JP3520778B2 - Sm−Fe−N系強磁性材料の製造方法 - Google Patents

Sm−Fe−N系強磁性材料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、還元拡散工程によるS
m−Fe−N系強磁性材料の製造方法に係り、特に、組
成中に炭素を導入することにより、高い磁気特性を有す
る強磁性材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Sm−Fe−N系強磁性材料は次世代の
永久磁石材料として期待されている。特に、Sm2Fe1
7N3系の材料はニュークリエイションと呼ばれる保磁力
発現機構を示し、結晶粒子の小粒子化、均一性がそのま
ま保磁力の大きさに結びつくという特徴をもつ。
【0003】数μmの小粒子であって均一な希土類・遷
移金属材料を得るため、希土類酸化物粉末と遷移金属粉
末を混合し、これをカルシウム蒸気中で加熱することで
希土類酸化物を還元し、それを遷移金属中に拡散させる
還元拡散法が知られている。還元拡散法は、金属に比べ
安価な希土類酸化物を使用できることや、合金が還元と
同時に得られるという利点があり、永久磁石用のSmC
o5金属間化合物、又はSm2Co17系合金の製造には広
く用いられている。また、希土類・遷移金属・窒化物系
の強磁性材料の製造に、還元拡散法を適用したことが特
開平5−279714号公報に開示されている。
【0004】還元拡散法は本質的に固体反応であるため
に、原料の希土類酸化物及び遷移金属の混合度が悪いと
反応の均質性が低下し、生成物の組成が不均一となった
り、目的外の異相が生成する。一方、希土類遷移金属系
の合金、あるいは金属間化合物からなる磁性材料が必要
とする磁気特性を得るには、組成や結晶の均一性が重大
な影響を与えることが多い。
【0005】Sm−Fe−N系強磁性材料製造に還元拡
散反応を適用する場合、構成元素金属のSm及びFeの
仕込み割合について、SmがFeに比べ高揮発成分であ
ることから、理論値よりもSmを余分に仕込む必要があ
った。それは、Smを余分に仕込まなければ組成比がズ
レ、均一な目標組成物が得られないからだ。また、マク
ロ的には目標組成となっても、ミクロ的にみると、α−
Feの析出がみられ、その結果、保磁力、不可逆減磁等
の磁気特性の低下を引き起こし、特に、ニュークリエイ
ション型のこの材料への影響は大であるからだ。これに
対し、SmをFeに対し過剰に仕込めば磁気特性は改善
されるが、SmはFeに比べ非常に高価な材料であり、
過剰なSmはできるだけ削減したい。また、一般的に、
高揮発成分を過剰に仕込むと、電気炉の至る所へ析出
し、電気炉の耐久性を損なうという問題がある。
【0006】Smの揮発を抑えるために、還元拡散反応
をできるだけ低温で行うことが考えられる。しかし、反
応温度を低下すると、結晶性が損なわれ、得られるSm
−Fe−N系磁性材料の磁気特性は低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本願発明は上
述した問題を解決することを目的とし、すなわち、Sm
−Fe−N系強磁性材料に対し、還元拡散法を用いて製
造する際に、できるだけ低温で行うことでSmの揮発を
抑え、しかも結晶性の高い、磁気特性の良好なSm−F
e−N系強磁性材料を得る製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【発明を解決するための手段】本発明者等は上述した課
題を解決するために、Sm−Fe−N系強磁性材料の窒
化を行う前段階の還元拡散工程において、結晶成長をよ
り低温で行う反応促進成分について鋭意検討した結果、
炭素に結晶成長促進作用があり、しかも、C粉末のよう
な固体であっても、COのような気体であっても効果が
あることを見いだした。
【0009】すなわち、本発明のSm−Fe−N系強磁
性材料の製造方法は、Sm酸化物と、Fe原料と、該F
e原料中のFe100重量部に対して0.01〜10重
量部の範囲のC粉末と、及びCaを混合し、この混合物
を不活性ガス雰囲気中で600〜1100℃の温度範囲
で30分〜3時間加熱し、次に、窒素あるいは窒素を含
む雰囲気中において250〜700℃の温度範囲に加熱
し、次に、この反応生成物を水及び弱酸水溶液で処理す
ることを特徴とする。
