JP2898903B2 - 架空線 - Google Patents

架空線

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JP2898903B2
JP2898903B2 JP7113687A JP11368795A JP2898903B2 JP 2898903 B2 JP2898903 B2 JP 2898903B2 JP 7113687 A JP7113687 A JP 7113687A JP 11368795 A JP11368795 A JP 11368795A JP 2898903 B2 JP2898903 B2 JP 2898903B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、風圧荷重の少ない架空
線に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の架空電線は、鋼撚線の周囲にアル
ミ撚線をより合わせた鋼心アルミより線(ACSR)が
多用されている。また図14に示したように、鋼撚線5
上のアルミ撚線6の外周の最外層に断面扇形セグメント
素線15をより合わせた外周面が概ね平滑な電線が知ら
れている。また、図14に示した電線と同様に最外層に
より合わせる断面扇形セグメント素線15の角部を円弧
面に形成し、セグメント素線の隣接突合わせ面と角部円
弧との交点の円弧の接線が電線の中心を通らないように
し、角部円弧面の曲率半径を特定値に設定して低風圧
化、低風音化をはかった特公昭57−46166号の送
電線が公知である。また、最外層素線の包絡線上に巻回
したスパイラル素線による突起の突出高さと突起の有す
る中心角を特定値に設定した特公平5−6765号の低
風圧電線が公知である。また図14に示したように、ア
ルミ撚線6の外表面をテープ16を巻いて波形表面にし
た電線が公知である。これら公知の電線の表面は概ね平
滑である。
【0003】また、最外層のセグメント素線の表面に設
けた円弧状溝の弦の長さを電線直径に対する比で規定し
た特開昭60−105111号公報の電線、および、最
外層撚合層中に等間隔4箇所の素線対の隣接部に形成し
た溝の巾を深さの1〜2倍とした特開昭57−6721
5号公報の低騒音電線、および、断面円形素線をより合
わせた電線の外周面のPTFE皮膜に凸曲面山部と凹曲
面谷部を形成した特開平3−74009号公報の架空布
設長尺物が公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のように最外層に
表面平滑な断面扇形セグメント素線をより合わせて低風
圧化をはかった電線でも、これに風が吹き当たると風圧
荷重が生ずる。図15に示したように、架空電線に風が
当たってその気流Fが電線外周面Sを吹き流れると、電
線表面に沿って層流となって流れ、電線表面と気流との
接触面における空気の粘性により電線表面では気流の流
速がゼロであり電線外周面Sからの距離yの関数として
流速が変化する図示のような流速分布を呈する。つまり
薄い層厚δの境界層Bを電線外周面S上に形成する。こ
の流れが電線表面に沿って流れるとき風下側の各位置に
おける境界層Bの流速分布はB1→B2→B3のように
変化する。この風下側のB3の位置に移行した境界層は
運動エネルギーを消耗して電線表面から剥離点Pで剥離
し、この剥離点Pの下流側は低い圧力領域が生ずる。こ
れにより電線の風上側と剥離点下流側との間に圧力差が
生じ、これが電線に風圧荷重を生ずる原因となる。
【0005】前記の電線にかかる風圧荷重を低下させる
ために、剥離点Pをできるだけ風下側に移すことによ
