価)
得られた磁性材料を、パラフィンワックスと共に試料容器に詰め、ドライヤーにてパラフィンワックスを溶融させた後、16kA/mの配向磁場にてその磁化容易磁区を揃えた。
この磁場配向した試料を32kA/mの着磁磁場でパルス着磁し、最大磁場16kA/mのVSM(振動試料型磁力計)を用いて保磁力及び残留磁束密度を測定した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2018141238
Figure 2018141238
表1、2に示すように、実施例であるNo.1〜4は、比較例であるNo.5〜7に比べて、優れた磁気特性を有していた。
なお、本実施例では、希土類−鉄−窒素系磁性材料の代表としてSmFeN系磁性材料を得るものとした。しなしながら、Sm以外の他の希土類元素を含む希土類−鉄−窒素系磁性材料においても、本発明の製造方法により、SmFeN系磁性材料と同様に、優れた磁気特性を有し、平均粒子径を3.0μm程度とすることができる。
なお、No.2、3は、容器の側面の貫通孔が多く、輻射熱が容器内に入りやすいため、残留磁束密度は向上したが、磁性材料の平均粒径が大きくなったため、保磁力はNo.1に比べ、やや低下した。
本発明に係る磁性材料の製造方法で得られた磁性材料は、ボンド磁石用の磁性材料、例えば、モーター、アクチュエーター等の永久磁石材料として利用することができる。
10,10A 容器
11,41 貫通孔
15 (容器の)上面
16 (容器の)底面
17 (容器の)側面
18 (容器の)底部
18a 延出部
20 マッフル
21 マッフルのすそ
30 加熱器
40 内筒
45 (内筒の)上面
46 (内筒の)底面
47 (内筒の)側面
50 成形体
60 隙間
100,100A,100B,100C マッフル炉
D 容器の底面の直径
W 延出部の長さ

Claims (18)

  1. 希土類元素及びFe元素を含む酸化物の粉末と金属カルシウムとの混合物を含む塊状の成形体を準備する成形体準備工程と、
    前記成形体を容器内で還元拡散反応させる還元拡散工程と、を含み、
    前記還元拡散工程は、前記容器の側面に形成された複数の貫通孔から前記容器内に輻射熱を照射することで、前記成形体の加熱を行う希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  2. 前記成形体は、プレス加工により成形される請求項1に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  3. 前記酸化物の粉末は、磁性材料の構成元素イオンを含む溶液から得られる沈殿物を焼成して得られる酸化物を、還元性ガスを含む雰囲気のもとで還元することにより得られる請求項1又は請求項2に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  4. 前記還元拡散工程は、800℃以上1100℃以下で0.2時間以上3時間以下の条件で前記成形体を加熱する請求項1から請求項3の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  5. 前記成形体は、前記貫通孔を通過しない大きさである請求項1から請求項4の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  6. 前記成形体は、球体、楕円体又は円柱体である請求項1から請求項5の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  7. 前記球体は、直径が10mm以上250mm以下である請求項6に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  8. 前記楕円体は、長軸の長さが10mm以上250mm以下、短軸の長さが9mm以上100mm以下である請求項6に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  9. 前記円柱体は、底面の直径が10mm以上250mm以下、高さが10mm以上250mm以下である請求項6に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  10. 前記容器は、底面の直径が50mm以上500mm以下、高さが50mm以上2000mm以下の円筒体である請求項1から請求項9の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  11. 前記容器は、前記容器の底部が前記容器の外側に延出する延出部を有する請求項1から請求項10の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  12. 前記容器の内部に内筒が設けられ、前記成形体を前記容器と前記内筒との間に配置させて前記成形体を加熱する請求項1から請求項11の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  13. 前記内筒は側面に複数の貫通孔が設けられ、前記還元拡散工程において、前記内筒の内部に照射した輻射熱を、前記内筒の側面に形成された複数の貫通孔から前記容器内に照射することで、前記成形体を加熱する請求項12に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  14. 前記内筒の貫通孔は、前記成形体が通過しない大きさである請求項12又は請求項13に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  15. 前記内筒は、底面の直径が10mm以上500mm以下、高さが50mm以上2000mm以下の円筒体である請求項12から請求項14の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
  16. 前記還元拡散工程は、マッフル炉により前記成形体を還元拡散反応させる工程であり、前記還元拡散工程は、下記式(1)で表わされる、前記容器と前記内筒の内側面の面積率を0.60以上1.0以下として行う請求項12から請求項15の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
    容器と内筒の内側面の面積率=(容器の内側面の面積[cm]+内筒の内側面の面積[cm])÷マッフルの表面積[cm] ・・・・(1)
  17. 前記還元拡散工程は、マッフル炉により前記成形体を還元拡散反応させる工程であり、前記還元拡散工程は、下記式(2)で表わされる、前記容器の開口部の総面積率を0.20以上0.45以下として行う請求項1から請求項16の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
    容器の開口部の総面積率=容器の開口部の総面積[cm]÷マッフルの表面積[cm] ・・・・(2)
  18. 前記還元拡散工程は、下記式(3)で表わされる、成形体占有率を0.4以上0.8以下として行う請求項1から請求項17の何れか1項に記載の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
    成形体占有率=容器内の成形体の体積[cm]÷容器の容積[ml] ・・・・(3)
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