【0010】さらに、本発明のSm−Fe−N軽合金材
料の製造方法は、Sm酸化物と、Fe原料と、及びCa
を混合し、この混合物を不活性ガスとCOの混合ガス全
体に対するCOの濃度が0.1〜10体積%である混合
ガス雰囲気中600〜1100℃の温度範囲で30分〜
3時間加熱し、次に、引き続いて窒素あるいは窒素を含
む雰囲気中において250〜700℃の温度範囲に加熱
し、その後、この反応生成物を水及び弱酸水溶液で処理
することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】Smの酸化物は一般に市場から安
価に入手できるSm2O3を使用する。Sm2O3の平均粒
径は0.5〜2μm程度のものが好ましい。それは、こ
の粒径範囲がCaによる還元を受けた後、Fe金属に均
一に浸入しやすいからだ。
【0012】Fe原料として使用することができるの
は、金属Fe、あるいはこれにFeの酸化物が一部置換
されたものでもかまわない。Feの酸化物として、例え
ば、FeO、Fe3O4、Fe2O3、あるいはこれらの混
合物が適用可能である。また、加熱すると容易に酸化物
を生成するような化合物も使用することができる。この
ような化合物として、例えば、Feの水酸化物、炭酸
塩、蓚酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩等がある。
【0013】Sm2Fe17N3に代表されるSm−Fe−
N系磁性材料はニュークリエーション型の保磁力発現機
構を示し、従って、高い保磁力を得るには、単磁区粒径
程度の磁粉粒子を得ることが必要条件とされる。ところ
が、優れた磁気特性を得るためには、粉砕により磁性材
料を微粉末化することはできるだけ避けたい。それは、
その粉砕により、粉末特有の割れ、欠け等が多数発生
し、これらの突起部分が逆磁区の発生場所となって保磁
力を低下させるためである。
【0014】ところで、最終の磁性材料の粒径はこのF
e原料の粒径に大きく依存する。従って、製造工程中粉
砕を行わないで数μmのSm−Fe−N系合金粉末を得
るには、Fe原料の粒径は2〜5μmの範囲が好まし
い。
【0015】Sm−Fe−N系合金粉末の結晶成長中
に、炭素を同時に導入することにより、結晶成長促進作
用がある。本発明において、この炭素Cの導入のため
に、次の二通りの方法が可能である。 炭素粉末(C)を、原料であるSm酸化物、原料Fe
と共に混合して、還元拡散する方法。 原料であるSm酸化物と原料Feに、COガスと不活
性ガスの混合ガス中で還元拡散反応を行う方法。
【0016】炭素粉末を使用する場合、炭素粉末は、
原料粉末のSm酸化物と金属Feと共に混合する。この
炭素粉末として、アセチレンブラック、チャンネルブラ
ック、サーマルブラック、ランプブラック、ロールブラ
ック、ディスクブラック、オイルファーネスブラック、
活性炭のいずれも使用できる。これら炭素粉末は金属鉄
に対して0.01〜10重量部の範囲混合する。0.0
1重量部以下の場合、得られる合金粉末に結晶成長促進
効果は現れず、10重量部以上の場合は、得られた合金
粉末の粒子が巨大化してしまい、磁性材料として利用す
る場合、十分な保磁力を有しない合金となる。微小粒子
であって、均一な合金粉末を得るには、希土類酸化物と
金属鉄及び炭素粉末は十分混合されていることが必要と
される。
【0017】このFe、Smの原料、及びCの混合物に
さらに還元剤のCaを混合する。Caは粒度4メッシュ
以下の粒状のCaが好適である。Caは、Sm酸化物を
還元する反応当量の1.1〜3.0倍量、好ましくは
1.5〜2.0倍を添加混合する。
【0018】還元拡散反応は、反応機をアルゴン雰囲気
下、900〜1100℃の温度で30分〜3時間加熱す
ることで行う。好ましくは1000〜1080℃の温度
範囲で行う。一般的に還元拡散が始まるのはCaが溶解
するのと同時である。つまり、Caの融点839℃であ
るので、反応はその温度付近より始まっていると考えら
れる。そのため1000℃以上の温度領域では合金化も
起こると共に、合金化した希土類−遷移金属粒子は粒子
同士の融着も始まっている。粒子の融着が多いと本来粒
子の持つ磁気特性が低減する傾向にある。また、金属S
mはFeに比較して高揮発成分であり、高温で反応すれ
ば多くのSmを揮発より失い、高価なSmのロスは不経
済である。
【0019】原料である希土類酸化物と原料Feに、