り、電線にかかる風圧の風上側の正の圧力を風下方向に
導いて風圧荷重を低下させることが考えられる。別の方
法として、発達してくる境界層を成るべく風上側で乱流
化して剥離点Pを風下側に移行させ、風上側の正の圧力
を風下側に導き風圧荷重を低下させることが考えられ
る。この剥離点Pをできるだけ風下側に移すには、境界
層内の流れを乱さないようにする必要がある。従来の最
外層に表面平滑な断面扇形セグメント素線をより合わせ
て低風圧化をはかった外周面が概ね平滑な架空電線は境
界層内の流れが乱され難く、風圧荷重は小さいものと考
えられていた。しかしながらこの架空電線について風洞
実験をするとその実験結果は、風圧荷重(抗力係数)は
所望値を上回った。この抗力係数が所望どおりに低下し
ない原因を究明した結果、図15に示したように最外層
の断面扇形セグメント素線15、15の隣接部17の表
面側に形成されるV字形溝18に段差が生じてしまい、
このV字形溝18の段差が境界層を乱してしまうためで
あることが判明した。しかしながらより合わせセグメン
ト素線隣接部のV字形溝15の段差を無くして平滑な表
面を作り出すには高度のより合わせ技術を必要とし、製
造コストが高くなるという問題点がある。
【0006】また、前記公知の特許出願公開の各電線
も、風圧荷重が低減する電線を容易に低コストで製作す
ることは困難である。
【0007】本発明は、前記の問題点を解決し、風圧荷
重が小さく、低コストの架空線を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め本発明の架空線は、 (1)最外層に断面扇形のセグメント素線1を複数本よ
り合わせてセグメント素線の隣接部2の架空線表面側
に、断面が、楕円形や円形等の凹円弧のような円弧状の
溝部3を設けた架空線において、前記断面円弧状溝部を
6本以上36本以下設けるとともに、該断面円弧状溝部
の溝巾Lと断面扇形セグメント素線表面の非溝部の巾M
との比L/Mを 0.10≦ L/M ≦1.55 と
したことを特徴とするものである。(図1参照)
【0009】(2)最外層に断面扇形のセグメント素線
1を複数本より合わせてセグメント素線の隣接部2の架
空線表面側に断面円弧状溝部3を設けた架空線におい
て、最外層のセグメント素線のうち少なくとも2本のセ
グメント素線11、11の外表面7を他のセグメント素
線1の外表面4よりも1.5〜5mm突出させ、該外表
面突出セグメント素線11、11の隣接部8の表面側に
断面円弧状溝部9を設け、前記外表面突出セグメント素
線群11、11の互いに反対側の肩部12、12に15
゜≦θ≦60゜のデフレクター角θを設けたことを特徴
とするものである。(図2参照)
【0010】
【作用】最外層の断面扇形セグメント素線1のより合わ
せは、鋼撚線、アルミ撚線等のより合わせ線の最外層に
断面扇形のセグメント素線1をより合わせる。断面円弧
状溝部3は断面扇形セグメント素線1の最外層より合わ
せにより架空線の外周面において長手方向に延びるスパ
イラル溝を形成する。なお、本発明における架空線と
は、鋼心アルミより線(ACSR)、アルミ合金架空電
線、銅架空電線、架空地線等の架空線を言う。
【0011】最外層により合わせる断面扇形セグメント
素線1の隣接部2の架空線表面側に断面円弧状の溝部3
を設けることにより、風が架空線表面を流れる際に、従
来のV字形溝の段差による層流の境界層の乱れが低減さ
れ境界層は断面円弧状溝部3を通過して電線表面を風下
側に移り、剥離点Pが風下側の架空線後方側に移行し
て、風圧荷重が低減する。
【0012】断面円弧状溝部3が楕円状の円曲面の緩い
