JP4014750B2 - 低騒音電線 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架空線として使用される軽量な低騒音電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
電線に風が当たると、その背後にカルマン渦が形成され、この渦が電線表面から剥離する際に、気流の圧力変動が生じ、空気力学的な音である空力音が発生する。電線の風騒音は、この空力音が原因となり、カルマン渦の電線からの周期的な剥離により生ずるものであることが判っている。従って、この風騒音を防止するためには、渦の電線からの剥離をランダム化すればよいことになる。
【0003】
従来の電線の風騒音防止技術としては、例えば、電線に金属素線(例えばアルミ合金製)を所定のピッチで螺旋状に巻き付ける技術がある(特公昭53−14146号公報参照)。また、上記素線を2本、密着させて螺旋状に巻き付け、コロナ特性を改善した技術もある(特公昭58−38884号公報参照)。この金属素線の外径は、風騒音防止のためには2〜4mmで十分であるが、電線に強固に巻き付けることを考慮して、例えば38.4mm径の電線に対しては7mm程度になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の電線の風騒音防止技術には次のような問題があった。即ち、
1)第1の技術では、電線の外周に凸状になるように金属素線を螺旋状に巻き付けると、風騒音を防止することはできるが、コロナ騒音が大きくなったり、受風面積が増大して風圧荷重が増えるため、鉄塔の補強が必要になる。
【0005】
2)また、第2の技術では、2本の素線を密着させて巻き付けることにより、電線外周の形状変化を緩和し、コロナ特性を改善することはできるが、素線の巻き付け作業時間が増加し、また、単位長の重量が増加するために、電線張力が増加し、鉄塔の補強が必要になる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたもので、自己粘着テープが電線の外周に螺旋状に巻き付けられた低騒音電線であって、前記自己粘着テープは、補強材を有する粘着層上に高分子物質からなる表面保護層が積層されてなり、前記粘着層の厚さは電線の最外層の撚り溝を充填するのに十分な厚さを有し、前記粘着層中には補強材としての繊維が埋め込まれており、前記自己粘着テープは、自己粘着テープに外側から圧力を加えながら巻き付けられて、前記粘着層と電線の最外層が密着し、その間に空隙が生じないように、電線に巻き付けられていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、自己粘着テープはおもに高分子物質からなるため、従来の金属素線を巻き付けていた場合に比して、低騒音電線を大幅に軽量化することができる。また、自己粘着テープは偏平状で、従来の金属素線の径よりも薄くすることができるため、自己粘着テープを巻き付けることによる電線の受風面積の増加は僅かであり、風圧荷重の増加を抑えることができる。さらに、自己粘着テープは補強材を含むため、自己粘着テープを電線に巻き付ける際に張力を加えても、伸びたり切断したりするのを防止することができる。
従って、本発明によれば、鉄塔の補強は不要になり、風騒音対策の費用が低減する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる低騒音電線の一実施形態の側面図である。本実施形態は、自己粘着テープ1を撚合わせ電線10の外周にその撚合わせ方向に螺旋状に巻き付けたものである。
撚合わせ電線10が架空地線(φ9.6〜φ20mm程度)のように比較的に細径である場合には、自己粘着テープ1のサイズは厚さ1〜3mm、幅7〜20mm程度が適当である。この範囲のサイズでは、卓越周波数(風音レベルのピークが生じる周波数)における風音レベルのピークを十分に小さくできることが実験的に確認できた。また、コロナ騒音も十分に満足できる大きさに抑えることがきた。
また、撚合わせ電線10が電力線(φ28.5〜φ52.8mm程度)のように太径である場合には、自己粘着テープ1のサイズは厚さ2〜5mm、幅10〜40mm程度が適当であることが実験的に確認できた。
【0009】
また、図2は他の実施形態の側面図である。本実施形態は、撚合わせ電線10の外周に2本の自己粘着テープ1、1を相互に交差するように螺旋状に巻き付けものである。こうすることにより、自己粘着テープ1をより強固に電線10に巻き付けることができ、長期にわたり風騒音防止効果を発揮させることができる。
【0010】
図3は上記実施形態に用いた自己粘着テープ1の断面図である。図中、2は表面保護層であり、エチレンプロピレン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ナイロンなどのゴムや樹脂の高分子物質からなる。また、3は粘着層4上に設けられた補強材となる補強層であり、低密度ポリエチレンフィルムなどからなる。さらに、粘着層4はブチルゴムなどからなる。
さらに、粘着層4中に補強材として繊維5(例えば、金属の細線、金属長繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、エンプラ繊維、およびこれらの繊維を撚り合わせたもの)をその方向を自己粘着テープの長手方向に揃えて埋め込んでいる。この場合、金属長繊維と有機繊維を混在させてもよい。
なお、自己粘着テープ1に耐熱性が要求される場合には、上記材質以外の耐熱性材料、例えばシリコンゴム、アクリルニトリルゴムなどを用いることができる。
【0011】
なお、粘着層4の厚さは、自己粘着テープ1を撚り合わせ電線10に巻き付けた際に、前記電線10の最外層の撚り溝をほぼ充填するに十分な厚さとする。そうして、自己粘着テープ1に外側から圧力を加えながら巻き付ける。
こうすることにより、巻き付けられた自己粘着テープ1の粘着層4と電線10の最外層とを密着させ、その間に空隙が生じるのを防いで、その間のギャップ放電による自己粘着テープ1の劣化を防ぐ。
【0012】