COガスと不活性ガスの混合ガス中で還元拡散反応を行
う方法では、COガスは不活性ガスの0.1〜10容積
%の範囲で混合することが好ましい。0.1容積%以下
の場合、得られた合金粉末に粒子成長効果が現れず、1
0容積%以上の場合は得られた合金粉末の粒子が巨大化
してしまい、有効な保磁力を持たない合金ができてしま
う。
【0020】この炭素源としてCOを使用する以外、還
元拡散工程に使用するCaの量、窒化工程、及び水及び
弱酸水溶液による処理は、の炭素粉末を用いる場合と
同様の条件で行うことができる。
【0021】本発明の対象は、希土類元素のSmとFe
の合金を窒化した特定組成の粉体であるが、これらの元
素に対し、不可避的な他の微量元素が混入しても同様な
効果は期待できる。このような元素として他の希土類元
素、Ni、Cr、Mn等他の遷移金属元素、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、水素、酸素、炭素、硼素等があ
る。
【0022】図1に、Sm−Fe−N系強磁性材料の結
晶成長促進剤としてカーボンブラックを用いた場合(実
施例)と、結晶促進剤を使用しなっかった場合(比較
例)について、還元拡散温度と、平均粒径の関係をプロ
ットした。図中の実施例が示す点は、還元拡散工程に使
用した原料Fe100重量部に対して1重量部のカーボ
ンブラックを添加したものである。分析の結果、合金粉
末の組成中にはいずれも0.1重量部の炭素を含有して
いた。図1より、炭素を含有した合金粉末は、全ての温
度範囲において平均粒径(フィッシャー径)は大きくな
っている。従って、炭素を含有するものは同じ粒径を得
るのにほぼ30℃ほど温度を低下させることが可能であ
ることが分かる。
【0023】図2は、Sm−Fe−N系強磁性材料の結
晶成長促進剤としてカーボンブラックを用いて、105
0℃で2時間で還元拡散反応した場合について、炭素粉
末の仕込み量と、得られた合金粉末の平均粒径(フィッ
シャー径D)と、メディアン径(Dm)の関係をプロッ
トしたものである。図2より、炭素の仕込量の増加と共
にフィッシャー径は増大している。これに対し、メディ
アン径(Dm)は3重量部付近に極小値がある。フィッ
シャー径、メディアン径とも3重量部を超える量仕込量
の増加してもさらに粒径は大きくなる。
【0024】フィッシャー径とは、空気透過法であるF
isher Sub−Sieve Sizerを用いて測
定される平均径であり、粒子の比表面積から測定され、
顕微鏡写真でみる大小関係に近い一次粒子径を計ること
ができる。フィッシャー径は、一次粒子の粒径が同じで
あるなら凝集のあるなしに関わらず殆ど同じである。こ
れに対し、メディアン径とは、体積基準で表した粒度分
布における50%径である。この粒度分布測定にレーザ
ー回折法等の方法を使用すると、凝集粒子そのままのサ
イズを測ることとなり、凝集粒子サイズをメディアン径
(中央径)として表すことができる。よって凝集粒子の
多い粉末はフィッシャー径よりもメディアン径の値が大
きくなり、その差で凝集の度合いを評価することができ
る。図2に示すメディアン径における極小値は、炭素の
仕込量の増加により、粒子の形状が整い、分散傾向にあ
ることを意味している。
【0025】図3は、Sm−Fe−N系強磁性材料の結
晶成長促進剤としてカーボンブラックを用いた場合につ
いて、組成中の炭素の仕込み量と、得られた強磁性材料
の残留磁化(Br)の関係をプロットしたものである。
この図より、炭素の仕込み量が0.1重量部以上で炭素
の効果が現れている。3重量部付近に極大があり、それ
より大きくなると残留磁化は低下している。
【0026】図4は、Sm−Fe−N系強磁性材料の結
晶成長促進剤としてカーボンブラックを用いた場合につ
いて、組成中の炭素の仕込み量と、得られた強磁性材料
の保磁力(iHc)の関係をプロットしたものである。
この図より、炭素仕込量が0.1重量部以上で炭素の効
果が現れている。特に、3重量部付近に極大があり、そ
れより大きくなると保磁力は低下している。
【0027】これら、Sm−Fe−N合金粉末に炭素を
添加した場合の結晶成長促進の効果、及び磁気特性に及
ぼす効果について総合すると、炭素の仕込み量は0.1
〜1重量部の範囲が実用範囲である。特に、3重量部付
近が最も好ましい。
【0028】以上は、炭素源としてカーボンブロック