勾配の円弧状曲面である場合は、断面円弧状溝部3を通
過する境界層は乱されることなく通過して剥離点Pが風
下側に移行する。図に示したように、架空線に風が当
たってその気流Fの層流が架空線表面を形成している最
外層の断面扇形セグメント素線1の外周面4に沿って流
れるときにその外周面4上に薄い層厚δの境界層Bを形
成して、流れ線矢印fのように風下側に流れ、その外周
面4上の各位置における境界層Bの流速分布はB1→B
2→B3→B4のように変化する。境界層が緩い勾配の
断面円弧状溝部3を通過するときはB2のようになり、
この円弧状溝部3内で渦流Cが生じて円弧状溝部3を通
過する境界層Bの運動エネルギーの消耗の減少が生じ、
このエネルギー消耗の減少分だけ、運動エネルギー消耗
により生ずる境界層の架空線表面からの剥離が遅れて剥
離点Pが風下側に流れ架空線後方側に移行して剥離す
る。この剥離点Pの下流は低圧領域になり逆流Rが生じ
てこの領域との境界は不連続面SDになる。このように
断面円弧状溝部3を通過する境界層は乱されることなく
風下側に移行して剥離点Pが風下側に移行することによ
り、架空線風上側における高い空気圧が架空線後方側に
も及ぶことになって架空線にかかる風圧荷重が低減す
る。断面扇形セグメント素線1の隣接部2の表面側の隣
接角部は断面円弧状溝部3の底部に位置しているので、
隣接部2の表面側に段差があっても、その影響は断面円
弧状溝部3内の流れに限定され、該溝部3内の渦流Cに
より架空線表面の境界層への影響が低減される。
【0013】最外層の断面扇形セグメント素線1の隣接
部2の表面側に設ける断面円弧状溝部3の円弧面が半円
状である場合は、この断面半円状の溝部を通過する境界
層は積極的に乱流化されて通過し剥離点が風下側に移行
する。断面円弧状溝部3の円弧を半円状に近づけると、
に示したように、架空線表面を形成する最外層の断
面扇形セグメント素線の外周面4上を流れる層流の薄い
層厚δの境界層Bは、その外周面4上の各位置における
流速分布がB1→B2→B3→B4のように変化し、断
面半円状溝部3a内では渦流Cが生じてB2のようにな
り、この断面半円状溝部3aの風下側肩部3bを越える
時に肩部3bが乱流化の基点になって層厚δ′の境界層
に乱流化が起こる。このため境界層内に強い混合乱流れ
が生じて剥離点Pが風下側に移行し、不連続面SDの下
流は逆流Rが生じて低圧領域になり、架空線風上側の高
い空気圧が架空線風下側に導かれて架空線にかかる風圧
荷重が低減する。また、最外層の断面扇形セグメント素
線のより合わせにより断面円弧状溝部3が架空線外周面
に架空線長手方向のスパイラル溝を形成しているので、
このスパイラル溝に沿った気流の流れが生じて後流側で
の流れの混合が活発化され、架空線後方の後流領域の減
少が生じ、これによっても風圧荷重の低下が生ずること
になる。
【0014】前記のように、最外層の断面扇形セグメン
ト素線1の隣接部2の表面側に断面円弧状溝部3を設け
ることにより、この断面円弧状溝部3内の渦流が境界層
の運動エネルギーの消耗を減らして、剥離点を後方に移
行させ、さらにまた、断面円弧状溝部3の円弧面を半円
状に近づけると、その溝の肩部が境界層の乱流化の基点
になり、境界層の乱流化が生じて剥離点を風下側に移行
させ、このような剥離点の後方移行によって抗力係数が
小さくなる。
【0015】最外層により合わせる断面扇形セグメント
素線1の隣接部2の表面側に設ける断面円弧状溝部3の
溝巾Lと該扇形セグメント素線1の表面の非溝部の巾M
との比L/Mは、0.1未満では溝部3の巾が狭すぎて
該円弧状溝部3を設けた効果が充分に得られず、1.5
5を越えると架空線表面の粗面化が著しくなって、風圧