(実施例1)
本発明の実施例と低騒音対策を施さない電線について、定風速下での風音レベルを比較した。
実施例として、図1に示すように、鋼心アルミ撚線(410mm2 、φ28.5mm)からなる撚り合わせ電線10に、図3に示す構造の自己粘着テープ1(幅15mm×厚さ5mm)をピッチ280mmで巻き付けて、低騒音電線を作製した。この低騒音電線について、風音レベルの周波数特性を風速10、15、20m/sについて測定した。その結果を図4(a)に示す。
また、上記自己粘着テープ1を巻き付けない上記鋼心アルミ撚線からなる電線の風音レベルの周波数特性を図4(b)に示す。
図4(a)からわかるように、自己粘着テープ1を巻き付けた低騒音電線では、卓越周波数のピークはほとんど認められないか、格段に小さくなっている。
一方、図4(b)からわかるように、低騒音化対策を施さない電線では、卓越周波数のピークがはっきりと現れ、風速の増加とともに卓越周波数は高くなり、そのピークも高くなっている。
以上より、自己粘着テープ1を巻き付けることにより、卓越周波数における風音レベルが低下することがわかる。
【0013】
(実施例2)
以下の試料を作製した。即ち、
試料1:図2に示すように、鋼心アルミ撚線(410mm2 、φ28.5mm)からなる撚り合わせ電線10に、図3に示す構造の自己粘着テープ1(幅15mm×厚さ1.7mm)を2本、交差するようにピッチ280mmで巻き付ける。
試料2:自己粘着テープ1のサイズを(幅45mm×厚さ3.0mm)としたこと以外は、試料1と同一。
試料3:図1に示すように、上記撚り合わせ電線10に、図3に示す構造の粘着テープ1(幅15mm×厚さ4.0mm)を1本、螺旋状にピッチ280mmで巻き付ける。
試料4:自己粘着テープを巻き付けない(低騒音化対策を施さない)上記撚り合わせ電線10。
【0014】
上記4種類の試料について、風速と卓越周波数における風音レベルの関係について測定した。その結果を図5に示す。
図5からわかるように、本発明の実施例である試料1〜3はいづれも、低騒音化対策を施さない試料4に比して、卓越周波数における風音レベルが低下している。風速20m/sでは、試料4に比して、試料1は10デシベル程度低下、試料2、3は20デシベル以上低下している。
ところで、最近では環境問題の立場から、風速20m/sにおいて、今までの送電線に対して卓越周波数における風音レベルが単導体送電線に対しては10デシベル以上低下すること、また、複導体送電線に使用される場合には単導体状態での測定レベルが15デシベル以上低下することが求められている。本発明の低騒音電線は上述したように、このような要求を満たし、特に、試料2、3は複導体送電線に対しても低騒音電線として適している。
【0015】
また、上記4種類の試料について、コロナランダム音(30mm/hの注水時における測定)およびコロナハム音(30mm/hの注水を停止直後に測定)を4導体方式(4本の導体を正四角形に配列)で電位傾度を変えて測定した。その結果を図6に示す。
図6からわかるように、本発明の実施例である表面に凹凸のある試料1〜3はいづれも、当然のことながら、表面が滑らかである低騒音化対策を施さない試料4に比して、コロナハム音およびコロナランダム音のいずれにおいても騒音レベルが高くなっている。
ところで、鋼心アルミ撚線(410mm2 、φ28.5mm)の500kV、4導体送電線路の場合、表面電位傾度が14kV/cmにおいて、ハム音は40デシベル以下、ランダム音は50デシベル以下であればよいと規定されている。従って、図6からわかるように、試料1〜3はいずれも、ハム音およびランダム音について要求されるコロナ騒音レベルを満足している。
【0016】
なお、本発明に用いられる自己粘着テープは、繊維5を粘着層4中に埋め込む際には、部分的に粘着層4中の電線巻き付け側に偏心して露出させてもよい。また、自己粘着テープの切断を容易にするという点では、繊維5は有機材料からなることが望ましい。また、本発明においては、補強層3を除いてもよい。
【0017】
また、自己粘着テープの厚さを増すために、上述の自己粘着テープ1を2重に重ねてもよい。
【0018】
さらに、自己粘着テープ1の電線10への巻き付け方は、厚さ或いは幅の異なる自己粘着テープ1を並列させて螺旋状に巻き付けたり、交差させて螺旋状に巻き付けてもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、風騒音およびコロナ騒音が低下する軽量化した低騒音電線が得られるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る低騒音電線の一実施形態の側面図である。
【図2】 他の実施形態の側面図である。
【図3】 上記実施形態に用いた自己粘着テープの断面図である。
【図4】 (a)、(b)はそれぞれ、実施例の風音レベルの周波数分散を示す図、および低騒音対策を施さない電線の風音レベルの周波数分散を示す図である。
【図5】 本発明の実施例の風速と風音レベルの関係を示す図である。
【図6】 上記実施例の表面電位傾度とコロナ騒音との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 自己粘着テープ
2 表面保護層
3 補強層
4 粘着層
5 繊維
10 電線
Claims (1)
- 自己粘着テープが電線の外周に螺旋状に巻き付けられた低騒音電線であって、前記自己粘着テープは、補強材を有する粘着層上に高分子物質からなる表面保護層が積層されてなり、前記粘着層の厚さは電線の最外層の撚り溝を充填するのに十分な厚さを有し、前記粘着層中には補強材としての繊維が埋め込まれており、前記自己粘着テープは、自己粘着テープに外側から圧力を加えながら巻き付けられて、前記粘着層と電線の最外層が密着し、その間に空隙が生じないように、電線に巻き付けられていることを特徴とする低騒音電線。
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1999
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