(炭素粉末)を用いた場合について示したが、還元拡散
工程にCOガスを導入した混合ガスについても実施した
ところ、混合ガス中のCO濃度(体積%)とフィッシャ
ー径及びメディアン径の関係、CO濃度と磁気特性との
関係について、カーボンブラックを使用した場合と同様
であった。その結果を図5〜図7に示す。
【0029】
【実施例】[実施例1]平均粒径1.2μmのSm2O3
粉27.8g、平均粒径5μmのカルボニルFe粉7
1.2g、アセチレンブラック粉0.71g(Fe粉1
00重量部に対して1重量部)、さらに粒状のCa1
9.2g(Sm2O3中の酸素原子の当量に対し2.0
倍)を加えて充分に混合する。得られた混合粉をるつぼ
に充填し、真空排気が可能な加熱容器中に配置する。
【0030】加熱前に加熱容器を真空排気した。次に、
大気圧下でアルゴンガス2L/分の流量で通じながら加
熱し、1050℃の温度で2時間程度保持した。以後ア
ルゴンガスを流通させたまま500℃まで冷却し、その
温度でアルゴンガスの流通を止めて加熱容器内を真空排
気した。
【0031】加熱容器内を真空排気された後、大気圧下
で窒素ガスを導入し、500℃の温度で10時間加熱
し、その後、常温まで放冷した。
【0032】このようにして得られた反応生成物は、多
孔質のブロック状であって容易に坩堝から取り出すこと
ができた。還元剤のCaは酸化されてCaOを生成する
か、窒化によりCaNとなり、一部はCa金属として反
応生成物中に残留している。反応生成物をイオン交換水
中に投入すると、直ちに崩壊してスラリーとなる。この
時、反応生成物中のCaO、CaN、及び未反応のCa
は、微細なCa(OH)2 に変化する。
【0033】このスラリーに対し、数回のデカンテーシ
ョンを行い、上澄み液中のCa(OH)2 を除去した。
次にスラリーに対して酢酸による酸洗浄を行った。その
後、ヌッチェを用いてスラリーから固形分を分離し、固
形分をさらにアルコール置換し、分離乾燥した。
【0034】このようにして81gのSm−Fe−N系
合金粉末が得られ、フィッシャー径(D)は5.4μ
m、メディアン径6.2μmとする流動性の良い黒色粉
末を得た。この合金粉末の化学分析を行い次のような結
果を得た。ここで、Fe、SmについてはICP分析、
Cは全有機体炭素計、N、Oは酸素窒素分析装置にて測
定した。 Fe 72.5wt% Sm 22.5wt% N 3.0wt% C 0.1wt% O 3100ppm
【0035】得られた合金粉末のEPMAによる断面観
察ではSmとFeの偏析は確認できなかった。またCu
−Kαを線源とするX線回折によれば主相であるSm−
Fe合金の他には何も観察されず、特に純鉄成分である
α−Feは痕跡すら発見できなかった。また、Cの分析
値は仕込み量に比べると1/7程度に減少している。こ
れはCは結晶成長促進剤として働くが、結晶中に含有さ
れるのはその内の僅かであり、大半が後の水洗工程で洗
浄されることによる。
【0036】次に、得られたSm−Fe−N系合金粉末
を最大磁場20kOeのVSM(振動試料型磁力計)で
磁気特性を測定した。このとき、合金粉末微粉をパラフ
ィンワックスと共にサンプルケースに詰め、ドライヤー
でパラフィンワックスを溶融させてから20kOeの配
向磁場でその磁化容易軸を揃え、着磁磁場40kOeで
パルス着磁した。またSm2Fe17N3金属間化合物の真
密度は7.66g/mlとし反磁場補正せずに評価し
た。試料測定の結果、残留磁化は13.5kG、保磁力
は7.2KOeであった。
【0037】[実施例2]平均粒径1.2μmのSm2
O3粉27.8g、平均粒径5μmのカルボニルFe粉
71.2g、さらに粒状Ca19.2gを加えて充分に
混合した。このようにして得られた混合粉をるつぼに充
填し、真空排気が可能な加熱容器中に配置した。
【0038】加熱前に加熱容器を真空排気した。次に、
大気圧下でアルゴンガス1960ml/分とCOガス4
0ml/分の混合ガス(COガス濃度は2体積%)を通
じながら加熱し、1050℃の温度で2時間程度保持し
た。以後アルゴンガスを流通させたまま500℃まで冷
却し、その温度でアルゴンガスの流通を止めて加熱容器
内を真空排気した。その後は、実施例1と同様な方法に
より、フィッシャー径(D)5.4μm、メディアン径
6.5μmである流動性の高いSm−Fe−N黒色粉末
が80g得られた。
【0039】得られた合金粉末のEPMAによる断面観