低減効果が少ない。前記L/Mを0.10≦L/M≦
1.55とすることにより充分な風圧低減効果が得られ
る。
【0016】最外層に断面扇形セグメント素線1をより
合わせた架空線外周面に架空線長手方向にスパイラル
に形成される断面円弧状溝部3のスパイラル溝の本数
は、6本未満では架空線外周面における該断面円弧状の
スパイラル溝の間隔が開きすぎて風圧低減効果が少なく
なり、36本を越えると架空線表面の粗面化が著しくな
って風圧低減効果が充分に得られない。したがってこの
架空線外周面に設ける断面円弧状溝部3の本数は6本以
上で36本以下が好適である。
【0017】最外層により合わせる断面扇形セグメント
素線11の外表面7を他の断面扇形セグメント素線1の
外表面4よりも高く突出させることにより(図2参
照)、風が架空線に吹きつけたときに生ずる風騒音を低
減することができる。この外表面突出セグメント素線1
1の外表面7が他のセグメント素線1の外表面4よりも
突出する高さtが1.5mm以下、5mm以上では風騒
音低減効果が少ない。
【0018】断面扇形のセグメント素線の外表面を突出
させると、風がその突出した肩部に当たると渦流が生じ
やすくなって風圧が増加するが、外表面突出セグメント
素線群11、11の互いに反対側の両肩部12、12
に、この肩部の突出勾配を緩い勾配面にするデフレクタ
ー角を設けたことにより、肩部に風が当たっても渦流が
生じなくなる。このデフレクター角θは、15゜以下で
も、60゜以上でも効果が少ないので、15゜≦θ≦6
0゜の範囲が好適である。また、この外表面突出セグメ
ント素線11、11は、その両肩部12、12に設けた
デフレクター角とともに、隣接部8の表面側に設けた断
面円弧状溝部9により、高電界下における軽雨時のコロ
ナ騒音が低減する。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例を図面により説明する。
図1乃至図3は本発明の1実施例の架空線10を断面で
示す。図1に示した第1の実施例において、鋼撚線の心
線5の周りにアルミ撚線6をより合わせ、その外周の最
外層に、断面扇形のセグメント素線1を複数本より合わ
せる。このセグメント素線1は、アルミ合金製、銅製等
の導電体製または表面が導電体である素線(たとえばア
ルミ被覆鋼線)であり、これを最外層により合わせた架
空線10は鋼心アルミより線(ACSR)、アルミ合金
架空電線、銅架空電線、架空地線等の架空線である。
【0020】この最外層により合わせる断面扇形のセ
メント素線の隣接部2の架空線表面側に、円形や楕円形
等の円弧のように、断面が凹円弧状の溝部3を設ける。
この断面円弧状溝部3は素線1のより合わせにより架空
線10の外周面において架空線長手方向のスパイラル溝
を形成する。この架空線10に風が当たると、その表面
を流れる層流の境界層は断面円弧状溝部3を通過して風
下側に移り、剥離点が風下側の架空線後方側に移行して
風圧荷重が低減する。
【0021】前記の最外層の断面扇形セグメント素線1
のより合わせ本数すなわち断面円弧状溝部3により架空
線外周面に長手方向にスパイラルに形成される溝の本数
は、6本以上で36本以下が望ましい。6本未満では架
空線外周面における該断面円 弧状のスパイラル溝の間隔
が開きすぎて風圧低減効果が少なくなり、36本を越え
ると架空線表面の粗面化が著しくなって風圧低減効果が
充分に得られない。図1に示した実施例は12本より合
わせた例である。断面凹円弧状溝部3の溝巾Lは、断面
扇形セグメント素線1の表面の非溝部の巾をMとする
と、L/Mが0.10≦L/M≦1.55 の範囲であ