察ではSmとFeの偏析は確認できなかった。またCu
−Kαを線源とするX線回折によれば主相であるSm−
Fe合金の他には何も観察されず、特に純鉄成分である
α−Feは痕跡すら発見できなかった。
【0040】得られた合金粉末は、化学分析の結果、次
の通りであった。 Fe 72.4wt% Sm 22.3wt% N 3.0wt% C 0.3wt% O 3200ppm
【0041】また、合金粉末の磁気特性は以下の通りで
あった。 iHc 7.0 kOe 残留磁束密度 13.2 kG
【0042】[比較例1]平均粒径1.2μmのSm2
O3粉29.9g、平均粒径5μmのカルボニルFe粉
71.2g、粒状のCa9.6gを加え、アセチレンブ
ラックを加えずに充分に混合して混合粉得た。これを用
い、還元拡散工程の加熱温度が1080℃である以外実
施例1と同様にしてSm−Fe−N系合金粉末を得た。
得られた合金粉末は79gで、フィッシャー径(D)約
5.4μm、メディアン径7.6μmとする流動性の良
い黒色粉末であった。
【0043】得られた合金粉末についてEPMAによる
Sm原子とFe原子の濃度分布の観察を行ったところ、
両元素ともに部分により濃度の濃淡が認められた。さら
に粉末X線回折によると、主相のSm−Fe−N系合金
の回折ピーク以外に、α−Feと微弱なSmFe7、S
mFe5結晶の回折ピークが認められた。
【0044】得られた合金粉末は、化学分析の結果、次
の通りであった。 Fe 72.7wt% Sm 22.2wt% N 3.0wt% O 3600ppm
【0045】また、合金粉末の磁気特性は以下の通りで
あった。 iHc 5.6kOe 残留磁束密度 11.8kG
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
によると、Sm−Fe−N系磁性材料に炭素を導入する
ことにより、還元拡散工程における結晶成長促進効果を
発揮し、その結果、低温度で還元拡散することができ、
高揮発成分で高価なSmの仕込み比率を低減することが
できた。
【0047】また、反応が均一に起こるためミクロ的に
も組成は均質となり、その結果、保磁力、残留磁化等の
磁気特性において改善がみられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品と比較品の平均粒径と反応温度の関係
を示す特性図
【図2】Sm−Fe−N系磁性材料のD、Dmと炭素仕
込み量の関係を示す特性図
【図3】Sm−Fe−N系磁性材料の残留磁化(Br)
と炭素仕込み量の関係を示す特性図
【図4】Sm−Fe−N系磁性材料の保磁力と炭素仕込
み量の関係を示す特性図
【図5】Sm−Fe−N系磁性材料のD、Dmと混合ガ
ス中のCO濃度の関係を示す特性図
【図6】Sm−Fe−N系磁性材料の残留磁化(Br)
と混合ガス中のCO濃度関係を示す特性図
【図7】Sm−Fe−N系磁性材料の保磁力と混合ガス
中のCO濃度関係を示す特性図

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sm酸化物と、Fe原料と、該Fe原料
    中のFe100重量部に対して0.01〜10重量部の
    範囲のC粉末と、及びCaを混合し、この混合物を不活
    性ガス雰囲気中で600〜1100℃の温度範囲で30
    分〜3時間加熱し、次に、窒素あるいは窒素を含む雰囲
    気中において250〜700℃の温度範囲に加熱し、次
    に、この反応生成物を水及び弱酸水溶液で処理すること
    を特徴とするSm−Fe−N系強磁性材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 Sm酸化物と、Fe原料と、及びCaを
    混合し、この混合物を不活性ガスとCOの混合ガス全体
    に対するCOの濃度が0.1〜10体積%である混合ガ
    ス雰囲気中600〜1100℃の温度範囲で30分〜3
    時間加熱し、次に、引き続いて窒素あるいは窒素を含む
    雰囲気中において250〜700℃の温度範囲に加熱
    し、その後、この反応生成物を水及び弱酸水溶液で処理
    することを特徴とするSm−Fe−N系強磁性材料の製
    造方法。
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