ることが望ましい。また、断面円弧状溝部3の深さは、
最大深さをHとし架空線の直径をDとするとH/Dが
0.0055≦H/D≦0.082 の範囲であること
が望ましい。
【0022】図2は本発明の第2の実施例の架空線10
を示す。この第2の実施例は、鋼撚線5の周りにアルミ
撚線6をより合わせ、その外周の最外層に、断面扇形の
セグメント素線1をより合わせることは前記第1の実施
例と同様であるが、この最外層の断面扇形セグメント素
線のうちの少なくとも2本の断面扇形セグメント素線1
1、11は、その外表面7を他のセグメント素線1の外
表面4よりも高く突出させる。この他のセグメント素線
1の外表面4よりも高く突出する段差を形成する突出高
さtは1.5mm〜5mmの範囲であることが望まし
い。また2本接して並ぶ外表面突出セグメント素線群1
1、11の互いに反対側の肩部12、12にはこの肩部
に生じやすい渦流の発生を防ぐために肩部の突出勾配を
緩い勾配面にするデフレクター角を設ける。このデフレ
クター角θは15゜≦θ≦60゜の範囲であることが望
ましい。この第2の実施例においても、断面扇形セグメ
ント素線1の隣接部2の架空線表面側には前記第1実施
例と同様に断面円弧状溝部3を設け、前記の外表面突出
セグメント素線11、11相互の隣接部8の表面側にも
断面円弧状溝部9を設ける。この各溝部3と溝部9の最
大深さHは前記図1に示した実施例と同様であり、各溝
部3および溝部9の溝巾Lと断面扇形セグメント素線1
および11の表面の非溝部の巾Mとの比L/Mも前記図
1に示した実施例と同様である。
【0023】図3は本発明の第3の実施例の架空線10
を示し、図2と同一符号は同一部分を示す。この第3の
実施例は、前記の図2に示した第2実施例の変形例であ
り、図2における鋼撚心線5を銅覆鋼線とし、その周り
により合わせるアルミ撚線6のかわりに断面扇形セグメ
ント素線13をより合わせた例である。最外層の断面扇
形セグメント素線のうち少なくとも2本の断面扇形セグ
メント素線11、11の外表面を他のセグメント素線1
の外表面よりも突出高さtだけ高く突出させて段差を形
成すること、外表面突出セグメント素線群11、11の
反対側の両肩部12、12にデフレクター角θを設ける
こと、外表面突出セグメント素線11、11相互の隣接
部8の表面側に断面円弧状溝部9を設けること、は前記
の図2に示した第2実施例と同様である。
【0024】前記の第2、第3の実施例は、架空線10
の外周面から突出する外表面突出セグメント素線11が
風騒音を低減する。第2および第3の実施例において、
最外層における、断面扇形セグメント素線1のより合わ
せ本数Nとし、外表面突出セグメント素線11の本数を
nとしたときn/Nを 0.025≦n/N≦0.5の
範囲とすることができる。
【0025】前記の図1に示した第1の実施例の架空電
線について風洞実験を行った。直径Dが36.6mmφ
の鋼心アルミより線を作成し、最外層の断面扇形セグメ
ント素線1の本数N、断面円弧状溝部3の溝巾L、該溝
部3の最大深さHを種々に変化させ、レイノルズ数が
1.2×10〜9.9×10の範囲内で抗力係数を
測定した。比較のため鋼心の周りに断面円形アルミ線を
より合わせた従来の通常の鋼心アルミより線についても
風洞実験を行った。なお、レイノルズ数ReはRe=ρ
UD/μ(但しρは空気密度、Uは空気の流速、Dは電
線の直径、μは粘性係数)の式から求めた。抗力係数C
dは Cd=2d/(ρUA)(但しdは電線の受け
る力、Aは電線の風上側投影面積)の式から求めた。こ
の実験結果は図〜図12に示したとおりである。
【0026】図6は、断面円弧状溝部3の深さHを1.
0mm(H/D=0.027)、該円弧状溝部3の溝径
R(円弧状溝部3の円弧の半径)を1.0mmに設定
し、該円弧状溝部3の溝本数すなわち最外層の断面扇形
セグメント素線1のより合わせ本数Nを変化させたとき
の、抗力係数Cdとレイノルズ数Reとの関係を示す。
この図により、架空電線にかかる風圧の影響が問題と
なるレイノルズ数Reが5×10(約20m/s)以
上の条件において、本発明の架空電線はいずれも従来品
よりも抗力係数Cdが小さい領域が存在することがわか
る。特に溝本数Nが6本以上36本以下において抗力係
数Cdの低下が著しい。
【0027】図は、前記断面円弧状溝部3の溝本数
(最外層の断面扇形セグメント素線の本数)Nを10
本、該溝部3の深さHを0.3mm(H/D=0.00
82)に設定し、断面凹円弧状溝部3の溝巾Lと断面扇
形セグメント素線1の表面の非溝部の巾Mとの比L/M
を変化させたときの、抗力係数Cdとレイノルズ数Re
との関係を示す。この図から、レイノルズ数Reが5
×10以上の条件において、本発明の架空電線は
0.10≦L/M≦1.55 の範囲において抗力係数
Cdが小さい領域があることがわかる。
【0028】図は、前記の断面円弧状溝部3の溝本数
Nを24本とし、該溝部3の深さHを0.2mmに設定
し、前記のL/Mを変化させたときの、抗力係数Cdと
レイノルズ数Reとの関係を示す。この図から、レイ
ノルズ数Reが5×10以上の条件において、本発明
の架空電線はいずれも従来品よりも抗力係数Cdが小さ
い領域が存在することがわかる。特にL/Mが1.5以
下、0.6以上のときに抗力係数Cdが全域にわたり小
さい。
【0029】図は、前記のL/Mを0.75、溝本数
Nを12本に設定し、前記溝部3の深さHを0.15〜
3.0mm(H/D=0.0041〜0.082)に変
化させたときの、抗力係数Cdとレイノルズ数Reとの
関係を示す。この図から、レイノルズ数Reが5×1
以上の条件において、本発明の架空電線はいずれも
従来品よりも抗力係数Cdが小さい領域が存在すること
がわかる。
【0030】図10は、前記のL/Mを1.2、溝本数
Nを24本に設定し、前記溝部3の深さHを変化させた
ときの、抗力係数Cdとレイノルズ数Reとの関係を示
す。この図10から、レイノルズ数Reが5×10
上の条件において、本発明の架空電線は、断面円弧状溝
部3の深さHが0.5〜5mmの範囲において抗力係数
Cdが小さいことがわかる。
【0031】図11は、前記L/Mを1.0、前記溝部
3の深さHを2.0mmに設定し、前記溝本数Nを変化
させたときの、抗力係数Cdとレイノルズ数Reとの関
係を示す。この図11から、レイノルズ数Reが5×1
以上の条件において、本発明の架空電線はいずれも
従来品よりも抗力係数Cdが小さいことがわかる。
【0032】図12は、風が架空電線に吹き付けると生
ずる風騒音について本発明の架空電線と従来品とを比較
実験した、風速20m/sにおける騒音レベルと周波数
特性を示す。本発明の架空電線は、図3に示した型のA
CSR610mm相当の電線で外径Dが34.2m
m、外表面突出セグメント素線11(図3参照)の他の
セグメント素線1の外表面よりも突出する突出高さtが
3mm、デフレクター角θが45゜、前記溝本数(最外
層セグメント素線本数)Nが18本、前記溝部3の深さ
Hが2.0mm、より合わせセグメント素線のよりピッ
チ長360mmの架空電線を使用し、比較例として従来
のACSR610mmおよび図13に示した型の電線
を使用して比較実験をした。この実験結果により、本発
明の架空電線は騒音レベルが100〜130H付近で
10〜15db[A]も大幅に低下していることが確認
された。
【0033】
【発明の効果】前記のように本発明の架空線は、最外層
の断面扇形セグメント素線の隣接部に断面円弧状溝部を
設けたので、風が架空線表面を流れる際に、従来のV字
形溝の段差による層流の境界層の乱れが低減され境界層
は断面円弧状溝部3を通過して電線表面を風下側に移
り、境界層の剥離点が架空線風下側に移行して、風圧荷
重を低減させることができる。しかも低コストで容易に
低風圧電線を製作することができる。
【0034】また、断面円弧状溝部の溝巾Lと断面扇形
セグメント素線の表面の非溝部の巾Mとの比L/Mを
0.10≦L/M≦1.55 の範囲としたことによ
り、セグメント素線の溝巾の設定は種々異なる電線直径
等を考慮することなく設定することができるので、製作
が容易であり、有効な風圧荷重低減効果を得ることがで
きる。
【0035】また、架空線外周面に設ける断面円弧状溝
部の溝本数を6本以上36本以下としたので、充分な風
圧低減効果を得ることができる。
【0036】また、本発明の架空線は、最外層の断面扇
形セグメント素線のより合わせの中に外表面が突出する
外表面突出セグメント素線を設けたので、風圧荷重が低
されるだけでなく、風騒音を低減し、かつ軽雨時のコ
ロナ騒音を低減することができさらに外表面突出セグ
メント素線の突出高さを1.5〜5mmの範囲とし、外
表面突出セグメント素線の両肩部に15゜≦θ≦60゜
のデフレクター角θを設けたことにより、風圧荷重低減
効果を増すことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図
【図2】本発明の第2の実施例を示す図
【図3】本発明の第3の実施例を示す図
【図4】風気流の断面円弧状溝部における境界層の状況
の説明図
【図5】風気流の断面半円状溝部における境界層の状況
の説明図
【図6】断面円弧状溝部の深さを設定し溝本数を変化さ
せたときの抗力係数とレイノルズ数の関係を示す図
【図7】溝本数と溝部の深さを設定し溝巾Lと非溝部M
の巾との比L/Mを変化させたときの抗力係数とレイノ
ルズ数の関係を示す図
【図8】溝本数と溝部の深さの設定値を変えL/Mの変
化を変えたときの抗力係数とレイノルズ数の関係を示す
【図9】L/Mと溝本数を設定し溝部の深さを変化させ
たときの抗力係数とレイノルズ数の関係を示す図
【図10】L/Mと溝本数を設定し溝部の深さの変化を
変えたときの抗力係数とレイノルズ数の関係を示す図
【図11】L/Mと溝部の深さを設定し溝本数を変化さ
せたときの抗力係数とレイノルズ数の関係を示す図
【図12】本発明の架空電線と従来品の風騒音比較実験
結果の騒音レベルと周波数特性を示す図
【図13】従来の架空電線の1例を示す図
【図14】従来の架空電線の他の例を示す図
【図15】風気流の架空電線表面における境界層の状況
の説明図
【符号の説明】
1:断面扇形セグメント素線 2、8:隣接部 3、9:断面円弧状溝部 4、7:外表面 10:架空線 11:外表面突出セグメント素線 12:肩部 L:溝部3の溝巾 M:非溝部の巾 θ:デフレクター角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宗像 武男 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (72)発明者 加藤 淳 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (72)発明者 菊池 直志 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−105111(JP,A) 特開 昭57−67215(JP,A) 特開 平3−74009(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 5/08 - 5/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最外層に断面扇形のセグメント素線を複
    数本より合わせセグメント素線の隣接部の表面側に断
    面円弧状溝部を設けた架空線において、前記断面円弧状
    溝部を6本以上36本以下設けるとともに、該断面円弧
    状溝部の溝巾Lと断面扇形セグメント素線表面の非溝部
    の巾Mとの比L/Mを0.10≦ L/M ≦1.55
    としたことを特徴とする架空線。
  2. 【請求項2】 最外層に断面扇形のセグメント素線を複
    数本より合わせてセグメント素線の隣接部の表面側に断
    面円弧状溝部を設けた架空線において、最外層のセグメ
    ント素線のうち少なくとも2本のセグメント素線の外表
    面を他のセグメント素線の外表面よりも1.5〜5mm
    突出させるとともに、該外表面突出セグメント素線相互
    の隣接部の表面側に断面円弧状溝部を設け、該外表面突
    出セグメント素線群の互いに反対側の肩部に15゜≦θ
    ≦60゜のデフレクター角θを設けたことを特徴とする
    架空線。
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